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  • 女エルフの村

    
    
    
      エルフ!
     人間よりも剣や魔法に長け、寿命も長いその種族はそれ故に個体数はとても少ない。希少な存在であるエルフは人里離れた森奥の里で平和に暮らしていた。
     だが、そこに一人の男が現れる。
     彼の名はマルス!
     邪悪な微笑みを持った男の侵入には当然女エルフ達も警戒し、一斉に剣を手にしてその男を取り囲んだ。
    「貴様、何奴だ!」
     銀髪のエルフ――レミリアがマルスの喉元へ切っ先を突きつけ、激しい剣幕で問い正す。エルフは余所者への警戒心が強いのだ。
    「俺はマルス」
    「マルスだと?」
    「お前達を俺のモノとするため、はるばるやってきたのだ!」
     マルスもまた腰の鞘から剣を引き抜き、喉元に突きつけられた銀髪の長剣を薙ぎ払った。
     素早い動きだ。
     普通、剣を引き抜き反撃するよりも、既に喉へ突きつけた剣をそのまま差し込む方が遥かに速いはずである。にも関わらず、マルスはあまりにも速い剣速で銀髪の長剣を打ち上げ、余裕の素振りで剣を構えたのだ。
    「くっ、かかれ!」
     レミリアが声を張ると、マルスを取り囲んだ女エルフ達は一斉に飛びかかる。
     その数、ゆうに十人。
     それぞれの剣がマルスに向かって振り下ろされる。
     しかし、そのおびただしい剣撃の数々さえもマルスは素早く受け流し、見事の防御しきっていた。
    「わ、我々の攻撃が届きません!」
     隊をなすエルフの一人が焦りの声をあげた。
     マルスは迫り来る周囲からの剣に向かい、とてつもないスピードで自分の剣を振り回す。剣と剣をぶつけ合い、マルスは相手の剣を弾くのだ。
     さながらそういう結界でも張られているかのように、マルスへの攻撃は振るった瞬間に全て弾かれ、勢いのためにエルフの剣は腕ごと打ち上げられる。再度構えて斬りつけるも、同じ現象が繰り返されるばかりだ。
     そして――。
    「<イケ!>」
     マルスは言葉を唱える。
     すると、奇妙なことが起こった。
    「あっ! いやぁぁ! ああぁぁああぁぁああん!」
    「ひゃぁああぁあああ!」
     マルスを取り囲んでいた女エルフ達は一斉に喘ぎ出し、己の股下を手で押さえながら絶頂でくず折れる。熱を帯びた感じたメスの顔になりながら、ハァハァと息をあげて倒れて行くのだ。
    「何!? 何が起こったというのだ!」
     レミリアは動揺する。
     マルスを包囲したエルフ隊は全滅し、全ての女が地に倒れていた。
     死んだわけではない。
     ただ、さも性的絶頂を迎えたかのようにイキ声を張り上げ、そして力尽きて行ったのだ。
    「魔導だよ。俺には女をイかせる能力がある」
    「イかせる……魔導だと?」
    「そう。それが俺の魔導騎士として発現した能力なのだ! <イけ!>」
     マルスが唱えた途端だ。
     レミリアの股元は疼き出し、みるみるうちに激しい快楽が膨れ上がる。
     それはまもなく爆発し――。
    
    「いぁぁあ、いやぁぁああああぁあ!」
    
     レミリアは仰け反りながら絶頂し、股からはポタポタと、お漏らしでもしたように愛液を垂れ流す。
     そしてバタリと倒れていった。
    
         *
    
     緑の深い森林の中を一人の女騎士が歩いていた。
     女騎士――リリアは長い金髪をなびかせ、凛とした目つきで遠くを見据えている。甲冑を身に纏ったリリアの胸元、乳房を覆う胸当てが丸い双山となっていることから、彼女がいかに巨乳であるかを物語っている。スカート状の腰の鎧からはむっちりとした太ももが覗いていた。
     まさしくリリアは金髪の美貌の騎士であった。
    (この先が確か女エルフの村だったはず)
     リリアは進んでいく。
    (食料を補給できるといいが)
     手持ちの荷物を思いながら、リリアは村へ向かってつき進んでいた。旅をして暮らすリリアにとって、荷物に食料が足りているかどうかは死活問題だ。長い旅路で携帯食料を消費している今、この先で何も補給できなければ苦しい思いをすることになる。
    (もっとも、この森で獣を狩るという方法もあるが……)
     そう、食料は狩りによっても補給できる。木の実や食べられる野草を探す手もあるが、やはり村の食事にありつけるのにこしたことはない。村や町の方がおいしい料理にありつける可能性は高かった。
    
     やっとのことで、木を切り開いた開けた土地へ辿り着いた。
     こじんまりとした一本の木も生えていない土地空間には、ぽつぽつといくつかの木製の家が立てられている。せいぜい一人か二人が暮らす程度の小さな家と、奥には一回り大きな家がある。おそらく大きな家こそ町でいう王宮のようなもので、村で最も偉い者――村長あたりが暮らしているのだろう。
     ここがエルフの住む村なのだ。
     エルフ達もリリアの気配に気づいたのだろう。
     女エルフ達がどこからともなく駆け出して、一斉にリリアを取り囲む。十人のエルフ隊が抜き身の剣をリリアへ向けた。
    「何者だ」
     一言、重々しく尋ねてきた。
     なるほど、ここは侵入者に対して当たりが厳しいらしい。
     警備隊であろうエルフ達に包囲され、リリアは四方八方から剣の切っ先を向けられる。少しでもおかしな動きを見せれば、またたくまに八つ裂きにされるのだろう。
    「私はリリアという。旅をしてここまでやって来た」
    「何の目的だ」
     様子がおかしい。
     警戒されているのだから、普通とは違う態度を取られるのは当然だ。しかし、それにしても、やけに紅潮した顔で、首に首輪を巻いている。アクセサリーとは言い難い。安っぽいエルフ達の首輪は、むしろペットにでも巻き付けるべきもののように感じられた。
    「旅の中で食料が尽きかけている。どこかで補給したいと思っていただけだ。それ以外に用はない」
    「よかろう。くれてやるから、早く立ち去れ」
     エルフの一人が木の実の詰まった袋を投げてきた。リリアの足元へ落ち、中の胡桃が何個かこぼれる。
     それを持ってとっとと帰れ、という意味だ。
     とことん歓迎されないらしい。
    「十分だ。礼を言う」
     ここまで余所者への警戒心が強い村にいても仕方がない。
     無理に居座ったところで良いことはなさそうだとリリアは判断した。
     リリアは木の実の袋を広い、素直に立ち去ろうと思った。森のどこかで野宿をすれば夜は過ごせる。これだけの木の実があれば、また次の村や町へ辿り着くまでは食いつないでいけるだろう。
     しかし、背中を向けたリリアを呼び止める声があった。
    「待ちたまえ」
     そこには男がいた。
     やって来た男に道を開けるようにして、エルフ達は隊を割る。
     その間をくぐって、男はリリアの元へ歩み寄ってきた。
    「あなたは?」
    「俺はマルスという者だ。リリアといったかな? この者達の無礼を許して欲しい」
     どういうわけか、人間がエルフ族を仕切っている。
     何かあるに違いない。
     リリアは眉をひそめた。
    「余所者に警戒するのは当然だ。そんなことより、ここはエルフの村のはず。何故、人間がこの村を仕切っている?」
    「それには色々とまあ事情があってな、追々話してやろう。みんな、この者を歓迎してやれ」
    「はい! ただいま!」
     ただの人間の命令に、エルフ達は一斉に声を返した。
    (どういうことなのだ?)
     エルフは人間に従う種族ではない。
     仲間同士でひっそりと暮らし、普段は人里には姿を見せない希少な種族のはず。
     何故、人間であるマルスの手下のようになっているのだろうか。
    
         *
    
     マルスは村で最も大きな家に住み、まるで王の玉座のような椅子に腰かけエルフの女をはべらせていた。両手に抱いた女を肩に抱き寄せ、股元には銀髪のレミリアを従わせている。
    「この単時間で随分上達したな、レミリア」
    「好きで上達したわけではない」
     レミリアは乳を露出し、マルスの肉棒を挟みしごいていた。谷間に深く挟みこむようにして捏ねあわせ、ペニスにはもっちりとした心地良い乳圧がかかってくる。擦り合わさる乳の狭間でマルスは乳悦に浸っていた。
    「俺には女を自由にイかせる能力がある。逆らえないのも無理はないだろうな」
     その力によって、マルスはこの村を支配したのだ。
     女はイかせてしまえば果てていく。
     誰もマルスの力に逆らえる女はいなかった。
    「くっ……」
     悔しそうに顔を歪めながらも、レミリアはその乳をペニスのために使っていた。
     レミリアはいい。
     村ではもっとも腕の立つ剣士らしく、銀色に輝く髪はしなやかに風になびく。さらりと指の溶け込んでいくような髪質と、透き通るような綺麗な肌、凛とした強い目つきが溜まらない。乳と尻も大きく膨らんでおり、最高のボディを兼ね備えていた。
     そんなレミリアが乳房を交互に上下させ、ペニスに乳悦を与えてくる。男根は限界まで勃起を極め、弓なりの反りながら今にも爆発しそうな勢いでぶるぶる震えていた。
     乳摩擦による乳肌の心地良さ。
     股間の奥から沸騰した欲望の塊が沸きあがり、亀頭の先から精の噴水をあげる。
    「おら、顔で受け止めろ」
     噴き上げる精液の噴水はレミリアのアゴにべったりと張り付き、顔面の口元を中心に白濁で濡らしていった。
    「私の顔に……。こんな……」
     さぞかし悔しいことだろう。
     だが、女というだけでマルスに逆らうことはできないのだ。
    「尻を向けろ」
    「己……」
     レミリアはマルスを睨みつつ、屈辱を噛み締めながら四つん這いになって尻を持ち上げ、白く丸い肉の丘をマルスに差し出す。
     マルスはその細い腰をがっしり掴んで、亀頭を秘所へあてがい挿入した。
    「くぁあ!」
     奥まで突き刺すと、レミリアは仰け反る。
    「ふははは! いいぞ? レミリア!」
     埋め込んだ肉棒は生温かいぬるりとした感触に包まれ、絞るような締め付けをレミリアの穴は与えてくる。その締め付けが刺激となり、腰を振るたびにマルスは絶好の快楽に興奮を増していった。
    「くはぁぁ! あぁ! あぁっ!」
     熱い膣壁が柔らかくペニスを抱きしめる。包みこんでフワリと絡みつくような気持ち良さにマルスは激しく腰を振り、レミリアの尻を打ちつけた。
     ペチッ、ペチッ、ペチッ。
     腰を振るたびに尻の打ちつく音が鳴る。
    「いいぞ? 最高の快楽だ!」
    「ひぁぁあああ! あ! あ!」
     絡みつく膣の快感にすぐに射精感が沸きあがり、根元から精が噴き出そうとする。
    「よし、イかせてやる。<イけ!>」
     唱えると同時に、
     ドビュゥゥゥン!
     マルスは中へ射精して、その熱くドロリとしたものを感じながらレミリアも絶頂する。
    「いやぁぁああぁぁあああぁぁぁぁああああ!」
     引き抜くと、レミリアはその場にばったりと倒れる。
     膣口からはこっぽりと白い液体をこぼしていた。
     マルスが王座に座りなおすと、奴隷となった二人のエルフがマルスの股へ顔を摺り寄せ、濡れたペニスを舌で掃除し始める。まぶされた膣液とこびりついた白濁の跡を二人は丁寧に舐め取っていた。
     猫でも可愛がるかのように、マルスは満足げに二人の頭を撫でる。
    「さて、せっかくお客さんが来ているところだ。リリアにも味合わせてやろう」
     マルスはじゅるちと舌なめずりをした。
    
         *
    
     村に招かれたリリアは一人のエルフの家へ連れられ、テーブルで料理を振舞われていた。
     マルスの指示を受けたエルフが、礼儀正しい従者のようにリリアを歓迎してくれたのだ。
     振舞われているのは鹿の肉と木の実を合わせて作られた極上のスープに、スライスされた燻製ハム、野草を盛って仕上げたサラダといった品々だ。
     どれも携帯食料などとは違う格別の味だ。
     リリアはおわんのスープを啜る。
     食えるときに食っておこうと遠慮なく料理に手をつけるが、この状況はとても怪しい。エルフが人間に従い、人間を村長のように扱っている。ペットのように安物の首輪まで付けられ、どう考えてもおかしな事態がこの村で起こっている。
    「何故、エルフが人間などに」
     リリアは尋ねた。
     聞いた噂ではエルフは個体数がとても少なく、それ故に普段は安全な森の奥に身を隠すという。人間は争い、戦争を起こすからだ。そのためにエルフの高い身体能力を利用したがる人間がいるから、仲間の数が減ることを恐れた大半のエルフは人里離れた土地で暮らしている。
     と、旅する先々の村や町では聞いていた。
    「それは……」
     目の前の金髪エルフは言葉を濁す。
    「はっきりと教えて欲しい。マルスとは何者だ? 奴は何故、このエルフの村で偉い立場についているのだ」
     リリアは追求する。
    「……奴はゲスだ」
     屈辱に歪んだ顔で金髪エルフは答えた。
    「どういうことだ?」
    「奴は我々を支配している。おぞましい手を使うあの男に、我々は抗えなかった。だからこうして我々は……」
     金髪エルフは悔しそうに拳を握り締める。
    「どういうことだ。奴は一体……」
    「リリア。今すぐ村を出るのだ。ここにいれば奴は必ず――」
     金髪エルフが言いかけた。
     その時だった。
     コンコン、
     ノックの音と共に返事も待たずに戸が開かれ、ずかずかと男が部屋へ上がりこんでくる。
     ――マルスだ。
     やけにニヤニヤしたマルスはテーブルの前へ、リリアの座る前までやって来た。
    「リリアさん。あなたは旅の人間なのでしょう?」
    「その通り、旅で暮らしている」
    「女が一人で旅をしているとあらば、きっと剣の腕も相当なものなのでしょうな」
     マルスはリリアの腰に刺さった剣を見やってきた。
    「かもしれんな」
     答えると同時に、金髪エルフが慌てた声を上げる。
    「いかぬ! リリア! こいつはおそらく――」
     いいかけた言葉は、しかしすぐさま遮られた。
     マルスの一睨み。
     その目つき一つが彼女を怯ませ、口を閉ざさせてしまった。
     ――知りたい。
     一体、この男の何がエルフを支配しているのか。何故、人間がエルフの中で上の立場に立てているのか。謎に対する好奇心がリリアを?き立てていた。
    「何か用事があるのだろう? マルス」
    「いかにも、わたくしは剣の立ち合いを見物するのが趣味でしてね。是非、うちの村でも最も腕の立つエルフと手合わせをして頂きたいのですが」
    「エルフと手合わせ、か」
     高い身体能力を持つエルフ族。
     それを相手にどこまで自分の力が通用するのか、試してみるのも悪くない。
    「どうです? リリアさん」
    「よかろう。受けて立つ」
     リリアは席を立ちあがった。
     できるだけマルスと接触してみるのだ。彼の近くにいることによって、彼の何がこの村で支配力を発揮しているのかがわかるかもしれない。
     行ってはならない。
     とでも言いたげな金髪エルフの目がリリアを見ていたが……。
     しかしリリアは、それでも好奇心を抑えることはできなかった。
    
     村の真ん中、開かれた土地に呼ばれたリリアの前に、一人の美貌のエルフが立っていた。エルフとはこぞって美しい種族だが、しかし他の誰よりも彼女は輝いて見える。
     長い銀髪を風になびかせた凛々しいエルフの女騎士だ。
    「彼女はレミリア、この村の最高の剣士です」
     マルスはやけに丁寧に喋る。
    「レミリアだ! お手合わせ願いたい」
     彼女は高らかに名乗り、剣を引き抜いた。
     首元をみれば、やはり安っぽい首輪がついていた。
     この村のエルフには何故か全員、同じ首輪が付けられている。
    「リリアだ! あなたと手合わせできることを光栄に思う」
     自分もまた剣を抜き、お互いに構えをとった。
     緊迫の空気。
     張り詰めた静寂の中、二人はまず睨み合っていた。
     その道の手練というのは、相手の動きを先まで読める。どんな時、どのように動くのか。積み上げられた経験によってある程度の予測が可能なのだ。
     リリアが見立てる限り、レミリアの経験量はとてつもない。ただならぬ覇気のオーラからすれば、おそらく筋一つでも動かせばその瞬間に先の先まで手の内を見透かされるだろう。
     だが、それはリリアも同じだ。
     もしレミリアが下手な動きを見せようものなら、リリアとて相手の動きを先まで読む。どのような動きで剣を振るうのかを読み取って、それに合わせた動きを取ればあっというまに完勝というわけだ。
     読み合いが続いている。
     こうしていても、お互いにらみ合ったままで何も展開は変わらない。いや、それどころか先に集中力が切れ、心に隙を作った方の負けとなる。するとあっという間に虚を突かれ、たちまち負けることになるだろう。
     寿命の長いエルフにとって、集中力の持続では人間より遥かに有利だろう。
     ならば――。
     リリアはわずかに切っ先を揺らしてみる。
     あえて自分の動きを読ませ、隙を晒し、誘いをかけるのだ。
     瞬間、レミリアは地面を蹴って踏み出してきた。
    「はぁ!」
     ガキィイン!
     激しい金属音と共に剣と剣が混じり合う。
    「やるな、人間」
    「あなたこそ」
     リリアは相手の剣を押しのけ、突きを繰り出す。レミリアはそれを弾き、続けざまに円を描くように切りつけてくる。リリアは背中をそらして回避を行い、剣を大振りしたレミリアの隙を狙う。が、レミリアはすぐさま構えを取り直し、リリアの剣を受け止めた。
    「人間がここまでやるとは」
    「甘くみていたのだろう? だから簡単に踏み込んできた」
     リリアは混じり合う剣をなぎ払い、打ちつける。剣を叩かれたレミリアの腕は横に開かれ、ボディががら空きとなった。
     その瞬間を狙い、リリアは剣を突き付ける。
    「わ、私の負けだ……」
     リリアの切っ先はレミリアの喉元に触れる直前で止まっていた。
     いや、かすかに食い込んでいる。巻きつけられた首輪にほんの少し、わずかながらに切っ先が食い込み、首輪の装飾を傷つけている。
     立ち合いはリリアの勝利に終わった。
    「はっはっはっは! さすがですな!」
     マルスはぱちぱちと拍手しながらリリアに歩み寄る。
     どこまでも怪しい奴め。
    「お世辞はいい。聞きたいことがある」
     リリアはその切っ先をマルスへ向けた。
    「ほう、なんですかな?」
    「私の目は誤魔化せない。あなたから感じる覇気の強さは騎士のもの。あなたがこの村を支配しているのは、その剣の腕ゆえか!」
    「剣、というのは違いますな」
    「何?」
    「あなたにも体験させてあげましょう。快楽を――<イけ!>」
     その瞬間だった。
     リリアの秘所が熱くなった。子宮の奥から込み上げるような欲望の熱が沸騰し、吹き上がり、穴の先から愛液が噴出する。
    「こ、この感じは一体――! あっ! あ! あぁっぁぁぁぁぁぁぁあああ!」
     スカート状の鎧の下、覗けて見える太ももから滝のような愛液を流しながら、魔力によってリリアは絶頂に果てていった。
    
     目が覚めると、リリアは椅子の上にいた。
    「ひゃあ! あぁぁん! あぁあぁぁ!」
     そして目の前では全裸の男女が――マルスとレミリアが交じり合っていた。マルスが正常位で腰を振り、奥を突かれるレミリアは喘ぎ仰け反りよがっている。人間を相手に、気高いエルフがあらぬ痴態を晒している光景がリリアには信じられなかった。
    「マルス! 何をしている!」
    「見ての通りセックスだ」
     マルスは先ほどまでの丁寧語などなかったように、調子付いた男口調でレミリアを突き上げる。
    「ひぃあぁあ! あぁあ! いやぁぁあ! あああ!」
     レミリアは腰をくねらせるようにして、甲高い喘ぎをあげている。突かれるたびに豊満は乳房が上下に揺れ、口元からはだらしなくヨダレが垂れていた。
    「今すぐやめろ!」
     リリアはいきり立った。
     何故なのか、リリアは拘束されていない。気絶したところを捕らえたのなら、腕の一つも縛られていてもいいはずだが、どういうわけかリリアは椅子に座らされていただけで自由の身だ。おまけに腰には武器まで残っている。これでは抵抗してくれと言っているようなものだ。
     何か裏があるに違いない。
     拘束を必要としない理由が何かあるのだ。
     ふと気づけば、首にはあの例の首輪が巻かれていた。安っぽい首輪の微妙な締め付けを皮膚に感じ、リリアは自分の首に触れてみる。やはり皮製の家畜やペットにでも巻くような程度の代物だ。
     そんなものを巻かれるなど、屈辱を感じる。
     リリアはゆっくりと剣の柄へ手を伸ばし、ぎゅっと強く握り締めた。
     ――瞬間。
    「<座っていろ!>」
    「うあ!」
     マルスの言葉と同時に、リリアは見えない重力に襲われた。まるでいきなり空気が重くなり、それが肩から圧し掛かってきたかのように重さに立っていられなくなり、リリアは膝を折り曲げ、尻餅でもつくように椅子へ戻った。
    「これは……! 何かの魔法か!」
    「ああ、そうだとも。その<隷属の首輪>を巻かれた者は所持者の命令を何でも聞く。お前は俺に逆らえないというわけさ」
     つまり、拘束はされていた。
     手足を縛るのでなく、呪いの首輪を巻きつけることで抵抗を封じているのだ。
    「ゲスめ! これでエルフの村を支配していたのか!」
    「そうだ。俺は魔導騎士だからな――<イけ!>」
     マルスが唱える。
    「ひゃぁぁぁぁああああ!」
     レミリアはたちまち絶頂し、力尽きたように動かなくなった。
    「それも魔導の力か」
    「魔力の才能を持つ騎士には能力が発現する。俺に備わっているのは女をイかせる力だ」
    「破廉恥な能力だな」
     女を自由に絶頂させるということは、果てさせることができるという意味だ。もし、戦いの最中に強制的な絶頂を迎えさせられれば、戦闘は不利では済まされない。勝ち目がない。まさに女殺しの能力だ。
     その力でもってエルフ達に絶頂を与え、力を失ったところへ<隷属の首輪>を巻く。戦いでも勝てないというのに、加えて魔法の呪縛で捕らえられるのだ。二重の見えない拘束がエルフ達を縛り、今はリリアさえも捕らえられている。
    「俺は女を支配する。俺だけのハーレム帝国を作り上げる! そのために旅先で女しかいないエルフの村があると噂を聞きつけ、こうして支配しに来てやったというわけだ! くはははははは!」
     マルスは怒張したそれを剥き出しにしながら、リリアの前に立ちすくんだ。
    「とことんゲスだな。そんなことのために魔導を使うか」
    「ふん。魔導騎士は魔力の維持に儀式行為が必要となる。体を傷つける、絶食する、瞑想する。魔導を発現させた騎士達には様々な儀式行為が能力と共に宿ってしまう。魔力を維持するために必要な俺の場合の儀式行為は――セックスだ」
    「なんという奴だ」
     それでは、まさしく性行為のためだけに生まれたようなものではないか。
     まぎれもない女の敵だ。
     下らぬ野望を持ったマルスを野放しにするべきではない。
    「リリアよ。貴様に抵抗手段はない。まずは俺の一物でも咥えてもらおうか」
    「何だと? 誰がそんな――」
    「おいおい、<隷属の首輪>があるんだ。お前は咥えないわけにはいかないんだよ。ふふっ、悔しいだろうがやってもらうぞ? <咥えろ!>」
     首輪の魔力がリリアの全身を蝕み、神経の内側からリリアを支配する。
    「くっ! 体が勝手に……」
     力で抵抗するも、むなしい行為にすぎなかった。
     リリアあえなくマルスの元に膝をつき、その亀頭先端へ唇を近づけることとなった。
    
     目の前にそそり立った肉棒が、しだいしだいにリリアの顔へ近づいてくる。
     いや、リリア自身が動いているのだ。
     リリアのぷっくりとした唇がペニスへ迫り、やがて太く長く隆起した亀頭の先と接触寸前になっていく。
    「うっ……くっ……」
     首に力を入れて抵抗し、なんとか頭を後ろへ下げようとする。だが、それができない。そもそも抵抗のために筋に力を入れること自体ができず、まさに己の体が勝手に操作されている。
    「観念するのだな」
    「おのれ……」
     リリアに唯一できた抵抗は、マルスを睨み上げることだけだ。
     睨みながら、リリアの大きく開いた口がマルスの亀頭を包みこむ。
    「う~ん。いいじゃないか」
     リリアの口へ少しずつ、太い肉茎が埋め込まれる。長かった棒の半分近くまでがリリアの口内へ隠れていき、プルプルの熟れた唇が肉棒を締め付けた。
    (おのれ! こんな奴のを……)
     リリアの舌は勝手に動いた。口内でべろべろと這いずり回り、肉棒へまんべんなく唾液をまぶしていく。
    「上手だ上手だ」
     やらせているのはマルスだろうに、煽るかのようにリリアの金髪を撫でてくる。
    「んじゅるっ、じゅるぅぅぅ」
     相手の腰を抱くような口奉仕でリリアは頭を前後に振るう。引き抜くように、そして押し込むように、前後運動と共に舌と唇で肉棒の表面をなぞり摩擦し、唾液を塗りつけるようにねっとりとした刺激を与える。
    「おら、出すぞ?」
    (や、やめ……!)
     これだけでも堪えきれない屈辱なのに、飲まされるのだけはまっぴらだ。
     リリアは必死の思いで頭を後ろへ動かそうと気を張るが、決して体は自由にならない。リリアの肉体はリリア自身の意思を離れ、やりたくもない口技を披露するばかりである。
    「んじゅぅ、じゅるぅぅぅ」
     卑猥な水音をたて、鈴口を吸い、そして貪る。
    「おらおら、いくぞ? 発射だ!」
     マルスはリリアの口内に精を弾けさせた。熱いザーメンを左右の内頬に撒き散らし、口内を白いコーティングで覆い尽くす。ムワ……と舌に染み入る青臭い味に満たされ、リリアは表情を歪めた。
     ゴクン。
     喉が勝手に精を飲み込み、食道を通じてマルスの白濁が胃袋に収められる。
    (く、悔しい……)
     こんな男の汚液が体内で吸収され、リリアの肉体に取り込まれてしまうのだ。
    
    「ほら、今度はその胸を使え」
    「このっ……」
     腕が勝手に動く。
     リリアは鎧の胸元から金具をぱかりと外し、甲冑のあいだから豊満な乳房を露出する。乳の狭間に肉棒を誘い込み、挟みこんだ。しごくように摺り合わせ、リリアはマルスに快楽を与えていく。
    「う~ん。上手じゃあないか」
     マルスはご機嫌にリリアの頭をポンポン叩き、撫でまわして髪をくしゃつかせる。
    「貴様……」
     悔しながらのパイズリがマルスに優越感を与えていき、それに比例するかのようにリリアの屈辱感も増していく。出したばかりで縮みかけていたマルスのソレだが、みるみるうちに硬く膨らみ元の元気を取り戻していた。
     剛直の熱さを乳房の間に感じ取る。乳圧をかければかけるほど乳房の肌に肉棒の熱を感じ、ビクンと脈打っているのまでもが伝わってくる。
     こんなにも熱く硬いものだなんて、リリアは生まれて初めて実感していた。
     最低な男を相手に……。
    「ほれ、いくぞリリア」
     ぺニスがドクンと唸りを上げ、乳の中からびくびく仰け反る。
     白い噴水がその先端から噴きあがり、アゴから顔が白濁にまみれていく。顔射されたリリアの顔にはドロドロとした精の塊がこびりついた。
    
    「さあて、寝そべるんだ」
     とうとう穴の入り口にマルスの亀頭があてがわれ、それがゆっくり埋め込まれる。
    「うっ、く……。こんな奴に……」
     熱く太いものにねじ込まれ、太い亀頭がリリアの膣口を押し開く。狭い膣道を拡張しながら侵入され、リリアは熱い鉄棒でもねじ込まれたような心地に突き上げられる。
    リリアは純潔を奪われた悔しさに打ちひしがれた。こともあろうに女を性玩具のようにしか考えていないマルスの肉棒が、自分の中に出し入れされているのである。体内で、膣内で動く硬い感触が嫌というほど伝わってきた。
    「ぐぅっ、抜け! 抜けぇ!」
     マルスは無慈悲に膣壁をえぐり、最奥を突く。
    「どうだ? 気分は! 言ってみろ!」
    「最悪に決まっている!」
     リリアは顔中の筋肉を引き攣らせた。
    「ふはは! 俺は気分がいいぞ!」
     マルスはリリアの腰を掴み、リリアの悔しがる顔を上機嫌に見下ろしていた。腰を打ち付けることで乳を揺らし、上下に弾む乳房の有様を眺めて目で楽しみ、それでいて肉棒でのピストン運動だ。
    「ひきぃぃぃっ」
     破瓜の痛みにリリアは喘ぐ。
    「いい声だ。このまま俺の味を覚え込ませてやる」
     膣口はまるで粘土だ。硬く熱い肉塊の出入りで穴の形は変形し、膣壁がマルスの形に合わせて拡張される。自分がこのままマルス専用になってしまうような恐ろしさが込み上げて、リリアは必死で無意味な抵抗に打って出た。
    「抜け! 抜けぇぇえ!」
     わめきあげ、押し出そうと腹に力を入れる。
     だが、下腹部への力は膣口をキュっと引き締めペニスを締め付ける。かえってマルスを悦ばせるだけになり、抵抗の意味をなしてはいなかった。
    「ほれ、ほれ!」
    「や、やめ! もうやめろ……!」
     猛々しかった女騎士は涙を浮かべ、屈辱に引き攣った顔でマルスを睨む。ロクに抵抗も出来ないリリアの悔しがる表情は、それこそマルスを悦ばせるためのエッセンスであった。
     マルスは調子付いたにやけ顔で腰を振る。
    「ふぁぁぁ! やめろぉ……」
     何度も奥を突かれ続け、リリアの声は弱りはじめていた。
    「ほれほれほれぇ!」
    「ひぃぁぁぁ……」
     リリアはその金髪を振り乱す。
    「さあ受け取れ!」
     そしてだ。
     最奥に亀頭をあてがった肉棒はビクビクと脈動し、熱い精を膣内に吐き出す。胎内に広がるドロリとした白濁の熱に、リリアは自分が何をされたのかを深く実感した。
    「き、貴様……。中に出すなど……」
    「ようこそ女騎士リリア、俺の村へ」
    
     その後、周辺の村や町にはある噂が広がっていた。
     森の奥にある村を訪れ、二度と帰った女はいない。
     そこへ行った女は必ず奴隷にされてしまうと。
    
    
    
    


     
     
     


  • 最終話「契約の儀式」

    前の話 目次

    
    
    
     しかし、討魔剣士として生きるということは、パートナーとなる男と性を交える運命を意味していた。決められた男に純潔を捧げ、戦うたびにその人から回復の儀式を受けなくてはならない。
     そのパートナーは大人達によって決められる。
     女側に選ぶ権利があるとは限らない。
     討魔剣士は十五歳の誕生日を迎える際、その日に男を紹介され、処女を捧げる契約の儀を執り行う掟がある。
     凛菜はそれを両親から聞いて知っていて、それ自体には覚悟があった。
     気に入らないのは確かだし、何が悲しくてそんな回復方法しかないのかはわからない。他に方法があればいいのだが、それしか確立されていないのなら、そういうものとして受け入れる以外に道はない。
     それが嫌なら、家を出て行く宣言でもするしかない。
     しかし、あれ以来から使命感を抱くようになり、復讐心さえ燃やしている凛菜にとって、家を出る選択肢はありえない。あの時の無念を晴らし、同じような被害者を出さないためにも、誰かが戦うべきなのだ。その義務感を背負った凛菜は、例え誰に抱かれようとも戦う決意を固めていた。
     自分は普通の女ではない。平凡な日常には属すことなく、戦いの世界に身を置く以上、ごくありふれた恋愛なんかに憧れることは出来ない。そういう家に生まれ、そう教えられて育った影響もあり、運命は運命として受け入れていた。
     だが、その上で絶句した。
     それは男の紹介の際。
     初めて顔合わせを行うため、畳部屋の中で相手が現われるのを待っていた時である。時間が訪れ、やがて襖を開くと同時に少年が顔を出し、自己紹介をしながら歩んでくる姿を見て、凛菜は言葉を出せなくなった。
    
    「やあ? 初めまして。僕は新谷織田彦だよ」
    
     あまりにも恐ろしいルックスの悪さに全身が総毛立ち、こんな男に抱かれるのかと正直寒気が走ったのだ。
     もちろん、顔なんかを期待したわけではない。
     ごく人並みの人格があって、ごく人並みの身なりさえしていれば、誰が来ようと構わないと考えていた凛菜だが、その凛菜が青ざめるほどの醜悪な容姿を織田彦がしていたのだ。
     まず、目つきがいやらしい。
     まるで視線で嘗め回してくるような、胸だの尻だの、そういう場所ばかりを見ていそうな卑猥な瞳には、色欲ばかりが宿っていそうで、その目つきだけでも十分にゾッとする。
     その上、顔のパーツが悪い。
     まず鼻が潰れていて、ブタに似て穴が前を向いているのだ。頬にはふっくらと肉がつき、両側に垂れているのはブルドッグを彷彿させるし、腹も出ていて体格が悪い。おまけに全身が脂っこくて、夏でもないのに皮膚に汗っぽい何か粘液のようなものが出ていて、触れとネバネバしているように思えて、心底最悪だと思った。
     醜悪すぎる顔、体格。
     いや、見た目で判断してはいけない。
     どんな外見をしていようと、人並み程度の人格であれば、別にそれでいい。
    「は、初めまして。私は如月凛菜」
    「凛菜ちゃんか。可愛いねぇ?」
     鼓膜にネバついてくるような、ねっとりとした声で、初対面からいきなり下の名前でちゃん付けをされ、全身に寒気が走った。
     しかも織田彦は、テーブルを挟んだ向こうに座布団が置いてあるにも関わらず、わざわざ凛菜の隣へ回って座り込む。早速女に触れ、味わってみたいかのような、既に待ちきれないかのような興奮の息遣いで、ギラギラとした視線でねっとりと凛菜を見る。視線は明らかに胸や太ももへ集中していた。
     決まりだ。織田彦は気持ち悪い。
     男としてはハズレの相手だ。
     だが、女を回復させてやれる男というのも、基本的に限られている。嫌だから拒否するとはいかない世界なので、生半可な言い訳ではパートナーを拒めない。如月家や他の家系でも、そのように決まっている。
    「私の回復役になるって、聞いているわ。アンタなんだね」
    「うん。そうだよ?」
    「まずはそうね。心意気でも聞こうかしら。私のパートナーになるからには、アンタも決して戦いと無関係ってわけじゃない。覚悟はあるわけ?」
    「もちろん」
    「どんな覚悟があるのか。聞かせてくれる?」
    「それはセックスだよ」
    「――っ!」
     凛菜は一瞬にして顔を引き攣らせた。
    「ずーっと稽古を頑張ったんだ。可愛い女の子を抱けるんだから、やる気が出るのも当然のことだよね? いつか、いっぱいセックスするのを夢見て、それはもう死に物狂いで頑張ってきたってわけ」
    「ふざけないで!」
    「へ? どうして?」
     織田彦はきょとんとする。
    「あのねぇ? こっちは命懸けなのよ? もし戦いに負けて、妖力がゼロになるまで吸われてしまえば私は死ぬ。アンタだって、妖力の高い男は見つかり次第命を狙われる。それをふざけた理由で――。信じられない!」
     凛菜は激高していた。
     こちらは親友を殺され、その無念を胸に抱いて今日までやってきた。あの時何も出来なかった自分が許せなかったし、同じ被害者を増やしたくない。れっきとした思いを抱いた凛菜の前に現われるのが、よりにもよってセックスがしたいだけの理由の男だ。しかも、恥を知らずにいけしゃあしゃあとそれを自慢げに口にしたのだ。
     本人はそれを怒られたことできょとんとしている。自分が何を悪い事を言ったのか。自覚できていない顔だった。
     頭がおかしい。顔で判断してはと思ったが、織田彦の顔には人間性がそのまま現れているに違いない。
    「僕ってこんな顔でしょ? 他にモテる方法なんてないし、いつ命を狙われるかはわからなくても、確実に誰かとセックスできる世界にいた方がいいと思ったんだ」
    「馬っ鹿みたい! アンタ馬鹿でしょ!」
    「うーん。情熱的って言って欲しいな。男はセックスのために命懸けになれるんだよ?」
    「ああもう、完全にふざけているわね。アンタ。自覚が足りないっていうか……」
     覚悟と使命感を抱く凛菜に対して、完全にどうかしている織田彦。
    「けど、掟はわかっているよねぇ?」
     じゅるり、と。
     欲望にまみれたケダモノの舌なめずりで、汚らしいヨダレの音を立てながら、既に興奮している荒い息遣いで迫ってくる。熱くて臭い息がかかるほど、顔を近づけられ、正座の太ももへ手の平を置いてくる。
    「お、掟ね。わかっているけど……」
    「だったら、受け入れないと駄目だよ?」
     ふぅーっと、粘り気を帯びたような息が、耳の穴に吹きかけられ、凛菜はゾッと身震いした。
     掟において、男の欲望を拒んではならない。
     回復の儀を執り行うには、男女が同じ場に揃った状態で精力を発散するわけだが、男側が満足しなければ、儀式が不発に終わる可能性がある。たとえ男にとって満足のいく性交でも、両思いの愛情に満ちたセックスであっても、確率のランダム性という理由で、数百年の歴史においても回復失敗の記録は多かった。
     そこで、成功率を高めるための措置が研究され、決められたパートナーと契約を結ぶ術法が生み出された。
     契約という見えない繋がりを男女のあいだに作り出すことで、不発に終わる可能性は限りなくゼロに近づく。
     ただし、男の欲望発散が儀式行為の手順なので、基本的に相手の趣向を満たさなければ回復の儀は成立しない。フェラチオといわれれば咥えなくてはならないし、体位に関する欲があるなら、それも満たしてやらなくてはいけなくなる。
     回復の術者は男であり、満足したり、欲望が発散できて楽しい『感情』を術法の手順のうちに含んでいるため、それを阻害すると簡単に不発になる。決して阻害せず、契約まで結ぶことにより、初めて絶対的確率で回復に成功するのだ。
     女は相手を受け入れるべしというのは、そのため掟の一部とされている。
     拒むことが許されるのは、刃物で生体を傷つけるような加虐的な趣味であったり、排泄物を飲食させる人体に有毒な行為など、目に見えて過激な趣味趣向の場合に限られる。
     そして、女の怪我や病気に関わる性癖の持ち主など普通はいない。あるとしても、コスプレだとか体位だとか。風呂場でしたい、外でしたいなど。肉体的な怪我や健康被害の危険がない限り、大半のプレイ方法が許されている。
     男を拒める掟など、事実上無いのと同じだ。
    「稽古は厳しかったよ。妖力を高めるために滝に打たれて、穴に落とされて、色々と過酷な目に遭ってきたけど、それでも僕は頑張れたんだ」
    「……へ、へえ?」
     織田彦は肩へ手を回し、スカート越しの太ももを撫でている。明らかなセクハラに凛菜は顔を引き攣らせ、冷や汗ばかりを流した表情を浮かべていた。
    「ずっと前から、君の写真を見せてもらっていたからね」
    「――っ!」
    「こんなに可愛い子とセックスできるって運命が決まっていたから、僕はそのためだけに修行をしたんだ」
     織田彦の手が、セーラー服の腹へと移動する。服の内側へ潜り込み、ヘソ回りの肌を直に手で確かめ始め、脂っこい、気持ち悪い手の平の感触に全身が総毛立つ。
    「アンタ最低ね。私としては掟は守るけど、もっとマシな自覚は持てないわけ?」
    「まあまあ。セックスへの欲望だって、命を賭ける理由になるよ? 人間の三大欲求。とても気持ちいいことだから、たとえ淫魔妖怪に狙われるかもしれなくても、リスクがあっても構わない覚悟はあるよ?」
     腹の肉を撫でていた手が、セーラー服の内側で上へとスライド。ブラジャー越しの乳房を揉み始め、初めてそんな目に遭った凛菜は、さすがのさすがに耐えかねてしまった。
    「やめろ!」
     突き飛ばした。
    「ぐへぇ!」
     片手一本で押しのけられた織田彦は、情けなく畳に倒れる。
    「今は回復の儀の最中でも何でもない! アンタみたいのがパートナーなのはこの際仕方ないにしても、私に触れることになるからには、その最低な根性を叩き直して貰わないと困るわ」
    「だ、だって……」
     まるで小さい事もが言い訳を始めるような、幼稚で情けのない口調の声を出す。
    「だって何?」
    「だって、討魔剣士は性処理道具だって習ったよ?」
    「――なっ!」
    「満足いく『感情』が回復の儀の手順の一部だから、性奴隷とかペットとか、そんな風に考えるのがコツだって教えられたよ?」
     なるほど、術の行使にあたっては、それはコツなのだろう。
     しかし、そんな風に思われて、それを堂々と公言までされ、実際にセクハラまでしてくる相手をだ。はい、そうですかと、快く認めて受け入れるほど、凛菜の心は広くない。
     掟だから、仕方は無いが……。
     もしも掟が存在せず、そんな回復方法が必要なければ、こんな男には絶対に触れもしないし、視界にだって入れたくない。最低の人種に間違いなかった。
    「契約を結ぼうよ。凛菜ちゃーん」
     織田彦は笑いながら、よだれを垂らした欲望まみれの卑猥な顔で立ち上がる。
     十五歳の誕生日、討魔剣士は契約を結ばなくてはならない掟である。
     受け入れるしかなかった。
    
         ***
    
     真夜中。
     畳を敷き詰めた障子の部屋の中央には、契約の儀を執り行うための、魔法陣によく似た円形状の図形が描き込まれていた。もちろん、日本製の術式なので、西洋のものと違って、図形の内側に並んだ文字は全て漢字か東洋の記号である。
     円周のラインに沿ってロウソクが並べられ、小さな火の数々だけが灯りとなって、暗闇をぼんやり明るく照らしていた。
    「さあ、始めようか」
    「……ええ」
     魔法陣のさらに中央に置かれた布団の上で、お互いに膝を向き合わせ、これから行う情事に対して、織田彦とと凛菜はそれぞれの感情を抱いていた。
     二人の衣装は白く薄い着物である。
     契約の儀に合わせ、事前に身体を清めてあるため、この内側には何一つ着ていない。儀式の手順として、下着類は着用しないため、お互いに布一枚だけを纏っている。
     まず、織田彦が言葉を放つ。
    「これより、我に結ばれる者として、その素肌を晒されよ」
     儀式上の言葉。
     それに従い、凛菜は着物の紐を解き、布団の上に脱ぎ落とす。男の性感情を満たすための存在になるために、これからの関係を明らかにするために、女は自らの手で裸体を見せてやらなくてはならないのだ。
     凛菜の肉体は鍛え込まれている。
     そのため、腰は引き締まり、脚のラインもすらっとしている。丸く育った乳房は垂れることを知らずに前へ突っ張り、その下にあるヘソ周りには、薄っすらと腹筋の肉が見える。下腹部の恥毛は手入れがされ、逆三角形の形に綺麗に短く切り揃えてあった。
     凛菜はそれら全てを見せるため、直立不動のまま手は横に下ろしていた。
    
     恥ずかしい……。
    
     当然、恋を知らずに生きてきたため、男に肌を見せるのは初めてだ。覚悟はあるにせよ、羞恥心の強い年頃なので、裸になれば顔も赤く染まっていく。恋愛にまつわる願望はほぼ捨てている凛菜だが、恥じらいという意味では、やはり立派な乙女であった。
     癪だった。嫌だった。
     最低としか思えない人種の男が、醜い顔で満足そうな表情を浮かべている。胸やアソコを舐めるように見て回し、ニヤけているのが、本当に気に喰わない。
    「我に従う者として、その秘密を明かされよ」
     赤面しきっていた凛菜の表情が、さらに歪んだ。
     次の手順では乙女の秘密を口にして、その情報を相手に与えなくてはならないのだ。
     相手の顔を見ないため、筋力の許す限り、強くまぶたを閉ざしながら、凛菜は震えた声で言葉を放つ。
    「……あ、明かします。この胸の膨らむのは十の頃、冬の時。この毛が生えしは十一の頃、春の時。女の血を流したのもまた、十一の頃、春の時」
     乳房の時期、陰毛の時期。初潮の時期さえ口にした。
     こんな情報を口にするのは、例えるなら、秘密にしていた日記を読まれるのが可愛いほどに恐ろしく気まずい。とても顔など合わせられず、視線をどこかへ逸らしたり、唇を丸め込んだり、恥ずかしくて気まずい気持ちが、表情にありありと浮かんでいた。
    「従う心を、その身によって示されよ」
     次は肛門を見せなくてはならない。
     身を捧げゆく象徴として、ただ裸になるだけでなく、さらに恥ずかしい部位を相手の視線に晒さなくてはならないのだ。
     背中を向けると、織田彦の視線が尻に集中するのがよくわかった。
     戦いの修行を重ねた凛菜にとって、相手の視線を察することは容易い。例え視界を隠していても、気配によって背後のものを感じ取れる領域に達しているため、織田彦がいかに凛菜のお尻をよく見ているのか、必要以上によくわかった。
     凛菜の尻はプリっと膨らんでいる。ハート型のように丸々と肉を盛り上げ、艶やかな肌質の表面にロウソクの火を反射した光沢を敷いている。淡いオレンジの光が影を作る分、割れ目の溝がより深く見えていた。
    
     これから、お尻の穴を……。
    
     凛菜は悲しく俯く。
     下手をすればアソコよりも恥ずかしい、汚い排泄のための穴なんかを、織田彦の視線へ晒さなくてはいけないのだ。
     だが、自分で決めた道でもある。
     淫魔妖怪は許さない。容赦無く斬り捨てる。
     凛菜はそのために、自らの尻たぶを両手に掴み、影に隠されていた割れ目の中身を広げて織田彦へと見せつけた。
     汚れ一つ無い、綺麗な桃色の雛菊皺。
     織田彦の視線はそこに集中的に突き刺さり、凛菜は顔から湯気が出るほどの熱い赤面に見舞われ、傍から見れば何ともいえない構図が完成していた。直立した少女が指を尻たぶに沈めて割れ目を開き、正座で姿勢を正した少年が、じーっと穴を眺めている。
    
     くっ、こんな奴に……!
     これって、何秒やるのよ!
     屈辱すぎる……。
    
     人の視線をほぼ皮膚触覚で感知できる凛菜にとって、一点に視線が集中するということは、存在しない透明な指をピタリと置かれているようなものだ。両側へと皺の伸びた肛門を、まさにツンツンつつかれて、もみこまれているような気持ちが、凛菜の心を締め上げていた。
     熱にうなされてもおかしくないほど、凛菜の赤面した顔の温度は上昇していた。
     目元は潤み、今にも涙がこぼれ落ちそうになっていた。
     どんなに戦う覚悟があっても、この儀式に対して腹を括った気持ちがあっても、体を見られて恥ずかしいことだけに関しては、立派な十五歳の少女に過ぎない。
     むしろ、そのせいで男子の目線を意識したオシャレを試したり、スカート丈を短くしてみる挑戦をしてみた経験が皆無なのだ。日常を捨てる決意をした分、修行の成果で戦う力を身につけたという自信もつき、自分は戦士なのだという自覚を持っている。人知れず平和を守る存在としてのプライド意識さえ芽生えていた。
     それだけに、恋に恋する平凡な少女の方が、よっぽど男の視線を浴び慣れているといってもいい。
     プライド意識がある分、こんな格好悪い真似をしている情けなさにも泣けてくる。
    
     ま、まだなの? いつまで見てる気よ!
     こっちは死にそうなのに……。
    
     織田彦は正座の姿勢のまま足を歩ませ、もっと肛門をよく見ようと接近する。前のめりになってまで覗き込むのが、凛菜にはよくわかった。
     まるで一点に直線レーザーが照射されていて、顔が近づいてきたせいで、その出力が強まったように感じた。
    
     絶対に一分以上経ってる!
     もういいでしょ?
     早く、早く! 早く終わりにしなさいよ!
    
    「ふぅー……」
    「――!」
     息を吹きかけられ、あまりにもギョッとした凛菜は、仰け反るかのように顔を天井の真上へ向け、そのまま強くまぶたを閉ざした。顔の筋力のある限り、限界まで頬肉が強張り、唇は強く結ばれ、クシャクシャと形容してもいいほど、凛菜の表情は歪み切った。
     目が皺の本数を数えることさえ、皮膚の感覚で察知できる。上から時計回りに一本ずつ、放射状のラインをなぞって、織田彦は肛門の皺を数えている。
    
     人を恥ずかしさで殺す気なの? コイツは!
     いい加減にしてよ! いい加減に……。
    
     あまりのことに涙が出て、まぶたの閉じた左右の目から、それぞれ一滴ずつだけ、頬を伝って流れていった。
    
         ***
    
     実際、何分間肛門を視姦されたのかはわからない。数分以上だったのは間違いないし、いっそ一時間近くにさえ感じられたが、そんな長い長い時間を経ることで、凛菜はやっとのことで視姦から解放された。
     恥ずかしかった余韻が抜けない。染まりきった顔の赤みはすぐには引かず、耳もせいぜい色が薄まっているに過ぎない。織田彦を睨み付けなければ気が済まない、本当は殴りつけさえしたいような、惨めな屈辱を味わった表情を凛菜はしている。
     儀式は次の手順へ移る。
     それは同時に本番が近づくということでもあった。
     もう、かなり近い。
     凛菜の処女は織田彦のものとなる。
    「よいしょ」
     織田彦が立ち上がる。
     次に凛菜が行う作業は、織田彦の着物を脱がせてあげるという作業である。契約の儀式は女が男の性癖に従う義務を明らかにする意味合いを兼ねているので、相手を脱がせることさえ、凛菜の方からしてあげるのだ。
     腰のあたりの紐を解き、裾を下へとひっぱると、白い着物は脱げ落ちる。
     これでお互いに全裸になった。
     そして、さらに次へ移っていく。
    「この唇を捧げます」
     凛菜は自ら、織田彦の胸へ縋りつくようにして、瞳を閉じた顔を向けることで、言葉通りに唇を捧げるポーズを取る。
     織田彦の汗っぽい肌は、密着するとその粘り気が自分の肌に粘着してくるかのようで、ぞっとするほど気持ち悪い。そんな嫌な男の腕が、背中へと回され、抱き締められ、自分の体がこんな男のものになっていくのが悲しく思えた。
     唇が重ねられ、全身が総毛立つ。本来なら反射的に身が引っ込み、思わず相手を突き飛ばしかねないほどの悪寒に満ちていたが、こうなることが初めから決まっていたおかげで、凛菜は強い気持ちで耐え忍んでいる。
     ぼってりとした厚い唇の感触が、ぐいぐいと凛菜の唇に押し付けられ、ネバっこいかのような鼻息がフウフウと吹きかかる。
    「――んっ!」
     織田彦の唇の狭間から、舌がぬぅっと伸びてきて、それが凛菜の唇に触れたことで、凛菜は反射的に身を震わせた。やはり、思わず自動的に頭を引っ込めかねないほど、それは気持ち悪い感触に思えたが、凛菜は辛抱強く耐えていた。
    「ちゅぶぅっ、れるぅ――」
     舌が絡み合い、貪るように口内を蹂躙される。蠢くように凛菜の口内を冒険し、歯の裏側や頬の内肉をまさぐっていく。唾液が流し込まれ、舌にその味が広がり、自分の口腔が腐食に犯されていくような、おぞましい心地を覚えていた。
     やがて口を離すと、唾液の糸が引いていた。
    「この胸を捧げます」
     凛菜は儀式の言葉を呟く。
     織田彦は乳房を掴み、両手で丹念に揉み始めた。撫でるように触感を確かめつつ、指に強弱をつけて揉み、指で乳輪に触れて乳首を摘む。
    「この尻を捧げます」
     織田彦は再び抱きつき、背中に巻きつけた腕を下へやる。尻たぶを包み、撫で回し、存分に触り心地を確認してから揉み始める。
     次でいよいよだ。
    
    「私の処女を捧げます」
    
     そんな声を絞り出した。
     そして、凛菜は布団に体を寝かせ、両足の膝を立てる。開脚することで股の手前に織田彦を招き入れ、本番直前の緊張した気持ちに心臓が大きく弾む。
     この男が、凛菜の処女を破るのだ。
     超え太ったせいで皮膚はたるんで、顔の造形も醜悪に崩れている。ブルドッグのように頬肉が垂れ、ブタのように鼻が上向きになった容姿は、本当に気持ち悪いとしか形容できない。顔だけではなく、人間としての中身も同じようにゾッとする。欲望に満ちた下半身だけでものを考える奴なのだ。
    「えへっ、えひひひひっ、イヒヒヒヒ」
     息を荒げた織田彦は、犬がエサにありつくかのように、勢いよく秘所に顔を接近させ、閉じ合わさった性器の観察する。まじまじと眺め、指でクパっと中身を開き、薄ピンクにところどころ血管の赤みをまぶした肉壁が晒される。
    
     み、見てる! そんなところ……!
    
     処女を散らすまでへの最後の手順として、凛菜が本当に処女であるかを、こうして織田彦は確認しているのだ。
     人としての尊厳が壊されていく。プライドに罅を入れられ、何かを失ったような喪失感にさえ見舞われた。
    
     死にたくなる……。
     こんな、こんな!
     覚悟はしてたけど、こんなに……!
    
     トン、と。織田彦の指先が、凛菜の下腹部の陰毛あたりを軽く叩いた。
     妖術だ。
     男の少ない妖力でも習得かのうな、女の感度を引き上げて、瞬く間に愛液を分泌させる淫らな術――。
     挿入の準備のため、織田彦は術を使って、凛菜のアソコを汁の滲んだ状態へ変えたのだ。
     そして、いよいよだ。
    
     さ、されちゃう……。
     このまま、よりによってこんなのに私の初めてが……。
    
     亀頭の先端が割れ目に触れて、ぴたりと潰れる。生まれて初めて股間同士が触れ合う緊張に全身が強張って、凛菜は自分の気持ちをほぐそうと、全身の力を抜いていく。
     納得のいかない気持ちはある。
     戦いに一定の意識を持つ凛菜に対し、性欲を動機にしている織田彦だ。顔に目を瞑っても、運命に覚悟を決めても、それだけが納得いかない。
     納得ができないまま、割れ目に亀頭が触れるところまで来てしまった。
     もう、このまま入ってくるのだ。
    
     は、はじまる……。
    
     亀頭が膣口を圧迫しながら入り口を拡張する。ただ受け入れるしかない肉棒が、腰の進行によって押し出され、亀頭をだんだん埋め込んでいく。未経験だった小さな穴は、それに合わせて広がって、裂傷のように一部を裂く。
     これが、初めての痛みだった。
     痛みには個人差があるし、戦闘訓練を積んだ凛菜にとって、怪我そのものは怖くない。初めてセックスをすることに関して、痛みという理由で恐れはない。ただ乙女にとって大切なものが、本来ならおいそれと渡すことのない、目には見えない財産が、織田彦なんかの手に渡ろうとしているのだ。
     そういう緊張と、そういう恐れ。
     このまま自分は織田彦のものになるのだという、その事実が決定付けられてしまうことに対する恐れが、緊張感で凛菜の体を硬くして、顔もどこか強張っていた。
    
     ――あ! ああ……。
     は、入って……!
    
     腰の進行がさらに進んで、亀頭は全て膣へと埋まる。
     さらに竿までゆっくりと、スローモーションのように入り始めて、自分の処女がこうして散らされていることを、凛菜はありありと実感していた。こんなにもゆっくり、丁寧に挿入しているのは、織田彦が初めての挿入を味わおうとしているからだ。
     ゆっくりと入れることで、一度しか出来ない処女への挿入を、できるだけ長く味わおうとしているのだ。
    
     なんで、こんな人だったんだろう。
     男ってこいうもの?
     他にマシな人、いたはずだよね……。
    
     織田彦はじゅるりと舌なめずりをして、凛菜の処女を奪った事実に満足そうな表情を浮かべている。戦利品でも勝ち取ったような誇らしげな顔で、荒い鼻息をあげている。肉竿の半分以上が埋まり、根元まであと少しだ。
     凛菜ちゃんの処女を奪ったのはこの僕だ。
     僕が凛菜ちゃんの初めての相手だ。
     と、そう言いたげな表情がよくわかって、自分の膣に入っているのが、そういう男の肉棒だという事実をますます実感させられる。
    
     全部、入った……。
    
     先端から根元にかけて、全てが埋まり、凛菜の膣壁の狭間で蠢いている。
     ゆさゆさとしたピストン運動が開始され、凛菜は物言わぬまま揺らされる。勝ち誇った顔で自分を犯す織田彦の顔を、凛菜はただ見ていた。
     ボディランゲージというように、相手の動きや顔つきを見ていれば、どんな気持ちで腰を振っているのかよくわかる。セックスありきを名言していた織田彦は、こうして女を自由にできる立場を使って、相手を欲しいままにしているのだ。
     欲望のまま、相手を玩具にしたがっている。
     全裸を鑑賞され、肛門を視姦され、アソコを見られ、そして挿入されている。
     その一つ一つが、これから性処理道具としてデビューするための入門手続きに思えて、この儀式も織田彦も、何もかもが恨めしく思えてきた。
     これが、凛菜の初めてのセックスだった。
    
    
    


     
     
     


  • 時槻雪乃とエロマッサージ 後編

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     それでいて、事後避妊薬を求めるためにも、忌まわしくてたまらないものを口の中へと含むため、雪乃は大きく唇を開いていた。
     殺したい、殺したい、殺したい!
     吹き荒れる殺意を抑え、精液のぬるりとした汚れさえ残った汚いそれに、だんだんと口を近づけるに、自分がフェラチオをするのだという事実が悲しくて、何もかもが納得できずに泣けてきた。
     肉棒から放出される熱気が、その熱によって変わる空気の温度が、近づくだけ近づいた舌と口内へ流れ込み、まだ咥えもしないうちから雪乃は不快感に顔を歪める。
     だが、これも……。
     こんなことから生まれる精神の苦痛でさえも、雪乃は復讐の糧に変えようとしているのだ。
    
     ぺろり、
    
     舌の先で、亀頭の先端をそっと舐め上げ、オシッコを出すための器官なんかに、本当に口をつけてしまったことにゾっとする。舌先から根元にかけ、顎にまでぶわっと、みるみるうちに鳥肌が広がった。
    「……やってあげるわ」
     雪乃は舌でペロペロと奉仕を始めた。
    
     ぺろ、ぺろ、ぺろっ、れろっ、ねろっ、ぺりょっ、ぺろ、れりょ――。
    
     屈辱、絶望、羞恥、辱め。そんなものに心が折れ、部屋にでも引き篭もって塞ぎ込むのは、“普通”の世界に暮らす“普通”の女の子だけで十分だ。憎い男のものだから舐められないなど、それさえも“普通”が生み出す弱い人間の感情だ。
     雪乃は捨てた。そんなものは今から捨てた。
    「あむっ、ちゅぷっ、じゅるぅ、じゅむぅ……」
     屈辱こそを味わうため、雪乃は自ら手に握り、根元を持って唇を押し当てた。亀頭の先を少し頬張り、慣れない初めは亀頭ばかりに奉仕する。赤黒い部分の約半分だけが雪乃の唇に出入りして、それが繰り返されるにつれ、そこは雪乃の唾液がまぶされていた。
     初めてなりに雪乃は励んだ。
    「んむっ、んっ、ちゅっ、じゅれろぉ……べろぉ……」
     カリ首までを飲み込んで、亀頭を丸ごと口内に迎えると、舌で撫で付けるようにぐるぐると舐め込み始める。
    「んじゅっ、ふじゅっ、じゅずっ、じゅれっ、れじゅぅ……」
     こんなものを口の中に入れていると、従わされている実感が大きくなる。上目遣いで睨んでいれば、仁王立ちで偉そうに雪乃を見下ろすニタついた視線と目が合って、対する自分は膝などついて奉仕している。
     それも事後避妊薬がなければ赤ちゃんが出来てしまう、だから薬を下さいという、かなり弱い立場から、こうすることで避妊薬を貰えるようにお願いしている。
    「美味しそうに舐めるじゃない」
     からかうような中年の笑み。
     雪乃の胸の中に沸騰したような怒りが湧き上がって、キッ、と睨むと、これほど不味いものはないと心で返す。
    「はむぅぅぅぅう…………」
     喉が塞がりかける一歩手前の部分だけ、入りきるまで肉棒を咥えると、大きく顎を開いていなければならない負担を感じる。従属感ともいうべきような感情が沸き起こり、自分にこんな思いをさせるフェラチオなどという行為に、一層のこと腸が煮えくり返る。
    「んん、んじゅるっ、じゅぱ……つじゅぅ……ずりゅ……ちゅつぅ……」
     肉棒の表面に残った牡香が、鼻腔にも口内にも広がって、そのツンとした青臭さの不快さに表情が歪んでいく。
     頭を前後に動かせば、太いあまりにべったりと貼り付けているしかない舌が、肉竿の長さをなぞって頭と共に往復を繰り返す。雪乃が頭を引くにつれ、唾液のまぶされた肉棒が吐き出されて、前に進めるにつれて飲み込まれる。
    「じゅりゅ……ぷっ、はじゅぅ……じゅっ、ぢゅっ、ちゅっ、じゅぅ……」
     口にでもどこにでも、さっさと射精すればいい。気を保たなければ、いっそうっかり噛み切るかもしれないものに刺激を与え、どれだけの気持ちよさかは知らないが、とにかく快楽をくれてやり、雪乃は射精を待ち望んだ。
    「飲んでね」
     と、その時だ。
     がっしりと、急に頭を掴まれた雪乃は、屈辱を飲み干すために精液を待ち侘びて、舌の上でビクっと弾み上がるのを感じ取る。
    
     ――ドクゥゥ! ビュッ、ビュクン! ドクドク! ドピュン!
    
     複数回にわたってビクン、ビクンと、脈打ちのように弾んだ肉棒から、一度ずつにわたって精液が打ち込まれ、それが雪乃の口内にべったりとかかっていく。上顎の内側に、頬の内側にあたって喉の奥にも。
     かくして肉棒を吐き出すことは許されても、精液は口に含んで咀嚼して、斉藤の注文によってよく噛んでから、唾液とじっくり混ぜ合わせたあとに飲み干した。
     汚いものが腹に収まる。その忌まわしさを内側に感じつつ。
    「じゃあ、約束通り事後避妊薬をあげようじゃないか」
     と、斉藤は言う。
    「お風呂で遊んで、あと何回かヤったらね」
     そんな言葉を付け足して、あと何時間も雪乃は中年男性の相手をした。
    
         ***
    
     もみ、もみ、もみ、もみ――。
    
     施術用ベッドに腰をかけ、まるでベンチに座るかのように両足を垂らした時槻雪乃は、凝りを解消するために肩を揉んでもらっていた。痛いほどに指が食い込み、うなじにあるツボも押してのマッサージは、専門的に見ても真っ当な施術と言えた。
     ただし、パンツ一枚の格好でなければ。
     施術用に用意されるはずの紙ショーツは与えられず、脱ぐだけ脱いだ雪乃が履くのは、黒いゴシックロリータ調のパンツである。
    「どうせやることをやるんでしょう? こんなことは時間の無駄よ」
    「焦らない焦らない。こうして、だんだんと気持ちよくしていくんだから」
     二人の関係は脅迫者と被害者だ。
     あれから撮られた動画の鑑賞までさせられて、自分の痴態を映像によって拝んだ雪乃は、復讐者としての糧を培うためにこのマッサージ店に通っていた。二回目も三回目も、最初は純粋なマッサージに始まって、それがしだいに性感目的のマッサージに切り替わると、最後にはただの愛撫やセックスの時間と化す。
     今回にしても、肩凝りを取り除き、身体の流れを治す施術で、腕を持ち上げるだの何だのというストレッチまでさせられた。マッサージの知識などない雪乃でも、服さえ着ていればごく普通の整体現場なのだとわかった。
     雪乃をうつ伏せにさせ、背中に手の平を置く斉藤が、全身の体重を駆使したマッサージで腰や肩甲骨に圧をかけ、ぐるぐると回してやるような手順を施す。太ももからお尻にかけて揉むのでさえ、欠片のいやらしさも感じなかった。
     しかし、アロマオイルが出てくると、もうそれは性感目的のマッサージとなっていき、手足の指の一本ずつにかけても丁寧に、軽やかなタッチで慰める。四回目になる雪乃には、それが女の肉体を興奮させるためにある『技術』なのだとわかっていた。
     全身がオイルの光沢によってヌラヌラ輝き、指の股までくまなく塗り込まれた雪乃には、少しずつ息が乱れてスイッチが入る。太ももの付け根にある、アソコに触れかねない際どいラインにオイルが塗られ始めると。
    
     じわぁぁぁぁ……。
    
     アソコが濡れた。
     オイルとは別の理由でワレメが輝くのを待つように、焦らしの聞いたマッサージにやたらに時間を尽くされると、愛液の香りがだんだんと漂っていた。
     ここまで濡れた雪乃は、されるがままにパンツを脱がされ、その脱げていく際には、ぬるりとした水分のためにクロッチがアソコに張り付き、粘着力の弱いテープを剥がす瞬間にあるような、若干の抵抗と共に布地が性器を離れていく。
     布とアソコのあいだには、銀色の糸がいやらしく束になり、その大半はプチプチと弾けて一本しか残らないが、その生き残った一本が一センチ、二センチと伸びていき、五センチ以上も伸びてようやく糸は千切れた。
     かくして全裸のオイル濡れとなる雪乃は、アソコと胸の愛撫で手始めとばかりに何度かイカされ、たっぷりとセックスの快感を味わわされる。
     この四回目になる『施術』では、実に二時間にわたる性交に及ぶのだった。
    
         †
    
     ――その数日後、五回目。
    
     左腕に撒いた包帯を噛み締めて、声が出るのを必死に抑える雪乃の体位は、自ら上下に動き続ける騎乗位だった。
    「――んっ、んぐっ、ぐっ、んっ、うっ、んっ」
     決定的な喘ぎ声は抑えても、歯が閉じていても出る呻き声が、喘ぐ代わりに絶え間なく出され続ける。
    
     ちゅぷっ、じゅぷっ、ずぷっ、ずぷ――。
    
     軽やかなバウンドの繰り返しのようにして、上下運動を続ける雪乃は、髪も揺らして快感に悩まされ、その動きに合わせてオイルまみれの乳房もプルプルと揺らしている。ハンドカメラを握る斉藤の前で、撮られることの辱めに浸る雪乃は、自分のセックスの記録が残ることへの恐怖や憎らしさに不安を手に入れ持ち帰った。
    
         †
    
     ――六回目。
    
     時槻雪乃はパイズリをやらされた。
    「よくもこんなことを思いつくわね」
     斉藤の方がベッドに座り、雪乃が床に膝をつくという、客と店員の立場が逆転した構図で、乳房のあいだに硬い肉棒を抱き込んで、上下にむにむにとしごいていく。
    
     むに、むに、むに――。
    
     身体ごと乳房を動かし、押し潰すつもりのように乳圧を与え、顎にぶつかりそうな亀頭を舐めろと言われて時折舐める。
    
     ――七回目。
     バックで犯し尽くされた。
    
     ――八回目。
     行う体位の数が多かった。
    
     ――九回目。
     今日は奉仕の命令が多かった。
    
     十回目、二十回目、三十回目……。
     それだけ通って、激しい快楽や絶頂が日常の一部に成り下がり、それでも雪乃は<雪の女王>であり<騎士>だった。
     自分の目指す理想の化け物へと、それが性交の強要などという形であろうと、雪乃は最後まで憎しみを溜め続けた。
    
    
    


  • 断章のAV~万引き身体検査~ 第3話

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      破瓜の血がつーっと垂れ出し、同時に、痺れるような痛みが膣内を支配する。
    「――――っ!」
     雪乃は顔を歪めた。
     濡らされたとはいえ初めてだった入り口は、男の太い肉棒には狭かった。それが強引に押し入ったことで肉壁が拡張され、肉棒の形に合わせて引き裂けたのだ。
     男は一心不乱に腰を振る。
    「――っ! あぁぁ……!」
     初めてでは快楽などなく、性感というよりじわじわ来る痛みに雪乃は喘ぐ。
    『とうとう許しちゃったわね。可愛い雪乃』
    「うるさい……! っあぁぁ……!」
     誰がただで許したものか。
     囁く風乃をねめつけると、雪乃はそのまま押し倒された。両手を机に押さえつけられ、伸し掛かるようにして腰を振られる。下腹部で剛直の出入りする、体内に向かって鉄の肉塊がピストンしてくる感触が生々しい。その硬さや熱気が如実に感じられていた。
    「お前も俺の! 俺の女だ! 俺の! 俺の!」
     恐ろしいほどギラついて、唇をベロベロと貪られる。唾液を塗り込まれる気持ち悪さに全身が総毛立ち、口内を犯されないよう必死で歯を噛み締める。しかし、やたらに力の強い男の長い舌は、生物のようにうねって唇を強引に押し開く。
    「ん! んくっ、んん……!」
     歯を、歯茎をいいように舐めまわされ、長い舌先は頬の内側を通ってくる。噛み合わせた歯を舌愛撫された挙句、結局は歯の隙間を押し開けられ、口内を完全に蹂躙された。
    「んっ! んぐぅ……!」
     雪乃は涙目になりながら、やはり、と。犯されながらも確信を抱いた。
     口内を舐め回してくる男の舌は、異様に長い。世の中には特別長い人間もいるのだろうが、目の血走ったこの男は雪乃の喉奥に到達しそうなほどに舌先を伸ばしてくる。舌にしてはあまりにもウネウネと、生物のように自在に動きすぎているとしか思えなかった。
     雪乃の舌は男の舌に絡め取られ、巻きつくように雪乃を攻める。口移しのように唾液を送り込まれ、汚い粘液が舌を通って不快な味を感じさせ、自分の喉まであっという間に到達してくる不快感に鳥肌が立つ。
     このまま口を塞がれていては困る。
    
     がりっ、
    
     雪乃は男の舌を噛んだ。
     普通の人間なら悶絶するほど、肉を食いちぎってやる勢いで歯を食い込ませ、みるみるうちに血の味が広がってくる。にも関わらず、男はなおもディープキスを続行し、雪乃の唇を味わうことをやめなかった。
     やはり、これは手遅れだ。
     男はひどく目が血走っていた。眼球に浮き出た血管の筋が濃くなって、それが白目全体に広がっていき、水晶体が破裂して血の塊が弾け飛びそうなほどの異常な充血をみせていた。
    「俺の……俺の女!」
     ようやくキスに満足した男は、乱暴に乳房を揉むようにしながら、狂った獣のように腰を振る。
    「俺の! 俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の俺の!」
     必死なまでに声をあげ、目の前の女体を我が物とせんばかりに最奥を突き込む。
     それはもう、単なる気の違った人間の姿などではない。充血した眼球から血の涙を流し、舌を噛まれた口から赤くなったヨダレを垂らす。全身から血管が浮き出て今にも破裂しそうになっている男の姿は、もはや<異形>と呼ぶしかないものだ。
     そんな異様な存在に、雪乃は犯されている。
     しかし――。
    
    「――<私の痛みよ、世界を焼け!>」
    
     次の瞬間、男の背中から火炎が噴きあがった。まるで皮膚から噴火でもするかのように、内側から衣服が破け、真っ黒に炭化したチリが宙を舞う。
    
    「――ぎぃぃぁぁあああああああああ!」
    
     男は絶叫するも、腰振りをやめない。
     背中を火の海に変えながら、皮膚の表面を炭化され、だんだんと内側の肉に火力が到達しているにも関わらず、男の関心はセックスだけにあった。
    「俺の! 俺の! 俺の女ァア!」
     大胆なストロークで腰を押し込み、膣壁を抉る。
    「いあぁぁ……!」
     雪乃は痛みに仰け反りながら、再び叫ぶ。
    
    「<焼け!>」
    
     さらに火炎が膨れ上がり、天井にまで届かんばかりの火柱が男の背中から吹き上がる。うなじが焼け、肩の肩甲骨まで炭になり、焼けもげた両腕がぼとりと落ちる。臓器にまで炭化が進行し、そして――。
    
     ぐたっ、
    
     と、動かなくなった男が、それでも膣に肉棒をはめ込んだまま、仰向けの雪乃にぐったりと伸し掛かった。
    
    
         *
    
     それから、雪乃の連絡により、もはや人ではなかった男の遺体が処理された。ここに至るまでの事の顛末を<ロッジ>に語り、泡禍への対処を行ったことを説明したが、もちろん犯された事までは口にしなかった。
    『男は女を欲しがるもの。罪人を裁くという名目で、という事だったのかもしれないわね。買い取っていない商品はあくまで店のもの、取られたら取り返す必要があるでしょう?』
     悠々と語る風乃の言葉に雪乃は耳を貸さなかったが、それでも風乃は勝手に語り続けた。
    『神様の見た淫らな夢か。それとも、ひょっとしたら乙女を襲う狼の悪夢だったかもしれないわね。自分は狼に襲われる。そんな悪夢の物語でもあったのかも』
    「!」
     もし、その解釈通りだとしたら、犯罪被害という悪夢に遭った少女こそが<潜有者>という事になる。
    「……姉さん。この<泡禍>はまだ、終わっていないの?」
    『そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。少なくとも、私達が来た頃には、とっくに<潜有者>の辿りようなんてなくなっていたわよね? 男はもう狂っていたもの』
    「…………」
    『また同じような素敵なお店が現れるかもしれないし、だけど少女がトラウマを忘れれば、そんな心配もなくなるわよね』
     雪乃は歯噛みした。
     全ては終わったのかもしれないし、続いているのかもしれない。どちらともつかない上、それを特定する手がかりも残っていない。ただモヤモヤした気持ちを抱えていくしかないというのだ。
    「本当に最悪ね」
     <泡禍>が憎い。
     また同じような店があったら、潰してやる。
     雪乃はただ、それだけを強く思った。
    
    
    
    


  • 断章のAV~万引き身体検査~ 第2話

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     最近、とある事件があった。
     事件といっても、それは誰にも知られていない隠れた一件――警察に知らされることもなく、ならば当然報道されることもなく、密かに闇に消えた事件である。
     ある一軒のコンビニに勤めていた男は、自分は一生女性と縁のない奴だと嘆いていた。学生だった頃から女子生徒とは口も聞けずに、一度も彼女が出来ることもなく一人身で過ごし続けてきた。
     それでも男同士でさえあれば表面上は明るくハキハキとしていられたおかげでコンビニに勤めることはできたが、自分に恋人ができることなど想像さえできずにいた。
     自分は誰とも付き合えない。
     そう思い込んでいたある日、女子高生が万引きをしているのを発見した。棚の前で妙にキョロキョロしているのが気になって、じっと様子を伺っていたのだ。気づかれないようひっそりと、レジで外を眺めるフリをしながら横目でチラリと見ているうち、商品の文房具を素早くバッグへしまい込む瞬間を確かに見たのだった。
    「君、今何か盗ったでしょ」
     そう声をかけると、女子高生はぎょっとしたように固まった。事務室へ来るように告げると、ひどく緊張したようなたどたどしさで案内に着いて来た。
     初めはただ、一人の店員としての純粋な対応を試みていた。万引き犯が出た場合、どうするべきかのマニュアルを思い起こしながら、動機や反省の態度を少しずつ確かめていくつもりにすぎなかった。
     しかし、その日は夜勤で店員は自分一人しかいなかったため、他に客のいないタイミングだったため、夜中だというのにやって来た女子高生と二人きりだったのだ。誰もいない、二人きりという状況が男の欲望を掻き立てて、一つの考えを実行せずにはいられなくなった。
    「君、他にも何か盗ってない? 服に隠したりとかしてないか、確認させてもらおうか」
     ボディチェックと称して少女の体を貪ろうと、欲望のままにその体から制服を引き剥がそうと動いたが――。
    「いっ、イヤァァアアアア!」
     悲鳴があがった。
     女子高生は恐怖に喚き散らし、ポケットにあった防犯用のスタンガンを振り回す。そうして争いとなって、押さえつけるのに手間取っているうちに、スタンガンの電流が首筋にあたってしまった。
     男は倒れ、その隙に少女は逃げ出し――。
     自分も万引きをしていたからか、それとも単に性犯罪の被害に遭いかけたなど人には話せなかったのか。
     ともかく、この一件で女子高生は通報を行うことはなかった。
     ただ忘れようと必死になり、少女は事件を記憶の闇に葬るのみだった。
     そして、暴力という強硬手段を使ってさえも女体を貪る機会を得られなかったその男は、自分は一生誰とも愛し合えない絶望に沈んでいき――。
    
     その後、そのコンビニを訪れた一部の女性は……男の食指に触れた女性は、何故か必ず万引き犯として扱われるようになった。
    
     もちろん、女性達は何も盗ったつもりはない。
     しかし、バッグやポケットの中を指摘されると、必ず商品が出てくるのだ。触れた覚えすらない文房具は、本人の知らず知らずのうちに“発生”している。まるで沸き水が沸き出すかのようにドロドロとした粘液が沸きあがり、やがてそれは形を無し、消しゴムやシャープペンシルの形を成す。
     見た目の上では商品でしかないその文房具は、悪夢により発生するものなのだ。
    
         *
    
     じぃ…………
    
     雪乃はその綺麗に整った乳房を視姦され、顔を赤らめていた。
     デスクに座らされ、そこから足を下ろしている雪乃はセーラー服をたくし上げられ、乳房を完全に露出している。穴の空くほどじっくりと見つめられ、自然と乳首が立ち上がっていた。
    「いいオッパイだねぇ」
    「…………っ!」
     投げかけられる言葉に雪乃は歯噛みし、屈辱を飲み込む。
    
     モミモミモミ……。
    
     無遠慮な手つきが雪乃の乳を揉みしだく。まんべんなくこね回しながらも、指を立てて乳首を虐める。
     顔を埋め、乳首に吸い付いてきた。
    
     チュゥゥゥゥ
    
    「くぁっ……あぁ……」
     吸い上げられ、唾液の滴る舌先でなめずられる快感に雪乃は喘ぐ。
     そして男は雪乃の全身を撫で回した。
     背中へ手を入れ、首の付け根から腰周りまでにかけてを丁寧に撫で上げ、スカートの太ももに手を乗せる。
    「上半身には何もないようだね」
    「そう言ったはずですが……」
    「下半身はどうかな?」
     スカートの内側へ手を潜らせ、男は雪乃の秘所を指でなぞった。
    「くっ……」
     ゆったりとしたスライドの往復で男は恥丘の膨らみを味わい、もう片方の腕を背中へ回し雪乃を抱きつつ、男は雪乃をデスクに押し倒した。
    「やっぱり触っただけじゃわからない」
     男はショーツのゴムに両手をかけ、
    「――あっ!」
     雪乃は反射的に股を押さえて下着を守ろうとするが、間に合わない。素早かった男は即座にパンツを引き抜いて、仰向けになった雪乃の両足を持ち上げる。性器だけではない。尻穴から乳房まで全てを拝み尽くせる姿勢にされ、雪乃はみるみる赤くなる。
    「ふふ、いい姿だ」
    「……変態、何もないでしょ?」
    「どうかな? 中身までしっかり確認しないとわからないな」
     肉ヒダを指で開いて、蠢く乙女の秘穴を覗き込む。
    「――――っ!!!」
     自分の大切な秘密を覗かれて、それだけで悶絶するほどの恥ずかしさが雪乃を襲った。グラデーションがみるみる濃くなっていくかのように雪乃の顔は赤くなり、ともすれば体調が悪いと言えるほどまで熱っぽく、耳まで熱く染まっていった。
     男に肉ヒダをなぞられて、肉芽がゆっくり突起する。
    「――いぃ!」
     クリトリスへの刺激に裏返った声をあげた。
    「この奥に何かを隠していないかな? しっかり確認しないと」
     確認と称した愛撫にみるみるうちに濡らされて、愛液が光を反射する。サーモンピンクの恥肉はキラキラ輝き出していた。
     男はそこに顔を埋め込み、舌先でベロベロとなめずる。
    「く……くはぁ……」
     舌に突起を舐めずられ、膣口にねじ込まれる。
    「クチュ……クチュ……」
    「ん……あぁぁ……」
     雪乃の息は確実に荒くなっていた。
     男はどうしようもなく上手い。まるで初めから弱点を知られているかのように、弱いところを突いてくるのだ。それが堪らなく気持ち良くて、不快に思う裏腹で身体は素直に反応していた。
     熱の篭った吐息は官能的に、雪乃の顔を淫らに仕立て上げている。頬の赤い顔から漏れる熱い呼吸にはたっぷりと淫気が含まれて、男をますます興奮させるには十分なものだった。太い股間が体積を増し、はちきれんばかりに勃起する。
    「奥まで……奥まで調べてやる!」
     男はガチャガチャと金具を鳴らし、ベルトを外す。
     つまみ出した肉棒の先端を入り口に押し付けて、そして一気に、雪乃の膣を貫いた。
    
    


  • 断章のAV~万引き身体検査~ 第1話

    目次 次の話

    
    
    
     僕たち人間とこの世界は、<神の淫夢>によって脅かされている。
     神は実在する。全ての人間の意識の遥か奥、集合無意識の海の深みに、神は存在している。
     この概念上『神』と呼ばれるものに最も近い絶対存在は、僕らの意識の遥か奥底で有史以来ずっと眠り続けている。眠っているから僕ら人間には全くの無関心で、それゆえ無慈悲で公平だ。
     ある時、神は淫夢を見た。
     神は全知なので、この世に存在するありとあらゆるエロを一度に夢に見てしまった。
     そして神は全能なので、眠りの邪魔になる、この人間の意識では見ることすらできないほどの巨大な淫夢を切り離して捨ててしまった。捨てられた淫夢は集合無意識の海の底から泡となって、いくつもの小さな泡に分かれながら、上へ上へと浮かび上がっていった。
     上へ―――僕たちの意識へ向かって。
     僕らの意識へ浮かび上がった<神の淫夢>は、その『全知』と称される普遍性ゆえに僕らの意識に溶け出して、個人の抱える固有の欲望と混じりあう。
     そしてその<淫夢の泡>が僕らの意識よりも大きかった時、淫夢は器をあふれて現実へと漏れ出すのだ。
     かくして神の淫夢と混じりあった僕らの淫夢は、現実のモノとなる。
    
         *
    
    「ちょっと君、待ちなさい」
    
     コンビニを出ようとした時、時槻雪乃は後ろから店員の男に呼び止められた。
     一体何の用があるのか。泡禍を探すパトロールの帰り、何か買っていこうかとコンビニに立ち寄ったが、土壇場になって今は小銭を減らすのはやめておこうと思いとどまった。そこまで財布がピンチなわけでもなかったが、無駄遣いはやめようと考え、結局は何も買うことなく立ち去ろうとしていた。
     呼び止められたのはそうした時であった。
    「なんですか?」
     雪乃はひどく不機嫌がちに振り向く。街をまわっても何ら収穫はなく、もう今日はさっさと帰って休もうかと思っていた時だ。不意に他人に止められては、少しはイラつきもする。
     だが、その不機嫌な顔もすぐさま崩れ去った。
     店員の顔はどこか奇妙だった。
     目が虚ろで焦点が合っておらず、ひたすら虚空を見つめている。肌はどこまでも蒼白で、色白というより病的に白い肌をしている。息は興奮したかのように荒れており、美貌の雪乃を前にしてか、興奮してハァハァと呼吸音を立てている。
     男の異様な様子もさることながら、気づいてみれば雪乃以外には一人の客もいない。ここは割りと駅の近く、交通量の多い割と繁盛しやすい条件の土地に思えるが、なのに深夜でも早朝でもないのに客が雪乃一人など、おかしいといえばおかしい状況だ。
     自動ドアのガラスの外も、何故か人の姿が消えている。夕方近く、まだまだ通行人がいてもおかしくない道のはずが、雪乃とこの店員以外には全く人の気配がないのだ。
     まるで、二人きりの空間が出来上がっているかのような状況だ。
     もしや、今ここで何かが起こりかけているのだろうか。
    「君、何か盗ったでしょ」
    「いえ、別に」
     意味のわからない疑いに、雪乃は警戒心を強めた。雪乃はもちろん無実であるどころか、結局は何も買わずに帰るところだったので、商品に手を触れさえしていない。一方的に疑惑をかけてきているのは明らかだ。
     しかし、雪乃はそんなことよりも別の意味での警戒をしていた。
     今にもでも泡禍が起こるのではないか。そうした警戒の元、雪乃はきりっと視線を強め、ポケットの内側にあるカッターナイフの存在を意識した。
     今はセーラー服、ゴシックロリータの装いはないが、いざという時の備えには問題ない。あとは油断はしないことだけだ。
    「最近、万引きが多くてね。今日も商品の計算が一個合わなかったんだよ。君、ポケットに何か入っているんじゃないの?」
    「何もありませんが」
     厳密にはスカートのポケットにはカッターナイフがあるが、商品とは関係がないので言う必要はないだろう。
     いつでも取り出せるようにと、雪乃はポケットの内側に手を差し込む。
     すると――
    「……っ!」
     ――あるはずのない四角い感触に、雪乃は驚愕した。
     雪乃は間違いなく、商品に手を触れもしていない。なのにポケットの中には、ビニール包装に包まれた四角いゴムの感触があった――ケシゴムだ。
     雪乃が見ていたのはペットボトル飲料だけで、そもそも文房具のコーナーはまわってもいないのに、こんなものが入り込むはずがない。そう、あるはずのないものが入っていた。
     間違いない、雪乃はそう感じて咄嗟にカッターを抜く。
    「私の痛みよ――」
     断章詩と共にカッターの刃を伸ばし、今にも手首に傷を刻もうとする。
     しかし……。
    
     ガシッ、
    
     店員の素早い動きに腕を掴まれ、カッターを持つ手首を持ち上げられる。釣りあげられた腕に雪乃の足は浮きかけになり、バランスが崩れる。
    「危ないなぁ、こんなものを振り回すなんて」
    「離しなさい!」
     雪乃はもがくが、男の力には敵わない。またたくまにカッターを取り上げられ、強引に事務室まで引っ張り込まれた。
    
         *
    
    「…………」
     事務室の中、雪乃はじっと睨むような視線を店員に送っていた。
     カッターは既に没収され、店員の机の上に置かれている。さらにはポケットの内側を探られて、何故か紛れ込んでいたケシゴムを万引きの証拠として押さえられた。スカートの上から、太ももを撫で回す触り方にひどく不快感を感じながら、見つけ出されたのだ。
    「やっぱりねぇ、こういうのは良くないんじゃないの?」
     良いも悪いも元から盗ってはいないのだが、清算の済んでいないケシゴムを証拠にされた手前では、弁解などできようもない。雪乃は何も言う事なく、ただ店員をじっと睨んでいた。
    『しくじっちゃったわね』
     背後から聞こえる風乃の声に、ぎりっと雪乃は歯を噛み締めた。
     間違いなく、この店員の男は<泡>を内包している。風乃の嘲るような声は確実に当たりだたことを暗示しており、なのにむざむざカッターを奪われた自分の失態が情けなく思われる。わざわざ出てくる風乃にもイラつくが、何より自分がミスを犯した点が雪乃の気分を悪くしていた。
    『ここはどうやら、少女を閉じ込める檻だったようね。盗みの罪で鎖をかけて、女の子を捕らえたあと、男は一体どうするのかしら?』
     風乃の囁きから、これから起こされる店員の行動に予測がついて、雪乃は息を呑んだ。女ならば絶対に遭いたくない、しかし逃げ場がなければ抵抗できない事態が待っている。ましてや武器を奪われた今、雪乃は下手な動きが取れないのだ。
     おそらく、ここは一種の異空間のような状態にあるのだろう。さきほど自動ドアの外に通行人の姿がなかったことといい、相変わらず店員と雪乃の二人以外には誰もいないことといい、二人だけがこの場に隔離されていることは明らかだ。
     店員から引き起こされているのは、誰かをコンビニという空間に閉じ込める現象だったのだ。
    「他にも何か盗ってるんじゃないの?」
    「盗ってないわ」
     雪乃はきっぱり否定するが、店員が信じるはずもない。
     いや、そもそも信じる信じないという問題ですらない。男の興奮しきった息遣いと、虚ろながらも欲情しきった目つきを見るに、一体どんな目的で疑いをかけてきたのかも想像がつく。店員は淫らなことを考えているのだ。
    『神様もいやらしい夢を見るのかしらね。それが泡となって浮かび上がって、引き起こされる泡禍は一体どんなものかしら?』
     風乃はただ嗤っている。
     これから雪乃が受けるであろう仕打ちに、にやりと笑みをこぼしていた。
    「本当にこれだけ? ちょっと身体検査をするから、立っていたまえ」
     店員は雪乃ににじり寄り、腕からボディチェックを開始した。肩の上から肘にかけて、そして手首までを順々に撫でるようにして触ってゆき、服の内側に隠されたものがないかを確認していく。
     抵抗も考えたが、雪乃はひたすら耐えていた。
    『そうよ? 今は受け入れるのが懸命な判断。<泡>を持った相手に<断章>無しで挑むなんて、自殺行為だものね』
     そう、雪乃はチャンスを伺っていた。
     どこかのタイミングでカッターを取り返しさえできれば、あとは焼き払ってしまえばいい。雪乃はそのための機会を狙って、獲物を狙う獣のように目を細める。
     二本目の腕がどうようにチェックされ、次は背中を触られた。背後に回りこんだ店員は、全体をまんべんなく撫でるようにして、首の付け根から腰周りまでを余すところなく触ってゆく。特に腰へのチェックが重点的で、お腹にまで手を回しながら、執拗に撫で尽くしてきた。
     そして前から胸を鷲掴みされるが、雪乃はなおも耐え続ける。恥ずかしさに顔を赤らめながらも、机に置かれたカッターへの意識は絶対に外さない。
    
     モミモミモミ……
    
     検査と称した乳揉みはしばらく続き、店員は雪乃の胸を揉みつくす。服の上、ブラジャー越しでも乳房は柔らかく変形し、指の動きの応じてもっちりと形を変える。その乳肉の変形は、服のシワの動きからでもありありと伺えた。
     時には脇に手を差し込み、指でくすぐり、再び胸に手を戻す。しだいに乳房が熱くなり、服の内側で乳首が立ち、感じたくもない快感に雪乃はかすかな身もだえをする。
     ブラジャーに物を隠すなど雪乃はもちろんしていないが、女ならどこにでも商品を隠し持てるということだろう。元よりそういう目的を持った店員は、無遠慮な乳揉みを繰り返した。
     延々と揉まれ続けた挙句、ようやくその手は胸から離れる。
    「座りなさい」
     今度は椅子に座らされ、雪乃は革靴を脱がされた。靴下の内側に物があるかどうかなど、目で見ればわかるはず。それをわざわざ、店員は触ってチェックしていった。
     黒いソックスの上から、店員は雪乃のふくらはぎを揉む。
     その肉感の柔らかさを味わいながら、手をゆっくりと足首で滑らせ、足の甲から平までをまんべんなく撫でつくす。そして両手で持ち上げて、クンクンと鼻音をたてて匂いまで嗅いだ。
    「もう充分でしょう?」
     雪乃は強気に問いかける。
     全身を触らせたのだから、少なくとも他にも盗ったものがあるという疑いは消えるはず。そうなれば、検査を建前にしたセクハラも終わるはずだ。
     そう踏んだが、店員はそこで卑猥な笑みを浮かべた。
    「まだ見ていないところがあるだろう?」
     上半身をチェックし、足までチェックし、残っているのはスカートだけだ。
    「くっ…………!」
     雪乃は悔しげに歯を噛み締めた。
     抵抗さえできるのなら、相手が普通の人間なら、雪乃はとっくに相手の股間でも蹴っているところだろう。カッターなどなくとも、雪乃にはそれぐらいはやる気概がある。
     だが、店員は普通じゃない。
     既に普通の人間から変質して、人の形をしたベツモノへと化している。そんな相手に丸腰で挑むことはできず、やはり今のところ様子を伺うしかない。
     セクハラも充分に最悪な事態であるが、生命を脅かすような状況でないことは不幸中の幸いだ。むしろ、これまでの<泡禍>の危険性を考えれば、この程度で済むうちならばだいぶ幸運である。
     そう、この程度で済んでいるうちは……。
    「もう一度立って」
     店員の命令に、屈辱を飲み込んで雪乃は従う。
     スカートの前に屈みこんで、お尻に手を回してぎゅっと掴んできた。
    「っ! そんなとこまで……」
     店員は雪乃の尻肉を揉みしだく。全ての指を踊らせて、たっぷりと揉みまわす。割れ目のあいだに指を入れ、開かせるかのような動きで揉んでくる。
     さらに太ももの裏から表を撫で回し、スカート越しとはいえ秘所に指を押し当てる。
     嫌がる雪乃は太ももをよじり、反射的にその手を防ごうとする。だが、強引に触れてくる男の指にその程度の抵抗は通用せず、結局は指先で秘所を愛撫された。
     こんな大事な場所を知らない男の指にこねられている、ひどい屈辱に雪乃は顔を歪め、男から目を背けた。
    「服の上からじゃ、何も見つからないね」
    「…………」
    「でも、内側を見たら何か出てくるんじゃないの?」
    「……!」
     男はここで満足するつもりはないというのか。
     このままでは、一体どこまでされるかわからない。早く反撃のチャンスは来ないのかと雪乃は焦るが、今カッターを奪い返しにいっても男にやられるだけだ。もう少し、様子を見るしかない。
     何もできない歯がゆさで雪乃は顔をしかめていった。
    「さあ、まずは胸を見せてもらおうか」
     男の下心満載の指示に、雪乃は従うしかなかった。
    
    
    


  • パトレン3号 明神つかさ 羞恥と凌辱 後編

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     戦いはすぐに始まるわけではない。
     きっと盗撮されているのだろう風呂に入れば、シャワーのあいだに脱いだ下着は持ち去られ、代わりに黒いブラジャーとTバックが置かれていた。敵の趣味に合わせた下着など、真っ平と言いたいが、他の洋服も全て消え、他に着るべきものがないので、着なければ全裸で出て行くことになるだけだ。
     しかし、乳首がギリギリで隠れる布面積しかないブラジャーに、紐が尻の割れ目に埋没して丸出しと変わらないショーツを着用すると、まるでこんな破廉恥な下着を選ぶ痴女として扱われているようで屈辱だった。
    「何故こんなものを! まともな服はないのか!」
     浴室のすぐ外に立つ、脱走防止の見張りに声を荒げる。
    「ボスの命令でね」
    「パジャマなら部屋に置いてある」
     戸の向こうから返って来る、二人の見張り男の返答はそんなもので、つかさが抗議をしてもまともに取り合う意思は見せなかった。
     そして、部屋に移動するのも、やはり抵抗や脱走防止の手錠をかけられ、強制連行のように腕を掴んで強引に歩かせるのかと思いきや、その掴んでくる場所は尻だった。
    「やめろ! 触るな!」
    「お前こそ騒ぐのはやめたらどうだ?」
    「まだ人質を解放したわけじゃないんだぞ?」
     二人の男はニヤニヤと、勝ち誇った顔で言い伏せて、黙るしかないつかさの尻を遠慮もなく揉み続ける。こんな形でグニグニと、尻を掴まれながら歩かされ、元の部屋まで連行されていくつかさの後ろには、そんなつかさを撮影するためのカメラマンがついて来ている。
     延々と廊下を歩かされ、建物内の道順や構造を覚えようとはしてみるが、自分がどこのどんな土地に囚われているのかは検討もつかない。
     部屋に戻され、鉄の扉に鍵をかけられ、監禁されたつかさへと、見張りの男がかける声はこうだった。
    「オナニーしたら覗いてやるよ」
    「いつでもしなよ?」
     そんな風につかさのことをせせ笑った。
     置かれていたパジャマに着替え、どうにか眠りにつこうとするつかさは、知らないうちに充満している媚薬ガスの効果で眠れない。妙なムラムラに肉体を支配され、疼いて疼いて、誰かに触れられたくてたまらない欲望が膨らむと、本当にオナニーをしたくなり、ついついアソコに手をやりかける。
     ――覗いてやるよ。
     男の言葉が蘇り、さらにこの部屋には隠しカメラがあることも思い出す。オナニーすれば、それをネタにして散々にからかい尽くし、度の超えたセクハラによって辱めを与えて来ることは明白だ。
    (お、オナニーはしない……)
     つかさは自らを制し、頑として胸すら触れまい心で踏ん張る。自分の腕を封印するため、力強くシーツを掴み、やがて睡眠欲が性欲を凌駕するまで耐え忍ぶ。眠りさえしてしまえば、ひとまずオナニーはしなくて済むはずだった。
    
     ――眠れなかった。
    
     アソコが悶々とするあまり、一生懸命に太ももを擦り合わせ、股を締め付け、オナニーをしないからこそ膨らんでゆくお預けという苦しみに、全身でよがっていた。駄目だ駄目だと言い聞かせ、何分も何十分も、ついには翌朝の時間を迎えたらしく、他の男と交代して、よく眠っていたらしい見張りの男二人が、爽やかな笑みを浮かべて踏み込んできた。
    「おはようございまーす」
    「昨日は眠れましたか?」
     わざとらしい敬語であった。
    「おかげ様でな」
     ブッブー!
     男の手にはボイスレコーダーに酷似したあの機器が、ハズレを告げる効果音と共に赤いランプを点滅させた。
    「眠れなかったって?」
    「ひょっとしてオナニーしたくて眠れなかった?」
    「馬鹿か! ありえないだろう!」
     ブッブー!
     赤いランプが点滅する。
    「へえ? そうだったんだ」
    「こいつは失敬。そうそう、支給品があるから、使いたければ使うといい」
     男が部屋に持ち込んで来るものは、ピンクローターに太いバイブと、つかさにオナニーを促そうとするものだった。はしたない道具がテーブルに置かれると、それを使ってみたい欲望に駆られてしまい、つかさは咄嗟に首を振り、自分の考えてしまったことを必死に恥じる。
    「おや? 使ってみたいと思いましたか?」
    「ちが……! うぅ……」
     ブッブー!
     嘘を暴かれることはわかっていたが、つい反射的に否定してしまった。
    「ところで、おトイレの世話をしないとなぁ?」
     そうだ。
     つかさにはトイレに行く自由もなく、放尿は必ず撮影される。大便でさえ、スカトロシーンは撮らないとはいえ、用を足したあとの肛門を男の手で綺麗に拭かれ、清潔となった皺の窄まりにカメラレンズを近づけられる。
    「今日は全裸にならないとトイレに行けません」
    「というわけで、ストリップをして下さい」
     すぐにカメラマンが入って来た。
     カメラを担いでニヤける男が、つかさの生脱ぎをしっかりと撮影するため、レンズを一切ブラさないように静止した腕で構えている。
     やむなくつかさは、パジャマのボタンを外していく。
     乳首しか隠していない恥ずかしいブラジャーが、ボタンが一つ外れるごとに見えていき、やがては上一枚を脱ぎ去った。ズボンを脱げば、やはりTバックの恥ずかしいショーツがあらわに、こちらは前から見てもアソコを隠すための布面積がやけに小さい。もしも剛毛を伸ばし放題にしていれば、間違いなく毛がハミ出ていたところだろう。
     ブラジャーを外し、ショーツを脱ぐ。
    「ぐっしょぐしょだー!」
    「よっぽど『寝汗』をかいたんだねぇ?」
     男二人は大喜びでショーツを拾い、一晩かけて染み込んだ愛液による湿気の具合を、わざわざ寝汗と言い換えつつも、明らかに膣分泌液のことを言ってセクハラな言葉を繰り返す。
     全裸で廊下を歩かされた。
     通りすがる男の誰しもが、わざわざ立ち止まってはニヤニヤして、中にはつかさのトイレシーンを鑑賞しようとついて来る者までいた。
     昨日と同じくM字開脚の形に抱き上げられ、尿瓶をアソコに押し当てられ、衆人環視の中でジョロジョロと放尿する。
     大便をするのにも、便座に座っている姿をまじまじ見られ、撮られ、お尻を拭いてもらうためには両手をついて腰を突き出すポーズを強要される。トイレットペーパーを介した男の指の感触が、尻穴の周りをよく拭き取り、綺麗にして、清潔になった肛門を撮るために、指でグイグイ広げてカメラレンズを接近させる。
     そんな扱いを受けることがわかっていても、便意や尿意に耐え切れなければ、トイレの無い部屋で垂れ流すしかなく、そのような品の無い行動を取れないつかさは、泣く泣くチャイムを押して人を呼び、同じ目に遭うべくしてトイレに連れて行ってもらう。
     屈強漢の言う決闘は明日だと聞かされた。
     すると、あのムラムラしてたまらない夜をもう一晩、つかさは耐え抜かなくてはいけない。
     いや、今日は何の撮影もしてこなかった。
     昼から夕方まで、そして夜まで、媚薬ガスの漂っている部屋で過ごすつかさは、オナニーがしたくてしたくて震えていた。
    (どうせここまで辱めを受けているんだ。オナニーぐらい見られても……)
     そんな考えが沸いて来るほど、つかさの身体には媚薬効果が浸透し、吸収され、隅々まで循環して全身の感度が上がっている。気づけば服が肌に擦れることさえ快感で、オナニーを我慢する代わりに、太ももや腰の周りを手で擦り、その摩擦がやけに気持ちいいことだけで耐えようと、忍耐力の限りを尽くして我慢していた。
     オナニーしたい、オナニーしたい、オナニーしたい――。
     テーブルに置かれたピンクローターが、太いバイブが目にチラつき、手に取って触れてみたいと思ってしまう。だが、そうすれば我慢できずに使ってしまう予感があり、つかさは必死にそれを見ないように目を逸らす。
     じわぁぁぁ……。
     と、そこまで我慢していても、だからこそアソコの奥が、性的刺激を求めてつかさの理性に訴えかけ、愛液を漏らしてショーツを汚す。朝のショーツが濡れていたので、新しいTバックに変えられたが、それも恥ずかしい蜜を吸いつつある。
     一時間、二時間、三時間……。
    (お、オナニーしたい……オナニー……オナニー……)
     まだ耐える。
     四時間、五時間。
    (み、見られたっていいだろう。だって、どうせ、でも……)
     より心が傾いていく。
     外ではやがて日が沈み、夜を迎え、つかさはとうとうローターとバイブを手に持ち上げ、エッチな玩具がどんなものかを眺めていた。
    
     ――そうだ。パンツ、濡れてるから……。
    
     どこか言い訳めいて、つかさは下半身裸になる。
     いざ服を脱いでしまったことで、やっぱり盗撮されていることを思い出し、これからオナニーしようとしている今この瞬間を、誰かが見ているに違いないと、つかさはみるみるうちに赤らんだ。
    「だ、駄目だ!」
     急に自制心を取り戻し、せっかく脱いだ下着とズボンを穿き直す。
     こうして、つかさは耐え抜いた。
     そして、オナニーを我慢しすぎたことで、溜まるだけ溜まった体で、つかさは屈強漢との戦いを迎えることになる。
    
         ***
    
     警察チェンジ!
     パトレン3号!
    
     明神つかさが連れて来られたリングは、プロレス会場のようにリングロープに囲まれた試合の観戦施設であった。もっとも、おそらくは地下に作られ、金持ちの権力者が非合法な娯楽を楽しむために存在している裏の格闘技上といったところか。
     そのリング上でパトレン3号に変身して、屈強漢の登場を待つ彼女は、一人の男がマイクを片手にリングに上がり、質問をしてくることに強張った。
    「パトレンジャーの明神つかささんですね?」
    「そうだ」
    「ギャングラーとの関与を疑い、犯罪組織の捜査をして囚われる。その後、様々な仕打ちを受けてここに立っているわけですが――今オナニーしたい気持ちはありますか?」
    「い、今だと!?」
    「そうです。今ここでオナニーしたい気持ちはありますか?」
    「あ、あるわけが…………」
     だが、そこには嘘発見システムが握られている。
     男の唐突な質問に、会場にはざわめきが広がっていた。
    「実はこの子。敵地でオナニーしたんです! それがこの映像です!」
     リングの真上。
     遠くの席でも戦いが見えやすいため、天井から吊るす形で設置され、それぞれ4方向に向けられている4つのモニターに、明神つかさのオナニー映像が流された。
    「や、やめろ! 何を流している!」
     映像の中。
     M字に立てられた脚の向こうに、たっぷりと愛液を纏ってヌラヌラ輝くアソコが移り、それがつかさ自身の指に慰めを受けている。おぞましいほど指は蠢き、愛液を塗り広げ、ついには穴に指を突き立てピストンを開始する。
     くちゅり、くちゅりと、水音が大音量で、何百人とも知れない観客に向けて流され、つかさはかつてないほど狼狽していた。
    「ふざけるな! こんな真似! こ、こんな! 今すぐやめろ!」
    「オシッコの映像もありますよ? あと、トイレのあとお尻の穴を拭いてもらっているところとか、屈強な男の膝に座ってイカされまくる映像なんかも!」
    「黙れと言っている!」
    「お? イってますねぇ?」
     モニターの中にいるつかさは、指を活発に抜き差しして、その挙句に腰をビクビクと弾ませながら、潮を吹いて絶頂している。
    「私と試合をやるんだろう!? か、関係ないだろう! こんなもの!」
     しばらく果てていたつかさは、体位を変えて四つん這いで、カメラに向かって惜しみなく尻を向けたスタイルでオナニーを再開する。あの時はバック挿入のことを妄想して、頭の中では背後から貫かれていた記憶が蘇り、それがますます羞恥を呼び、パトレン3号の脳髄は完全に沸騰している。
    「やめろやめろやめろ!」
    「今ここでオナニーしたい欲求はありますか?」
    「あるものか!」
     ブッブー!
     ハズレの効果音。
    「……ち、違う! 私は本当に……そ、それがインチキなんだ!」
    「はーい! こちらにありますのが、嘘発見用の機器でありまして、イエスかノーで返答可能な質問をすれば嘘を見抜きます! つまり明神つかさ――パトレン3号さんは、こんな衆人環視のど真ん中でオナニーをしてみたい気持ちがあるわけですね?」
    「あるわけない! 本当に、本当にそんなこと……!」
    「図星の慌てっぷりですねぇ? してもいいんですよ?」
     客席から笑いが起こった。
     まるで面白い漫才でも見たように、ここまで狼狽しているパトレン3号に向かって、あっけからんとオナニーを進める男の言葉が大いにウケ、こんなにも笑われていることに、もはやパニックを起こしているのと違いがないほど羞恥の感情は膨らんでいた。
    「ではこのオナニーしたい女! パトレン3号!」
     それが異名であるように言い――。
    「対するはこの男!」
     ようやく、あの屈強漢が入場して、リングロープを掴んでよじ登る。パトレン3号の前に立つタフな肉体は、外見だけなら肩幅も広く、身長もきっと2メートル前後はあり、丸太のように太い手足が放出している覇気は、パトレンジャーに勝てるといっても説得力を感じさせる。
     もちろん、変身スーツを着た人間に、いくら鍛えていても普通の人間に勝ち目はない。
     しかし、仕掛けは十分なのだ。
     いかにも顔を真っ赤にしている様子が、マスクで顔が見えないことなど関係なしによくわかる。狼狽しきったパトレン3号は、しかも媚薬ガスの効果を我慢したまま、ここまで性欲を溜め込んでおり、睡眠時間も足りていないのでコンディションは整っていない。
     加えて屈強漢の肉体には、実は超人血清を打ってある。
     生身の肉体で変身スーツや怪人との戦いを可能とする、犯罪組織所有の血清は、変身無しで戦う不利を埋め合わせるには十分なものである。
    
     ――勝負は一瞬だった。
    
     咄嗟に銃口を向け、脚を狙って自由を奪おうとするパトレン3号は、脳が煮え立つほどの感情の中でまともに狙いを定められるわけがなく、そもそも勝負開始の合図と共に銃を抜けただけでも、かなり冷静な行動が取れたと言える。
     屈強漢は引き金が引かれるよりも素早く間合いに立ち、回し蹴りでパトレン3号の武器を蹴り飛ばし、あとは組み技で押さえるだけだった。変身有り無しの差さえ埋まっていれば、あとは男女の筋力差で圧倒するのみ。
     冷静な状態で、コンディションも抜群なパトレン3号なら、警察として格闘技の訓練も受けている。屈強漢の立ち回りに対応できたことだろう。何ら実力を発揮できず、いとも簡単に組み倒され、そうなってはもう凌辱劇になるだけだ。
    
     パァン!
    
     パトレン3号はお尻を叩かれていた。
     膝の上に腹ばいにされ、尻を高らかにした姿勢を取らされ、そのピンク色のスーツをプリっと膨らませている丸みに平手がぶつかる。波打つようにプルっと揺れ、音響が良い打音を響き渡らせ、女を辱めるためのスパンキングショーが始まっていた。
    
     パン! パン! ぺチン!
    
    「おおっと! パトレン3号! お尻を叩かれている! 警察でありながら、犯罪者からお仕置きを受ける気分はいかがなものか! 気持ちを想像すると興奮する!」
    
     パァン! パン! ペン! ペン! ペン!
    
    「まあでも、リング上でオナニーしたいと思ってる女ですからねぇ? ひょっとすれば、喜んでいるということもあるのでは?」
    
     パン! パン! パン!
    
    「では聞いてみましょう! お尻を叩かれて嬉しいですか?」
    「そんなわけ……」
    「ブッブー! 嘘つきです! 嬉しいのに否定しました! 本当は嬉しいもよう!」
    
     ペン! ペン! ペン! ペン!
    
    「さぞかし嬉しいでしょうねぇ? しかも警察ですよ? 警察が犯罪者にお尻を叩かれて大喜び! よく考えたら、それってとんでもないマゾじゃないですか!」
    
     尻を打たれるたび、その衝撃が子宮の奥まで届いたようで、パトレン3号のアソコはヒクヒクと引き締まる。観客の歓声を聞き、人のこんな姿を見て喜ぶ人間が、こんなにも大勢いることをひしひしと感じ取りながら、彼女はスパンキングに身を任せた。
     少しばかりヒリヒリと傷んできて、スーツの中ではきっとお尻が赤らんでいる頃合いに、屈強漢の手の平はすりすりと、やけに優しく撫でて来た。
    
         ***
    
     お尻をすりすりと可愛がられるパトレン3号!
     屈強なる男はその技巧を持って、触れるか触れないかのタッチで撫で回し、不意に指をグニグニと食い込ませる。おや、よく見ると指でお尻の穴も狙っていますね。スーツ越しにほじくられ、嫌よ嫌よとばかりに首を振りたくるパトレン3号の様子ですが、やはり喜んでいるようにしか見えません。
     あ、男が立った! パトレン3号はうつ伏せに倒れている!
     男から逃げんばかりに、うつ伏せのままリングの外へ這っていくパトレン3号。その後ろでは男がパンツを脱ぎ、ふとましい肉棒を解き放つ。血管が太く浮かんだ極太チンポは、誰しもの目を引く反り返ったフォルムをしてますねぇ?
     這って逃げているパトレン3号。
     しかし、ちょっと歩けば簡単に追いつく――追いついて? 跨るかのようなポジションに立ち尽くすと、一気にしゃがんで一体どうする!?
     おおっ、尻コキだ!
     男はパトレン3号のスーツから、スカートのようになった丈の部分を持ち上げると、体重と共にチンポを押し当て、割れ目に挟もうとしながら腰を動かす! 尻コキに捕まったパトレン3号は逃げられない!
     ぷっくりと膨らんだフォルムの見事な尻に、極太の一物をどうにか挟み、男はセックスのごとく腰を揺り動かしています。
     おっと、ここで男は腰を持ち上げ、パトレン3号をうつ伏せから四つん這いに。犬のポーズとなったパトレン3号に腰振りを叩きつけ、これは完全にセックスごっこ。遠目に見れば完璧なバック挿入!
     男はここで射精! ドピュドピュと白濁を解き放ち、パワフルな粘り気をパトレン3号の尻に付着させていく!
     男はまだ萎えない! 勃起状態を維持している! そして立ち上がる!
     パトレン3号も立った!
     どうやら、パトレン3号はまだ戦う意欲を残しており、それを示さんばかりに構えておりますが、果たしてどこまで通用するか。
     お! 攻める! パトレン3号のパンチ! キック! 動きはいい!
     しかし、男は相手の体を掴み、力任せにねじ伏せた! またしても膝で腹ばいにさせ、お尻をペンペン叩きます!
     あ、解放した!
     お尻をペンペンしてから解放し、あえて逆襲のチャンスを与え、パトレン3号の攻撃を誘うようですね。
     攻めるパトレン3号!
     あ、捕まった! 今度は背中側から抱き着かれ、そのままリングロープへ突き飛ばされ、反射的に腕を前に出すパトレン3号! ポールに両手をつき、まるで壁に手をつけてバック挿入をしてもらうかのようなポーズになりました!
     すかさずスパンキング!
     パトレン3号! ビクっと反応! お尻を叩かれることで心身共に硬直してか、二度も三度もペンペン叩かれ、抵抗の様子を見せません!
     あ! 再び背後から抱き着く!
     おっぱいを揉み揉みしながらリングの中心まで引きずると、膝の上に強制的に座らせ揉みしだく! 実にモミモミとよく動く柔軟性のある指ですねぇ? 彼の指にはピアニストのような繊細さが宿されているのでしょうか。
     さらに男! パトレン3号の前側に回り込み、眼前にチンポを向けると――おっ、どうやら手首を掴み、性器を無理矢理触らせようとしています! 手コキをさせようというのか! しかしパトレン3号! 腕を払いのけ、これを拒否!
     すると男! パトレン3号の頭を大きな手で鷲掴み! ボールをドリブルで叩きつけるかのごとく、強引に突き倒し、パトレン3号のポーズを変更させる! 尻が高らかになったところで回り込み、スパンキングの応酬です!
     思い知らせるためでしょうか。
     さて、ひとしきりペンペンした後、再び男は前側に回り込み、同じように眼前にチンポを突き付け握らせようとしています――握った! ついに観念したパトレン3号! 手コキによって男のチンポをシコシコしている!
     まるで勝利を宣言せんばかりに、えへんとふんぞり返り、仁王立ちになって奉仕を受ける。
     確かに勝者と敗者そのものです。
     しばしは手コキ……より大勢の観客にお楽しみ頂くため、リングの下に設置しているカメラから、素晴らしいアングルの映像も重ねてお届けしましょう。膝立ちとなったパトレン3号のお尻を真下から見上げる映像です! 先ほどの精液がたっぷりとこびりつき、ピンク色のスーツが白濁に汚されています!
     さて、おチンポの方ではパトレン3号の5本の指が絡みつき、慣れない手つきで前後にシコシコ。
     ついに射精!
     マスクの黒いバイザー部分は、警察の帽子をモチーフとして、額にはなんだか警視庁のマークそっくりなシンボルが付いていますが、ちょうどその額を射精た打ち抜く! だらりと垂れる精液が黒い部分に流れていき、ヒーローのマスクがここに穢されている!
     なんという光景か。
     おっと、ここで男はリング外に指示を出し、嘘発見システムを持ってこさせると、どうやらパトレン3号になにか質問をするようです。
    「お前は俺に負けたか?」
     これは! なんと直接的な!
     果たしてどう答えるかパトレン3号!
    「私は……まだ……!」
     ブッブー!
     無残にも不正解を告げる音声が鳴り響く。これは口では強がっても、腹の底では敗北を認めている証拠になります!
    「負けたら俺とセックスをする約束をしたな?」
    「……し、した」
     ピンポーン!
     大正解です!
    「その前にここでオナニーしろ」
     なんと! リング上でオナニーしたい女に、その願望を叶えさせようとしている! パトレン3号は必死になって首を振り、嫌がる素振りを見せますが――さて!
    「オナニーをしたいだろう?」
    「それは……くぅっ、うぅ……!」
     パトレン3号!
     答えられない!
    「オナニーをしたいだろう? 今ここで」
    「………………したい」
     ついに答えた!
     大正解を告げる効果音が鳴り響き、これから始まろうというオナニーショーに観客は喝采の声を上げています!
     と、その前に?
     ああなんと! パトレン3号を押し倒し、股の部分を腕力で引き裂いている! なんという凄まじいパワーでしょうか! 超人血清の力は伊達ではありません! パトレン3号のお股が丸出しです!
     そして! M字開脚の形に持ち上げる!
     モニターはその有様を正面から映してみせ、全ての観客にパトレン3号ののオナニーを届けようとしています!
     あ、始まった!
     パトレン3号の指がアソコへ動き、活発な指の動きで自らを慰める! 穴にズポズボ出入りを始めた!
     というか、初めから濡れていましたねぇ?
     ズポズボ、グチュグチュ、いやらしい音が鳴り響き、それを拾ったマイクが客席の奥まで音を届ける!
     だんだん早く! イクのでしょうか!
     間違いありません。これは絶頂の予兆です。
    
     イったぁぁぁぁぁ!
    
     ビクビクと痙攣して、腰を震わせ、大胆に潮を吹く!
     衆人環視の前で絶頂しました!
     なんと恥ずかしい女でしょうか!
    
    「ここらでセックスといこうじゃねーか」
    
     男はパトレン3号を下に下して押し倒す!
     太い太いチンポを突き立て、今に亀頭が膣に埋まり始めている! そのまま男が腰を前に突き出し、一気に貫いてしまったところで、パトレン3号はセックスを許すことになりますが、敗者に抵抗の様子は見受けられない!
     挿入! 挿入しました!
     男は正常位でナカを抉り抜き、パトレン3号の背中がビクンビクンと持ち上がる! 腰を掴んでいた男の手は、おっぱいを揉みしだき、存分に欲望を満たしています!
    「あっ! あ! あ! あ! あ! あ! あっ! あん! あんっ、あ! あっ! ああ、ああ! ああ! あ!」
     もう「あ!」ばっかり言っている!
     精液濡れのマスクを振り乱し、手足全てでよがる姿は、なんと気持ち良さそうにしているのでしょう!
    「うるさい! だれが好きで!」
     好きでセックスしてるわけではないとでも言いたいのか!
     だが感じている! 喘いでいる!
    「あん! あん! あっ、あん! あぁぁ! あぁ……! あっ――あ――あぁ――あん! あん! あん!」
     似たような鳴き声の繰り返し!
    「あぁぁ! だめっ、イク! イク! いっ、いあぁぁ! あああああ! あっ、あっ! あん! あん!」
     ビクビクと痙攣!
    
     イッた! 衆人環視の前で惜しげもなく!
     パトレン3号・明神つかさは絶頂したぁぁぁ!
    
     チンポの抜けたメス穴から、桃色の肉ヒダから、中出しの精液がこっぽり溢れ、それでいてパトレン3号は肩で大きく息をしながら倒れている! この胸が上下に動く光景がまた私は大好きですが、皆さんどうでしょう!
    
    「まだまだこんなものじゃない! 次はバック挿入だ!」
    
     堂々宣言!
     パトレン3号の尻をぺチンと叩き、さっさとポーズを変えろと言わんばかりだ! それに従うパトレン3号! 自ら尻を差し出し、リングのマットに両手を突き、ただひたすらにおチンチンを待ち侘びている!
    「ところで正常位は気持ち良かったか?」
    「聞かなくていいだろう!?」
    「答えろ? 気持ち良かったか?」
    「……よ、よかった。よかったから、もう聞くな」
    「バック挿入に期待しているか?」
    「している……。だから、早く……」
     なんという質問攻め!
     未だ衰えを知らないチンポを突き立て、亀頭を穴に埋め込ませると、男はここで動くことなく腕を組んだまま――膝立ちの直立不動!
     パトレン3号! 自ら腰を叩きつけ、肉体を前後に動かし始める!
     パンパンと音が鳴り響き、グチュグチュと水音が聞こえている!
    「あぁぁ! あっ、あ! あん! あん! あっ、ふっ、ん! んんん! んっ、あ!」
     喘ぐ喘ぐ! パトレン3号! 喘ぐ!
     自分から動きまくって、どこか腰を左右にくねくねしつつ、やっぱり一気に貫かれたいのか尻を大胆にぶつけていく! 男の腰にパトレン3号の尻がぶつかるたび、お尻の肉がプルプルと波打っている!
    
     パァン!
     
     叩いたァァァ!
     まるで騎手が馬の尻を鞭打つように、男はパトレン3号にさらなるスパンキングを行い、なおも辱める!
    「どうした! 叩くと締まりが良くなったな? アナルもヒクついたぞ!」
     ペチペチとした平手打ち! どうやらアソコに力を加え、ぶたれることで肉棒をぎゅっと強く握り締めているようです!
     エロい! エロ女だ!
     やがて男も動き出し、素早いピストンが小刻みに貫きまくると、愛液の飛沫がリングマットに散りまくる!
     そして、そして!
    
    「あぁぁあ! あっ、あん! ああああん!」
    
     イクぞ!
     これは――これは――
    
    「――あ! ――あ! あっ、あぁぁぁん!」
    
     イったァァァァ!
     パトレン3号またしても絶頂!
    
     おっと、変身が解けた!
    
     セックスで消耗しちゃったパトレン3号! とうとう変身前の姿に戻り、そこに横たわるのは明神つかさ!
     ピンク色のジャケットを着た彼女を掴み、正座の姿勢へ起こさせると、その唇におチンチンを与えている! 咥えた! ここまで凌辱された敗者は、観念しきってフェラチオの要求に応えている!
     堕ちた!
     この子はもう堕ちたも同然だァァァ!
    
         ***
    
    「何が堕ちただ」
     穢すところまで穢し尽くされ、しかもこれがAVとして販売され、裏の商人から違法なものを買い取るような金持ちが、明神つかさ――パトレン3号のセックス動画を今後も楽しみ続けることになる。
     ここまで恥も外聞もなくなり、とうとう我慢できなくなっていた。
    
    「くっ、するしかない!」
    
     媚薬ガスの充満している部屋の中で、つかさは全裸となってピンクローターを手にすると、卵型の機械を自らの膣に埋め込みスイッチを入れた。
    
     ブィィィィィィィィィィィィン!
    
     無機質な機械振動の音が鳴り響き、つかさの膣内にブルブルとした刺激を与える。
     ベッドから足を下ろして、静かに座っているつかさは、まるで悪いことをした子供が大人の前で反省しながらうな垂れて、ずっと下ばかり向いているように、どこか後ろめたさを帯びた表情で快楽を貪っていた。
     この部屋の様子が撮られていることは知っている。
     どうせ見ているのだろう者の視線から、そっと胸を隠して太ももを引き締めて、大事な部分のガードを固める。
     がちゃりと、鍵穴に鍵を差し込む音が聞こえ、つかさは慌てた。
     しかし、問答無用で部屋に立ち入ろうとする男から、今更になって裸を隠そうとするには遅く、踏み込んで来る屈強漢の満面の笑顔に屈辱を煽られるより他はなかった。
    「どうだ? 敵地でするオナニーは楽しいか?」
    「黙れ。何かおかしいと思ったら、どうせ媚薬を使っているんだろう」
    「けど気持ちいいだろう?」
     屈強漢はつかさの前で服を脱ぎ、全裸となって肉棒を突き付ける。唇に触れんばかりに近づけてくる無言の要求につかさは応え、極太を咥えるために限りなく大きく口を開いた。
    「ずずぅ……じゅっ、ぢゅぅ……じゅじゅっ、ずじゅぅ……」
     顎が辛いほどの大口に収めつつ、頭を前後に動かしながら、つかさは屈強漢の腰に両手を当てて奉仕に励む。
    「お前も立派な玩具だな」
    「じゅぅぅ……はじゅるっ、ずりゅっ、ずずずず……はっ、じゅぅ……」
     ローターの快感を味わいつつ、玩具と言われて睨み上げ、何かを言い返したい瞳で屈強漢と視線を絡め合うものの、その瞬間にぶり返すのが、リング上で行った性交の記憶である。性処理用の玩具と言われて返す言葉が何もない。
    「――んっ! ずっ、ずぅ」
     射精によって、精液の味が舌に広がる。
     ドクドクと注ぎ込まれる白濁を呑み込むと、舌と亀頭のあいだに糸が引く。
    「これも試してみたらどうだ?」
     屈強漢のペニスほどあるバイブを突き付けられ、押し倒してくる腕に合わせて横たわると、ローターを引き抜かれる。自らの手で挿入を行うことを促すため、つかさはバイブを握らされ、そして人がオナニーを始める瞬間をニタニタと待ち構える屈強漢と視線を合わせた。
    「お前はもう堕ちている。そうだろう」
    「……そうだな」
     ピンポーン!
     それが正解だった。
     快楽に負けたことを心では認めたくなかったが、挿入を求めてやまないアソコの疼きに煽られると、我慢ならずにオナニーをしてしまう。セックスをされそうになった時、それを受け入れてしまう。
     バイブも入れた。
     本物のペニスではない、しかし酷似した感触のものが、スイッチと共に振動する。膣壁が奮わされ、出し入れするとますます気持ちよく、まるで刺激たっぷりのセックスのようで身が悶える。
    「あぁ……! あぁぁ……!」
    「あーあ。オナニーしちゃってるなぁ? つかさちゃーん」
    「お、お前が……私をおかしく……!」
     自分を淫らにしたのはこいつらであり、自ら狂ったわけではない。自己弁護を盾に快楽を貪るつかさは、バイブによってイこうイこうと、より活発なピストンで自分自身を犯し込む。
    「はっ、いい顔しやがって」
    「あっ、あぁ……! んっ、あぁっ、あっ、あぁっ、あぁ……!」
     喘ぎながら睨み返した。
     堕ちていないことのアピールはポーズに過ぎず、ニタニタとしながら両手で胸を揉まれれば、体も心も若干喜ぶ。
    「チンコ欲しいだろ」
    「うっ、くっ、す、するなら早くしたらどうだ!」
    「そうだな。セックスに興味津々みたいだし、挿入してやるからバイブをどけろ」
    「いいだろう。だから、早く……済ませればいい……」
    「へへっ、お望み通り」
     ずにゅぅぅぅぅぅぅ――と、長大な肉棒が潜り込み、根本までがつかさに埋まった。
    「おら、喘げや」
    「あっ! あん! あん! あっ、ん! ん! んぅっ、んくぁ! はっ、あん!」
     叩きつける勢いのピストンが、髪を弾ませながら身体を丸ごと揺らし、柔らかな乳房が上下にプルプル震えている。
     こうなるとつかさは悦んでいた。
     淫乱と化しているのを否定できなくなってしまうと、頭のどこかでわかっていながら、どうせ抑えきれるわけでもない喘ぎ声を大胆に吐き出していた。
    「お前は堕ちているか?」
    「あっ、うっ、お、堕ちて……る……!」
     ピンポーン!
     
          ***
    
     ギャングラーを追うべくして、それと繋がりを持つ犯罪組織をルパンレンジャーが調査。手がかりを掴んだ彼らは、匿名の市民を装い、パトレンジャーに情報を提供する。ついにアジトを突き止め、突入するまでに至ったパトレン1号とパトレン2号がみたものは、性的に堕とされきった仲間の姿と、とっくに行方を暗ましもぬけの空となっている建物だけだった。