スマートフォンのアラームが鳴り響く。
畳の床に放っておかれたスマートフォンは、午前の七時を示しているが、そのすぐ近くに投げ出され、ぐったりと伸びている白い手は、一向にアラームを止めようとしていない。音量が足りないのか、よほど深く寝入っているのか。
そこにはだらしのない少女がうつ伏せに眠っていた。
アラームの音声をものともせず、未だに眠り続けるおかっぱの髪型をした少女は、ショーツを丸出しにしながら上も薄手のシャツ一枚と、とても人前に出る服装をしていない。夏の暑さからズボンもスカートも投げ出して、極めて適当な格好と言えるだろう。。
一人で過ごしていたからいいものの、家族や同居人でもいようものなら、どんなに呆れた顔をするかもわからない。
見れば少し離れた位置の机に、何枚もの原稿用紙やGペンが置かれている。ペン類に使うためのインクはフタが開けっぱなしになっている。定規やコンパスに、消しゴムなど、いくらかの文房具も散乱して、徹夜で漫画を描いていた様子が見受けられた。
夜中まで原稿用紙と格闘して、その末にとうとう眠気に負け、布団も敷かずに畳の上に直接倒れ込み、少女は寝入ってしまったわけだった。
士堂瑠璃 というのが少女の名だ。
やっとのことでモゾモゾと動き出し、スマートフォンに手を伸ばす。一度は顔を持ち上げて、画面のタップでアラームを止めはするものの、そのまま再びぐったりと、顔を畳に落として二度寝の世界に入ってしまう。
うつ伏せに眠った瑠璃は、そんな背中側から眺めて見ても、どれほどの巨乳であるかが見てとれる。うつ伏せの姿勢のために、畳の上に潰れた豊満な乳房は、まるでボールかパン生地が圧縮されるかのように広がって、身体からはみ出た横乳が後ろからでも伺える。
お尻は安産型だった。
白いショーツはどうしてか、片方の生地が割れ目の中へとずれ込んで、右の尻たぶが丸出しとなってしまっている。だらしなくも大きな尻山が聳え、そのプリプリとしたお尻を目の前にする男がいようのなら、一瞬にして食らいつき、揉みしだきたい衝動に駆られるはずだ。
まだしもショーツの布がかかった左側の尻たぶも、わずかにサイズが合っていないせいなのか、ゴムの部分で皮膚がぷにりと潰れている。ショーツの大きさよりも、いくらか大きいお尻のボリュームを収めきれずに、外側へはみ出ようとする尻肉が、そんな風にゴムのラインに沿って潰れながら、ぷにっとした凹みからなるはみ出た肉のラインを成していた。
瑠璃はうとうととしてしまっている。
二度寝の世界に意識を引きずり込まれていき、しっかりと目も瞑り、よもやこのまま目覚めることはないだろう。
と、思われた時だった。
「はっ!? 学校!」
突如として、瑠璃は起き上がっていた。
大慌てで着替えや朝食に取りかかり、慌ただしく登校の準備をして、漫画家になる夢を持つ瑠璃は、玄関を飛び出していくのだった。
慌てるあまり、本人は自覚していない。
季節は夏。
薄着で眠っていた間中、日中の暑さに反して夜間は冷え込み、そして太陽が顔を出すなり気温は猛暑日のそれへと近づいていく。冷え込む時間に薄着のショーツ丸出しで寝ていたこと、大きな気温の変化が自室神経を乱したこと。
さらに加えて、長時間同じ姿勢で座り続けるというのは体に悪い。尻への圧迫で決行は悪くなり、肩も凝りやすくなっていき、健康にはとても悪い。
免疫低下の理由が積み重なっていた瑠璃は、実のところ体調を崩していた。
「大丈夫? うわっ! すっごい熱!」
「保健室行きなよ! 今日は早退しなって!」
何回かの授業を受けるうち、さすがに体調不良を自覚していた瑠璃は、友達にも保健室や早退を勧められ、今日のところは早めに学校を後にした。
その足で、しかし直帰はせずに、家とは異なる方向へと進んでいく。
目指すのは病院だった。
お医者さんに見てもらい、薬を貰い、早めに治そうと思っての、早退するなり即座の病院への直行だった。
***
内科医の男は各所にカメラ設置の確認を行っていた。
受付に訪れてきた今日の患者は、うら若き女子高校生であると知るなり、待合室でしばらくは待たせるあいだに、壁やベッド周りや天井の点検に務めている。棚や机の中にも、ペン型カメラやモバイルバッテリーに見せかけたカメラなど、見た目ではそうと見えないカメラを各所に仕掛け、壁紙の裏側にも小型カメラを隠している。
ポスターの裏側にも、観葉植物の葉の中にも、そこにカメラは隠れている。
このようにして、ありとあらゆる角度から、患者の撮影を可能としている。
それら全てを録画状態に切り替えて、そんな大切な準備が済んでから、内科医はようやく患者を診察室へ迎え入れた。
「名前は士堂瑠璃さん、か」
お互いに丸椅子に座って向かい合い、いかにも熱っぽい表情をした少女は、黒縁眼鏡をかけた地味な印象のおかっぱ頭だ。ぱっと見ただけでは暗く見えるが、それほど悪い顔つきはしていない。いや、むしろ可愛い方だ。
何よりも胸が大きい。
一体、何カップとも知れないボリュームが、白いセーラー服を丸々と押し上げている。布地が前に突き出るせいで、腹と布とのあいだに何センチの空間があっても驚かない。メロンを服の中に隠して持ち歩こうとしたような、素晴らしい巨乳と言えた。
ごくりと、内科医は生唾を飲む。
上玉だ。
「夏風邪かな?」
表面上は真っ当な医師として振る舞う内科医の、本当の腹の内側に、果たしてこの子は気づいていない。
「はい、たぶん。学校で保健室へ行って、測ったら三十八度もあって……」
「そんなんでよく学校なんて行ったね? 朝は平気だったの?」
「それが、寝坊で慌ててしまって、朝は自覚がなくて、それでそのまま…………」
「そっかそっか。ええと、熱は三十八度ということで、では吐き気や下痢なんかは?」
「吐いたりはしてませんけど、何となく吐きそうな気持ち悪さはあって、あとはだるいです。下痢はしていません」
必要な情報を問診から聞き出しながら、内科医は画策していた。
女性患者とあらばカメラをフルに稼働させ、無数の盗撮レンズで取り囲み、少しでもいいから肌を撮影してやるのが、この内科医の趣味である。できる限り理由をつけて、面白い映像を残したい。
なるべく、上半身は裸にしたい。
「では脱いでくれるかな?」
きっと、まずは躊躇うだろう。
世の中には衣服の上から聴診器を当てる医師がいる。ブラジャーの上からという医師もいるものの、乳房を出させる者はなかなかいない。無理に下着を外させようとすれば疑われ、患者は二度とこの病院に来ないかもしれない。
そんな危機感をリスクに抱え、それでも欲望を満たしたい内科医は、どうにか脱衣の指示に従わせるための交渉の言葉を脳裏に並べ、いかにして説得してみせるかの構えを心に取る。
まずは脱いで欲しい理由をいくらでも並べ立て、正当性を盾に追い詰めて、じわじわと脱がせてやろうと、内心では獣のように舌なめずりをしているのだった。
獲物を狙う猛獣になりきって、専門的な言葉の数々を牙の代わりに、目の前の少女から衣服を奪い取るつもりでいた。
「あ、はい」
「………………ん?」
思わず、内科医はきょとんとした。
この瑠璃という少女は、何の疑いや躊躇いの様子もなく、言われた通りに赤いスカーフを抜き始める。いとも簡単にセーラー服を脱ぎ始め、瑠璃の上半身は早速のように白いブラジャー一枚のみとなっていた。
「あれ? 恥ずかしくないの?
内科医は思わず尋ねていた。
「え? 診察ですよね?」
逆に不思議そうな顔をして、瑠璃はそう返してきた。
「ああ、恥ずかしがる子もいるからね。気にしないでくれるなら、こっちとしても助かるよ」
苦笑しながら言ってみせる内科医だが、心の中では舌打ちしていた。
チッ、もっと恥じらえよ。
恥ずかしそうに脱いで、診察だから仕方なさそうな表情を見せろよ。
それが内科医の性癖だった。
医療的な理由を並べ立て、さも正当性のある指示であるように説得しながら、着実に従わせてブラジャーまで外させる。どことなく不安そうな、恥ずかしそうな、初々しい思春期の表情こそが好物なのに、この瑠璃という少女はそれを見せない。
まあいい、かなりの巨乳だ。
まずはオッパイから楽しんでやる。
内科医はブラジャーに包み込まれた乳房に目を向けて、深い谷間に目を引かれる。肩紐がどうにかカップを吊し上げ、乳房を持ち上げているものの、二本の紐はいつかは重量に負けて千切れそうなほどにピンと張り、そしてカップの中から少しだけ乳肉がはみ出ている。
ブラジャーのサイズが一センチか、何ミリか、少しばかり合っておらずに、乳房のボリュームを内側に収めきれない。そのせいではみ出ようとする肉が、わずかにプニリとなって外へ漏れ出している。
巨乳を窮屈に閉じ込めている痕跡に飾られて、深々とした谷間のラインはますます吸引力を増している。
ブラジャーの上半身を眺めるのも、もちろん楽しい。
しかし、それはカメラが収めてくれている。
「ブラも外しちゃおうか」
乳房を露出することになってしまえば、さすがに恥じらいも強いだろう。
「あ、すみません。邪魔ですよね」
軽い会釈を交えて謝りながら、瑠璃は躊躇いなく背中に両手を回していき、ホックが外れて緩んだブラジャーを脱いでしまう。恥じらいながら脱ぐような風情はなく、まるでそれが普通だから脱いだだけでしかない様子に、内科医は僅かな苛立ちを覚えていた。
おい、丸出しだぞ!
羞恥心がなさすぎるだろ!
怒鳴りつけたい声は心の中にしまっておき、表面上は朗らかで接しやすそうな、優しそうな顔立ちを営業のためにも作っている。
「まずは聴診からしていくので、恥ずかしくてもちょっと我慢ね」
「はい。大丈夫です」
瑠璃の顔が赤いのは、あくまでも体調不調の熱にすぎない。高校生の年頃が持つ羞恥心を置き忘れ、高熱さえ除けば平気そうでいる瑠璃は、内科医の手が近づいてさえ、強張る様子もなければ不安がる様子もない。
くそっ、それでもオッパイは眺めておくか。
こんだけでかいんだからな。
内科医は乳房の中央に聴診器を当てるなり、ひとまずは必要な音の情報を聞き取って、あとは真面目なフリでもしながら乳房を眺める。
実に大きい。
メロンほどもあろうかというボリュームで、プルっと手前に突き出ながら、桜色の乳首を添えている。揉めばさぞかし柔らかいであろう、ふんわりとした丸っこさは、窮屈なブラジャーから解放されて涼しげだ。
「触診するけど、大丈夫かな?」
「胸を、ですか?」
さすがに抵抗感を抱いたか。
ならば、嫌だけれど仕方なく我慢している顔を見せてみろ。
「そうだね。我慢できそう?」
「ええ、必要なら仕方ないので」
けっ。
何も頓着していない顔で、きっと瑠璃が抱いた抵抗感は、わずかに薄らとしたものにすぎない。ここに来ても、内科医の性癖にあたる反応を引き出せない。
「それじゃあ、失礼」
両手を伸ばし、乳房に指先だけをかすかに押し込む。触診を装うための、症状を探す手つきでタッチを施し、下弦から始めてC字のように外側をぐるりと、だんだんと上を目指して皮膚を揉む。
内科医から見た右側の乳房を済ませ、すると今度は左側も、下弦に指先を差し込んだ。
しっかし、デカいよな。
Fか? Gか?
皮膚の表面を押すだけの手つきを使い、指先だけで乳房を調べて、下弦から少しずつ外側へと、さらに上弦まで触診を行った。
胸を触ってなお、少女らしい恥じらいの顔が出ない。
いっそ、経験済みか?
非処女だから平気なのか?
これほどの巨乳である。寄りつく男もいるだろう。
「どうも大きいね。もう少しきちんと揉まないとわからないんだけど、やっても大丈夫?」
「どうぞ?」
瑠璃は躊躇いなく答えた。
ええい、もういい。
触るだけ触って楽しんでおこう。
もはや好みの反応を引き出す試みは捨て、内科医はただただ乳房を揉み始める。手の平では包みきれない大きさは、片方の乳房を覆いきるにも両手がいる。そんな豊満なサイズ感の両方を同時に揉む。
すっげえ、ふっくらだな。
柔らかいし、もっちりしてんじゃねーか。
真正面から手の平を当て、シンプルに指に強弱をつけて揉み込むも、包みきれない乳肉はこれでもかというほど余っている。下弦の方に手を移し、持ち上げんばかりの触れ方で揉んでみたなら、今度は上半分が丸ごと余る。
乳房の触り方は心得ていた。
強く揉めば痛みを与えてしまうから、ほどよく優しく、ほどよく活発に、上手い具合に捏ねてやれば、すぐに乳首も大きくなる。さすがの瑠璃も血流が一転に集中して、小さかった乳首は小指の先ほどの大きさへと成長を遂げていた。
性感の高まった乳首をつまみ、軽く弾いてやる。
「…………んっ」
薄い反応だが、肩が内側に縮まった。
よし、ちっとは女の子らしい顔をしたみたいだ。
このまま、やってみるか。
+1
二本の紐はいつかは重量に負けて縮れそうなほどにピンと張り、縮れそうではなく千切れそうでは?
パート2へ行くためのリンクが次の話にかかっていません。
囮になったり潜入捜査で、今回は病院に患者として潜入しました。次回があるならサリーのように学用患者とか、違法の裏番組に潜入したり、捕まってしまい損失を身体で稼がされたしするのでしょうか?楽しみにしています。
誤字とリンク忘れ、ご指摘ありがとうぎざいます。
修正させて頂きました。
まだどうするかは決めていませんが、
闇狩人ではもう何作か書きたいと思ってます。