第17話「全裸視姦」

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  文香はボタンを外し始めた。
 まずはブレザーから脱いでいき、脱いだものは丁寧に畳んでから隣の机へそっと置く。
「……外は?」
 文香は左右の戸と窓ガラスをそれぞれ気にかけた。
「ま、カーテンぐらい閉めとくか」
 三和はそう言って閉めに行く。
「この教室は中から鍵がかけられるから、いきなり開けられる心配はないよ」
 遠藤が述べたので、文香はワイシャツのボタンを外す。
 ボタンの外れたワイシャツが左右に開き、腹から胸にかけての肉体が覗けてくる瞬間を、三人は生唾をゴクリと飲みながらまじまじと凝視していた。
 畳んだワイシャツをブレザーの上に重ねて、まずは上半身から下着姿になった文香は、立ち上がってスカートを脱ぐ。留め金を外してジッパーを下げ、バサリと落とす形で上下とも完全な下着姿になる。
「おおっ、すげー」
 興奮する赤坂。
 三人のギラギラとした視線の熱気に包まれ、文香は湿気の多い夏のむわりとした暑さに放り込まれた錯覚を覚えた。空気がどことなく粘り気を帯び、肌にまとわりつくような、そういうねばっこさを視線に感じた。
 文香自身も興奮している。この熱気だらけのベタつく視線を浴びるのが心地良く、少なくとも見せるだけに関してなら、文香は積極的な気分になっていた。
 ただ、そんな積極性を表に出せば、三人とも余計に喜びそうで、それは少し癪である。
「エッチな人たち」
 表面上はムスっとしたまま、ブラジャーを取り外す。
「おっ、おっぱい!」
 赤坂を中心として、三人の顔が文香の胸に群がった。粘っこい熱気は乳房一帯に集中し、ただ視線を浴びるだけでも、何かがまとわりついてくる錯覚を覚えてしまう。甘い痺れを帯びた乳首は硬く突起し、三人の視線をますます釘付けにしていた。
「触るぞ?」
 三和が恐る恐る指を伸ばす。長く伸ばされた人差し指は、乳首の先へと接近し、接触寸前になって文香は慌てた。
「本当に触るだけですよ?」
 と、釘を刺す。
「わかってるよ」
 三和の指先が、指の腹が、乳首をポチリと押し込んで、柔らかい乳房にクレーター状のへこみを作った。それが面白かったのか、三和は指を引いては押し、引いては押して、ボタンの連打のように繰り返し凹ませる。
「お、俺も!」
 遠藤はもう片方の乳房を鷲掴みに揉み始めた。
「俺はこっちだぜ!」
 赤坂はアソコを触り、苺柄の下着を介してワレメをなぞる。
 初めは緊張に強張った。
「……み、みなさん?」
 三人の手に撫で回され、全身の筋肉を余すことなく硬直させて強張った文香は、まず震えながら揉みしだかれる。しかし、その心地良さにしだいに緊張は緩んでしまい、文香はすぐに三人の愛撫に身を委ねていた。
「よし」
 そして、そうとわかった赤坂は、そんな文香の表情を見て、机を三台ほどくっつけた仮設ベッドを作り出す。その上に文香を寝かせ、ショーツに手をかけ、引き下ろした。
「いやぁぁ……」
 文香は全裸になった。
 赤坂の指はアソコを直接撫で回し、もう片方の手は尻の下へと潜り込んで尻たぶを揉んでいる。三和は右側の乳房とうなじにそれぞれ触れ、遠藤は左乳房とおなかをまんべんなく撫でていた。
 合計六本の手から同時に愛撫を受け、この状況下で文香は甘くとろけた表情になりかけていた。
 いや、駄目だ。
 せめて、顔に出してはならない。
 そこまで興奮しているとバレたら、じゃあ本番をしても問題ないよねと、交渉に持ち込まれる。
「だ、男子って本当にエッチ……」
 身を守るために、文香は不機嫌に見える表情を保とうとしていた。
「お前もな」
 赤坂は秘所の甘蜜を指に絡め、塗るかのような愛撫を施す。手の温もりの一つ一つが、文香の心を溶かしていき、文香はやがてすっかり、三人からの愛撫に浸っていた。
「それでは、まんぐり返しと行きましょう」
 腰を持ち上げられ、全ての恥部が見えるポーズを取らされた。
「おおっ」
「すげえな委員長」
 肛門にも性器にも、ジロジロと視線を注がれ、赤坂はお尻を撫でる。揉みながら皺を広げて顔を近づけ、至近距離からじっくりと尻穴を見つめてきた。
「そんな場所……」
「ふぅー…………」
 吹きかけられた息は熱く、敏感に弾けた尻肌が、肛門を絞るように収縮させる。
 全員の視線が穴に集中していた。
 お尻の穴と、そしてアソコに……。
 赤坂は次にアソコを指で広げていき、みんなでその中身を確認した。
「ごくり」
 息を呑む赤坂。
「…………」
 初めて本物の女性器を覗いた感動に、声すら出せない三和。
「すげぇ――」
 ただそれだけ、小さく呟く遠藤。
 反応はそれぞれだった。
 しかし、確実に共通しているのは、彼らは全員とも文香を記憶に焼き付けて、卑猥な妄想の種にするつもりが満々ということだ。後々、頭の中で文香を陵辱するため、今の内に胸を揉んだ感触を覚え、性器や肛門の形状を記憶している。
 文香はそれを静かに悟っていた。

 自分が慰み者に過ぎないことを……。

 そして、この日の晩――。

 まさかクラスメイトに裸を見せたことは書けないが、そういう妄想をしたという形で、事実ではなく妄想だという体裁で、三人のクラスメイトにストリップを要求された出来事を書き込んでいた。
 そういう想像をネタに自慰行為に耽ったとして、文香は実際に一晩中のあいだ、自身の性器を触り続けていた。