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  • 最終話「手淫」

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     精過剰症は心因性の病気である。
     身体機能の不具合やウィルスによるものではなく、性欲という精神的なところから精液の分泌量を増やしてしまうものだ。平均的な男性を上回る精子と液体の量を出すが、そのために全身の筋肉へまわるべきたんぱく質が普通より多く精巣に配分され、身体の栄養バランスを崩してしまう恐れがある。
     そのため、慶介は栄養に関する指導を受けた。
     どんな食事がたんぱく質をより吸収しやすいのか。食材についての抗議を受け、測らずも栄養学の知識を多少身につけることとなった。
     精過剰症の難しいところは、主な原因が性欲であることだ。
     それは人間の三大欲求に数えられるもので、まず持っていて当たり前である。生物は遺伝子レベルで子孫を残そうとする本能を持っているのだから、性に対して無欲というのもそれはそれで普通の状態とはいえない。
     性欲そのものを消すことはできない。
     できるとしても、せいぜい減退がいいところだ。
     だが、神奈先輩から受けた指示はこうだった。
    「原因はどうあれ、まず栄養が精液の製造に回されすぎる危険性がある。それによる身体の不調を防ぐためには、筋肉にたんぱく質がいきやすくなるよう調整すること。たんぱく質を接種し、筋トレをして筋肉に疲労を与えておくように」
     そうすることで、筋肉への配分率が増えるそうだ。
     筋力増強には超回復という仕組みがある。トレーニングで痛んだ筋肉が回復するとき、その回復の勢い余って筋肉を増量する。
     つまり、筋肉を疲れさせれば回復の必要が出る。すると、筋肉への配分が増えて症状が軽減される。
     といった寸法だ。
    「それと、睾丸の膨張が進めば破裂する。定期的に中身を出せば心配はないけど、精子量を見て経過を観察する必要があるね」
     神奈先輩にはこれからもヌいてもらえる。
     精過剰症などヌき忘れさえしなければいいのだし、症状があるとわきまえた上で生活していれば何の問題も起きはしない。
     そして、治療の建前の元に触ってもらえる。幸先はいい。
     その日も経過観察として精液採取は行われ、ペニスが神奈の手に握られる。
    「私が触っているんだから、さっさと出す」
     そんな風にせかされたが、簡単に達してしまうのは勿体無い。
    「もっとこう、気持ち良ければすぐに出ますよ?」
    「何か要求する気? 絶対に手しか使わないから」
     あくまで治療行為でしかない。症状のためだ。神奈はこれを性行為にはカウントしないつもりでいるようであった。
    
    
    


     
     
     


  • 第2話「精過剰症」

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     精液を顕微鏡で覗き、あまりの精子の数に天道神奈は引き気味になった。頬が引き攣って、目は他所へ背けられる。
     それは慶介の診察を済ませ、彼を帰らせた後の事。
     神奈は医学資料の顕微鏡写真や映像から、平均的な精子の大群を見たことがある。平均的な量でも充分におびただしい数のオタマジャクシが蠢くが、慶介から採取した精子はその非ではない。満員電車のギュウギュウ詰めなど生易しい。入りきらない車両へさらに強引に人を押し込んだような、微生物でも圧死するのではと思えるまでの密度が顕微鏡のレンズから確認できたのだ。
     ビーカーに出してもらった精液の量からしても半端じゃない。神奈の顔をドロドロにし、その上でビーカーの底に白濁が敷き詰められたのだ。元々多めなのかとも思ったが、精子の異常な量を考えるとそれは違う。
     一つの症例が神奈の頭をよぎる。
    「精過剰症……」
     精液が過剰に作り出され、定期的にヌかなければ睾丸が破裂するという病気だ。雑菌の有無を確認するつもりで精液を覗いたが、その結果、桑原慶介は精過剰症であることがわかった。
     原因は性欲。
     しかし、ヌかなければ精液が増えすぎて睾丸が破裂する。
     治療がしにくい病気だ。
    「どうしたものか」
     神奈は診察ベッドに仰向けになった。
     肩膝が立っているせいで白いパンツが覗け見えるが、部室には自分しかいないので気にしない。スカートの真下からのアングルには、パンツのゴムからはみ出る白い尻肉があった。
     神奈は自分の両手を見た。
     名医を父に持ち、一度は共に海外にいたこともある。その時に父から学んだ知識や体験させてもらった医療経験から、学生でありながらも既に幾度とない診察をこなしている。だから学校でも医学部を作り、具合の悪い生徒の様子を診ることができた。
     だからといって、ペニスを診察したのは初めてだった。
     手の平には硬直した肉棒の感触が残っており、鼻は精液のツンとした臭いを覚えている。顔にかかったドロドロの触感もだ。思い出すだけでも診察の感じが手や鼻に蘇るようで、下腹部が疼いてくる。
     神奈としては診察「してやった」つもりだ。見たり触ったりするのが恥ずかしいからといって、症状をわかっていながら放置するのは医師を目指す者としてどうなのか。自分は太陽のように輝く存在でなければならないと思ったからこそ、神奈は診察を行うことに決めた。
     慶介からすれば、見事に美貌の先輩にペニスを触らせる事に成功したのだろう。医師を目指すのにペニスの一つも触れないのか。それで医師になれるのか。そんな風に神奈を追い詰め、嫌々ながらの診察を「させた」気分でいるに違いない。
    「そう。私は診察をさせられて……」
     神奈の右手はスカートを捲り、丸見えになったパンツのアソコを弄り出した。中指と薬指、二本の指で円を描くようにして恥丘をなぞり、左手はワイシャツ越しの乳房を揉む。
     診察は「してやった」に過ぎない。
     しかし、「させられた」という思い方をすればするほど、大事な部分がウズウズとしな熱を上げてくる。パンツのアソコに濡れ染みができて、指を引けば愛液の糸が引いた。
    (私は……させられて気持ちよくなるのか?)
     自分は今、後輩に言う事を聞かされたシチュエーションをネタにしている。
     そう自覚する神奈は、一人で悔しげに歯を食いしばり、天井から顔を逸らすかのようにアゴを横へ振った。
     まるで慶介に性欲を引き出されたようで、屈辱的な気分になる。
     それでもオナニーの手は動き、右手はパンツの内側へ潜り込む。割れ目を指の腹でなぞるように、右手を上下させた。乳房を揉む左手は、やがてワイシャツのボタンを外してブラの裏側へ忍び込む。
    「はぁー……はぁー……」
     興奮で吐息が乱れ、息遣いは淫らになっていく。
     パンツには濡れ染みが浮かび、試しに指を離すと愛液が糸を引いた。
     二本の指でクリトリスのあたりを摘み、小刻みに上下させた。強い刺激に息遣いの色気が増し、より快楽をと手の動きは激しくなる。
    「今度は……睾丸膨張症の診察をさせられて……」
     卑猥な診察を余儀なくされる。
     慶介にペニスの触診を強要されるような妄想に落ちていき、神奈のオナニーは下校時刻のギリギリまで続いた。
    
         *
    
     翌朝の慶介は、通学路で一緒になった楠木かえでと歩いていた。
    「じゃあ、慶介君は入部できたんだ」
    「なんとかね」
     ペニスの診察については隠しているが、医学部に入れたことはかえでに報告した。追い返されたのは入部テストのようなもので、自分にかかった軽い病気に気づけるかどうかを試されていた。という説明の仕方をし、病気もペニスの腫れから別の適当なものに置き換えた。
    「でも、やっぱり変な先輩だよ。その、天道神奈って先輩が部長なんだっけ?」
    「そ。診察してもらったし、手製の漢方薬をもらったからすぐに治るよ」
     あのあと少し話しをしたが、天道神奈といえど学生なので正式な医師免許はない。となると薬局に薬の処方を指示することもできないので、ならばと病気によっては手製の薬を与えているらしい。
     風邪なら大根やハチミツが効くと昔からいわれているので、それを薬として調合する。漢方の知識もあるらしく、薬草を摺り合わせてオリジナルの薬を作れる。そうして軽い病気なら病院を介さずして治してしまう。
     しかし、どんな病気も手製の薬で解決できるわけじゃない。
     中には設備が必要だったり、材料が手に入らずに薬を調合できない場合もある。ましてや部室で手術などできようはずがないので、父づての知り合いに連絡をして病院を紹介するのだとか。
     部活動でありながら、小さな開業医程度の領域に達している。違うといえば医師免許がないことか。
     無免許なのに法律上の問題が気になるが、聴診程度なら慶介もかえでにやっている。触診にかこつけて乳揉みもさせてもらっているので、今頃気にしても仕方ないだろう。
     いや、気にはなるが実習という建前だ。
     城北学園自体も大学付属の高等部で、大学へ進めば学科としての医学部がある。問題なく実習という建前で通るのだろう。
    「追い返したって聞いたときも思ったけど、やっぱり天道神奈って色々な意味ですごい人だよね」
    「まあ、初対面の時点ですごい性格してるなと思ったけど。友達の先輩がその人と同じクラスらしくてね。だから色々ウワサを聞いたの」
    「ウワサまであるのか。どんなこと言われてるの?」
    「あのね。体育の時にすっごい運動神経を発揮して、一年の頃は運動系の部活からの勧誘がすごかったらしいの」
     かえでは天道神奈にまつわる逸話の数々を語りだした。
    
    『私という太陽が輝くのは、真っ直ぐに天を目指す心がある者だけ。そして、目指していけるだけの力を持った者だけよ』
    『果たしてこの学校に、私が入るに相応しいだけの部活があるかどうか。ちょっとテストしてやろうか』
    
     どうやら彼女は、それだけ大きく出ていたらしい。
     本人に出会う前に同じ話を聞いたら、きっと慶介は「どこの世界にそんな人間がいるんだ」と言って信じなかっただろう。とっくに出会った後なので、それが事実だったとしても何の不思議も感じない。
     感じないが、それにしても、入部をする側が部活のレベルを審査するとはすごい話だ。そして、そのすごい話を難なく信じてしまえることにも、呆れにも似た微妙な感情を覚えざるを得ない。
    「でね。テニスやサッカー、柔道や剣道。あらゆる部活で当時の二三年生を殲滅してしまったとか」
    「それは本当なのか?」
     神奈先輩の性格はともかく、医療の腕と知識もともかく、スポーツでまで万能なのかは気になるところだ。
    「それを話してくれた友達はね、実際にやられたって先輩から聞いたらしいよ」
    「なら、信じるしかないか」
    
        *
    
     そして、二人は学校に到着する。
     授業終了を迎えて放課後となるなり、慶介は医学部へ向かっていった。
    「綺麗な先輩と二人きり、なんだよね……」
     教室に残ったかえでは、慶介に対してちょっとした不安を抱いていた。
     部員は部長を務める神奈先輩と慶介だけで、今のところ他のメンバーは一人もいない。男女二人が同じ部室で同じ活動をこなす。
     これで心配するべきことは一つしかない。
     せっかく昔から付き合いが続いている男の子なのに、自分の元を離れて別の女の子とくっついてしまわないだろうか。
     慶介は医師を目指して勉学に励み、難関だったこの城北学園に入学している。中等部当時の頑張る姿に惹かれて、いつのまにか、かえではただの友達だと思っていたはずの慶介を好きになっていた。
     やりたいことのために頑張れる人は、すごい。
     ルックスはそれほどでもないが、それでも格好いいと思う。
     だからかえでは慶介を追って、同じ学園に入学できるように勉強に励んだが……。
     天道神奈は相当の美人だと聞く上、未来の女医である。噂で聞く限りでもルックスがら運動神経、頭脳まで含めたスペックの高さには相当なものがある。当然、体つきも良いといわれている。
     子供のような体つきをした自分が敵うわけがない。
     もし慶介が彼女に気を持ったら、どうせ勝ち目はない。
     ないのだろうが……。
    「ちょっと、様子を覗きに行こっかな」
     それでもかえでは慶介のあとを追い、医学部の部室へ向かった。
    
        *
    
     慶介はズボンを脱ぎ、再びペニスの様子を診てもらっていた。慶介がベッドの横から足を下ろし、そのあいだに神奈先輩が座り込むような形になっている。
     神奈先輩は玉袋をじっくり観察し、棒を持ち上げて裏側を覗いたりして視診している。どこか興味津々といった風で、しかし、ふと目があうと機嫌を悪くしたように表情を隠す。
     神奈先輩の中には、決して男には悟られたくない心境が眠っているらしい。
    「一日で腫れも赤みも引いている」
     そう言いながら、神奈先輩は慶介を見上げる。
    「そうですか? 良かったです」
    「…………」
     神奈先輩は慶介を見つめ続ける。
     言いたいことでもあるのだろうか。
    「触診してもらえますか?」
    「そうね。皮の裏側の様子は視診じゃわからない。悪化されても困る。念のために診ておこうか」
     最もな理由を並べつつ、神奈先輩は触診を開始した。
     綺麗な手が慶介のペニスを握り、ゴシゴシとしごきだす。それでなくとも勃起していたペニスはさらに膨らみ、最大限の硬度に到達する。もう片方の手が付け根から亀頭をなぞり、甲羅全体をマッサージした。
    「慶介君。痛む箇所は?」
    「ないです。気持ちいいです」
    「……そう」
     もう充分な結果は出ているだろうに、彼女はなおも触診を続行する。
     そういえば歪んだ根性を矯正してやる、といったことを言っていたが、あれは一体どうなったのだろう。
    (ま、合法的にシてもらえるならその方が幸せだけどさ)
    「慶介君。睾丸は痛まない?」
    「平気ですよ」
    「そう? なら――いいけど」
     神奈先輩は口をもごつかせ、他に何か言いかけていたように見えた。しかし、何を言うでもなく黙々とペニスをしごき続け、慶介の根元からは射精感がせりあがってきた。
    「慶介君。液の雑菌も確認するから、今度は全部ビーカーに」
    「はい」
     出るまでシてもらえるらしいことに、胸の奥から喜びが込み上げる。
    「かけたりしたら、承知しない」
    「わかりました」
     顔射でドロドロになった神奈先輩の表情は最高だったが、これはあくまで診察だ。触診という建前を取り払い、れっきとしたエッチができればいいのだが……。
     どうにかならないかと考えてみるが、そういう関係になれるイメージがつかない。
     誰かと付き合うというのは、つまりどうすればいいものなのか。
     友達から始まり、それなりに好意を示し、そのうち映画にでも誘って、OKがでればゆくゆくは告白、といったところだろうか。
     普通の女の子が相手なら、それでいいのだろう。上手く交流を図ることさえできれば、何とかなるのかもしれない。
     しかし、神奈先輩のような特殊な性格を相手にする時も、同じようでいいのだろうか。慶介には誰かを口説いた経験などないが、それでも普通の女の子と神奈先輩を口説くのではわけが違うように思えて仕方がなかった。
     なんてことを考えてしまっているうち、高まった射精感は亀頭の付け根付近までせりあがる。
    「先輩、もう出ます」
     言うなり、用意されていたビーカーが添えられた。
     慶介はそこへ射精しようと試みるが――
     その時。
     コンコン。
     と、あまりにタイミングよく部室の戸がノックされた。
    「今出るから、待っていて!」
     神奈先輩は即座に声をあげ、慶介のペニスから手を離す。目でズボンを履くように促し、そしてビーカーを棚に片付けてしまう。
     なんということか。
     出る、直前で診察が中断されてしまった。
     慶介はやむを得ずズボンを履くが、イくことのできなかったペニスの疼きばかりはどうしても収まらなかった。
    
         *
    
     医学部を訪れ、天道神奈に迎え入れられる形で部室へ踏み入る。やはり美人な先輩と慶介が二人きりで過ごしていて、かえでの中で不安は膨らむ一方だった。
    「どこか具合でも?」
    「具合ってほどじゃないんです。慶介君は上手くやってるかなって気になって覗きに来ただけで、すぐに帰ります」
     慶介に笑みを飛ばしてみる。
     彼は笑い返してくれた。
    「歳は一つしか変わらないのに、この人はやっぱりかなりすごい。色々と学べる気がする」
    「そっか。よかったね。慶介君」
     彼が嬉しそうにしているのは、綺麗な人と一緒だからだろうか。それとも、本当に学べることの多さだけに喜んでいるのだろうか。慶介がどれだけ真面目だったとしても、美人への喜びはきっとゼロじゃない。
     しかし、だからどうすればいいのだろう。
     いざ噂の天道神奈を見てみると、本当に学校中で囁かれている通りのルックスだ。髪も肌も体型も整っていて、とてもでないが勝ち目はない。
    「アンタ、名前は?」
    「あ、すみません。私は楠木かえでといって、慶介君のクラスメイトです」
     神奈は宝石のような瞳のまぶたを細め、かえでを静かに観察した。舐めるように体を見てまわられている心地がして、かえでは思わず身を強張らせる。
    「かえでちゃんか。最近、体におかしいところはない?」
    「え? 別にありませんけど」
    「どこがとは聞かない。調子がおかしいと感じるところは本当にない?」
    「い、いえ……」
     この症状の有無を確認するような質問は何だろうか。
     別に診察を受けに来たわけではないのだが……。
    「それならいい。何か変だと感じることがあったら、すぐに私のところへ来るように」
    「は、はい」
     自分は何かの病気だとでもいうのだろうか。
     慶介に目配せするが、彼は首を傾げる。慶介にも彼女の質問の意図はよくわからないようだった。
    「それじゃあ、私はそろそろ帰るね。また覗きに来るから――では、失礼しました」
     かえでは神奈に一礼して、部室を去った。
     とりあえず、二人の関係に怪しいところがないかをたまに伺っておくようにしよう。神奈の美貌に勝てる気はほとんどしないが、こちらには幼馴染で彼女より慶介と付き合いが長いというアドバンテージがある。
     きっと、可能性はゼロじゃないはずだ。
     今のかえでには、そう信じる意外は思いつかなかった。
    
         *
    
    「なんなんですか? さっきの質問は」
     慶介は未だ勃ちっぱなしのペニスを気にしつつ、かえでに行っていた問いの意味を尋ねた。探偵並みに鋭い勘を持つ神奈先輩だ。かえで本人に自覚症状がなくとも、彼女は何かを見抜いてあんなことを聞いたのかもしれない。
    「別に? 本人が何ともないというなら、何ともない」
    「そうなんですか?」
     表面ではかえでを気にする。
     いや、実際気になる。
     だが、それとは別にズボンの内側で疼くペニスは神菜先輩を欲しがっていた。達する直前でかえでが来てしまったので、イけなかったことで欲求不満になっているのだ。いくら沈まれと念じても、最大勃起のまま一切縮む気配はない。
    「アンタはかえでちゃんの具合を診たことはある?」
    「まあ、聴診程度はありますけど」
     おっぱいを触診したとまでは、言わないでおく。
    「それは乳房を直接見ない配慮の上? それとも、視診も含めて?」
     何だろう。
     神奈先輩は慶介からも情報を聞き出そうとしている。
     病気が関わっていては不味いので、聞かれてしまった以上、聞かれた範囲についてだけは白状しておこう。
    「はい。見たことはあります」
    「乳房の形状を今ここで説明できる?」
    「一応、覚えてますが……」
     慶介はかえでの丸みある体つきについて語った。ぱっと見ただけでは普通の女の子の体と変わらないが、手や足の一つ一つが良い脂質の付け方をしているので、愛嬌のある丸っこさと癒しある柔らかさをしている。
     太すぎず、細すぎない。
     可愛らしい胸を膨らませたかえでの肉体は極上のものだ。
    「体つきの特徴は、単なる個人差か。皮膚上にも目に見えた疾患はなく、本人も何も自覚していない」
    「さっきから、どうしたんですか先輩」
    「何でもない。この私ともあろうものが、直感力が絶対のものではなかったことにイラつくだけよ」
     直感など、どう完璧にする気なのか。
    「まあ、何でもないならいいんです。それより、精液の採集が済んでまでんよね?」
     我慢も限界で、慶介は診察の催促をした。
    「そうね」
     神奈先輩は黙々と慶介を座らせ、最初のように股下につく。舐めるような手つきを駆使し、彼女の触診は隆々としたペニスの機嫌を良くしていった。
    「先輩、イきます」
    「ちゃんとこの中よ」
     そして、添えられたビーカーに向けて流し込む。
     打ち出される白濁の量は通常を上回り、さほど大きいビーカーでなかったとはいえ、半分近くまでカサを埋めてしまった。
    「先輩、この量って……」
    「そう。精過剰症」
     まさか、まさか……。
     神奈先輩から診察を受け続けるための建前が、ペニスの内側にあろうとは! 自分が症状にかかっていたことよりも、その治療を受けられる喜びを慶介は抱いていた。
    
    
    


     
     
     


  • 第1話「エロな触診」

    目次 次の話

    
    
    
      部活動で医学部、なんてものがある学校があった。
     都内でも難関の城北学園といって、一学年につき約千人前後もの生徒がいる。
     その新入生の一人、桑原慶介が部室棟の戸を叩いた。以前から気になっていた医学部へ入部するため、入学まもなく入部届けを持ってきている。
    「入りなさい」
     戸の中から響いたのは女のドスの効いた声だった。
     どんな先輩がいるのだろう。
     恐る恐る入室すると、部屋はまるで診察室のようになっていた。病院に置かれているような診察用のベッドに、ファイルが並んだデスクがそびえている。
     そして、椅子で足を組み、悠然と慶介を迎える女の姿があった。
     この部活の先輩だ。
     制服のスカートを短く履いているが、上はブレザーのでなく白衣を着ている。ワイシャツの襟にはネクタイでなく聴診器をかけていて、まさに女医と呼ぶに相応しい格好だ。教師と間違えそうにもなるが、スカートとワイシャツが生徒であることを物語っている。
     顔や体つきも良い。
     艶やかな髪は濡れているかのようにしっとりして、綺麗な光沢を放っている。頭の高い位置でゴムが結ばれ、髪型はポニーテールになっていた。目つきはキリっと鋭く、気の強そうな印象を受ける。唇はぷっくりと潤っていて、見ていると奪ってしまいたい欲求にかられる。
     胸元はワイシャツ越しにも関わらず形良い乳房の丸みが浮き出ている。腰元はきゅっと引き締まり、短いスカートから覗く太ももは見るからにスベスベそうだ。
    「アンタ、名前は?」
     低く勇ましい声をかけられ、慶介はその鋭さに思わずビクっとした。
    「は、はい! 桑原慶介です!」
    「新入生か。私は天道神奈、二年生。天の道を行き、神へ挑戦する者よ」
    「神の子? 天の道?」
     慶介はきょとんとした。
    「誰にも私の行くべきロードは遮れない。私の行く道は私が決めるということよ」
    「は、はあ――」
     神奈先輩はどういう人なのだろうか。顔つきからは気の強そうな印象を受けるが、我の強さも半端でなさそうだ。
     良い女かもしれない。
     慶介は気の強い異性が好みだった。
    「初めに言っておくけど、ここは私の部活よ。部員に相応しい人間も私が決める。誰でも入部させるわけではない」
    「もしかして、入部テストとかですか?」
    「テストをするまでもない」
     神奈先輩はきっぱりと言った。
    「するまでもないって……。えーっと、じゃあどう決めるんですか?」
    「見ればわかる。そいつがどれだけ腑抜けた人間かどうか。アンタのようなヘラヘラとした危機管理意識の低い男は必要ない!」
     神奈先輩は力強く慶介を指し、断定的に言い放った。
    「え? あのぅそれって……」
     慶介はあまりの言いように困惑する。
    「アンタが入部することはありえない。早々に立ち去れ!」
     そして部室を締め出され、思い切り戸を閉じられてしまうのだった。
     しかし、追い出される際。
     頬のあたりが赤く見えたのは気のせいだろうか?
    
         *
    
    「というわけで、追い返されちゃった」
     放課後の帰り道。
     幼馴染の楠木かえでに事の顛末を打ち明けた。せっかく入部しようと思ったのに、慶介は神奈先輩にあっさりと追い返されてしまった。
     かえでは髪を二つ縛りにした小柄な子で、あどけない顔つきをしている。体型もまだ未発達なところがあるが、胸の控えめな膨らみというのは可愛らしいものだ。
    「何よソイツ! なんか感じ悪いね」
     かえではこの場にいない神奈先輩に悪態をつく。
    「俺の何が駄目だったんだろうな……」
    「駄目なのは天道神奈よ! 人を見ただけで判断するなんて、ちょっと信じられないことだと思わない?」
    「うーん。面接を通れなかったようなものって気がする」
    「何を言ってるの慶介君は。その先輩は本当に一目見ただけだったんでしょ? ありえないことこの上ないって」
     かえでは神奈先輩を非難する。
     そう、一目見ただけだ。
     しかし、たったそれだけで何故あそこまで断定的に不合格を言い渡されたのだろう。例えば顔が気に入らないだとかなら、確かに彼女が酷いとしか言いようがない。
     慶介はかねてより医者に憧れ、勉強を重ねて難関校に入学。努力の末にやっと医学部に入部できると思いきや、あの結果だ。憤りを感じないわけではない。だからかえでに話を聞かせることで、かえでの口から神奈先輩への非難を聞いてみたかったのかもしれない。
     随分と女々しい計算をしてしまったものだと、慶介は自身に向けて顔をしかめる。
     神奈先輩の門前払いには、何か理由があるのではという気がする。
     その理由さえ解消できれば入部できるのでは、と期待してみるのは諦めが悪いだけであろうか。
    「ところでさ。慶介君、目元にちょっとクマが出来てない?」
     かえでは慶介の顔を覗いてきた。
    「そうかな?」
     最近は徹夜した覚えもないのに、できているのだろうか。いや、遅くまでアダルト動画を鑑賞することならたまにある。それでも睡眠は取っているつもりだが、言われた異常はクマがあるのかもしれない。
    「うーん。まあ、そんなに気にしなくてもいいのかな」
    「だと思うよ。俺におかしな感じはないし」
    「そっか。じゃあさ。お願いがあるんだけど」
     かえではほんのり顔を赤らめた。
    「ん。何?」
    「最近ちょっと体調が不安で……。少し診察してくれないかな? 慶介君」
     かえでは恥ずかしそうにそう言った。
    
         *
    
     慶介の家は婦人科である。
     地下と一階とに診察室や診断用の機器が揃っており、必要な場合は患者を地下の機材で検査する。
     病院を営む父親は、本人いわく女性の体を隅々まで診察したくて医者になっている。胸はもちろんアソコやお尻の穴まで覗けるのだから、不純な動機が入り込む余地はありすぎるくらいだろう。慶介にも似たような動機があることを、もしや神奈先輩は見抜いたのだろうか。
     かえでを二階の自室へ連れて行き、ベッドの横に腰掛けてもらった。慶介の部屋にも聴診器程度の器具はあるので、首にかけて準備する。
    「じゃあ、上半身は脱いでね」
    「診察のためならオッケー」
     一応、幼馴染同士なのだが。
     かえでの中では、慶介に裸を見せることは検査のために脱ぐことと同じらしい。タダで診察してもらえる医者として、かえではたまに慶介に診察を頼んで来るのだ。ある程度はわかるからいいが、いずれ見逃しやすい症状にでも当たらないかは少々不安だ。
     彼女はためらいなくボタンを外し、ブラジャーまで取り去り上半身裸になった。
     その体つきは、丸っこくて可愛らしい。脂肪の付き方が非常に良くて、決してぽっちゃりすることなく肩や腕のあたりが丸みを帯びているのだ。肌全体には優しい柔らかさがあり、胸の膨らみ方も控えめで愛嬌がある。
     ズボンの内側が膨らむのを感じて、それを隠すように慶介はかえでの前に座った。足を閉じ気味にして隠し、聴診器を下乳あたりに押し当てる。
     ペタペタと位置を変えながら「吸って? 吐いて?」と合図を出し、深呼吸をしてもらう。
     しだいにかえでの乳首には血流が集まり、固く突起していった。
     かえでは照れたように苦笑する。
    「どうかな?」
    「肺の音は大丈夫そうだね。心音は……」
     胸の真ん中に押し当てると、心臓がドキドキしているのが伝わってくる。我慢ができるというだけで、かえでは全く恥ずかしがらないわけじゃないのだ。鼓動に耳を傾けているうち、慶介自身も緊張してきた。
     ズボンの内側が痒い。
     亀頭あたりがムズムズする。
    「どう?」
    「健康そのものだよ。触診もしとく?」
     かえではぽっと赤くなった。
    「もお、エッチ」
    「あくまで検査だってば」
     本心では触りたくて申し出ていたが、やはりかえでは検査を受けるだけのつもりらしい。
    「うん。検査なら、いいよ?」
    「じゃあ、失礼するね」
     慶介はかえでの胸に両手を乗せ、優しい手つきで乳房の柔らかさを味わった。控えめなかえでの胸は、手でお椀を作るようにするとぴったり包み込める。手の平の内側に乳首の突起があたってきて、慶介はますます興奮した。
     幼馴染のおっぱいを揉めるなんて、医者を目指して本当に良かった。
     将来婦人科医にでもなれば、もっと大事な部分も覗かせてもらえるだろうか。
     そんな事を考えていると、股間がますます大きくなる。ズボンの内側がパンパンになって、息遣いも興奮で荒くなりかけていた。
    「慶介君? どう?」
    「もう少しでわかるかな」
     力を出し入れするようにして乳を揉み、かえでの胸を堪能する。人差し指で乳首をつつき、摘まんでこねるようにした。
    「ああっ……」
     かえではほのかに声を漏らす。
     慶介は指先で乳首を虐め、玉を転がして刺激を加える。症状と思わしきしこりや圧痛などは特になく、乳首にも異常な触感はない。
     あとはしばらく楽しむだけだ。
     かえでも揉まれて気持ちよくなっているのか、しだいに息が乱れていた。興奮の息遣いが慶介の耳を突き、同調するようにして慶介の興奮度も上がっていく。
    「け、慶介くぅん? まだなの?」
     少しやりすぎたか。
     慶介はふと我に帰り、触診を打ちとめにする。
    「大丈夫、胸の健康も良好だよ」
    「そっか。よかった」
     かえでは頬を薄紅色にしたままブラを付け直し、着替えなおす。柔らかな肌が服に隠れていくのを見て、少し寂しい気がした。
    「ちょっと、トイレ行ってくるね」
    「うん」
     慶介は上手いことかえでに背中を向け、股間部を見せないようにして立ち上がる。平静を装いながら部屋を抜け、ひとたび廊下へ出るなり早足でトイレへ向かった。
     もちろん、ヌくためだ。
     そして、便座で自慰をする時――
     ――しこりにも似た感触があった。
    「なんだ? 皮膚疾患なのか? ――そうか! それで先輩は!」
     神奈先輩に門前払いを受けた理由に検討が付き、慶介は少し悪い計画を企んだ。
    
         *
    
     翌日の放課後。
     部室の戸をノックされ、天道神奈は具合が悪いという女の子を招き入れた。
    (なんだ。風邪か)
     神奈は一目で症状を悟った。
     見たところ熱が高いので、体温計を脇に挟んで検温する。口を大きく開けてもらい、ペンライトで照らして喉を覗く。食道の入り口に風邪特有の腫れが見られた。
     次はワイシャツの前を開けてもらい、ブラをたくし上げる。露出されたお椀ほどの乳房に聴診器を当てた。
    「夜は薄着すぎない方がいい。病魔はどんな隙に付け込んでくるかわからない」
    「あ、はい」
     神奈は女の子に背中を向かせ、背筋に聴診器を当てる。耳になだれ込む肺の音が、神奈に女の子の風邪の具合を教えてくれた。
    「早ければ一日でカタはつく。薬を出すわ」
     といっても、神奈はまだ二年生で、正式な医師免許を持っているわけじゃない。薬も病院で処方されるようなものではなく、風邪に良いとされる大根とハチミツから作るシロップをコップで飲ませた。
    「これ、美味しいね」
    「そんな感想は聞くまでもなくわかっている」
     単なる薬としてだけでなく、飲みやすい味を意識して調合したのだ。大根の味とハチミツが引き立てあうように工夫している。不味いわけがない。
    「そ、そう……」
     女の子は困り気味になっていた。
    「あとは保健室まで送っていく。ゆっくり休んでから帰るように」
    「はい」
     女の子の肩を抱いて送り届け、用が済むなりすぐに部室へ戻った。
     神奈はこうして、たまに来る具合の悪い生徒を診察している。軽い病気は神奈自身で措置を取り、施設や薬品がなければどうにもならない重病は、部室などでは手が打てないので、仕方なく病院へまわす。
     そうして、月に数人の具合は診ていた。
     神奈の父親は世界的な医師である。その遺伝子のおかげか。はたまたは小さい頃に多少の手ほどきは受けたからか。神奈には症状を察知できる直感のようなものが備わっており、顔を見ただけでも病気か否かを判別できることがしばしばある。
     女の子の風邪は熱っぽい表情と顔色で読み取れた。直感的に喉が腫れているはずだと感じ、覗いてみれば実際に腫れを確認できた。
     過去には気分の悪そうなクラスの女子を見て、腹痛だろうかと予感がついたこともある。周囲の子は誰も気づかない程度の些細な顔色の悪さだったが、本人が無理に痛みを隠していたから友達も気づかなかったのだ。実際に具合を聞いてみれば胃を痛めていた疑いがあり、保健室で胃薬を飲ませた。
     そして、昨日やってきた新入生だ。
     ――桑原慶介。
     彼の目元にはクマらしき黒ずみが薄っすらとあった。注視しなければわからない程度だが、部室を訪れたときの彼の様子とクマを合わせて考えると、桑原慶介にはちょっとした疾患の可能性がある。
     その疾患とは……。
    「この私があんな場所を診る必要はない。私は私のロードを行くのみ」
     神奈は頭の中から慶介の存在を振り払った。
    
         *
    
     しかし、それでも良いのだろうか。
     小さい頃から、父は世界的な名医だと聞いていた。父はほとんど日本にはいなかったが、母親がよく自慢げに話していたので、神奈の幼い記憶にも父の話は残っている。あんまり父はすごい人だと聞かされていたせいせ、幼い神奈も「大きくなったらお医者さんになる!」なんて意気込んでいたものだ。
     ところが、母には重い持病があった。
     神奈は小さいながらに医学書と睨めっこをし、色んな病気に詳しくなっていた。いつかは自分が母の病気を治すのだと言いながら、勉学に打ち込んだものだが……。
     ある日、母の持病は急激に悪化――死亡してしまった。
    「私がちゃんとしてたら……。ちゃんと立派な医者になっていたら……」
     当時は小学生だったのだから、仕方がないといえばそうなのだろう。いくら病気に詳しくとも、とてもでないが持病患者の相手はできない。
     それでも、パニックを起こして病院で母の容態を説明してやることさえ出来なかった。思い出せば悔しくてたまらなくなる。
     だから、心の底では思わずにいられない。
    
     ――私があの時ちゃんとしていたら……。
    
     そもそも、母にかかっていた持病はまだ治療法が発見されていなかったという。症例さえも限りなく少ない。そのために父は世界へ飛んで、同じ病気の患者を通して治療法を研究していたのだ。
     そんな父親が急遽帰国してきた時、こう言っていた。
    「自分で自分を許せるくらい、立派な医者を目指せ。そうすれば天国の母さんも喜ぶ」
     そう、前に進まなければ天国の母親に顔向けできない。
     いつか、あの時どうにもできなかった母の持病を治してやれるくらい、高い技術と腕を持った医者になるのだ。
     そのためには、やはり己のロードを行くしかない。
    
         *
    
     再び部室の戸を叩くと、神奈先輩の声が響く。
    「入りなさい」
     慶介が部室に足を踏み入れると、神奈先輩は昨日のように椅子に足を組んでいた。胸の下では腕組みをしていて、持ち上がった乳房の形が見て取れる。
    「こんにちは、先輩」
    「アンタ、何しにきた」
     神奈先輩はじっと目を細めている。視線は慶介の顔に向いていたが、胸へ腹へと下がって股間を注視、かと思えば顔に視線が戻ってくる。
    「俺が追い返された理由について、少し話しをしてみたいと思いまして」
     神奈先輩の眉がピクっと動いた。
    「話し?」
    「ええ、経験ある医者の目って何でも見抜きますからね。俺らはまだ学生ですけど、もしかしたら先輩ってこう、眼力を備えているんじゃないかと思いまして」
    「……そうね。私に見抜けないものはない」
     答えが躊躇いがちなのは、神奈先輩に思うところがあるからだろう。というのも、慶介の患部の場所がピンポイントだからに違いない。
    「つまり、それで追い返したんですか?」
     あんな風に追い返してきたのは、そんな自慰の多い男と同じ部屋にいたくなかったからなのか。はたまたは目の前の疾患を放置するわけにはいかず、かといって触りたくはない。複雑な思いがああした態度を引き出してしまったのか。
     彼女の頭を覗けるわけではないので、窺い知れない部分はある。
     だが、およそそんなところだろう。
    「そう。アンタは自己管理が無さ過ぎる」
    「かもしれませんね」
     慶介は苦笑した。
     昨日のかえでへの診察のあと、トイレへ行って気が付いた股間部の皮膚疾患……。それは自慰をしているあいだに雑菌がついたために起きた疾患で、重病ではないが皮や亀頭が痒くなったり、症状が進めばヒリヒリと痛むようになる。
    「先輩。それにしたって、よく俺の顔を見ただけでわかりましたよね」
    「目の下のクマ。それと、アンタは自分でも気づかない無意識のうちに股間を気にして、太もものそばを弄るような手癖があった。それらを組み合わせれば想像がつく。天性のカンってところ」
    「すごいですね先輩、名医になれますよ」
    「なるに決まっている。それよりも、アンタはそんな話をしに来たの?」
     神奈先輩のキリッとした目が慶介を射抜く。
     その鋭さに萎縮しそうな自分を押し留め、慶介は一歩踏みでた。
    「先輩って、具合の悪い生徒の診察をしてますよね?」
     神奈先輩の顔を染め上げ、頬から冷や汗を流した。
    「アンタ、まさか新入生の分際で……!」
    「もちろん治せますよね? 先輩」
     慶介が強く言うと、神奈はしばし唇を結んで躊躇いを見せた。しかし、すぐに意を決したのか。真っ直ぐに慶介を見つめ、彼女は医師としての指示を出す。
    「し、診察なら……。ま、いいでしょう。下は全部脱いで、そこに座りなさい」
     本当は男のソレに触りたいとは思わないのだろう。
     しかし、嫌々ながらも神奈先輩は慶介の一物を診なければいけないのだ。もちろん放置も可能だろうが、治せるかもしれないものを放っておくなど、このように迫られてはできないのだろう。
     なのに、表面では上からな態度でいようとする姿が面白う。
    「わかりました」
     慶介は颯爽とズボンを下ろし、ペニスを露出して診察台の横に腰掛けた。
     神奈先輩は股のあいだに座り込み、恐る恐るといった手つきでペニスを握る。赤らんだ顔を近づけ、視触診を開始した。
     気持ちいい。
     綺麗な先輩が自分の肉棒を触っている。
     神奈先輩はまず亀頭周りから茎にかけてを観察し、付け根の皮膚を伺った。腫れ瘢痕、疾患による赤みを探すためだろう。
     床に座り込み、身を乗り出す姿勢で股間を覗いてきているので、慶介の角度から見下ろせば神奈先輩のむっちりとしたお尻を眺められる。白衣の丈が被さっているが、尻たぶのお山二つはきちんとわかった。
     衣服越しのお尻を眺めていると、神奈先輩が慶介の根元を握った。
    「痛みはある?」
     彼女は亀頭をまんべんなく指で撫で、圧痛はないかを尋ねてきた。触れられた箇所に痛みが出れば、そこも疾患部位の一つになるからだ。
    「いいえ」
     慶介から見ると、神奈先輩の顔にペニスが突きつけられて映る。美貌の顔と肉棒が同時に視界のフレームに入るのは、それだけで情欲を刺激される。しかも彼女は根元を握っていて、構図として見ればこれからしゃぶってもらえる展開に期待が沸く。
     もっとも、診察でペニスをしゃぶるなどありえないが。
    「こっちは?」
     細やかな人差し指が、亀頭の付け根を一周した。
    「そこも、痛みはないです。ただ赤みのある部分がヒリヒリします」
    「そ。亀頭の下に傷があるけど、まさか自慰で皮膚が切れたんじゃないの?」
    「恥ずかしながら、その通りです」
     ごく薄い傷にすぎないが、しごくときは皮膚が引っ張られているわけだ。力の入り具合、普段のヌく回数しだいでは薄傷程度が出ることは稀にある。
    「だいたいわかった。ここから入った雑菌が晴と赤みを作っている。薬用ジェルを塗って様子を見ればいい」
     それで治ればよし、ということだろう。
     もし治らなければ侵入した菌を特定して、その菌に見合った措置を取らなければならない。
    「皮の内側のしこりっぽいのも見てもらえますか?」
     神奈先輩は一瞬ウッと引くような顔をするも、気を引き締めるように息を飲む。
    「いいでしょう。この私に触ってもらえる名誉に感謝しときなよ」
     無論、大感謝だ。
     彼女の棒を握る手はゆっくりと動き、上下し始める。手の平全体で皮の内側を探っているのだ。慶介からすれば手コキをしてもらっているも同然で、みるみるうちに性感の波がペニスの芯から滲んでくる。
     自分でしごくよりすごい。
     これが異性からシてもらう気持ちよさなのか――。
    
         *
    
     神奈にとって、これは屈辱だった。
     本来なら男などに興味はない。仮に誰かとこういうことをするなら、自分と釣り合うほどのデキの良い人間でなければならない。学歴が高く運動神経も高いのは当然で、さらに何かプラスアルファを備えているくらいでなければ納得できない。スペックの高い男がいるのでもない限り、性行為などありえない事だ。
     それなのに、神奈は自らの肉棒を握っている。肉の繊維が硬直し、ノの字に反りあがっているのが感触でわかる。しこりを探るために上下させると、握った皮が手の内側についてくる。その皮を通じて、内部にある固い肉の感じがわかった。
    (……これは診察をしているだけ)
     手コキ同然の触診をしながら、神奈は自分に言い聞かせた。
     慶介がしこりだと言ったのは雑菌からなるデキモノで、皮の裏側にできていたからしこりと言ったのだろう。
     深刻な症状ではないが、放置すれば悪化はする。ますます腫れて、慶介は自慰などできなくなるかもしれない。
     どうして、こんな患者を追い返してしまったのだろう。
     神奈は慶介が入部届けを持ってきた時を思い出す。
     あの時は直感が慶介の股間に皮膚疾患があると告げてきたせいで、ズボンの中にある生々しい肉棒の存在を意識せずにはいられなくなった。気が付けば、新入生の入部希望を蹴り飛ばしていた。
     下らないことこの上ない。
     医者を志すなら、この程度の部位は見慣れていなければならない。恥ずかしいから追い返しているようでは駄目だ。
     だいたい、あれでは少しでも恥ずかしがったことがバレかねない。もしバレてしまっていたら、それこそ余計に恥ずかしい。これを隠し続けるには、このあとも「自己管理のなっていない人間は嫌い」と言い張る以外に道はなさそうだ。
     そして、下らないことで追い返した失態……。
     あれを取り返すには、この診察を無事に終わらせるしかない。
     神奈は手に伝わる感触に集中した。
    「こういう場所の診察って、初めてですか?」
    「いや、前にも何度か診ている」
     神奈は見栄を張ったが、実のところ触れるのは初めてだ。知識と目の良さでどうにか疾患に見分けをつけ、触診で確実な診断は下せている。侵入した雑菌も薬用ジェルでどうにでもなることまで、神奈には検討が付いていた。
     見栄を張るのは、慶介を付け上がらせたくないからだ。初めて性器に触れた相手が自分だとわかれば、男はきっと舞い上がるに違いない。それはあまりにも癪だ。
    「どうですか? 先輩」
    「皮の内側もデキモノの一つ。すぐに治る」
     そう言いつつ、神奈の手は淫らな触診を続けていた。
     もう充分に診断は下せているのに、どうして手が止まらないのだろう。下腹部のあたりがじわりと疼き、神奈はそれを悟られまいと即座に顔を強張らせた。
    (……そうだ。私は本当は触りたいと思ってない。天の道を行く私がするようなことじゃないのに、その私がこんなものを握って……)
     そんなシチュエーションのせいだろうか。
     下腹部がきゅんと熱くなり、股に手を伸ばしたい欲求にかられる。当然まさか人前でできるはずもなく、神奈は膝の上でこぶしを握って我慢するしかない。
     やがて亀頭の先端からは、水滴の粒が漏れ出していた。きのこの山の頂上に、そこだけぷつん、と霞が滲み出しているのだ。
    「先輩、なんか尿道口も痒くなってきました。診てくれませんか?」
    「菌がここにもいるのかもね」
     神奈が片手でペニスを握ったままにしながら、もう片方の人差し指をのばした。指の腹を鈴口に当てると、細い糸が指とペニスのあいだに引く。
     再び指をそこにつけて、先走り汁を塗りつけるようにして触診する。
     見上げてみると、慶介が快感に浸っているのがわかった。こちらは皮膚を診るために診察してやっているというのに、当人はのんきに神奈の手で感じている。
     いや、慶介は最初から女にコレを握らせたくて診察を受けに来ていた。
     薄々わかっていながら、それでも診察を始めたのはどこの誰なのか。そもそも、男の股元に座ってこんなことをしては、傍から見ればエッチな行為にしか見えないではないか。
     自分にあらぬ心があるように思えて、神奈は歯を食いしばった。
    (それでも、私は診察経験を重ねたいだけ。立派な名医になるために!)
     決して自分に不純な動機はない。
    「そろそろ薬を塗ろうか」
     神奈は棚の遮光ビンから透明なジェルを手に取り、ペニスへ塗りつけにかかった。
    
         *
    
     ペニスがヌルりとした液に包まれて、慶介は快楽に仰け反った。ペニスに塗られている薬はまるでローションのようで、手の平と肉棒の皮膚がヌメっとした液の力で密着する。そして上下に動かされ、亀頭は指で丁寧に撫でられるから、気持ちよいことこの上なかった。
     特に亀頭の口を指撫でされていると、ペニスが芯から熱くなる。
    「これ、塗り薬なんですよね」
    「違うものを塗ってどうする」
     それはそうだが、ねっとりとした透明な液などセックス用のそれにしか見えない。手の平で優しく茎に塗り広げ、指先を亀頭に這わせてくるから、慶介の根元からは既に射精感がせりあがっていた。
     これだけ長く触ってくれるのだから、もしや「触診」でさえあれば……。
    「玉の方もちょっと痒くなって来ました」
     彼女の左手が亀頭を離れ、期待通りに玉袋を優しく包み始めた。いたわるような手つきで袋を手の中に納め、ローションで揉んでくる。目を瞑って集中すると、性器の全てがヌルりとした液で光沢しているのがよくわかった。
    「薬は塗った。あとは……一応、採取してやるわ」
     何を採取するのか。
     それはもう、聞くまでもなく理解できた。
     神奈先輩は慶介の股下を一旦離れ、棚のガラス戸からビーカーを用意する。ペニスの下にビーカーを添えるようにして、神奈先輩は柔らかな手淫を再開した。
     力加減が調度いい。
     白く綺麗な手は一定のリズムで上下して、固い肉竿をゴシゴシとしごく。生温かい手の平と皮のあいだでローションが働いて、ヌメっとした心地良い摩擦を生み出している。
     高まる射精感に限界を悟り、慶介は神奈先輩の肩をがっしりと掴む。
     掴まれた彼女は驚いたように目を見開き、慌てた声をあげた。
    「ちょっと! 出すならちゃんと――」
     しかし、もう間に合わない。
     ――ドピュ!
     白濁の弾は散弾となって神奈先輩の顔面へ飛び、目と鼻、口周り、頬へと命中した。とろみある液体は下へ向かって、アゴへ向かってつたっていくので、白い汚れの面積は自然と広がっていく。
     彼女はすぐにビーカーを斜めにし、ペニスの角度をビーカー底に合わせる。溢れでる精液はガラスの中に流れていき、出し切る頃には底面を真っ白に染めていた。
     採取が終わり、神奈先輩の怒った顔が慶介を見上げる。もちろん、精液でドロドロとなった顔でだ。
    「この私の顔に……。罰当たりな」
    「すみません」
     そう言いつつ、慶介はブレザーのポケットを右手で探った。片手は神奈先輩の肩を掴んだまま彼女を逃がさないようにしておき、スマートフォンのカメラ画面を素早く向ける。
    「んな! アンタ――!」
     彼女は一瞬の出来事に驚愕、身を固める。
     パシャリ。
     その隙にシャッター音が鳴り、神奈先輩のドロドロの顔がカメラ目線で収められた。ペニスを握る手まできっちりと収められ、これ一枚を見れば彼女が「診察」をしていたようにはとても見えない。
    「良く撮れましたよ」
     慶介は写真画面を見せびらかす。
     自分の痴態を目に、神奈先輩の顔は屈辱に歪んだ。
    「いい度胸ね。何のつもり?」
    「安心してください。俺は入部したいだけです。医者を目指してるんで、医学部を通して経験できることをしておきたいんですよ」
     神奈先輩は冷静に目を瞑り、慶介の股から離れて蛇口へ向かう。顔を洗って、白濁の汚れを洗い流した。
     そして彼女は背中を向けたまま、天井を高々と指す。
    「この私を脅迫しようとは、アンタには神をも恐れぬ度胸がある」
    「いえ、そんな言い方をしてもらうほどではありませんよ」
     彼女は慶介に向き直り、胸元で腕組みをした。ワイシャツの乳房が持ち上がり、形良い美乳の形状がシワから浮き上がる。立ち姿勢だと短めのスカートから覗く太ももが目立ち、太陽のように眩しかった。
    「いいや、私が認めてやっても構わない程度の度胸はある」
    「そうですか?」
    「しかし、それをアンタは歪んだ形で発揮している。少し矯正してやる必要がある」
     というと、神奈先輩の答えは一つだろう。
     慶介はペニスをしまいながら、次の彼女の言葉に耳を傾けた。
    「私という偉大なる先輩が、後輩を立派な真人間に育ててやるわ。十年後、二十年後の将来、アンタは人生の成功と共に私との出会いに感謝することになる」
     なんという自信か。
     さすがは天道神奈といったところだろう。
     世界的名医を父の持ち、学生の身分でありながらあらゆる病状を見抜く眼力と直観力を備える娘。入学前、学園医学部の存在を知ってから、その子はきっと自信家に違いないと予感していた。慶介の予感は大当たりだったというわけだ。
    「では、神奈先輩が部長なんですよね?」
     慶介はバッグから入部届けを出す。
    「そう、私が創造主よ」
     神奈先輩は優美な手つきでそれを受け取る。鮮やかな手首の捻りと指の動きは、とてもさっきまでペニスを握っていた手とは思えなかった。
     この手でシてもらったと思うと、胸の底から優越感が湧いてくる。
    「これからよろしくお願いします。神奈先輩」
    「よろしく、慶介君」
     美人な先輩と過ごせる部活動――。
     慶介は今からワクワクしきっていた。
    
    
    
    
    
    


     
     
     


  • 検査結果

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     【須藤麗奈の検査結果】
    
    
    ・バストサイズ88センチ
    ・ウェスト59センチ
    ・ヒップ89センチ
    
    ・身長168センチ
    
    ・乳首0.8センチ
    ・乳輪0.5センチ
    
    ・性器の割れ目4.2センチ
    ・クリトリス0・3センチ
    
    ・性器から肛門までの幅2.9センチ
    ・肛門の直径3.1センチ
    ・肛門のシワ17本
    
    
     平均より高めの身長に整った体形は美観的に優れており、発育状況は極めて良好である。乳首の色合いは焦げ茶色に近く、性器の形状は貝がぴったりと閉じたように整っている。また、指で押し開くとサーモンピンク色の肉ヒダが確認でき、平均よりも美観に優れているといえるだろう。肛門の黒ずみは薄く、肌色の近い。
    
    
    
    


     
     
     


  • 第7話「最終測定」

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      最後の検査は恥部の測定だった。
     まず、麗奈はベッドで仰向けとなり、そして担当者がパンツを脱がす。この時、担当者がきちんと脱がしやすいように、女子は両膝を立てなくてはならない。パンツが膝まで来たら、さらにつま先までを持ち上げる。
     最後の守りを失う心もとなさにかられながら、そうして麗奈は黒のパンツを取らていった。
     無論、男性教師や男子生徒の立会いの中だ。こうなると秘所を隠したい気持ちが大きく膨れ上がり、手で覆い隠そうと腕が勝手に動きかける。本当に隠せば注意されるだけなので、麗奈はぐっと堪えるような気持ちで抑え込んだ。
    「では乳首と乳輪を測定します」
     ノギスが乳に当てられる。
     自分の体の大事な情報を調べられる。なのに抵抗も何も許されず、ただじっと終わりを待つしかない。このどうしようもなさこそ、まな板の鯉ということわざに当てはまる状況か。
    「乳輪2.5センチ」
     大声で読み上げられた。
     例えるなら教室で日記を読み上げられるような、しかし確実にそれ以上の羞恥心に締め付けられ、麗奈の表情は面白いように変化していた。結ばれた唇が波のように歪み、目尻が力んで涙を堪えるような顔になる。いかにも恥ずかしさを叫ぶ表情をぐっと抑え、麗奈はさも何でもないように振舞おうとしているのだ。
     羞恥溢れる表情を隠そうと、麗奈は必死に顔を強張らせてはいる。だが、ピンと張り詰めた表情は何度も緩み、堪える顔と羞恥の顔と、交互に移り変わりを見せるのだ。
    「乳首は0.8ですね」
     読まれた瞬間、頬の強張りが緩み、今にも泣きそうな羞恥の表情が表に出る。麗奈はすぐさま押し隠し、強きに振舞う。
    「では下を測るので、足を大きく広げてください」
     自ら開脚しろというのだ。
     麗奈は唇を噛み締めながら、天井にM字を向けるようにして足を広げ、手で両膝を固定した。全ての恥部が見える姿勢に羞恥が込み上げ、ただでさえ真っ赤な顔の色は濃くなる。肌の首から上はもはや完全に別色だった。
     アソコに顔を近づけられ、そっとノギスを当てられる。
     縦筋の長さ、横幅、クリトリス――。
     性器のあらゆるサイズを測定され、これから読み上げられるのだ。
    「割れ目の長さ6.5センチ」
     そんな情報が記録用紙に書きとめられる。
    「横幅4.2センチ。肛門から性器までの距離2.9センチ」
     そして、クリトリスを測るために性器に触れられ、肉芽の突起を確認される。
    「んっ」
     思わぬ刺激に吐息を漏らした。
    「クリトリス0.3センチ」
     全ての性器の情報を読み上げられ、麗奈は恐る恐る横目を向いた。野次馬のように並ぶ男子の中で、担任や皆川もその情報にじっくりと耳を傾けていた。脳にしっかり書き込んで、確実に麗奈の情報を覚えようとしている事に間違いなかった。
    「四つん這いになって下さい」
     麗奈は恥を忍んで尻を向ける。
     尻穴に触れられて、菊皺の一本一本を指でより分けられていく。
    「肛門の皺の数、17本」
     ノギスが当てられ、穴の大きさを測られる。
    「肛門の直径3.1センチ」
     恥部のサイズを余すことなく記録され、こうして検査は終了した。
    
    
    
    
    


     
     
     


  • 第6話「ギョウ虫検査」

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     ギョウ虫検査も本来は自分で出来る内容だが、ここでは担任の手で行われることになっていた。女子は用意されたベッドで四つん這いになり、担任に向かってお尻を差し出す。すると担任はパンツを下げ、肛門にギョウ虫検査シートを当ててくるのだ。
     女子のお尻を見るために、男子は担任の背後に固まりを作る。
     肛門を見られ、触られることがわかっていながら、それでも女子生徒はベッドに上らなくてはならない。処刑台の順番待ちの気持ちを味わって、自分の友達が羞恥に悶え苦しむ姿を見ながら、少しずつ近づいてくる順番に不安を膨らませ続けるのだ。
     麗奈もまた、列が一人分縮むごとに不安を膨張させている。
     赤いパンツの子が四つん這いになった時、担任はそれを太ももの真ん中まで引き下げて、まるで前準備のマッサージであるかのようにお尻を撫でる。明らかに必要のない行為だが、指で肛門を開いたり、顔をギリギリまで近づけてやることで、女の子を限界まで恥ずかしがらせるのだ。
     やがて担任は狙いを決め、片手でお尻の割れ目を開きながら、もう片方の手でギョウ虫検査シートを張る。ぐいぐい指を押し込んで、皮膚肉をまわすような腕の動きは、間違いなく肛門へのマッサージだ。
     水色パンツの子が菊皺に息を吹きかけられ、ピンクの縞々を履いた子はシートの上からつんつんつつかれる。クラスメイト達が受ける数々のお尻の触り方、肛門への触れ方を見ているうちに、次は自分が同じことをされるのだという実感が強くなる。
     白に水玉模様のパンツを履いた例の子は、検査が終わると涙ぐんだ表情でベッドを降りていった。
     自分の番がやってくる。
     いよいよ、処刑台に上る気持ちでベッドに上がり、麗奈は四つん這いでお尻を向けた。頭と胸は下にべったりくっつけて、尻だけが高い情けない姿勢を取る。くびれた背中は姿勢のために床に向かって反っていた。
     担任は黒いパンツに包まれたお尻を見る。尿検査の時に履き直させた際、食い込みが出来て割れ目が浮き出ている。性器の膨らみを眺めつつ、黒い布地に手を乗せて、ゆっくりとパンツを引き下げて行った。
     剥き出しになった麗奈のお尻はむっちりとした肉の厚みで、割れ目の中心に薄桃色の皺のすぼまりを放射状に広げている。麗奈の肛門を一秒でも長く見たい男子達は、担任の背中から覗きこもうと身を乗り出す。
    「よしみんな。今から、須藤麗奈のお尻にシートを当てる」
     すると担任はみんなに見えやすいようの横へどき、じっくり眺めてあげるようにと促した。大量の視線照射が一瞬にして麗奈の集中し、皮膚が焼かれるかと思うほどの視線愛撫に麗奈は悶える。
    「っと。まずはほぐさないとな」
     担任は麗奈の尻たぶを掴み、指で肛門を開いて閉じて、開いて閉じてを繰り返す。菊皺の伸縮する様子を拝み尽くされ、指でツンツンつつかれた。
     顔を近づけられ、フッと息を吹きかけられる。
    「――――んんっ」
     肛門に来る吐息の生温かさに背筋全体に鳥肌が立ち、肛門がキュゥゥゥと収縮した。
    「まあ、こんなものだろう」
     担任はギョウ虫検査シートを出し、肛門にそーっと乗せ、指でぐいぐい押し付ける。ちょうど尻穴に指で蓋をされ、そのままマッサージを施されるような具合である。肛門をほぐすようにされ、必要以上の揉み込まれた。
     爪先で優しく引っ掻くかのようにして、シート越しに皺を一本一本なぞってくる。人差し指を立て、爪の半分ほどまでを肛門に挿入され、そのまま左右に回転、ぐりぐりされる。
     麗奈はひたすら拳を強く握って、歯を食いしばって終わりを待つ。
     その間、担任は淡々と手つき指つきを変え、あらゆる方法で肛門を刺激した。指でボタンを押す時のように力を出し入れする。円をなぞるようにして指の腹を走らせる。上からツンツン何度もつつく。
     様々な方法で麗奈の肛門は弄り尽くされた。
    「よし、これくらいかな」
     ようやく、シートが肛門を離れていく。
     パンツを直され、布地が食い込むように割れ目を指でなぞられて、ギョウ虫検査は終了した。
    
    
    


     
     
     


  • 第5話「尿検査」

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     検査日程のプリントの記憶を辿り、次の検査内容を思い起こすなり、麗奈は大いに腹をくくった。もし、羞恥という感情一つが死因になるなら、自分はこれから死ぬかもしれない。他のみんなも、精神的に生きて帰れるかはわからない。
     何せ、尿検査だ。
     普通の学校生徒が自宅で尿を出すのと違って、ここでは学校の中で、教師が手に持つ紙コップに向かって放尿しなくてはならない。その様子はクラスメイトにも公開され、男子の見る前でおしっこを出すのだ。
     緊張で出せない子が出ないように、朝の教室で事前に利尿剤が配られた。時間差で効果が出るよう調整され、みんなもうじきトイレに行きたくなる頃だ。麗奈もしだいに尿意を覚え、これは人前で出すものなのだと思うと、試練に今から顔が赤くなった。
     場所は視聴覚室。
     机や椅子は一切どけられ、広々としたスペースに仮設トイレが三つ設置されている。利尿剤の効果が出すぎて、待っているあいだにお漏らしをする子がいてはいけないので、三列に分かれて早めに検査を終わらせるためである。
     三列にも分かれると、一列あたりの人数は少なくなる。
     運悪く最後尾になった麗奈は、しだいに強まる尿意に不安を覚えながら列を進んだ。早くしなければ、きっと漏らす羽目になるだろう。けれど自分の番になれば、みんなに見守られながらの放尿だ。前も後ろも地獄でしかない状況など笑えない。
     ジョォォォォ……。
     三つの様式便座に座る三人の女子が、放尿を開始した。見えやすいよう、紙コップを添えやすいようにと足を大きく広げながら、視線を浴びながらの放尿だ。今にも泣きそうになっている子もいれば、口元を押さえて恥らう表情を隠したがっている女子もいた。白の水玉パンツの子は、必要以上に俯いたまま一切顔を上げなかった。
     利尿剤の効果もあって、緊張で出ないという子は一人もいない。便座に座って足を広げればすぐに放尿は始まって、それぞれの教師は淡々と紙コップに採取したものを専用容器に移している。あの尿検査についてくるプラスチックの容器を見ると、お弁当に入れるしょうゆ入れを思い出す。スポイトの要領でコップに溜まった尿を吸い取り採取する方法は、まさに弁当用のあれと酷似していた。
     うぅ、まずい。
     漏れる予感に麗奈は自分の股を抑え、太ももを引き締めながらお漏らしを我慢した。
     自分の並ぶ列だけ、運悪く放尿時間の長い子が多かった。他の列が順調に人数を減らしているのに、麗奈の列は少しばかり遅れている。麗奈の待ち時間は普通よりもいくらか長引かされていた。
     まだだ、まだ解放する時ではない。
     自分に言い聞かせながら、とうとう両手で股を押さえて我慢する。その頃には他の子達は最尿を終え、麗奈は最後の一人として残ってしまった。
     なんということだ。これでは他の女子への視線の分散が一切起きない。全ての男子が自分を集中的に見つめてくる。
     両手でおしっこを我慢して、一歩ずつトイレへ近づく様子をクラス全員に見守られる。もうこの時点で死にたいほど恥ずかしかった。
    「脱がすぞ」
     便座に到着すると、まずは担任の手で足首までパンツを下げられる。何の意味があってか、自分で脱いではいけないのだ。わざわざ人に脱がせてもらって、片足にパンツがかかるように足首を抜くのは一本だけ。右の太ももにパンツを引っかけ、そこで着席が許される。
     着席後は足を側へ開いていき、乙女の園を曝け出す。この時、当然アソコを隠すことは許されないので、麗奈は初めから胸しか守っていなかった。
     性器に視線が集中し、麗奈は顔を熱くした。あまりに真っ赤に染まり上がり、首から上の血液だけが熱湯にでもなっているような勢いだ。肩が震え、全身が強張り、麗奈はそれでも決まりを守って開脚を維持していた。
     コップが添えられ、息を呑むのは麗奈だけではない。
     麗奈の便座にたかるように集まった男子全員が、放尿の瞬間を今か今かと待ちわびて、尿の飛び出す瞬間を見逃すまいと全員が目を見開いている。強く視線を突き刺してくる中には、やはり皆川も混ざっていた。
     そして……。
    
     ジョォォォォォォォォォォォ……。
    
     放尿が淡々と紙コップを打つ音が、静寂の中に染み入るように響き出した。初めは紙を打っていた水音だが、すぐにコップの中身は溜まっていき、水面の弾けるびちゃびちゃとした音に変わっていった。
     ――見られている。
     尿道から尿を打ち出す乙女の園が、ゆうに二十人近くはいる男子と、数人の立ち合い教師と、そして目の前で採取している担任にじっくりと観察され、この光景を目に焼き付けている。誰もが麗奈の放尿を一生の思い出にして、天寿を全うするまでに、きっと何度も麗奈をオカズにするのだろう。途方もなく溢れる羞恥心を懸命に耐え抜いて、大股開きでおしっこ姿を公開する麗奈の有様を誰も一生忘れないことだろう。
     十分尿の溜まった紙コップが股下から外されるが、最後の一滴まで放尿しきるまでは絶対に足を閉じてはいけない。担任が良しと言わない限り、開いたままにしておくように手順が定められているのだ。
     ようやく尿の勢いは緩む。
     担任はトイレットペーパーを用意して、ちぎった紙を折りたたんで、麗奈のアソコを拭き始めた。
     顔から火が出るどころの話じゃない。火炎が巻き上がるとまで言わなければ、麗奈が感じる羞恥心にはとてもでないが見合わないほど、赤く熱くなっていた。額に手でもあてれば、風邪で出た高熱と勘違いされても不思議はない。
     担任の手によってアソコを拭き取ってもらう瞬間までも、みんなに見られなくてはいけなかった。異性に触れされたことのない性器がこんな形で、おしっこの雫を拭き取るなどという目的のために触られている。紙で割れ目を擦られているあいだ中、麗奈はずっと下を向き、唇を噛みながら耐え忍んでいた。
     拭き終わると。
    「さあ、立って」
     麗奈は立ち上がり、最後の締めとして担任にパンツを履かせてもらう。足首を通したパンツがするすると持ち上げられ、割れ目に食い込まんばかりに上に向かって持ち上げられる。ずれていたわけでもないゴムを指で確認され、さらに二回三回とパンツを上に引っ張られてから、ようやく尿検査は終了した。
    
    
    


     
     
     


  • 第4話「羞恥のモアレ画像撮影」

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     しばらくは腕で乳房を覆い隠せる。
     身長計では手を横に下げ、スリーサイズでは頭の後ろに組む事を強いられていたので、測定中は隠すことを許されなかった。だが、これらの測定が終わって廊下へ出て、次の場所へ移動するまでの最中は、ずっとガードをしていられる。
     散々視線に晒された乳房だけに、こうして腕で守れる事にはちょっとした安心感がある。とはいえパンツはどうにも出来ず、色っぽい背中も腕二本ではガードのしようがない。横の男子列から、チラチラと背中やお尻を見られるのは、やはり我慢するしかないのだった。
     麗奈の前では、ちょうど今朝の子が歩いていた。
     白い布地に水玉模様を刺繍した、ゴム部分はピンク色になった彩りあるパンツだ。白ではないかと風紀委員に言われていたが、柄さえあれば問題無しとして、結局は没収されずに済んだのだろう。でなければ、今頃は彼女だけはパンツも履けず、完全な全裸姿でこうして校内を徘徊しなくてはいけなかった。
    
     ところで、視力検査は集中しにくい心地がする。
     廊下移動のあいだは分散するが、こうして検査が始まれば、今検査を受けている女の子に視線は集中しやすくなる。パンツのお尻部分をジロジロ見られては、食い込みで割れ目が浮き出てはいないか、尻肉がいやらしいハミ出しをしていないかが気にかかる。今、何人の男子の視線があるのか。皆川にも見られているのか。考えれば考えるほど気が気でない。
    「右、左」
     目は良い方なので、麗奈は問題なくランバルト環のCの形の方向を言い当てた。片手で胸をガードしながら、視力検査用の目隠しに片目を覆って、小さくなっていくランバルト環の口部分を次々と言い当てる。
     ただそれでも、恥ずかしさに声が何度か震えてしまい、それが余計に恥ずかしいという負の連鎖に身悶えするような気持ちを味わった。
    
     内科検診は緊張で全身が強張ってしまう。
     中年のおじさんが聴診器をぴたりと当て、麗奈はそのひんやりとした感触に息を飲み、静かに姿勢を保っていた。ここでは胸が隠せない上、硬くなった乳首に向かって眼光が浴びせられ、真顔で観察され続けるのだ。
     肌の凹凸がないか、視診も含めているらしいが……。
    「美しいね」
     感想を述べられ、麗奈は反射的に肩を縮めた。褒められること自体は嬉しいが、とても素直に喜べるような状況下ではなく、むしろ耳まで熱くなるような、異常な照れに襲われて、麗奈は相手の顔を直視できなくなってしまった。
    「じゃあ、触診に移るからね?」
    「……は、はい」
     さらに緊張が膨れ上がり、心臓が早鐘のように鳴り響く。体内で音を上げていく麗奈の鼓動は、鼓膜のすぐ裏側からバクバク聴こえて思えるほどだ。
     手に乳房を包まれて、じっくり揉まれる。鷲掴みで力を出し入れするように、内部を丁寧に探るようにして指を躍らせる。指先を伸ばして掬い上げ、乳肉を弾ませ振動を加える。おじさんはプルプル揺れる乳房の動きを観察し、それから乳首を摘んで軽くねじった。
    「んっ」
     麗奈はピクっと、肩を弾ませてしまった。
     摘んだ乳首を引っ張られ、熱い疼きに鳥肌が立った。
    
     モアレ検査に移ると、背骨に歪みがないかを目視で調べられる。真っ直ぐに伸ばした背筋の溝に指が這わされ、鳥肌が立って肩が縮んだ。
     ここでも両手は横に伸ばしていなくてはならないので、前を隠せず男子に見られる。男性教師も一緒になって、麗奈の乳房を凝視していた。
    「前屈みになってね」
     麗奈は体をくの字に折る。後ろに向かってお尻を突き出した。
     モアレ検査では視診もそうだが、カメラで背中を撮影することによって、背骨の歪みを画像判定するものだ。尾てい骨まで写す必要があるため、パンツを少しだけずらされて、お尻の割れ目が見えかけになる。
     少しだけ見えるお尻を拝もうと、男子の固まりはぞろぞろ動く。見えやすい位置に集まって、一斉に視線を突き刺してくるのが肌でわかった。静まった空気の中、男子の興奮した息遣いが耳を撫で、視線のことを思えば思うほど皮膚が熱くなってくる。
     パシャリ。
     シャッター音と同時にフラッシュが光り、麗奈の背中が撮影された。あくまで検査用なのは理解しているものの、履いているパンツと見えかけのお尻が同時に写されているのだ。男からすればいやらしい目的で使えなくもないのでは? 検査結果を提出しつつ、きっとカメラマンは自分用にも画像をコピーし、好きなときに眺めて楽しむかもしれない。
     疑い過ぎかもしれないが、可能性はゼロではない。
     他にも女子がいる中で、これだけ注目率の高い麗奈の体で欲情しない男など、この地上にいるのだろうか。
     パシャリ。
     フラッシュと共に麗奈は震えた。
     巧妙にずらされたパンツのゴムは、実に上手い具合に食い込んで、お尻をプニッとさせている。男子はゴムの食い込みに注目し、少しでも鮮明に目に焼き付けようとまぶたを大きく開いているのがほとんどだ。
     パシャリ、パシャリ、パシャリ。
     三枚も連続で撮影された。
     パシャリ、パシャリ、パシャリ。
     再びだ。
     他の子は二枚か三枚がせいぜいだったのが、麗奈の時だけ余分に撮影されていた。カメラマンがデジタルカメラの機能を活かし、お尻の部分をズームして撮影していることなど、撮影している本人以外に気づいている者はいなかった。
     パシャリ。
     とどめの一枚も、股の部分を狙った扇情的な写真であった。
     撮影を終わったカメラマンは麗奈の元へ歩んでいき、ずらしたパンツのゴムに指を入れ、元通りに履かせ直せた。
    (これも私だけ……!)
     ずれを直してもらっただけだが、人の手でものを履かせてもらうなど、赤ん坊扱いでも受けるような屈辱だった。よりにもよってパンツであるのが、余計に屈辱感を煽ってきた。
    (この身に備わる魅惑の力が憎いと思うことなど、今日をおいて他にはない。こういう目に遭うようでは、呪いと変わらない)
     自分が美麗な容姿を備えることをはっきりと自覚している麗奈は、自分の意思に関係なく勝手に男を魅了してしまう自身の肉体を、少し複雑に思っていた。
     ルックスの良さには自覚を持っているものの、麗奈は無自覚なナルシストであった。
    
    
    


     
     
     


  • 第3話「風紀委員」

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     パンツは白とベージュは禁止、きちんと柄や色のあるものを履いてくる。
     普段は下着の色や柄など何だろうと構わないのだが、身体検査の当日だけは『地味な無地』が禁止されている。要するに目立たず大人しいパンツを履き、恥ずかしさを軽減しようなんて考えるなということだ。
     いつも顔を合わせているクラスの男子や先生達に裸を見せ、羞恥心を堪えることで心を鍛えよという方針である。男子も男子で、裸を見たからといやらしい顔は一切せず、紳士的に振舞うことが求められる。男に対する試練でもあった。
     そんな身体検査は何も開始からが本番ではなく、実のところ朝から学校の雰囲気は重々しく厳格なものに変わっていた。
    
     朝は下着チェックがあったのだ。
    
     登校した女子は校舎に入る前、必ずスカートをたくし上げる。風紀委員の男子に今日のパンツを見てもらい、確認した風紀委員はチェックシートにペンを走らせる。何色を履き、どんな柄をしていたのか。一人一人のパンツを用紙に書き込んでいくのだ。
    「色が白のようだけど、どうしたの?」
     禁止された色のパンツを見ると、風紀委員はまず理由を尋ねる。
    「水玉模様があって、ゴムの部分はピンクだから。地味ではないし大丈夫だと思って……」
    「なるほど、先生と相談してみよう。あくまで恥ずかしさをやわらげるようなパンツを履かせないためだから、白だからといって一概に駄目とは言われないはず」
     風紀委員は淡々と、事務的に述べた。
    「ただし、問題有りとされた場合は放課後まで没収。今日一日パンツ無しで過ごしてもらうことになるから、そのつもりで」
    「う、うん。わかった」
     麗奈とも同じクラスにいるその子は、不安がりながら校舎へ駆けていった。
    「一年B組、須藤麗奈です」
     次に麗奈の番となり、最初にクラスと名前を告げる。ためらいがちに、羞恥心をぐっと強く堪えるようにしてスカートをたくしあげ、黒色のパンツを見せた。
    「ふむ、黒か」
     風紀委員は屈み込み、まじまじと見つめてから用紙に書き込む。確認が終わるのを見て、麗奈はすぐに手に掴んでいたスカート丈を離すのだが、しかし風紀委員は言ってきた。
    「ブラジャーも見せてもらおうかな」
     基本的にはパンツだけだが、問題のある生徒の場合はブラジャーもチェックする。別に麗奈が問題児という事ではないのだが、この裁量しだいで自由に女子生徒を脱がせられる権限は、校則を破りそうな子よりも、むしろ風紀委員が自分で気に入った子に対して行使されるのが実情だ。
     これも心の鍛錬だと、学校側は黙認している。逆らえば不利になるのは女の子だ。
    「……私の闇に惹かれたか」
     ぼっそりと呟きながら、麗奈はブレザーを脱ぎ始める。ワイシャツのボタンを外していき、肩をはだけるようにして上半身を曝け出した。
    「上も黒、きちんと上下セットみたいだね」
     風紀委員は麗奈の胸元に顔を近づけ、淡々とした顔つきでブラジャーの胸を凝視する。視線で柄をなぞるようにして、肩紐に沿って目を動かし、さらに赤らむ表情までをチェックした。
     そして、チェックシートに書き込みをする。
    「行かせてもらうよ」
     今度こそ確認は終わったと判断し、麗奈はすぐに服装を直して校舎へ進んだ。
    
     だが、着替えも男女同じ教室だった。
     しかも、男子が先に体操着に着替え、次に女子がパンツ一枚に。という風に、順番が決まっている。男子が着替え終わるのを、生きた心地のしない気持ちで待機して、体操着を来た男子の前で、自分達だけがパンツ一枚という恥ずかしい格好にさせられる。
     ほとんど、男に脱衣シーンを見せるべくしての規則である。
     一人一人、大いにためらいの気持ちを抱えながら、たどたどしい手つきで脱ぎ始める。麗奈もまた机の上にブレザーをたたみ、靴下を脱ぎ、ワイシャツのボタンを外しきって、白い袖から腕を引き抜いてからスカートのホックを外す。
     ブラジャーを露出し、スカートを脱ぎ捨て、最後に乳房を曝け出すのが麗奈の選んだ着替えの順番だった。
     もっとも、男子には背中を向けて着替えていた上、すぐに腕で覆い隠したので、そのまま廊下へ出て教室移動を行い、身長計に背中を張り付ける瞬間になって、ようやく乳房を見られたわけだが。
    
     かくして身長とスリーサイズを測り終えた須藤麗奈は、次の検査へ向かっていく。