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  • 第5話「おパンツ鑑賞」

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      決意を込めた栗木が、スカートに向かって手を伸ばしてくる。
     明日美は反射的に後ずさるが、すると背中に葉山の体が当たってきた。逃げ場を与えないように、背後に回りこまれたのだ。
    
     ち、畜生! こんな奴に!
    
     明日美は強く歯を食いしばった。
     こんな豚程度の男を蹴飛ばしてやることなど、本当なら簡単だ。ぶっても叩いてもいい。踏みつけてもいい。いつもの明日美であれば、こんなことをされようものなら、すぐにでも暴力に打って出ているところだ。
     しかし、今はそれを堪えなくてはならない。
     でなければ、余計に恐ろしい罰則が発生する。
    
     く、くそ! 冗談じゃねえ!
    
     とうとうスカート丈を掴まれて、捲り上げられる寸前だ。ゆっくりと持ち上げられ、少しずつ太もも露出面性が増えていき、明日美はただ受け入れることしか許されない。抵抗を抑え込み、懸命に我慢した。
    
     畜生! 畜生! この豚野郎が!
    
     スカートは持ち上がり、朝も晒された紫色のパンツが栗木の目を奪い、明日美は下腹部を凝視された。
    
     ――――――くぅっ!!!
    
     予想以上の恥ずかしさだ。
     朝と比べればマシな状況のはずなのに、今まで苛めていた奴に捲られているかと思うと余計に屈辱感が増幅して、膨れ上がる羞恥が苦しい。頬が一瞬にして加熱され、耳まで熱く染まり上がり、激しい恥じらいに耐えながら、それでも栗木を睨み返す表情となっていた。
    「どうです? 栗木君、気分が良いとは思いませんか?」
    「え、その……」
     葉山の問いに、栗木はしどろもどろになる。
    「あなたを今まで苛めていたこの子が今、こうしておパンツを曝け出しています。栗木君自身の手でスカートを捲って、ですよ? 気分が良いとは思いませんか?」
    「は、はい。その……。悪くないです」
     栗木は珍しいものでも観察するかのように、まじまじと明日美のパンツを見つめてくる。紫色の生地にかかったパンツの柄を、栗木は目でなぞっているのだ。あるいはアソコのシワにラインでも浮かんでいて、そこに注目しているかもしれない。
     明日美はすぐに耐えかねて、隠したい思いで自分の持ち上げられたスカートに触れる。
    「駄目ですよ? 明日美さん。きちんと見せてあげないと」
     葉山に即座に注意され、明日美はすぐに手を引いた。
    「もういいだろ? 十分じゃねーか」
    「そうおっしゃるのでしたら、次に移りましょう。栗木君、お尻を叩いてあげてください」
     再びスパンキングを持ち出され、明日美はぎょっとした。
     朝の屈辱が蘇る。
    「お、おい! あれはもういいじゃんかよ。わかった! パンツぐらい見せるからよォ、いくらでも拝んでいいから、ケツは勘弁してくれよ」
    「できない相談ですね。パンツはいくらでも見せるべきですし、お尻叩きも受け入れて下さい」
     葉山の無情なまでの命令に、明日美は必死に食いつくも、一切の意見は受け入れられない。結局机の上に乗り、朝と同じような四つん這いでパンツに包まれたお尻を丸出しにされた。
     畜生、結局こうかよ。
     今ならクラスメイトこそいないが、栗木ごときにお尻を差し出している。腰を突き上げた情けないポーズを取らされているだけあって、捲られる以上の恥ずかしさだ。
    「い、いいんですか?」
     栗木は明日美よりも葉山に確認する。
    「ええ、是非とも。あなたの手でやってください」
     体は明日美のものなのに、葉山によって許可が出された。
    「そ、それじゃあ――」
    
     ペチッ
    
     く、くそ!
     遠慮のこもった弱弱しい一撃だが、明日美を屈辱に濡らすには十分だ。見下していた男に叩かれたというだけで、舌でも噛みたい気持ちになる。
    
     ペチッ
    
     か弱いビンタに尻たぶを打たれ、明日美は一瞬キレかかった。栗木ごときが調子に乗るなど許せない。今すぐにでも起き上がり、後ろに向かって殴り返してやりたい気持ちにかられた。
     だが、直後に頭を押さえられる。
    「駄目ですよ?」
     机に頭を押さえ込まれ、抵抗を封じられた。
    「あ、あたしは何も……!」
    「明日美さん。あなたは今、反射で抵抗しようとしていました。まあ体が勝手に動いたようなものでしょから多めにみますが、二度はありませんよ? さあ続けて下さい。栗木君」
    
     ペチッ、ペチッ、
    
     今度は二発連続だ。
     明日美は涙目になりかける。
    
     ペチッ、ペチッ、ペチッ、
    
     しだいに女の子をこんな風に扱う面白さに気づき、調子づいていったのだろう。弱弱しかった栗木の手つきはどんどん元気になっていき、リズミカルに左右の尻たぶを打ち始める。警戒な肌の音と共に柔らかな尻肉は波打って、プルプル震えて弾んでいた。
    「叩くって、いいものですね」
    「でしょう? もっと叩いてあげてください」
    「はい!」
     栗木はスパンキングを楽しみ始め、より小刻みなタップで明日美を苛めた。ドラマーがドラムを叩くようなハイリズムで、夢中になって振動させる。あからさまにリズムを取った叩き方に屈辱感は大きく膨らみ、明日美は自分がオモチャにされた気持ちを味わっていた。
    
     冗談じゃねーよ!
     こんなのって、ゼッテーおかしいだろ!
     なんで……。
     なんであたしが栗木ごときに! こんな豚みてぇなクズ野郎に!
     畜生!
    
    
    
    


     
     
     


  • 第4話「放課後」

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     糞が!
     明日美はその日、授業をサボって屋上の戸に八つ当たりの蹴りを加えた。少しへこんでしまったが、別に知った事ではない。
    「なんであたしがあんな目に! あの糞野郎が!」
     イジメ撲滅委員会を名乗る男が現れて、クラスメイトの前でお尻を叩かれた。死ぬほどの恥ずかしさもそうだったが、まるで親が幼児に与えるような体罰なんて、あの扱いは屈辱そのものではないか。懲役さえ盾になければ、とっくに蹴りでもくらわせているのに。
     放課後も、葉山純一に呼び出される。
     すっぽかせば、何か法的罰則を持ち出してくるに違いない。あとでスマートフォンで調べたが、一度撲滅委員会が動き出せば、イジメっ子は相手の裁量一つで人権を剥奪される。人前でスパンキングを受けるなど序の口で、下手をすればもっと酷い目に遭うとの話だ。
     素直に反省した方が良いのだろうが……。
     しかし、栗木は気持ち悪い。
     あんなのを苛めて何が悪いのかわからない。
    「あのブタ野郎のキモさなんとかしてから言えってんだよ! 顔はキメェしデブだし汗くせぇ奴なんて、キモく思うなって方が無理なんだよ。根暗でウジウジしやがって、存在がイラつくんだよ!」
     むしゃくしゃした気持ちをどうにもできず、明日美は無意味に鉄柵を蹴ったり地面を蹴ったり、空き缶を踏み潰したりして物に八つ当たりを繰り返した。
    
     そして、放課後がやって来る。
    
     行くしかない。
     帰りのホームルームでも葉山は現れ、栗木と明日美はすぐに指定に教室へ来るようにと言いつけられる。
     やって来たのは狭い部屋だ。クラス用の教室と比べて半分程度の広さしかない、出入り口の戸も一つしかない少人数用の教室だ。戸には鍵がついていて、葉山は明日美と栗木を入れるなり内側から戸締りをして、誰も出入りできないようにする。
    「さて、反省しましたか?」
     してたまるか!
     とは思うが、またお尻を叩かれては叶わない。
    「あー……。したした! ごめん! 今まで悪かった! な? 栗木!」
     心にもない言葉だが、ちょっと我慢して謝る方が身のためだろう。
    「本当に反省しましたか?」
    「したっつってんじゃん」
    「だそうですよ? 栗木君」
     葉山は話を栗木にふる。
    「あ、あの……。そう、ですか……」
     何がそうですかだ。
     そんなボソボソした気の小さい反応しかしないから、苛々されるし気持ち悪いと思われる。どう考えても、イジメをやりたい気持ちを刺激してくる栗木が悪い。こんな奴がいるからいけないのだ。
    「まあ、いいでしょう。ひとまずあなたは反省の意思有りにしてあげましょう」
     よっしゃ!
     これで少しは好転した。
    「ですが、明日美さんが謝ったからハイ終了では芸がないといいましょうか。撲滅委員会を名乗りながらこれだけでは、我々は仕事をしたことにならないのですよ」
    「はい? あたしがこんなに謝ってんのに、まだなんかあるんですか?」
    「ありますよ? わたくしはあくまで、イジメはやる方が悪いと思っています。ですが、その一方でイジメっ子が好んで狙う相手に一定の傾向があるのもまた事実。気が小さかったり、友達がいなかったり、まあそういう人ですね」
     と、葉山は栗木を見る。
     自分の欠点をあげつらわれ、栗木は無意味に肩縮めていた。
    「んで、じゃあどうするっての?」
    「野之宮明日美さん。あなた、反省したのですよね?」
     葉山は顔を押し寄せながら確認してくる。
    「ああ、したっつってんじゃん。な? ごめんな栗木、もうやんねーよ」
     口先だけだが、明日美は繰り返し謝ってみせる。
    「ええ、もうやらないのは当たり前です。わたくしに残された仕事は、栗木君の気弱な性格を少しばかり強くしてあげることです」
    「強くするって?」
    「明日美さん。彼には特別な薬が必要です。自信をつけさせるため、今の性格を改善するため、少し協力して下さい」
     どうせ治るとは思えないが。
    「どうしろっての?」
     とりあえず、協力的な態度を示してみる。
    「パンツを見せてあげてください」
     その瞬間、明日美は一瞬にして引き攣って、顔を染めながら怒鳴りあげる。
    「はあ? なんでそうなんだよ!」
     もちろん葉山に対して怒ったのだが、何故か栗木がビクっとしていた。
    「我々の権限をお忘れですか?」
    「わ、忘れてない! けど他にねーのかよ!」
    「あなたは今まで、長期間に渡って精神的損害を与え続けてきましたからね。その分を賠償する意味も込め、明日美さんには女の子として栗木君に奉仕をして頂きます」
    「な、なんでそうなんだよ……」
     葉山はあくまで、明日美に屈辱的仕打ちを与えるつもりだ。やはり、謝ったフリだけしても、何の解決にもならないのか。だからといっても、こんなキモい男を相手に心から反省するなどできやしない。
    「そうですね。でしたら栗木君、今度こそあなた自身の手で明日美さんのスカートを捲って下さい。あなたがやるべきです」
     葉山は栗木に矛先を変えた。
    「ぼ、ぼくですか?」
     栗木はいかにも情けない声を出す。そ、そんなの出来ません! と、いかにもそう言いたげな表情だ。
     よし、いいぞ?
     こいつに捲られたくはない。
     いつものように弱気を見せて、できないできないと駄々を捏ねてくれればいい。そうすれば明日美が助かる。
    「さあ、やってください」
     葉山が詰め寄る。
     だが、明日美も栗木を睨み付けた。
     やったらぶち殺す! 殺意をたっぷり込めた凶眼を向けてやった。
     葉山の命令は断れず、明日美のスカートに触れるのも恐ろしい。きっと板挟みで苦しんで、挙句何もできないまま葉山にため息をつかせて終わるだろう。
     そのはずだ。
     そのはずだが……。
    「いいですか? 栗木君、あなたは現在法的保護を受けています。万が一わたくしの判断ミスで学校生活が悪化しようものなら、それに対する保障が支払われます。また、明日美さんはあなたに手出しができません。もしこの後に及んでイジメなどしようものなら、懲役の他にも罰金刑や労働義務、様々な罰則が彼女に対して発生するのです」
     つらつらと説明を述べ、葉山は栗木に対して何も不利が発生しないことを言いつらう。
    「……ほ、本当ですか?」
     恐る恐る、栗木は喋る。
    「もちろんです。明日美さんはこんなに怖い顔をなさっていますが、わたくしがいる以上はあなたに手出しはさせません。さあ捲りましょう。栗木君」
     まさか、やるのか?
     やる気にでもなったのか?
     決して人が変わったわけではない。栗木は栗木、おどおどとした雰囲気を纏って、声も小さい俯きがちの表情ばかりだが……。
     それでも、自信なさげな声ながら、栗木は言った。
    
    「ぼ、ぼく……。やってみます」
    
     栗木にしてみれば一大決心。
     明日美にすれば、最低最悪の瞬間だった。
    
    
    


     
     
     


  • 第3話「公開スパンキング」

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     葉山は言った。
    「さあ、栗木君。あなたにはイジメっ子に対する報復権が与えられ、それを行使する義務が与えられます。仕返しの機会を与える事によって、苛める側と苛められる側、双方の心を入れ替えることができるという考えなのです。苛める側は自分の行いを後悔し、苛められていた側は仕返しによって自信をつけ、引っ込みがちだった性格に強みを持たせる目的です」
     これから行うことに対する意味合いを語っていき、彼は栗木の肩に手を置いた。
    「ほら、目の前で野之宮明日美が四つん這いです」
     栗木は緊張で汗をかく。
     高く突き上げられたスカートのお尻が、栗木の目の前にそびえている。短めのスカート丈が垂れ下がり、太ももは大きく露出している。生足は丸見えで、少し腰を低めればパンツも見えることだろう。
    「叩くのはあなたですよ?」
     葉山は遠慮なく、さも何でもないようにスカートを捲り挙げ、紫色のパンツが露出する。模様の派手めな、一枚の布の上へ柄を縫いつけたような明るいパンツだ。生地のせいか蛍光灯が反射して、どことなく光って見える。
    「さあ、叩いて下さい」
    「え、あの……」
     叩けと言われても、いきなりできるわけがない。
     相手は明日美だ。
     しかも、背後にはクラスメイト。
     叩こうものならみんなにどう思われるかわからないし、後でどんな報復が待っているかと思うと恐ろしい。出来る事と言ったら、せいぜい自分ではなく葉山の手によって丸出しにされたパンツを凝視するくらいだ。
     動くに動けない栗木を見かねてか。
    「仕方ありませんね。あなたにはまだ早いようですので、わたくしがやりましょう」
     葉山が変わって慣れた手つきで手を乗せて、お尻をまんべんなく撫で回す。
    「くっ……」
     明日美が悔しそうに歯を食いしばるのが、全身がビクッと固まる挙動だけでも良くわかった。
    「あなたのこのお尻、栗木君の目に焼き付けられていますよ? この派手な紫がね。さて、どんなお気持ちですか?」
    「どうもこうも、パンツぐらいなんともねーよ」
     声が震えている。
    「なんともありませんか。では一発」
    
     パァーン!
    
     手の平で、葉山は明日美の尻を打ち鳴らした。
    「て、てめぇ……!」
    
     パァーン!
    
     二発目。
    「どうですか?」
    「どうじゃねーんだよ変態が! これで満足か?」
    「満足じゃないんですよ。あなたに反省を促すための体罰なのですよ?」
     葉山は大胆なスイングで、まるで太鼓でも叩くような気持ちで明日美のお尻を連打した。肌の打ち鳴らされる打撃音が教室に響き、明日美は今にも屈辱に震えている。全身を硬くして、尻肉を打たれる度に肩をビクビク揺らしている。
    「さあ反省するのです。さあさあ!」
     楽しげなスパンキングで、明日美のお尻は揺らされていた。皿に出したゼリーでも揺らすように、プルンプルンと尻肉は弾み、波打っている。栗木はその光景から目が離せず、すっかり釘付けになっていた。
    「誰がこんなもんで……。あたしは負けねーぞ!」
    「反省はしないという意味ですか? 罰則が長引きますよ」
     今度は両手を使い、左右の尻たぶを交互にタップする。
    「ざけんな! こんなのねーだろ。どこの変態が作った法律だよ」
    「賛否両論ありますが、可決したものは仕方がありません。わたくしは法に基づいて仕事を行うまでですよ」
     左右の尻たぶが交互に打たれ、右左右と、リズム良く波打つ振動を見せる。
    「何もクラスの前で……」
    「明日美さん。あなただって、クラスメイトに聞こえる形で栗木君のありもしない事実を吹聴したでしょう。あなたには今、イジメによって受けるとされる羞恥と屈辱をご自身で体験して頂いているわけです」
    「あたしはなにもここまで……。ちょっとからかっただけじゃねーか」
    「わたくしとて、少し悪戯しているだけですよ? あなたと気持ちは変わりません」
     クラスメイトの視線の中で、明日美はお尻を叩かれ続けた。
     この日は欠席者はいなかった。
     男子に見られるのは当然のこと、いつもつるんでいる友達にもこの痴態は見られている。担任も教室の隅にひっそり佇み、この光景をニヤリとして楽しんでいた。
    「可哀想……」
    「まあ、しょうがないよね……」
     それが女子生徒の声だった。
     今まで明日美が痴漢をでっち上げれば、「ほんとかな?」「でも栗木君ならやりそうだよね」といった具合に、そもそも嘘か本当かも関係なく引いていたくせに、こんな事態になった途端に態度を切り替え、明日美を悪者として見始めた。
     なんという手の平返しか。
     女子というものは恐ろしい。
    「さすがにマジで可哀相じゃない?」
     という、良識的な反応も多くあったが。
    「いいねいいね」
    「ざまみろよ。ひゅー!」
     日頃から態度の不良じみた明日美に対して、軽い反応しか示さない生徒も多くいる。素直に目で楽しむ者、口では良識的な反応をしながらも、結局はチラチラお尻を気にする者と、それぞれだ。中には目を瞑ったり、逸らしたりしてあげている者もいはしたが、ほんの二人か三人程度に過ぎない。結局のところ、明日美の痴態を大なり小なり拝んでいる生徒が半数以上を占めていた。
    「ま、そろそろ時間です。今はこのくらいにしましょうか」
     葉山がスパンキングを終了すると、明日美は即座にスカートを直して教卓を飛び降りる。
    「もう終わりだよな?」
     明日美は反抗的な口調で噛みつく。
     強きな態度を見せてはいるが、顔は真っ赤で目は涙目だ。
    「放課後、空きの教室で更生指導を行います。あなたは随分前からイジメをやっていたでしょう? ですから、当分は罰則に付き合ってもらいます」
    「冗談じゃねーよ。なんとかなんねーのか!」
    「反省しだいですよ。詳しいことはまた放課後説明しますので、サボらずしっかり授業を受けてくださいね」
     葉山はにったりと嗤いを残して、一礼を交えながら教室を後にする。
     更生指導とは何だろう。
     もしかして他にも、明日美にとっては恥ずかしい罰が用意されているのだろうか。
    
    
    


     
     
     


  • イジメっ子にエッチな体罰!

    第1話「イジメ撲滅委員会」
    第2話「イジメの糾弾」
    第3話「公開スパンキング」
    第4話「放課後」
    第5話「おパンツ鑑賞」
    第6話「虐げられる明日美」
    第7話「チャンス」
    第8話「しゃぶられた乳房」
    第9話「使われた乳房」
    第10話「奴隷宣告」
    第11話「犬奴隷の散歩」
    最終話「明日美の末路」


  • 羞恥の全裸写真撮影

    
    
    
     いざとなると複雑だ。
     こうなることは学校説明会や受験者向けのパンフレットでも言われていた。受験前から事前に知っていたことなので、自分では覚悟を固めているつもりがあった。
     だけど、本番を前にして緊張がぐっと高まり、今になって後悔の気持ちが沸いてしまう。
     ああ、どうしてこんな学校を選んだのだろう。
     と、心のどこかで思わずにはいられない。
    
     裸の写真を撮られるからだ。
    
     私は小さい頃から絵が好きで、幼稚園の頃なんかはクレヨンで何枚もの画用紙を使い、幼児の落書きを繰り返してきた。小学生になると鉛筆や絵の具を使ったり、色々な画材を経験しながら少しずつ上達する。漫画のキャラクターを模写していき、あるいは物や風景をデッサンや絵画の形で絵に収め、着実に画力を高めていった。
     ――すごく上手! 将来は漫画家?
     そんなことをクラスメイトや先生達によく言われた。
     大人の場合は冗談めかして言う場合が多かったり、尋ねるような口調であったり、本気で人を漫画家に仕立て上げようとはしていない。しかし、友達からは割りに本気で漫画家になるべきだと思われていた。
     中学の美術部ではコンクールで賞を取り、表彰式にだって出席した。
     ――いや、画家でしょ。
     ――デザイナーじゃない?
     そういうことも言われてきたが、別に何でも構わない。
     私はまだ、絵を描くことによってどんな仕事をしたいのかは決まっていない。本当に漫画を描くのか、あるいは芸術家でも目指してみるか。どこぞでデザイナーを務めるのか。一口に絵を仕事にするといっても、その種類は様々だ。
     具体的な将来の夢は決まっていない。
     だけど、私は絵を仕事にする。これだけは決定事項だ。
     だからこそ高校も美術学校を選択し、デッサンなどで画力を審査するような受験を通して現在の学校に合格した。
     そこまではいい。
     問題は今だ。
     事前にそういう事を実施しているのはわかっていたし、その上でも、実績や進学率なんかを考えて、この学校に来る意義は大きいと思っていた。
     だけど、それでも緊張する。
     時間をかけて覚悟を決め、この日のために心の準備を続けていた。
     ちょっと脱ぐだけ、大丈夫、すぐに終わる。
     そういう言葉を何度も何度も心の中で唱え続け、精神的な今日への備えは万全にしたつもりでいた。
     下着だって、なるべく恥ずかしくないように柄物は避け、地味な純白を身に着けている。
     だというのに……。
    
     私は恥ずかしくて死にそうだ。
    
     この学校ではヌードデッサンや裸婦画などのモデルを生徒の中から選出する。少しでも美しい体を審査するため、入学した生徒は必ず全裸撮影を行うのだ。写真を見ながら教員同士で審議を行い、すぐれた肉体の持ち主をヌード担当者に決める仕組みになっている。
     これは男女平等らしい。
     撮影自体は男子だろうと女子であろうと行われるが、それぞれ個別に呼び出され、個室でカメラマンと一緒になるため、女の子は不安と緊張で押し潰される。
     目的はわかっているし、何もエッチをされるわけではない。
     外部からモデルを呼ぶための予算を削減し、少しでも絵の授業へ費やす意味があるのは理解しているが、どんなに頭でわかっていようと羞恥心や緊張感は決して消えない。むしろ理由が用意されていることで束縛され、拒否することも逃げ出すことも許されない、逆らえない命令を受けるような強制感が私の肩に圧し掛かる。
     カメラマンとそのアシスタントは二人とも男なのだ。
     しかも、個室の出入り口を見張るかのようにして、二人の男性教師が戸の両脇に立って険しい表情で私を見ている。女の子が途中で逃げ出さないための見張りだそうだが、やや皺のある顔つきが厳格な空気を漂わせ、厳しくて怖い先生という印象を与えてくる。
     男の人数は合計四人。
     こんな環境の中へ私は撮影のために呼び出され、さっそく指示を受けたのだ。
    
    「それでは全ての衣服を脱いで全裸になり、直立不動で背筋をピンと伸ばしなさい」
    
     ――と、
     生真面目かつ厳しい口調で教師に言われ、さっと体がこわばった。事前に脱いだ状態でカメラの前にでるのではなく、つまり少しずつ素肌を曝け出していく瞬間を四人の男に見られなくてはいけないのだ。
     体が震える。
     心臓が激しく鼓動し、鼓膜の内側がうるいほどに胸が鳴る。
     ――脱ぐあいだだけ向こうを向いてもらえませんか?
     と、言ってみたい。
     けれど、カメラマンもアシスタントも真剣な面持ちで私が脱ぐのを待っていて、二人の教師も厳しい顔でこちらを見ている。余計な口を開けば怒られるか、注意されるかしそうな気がして、とてもでないがそんな要求はできなかった。
     なので、私は脱ぎ始める。
     首に巻かれたリボンを引き抜き、ブレザーを畳んで脱衣カゴへ置くまではいい。ワイシャツ姿になる程度で抵抗も何もありはしないが、しかし、ここから先は肌が露出されていく。この場で改めて決心を固め直す必要があった。
     ――あ、そうだ。靴下。
     靴下を脱ごう。
     そう思いついた私はニーソックスを足から引っ張り、片方ずつ脱ぎ、裸足で床をぺったり踏んだ。ひんやりとした冷たさが床に伝わり、背筋がゾクっとしてしまう。
     あとは肌を出すだけだ。
     ――大丈夫。下着だって選んできた。
     純白の無地を身につけているのだ。特別な柄はなく、ショーツの手前にリボンが付いていることもない。正真正銘の単なる白だ。真新しいのでおりものの跡もついていない。見せたところで問題のない普通の下着だ。
     なので、思い切ってワイシャツのボタンを外し始める。
     一つ、二つ。
     険しい視線を感じながら、首元から胸元にかけてを外気に晒す。
     三つ、四つ。
     ブラジャーが見えてくる。
     目の前のカメラマンとアシスタントは既に私の下着を凝視しているのだろうか。いやらしい顔つきはしていない。ただ純粋に仕事をこなそうと被写体の準備を待つだけで、卑猥で不快な目つきをしているわけではないが、それでも胸元を観察されている気がしてならない。
     本当に胸を見ているのか、それとも私が意識しているだけなのか。
     わからない。
     とにかく、ワイシャツに閉じ込めていた肌を少しずつ解放し、自分自身の手で露出面積を増やしていくのは、なんともいえない心もとなさというものがある。まるで自ら階段を下りていき、低い立場へ身を投じているような嫌な心地だ。
     ボタンを一つ外すだけでも、この嫌な心地に対する抵抗感をその都度押しのけなくてはいけない。
     それも、男に裸を撮られるために精神的に頑張るのだ。
     わざわざ身を落とす努力をしているかと思うと泣けてくる。
     外したボタンの数は今、いくつか。
     もう数えるのはやめてしまったが、私の手はブラジャーの位置を通過して、今はみぞおちから腹部へかけてのボタンを外し始めている。未だワイシャツの布が乳房の山に垂れかかっているとはいえ、山の狭間はとっくに見えてしまっていた。
     ヘソが出て、お腹周りは丸出しだ。
     ここまで見られてしまっていれば関係ない。お腹は恥ずかしい部位ではない。残りのボタンを取り去り、最後の一つを外すことに途中から抵抗はなくなっていたが、本当に問題なのはボタンを外し終わったあとなのだ。
     ここでワイシャツを脱いでしまえば、上半身はブラジャーだけになる。
     確実に全裸へ一歩近づくこの瞬間にこそ、自分の立場を低めるような例の嫌な心地、それに対する抵抗感が強く生じて、それが服を脱ぐための私の手を鈍らせる。
     それでも脱ぐのだ。
     私はまず、両肩をそれぞれ剥き出す。
     露出面積は一気に広がり、後ろに立つ教師からはブラジャー付きの背中が見えていることになる。視姦されているのかいないのか。振り向かずにわかることではないのだが、背中を出して男が背後に立っているという状況だけでも、熱い視線愛撫を感じ取るには十分だった。
     ワイシャツの裾から腕を抜き出すと、いよいよ上は本当にブラジャーのみ。
     緊張が一段階強まった。
     このまま脱いだワイシャツを畳み、脱衣カゴへ置いてしまえば、次に脱ぐのはスカートということになる。まるでステップを移行する手続きのように思えて、今度は畳んだ服を片付けるというちょっとした動作に対して抵抗が生まれた。
     抵抗感との戦いだ。
     私は抵抗を押し退く気持ちでワイシャツをカゴへ片付け、スカートを脱ぐというステップへ移り進む。
     ――大丈夫、大丈夫。
     深呼吸をして、息を整え、まずは腰横にあるホックを外す。
     外すと同時にゴムが緩み、脱げやすくなってしまって、私はドキッとして慌てかけた。ただ家で着替えるだけなら意識すらしないことでも、視線に囲まれていると些細なことさえ気にかかる。
     ドクン、ドクン。
     私の胸で心臓が鳴っている。鼓膜の内側からそれが聞こえる。
     ドクン、ドクン。
     自分の緊張を耳で聞きながら、すーっと息を吐いてからジッパーを下げる。
     これで太ももとパンツの一部がちらりと覗ける状態だ。
     そして、手を離す。
     バサッ、
     と、スカートは床へ落ち、私の足元でいびつな円形を成す。
     いよいよ下着姿になった私は、安全圏から放り出された気持ちに襲われた。今までは制服が盾となって私の体を隠してくれたが、残る防壁はたったの二枚。これを失えば全てが曝け出されてしまうのだ。
     スカートを折り畳み、脱衣カゴへ。
     いよいよ、下着を脱ぐステップへ映った事になる。大切な部分を守る防壁を自らの手で手放さなくてはいけないのだ。
     私は両手を背中へやり、ホックを外してブラジャーを緩める。いきなりポロリと落ちないように片腕で前をガードしながら、肩紐を一本ずつ順番に横へ下ろした。
     私の顔はきっと赤い。
     恥じらいながら肩紐を下げる瞬間は、カメラマンとアシスタントの目には一体どのように映っただろう。ガードを固めたまま脱ぐなんて、それはそれで官能的演出を凝らしてしまったのではないかと気づき、どちらにせよ気恥ずかしい思いがした。
     顔が染まる。体内を巡る血流が上へ集まり、頬がじわじわ変色する。
     私はいきなり胸を見せないために、腕で乳房を隠したまま、隙間から引き抜くような形でブラジャーを引き抜いた。
     私は片腕によるガードを崩さないまま、もう片方の手でショーツを脱ぐ。指先をゴムに絡めてゆっくり引き下げ、お尻に強い視線を感じた。
     背後の教師二人の位置なら、私のお尻がよく見えるはずなのだ。脱ぐためには腰をやや折り曲げる必要があるため、後ろへ突き出す形になって、ますます鑑賞しやすいはず。まだ尾てい骨のやや下までしか下げていないが、こうしてお尻が少しずつ顔を出していく様を眺めるというのは、男からすればどれくらい楽しいものなのだろうか。
     恐る恐る肩越しに振り向くと、やはり険しい視線を私に向けている。
     確実に見られている。
     いやらしい気持ちがあるのかないのか。どちらにせよ教師の目は私に向き、ショーツが脱げていく瞬間を確かに視界に捉えている。
     一度そう意識してしまうと余計に顔が赤くなり、熱さのあまりに風邪でも引いた気分にすらなってきた。
     耐え切れず、ついつい履き直そうとしてしまう。そんな自分を私は抑えた。
     ――駄目、やらないと終わらない。ここから出れない。
     ぐっと息を飲み込みながら――えい! 心で掛け声を入れて一気に脱ぎ下ろす。大切な秘所が空気に触れ、あまりの恥ずかしさにクラクラと頭が揺れる。耳まで熱い。どうにかなってしまいそうだった。
     両手を使えば胸を隠していられないので、ショーツは畳まずに脱衣カゴへ置き、すぐにアソコを手で隠す。
     防壁を失った私には手だけが頼りなのだ。
    「脱ぎ終わりましたね? では撮影を開始しますので、気をつけの姿勢で背筋はピンと伸ばして下さい」
    「……はい」
     私は真っ直ぐ両手を下さげ、直立不動のまま全身に視線を受け入れる。素肌に感じる涼しさが自分の状況を実感させ、寒くもないのに体が震える。せめてショーツだけでも履かせてくれても体つきの審査には何ら支障はないだろうに、下の部分さえ隠させてもらえないなど、どこまでもどん底に立場へ貶められた気持ちがする。
     本当にどうにかなりそうだ。
     四人の男はみんな服を着ている中で、私だけが何も身につけることを許されない。
     中学生の頃に読んだ小説の中では、奴隷はちょうどこんな姿で衆人環視の中でオークションへかけられ、商品として売り出されていた。今の私はまさに奴隷商人に売られる哀れな奴隷と変わらない状況下だ。
     そう思うと泣けてくる。
    「これから撮影を行いますので、指示がない限り動かないようにして下さい」
     カメラのレンズを向けられて――パシャリ。
     フラッシュが一瞬輝く。
     やや離れた距離からシャッターを押されたので、今のは間違いなく全身が映っている。足から胸まで、そして顔まで、直立不動の私の姿が記録されてしまったのだ。
     恥ずかしい! 恥ずかしい!
     顔つきが歪んでくる。きっと私の表情には羞恥の色がありありと浮かんでいる。
     パシャ! パシャ! パシャ!
     連続でシャッターを下ろされ、フラッシュが輝く。
     これで四枚は全身を撮られた。
     カメラマンは私へ歩み寄り、今度は乳房へレンズを近づけシャッターを切る。何度も何度もパシャパシャと、角度を変えて横乳や下乳まで撮影し、私の胸は余すことなく記録に撮られていく。
     アソコも撮られた。
     性能の良いカメラなら肌質まで鮮明に写せるはず。下の部分を接写されては、間違いなく毛の具合まで正確に写真にされてしまう。
     パシャ! パシャ! パシャ!
     大事な場所へ無遠慮にフラッシュを焚かれ、耳まで熱く染まり上がった。首から上の体温が上昇し、じわじわと温まる。自分の顔がどれほど赤いのかなど、鏡を見たくとも想像できるほどの火照りようだ。
     せめて顔は見ないで欲しい。
     私の恥じらいきった表情にだけは目を瞑り、人の惨めさを楽しまないようにして欲しい。
     お願いします……。
     パシャ! パシャ! パシャ!
     それでも顔にカメラを向けられ撮影された。
     酷い、ここで泣き崩れてもいいのだろうか。
     パシャ! パシャ! パシャ!
     シャッター音を聞くのがここまで辛い瞬間なんて二度とない。
    「後ろを向いてもらえますか?」
     カメラマンに背中を向けると、二人の男性教師が私の体をじっと見ていた。教師側の位置では今まで背面しか見えなかったが、これで私は乳房も秘所も両方拝まれた。
     四人もの異性に恥ずかしい部分を全て見られた。
     パシャ! パシャ! パシャ!
     初めは全身を撮られたのだと思うが、続けて背中、そしてお尻のすぐそこまでカメラの気配は接近し、シャッターが鳴らされる。
     早く終わって欲しい。
     羞恥に歪んだ私の願いはそれだけだ。
    「腰を折り曲げ、前屈のような姿勢で両手を床へ伸ばして下さい」
     カメラマンの指示。
     そんなことをしたら、お尻の穴まで……。
     だけど、承知の上で入学してしまった私は逆らえない。事前に全裸撮影の実施は明らかにされていたというのに、わかった上で来ておきながら文句を言えば、私の方が怒られる。
     そうだ。これさえ終われば解放される。
     これだけ撮ったのだから、次で最後に違いない。
     私はそれだけを希望にして屈辱をぐっと堪え、強く目を瞑りながら腰を折り曲げ前屈姿勢を取ってみせる。これでお尻の割れ目は広がって、自然と肛門が見えているはずだ。
     パシャ! パシャ! パシャ!
     肛門を取られている。
     パシャ! パシャ! パシャ!
     お尻に感じるレンズの気配は割れ目へ迫り、確かに恥ずかしい穴を撮影していた。
     こんな場所に向かってシャッターを連射するなんて、一体何を考えているのだろう。
     こんな場所の絵なんて描かないはず。
     こんな場所の写真なんて、本当に必要だろうか……。
    
    「終了です」
    
     ようやく解放された私は、安心のあまりに脱力し、裸なのも忘れてその場でべったりと座り込んでしまうのだった。
     やっと終わった。
     よかった……。
     よかったけれど、全然よくない。
     顔入りの裸の写真を握られて不安を覚えるなというのが無理な話だ。さすがにバラ撒かれるような心配はないにしても、果たしてカメラマンや教師陣が女子生徒の写真を個人的に利用しないなどありえるのか。きっと、使うのではないだろうか。
     解放感と同時に来る新たな不安に締め付けられ、なかなかすっきりしない終わりであった。
    
    
    


     
     
     


  • 部活でのしごき

    
    
    
     自分だけが特別なのだと思っていた。
     しかし、実際に習い事のコーチや部活の顧問が行き過ぎた指導を行い、例えば部員を殴るだとかいうニュースが報道された。女子生徒に対する猥褻行為だなんて事件もあり、自分以外にも、きっと同じ目に遭っている子はいるのだろうなと、黄山稜子は薄っすらと感じた。
    「服を脱ぎなさい」
     稜子に告げるバスケ部のコーチ。
    「……はい」
     稜子はユニフォームを脱ぎ始めた。
     逆らえないのだ。
     スポーツ推薦で入学してきた稜子としては、決してレギュラーを落とされるわけにはいかないし、この高校は全国大会などの実績を持つ強豪校には違いない。過度な指導だと内心では思うものの、コーチの指導者としての腕自体は本物だ。この行き過ぎた指導も、わざとそうしているのかもしれない。
     しかし、とはいえ――。
    
     全裸になるのは初めてだった。
    
     もう恥ずかしくて仕方が無い。
     コーチはなんて厳しいのだろう。
    
     初めて入部した頃もそうだ。
     練習で実力を見せ、稜子の素質を認めたコーチは、個別の呼び出しで二人きりになり、いきなり命令してきたのだ。
    「スカートをたくし上げなさい」
    「……?」
     当然、驚いた。
    「たくし上げなさい」
    「え、どうしてですか? だって、そんな問題のあることを……」
    「いいから!」
     口答えをすると、コートは怒鳴る。
     鬼のような形相なので、さすがに驚いた。
    「いいかい? 黄山稜子さん。あなたは素晴らしい選手であり、この先の大会で活躍するべき我が校の優秀な部員だといえる」
    「は、はい」
    「だからこそ、僕は厳しくする。優秀で、可能性のある選手であるほど、僕なりの指導方法で導いていくつもりだ」
    「それで、どうしてそんな……」
     恐る恐る尋ねると、鬼の形相だったコーチは途端に、まるで仮面の付け替えでもしたかのようにすんなりと表情を変え、優しく穏やかなお兄さんといった微笑みを浮かべる。三十代とはいえ歳より若く見えるので、顔だけを見る分には、オジサンよりはお兄さんだ。
    「見せるのは恥ずかしいだろう?」
    「当たり前です」
    「だからなんだよ。だから、コーチと選手で上下関係はきっちりつける。本来ならそこまでの必要はないけど、君は特別な子だ。才能がある。だから、レギュラーでなければありえない指導を君に行う」
    「私が、特別……?」
    「そう。特別」
    「本当ですか?」
    「本当だよ」
    「……じゃあ、信じます。スカートを持ち上げるんですよね」
     稜子は恐る恐るたくし上げ、恥を堪えた気持ちで、水色のショーツを見せる。コーチは目の前に屈み込み、下腹部にじっくり顔を近づけ、ショーツの柄を観察してきた。
    「君は今日から、言われたらすぐに下着を見せなくてはならない」
    「……はい」
    「返事は? 声が小さい!」
    「はい!」
    「よし、今日はここまででいいだろう。これから練習はきっちりやりなさい」
    「はい!」
     そうして初めて下着を見せた日から、週に数回以上はたくし上げの命令を受け、稜子は何度もショーツを見せた。
     レギュラー全員が横一列に整列して、一斉に見せたこともある。
    「全員! たくし上げ!」
     というコーチの声で、みんなでスカートの中身を見せた。
     ユニフォームを両方脱ぎ、下着姿で練習をすることもあれば、ミスをしたメンバーのお尻を叩くこともあり、稜子は何度も叩かれている。
     全員が、一度は必ずやられている。
     レギュラーみんなが見ている前で、膝の上に乗せられて、お尻をパンパン叩かれる。
     アメとムチだ。
     こんなことをしてくる分、試合で勝てば焼肉を奢ってくれたり、勉強でわからないところの相談に乗ったり、悩みを聞いたり、優しくする。
     そして……。
     そんなコーチを信頼というか、怖いからというか、何というか。何がなんだかわからないうちに従うことが当たり前になっていて、裸になれという命令にも、稜子はほとんど素直に従っていた。
    
    「…………脱ぎました」
    
     想像以上に恥ずかしかった。
     これまで何度も、下着姿は見られているが、こうして全ての肌を出すのは初めてだ。乳首を見られるのも、アソコを見られるのも、思った以上の羞恥にかられ、肩が小さく縮んでしまう。
    「いい胸だな」
    「……えっ」
    「きちんと上を向いている。大胸筋が鍛えられている証拠だ」
    「あ、ありがとうございます」
     恥部に関するコメントには、ますます顔が赤く染まった。
    「アソコの毛は剃ってるんだな」
    「ええと、その……。一応」
    「尻を見せろ」
    「――はい!」
     後ろを向く。尻に視線が集中する。
    「いい形だな。ふっくらしている」
    「あ、ええと……」
    「犬のように四つん這いになり、尻を高く掲げてみせろ!」
    「はい!」
     稜子は床に両手をつき、胸をほとんど下にくっつけ、下半身だけが高々と持ち上げられた恥穴の丸見えな姿勢となる。すぐにコーチは後ろに屈み、尻に顔が接近してくる気配がわかり、アソコも肛門も、まじまじと見られているのがよくわかった。
    「宣言しろ。私は必ず優勝しますと」
    「――私は必ず優勝します!」
    「どんな強豪チームが相手だろうと諦めない」
    「――どんな強豪チームが相手でも諦めません!」
    「ならば仰向けになって、オナニーしてみせろ!」
    「あぅ……。ううっ、はい!」
     稜子は本当に悲しげになりながら、それでも大きな声で返事をした。仰向けで足を開き、秘所を弄り回す姿をじっくりと鑑賞してもらった。
    
    
    
    


     
     
     


  • 最終話「手淫」

    前の話 目次

    
    
    
     精過剰症は心因性の病気である。
     身体機能の不具合やウィルスによるものではなく、性欲という精神的なところから精液の分泌量を増やしてしまうものだ。平均的な男性を上回る精子と液体の量を出すが、そのために全身の筋肉へまわるべきたんぱく質が普通より多く精巣に配分され、身体の栄養バランスを崩してしまう恐れがある。
     そのため、慶介は栄養に関する指導を受けた。
     どんな食事がたんぱく質をより吸収しやすいのか。食材についての抗議を受け、測らずも栄養学の知識を多少身につけることとなった。
     精過剰症の難しいところは、主な原因が性欲であることだ。
     それは人間の三大欲求に数えられるもので、まず持っていて当たり前である。生物は遺伝子レベルで子孫を残そうとする本能を持っているのだから、性に対して無欲というのもそれはそれで普通の状態とはいえない。
     性欲そのものを消すことはできない。
     できるとしても、せいぜい減退がいいところだ。
     だが、神奈先輩から受けた指示はこうだった。
    「原因はどうあれ、まず栄養が精液の製造に回されすぎる危険性がある。それによる身体の不調を防ぐためには、筋肉にたんぱく質がいきやすくなるよう調整すること。たんぱく質を接種し、筋トレをして筋肉に疲労を与えておくように」
     そうすることで、筋肉への配分率が増えるそうだ。
     筋力増強には超回復という仕組みがある。トレーニングで痛んだ筋肉が回復するとき、その回復の勢い余って筋肉を増量する。
     つまり、筋肉を疲れさせれば回復の必要が出る。すると、筋肉への配分が増えて症状が軽減される。
     といった寸法だ。
    「それと、睾丸の膨張が進めば破裂する。定期的に中身を出せば心配はないけど、精子量を見て経過を観察する必要があるね」
     神奈先輩にはこれからもヌいてもらえる。
     精過剰症などヌき忘れさえしなければいいのだし、症状があるとわきまえた上で生活していれば何の問題も起きはしない。
     そして、治療の建前の元に触ってもらえる。幸先はいい。
     その日も経過観察として精液採取は行われ、ペニスが神奈の手に握られる。
    「私が触っているんだから、さっさと出す」
     そんな風にせかされたが、簡単に達してしまうのは勿体無い。
    「もっとこう、気持ち良ければすぐに出ますよ?」
    「何か要求する気? 絶対に手しか使わないから」
     あくまで治療行為でしかない。症状のためだ。神奈はこれを性行為にはカウントしないつもりでいるようであった。
    
    
    


     
     
     


  • 第2話「精過剰症」

    前の話 目次 次の話

    
    
    
     精液を顕微鏡で覗き、あまりの精子の数に天道神奈は引き気味になった。頬が引き攣って、目は他所へ背けられる。
     それは慶介の診察を済ませ、彼を帰らせた後の事。
     神奈は医学資料の顕微鏡写真や映像から、平均的な精子の大群を見たことがある。平均的な量でも充分におびただしい数のオタマジャクシが蠢くが、慶介から採取した精子はその非ではない。満員電車のギュウギュウ詰めなど生易しい。入りきらない車両へさらに強引に人を押し込んだような、微生物でも圧死するのではと思えるまでの密度が顕微鏡のレンズから確認できたのだ。
     ビーカーに出してもらった精液の量からしても半端じゃない。神奈の顔をドロドロにし、その上でビーカーの底に白濁が敷き詰められたのだ。元々多めなのかとも思ったが、精子の異常な量を考えるとそれは違う。
     一つの症例が神奈の頭をよぎる。
    「精過剰症……」
     精液が過剰に作り出され、定期的にヌかなければ睾丸が破裂するという病気だ。雑菌の有無を確認するつもりで精液を覗いたが、その結果、桑原慶介は精過剰症であることがわかった。
     原因は性欲。
     しかし、ヌかなければ精液が増えすぎて睾丸が破裂する。
     治療がしにくい病気だ。
    「どうしたものか」
     神奈は診察ベッドに仰向けになった。
     肩膝が立っているせいで白いパンツが覗け見えるが、部室には自分しかいないので気にしない。スカートの真下からのアングルには、パンツのゴムからはみ出る白い尻肉があった。
     神奈は自分の両手を見た。
     名医を父に持ち、一度は共に海外にいたこともある。その時に父から学んだ知識や体験させてもらった医療経験から、学生でありながらも既に幾度とない診察をこなしている。だから学校でも医学部を作り、具合の悪い生徒の様子を診ることができた。
     だからといって、ペニスを診察したのは初めてだった。
     手の平には硬直した肉棒の感触が残っており、鼻は精液のツンとした臭いを覚えている。顔にかかったドロドロの触感もだ。思い出すだけでも診察の感じが手や鼻に蘇るようで、下腹部が疼いてくる。
     神奈としては診察「してやった」つもりだ。見たり触ったりするのが恥ずかしいからといって、症状をわかっていながら放置するのは医師を目指す者としてどうなのか。自分は太陽のように輝く存在でなければならないと思ったからこそ、神奈は診察を行うことに決めた。
     慶介からすれば、見事に美貌の先輩にペニスを触らせる事に成功したのだろう。医師を目指すのにペニスの一つも触れないのか。それで医師になれるのか。そんな風に神奈を追い詰め、嫌々ながらの診察を「させた」気分でいるに違いない。
    「そう。私は診察をさせられて……」
     神奈の右手はスカートを捲り、丸見えになったパンツのアソコを弄り出した。中指と薬指、二本の指で円を描くようにして恥丘をなぞり、左手はワイシャツ越しの乳房を揉む。
     診察は「してやった」に過ぎない。
     しかし、「させられた」という思い方をすればするほど、大事な部分がウズウズとしな熱を上げてくる。パンツのアソコに濡れ染みができて、指を引けば愛液の糸が引いた。
    (私は……させられて気持ちよくなるのか?)
     自分は今、後輩に言う事を聞かされたシチュエーションをネタにしている。
     そう自覚する神奈は、一人で悔しげに歯を食いしばり、天井から顔を逸らすかのようにアゴを横へ振った。
     まるで慶介に性欲を引き出されたようで、屈辱的な気分になる。
     それでもオナニーの手は動き、右手はパンツの内側へ潜り込む。割れ目を指の腹でなぞるように、右手を上下させた。乳房を揉む左手は、やがてワイシャツのボタンを外してブラの裏側へ忍び込む。
    「はぁー……はぁー……」
     興奮で吐息が乱れ、息遣いは淫らになっていく。
     パンツには濡れ染みが浮かび、試しに指を離すと愛液が糸を引いた。
     二本の指でクリトリスのあたりを摘み、小刻みに上下させた。強い刺激に息遣いの色気が増し、より快楽をと手の動きは激しくなる。
    「今度は……睾丸膨張症の診察をさせられて……」
     卑猥な診察を余儀なくされる。
     慶介にペニスの触診を強要されるような妄想に落ちていき、神奈のオナニーは下校時刻のギリギリまで続いた。
    
         *
    
     翌朝の慶介は、通学路で一緒になった楠木かえでと歩いていた。
    「じゃあ、慶介君は入部できたんだ」
    「なんとかね」
     ペニスの診察については隠しているが、医学部に入れたことはかえでに報告した。追い返されたのは入部テストのようなもので、自分にかかった軽い病気に気づけるかどうかを試されていた。という説明の仕方をし、病気もペニスの腫れから別の適当なものに置き換えた。
    「でも、やっぱり変な先輩だよ。その、天道神奈って先輩が部長なんだっけ?」
    「そ。診察してもらったし、手製の漢方薬をもらったからすぐに治るよ」
     あのあと少し話しをしたが、天道神奈といえど学生なので正式な医師免許はない。となると薬局に薬の処方を指示することもできないので、ならばと病気によっては手製の薬を与えているらしい。
     風邪なら大根やハチミツが効くと昔からいわれているので、それを薬として調合する。漢方の知識もあるらしく、薬草を摺り合わせてオリジナルの薬を作れる。そうして軽い病気なら病院を介さずして治してしまう。
     しかし、どんな病気も手製の薬で解決できるわけじゃない。
     中には設備が必要だったり、材料が手に入らずに薬を調合できない場合もある。ましてや部室で手術などできようはずがないので、父づての知り合いに連絡をして病院を紹介するのだとか。
     部活動でありながら、小さな開業医程度の領域に達している。違うといえば医師免許がないことか。
     無免許なのに法律上の問題が気になるが、聴診程度なら慶介もかえでにやっている。触診にかこつけて乳揉みもさせてもらっているので、今頃気にしても仕方ないだろう。
     いや、気にはなるが実習という建前だ。
     城北学園自体も大学付属の高等部で、大学へ進めば学科としての医学部がある。問題なく実習という建前で通るのだろう。
    「追い返したって聞いたときも思ったけど、やっぱり天道神奈って色々な意味ですごい人だよね」
    「まあ、初対面の時点ですごい性格してるなと思ったけど。友達の先輩がその人と同じクラスらしくてね。だから色々ウワサを聞いたの」
    「ウワサまであるのか。どんなこと言われてるの?」
    「あのね。体育の時にすっごい運動神経を発揮して、一年の頃は運動系の部活からの勧誘がすごかったらしいの」
     かえでは天道神奈にまつわる逸話の数々を語りだした。
    
    『私という太陽が輝くのは、真っ直ぐに天を目指す心がある者だけ。そして、目指していけるだけの力を持った者だけよ』
    『果たしてこの学校に、私が入るに相応しいだけの部活があるかどうか。ちょっとテストしてやろうか』
    
     どうやら彼女は、それだけ大きく出ていたらしい。
     本人に出会う前に同じ話を聞いたら、きっと慶介は「どこの世界にそんな人間がいるんだ」と言って信じなかっただろう。とっくに出会った後なので、それが事実だったとしても何の不思議も感じない。
     感じないが、それにしても、入部をする側が部活のレベルを審査するとはすごい話だ。そして、そのすごい話を難なく信じてしまえることにも、呆れにも似た微妙な感情を覚えざるを得ない。
    「でね。テニスやサッカー、柔道や剣道。あらゆる部活で当時の二三年生を殲滅してしまったとか」
    「それは本当なのか?」
     神奈先輩の性格はともかく、医療の腕と知識もともかく、スポーツでまで万能なのかは気になるところだ。
    「それを話してくれた友達はね、実際にやられたって先輩から聞いたらしいよ」
    「なら、信じるしかないか」
    
        *
    
     そして、二人は学校に到着する。
     授業終了を迎えて放課後となるなり、慶介は医学部へ向かっていった。
    「綺麗な先輩と二人きり、なんだよね……」
     教室に残ったかえでは、慶介に対してちょっとした不安を抱いていた。
     部員は部長を務める神奈先輩と慶介だけで、今のところ他のメンバーは一人もいない。男女二人が同じ部室で同じ活動をこなす。
     これで心配するべきことは一つしかない。
     せっかく昔から付き合いが続いている男の子なのに、自分の元を離れて別の女の子とくっついてしまわないだろうか。
     慶介は医師を目指して勉学に励み、難関だったこの城北学園に入学している。中等部当時の頑張る姿に惹かれて、いつのまにか、かえではただの友達だと思っていたはずの慶介を好きになっていた。
     やりたいことのために頑張れる人は、すごい。
     ルックスはそれほどでもないが、それでも格好いいと思う。
     だからかえでは慶介を追って、同じ学園に入学できるように勉強に励んだが……。
     天道神奈は相当の美人だと聞く上、未来の女医である。噂で聞く限りでもルックスがら運動神経、頭脳まで含めたスペックの高さには相当なものがある。当然、体つきも良いといわれている。
     子供のような体つきをした自分が敵うわけがない。
     もし慶介が彼女に気を持ったら、どうせ勝ち目はない。
     ないのだろうが……。
    「ちょっと、様子を覗きに行こっかな」
     それでもかえでは慶介のあとを追い、医学部の部室へ向かった。
    
        *
    
     慶介はズボンを脱ぎ、再びペニスの様子を診てもらっていた。慶介がベッドの横から足を下ろし、そのあいだに神奈先輩が座り込むような形になっている。
     神奈先輩は玉袋をじっくり観察し、棒を持ち上げて裏側を覗いたりして視診している。どこか興味津々といった風で、しかし、ふと目があうと機嫌を悪くしたように表情を隠す。
     神奈先輩の中には、決して男には悟られたくない心境が眠っているらしい。
    「一日で腫れも赤みも引いている」
     そう言いながら、神奈先輩は慶介を見上げる。
    「そうですか? 良かったです」
    「…………」
     神奈先輩は慶介を見つめ続ける。
     言いたいことでもあるのだろうか。
    「触診してもらえますか?」
    「そうね。皮の裏側の様子は視診じゃわからない。悪化されても困る。念のために診ておこうか」
     最もな理由を並べつつ、神奈先輩は触診を開始した。
     綺麗な手が慶介のペニスを握り、ゴシゴシとしごきだす。それでなくとも勃起していたペニスはさらに膨らみ、最大限の硬度に到達する。もう片方の手が付け根から亀頭をなぞり、甲羅全体をマッサージした。
    「慶介君。痛む箇所は?」
    「ないです。気持ちいいです」
    「……そう」
     もう充分な結果は出ているだろうに、彼女はなおも触診を続行する。
     そういえば歪んだ根性を矯正してやる、といったことを言っていたが、あれは一体どうなったのだろう。
    (ま、合法的にシてもらえるならその方が幸せだけどさ)
    「慶介君。睾丸は痛まない?」
    「平気ですよ」
    「そう? なら――いいけど」
     神奈先輩は口をもごつかせ、他に何か言いかけていたように見えた。しかし、何を言うでもなく黙々とペニスをしごき続け、慶介の根元からは射精感がせりあがってきた。
    「慶介君。液の雑菌も確認するから、今度は全部ビーカーに」
    「はい」
     出るまでシてもらえるらしいことに、胸の奥から喜びが込み上げる。
    「かけたりしたら、承知しない」
    「わかりました」
     顔射でドロドロになった神奈先輩の表情は最高だったが、これはあくまで診察だ。触診という建前を取り払い、れっきとしたエッチができればいいのだが……。
     どうにかならないかと考えてみるが、そういう関係になれるイメージがつかない。
     誰かと付き合うというのは、つまりどうすればいいものなのか。
     友達から始まり、それなりに好意を示し、そのうち映画にでも誘って、OKがでればゆくゆくは告白、といったところだろうか。
     普通の女の子が相手なら、それでいいのだろう。上手く交流を図ることさえできれば、何とかなるのかもしれない。
     しかし、神奈先輩のような特殊な性格を相手にする時も、同じようでいいのだろうか。慶介には誰かを口説いた経験などないが、それでも普通の女の子と神奈先輩を口説くのではわけが違うように思えて仕方がなかった。
     なんてことを考えてしまっているうち、高まった射精感は亀頭の付け根付近までせりあがる。
    「先輩、もう出ます」
     言うなり、用意されていたビーカーが添えられた。
     慶介はそこへ射精しようと試みるが――
     その時。
     コンコン。
     と、あまりにタイミングよく部室の戸がノックされた。
    「今出るから、待っていて!」
     神奈先輩は即座に声をあげ、慶介のペニスから手を離す。目でズボンを履くように促し、そしてビーカーを棚に片付けてしまう。
     なんということか。
     出る、直前で診察が中断されてしまった。
     慶介はやむを得ずズボンを履くが、イくことのできなかったペニスの疼きばかりはどうしても収まらなかった。
    
         *
    
     医学部を訪れ、天道神奈に迎え入れられる形で部室へ踏み入る。やはり美人な先輩と慶介が二人きりで過ごしていて、かえでの中で不安は膨らむ一方だった。
    「どこか具合でも?」
    「具合ってほどじゃないんです。慶介君は上手くやってるかなって気になって覗きに来ただけで、すぐに帰ります」
     慶介に笑みを飛ばしてみる。
     彼は笑い返してくれた。
    「歳は一つしか変わらないのに、この人はやっぱりかなりすごい。色々と学べる気がする」
    「そっか。よかったね。慶介君」
     彼が嬉しそうにしているのは、綺麗な人と一緒だからだろうか。それとも、本当に学べることの多さだけに喜んでいるのだろうか。慶介がどれだけ真面目だったとしても、美人への喜びはきっとゼロじゃない。
     しかし、だからどうすればいいのだろう。
     いざ噂の天道神奈を見てみると、本当に学校中で囁かれている通りのルックスだ。髪も肌も体型も整っていて、とてもでないが勝ち目はない。
    「アンタ、名前は?」
    「あ、すみません。私は楠木かえでといって、慶介君のクラスメイトです」
     神奈は宝石のような瞳のまぶたを細め、かえでを静かに観察した。舐めるように体を見てまわられている心地がして、かえでは思わず身を強張らせる。
    「かえでちゃんか。最近、体におかしいところはない?」
    「え? 別にありませんけど」
    「どこがとは聞かない。調子がおかしいと感じるところは本当にない?」
    「い、いえ……」
     この症状の有無を確認するような質問は何だろうか。
     別に診察を受けに来たわけではないのだが……。
    「それならいい。何か変だと感じることがあったら、すぐに私のところへ来るように」
    「は、はい」
     自分は何かの病気だとでもいうのだろうか。
     慶介に目配せするが、彼は首を傾げる。慶介にも彼女の質問の意図はよくわからないようだった。
    「それじゃあ、私はそろそろ帰るね。また覗きに来るから――では、失礼しました」
     かえでは神奈に一礼して、部室を去った。
     とりあえず、二人の関係に怪しいところがないかをたまに伺っておくようにしよう。神奈の美貌に勝てる気はほとんどしないが、こちらには幼馴染で彼女より慶介と付き合いが長いというアドバンテージがある。
     きっと、可能性はゼロじゃないはずだ。
     今のかえでには、そう信じる意外は思いつかなかった。
    
         *
    
    「なんなんですか? さっきの質問は」
     慶介は未だ勃ちっぱなしのペニスを気にしつつ、かえでに行っていた問いの意味を尋ねた。探偵並みに鋭い勘を持つ神奈先輩だ。かえで本人に自覚症状がなくとも、彼女は何かを見抜いてあんなことを聞いたのかもしれない。
    「別に? 本人が何ともないというなら、何ともない」
    「そうなんですか?」
     表面ではかえでを気にする。
     いや、実際気になる。
     だが、それとは別にズボンの内側で疼くペニスは神菜先輩を欲しがっていた。達する直前でかえでが来てしまったので、イけなかったことで欲求不満になっているのだ。いくら沈まれと念じても、最大勃起のまま一切縮む気配はない。
    「アンタはかえでちゃんの具合を診たことはある?」
    「まあ、聴診程度はありますけど」
     おっぱいを触診したとまでは、言わないでおく。
    「それは乳房を直接見ない配慮の上? それとも、視診も含めて?」
     何だろう。
     神奈先輩は慶介からも情報を聞き出そうとしている。
     病気が関わっていては不味いので、聞かれてしまった以上、聞かれた範囲についてだけは白状しておこう。
    「はい。見たことはあります」
    「乳房の形状を今ここで説明できる?」
    「一応、覚えてますが……」
     慶介はかえでの丸みある体つきについて語った。ぱっと見ただけでは普通の女の子の体と変わらないが、手や足の一つ一つが良い脂質の付け方をしているので、愛嬌のある丸っこさと癒しある柔らかさをしている。
     太すぎず、細すぎない。
     可愛らしい胸を膨らませたかえでの肉体は極上のものだ。
    「体つきの特徴は、単なる個人差か。皮膚上にも目に見えた疾患はなく、本人も何も自覚していない」
    「さっきから、どうしたんですか先輩」
    「何でもない。この私ともあろうものが、直感力が絶対のものではなかったことにイラつくだけよ」
     直感など、どう完璧にする気なのか。
    「まあ、何でもないならいいんです。それより、精液の採集が済んでまでんよね?」
     我慢も限界で、慶介は診察の催促をした。
    「そうね」
     神奈先輩は黙々と慶介を座らせ、最初のように股下につく。舐めるような手つきを駆使し、彼女の触診は隆々としたペニスの機嫌を良くしていった。
    「先輩、イきます」
    「ちゃんとこの中よ」
     そして、添えられたビーカーに向けて流し込む。
     打ち出される白濁の量は通常を上回り、さほど大きいビーカーでなかったとはいえ、半分近くまでカサを埋めてしまった。
    「先輩、この量って……」
    「そう。精過剰症」
     まさか、まさか……。
     神奈先輩から診察を受け続けるための建前が、ペニスの内側にあろうとは! 自分が症状にかかっていたことよりも、その治療を受けられる喜びを慶介は抱いていた。
    
    
    


     
     
     


  • 第1話「エロな触診」

    目次 次の話

    
    
    
      部活動で医学部、なんてものがある学校があった。
     都内でも難関の城北学園といって、一学年につき約千人前後もの生徒がいる。
     その新入生の一人、桑原慶介が部室棟の戸を叩いた。以前から気になっていた医学部へ入部するため、入学まもなく入部届けを持ってきている。
    「入りなさい」
     戸の中から響いたのは女のドスの効いた声だった。
     どんな先輩がいるのだろう。
     恐る恐る入室すると、部屋はまるで診察室のようになっていた。病院に置かれているような診察用のベッドに、ファイルが並んだデスクがそびえている。
     そして、椅子で足を組み、悠然と慶介を迎える女の姿があった。
     この部活の先輩だ。
     制服のスカートを短く履いているが、上はブレザーのでなく白衣を着ている。ワイシャツの襟にはネクタイでなく聴診器をかけていて、まさに女医と呼ぶに相応しい格好だ。教師と間違えそうにもなるが、スカートとワイシャツが生徒であることを物語っている。
     顔や体つきも良い。
     艶やかな髪は濡れているかのようにしっとりして、綺麗な光沢を放っている。頭の高い位置でゴムが結ばれ、髪型はポニーテールになっていた。目つきはキリっと鋭く、気の強そうな印象を受ける。唇はぷっくりと潤っていて、見ていると奪ってしまいたい欲求にかられる。
     胸元はワイシャツ越しにも関わらず形良い乳房の丸みが浮き出ている。腰元はきゅっと引き締まり、短いスカートから覗く太ももは見るからにスベスベそうだ。
    「アンタ、名前は?」
     低く勇ましい声をかけられ、慶介はその鋭さに思わずビクっとした。
    「は、はい! 桑原慶介です!」
    「新入生か。私は天道神奈、二年生。天の道を行き、神へ挑戦する者よ」
    「神の子? 天の道?」
     慶介はきょとんとした。
    「誰にも私の行くべきロードは遮れない。私の行く道は私が決めるということよ」
    「は、はあ――」
     神奈先輩はどういう人なのだろうか。顔つきからは気の強そうな印象を受けるが、我の強さも半端でなさそうだ。
     良い女かもしれない。
     慶介は気の強い異性が好みだった。
    「初めに言っておくけど、ここは私の部活よ。部員に相応しい人間も私が決める。誰でも入部させるわけではない」
    「もしかして、入部テストとかですか?」
    「テストをするまでもない」
     神奈先輩はきっぱりと言った。
    「するまでもないって……。えーっと、じゃあどう決めるんですか?」
    「見ればわかる。そいつがどれだけ腑抜けた人間かどうか。アンタのようなヘラヘラとした危機管理意識の低い男は必要ない!」
     神奈先輩は力強く慶介を指し、断定的に言い放った。
    「え? あのぅそれって……」
     慶介はあまりの言いように困惑する。
    「アンタが入部することはありえない。早々に立ち去れ!」
     そして部室を締め出され、思い切り戸を閉じられてしまうのだった。
     しかし、追い出される際。
     頬のあたりが赤く見えたのは気のせいだろうか?
    
         *
    
    「というわけで、追い返されちゃった」
     放課後の帰り道。
     幼馴染の楠木かえでに事の顛末を打ち明けた。せっかく入部しようと思ったのに、慶介は神奈先輩にあっさりと追い返されてしまった。
     かえでは髪を二つ縛りにした小柄な子で、あどけない顔つきをしている。体型もまだ未発達なところがあるが、胸の控えめな膨らみというのは可愛らしいものだ。
    「何よソイツ! なんか感じ悪いね」
     かえではこの場にいない神奈先輩に悪態をつく。
    「俺の何が駄目だったんだろうな……」
    「駄目なのは天道神奈よ! 人を見ただけで判断するなんて、ちょっと信じられないことだと思わない?」
    「うーん。面接を通れなかったようなものって気がする」
    「何を言ってるの慶介君は。その先輩は本当に一目見ただけだったんでしょ? ありえないことこの上ないって」
     かえでは神奈先輩を非難する。
     そう、一目見ただけだ。
     しかし、たったそれだけで何故あそこまで断定的に不合格を言い渡されたのだろう。例えば顔が気に入らないだとかなら、確かに彼女が酷いとしか言いようがない。
     慶介はかねてより医者に憧れ、勉強を重ねて難関校に入学。努力の末にやっと医学部に入部できると思いきや、あの結果だ。憤りを感じないわけではない。だからかえでに話を聞かせることで、かえでの口から神奈先輩への非難を聞いてみたかったのかもしれない。
     随分と女々しい計算をしてしまったものだと、慶介は自身に向けて顔をしかめる。
     神奈先輩の門前払いには、何か理由があるのではという気がする。
     その理由さえ解消できれば入部できるのでは、と期待してみるのは諦めが悪いだけであろうか。
    「ところでさ。慶介君、目元にちょっとクマが出来てない?」
     かえでは慶介の顔を覗いてきた。
    「そうかな?」
     最近は徹夜した覚えもないのに、できているのだろうか。いや、遅くまでアダルト動画を鑑賞することならたまにある。それでも睡眠は取っているつもりだが、言われた異常はクマがあるのかもしれない。
    「うーん。まあ、そんなに気にしなくてもいいのかな」
    「だと思うよ。俺におかしな感じはないし」
    「そっか。じゃあさ。お願いがあるんだけど」
     かえではほんのり顔を赤らめた。
    「ん。何?」
    「最近ちょっと体調が不安で……。少し診察してくれないかな? 慶介君」
     かえでは恥ずかしそうにそう言った。
    
         *
    
     慶介の家は婦人科である。
     地下と一階とに診察室や診断用の機器が揃っており、必要な場合は患者を地下の機材で検査する。
     病院を営む父親は、本人いわく女性の体を隅々まで診察したくて医者になっている。胸はもちろんアソコやお尻の穴まで覗けるのだから、不純な動機が入り込む余地はありすぎるくらいだろう。慶介にも似たような動機があることを、もしや神奈先輩は見抜いたのだろうか。
     かえでを二階の自室へ連れて行き、ベッドの横に腰掛けてもらった。慶介の部屋にも聴診器程度の器具はあるので、首にかけて準備する。
    「じゃあ、上半身は脱いでね」
    「診察のためならオッケー」
     一応、幼馴染同士なのだが。
     かえでの中では、慶介に裸を見せることは検査のために脱ぐことと同じらしい。タダで診察してもらえる医者として、かえではたまに慶介に診察を頼んで来るのだ。ある程度はわかるからいいが、いずれ見逃しやすい症状にでも当たらないかは少々不安だ。
     彼女はためらいなくボタンを外し、ブラジャーまで取り去り上半身裸になった。
     その体つきは、丸っこくて可愛らしい。脂肪の付き方が非常に良くて、決してぽっちゃりすることなく肩や腕のあたりが丸みを帯びているのだ。肌全体には優しい柔らかさがあり、胸の膨らみ方も控えめで愛嬌がある。
     ズボンの内側が膨らむのを感じて、それを隠すように慶介はかえでの前に座った。足を閉じ気味にして隠し、聴診器を下乳あたりに押し当てる。
     ペタペタと位置を変えながら「吸って? 吐いて?」と合図を出し、深呼吸をしてもらう。
     しだいにかえでの乳首には血流が集まり、固く突起していった。
     かえでは照れたように苦笑する。
    「どうかな?」
    「肺の音は大丈夫そうだね。心音は……」
     胸の真ん中に押し当てると、心臓がドキドキしているのが伝わってくる。我慢ができるというだけで、かえでは全く恥ずかしがらないわけじゃないのだ。鼓動に耳を傾けているうち、慶介自身も緊張してきた。
     ズボンの内側が痒い。
     亀頭あたりがムズムズする。
    「どう?」
    「健康そのものだよ。触診もしとく?」
     かえではぽっと赤くなった。
    「もお、エッチ」
    「あくまで検査だってば」
     本心では触りたくて申し出ていたが、やはりかえでは検査を受けるだけのつもりらしい。
    「うん。検査なら、いいよ?」
    「じゃあ、失礼するね」
     慶介はかえでの胸に両手を乗せ、優しい手つきで乳房の柔らかさを味わった。控えめなかえでの胸は、手でお椀を作るようにするとぴったり包み込める。手の平の内側に乳首の突起があたってきて、慶介はますます興奮した。
     幼馴染のおっぱいを揉めるなんて、医者を目指して本当に良かった。
     将来婦人科医にでもなれば、もっと大事な部分も覗かせてもらえるだろうか。
     そんな事を考えていると、股間がますます大きくなる。ズボンの内側がパンパンになって、息遣いも興奮で荒くなりかけていた。
    「慶介君? どう?」
    「もう少しでわかるかな」
     力を出し入れするようにして乳を揉み、かえでの胸を堪能する。人差し指で乳首をつつき、摘まんでこねるようにした。
    「ああっ……」
     かえではほのかに声を漏らす。
     慶介は指先で乳首を虐め、玉を転がして刺激を加える。症状と思わしきしこりや圧痛などは特になく、乳首にも異常な触感はない。
     あとはしばらく楽しむだけだ。
     かえでも揉まれて気持ちよくなっているのか、しだいに息が乱れていた。興奮の息遣いが慶介の耳を突き、同調するようにして慶介の興奮度も上がっていく。
    「け、慶介くぅん? まだなの?」
     少しやりすぎたか。
     慶介はふと我に帰り、触診を打ちとめにする。
    「大丈夫、胸の健康も良好だよ」
    「そっか。よかった」
     かえでは頬を薄紅色にしたままブラを付け直し、着替えなおす。柔らかな肌が服に隠れていくのを見て、少し寂しい気がした。
    「ちょっと、トイレ行ってくるね」
    「うん」
     慶介は上手いことかえでに背中を向け、股間部を見せないようにして立ち上がる。平静を装いながら部屋を抜け、ひとたび廊下へ出るなり早足でトイレへ向かった。
     もちろん、ヌくためだ。
     そして、便座で自慰をする時――
     ――しこりにも似た感触があった。
    「なんだ? 皮膚疾患なのか? ――そうか! それで先輩は!」
     神奈先輩に門前払いを受けた理由に検討が付き、慶介は少し悪い計画を企んだ。
    
         *
    
     翌日の放課後。
     部室の戸をノックされ、天道神奈は具合が悪いという女の子を招き入れた。
    (なんだ。風邪か)
     神奈は一目で症状を悟った。
     見たところ熱が高いので、体温計を脇に挟んで検温する。口を大きく開けてもらい、ペンライトで照らして喉を覗く。食道の入り口に風邪特有の腫れが見られた。
     次はワイシャツの前を開けてもらい、ブラをたくし上げる。露出されたお椀ほどの乳房に聴診器を当てた。
    「夜は薄着すぎない方がいい。病魔はどんな隙に付け込んでくるかわからない」
    「あ、はい」
     神奈は女の子に背中を向かせ、背筋に聴診器を当てる。耳になだれ込む肺の音が、神奈に女の子の風邪の具合を教えてくれた。
    「早ければ一日でカタはつく。薬を出すわ」
     といっても、神奈はまだ二年生で、正式な医師免許を持っているわけじゃない。薬も病院で処方されるようなものではなく、風邪に良いとされる大根とハチミツから作るシロップをコップで飲ませた。
    「これ、美味しいね」
    「そんな感想は聞くまでもなくわかっている」
     単なる薬としてだけでなく、飲みやすい味を意識して調合したのだ。大根の味とハチミツが引き立てあうように工夫している。不味いわけがない。
    「そ、そう……」
     女の子は困り気味になっていた。
    「あとは保健室まで送っていく。ゆっくり休んでから帰るように」
    「はい」
     女の子の肩を抱いて送り届け、用が済むなりすぐに部室へ戻った。
     神奈はこうして、たまに来る具合の悪い生徒を診察している。軽い病気は神奈自身で措置を取り、施設や薬品がなければどうにもならない重病は、部室などでは手が打てないので、仕方なく病院へまわす。
     そうして、月に数人の具合は診ていた。
     神奈の父親は世界的な医師である。その遺伝子のおかげか。はたまたは小さい頃に多少の手ほどきは受けたからか。神奈には症状を察知できる直感のようなものが備わっており、顔を見ただけでも病気か否かを判別できることがしばしばある。
     女の子の風邪は熱っぽい表情と顔色で読み取れた。直感的に喉が腫れているはずだと感じ、覗いてみれば実際に腫れを確認できた。
     過去には気分の悪そうなクラスの女子を見て、腹痛だろうかと予感がついたこともある。周囲の子は誰も気づかない程度の些細な顔色の悪さだったが、本人が無理に痛みを隠していたから友達も気づかなかったのだ。実際に具合を聞いてみれば胃を痛めていた疑いがあり、保健室で胃薬を飲ませた。
     そして、昨日やってきた新入生だ。
     ――桑原慶介。
     彼の目元にはクマらしき黒ずみが薄っすらとあった。注視しなければわからない程度だが、部室を訪れたときの彼の様子とクマを合わせて考えると、桑原慶介にはちょっとした疾患の可能性がある。
     その疾患とは……。
    「この私があんな場所を診る必要はない。私は私のロードを行くのみ」
     神奈は頭の中から慶介の存在を振り払った。
    
         *
    
     しかし、それでも良いのだろうか。
     小さい頃から、父は世界的な名医だと聞いていた。父はほとんど日本にはいなかったが、母親がよく自慢げに話していたので、神奈の幼い記憶にも父の話は残っている。あんまり父はすごい人だと聞かされていたせいせ、幼い神奈も「大きくなったらお医者さんになる!」なんて意気込んでいたものだ。
     ところが、母には重い持病があった。
     神奈は小さいながらに医学書と睨めっこをし、色んな病気に詳しくなっていた。いつかは自分が母の病気を治すのだと言いながら、勉学に打ち込んだものだが……。
     ある日、母の持病は急激に悪化――死亡してしまった。
    「私がちゃんとしてたら……。ちゃんと立派な医者になっていたら……」
     当時は小学生だったのだから、仕方がないといえばそうなのだろう。いくら病気に詳しくとも、とてもでないが持病患者の相手はできない。
     それでも、パニックを起こして病院で母の容態を説明してやることさえ出来なかった。思い出せば悔しくてたまらなくなる。
     だから、心の底では思わずにいられない。
    
     ――私があの時ちゃんとしていたら……。
    
     そもそも、母にかかっていた持病はまだ治療法が発見されていなかったという。症例さえも限りなく少ない。そのために父は世界へ飛んで、同じ病気の患者を通して治療法を研究していたのだ。
     そんな父親が急遽帰国してきた時、こう言っていた。
    「自分で自分を許せるくらい、立派な医者を目指せ。そうすれば天国の母さんも喜ぶ」
     そう、前に進まなければ天国の母親に顔向けできない。
     いつか、あの時どうにもできなかった母の持病を治してやれるくらい、高い技術と腕を持った医者になるのだ。
     そのためには、やはり己のロードを行くしかない。
    
         *
    
     再び部室の戸を叩くと、神奈先輩の声が響く。
    「入りなさい」
     慶介が部室に足を踏み入れると、神奈先輩は昨日のように椅子に足を組んでいた。胸の下では腕組みをしていて、持ち上がった乳房の形が見て取れる。
    「こんにちは、先輩」
    「アンタ、何しにきた」
     神奈先輩はじっと目を細めている。視線は慶介の顔に向いていたが、胸へ腹へと下がって股間を注視、かと思えば顔に視線が戻ってくる。
    「俺が追い返された理由について、少し話しをしてみたいと思いまして」
     神奈先輩の眉がピクっと動いた。
    「話し?」
    「ええ、経験ある医者の目って何でも見抜きますからね。俺らはまだ学生ですけど、もしかしたら先輩ってこう、眼力を備えているんじゃないかと思いまして」
    「……そうね。私に見抜けないものはない」
     答えが躊躇いがちなのは、神奈先輩に思うところがあるからだろう。というのも、慶介の患部の場所がピンポイントだからに違いない。
    「つまり、それで追い返したんですか?」
     あんな風に追い返してきたのは、そんな自慰の多い男と同じ部屋にいたくなかったからなのか。はたまたは目の前の疾患を放置するわけにはいかず、かといって触りたくはない。複雑な思いがああした態度を引き出してしまったのか。
     彼女の頭を覗けるわけではないので、窺い知れない部分はある。
     だが、およそそんなところだろう。
    「そう。アンタは自己管理が無さ過ぎる」
    「かもしれませんね」
     慶介は苦笑した。
     昨日のかえでへの診察のあと、トイレへ行って気が付いた股間部の皮膚疾患……。それは自慰をしているあいだに雑菌がついたために起きた疾患で、重病ではないが皮や亀頭が痒くなったり、症状が進めばヒリヒリと痛むようになる。
    「先輩。それにしたって、よく俺の顔を見ただけでわかりましたよね」
    「目の下のクマ。それと、アンタは自分でも気づかない無意識のうちに股間を気にして、太もものそばを弄るような手癖があった。それらを組み合わせれば想像がつく。天性のカンってところ」
    「すごいですね先輩、名医になれますよ」
    「なるに決まっている。それよりも、アンタはそんな話をしに来たの?」
     神奈先輩のキリッとした目が慶介を射抜く。
     その鋭さに萎縮しそうな自分を押し留め、慶介は一歩踏みでた。
    「先輩って、具合の悪い生徒の診察をしてますよね?」
     神奈先輩の顔を染め上げ、頬から冷や汗を流した。
    「アンタ、まさか新入生の分際で……!」
    「もちろん治せますよね? 先輩」
     慶介が強く言うと、神奈はしばし唇を結んで躊躇いを見せた。しかし、すぐに意を決したのか。真っ直ぐに慶介を見つめ、彼女は医師としての指示を出す。
    「し、診察なら……。ま、いいでしょう。下は全部脱いで、そこに座りなさい」
     本当は男のソレに触りたいとは思わないのだろう。
     しかし、嫌々ながらも神奈先輩は慶介の一物を診なければいけないのだ。もちろん放置も可能だろうが、治せるかもしれないものを放っておくなど、このように迫られてはできないのだろう。
     なのに、表面では上からな態度でいようとする姿が面白う。
    「わかりました」
     慶介は颯爽とズボンを下ろし、ペニスを露出して診察台の横に腰掛けた。
     神奈先輩は股のあいだに座り込み、恐る恐るといった手つきでペニスを握る。赤らんだ顔を近づけ、視触診を開始した。
     気持ちいい。
     綺麗な先輩が自分の肉棒を触っている。
     神奈先輩はまず亀頭周りから茎にかけてを観察し、付け根の皮膚を伺った。腫れ瘢痕、疾患による赤みを探すためだろう。
     床に座り込み、身を乗り出す姿勢で股間を覗いてきているので、慶介の角度から見下ろせば神奈先輩のむっちりとしたお尻を眺められる。白衣の丈が被さっているが、尻たぶのお山二つはきちんとわかった。
     衣服越しのお尻を眺めていると、神奈先輩が慶介の根元を握った。
    「痛みはある?」
     彼女は亀頭をまんべんなく指で撫で、圧痛はないかを尋ねてきた。触れられた箇所に痛みが出れば、そこも疾患部位の一つになるからだ。
    「いいえ」
     慶介から見ると、神奈先輩の顔にペニスが突きつけられて映る。美貌の顔と肉棒が同時に視界のフレームに入るのは、それだけで情欲を刺激される。しかも彼女は根元を握っていて、構図として見ればこれからしゃぶってもらえる展開に期待が沸く。
     もっとも、診察でペニスをしゃぶるなどありえないが。
    「こっちは?」
     細やかな人差し指が、亀頭の付け根を一周した。
    「そこも、痛みはないです。ただ赤みのある部分がヒリヒリします」
    「そ。亀頭の下に傷があるけど、まさか自慰で皮膚が切れたんじゃないの?」
    「恥ずかしながら、その通りです」
     ごく薄い傷にすぎないが、しごくときは皮膚が引っ張られているわけだ。力の入り具合、普段のヌく回数しだいでは薄傷程度が出ることは稀にある。
    「だいたいわかった。ここから入った雑菌が晴と赤みを作っている。薬用ジェルを塗って様子を見ればいい」
     それで治ればよし、ということだろう。
     もし治らなければ侵入した菌を特定して、その菌に見合った措置を取らなければならない。
    「皮の内側のしこりっぽいのも見てもらえますか?」
     神奈先輩は一瞬ウッと引くような顔をするも、気を引き締めるように息を飲む。
    「いいでしょう。この私に触ってもらえる名誉に感謝しときなよ」
     無論、大感謝だ。
     彼女の棒を握る手はゆっくりと動き、上下し始める。手の平全体で皮の内側を探っているのだ。慶介からすれば手コキをしてもらっているも同然で、みるみるうちに性感の波がペニスの芯から滲んでくる。
     自分でしごくよりすごい。
     これが異性からシてもらう気持ちよさなのか――。
    
         *
    
     神奈にとって、これは屈辱だった。
     本来なら男などに興味はない。仮に誰かとこういうことをするなら、自分と釣り合うほどのデキの良い人間でなければならない。学歴が高く運動神経も高いのは当然で、さらに何かプラスアルファを備えているくらいでなければ納得できない。スペックの高い男がいるのでもない限り、性行為などありえない事だ。
     それなのに、神奈は自らの肉棒を握っている。肉の繊維が硬直し、ノの字に反りあがっているのが感触でわかる。しこりを探るために上下させると、握った皮が手の内側についてくる。その皮を通じて、内部にある固い肉の感じがわかった。
    (……これは診察をしているだけ)
     手コキ同然の触診をしながら、神奈は自分に言い聞かせた。
     慶介がしこりだと言ったのは雑菌からなるデキモノで、皮の裏側にできていたからしこりと言ったのだろう。
     深刻な症状ではないが、放置すれば悪化はする。ますます腫れて、慶介は自慰などできなくなるかもしれない。
     どうして、こんな患者を追い返してしまったのだろう。
     神奈は慶介が入部届けを持ってきた時を思い出す。
     あの時は直感が慶介の股間に皮膚疾患があると告げてきたせいで、ズボンの中にある生々しい肉棒の存在を意識せずにはいられなくなった。気が付けば、新入生の入部希望を蹴り飛ばしていた。
     下らないことこの上ない。
     医者を志すなら、この程度の部位は見慣れていなければならない。恥ずかしいから追い返しているようでは駄目だ。
     だいたい、あれでは少しでも恥ずかしがったことがバレかねない。もしバレてしまっていたら、それこそ余計に恥ずかしい。これを隠し続けるには、このあとも「自己管理のなっていない人間は嫌い」と言い張る以外に道はなさそうだ。
     そして、下らないことで追い返した失態……。
     あれを取り返すには、この診察を無事に終わらせるしかない。
     神奈は手に伝わる感触に集中した。
    「こういう場所の診察って、初めてですか?」
    「いや、前にも何度か診ている」
     神奈は見栄を張ったが、実のところ触れるのは初めてだ。知識と目の良さでどうにか疾患に見分けをつけ、触診で確実な診断は下せている。侵入した雑菌も薬用ジェルでどうにでもなることまで、神奈には検討が付いていた。
     見栄を張るのは、慶介を付け上がらせたくないからだ。初めて性器に触れた相手が自分だとわかれば、男はきっと舞い上がるに違いない。それはあまりにも癪だ。
    「どうですか? 先輩」
    「皮の内側もデキモノの一つ。すぐに治る」
     そう言いつつ、神奈の手は淫らな触診を続けていた。
     もう充分に診断は下せているのに、どうして手が止まらないのだろう。下腹部のあたりがじわりと疼き、神奈はそれを悟られまいと即座に顔を強張らせた。
    (……そうだ。私は本当は触りたいと思ってない。天の道を行く私がするようなことじゃないのに、その私がこんなものを握って……)
     そんなシチュエーションのせいだろうか。
     下腹部がきゅんと熱くなり、股に手を伸ばしたい欲求にかられる。当然まさか人前でできるはずもなく、神奈は膝の上でこぶしを握って我慢するしかない。
     やがて亀頭の先端からは、水滴の粒が漏れ出していた。きのこの山の頂上に、そこだけぷつん、と霞が滲み出しているのだ。
    「先輩、なんか尿道口も痒くなってきました。診てくれませんか?」
    「菌がここにもいるのかもね」
     神奈が片手でペニスを握ったままにしながら、もう片方の人差し指をのばした。指の腹を鈴口に当てると、細い糸が指とペニスのあいだに引く。
     再び指をそこにつけて、先走り汁を塗りつけるようにして触診する。
     見上げてみると、慶介が快感に浸っているのがわかった。こちらは皮膚を診るために診察してやっているというのに、当人はのんきに神奈の手で感じている。
     いや、慶介は最初から女にコレを握らせたくて診察を受けに来ていた。
     薄々わかっていながら、それでも診察を始めたのはどこの誰なのか。そもそも、男の股元に座ってこんなことをしては、傍から見ればエッチな行為にしか見えないではないか。
     自分にあらぬ心があるように思えて、神奈は歯を食いしばった。
    (それでも、私は診察経験を重ねたいだけ。立派な名医になるために!)
     決して自分に不純な動機はない。
    「そろそろ薬を塗ろうか」
     神奈は棚の遮光ビンから透明なジェルを手に取り、ペニスへ塗りつけにかかった。
    
         *
    
     ペニスがヌルりとした液に包まれて、慶介は快楽に仰け反った。ペニスに塗られている薬はまるでローションのようで、手の平と肉棒の皮膚がヌメっとした液の力で密着する。そして上下に動かされ、亀頭は指で丁寧に撫でられるから、気持ちよいことこの上なかった。
     特に亀頭の口を指撫でされていると、ペニスが芯から熱くなる。
    「これ、塗り薬なんですよね」
    「違うものを塗ってどうする」
     それはそうだが、ねっとりとした透明な液などセックス用のそれにしか見えない。手の平で優しく茎に塗り広げ、指先を亀頭に這わせてくるから、慶介の根元からは既に射精感がせりあがっていた。
     これだけ長く触ってくれるのだから、もしや「触診」でさえあれば……。
    「玉の方もちょっと痒くなって来ました」
     彼女の左手が亀頭を離れ、期待通りに玉袋を優しく包み始めた。いたわるような手つきで袋を手の中に納め、ローションで揉んでくる。目を瞑って集中すると、性器の全てがヌルりとした液で光沢しているのがよくわかった。
    「薬は塗った。あとは……一応、採取してやるわ」
     何を採取するのか。
     それはもう、聞くまでもなく理解できた。
     神奈先輩は慶介の股下を一旦離れ、棚のガラス戸からビーカーを用意する。ペニスの下にビーカーを添えるようにして、神奈先輩は柔らかな手淫を再開した。
     力加減が調度いい。
     白く綺麗な手は一定のリズムで上下して、固い肉竿をゴシゴシとしごく。生温かい手の平と皮のあいだでローションが働いて、ヌメっとした心地良い摩擦を生み出している。
     高まる射精感に限界を悟り、慶介は神奈先輩の肩をがっしりと掴む。
     掴まれた彼女は驚いたように目を見開き、慌てた声をあげた。
    「ちょっと! 出すならちゃんと――」
     しかし、もう間に合わない。
     ――ドピュ!
     白濁の弾は散弾となって神奈先輩の顔面へ飛び、目と鼻、口周り、頬へと命中した。とろみある液体は下へ向かって、アゴへ向かってつたっていくので、白い汚れの面積は自然と広がっていく。
     彼女はすぐにビーカーを斜めにし、ペニスの角度をビーカー底に合わせる。溢れでる精液はガラスの中に流れていき、出し切る頃には底面を真っ白に染めていた。
     採取が終わり、神奈先輩の怒った顔が慶介を見上げる。もちろん、精液でドロドロとなった顔でだ。
    「この私の顔に……。罰当たりな」
    「すみません」
     そう言いつつ、慶介はブレザーのポケットを右手で探った。片手は神奈先輩の肩を掴んだまま彼女を逃がさないようにしておき、スマートフォンのカメラ画面を素早く向ける。
    「んな! アンタ――!」
     彼女は一瞬の出来事に驚愕、身を固める。
     パシャリ。
     その隙にシャッター音が鳴り、神奈先輩のドロドロの顔がカメラ目線で収められた。ペニスを握る手まできっちりと収められ、これ一枚を見れば彼女が「診察」をしていたようにはとても見えない。
    「良く撮れましたよ」
     慶介は写真画面を見せびらかす。
     自分の痴態を目に、神奈先輩の顔は屈辱に歪んだ。
    「いい度胸ね。何のつもり?」
    「安心してください。俺は入部したいだけです。医者を目指してるんで、医学部を通して経験できることをしておきたいんですよ」
     神奈先輩は冷静に目を瞑り、慶介の股から離れて蛇口へ向かう。顔を洗って、白濁の汚れを洗い流した。
     そして彼女は背中を向けたまま、天井を高々と指す。
    「この私を脅迫しようとは、アンタには神をも恐れぬ度胸がある」
    「いえ、そんな言い方をしてもらうほどではありませんよ」
     彼女は慶介に向き直り、胸元で腕組みをした。ワイシャツの乳房が持ち上がり、形良い美乳の形状がシワから浮き上がる。立ち姿勢だと短めのスカートから覗く太ももが目立ち、太陽のように眩しかった。
    「いいや、私が認めてやっても構わない程度の度胸はある」
    「そうですか?」
    「しかし、それをアンタは歪んだ形で発揮している。少し矯正してやる必要がある」
     というと、神奈先輩の答えは一つだろう。
     慶介はペニスをしまいながら、次の彼女の言葉に耳を傾けた。
    「私という偉大なる先輩が、後輩を立派な真人間に育ててやるわ。十年後、二十年後の将来、アンタは人生の成功と共に私との出会いに感謝することになる」
     なんという自信か。
     さすがは天道神奈といったところだろう。
     世界的名医を父の持ち、学生の身分でありながらあらゆる病状を見抜く眼力と直観力を備える娘。入学前、学園医学部の存在を知ってから、その子はきっと自信家に違いないと予感していた。慶介の予感は大当たりだったというわけだ。
    「では、神奈先輩が部長なんですよね?」
     慶介はバッグから入部届けを出す。
    「そう、私が創造主よ」
     神奈先輩は優美な手つきでそれを受け取る。鮮やかな手首の捻りと指の動きは、とてもさっきまでペニスを握っていた手とは思えなかった。
     この手でシてもらったと思うと、胸の底から優越感が湧いてくる。
    「これからよろしくお願いします。神奈先輩」
    「よろしく、慶介君」
     美人な先輩と過ごせる部活動――。
     慶介は今からワクワクしきっていた。