羞恥!サリーの精密検査 パート3

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「じゃあ、こっちね」
 施設の中を案内され、吉永サリーは豚井のあとに付き従う。
 ただ素直に着いていき、連れられた先の部屋に入った後は、少しばかりの待機で、静かに椅子に座って過ごす。一度は部屋を出た豚井は何人かの男を引き連れて来た。その全員が眼鏡をかけていたり、白衣を羽織っていたり、まさしく研究や治療に関わる雰囲気の面々だった。
 一見して何かの研究チームに見えてしまう。
 事実、ワクチン、治療薬の開発に挑む大規模チームのうち、その何人かだけを引き抜いた男達を身体測定の立ち会いに当てている。頭が良さそう、良い大学を出ていそう、そんなインテリチックな顔立ちが勢揃いしていた。
「ではサリーさん。身体測定を始めるから、もう一度脱いでくれる?」
「ええ? ま、またですか?」
 サリーはぎょっとしていた。
 あれだけの思いをした直後に、また脱衣とは。
「おや? せっかくテストに合格して、色々と同意も得られたと思ったのに、我々を困らせるおつもりかな?」
 豚井はニヤニヤと、獲物を追い詰めることが楽しい顔で、サリーを追い詰めんばかりの言葉を放つ。その、取り消すという言葉は、サリーの焦燥を大いに煽った。
 どうしても舞人を救いたい、世の中の惨状を放っておけない、できることをやりたいと使命にかられるサリーには、それほど恐ろしい言葉はなかった。
「では脱いでくれるね?」
「……………………はい」
 明らかに元気を失い、暗い面持ちになりながら、サリーは頷いているのだった。
「じゃあ、脱いでね」
 すると、何人もいる白衣の面々が動き出し、サリーを取り囲むかのようにする。ここに脱いだものを置けと言わんばかりに、足下に脱衣カゴを出してくる。さながらC字を形成するように、壁のように並ぶ男達の無言の圧に、サリーはすっかり萎縮していく。
「あの、こんなに見られながらじゃ…………」
 せめてもの配慮を、小さな小さな、萎縮しきった声で望んでみる。
 誰一人、動く様子はない。
「明日になったら、そんなこと言ってられないよ?」
 むしろ、豚井はサリーを咎めるほどである。
 もう、脱ぐしかなくなっていた。
「わかりました……それじゃあ………………」
 サリーは震えながらスカーフを抜き取り、それを脱衣カゴに落としたきり、セーラー服にかけた手は止まる。確かに、豚井にはもう下着姿を見せてしまったが、今度は十人近くに囲まれて、その全員の視線が集中している中である。
 セーラー服を脱ごうとする手が、どうしても動かない。
(でも……脱げなかったら…………」
 採用取り消しを恐れ、そうなったら舞人があのままかもしれない予感にも、サリーの心は晒される。不意に煽られた危機感から、どうにかサリーの手は動き、モゾモゾとセーラー服を脱ぐに至った。
 まずは、上半身の下着姿。
 意外と大きな乳房を包み、白いブラジャーが蛍光灯の光を浴びて輝いている。誰も彼もの視線が集まり、一人一人の網膜にそれが焼き付く。もうこの時点でさえ、サリーは穴の中にでも入りたいくらいに思っていた。
 そうした中で、サリーはスカートのホックを外す。
 まるで火力の調整が段階的に可能なように、サリーの頬の赤らみは一段階上がっていた。スカートを脱いでしまえば、さらに一段階の赤みが増し、下着姿で恥じらいのままにどこかに消えたいかのように思っている。
 とにかく、脱いだ。
 これで身体測定を行って、今日のところは服を…………。

「ブラジャーも外してくれる?」

 サリーは凍りついていた。
 確かに、様々なことを承知した。世のため、人のためになるならと、承諾したことは間違いないが、今日はまだ、下着までで済むはずだとも思っていた。それが思いがけず覆され、速くも脱ぐように言われたのだ。
 しかし、どちらにしても明日には…………。

「わ、わかりました………………」

 まるで大切でならないものを手放すような悲しげな顔で、サリーは黙々と背中に腕を回してホックに指をかけていた。
 まだ、誰にも見せたことがない。
 もちろん、舞人にも。
 ブラジャーを手放すことが、そのまま初めて異性に乳房を見せる経験の喪失となる。悲しくも恥ずかしい瞬間への、段階は着々と進んでいく。ホックを外した途端にブラジャーは緩み、急に落ちてしまわないようにと手で押さえつつ、もう片方の手で肩紐を、まずは左を下ろしていき、右の肩紐もずらしてやる。
 そして、サリーは片腕だけでぎゅっと我が身を抱き締めて、胸と腕の隙間から引き抜くようにブラジャーを取り去った。それを脱衣カゴへと置いていた。ただ腕で守っているだけで、サリーが身につけている衣類といえば、パンツを除けばあとは靴下とスリッパぐらいなものだった。
 男に囲まれながら、この格好だ。
 不安しかない。
 周りのみんなが狼となって襲って来れば、自分のような小娘一人には何もできない。そんなことはしないだろうが、そうなった時の運命は回避できない。犯罪など起きないだろうと思ってはいても、そうなったら回避できない状況下に一人立つことの心細さは、完全にサリーを萎縮させていた。
「ではあちらに」
 ニヒニヒと笑う豚井は、身長計を指し示す。
 サリーは従うままに歩んでいき、まるで絞首台に上がるかのような、悲劇の運命に向かう面持ちで片足ずつスリッパを脱ぎ、身長計の台へと足を乗せていく。背中をつけ、より一層に乳房を守る両腕のクロスは固くなる。
「両手は下ろして」
 その言葉であっさりと、魔法でもかかったように緩められ、サリーは恥じらいに耐えながらも両手を下ろした。

 豊満な乳房が曝け出される。

 ツンと前に突き出た膨らみは、新鮮な果肉を含んだ瑞々しさで、男達の視線を一瞬にしてかき集めた。サリーの気持ちに関係無く、サリーの乳房は男の視線に対する吸引力を存分に発揮して、誰も彼もを視姦へと掻き立てていた。
 まるで見世物だ。
 身長計に貼り付けにされ、身動きも取れないままに乳房を見られ、パンツや太ももさえ視姦の眼差しに舐め尽くされる。もしも視線に感触があったら、サリーの乳房はどれほどおぞましいもので満ちることか。
(やっ……!)
 腹に、手が置かれた。
 べったりと、しっとりと、手汗の滲んだ豚井の手の平がヘソの近くに張り付いて、汗が接着剤のようにサリーの皮膚に癒着する。真横に立った豚井の吐息が耳に触れ、思わず肩を縮めてしまう。
 ぐるぐると、撫で回していた。
 手の平全体を使って味わい尽くそうとしているように、丹念にじっくりと、豚井はサリーの腹を撫でている。ヘソの周囲を何周も繰り返し回り続けて、それが汗の粘性を塗り伸ばしてくるかのようで嫌悪感に皮膚が泡立つ。
 その一方で豚井はバーを手に取り下ろしている。
 ゆっくりと、ゆっくりと、何秒もかけて下ろされているバーは、頭の上に接近の気配こそ強めるものの、なかなか一向に触れて来ない。
 そして、バーの動きは遅いのに、腹を撫で回す方は活発だった。
(お願い……! 早く……!)
 祈るように目を瞑り、そうするまぶたに力がこもる。筋力が宿るあまりに、閉ざされた両目が震え、頬の強張りも強まっていた。
 やっと、頭にバーが触れ、サリーの頭上で停止する。
(――っ!?)
 その瞬間、サリーは驚きに目を開き、瞳を勢いよく下にしていた。乳房に触れてくる感触があったと思いきや、さりげなく、本当に少しだけ、たった一センチ程度ではあるが持ち上げていた。それも、さも偶然を装うためのようにして、手の平の側面だけで、手をパーにして親指を上にした時の、人差し指の部分だけで持ち上げていた。
「はい。いいよ」
 指は直ちに離れた。
 豚井はサリーの身長を告げ、それを聞いた男の一人がボールペンを走らせる。すぐに身長計を降りたサリーは、触れられてしまった嫌な余韻を下乳の皮膚に抱え、恥辱に濡れた表情で俯いていた。
「次は体重ね」
 体重計でも、気をつけを命じられた。
 身長計と違って、きちんと両手を下ろして背筋を伸ばすことなど必須ではない。適当な姿勢でも数字は出そうなもので、胸を隠すことが許されなかった。身長が終わって、すぐに両腕のクロスを固め、そのままの状態で体重計に上がるなり、非情な「気をつけ」の一言は飛んできていた。
 豚井も他の男達も、サリーが腕を下ろすまで、とっくに表示されているはずの数字を確認する意志などなさそうだった。
 改めて乳房に視線を浴びることとなり、両腕をだらりと下げるなり、男達はそれぞれの満足そうな表情を浮かべていた。露骨にニヤける者、芸術を愛でる品性を気取った頷き、目に焼き付けなければ勿体ないとばかりの人もいる。
「何カップかねぇ?」
「D? いや、Eかな?」
 勝手な予想大会を始める人さえいた。
 辺りは乳房の鑑賞会場と化していき、腕を下ろしてなおも数字は読まれない。時間にして二分か三分か、それだけの時間をサリーはただただ立ち尽くした。おっぱいを視姦されるためだけに立ち、無駄に眺め尽くされた上、やっとのことで豚井が数字を確認した。
 豚井が数字を伝えるなり、サリーの体重も用紙の中に書き込まれる。
「さーて、スリーサイズだね」
 次にはメジャーを用意していた。
 当然のように胸を隠そうとすれば注意され、曝け出しているしかないサリーへと、さながらネックレスをかけるようにメジャーの輪をかけていく。豚井はサリーの脇下にメジャーを通し、乳房に巻き付け目盛りを合わせた。
 乳首の近くで、目盛りが重なり合っていた。
 指も微妙に当たってきている中で、乳首の近くに顔が近づく。数字などすぐにわかるはずなのに、ジロジロと目盛りの付近を眺めるばかりで、一向にメジャーを緩めようとはしないのだった。
 やっとのことで読み上げるなり、今度は乳房のすぐ下へと、アンダーバストを測る位置へと巻き付け直す。目盛りはすぐに合わさるものの、今度は目盛りを見るどころか、乳房の方を堂々と至近距離から視姦していた。
 一分は眺めてから、ようやくアンダーバストの数字を声に出す。
 すると、サリーが何カップか判明したことで、予想大会を開催していた数人の男は、ちょっとしたざわめきを広げていた。予想が当たっただの、惜しかっただの、そんなことをひそひそと語らっていた。
「ウェストは、えーっと、○センチ」
 今までバストには時間をかけたのに、ウェストは驚くほど早かった。
「ヒップだね」
 最後はお尻に巻き付けて、豚井はサリーの後ろ側から、尻たぶの上に目盛りを合わせる。尻に指が当たっている。たった今、ウェストは一瞬で終わらせたのに、やはり男にとって楽しい部分には時間をかけるようだった。
 一分、二分。
 そのくらい、何十秒も長く経ってから、ヒップサイズは読み上げられる。その数字に男達はそれぞれの反応を示し、形が良い、やはり大きいなど、口々に語らっていた。
 こうして、身体測定は終わった。
 全身を恥辱で穢されて、顔中をぐしゃぐしゃに歪めてしまいたい思いにかられ、サリーは即座に着替えを済ませる。

「じゃあ、明日はよろしくね」

 施設の出口まで送られて、サリーは会釈を返したあと。
 背中を向け、しばらく歩いていくなり、きっともう豚井は中に戻って、自分の姿など見えなくなったであろう頃合いに、サリーは思わず走り出していた。
 走って、家まで帰って行った。
 その日、一日かけて表情を暗くしたまま、ふとした拍子に羞恥心が蘇り、何もないのに顔を染め、布団に入れば枕に激しく顔を埋めてしまう。何かに苛まれてばかりの時間を過ごし、やがては眠りについて夜が明けた。
 いよいよ、始まる。
 今日はもっと、もっともっと恥ずかしい目に遭わされる。
  



 
 
 

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羞恥!サリーの精密検査 パート3への2件のコメント

  1. WfT コメント投稿者

    豚井はニヤニヤと、獲物を追い詰めることが楽しい顔で、サ
    その、取り消すという言葉は、サリーの焦燥を大いに煽った。

    途中で文章が途切れているし、取り消すとも言っていないので、2.3行抜けていませんか?

    パンツを除けばあとは靴とスリッパ、靴下ですよね。

    次回からは医者側は防護服を着るのでしょうか?着ていれば医師側は真剣にワクチン開発に専念している感が出て、サリーが勝手に恥ずかしがっている感が強調され、着ていなければサリーの感触を楽しみつつサリーを辱めようとする感が強調されそうですが。

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