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  • 第12話「リーナのチンポ当てゲーム」

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     ゲームに際して、ジョードが改めて説明したルールはこうだ。
    
    ・必ず目隠しをする。
    ・ゲームは三回勝負。
    ・手、口、股の三箇所で言い当てる。
    ・全問正解でリーナの勝ち、一度でも外れたらジョードの勝ち。
    
     手と口も利用するため、リーナはジョードの肉棒を十分間以上かけてじっくり触った。正確にはそう指示されてのことだが、肉竿の硬さや太さをしっかりと手に覚えさせ、手で言い当てるゲームに備えた。
     フェラチオもたっぷりと行った。
     一分以上は口に含んだままにさせられたり、根元や先端など、あらゆる箇所を満遍なく舐めるようの言われたことで、やはり十分間以上が覚えることに時間を使った。
    「手と口の場合は、根元を探れば本人がいるかどうかわかっちゃうよね?」
    「そりゃそうね」
    「その対策のため、穴の空いた壁板を利用するよ」
     つまり、穴からボロンと垂らされた肉棒を手で触り、口に咥え、そうすることで言い当てろと言っている。
     ジョードの用意した大きな板には、ちょうどジョードの肉棒が通れるような丸い穴が空けられていた。ご丁寧に顔の高さにも四角い穴が空いていて、ジョードはリーナがゲームに励む様子をじっくりと拝めるわけだ。
     目隠しで視界を封じ、ゲーム開始。
    
     最初は手でのチンポ当て。
    
    「はい。いいよ?」
     リーナの視界は暗闇に覆われているが、穴の開いていた位置まで手を運ぶと、確かに肉棒が生えていた。作り物と本物を言い当てるルールだが、何度も性行為を重ねたリーナからしても、この作り物は出来が良すぎた。
     しかし、これは明らかに太さが違う。小指と親指ほどには違っているので、握った感じですぐにわかった。
    「これは違うわ」
    「一本目はハズレに賭けるんだねぇ?」
     今度は迷った。
     太さはおおよそ同じな上、本物と変わらない熱感や脈打ちまである。両手で包み込むように握ってみると、指の本数に対して亀頭の位置が微妙に違った。
    「これも違うわ」
    「二本目も違うと。じゃあ、三本目だね」
     次はじっくりと調べた。握ることで太さを確かめ、自分の手のひらに対して、長さはどれほどなのかも確認する。亀頭の先端を指で撫で、竿まで満遍なく触り込み、やがてリーナは確信を抱いた。
     この血管の脈打つ位置は間違いない。
    「これが本物ね」
    「正解!」
    
     ドピュン!
    
     その瞬間、頬に白濁の液がかかった。
    「――な、何するのよ!」
    「言い忘れていたけど、正解者にはザーメンをプレゼントするからね」
    「……最低っ」
     口で正解を当てたら飲まされるということではないか。
    
     次は口を使ってのチンポ当て。
    
     さっそく、一本目の肉棒を咥えたリーナは、壁に向かって頭を前後に動かして、唇に意識を集中する。リング状に丸く開いた唇から、なんとなく太さを察した。
    「これは違う」
     太さこそ同じでも、微妙に長さが違っている。
    「じゃあ、二本目を出すよ?」
     次も肉棒の根元を握り、唇で太さを確かめてから、頭を前後に移動した。根元を握った状態で奥まで咥えれば、亀頭が口内のどの位置に到達するかにより、長さを確かめることができる。
     太さ、長さ、共に同じだ。
     だとしたら、唇でカーブの具合を見るしかない。根元が一番細く、真ん中にいくほど太くなる形状から、正しいジョードの反り具合かを判断する。
    「……パスしてもいいかしら」
    「いいよ? 全部で五本あるからね?」
     三本目を口に含むと、これは明らかに太さが違っていた。
     だが、四本目の形状は本物と酷似している。唇で締めるようにしながら、力を加えて前後に動いていると、カーブ形状も実物とそっくりなのだ。
    (これって、さっきの太さが同じやつ? 長さだけが微妙に違っていて、これが偽者なんじゃないかしら)
     確信はできない。
     なので五本目を出してもらい、五本目を口に咥える。
    (こうして舌を貼り付けると、舌の上で血管がピクピクしていたわよね)
     リーナは答えを確かめるために舐め込んで、ジョードに当てはまる特徴を探った。そうするうちに、皮の味が人間の皮膚とは異なっていることに気がついた。亀頭からは先走りの汁が出ているが、その味も人間のものとは少しだけ異なっていた。
    「さっきの三本目が正解よ」
    「うん。じゃあ、正解だと思うこのチンポを再び咥えてごらん?」
     嫌な予感がする。
     入れ替えられた肉棒に咥え直すと、ジョードはきちんとしたフェラチオを要求してくる。頭を動かしているうちに先走り汁の味がして、すぐに白濁が放出された。
    
    「せいかーい!」
    
     ――ドクン! ドクン! ビュルン!
    
     口内に青臭いものが放出され、舌が真っ白に浸されるほどの量が下顎から溢れかける。
    「飲んでね?」
    「ゴクンッ」
     胃が腐食するような気分になるので、こんな奴のを飲むのは嫌だったが、リーナは仕方がなく飲み干した。
    
     最後はアソコでチンポ当て。
    
     膣では同じようにはやりにくいので、リーナは仰向けのまま脚をM字にしたポーズを取ることとなった。股を全開にすることで、肉棒をスムーズに挿入しやすくするのだ。
    「一本目。いくよー」
     ずにゅぅぅぅ、と。
     最初の肉棒が挿入されるが、リーナは即座に感じ取った。
    (……違う)
     太さが違う。これはさっきから一本だけある細いやつだ。
    「次」
    「はい、二本目ー」
     入ってくるのは、長さの約半分までだった。根元まで入れてしまうと、ジョードの身体から生えているかでわかってしまい、ゲームにならないため、半分までしか挿入しないのだ。
    (……わかんない)
     長さを判断材料の一つにしていたが、これではヒントが減ってしまう。膣口でしっかりと太さを確かめ、ゆっくり出し入れする動きから、カーブ形状を読むしかない。
    
     ずるぅぅぅぅぅぅぅぅ………………。
    
    「――うぁっ、あぁぁ」
    
     スローペースの出し入れが刺激となり、リーナは髪を振り乱す。
    「ほらほら、感じているだけじゃ答えがわからないよ?」
    「うるさい! 黙って!」
    
     ずにゅぅぅぅぅぅぅぅ………………。
    
    「んんん……! これ……違う…………!」
    「なら三本目だね」
     肉棒が引き抜かれ、また別の肉棒が入ってくる。
     リーナは膣に神経を集中して、ペニスの形状を確かめようと気張っているが、アソコに意識をやればやるほど、甘い痺れはほとばしる。
    「くひぃ……っはぁ……あぁぁっ、ひあっ、んぁぁ……これも……違う……!」
    「じゃあ、四本目」
    「んんんん! んぁ!」
     絶頂を欲するリーナのアソコは、既に多量の愛液を垂れ流し、ベッドシーツに広がる染みはお漏らしに見えるほどだ。
    「ほらほら」
    「次っ、次ぃ!」
     五本目と入れ替わる。
    「どう? わかる?」
    「これ! これぇぇ!」
    「大っ正っ解!」
     リーナが答えを当てたことで、遠慮の必要がなくなったジョードは、大胆に腰を振る。リーナの膣内を深く貫き、一突きごとにリーナの背中はビクンと弾む。
    「ひはぁ! ひうぁ! くぁっ、うあっ、いやぁっ、ああん!」
     感じたくない! 感じたくないのに!
     どんなに心が拒んでも、ジョードからの快感を体が勝手に受け取っている。絶頂へと一歩ずつ近づいていき、やがてその瞬間が迫ってきた。
    「い、イク! やだ! イキたく――ない! だめ! だめぇぇ!」
    「はい」
     ピタリ、と。
     絶頂直前の寸止めで、ジョードはピストン運動を停止した。
    「あぁ……またぁ……」
    「イキたくないんだよねぇ?」
     ジョードはほくそ笑む。
    「……そうよ。当たり前でしょ」
     ただ体が反応するだけでも、ジョードごときに言い様にされているのが呪わしい。ましてやイカされようものなら、それこそ屈辱だ。
     それが、本心。
     精神的な苦痛は本物だ。
     ジョードを拒みたがっている心には、一切の揺らぎがない。こうしてジョードの肉棒が入るだけでも、例えるなら毛虫やナメクジなどの不快生物が肌を這ってくるような、おぞましくてたまらない心地がするのだ。
     その上で、リーナは強制的に感じさせられている。女の壷を捉えたテクニックと、何十人も犯してきた経験則が、リーナの肉体に快楽を刻み込んでいた。
    「――くぅ! っは! ひはぁ! ひうっ、ふあっ、うあん!」
     ピストン運動が開始され、小刻みな突きの連続にリーナは激しく乱れていく。目隠しをかけたままの顔を左右に振り、髪を大きく振り乱し、何度も何度も背中を高く弾ませている。
     絶頂の目の前までやって来て、やはり肉棒はピタリと止まる。
     また動き、また止まる。
     何回も何回も、時間をかけて絶頂直前まで連れて行き、決してイカせることなく寸止めだけを繰り返す。
     リーナのアソコの切なさは、途方もないものとなっていた。甘い痺れが溜まるだけ溜まっていき、けれど絶頂の決定打には決してならない。ピストン中はイケそうな予感がするのに、そこまで高ぶった快感は、肉棒た止まった瞬間、淡いものへと落ちてしまう。
    (……何なのよ!)
     リーナは自分に対して怒っていた。
    (イキたくない! イキきたくないの! それが私の気持ちなのに!)
     体が心の言うことを聞いてくれない。
     リーナの意思に関係なく、肉体の方は勝手に絶頂を望んでいた。
     そんなイキたくてもイケない状態を例えるなら、目の前に最高の料理があるのに、決して食べることは許されない。美味しそうな香りだけが鼻腔を貫き、時間が経てば経つほどお腹だけは空いていく。やがて飢え死にしそうなほど、もはや限界といってもよい状況にまできていても、なおも食べることは許されない。
     リーナのアソコにあるのはそんな切なさだ。
     イキたい! イキたい!
     肉体は叫んでいる。
    (イカなくていいの! ジョードなんかで!)
     心は逆のことを叫んでいる。
     そんな状態のまま、かれこれ五十回目のピストン運動が始まった。
    「あっあん! んぇ! ふぇ! はぁ、ひはっ、えはぁ!」
     絶頂の予感。
    「あぁ………………」
     また、寸止め。
     もう何回目になるだろう?
     気がついたら目隠しは外されて、騎乗位で下から突き上げられていた。
    「あぁっ! あっ、あん! んぁ――はん! ひあん!」
     後ろ向きに仰け反っていたリーナは、重心を前にやることで、ジョードの胸板に両手をついて前のめりになる。
    「ひあ! ふあん! はあん!」
     肩のあいだに頭を落としながら、リーナは喘ぎ続けていた。
    「はい、寸止め」
     絶頂はさせてもらえない。
    (もう……イキたい……。いや、駄目よ! イキたいなんて、思っちゃいけない!)
     自分には夫がいる。リーナ自身の気持ちだけではない。妻がジョードを拒むことは、もはや使命といってもいい。
     だが、心と体は別なのだ。
     リーナ自身が気づかないうちに、本当に無意識のうちに、リーナは腰を上下に動かし始めていた。快楽を貪ろうと股で力んで、ジョードにイカせてもらえないなら、自分でイってしまおうと、体が勝手に動いていた。
    「そんなにイキたい?」
     ジョードに言われ、初めて自分が動いていたことに気がついて、リーナは本当に必死で首を振って否定した。
    「違う! イキたくないの!」
    「でも、自分で動いていたよねぇ?」
    「ま、間違いよ! たまたま、知らないうちに……」
    「言い訳だねぇ? リーナちゃんは絶頂を望んでるんだ」
    「馬鹿言わないで! 何が悲しくてアンタにイカせてもらうのよ! ちょっとキアランが恋しくなっただけよ! アイツとするのを想像しちゃって、だからアンタは関係ない!」
     認めない。認めてはいけない。
     まるで生死の危険でもかかっているかのように、リーナは必死に否定していた。
    「自分で言ってて、苦しいと思わない?」
    「思わないわよ!」
    「ああ、そう?」
     ズン! と、下から一撃分のピストンが放たれて、リーナはビクンと跳ね上がる。力が抜けて前へと倒れ、ジョードと抱き合うような形となってしまった。途端に尻に両手がまわされ、ジョードはリーナのお尻を揉みしだいた。
    (こ、コントロールされた!? 今ので?)
     思い通りにされたと思うと悔しくなる。
    「今日はそろそろお休みしよっか」
     ジョードは身体を転がして、リーナを下にして肉棒を引き抜いた。
    「あっ…………」
     抜かれてしまって、何か寂しさのような、切なさのような、遊びの時間が終わって家に帰らなくてはいけない時とよく似た気持ちを、リーナは少しでも感じてしまっていた。
    (違う! 違う!)
     自分自身の抱いた気持ちに対して、リーナは首を振っていた。
    「そのままじゃ眠りにくいだろうから、今日はいいものを飲ませてあげるよ」
     ジョードはベッドから立ち上がり、テーブルの引き出しから薬らしきものを口に含む。粒状に加工された何かの薬品だ。
     それをジョードは、リーナに再び覆いかぶさり、口移しを行った。唇を頬張り、舌でリーナの口内を蹂躙しながら、一錠の薬を移してリーナに飲ませ、リーナは思わず飲み込んだ。
    「アンタ。なに飲ませたのよ?」
    「眠り薬だよ? イキたくて仕方がない体のままだと、眠れないだろうからねぇ?」
    「だから、イキたいなんて思ってない!」
    「思ってるんだよ? リーナちゃんは」
     ジョードは勝手に人の心を断言する。
    「そんなことない! そんなこと……」
     違う。絶対に違う。
     絶対、絶対……。
    「薬はすぐに効くからね。よーく眠ってねぇ?」
    「絶対……ちが………………」
     急に意識がぼやけてきた。
     まぶたが重くなっていき、目が勝手に閉じていく。
    「おやすみ。リーナちゃん」
     ジョードはおやすみのキスだと言わんばかりに、我が物顔でリーナの唇を貪る始める。ゾっとうなじに鳥肌が立つが、それ以上に眠気の方が強かった。
    「わた……し……は…………」
     まどろみの中に落ちたリーナは、深い眠りについていく。
    
     じゅるっ、ちゅぅぅぅっ、ちゅぷっ、はぷぅぅ……。
    
     欲を滾らせているジョードは、眠ったリーナの唇を一晩中楽しみ続けていた。
    
    
    
    


     
     
     

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  • 第13話「六日目① 寸止め」

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      朝、目が覚める。
     まだ眠気でまぶたが重いままのリーナは、薄ぼんやりとした意識の中で、ジョードが自分の体を弄んでいるのを感じていた。乳房の先に吸い付いて、口内で舌を動かし乳首を舐める。唇が唾液で塗れた感触から、何度もキスをされていたことも悟っていた。
    「――んっ、んぁぁぁ」
     乳首をべろんと舐め取る刺激が、甘い痺れとなって乳腺を駆け抜ける。
    「んひぃ……んはぁぁぁ…………」
     まどろみを脱しきっていないため、意識のはっきりしないリーナは、それ故に快楽に身を任せてしまっていた。
     夢見心地であるかのように。
    「キアラン……キアラン……」
     今まで夢を見ていたリーナは、まるで愛する者に抱かれるような心地良さを覚えていた。
     くちゅり。
     それは指先が愛液を絡め取る音。
    「あぁぁ…………」
     気持ちが良くて、リーナは熱にとろけた瞳を浮かべる。
     ――イキたい。
     昨日から寸止めだけで、一度として絶頂には至っていない。
     そろそろ、イキたい。
     快楽に身をゆだね、絶頂を求めてリーナはよがった。
    「キアランじゃないよ? ジョードだよ?」
     その瞬間、ぼんやりと曇っていた意識から、全ての曇りけが一瞬で吹き飛んで、はっきりと目を覚ました。
    「――いっ、嫌よ! イキたくない!」
    「あれ? 何も聞いてないけど?」
    「そ、それは……。とにかく、アンタなんかでイキたいとは思ってないの!」
     ジョードではイキたくない。
     キアランがいい。
     愛する恋人。大好きなキアラン。
     アイツじゃないと、イキたくない!
    「おはよう」
    「フン!」
    「今日は挿入はお休みの約束だったねぇ? まあ、それ以外のことは、たーっぷりするんだけどねぇ?」
    「約束は守ってよね」
    「もちろんだよ! リーナちゃんは、僕のおチンポをきちんと言い当てられるほど、記憶に刻み込んでくれたんだからねぇ?」
     ジョードはひどく醜い笑顔を浮かべた。ブルドッグのように頬の垂れた豚顔から、分厚い唇をぐにゃりと折り曲げ、醜悪としか言えないゾッとするような顔つきで笑っていた。
    「……だから、すぐに忘れてみせるって言ってるでしょ?」
    「ふふっ、可愛いねぇ? リーナちゃんは」
     ジョードはさも愛おしそうにリーナのことを抱き起こし、股のあいだに座らせる。リーナの尻には勃起した一物が食い込んで、割れ目の狭間でピクピクと脈打っていた。背中に当たるジョードの胸板からは、不快な脂汗が皮膚に染み付き、両手は無遠慮に胸を揉む。
    「……くっ」
     リーナは太ももを擦り合わせた。
     イキたいけど、イキたくない。
     絶対に嫌だ。
     嫌だけど、いつまで我慢していられるだろうか。
    「本番無しの約束だけど、リーナちゃんの方からおねだりするなら、仕方がないからシてあげるんだけどねぇ?」
    「……は、ハァ? なんで私が、ほんの少しでもアンタにおねだりなんてする可能性があると思ってんの? どこまでおめでたい頭なのよ」
    「リーナちゃんは口ではそう言うけど、体に聞いたらどんな答えが返ってくるかなぁ?」
    「――っはぁ! あっあぁ!」
     ジョードの指が秘所に触れ、リーナは激しく身をよじった。
    「体はチンポを欲しがってるねぇ?」
    「うるさい! そんなことない!」
    「本当にそうかなぁ?」
     くちゅり、くちゅりと、ジョードの指先は水音を立てる。
    「くはぁ! あぁっ、いやっ、だめぇ!」
     指の出し入れにリーナは喘ぎ、髪を左右に振り乱す。あまりにも強い快楽電流に、よがりきったリーナはジョードの腕を両腕に抱え、思わず胸に抱き締めてしまっていた。それはあくまで条件反射的なものにすぎず、間違ってもジョードへの好意は欠片もないのだが、それでもジョードが調子に乗るには十分だ。
    「そんなに大切そうに抱き締めちゃって」
    「ひ、ひぃ!」
     リーナが咄嗟に手を離すのは、虫の苦手な女の子が、ゴキブリに悲鳴を上げる瞬間とよく似ていた。
    「ほーら、指が入っちゃうぞぉぉぉぉぉ」
     ジョードは楽しそうに指を沈める。
    「あぁぁ……くぁぁぁ………………」
    「すごく濡れてるねぇ?」
    「うるさい! うるさい!」
    「でも、どんなにマンコがチンポを欲しがっても、挿入しない約束だからねぇ? 仕方がないことだよねぇ?」
     ジョードはリーナの背中を押し、四つん這いの姿勢を取らせる形で押し倒した。尻の割れ目に肉棒を強く押し付け、尻を上下に動かすようにリーナへ命じた。
     尻コキだ。
     税金の肩代わりという建前のため、真面目にしないと立替不足の扱いにされてしまう。だからリーナは嫌でも一生懸命お尻を動かす。
     素早い上下運動を行うには、両手と肘をついた状態で、膝を少しだけ浮かせてやるのがやりやすかった。長時間やるには筋力を消耗しやすい動作だが、剣の稽古で鍛えられているリーナにとって、これを十分や二十分程度続けるだけなら造作もない。
    (……今日と明日で全ては終わる。それまでの我慢)
     尻に挟まっている硬さと熱さを如実に感じながら、リーナは尻を駆使して刺激を与える。
    (我慢……我慢よ……)
     肉棒がフィットしているのは、ちょうど肛門のある位置だ。肉竿の真ん中あたりと、リーナの肛門とが、直接ぶつかり合っている。そして、尻たぶはジョードの腰の上で潰れて、ふくよかな丸みはジョードに向かって摩擦していた。
    (アソコの近くに……ジョードのが…………)
     秘所と接触しかねないが、そうならない微妙な位置に肉棒はある。
    (キアランになら、おねだりしてあげてもいいのに……)
     イクことのできないリーナのアソコは、既に肉棒を恋しいと思っている。求めるようにヒクヒクと疼きをあげ、だらりと愛液を垂れ流す。
    (……ジョードなんかに頼めない)
     ジョードを嫌う本心に変化はない。死んでもおねだりなんてできっこない。
     だが、体は求めていた。
     挿入されたい。肉棒に掻き回され、壮大にイカされたい。
    「素股をやるから、仰向けになってくれる?」
     次のプレイは太ももに挟んでのピストン運動だった。割れ目のラインに押し当てられ、ちょうどアソコに肉棒が摩擦してきて、快楽の電流がほとばしる。
    「あっ、あぁ……いやぁ…………」
     アソコにチンポが当たっている。
     ジョードが少しその気になれば、さっさと挿入してもらえるのに……。
    (何を考えてるの! 私は!)
     自分の考えに首を振り、リーナは必死に自己を保った。
    (ジョードのなんて欲しくない! 欲しくないのよ!)
    「欲しいんでしょ」
     その瞬間だ。
     ピタリ、と。
     肉棒の先端が、リーナの膣口に当たっていた。亀頭の先が、わずか数ミリだけ入り込み、けれど実際には挿入されない。
    (何よ……このもどかしさ………………)
     ジョードの命令とはいえ、リーナは太ももをギュっと引き締め、太ももによってジョードのチンポを抱き締めていた。
     アソコとチンポの接触を維持するために……。
     それでも、リーナはジョードのことを忌み嫌い、憎しみさえ抱いているままなのだ。殴り飛ばしてやりたいような怒りを抱え、キッとジョードを睨んでいる。もしもジョードを殺してよい許可がありえるなら、リーナはやはり剣を手にして斬り殺しにかかるだろう。
     だが、リーナは感じていた。
     性器に押し付けられる肉棒が、ピクピクと血管を脈打たせ、前後に往復し続けているのを……。
    「欲しいんでしょ」
    「欲しくない!」
     そう、欲しくない。
     そちらが本心であるにも関わらず、体はどうか。
     リーナの太ももは、ともすればジョードのチンポを離したくない勢いで、極限まで強い力で締め付けていた。
    「ふーん? だけど、本当に本番無しは寂しいから、僕としては台詞だけでも聞きたいな」
     台詞を言わせる行為も含め、絶対服従が法律だ。相手の要求を問題にできるのは、せいぜい身体外傷を与えたり、過度の苦痛を与える叩き方をするなど、怪我を伴うケースのみだ。
     先日言わされた台詞の数々は、リーナにとってこの上ない屈辱だった。
    「どんな下らない台詞を言わせる気よ。この豚野郎」
    「ジョード様のおチンポをリーナのマンコに入れてください」
    「はいはい。ジョード様のおチンポをリーナのマンコに入れてください」
     ひどくやる気のない棒読みを、リーナはわざとやっていた。
    「もう一回」
    「ジョード様のおチンポをリーナのマンコに入れてください」
     どうせ、入れる気なんてない癖に、こんな下品な台詞を言って何になるのだろう。それとも約束を破るつもりだろうか。ジョードのようなクズならありえる。
     そうしたら、このまま……。
    「もう一回」
    「ジョード様のおチンポをリーナのマンコに入れてください」
     今度は少しだけ、感情がこもっていた。
    「あげないけどね」
    「……くっ」
    「本当は欲しかった?」
    「――だから! 欲しくないって、何回言わせる気よ!」
     リーナは声を荒げた。
    「じゃあ、今度は欲しいって言ってみて?」
    「……欲しい」
     熱にとろけたような切ない声が出てしまった。
    「あげなぁぁぁぁぁい」
     ジョードは邪悪にニッタリ微笑んだ。
    
    
    
    


     
     
     

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  • 第14話「六日目② 憎いが故にペロペロと・・・」

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    「上手だねぇ? リーナちゃん」
    「うるさいわよ」
     リーナは肉棒を胸に抱き込み、乳房によって刺激を与えていた。
    「いい子いい子」
    「だからウザイ!」
     リーナは怒鳴り、ジョードのことを睨み上げる。
     しかし、パイズリは真面目に行っていた。少しでもチンポに乳圧をかけようと、強い力で挟み込み、身体ごと上下に動くことで快感を送り込む。
    (す、すぐそこに……)
     顎の下には亀頭があり、先走りの汁をたっぷりとまとったオスの香りが、リーナの鼻腔をツンと刺激する。チンポにくらりときたリーナの口内には、美味しい食べ物を目にした際に出るような唾液が分泌され、いかにもそれを食べたそうな顔をしていた。
    「リーナちゃん?」
    「何よ」
     ジョードの顔を見るときは、憎しみを表情に浮かべている。
     しかし……。
    「先っぽをペロペロしながらやるんだよ?」
     命令されるや否や、リーナはすぐに自分の胸元へ顔を埋め、乳房の狭間から飛び出る亀頭にしゃぶりついていた。
    「べろっ、れろれろ! じゅっ、じゅるっ、ぺろん!」
     たっぷりと唾液を乗せた舌先で、下品なほどに激しくチンポを貪り、先走りの汁を吸おうと吸い付きさえしてしまった。
    
     ――これ、ジョードのなのに……! ジョードなのに!
    
    「ぺろっ、ペロペロ! れろん!」
    
     殺してやりたい相手のチンポで、リーナは夢中になってしまっている。さも美味しそうに一生懸命舐め込んで、そんなことをしている自分自身をリーナは忌まわしく思っている。
    
     ――私は何をやってるの? こんな気持ち悪い! 豚野郎のものなのに、私は……!
    
    「ぺろっ、ぺろっ、ぺろん――ぺろぺろぉ――れろぉぉ…………」
    
     亀頭とその汁の味が広がることで、リーナの口からはますますヨダレが垂れている。おびただしい唾液が舌に乗り、舐めるたびにリーナの唾液がジョードのチンポに塗り込まれる。まんべんなく唾液をまとったジョードの亀頭は、水分による光沢で輝いていた。
    
     ――最低じゃない! 何なのよ! 私の体って! なんでジョードで悦ぶの!
    
    「れろっ、れろん! ぺろん! れろぉ――ぺろぉぉ――」
    
     リーナ自身の垂らした唾液が、亀頭から肉竿へと流れ落ちる。やがて乳房の狭間にまで唾液のぬかるみは広がって、肉棒を挟む縦半分の左右の乳房は、完全に唾液濡れとなっていた。そんなリーナ自身の唾液が活性油となり、パイズリによる乳房の動きも活発になっていた。
    
     ――チンポが美味しい……。最悪! なんで! こんなの嫌!
    
     ジョードのチンポを美味しく思う。
     そんな自分が忌まわしい。
    
    「ぺろぉ――ぺろぉ――ぺろぉ――――」
    
     いっそ死にたいほどの自己嫌悪に陥りながら、リーナは憎くて美味しいチンポを舐め続けた。
     憎くて、だ。
     大嫌いで、気持ち悪くて、憎らしいチンポが、リーナの味覚に刺激を与え、頭を淫らにくらつかせさえしているのだ。
     忌まわしくて、殺してやりたいような男のチンポが、とてもとても美味しかった。
    
     ――消えればいいのに! こんなチンポ!
     ――斬ってやりたい!
     ――切り落として、灰にして土に返してやりたい!
    
     ジョードのものが美味しいなんて、認めたくない。
     こんなにも憎らしくて、気持ちに悪い醜男から生えたチンポだ。そんなものが美味しいと思う自分自身も許せないが、こんなチンポさえこの世になければ、リーナはこんな自己嫌悪に陥ることはなかったのだ。
     全ての元凶のようなチンポだ。
     もしも許されるなら、今すぐにでも噛み切って、ジョードの命も奪い取り、全てを土に返してやるのに……。
    「激しいフェラチオをお願いするよ」
     リーナはすぐに根元を握り、素早く頭を前後させた。
    「じゅくっ、じゅるるん! ちゅっ、ちゅるっ、はぷぅっ、ちゅぷぅ――」
     舌を張り付けながら頭を動かし、必死になってジョードの味を堪能する。先走りの汁を察知すると、亀頭先端にキスをするようにして、汁を吸引しようと口を窄める。そして、また懸命に前後運動を繰り返し、チンポを美味しく味わっていた。
    「激しいねぇ? リーナちゃーん」
    (誰のせいよ!)
     リーナはジョードを強く睨んだ。
     こいつのせいだ。
     ジョードさえいなければ、リーナの体が狂うことはなかった。間違っても美味しく感じる日は来なかったし、そもそも最初は気持ち悪くて吐き気ばかりがしたはずなのだ。嫌いな男のチンポは気持ち悪くて、恋人のチンポだけが美味しい自分でいられた。
     チンポが美味しいということは、リーナにとっては残酷な運命にすぎない。
     リーナの一途さに手を加えたのは、ジョードの調教の賜物だ。
    (ジョードぉ! アンタほど殺したい奴はいないわ! アンタなんかのが美味しいなんて!)
     憎しみの篭ったリーナの視線は、それだけで相手を射抜きかねないほど、極限まで鋭いものだった。
     それほどの睨み顔でありながら――。
    「じゅっぼ! じゅぶ、ちゅむっ、ちゅぐぅ――んちゅぅ……じゅるっ、じゅぶちゅ! ぢゅぢゅぅぅ――じゅるるぅぅ――」
     フェラチオは激しかった。
    (私の魂を返して……私の……女としての魂…………)
     キアランが良かった。
     キアランだけが良かった。
     そんなことを思いながらリーナは励む。
    「あむぅ――んちゅるっ、じゅじゅん! ちゅぷちゅぷっ、ちゅるっ、れろっ、れぷぅ――」
     股が疼いた。昨日から寸止めばかりで一度としてイカせてもらっていない、ヨダレだけを垂らし続ける下の口は、チンポが欲しくてヒクヒクと唸っている。今は触れられてもいないのに、愛液が太ももを伝って流れ落ちていた。
    「んぶぅ……ちゅぶぅ……じゅるぅ……じゅぶっ、んむぅっ、んずるぅぅ……」
    「さーて、出すよ? リーナちゃーん」
    (く、来る!)
     射精の予感を覚えたリーナは、亀頭だけを唇に含んだ状態で、舌先に亀頭を乗せる形でジョードの精液を待ち受ける。
    
     ――ドクドクドクン! ビュクッ、ビュルル! ドクン! ドクン!
    
     ビクビクと弾む肉棒は熱い白濁を撒き散らし、口内を白いコーティングで覆い尽くす。ムワリとした青臭い香りが口内に充満して、リーナはその味を舌先で転がした。
    (味わってる……この私が……ジョードの精液なんかを…………)
     ゴックンと喉を鳴らすと、唾液でほとんど液状化した精液が、ゆっくりと食道を流れ落ちていく。やがて胃袋に到達して、腹にジョードの精液が溜まっていくのが感覚でわかった。
    「――ぺろっ、ぺろん。ぺろぺろっ、れろぉ……れろんっ」
     舌を限界まで伸ばしたリーナは、言われもしないのに掃除を始めた。まだ亀頭のまわりにこびりついている汁の汚れを綺麗に舐め取り、口に含んで飲み下す。
    「ぺろぉ……れろぉ……れろれろっ、ぺろん――ペロペロペロペロ――――」
     とっくに綺麗になった肉棒は、リーナの唾液で光沢を帯びているだけだったが、それでもリーナの舌は止まらなかった。
    
     ――そっか、嫌いな男だから美味しいんだ。
    
    「ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ…………」
    
     何度も何度も、リーナは亀頭の先っぽを舐め続けている。大切そうに両手で握り、愛しいように優しくさすったり、指圧しながら根元の部分を支えている。まるで信者が神に祈りでも捧げるように膝をつき、チンポの味を楽しんでいた。
    
     ――クズみたいで、最低で、気持ち悪いチンポだからだ。
     ――私……そんなので悦んで……最低のマゾじゃない…………。
    
    「ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ…………」
    
     舐めながら、リーナはジョードを睨み上げていた。
     その瞳には憎しみの炎が宿り、表情にも怒りが浮かんでいる。まるで親を殺された復讐をせずにはいられない、激しい憎悪を抱いた鬼の顔つきといえたが、リーナの心と体は完全に相反していた。
    
    「ぺろぺろっ、ぺろん――れろっ、れろっ、れろぉ……ぺろぉ……ねろねろ、ぺろん!」
    
     もはや憎いからこそ舐めていた。
     たとえ本当に親を殺され、復讐しなくてはいけない相手だったとしても、今のリーナなら舐め尽くしているだろう。
     今まで自分に汚く言い寄って、好意を拒めば恋人を中傷してきた。リーナのいないところで繰り返しジョードを苛め、そのたびにリーナは剣術によって追い払い続けてきた。
     最低な男。
     この世で一番嫌いな男。
     だからこそ、自分が最低だと思っている男の肉棒を舐めることにより、リーナの肉体は悦びを覚えていた。
     クズに虐げられて悦ぶマゾ嗜好。
     リーナはそんな性癖に目覚めていた。
    
    「ぺろぺろっ、ぺろぺろっ、ぺろんっ、ぺろっ、ぺろ、れろれろっ、れろっ」
    
     自分の性癖を自覚したリーナは、それ故にますますジョードを憎んだ。
    (私をこんな風にしたのはアンタよ! アンタさえいなければ、私はこんなッ、変態みたいな性癖には目覚めなかったのに!)
     お前のせいだといわんばかりに、ただでさえ鋭い視線を一層強め、もはや目つき一つで人を殺せそうなほどの凶眼に達していた。
    
    「ぺろぺろぺろっ、れろっ、れろおっ」
    
     そして、リーナは泣いた。
     ジョードを睨む目じりの両端から、溜まった涙を流していき、左右の頬に涙の線を成していく。流れた涙は顎の先からポタポタと、一滴ずつベッドシーツへ垂れていき、濡れ染みを広げていた。
    
    「ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、れろおっ、れろんっ、ぺろんっ」
    
     そんなリーナの姿を見て、ジョードは勝ち誇った笑みを浮かべていた。
    「美味しいんでしょう?」
    「馬鹿言わないで。ぺろっ、ぺろぺろっ、れろんっ」
    「じゃあ、美味しいって言って頂戴? 僕が聞きたがっていそうな台詞を考えて、それを僕に聞かせて欲しいな!」
    「さ、最低! ぺろっ、ぺろぺろっ、こんなものを舐めさせて! 美味しいなんて――ぺろ。美味しいわよ! キモイし、ウザイし、憎いくらいなのに! れろっ、れろんっ、何度でも舐めずにいられないわよ!」
     リーナは何のスイッチでも押されたように、唐突に感情的になって、屋根さえ貫くような大声で叫んでいた。
    「憎くて、殺したくて、美味しいわよ!」
     憎しみがあるから、美味になる。
     リーナはそんなチンポを深く咥えた。
    「じゅるっ、じゅじゅるぅ――んじゅるぅぅ――――」
     再び射精されるまで、激しく頭を前後に動かし、二度目の精液を飲み干すまで、リーナのフェラチオは続けられた。
    
    
    


     
     
     

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  • 第15話「六日目③ 賭けの提案」

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     そして、指が挿入される。
    「――うっ、うあ! ああ! んああああ! イク! イク!」
     たったの指一本でよがり狂ったリーナは、やはり絶頂寸前の寸止めを受け、イクことができないままの体にされていた。
    「イカせなーい」
     ジョードは楽しげに笑う。
    「アンタ! そうやって、いつまでも私を嬲って!」
    「おねだりができたらイカせてあげる」
    「それだけはしないわよ!」
    「どうして?」
     ジョードはわざとらしく首をかしげる。
    「いくらアンタのチンポが美味しいからってねえ! 愛情のある人の方がもっと美味しいに決まってるの! たかがジョードごときで美味しいこと自体、キアランの方がもっと美味しい証拠なのよ! 一番じゃないアンタには、おねだりなんてするわけない!」
     だいたい、リーナはジョードが憎いのだ。憎しみありきで感じているのに、どうしたら女が男に媚びるような、淫らでみっともない台詞を言えるのか。
    「だったら、また寸前まで連れて行ってあげるよ」
     ジョードの指が動き始め、膣口から出入りする。壷を心得たピストン運動は、リーナの弱点ともいえる膣壁の部位を正確に狙い、思うままによがらせた。
    「いやぁ! あぁ! ああん!」
     体をコントロールされている。
     そのことに気づいたのは、ジョードの指がくいっと動き、それと同時に自分の背中がビクンと高く跳ね上がってからだ。まるでおもちゃ遊びのような感覚で、好きなタイミングでリーナの身体を弾ませたり、髪を左右に振り乱すような反応を引き出しているのだ。
    「はい。それ!」
     ――ビクン!
     腰が弾んで尻が浮き、ベッドシーツを打ち鳴らす。
    「ほい!」
     ――ビクン!
     今度は背中が反るようにして弾み上がった。
    (くそぉ! くそぉ! なんでこんな! ここまで思い通りにされるなんて! あっ、んぁっ、ああああ! あっ、だめっ、やめてぇ!)
    
     ビク! ビク! ビク!
    
     連続で肉体を操作され、挙句の果てに寸止めだ。
    (い、イカせてくれない……!)
     それが憎いかのようにジョードを睨んだ。
    「リーナちゃんがおねだりをして、どうしても僕のチンポで絶頂したいっていうんなら、僕だってリーナちゃんを天国へ連れて行ってあげるんだけどな」
    「だからねぇ! どんなことをしたって、私の心はアンタのものにはならないの! 今は調子に乗っているけど、すぐに私の体はキアラン専用になるの!」
    「もう無理だよ?」
    「んんぅ!」
     クリトリスをツンと突かれたそれだけで、リーナの背中はまたも弾んだ。
    「リーナちゃんの肉体はねぇ? もうねぇぇ? 僕専用になってるんだよぉぉぉぉ!」
    「嘘よ!」
    「だったら、賭けをしよう。リーナちゃんはこれから僕のチンポに跨って、先っぽが1センチだけ入った状態を維持するんだ」
    「本番無しって約束じゃないの?」
    「だから、1センチしか入れないんだってば。騎乗位のポーズを取って、腰を落とせば僕のチンポがずっぽりと入っちゃう状態のまま、僕のチンポを我慢するんだよ?」
    「で? 賭けに勝ったら、何か良いことでもあるってわけ?」
    「明日は何もしないであげる。本当は七日間だけど、今日までで終了ってこと」
    「……え?」
     リーナは瞳を大きく丸めた。
     思いは複雑だった。
     散々調教され尽くしたリーナの肉体は、憎い相手にされるからこそ、マゾ嗜好のようにビクビクと激しく反応する。完全に心とは相反する態度を見せるため、どんなにジョードを拒みたい気持ちがあっても、肉体の方はチンポを望んでいる。
    (一日早く終われるなんて……)
     心は嬉しい。最高だ。せいせいする。もしそれが実現したら、幸せすぎて歌でも歌いたくなるだろう。
     だが、疼ききった体にとっては、とても残念なお知らせといえた。
    (嫌だけど、明日もされたい……私がこんな風に思ってるなんて…………)
     リーナの心境はそんなところだ。
    「どうするの? 賭けに乗る? それとも、やめておくぅぅぅ?」
    「やるわよ」
     リーナはきっぱりとそう言った。
    (私の体は、私の心に反しているのよ。心では違うことを思っているのに、体が勝手に心を裏切って、ジョードみたいな豚男でよがってる)
     負けてはいけないと、リーナは判断した。
     ジョードから否応無しに受ける愛撫は、悔しいけれど耐え切れない。しかし、自分で我慢できるチャンスがあるなら、心が強くある限り負けはしない。
    「やってやろうじゃない。アンタこそ、あとから約束を破るなんて言ったら、必ずその鼻を折りに行くからね?」
    「いいよ。じゃあ、準備しよっか」
    「……準備?」
    
    
    


     
     
     

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  • 第16話「チンポには屈しない!」

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    「はぁ……はぁぁ……はぁっ、はぁっ、はあぁ………………」
    
     まるで全力疾走でもして息切れを起こしたように、リーナはすっかり肩で息をしている状態に陥っていた。
     賭けに乗ることに決めたリーナは、準備と称して散々に嬲られたのだ。
     数時間以上に渡り、何度も手マンで寸止めされ、ベッドシーツに大きなお漏らしの円形が出来上がるほどの愛液を垂れ流した。水分補給がなければ脱水症状になるほどまで、途方もない量を股から漏らし、リーナは途中で数回以上は水を飲ませてもらっていた。
     胸を揉まれ、乳首に刺激を与えられ続けた。尻愛撫で丁寧に撫で込まれ、うなじや背筋といった部分にまで、執拗なフェザータッチが行われた。
     そこまでされて、なおも一度もイっていないリーナの肉体は、もはや空気にも触れて欲しくないほど敏感になっており、風が素肌を撫でるだけでも腰をくねらせる反応を見せていた。
     そんな状態で、賭けは始まる。
    
    「今から三十分以内に腰を落としたら、リーナちゃんの負けってことだよ」
    
     仰向けになったジョードに跨り、リーナは自分の膣口に亀頭を導く。先端をわずか1センチだけ入れた状態で、騎乗位セックスを最後まで我慢すればいい。
    「アンタこそ、私が勝っても約束は破らないわよね?」
    「もちろんだよ」
    「信用ならないけど、アンタなんかでも約束を守る可能性はゼロじゃないものね。小さな可能性に賭けて、私は勝つわ」
    「細かいルールはそうだねぇ? 亀頭を飲み込むまではセーフにしてあげる。ズレそうになったら、ズレないように調整しないといけないからねぇ?」
    「時間はどうやって計るの?」
    「僕の魔法の懐中時計は、設定した時間で音が鳴るから、三十分立って音が鳴っても、リーナちゃんが亀頭から先まではいかなければ勝ち。途中でズレて、外れちゃうようなことがあったら僕の勝ちって判定にするからねぇ?」
    「わかったわ。さっさと初めて頂戴」
    「じゃあ、スタート」
     ジョードがカチリとスイッチを押し、時計の針が三十分後のアラームに向けて進み始めたことで、勝負は正式に始まった。
    「……っぅぁ」
     リーナの敏感な肉体は、ただ亀頭と接触しているだけで、トロリトロリと愛液を垂らし始めている。亀頭先端が埋まった膣口から、流れてくる愛液は肉竿を通じていき、ジョードの陰毛の中へと進んでいく。
     わざと負けるのは簡単だ。
     肉体はそちらを望み、一思いに全てを飲み込んでしまおうと、下へ向かって進み始める。亀頭の口先だけが膣口に埋まってたのが、少しずつ先まで飲み込み、既に亀頭の約半分の位置まで到達しかけていた。
    (駄目よ! 私の馬鹿!)
     自分を制したリーナは、腰の高さを元に戻した。
     ――二分が経過。
     我慢ができていたリーナは、再び肉体に突き動かされ、膣が亀頭を半分飲む。
    (負けちゃ……駄目……!)
     重い荷物をゆっくりと引き上げていくように、リーナは歯を食いしばって腰の高さを元の位置まで持ち上げた。
     これは文字通り、自分自身との戦いだ。
     欲にかられた肉体をいかに制し、ジョードを拒みたい本心の方を勝たせるかだ。
     リーナは己の肉体を敵視する勢いで、懸命なまでに欲望を堪えていた。
    (したい……セックスしたい…………したくない……!)
     シたいのも、シたくないのも、両方が真実である状況など、きっと二度とない体験だ。
    
     さわっ、
    
    「な、何を!」
     突然、ジョードは太ももを触ってきた。
    「何って、おさわり禁止のルールまでは設けていないよ?」
    「やっぱり! アンタはとんだ卑怯者よ!」
     触れるか触れないかのフェザータッチが、太ももを執拗に責め立てる。敏感になっていた肌全体が反応して、甘い痺れが内股を通って秘所へと達していた。
    「――うっ、くっっ、うぅぅっ」
     リーナは腰をくねらせる。
     このままでは、腰がうねるあまりに亀頭が外れれしまう。取れてしまったら、ジョードの勝ちという判定にされてしまう。
    (こ、ここは……)
     リーナは自ら腰を落とし、亀頭をあと1センチだけ膣に飲み込む。
    「ほらほら、頑張って?」
    「言われなくても、十分にやってるわよ!」
     だが、まずい。
     ジョードは女に快感を与えることで、自在に反応を操ってくる。もしクリトリスにでも触られたら、ビクンとした反応でリーナは腰を落としかねない。
    「そうそう。安心してよ。僕自身の手では、リーナちゃんが腰をずっぷりしちゃうようなコントロールは行わないから」
    「本当でしょうねぇ?」
    「だって、それじゃあ無理矢理するのと同じでしょう? 僕はねぇ、リーナちゃんが自分の意思で騎乗位セックスを始める瞬間が見たいんだ。正真正銘のリーナちゃんの意思でね」
    「しないわよ。絶対」
     ――十分経過。
     あと、二十分で勝てる。
    (我慢……我慢……我慢――ひぃっ!)
     ジョードはクリトリスに指先をやり、クリクリと弾くような愛撫を始めた。リーナは腰を左右にくねらせるようによがって、身体は前のめりに倒れていく。
    「――くっ!」
     前へ倒れるようにコントロールされたリーナは、ジョードの顔の左右に肘を落とし、四つん這いの姿勢にされてしまう。勢いで外れないように意識したリーナは、亀頭をギリギリの位置まで飲み込み、もう少しで敗北直前のところまでやって来ていた。
     もちろん、腰を持ち上げれば元の高さへすぐに戻せる。
     とはいえ、それも刺激だ。
     ほんの少し、ちょっぴりだけ、亀頭が膣に出入るすることさえ、今のリーナにとっては電流が背筋を走るほどの刺激に他ならない。
    「うっ、うあぁぁ…………」
     喘ぎ声を上げながら、直ちに1センチだけを膣口に含んだ状態へ立ち戻った。
    「さーて、おっぱいおっぱい」
     頭の左右に両肘を置いた四つん這いのため、ジョードの顔の正面には、ちょうどぴったり乳房がある。
     ジョードは胸を揉み始めた。
    「……んふぁっ、あぁっ」
     揉まれるだけで首が仰け反り、髪を左右に振り乱した。
    「あぁぁ……むねぇ……だめっ、やめてぇ………………」
     両方の乳房を鷲掴みにして、ジョードは指に強弱をつけている。
    
     むにゅっ、もにゅぅ、モニュモニュッ、グニ、グニ、むにゅぅぅ――。
    
     踊るような指技は、乳房をパン生地のように変形させ、巧みにツボを突いている。マッサージが繰り返されるにつれ、乳首がジンと腫れるかのように敏感になっていた。
     ピンと、乳首が指で弾かれ、リーナは悲鳴にも似た喘ぎ声を漏らす。
    「あぁぁぁっ!」
    「へへっ、敏感な乳首だねぇ?」
    
     くりっ、クリクリっ、くにっ、くにっ、くにぃぃ――くにんっ、くりっ、くりぃ……。
    
     指で乳首をつまんだジョードは、優しいつねり方で刺激を与える。
    「うっ、うぅ……くぅ……んぁぁ……あぁぁ……はひぃぃぃ…………」
     快感を我慢しているリーナは、堪えるために全身を強張らせ、それこそ両手の指先から足のつま先にかけてまで、満遍なく力を入れている。
     まるで全身痙攣のように震えるリーナは、瞳をうるませながら喘いでいた。
     ――二十分。
    (勝てる! もうすぐ、もうすぐ勝てる! だから、だから我慢…………!)
    
     さああぁぁぁぁぁぁぁ………………。
    
     次にうなじに触れたジョードは、背骨のラインに沿うようにして、触れるか触れないかの微妙なタッチで、指先を這わせていく。
     ゆっくり、ゆっくり、ジョードの指は尾てい骨をめがけて進んでいた。
    「あぁぁ……あぁ……ふあぁぁ………………」
     少しずつ背中が反っていき、リーナはだんだんと背中を反らしていく。
    
     さわっ、
    
     ジョードは尻を撫で始めた。
    「ひはぁぁ……そ、そんなぁ……あぁぁ…………」
     やはり、産毛を撫でる程度のフェザータッチだ。表面をさーっと撫でるだけの優しいタッチでお尻を責め、毛が一本ずつ逆立つような快楽が充満する。お尻は甘い痺れに満たされて、リーナは逃げるように腰を左右に振っていた。
    「あぁっ、これぇ……これじゃぁぁ……やめてぇぇぇぇ………………」
     刺激から逃げようとしてしまうリーナは、ジョードがやめてくれない限り、自分ではお尻をフリフリすることをやめられない。
    「あぁっ、ふぁぁぁ…………」
     腰が動いているせいで、半分だけ埋まった亀頭がリーナの膣内を掻き回し、左右の膣壁に刺激を与えてしまう。
    (あ、あと五分っ、五分耐えればぁぁ……)
     終わってしまう。
     挿入してもらえる最後のチャンスがふいになり、もしもジョードが約束を守るなら、明日は何もしてもらえない。
     肉体は快楽を求めていた。
     リーナの心に反して、肉体は未練がましく、亀頭を全て膣に飲み込む。
    
     ぬぷっ、にゅぴゅぅっ、にぷぅっ、ぬぷぅ――。
    
     腰が動き始めていた。
     亀頭だけが膣口を出入りするように、敗北判定を取られないギリギリの腰振り運動をリーナ自ら開始していた。
    「あれぇ? あれれれぇ? どうしたのぉ? リーナちゃーん!」
    「うるさい! うるさいわよぉ――このぉ――なんでぇ――――」
     きっと、リーナの自制心が弱かったら、とっくに負けを認めて騎乗位セックスを楽しみ始めていただろう。己の肉体を制しようとする強い心が、竿の部分まで受け入れることを拒みきっていた。
     しかし、裏を返せば、ここまで意地を張っているにも関わらず、亀頭の出入りだけは許してしまっているのだ。
    「んっ、ん! んぁっ、あぅぅっ、先っぽ! 先っぽだけなら! 負けてない! 負けてないんだからぁぁぁぁ!」
    「そうだねぇ? 負けてないねぇ?」
    「そうよぉぉ! わっ、私はぁっ、あひぃ――負け――ないぃぃ! 負けない! 負けない! 負けないのぉぉ!」
     本当に負けていないといえるのか。
     自分で腰を振っておきながら、ジョードのチンポに屈していないと言えるのか。
    
     ぬぷん! にゅぷん! にゅぷぅっ、ぬぷっ、ぬぷ!
    
    (止まってぇぇ! 止まってよぉぉ! 私の体ぁぁん! こんなぁっ、こんなのぉっ、チンポ欲しいって認めてるのと同じじゃないのぉぉぉぉ!)
     認めたくない! 認めたくない!
     ジョードなんて! ジョードごときのチンポなんて!
     ここで自分の体を止め切れなかったら、たとえルール上は勝った扱いになるとしても、己の行いを後悔せずにはいられない。
    「あと一分だよ?」
    (お願い! もうっ、もう何も求めないでぇぇ! 止まってぇ! 止まってよぉ! 私のカラダぁぁ! 動いちゃ――動いちゃらめぇぇぇぇぇ!)
     イこうとしているのだ。
     亀頭だけでも使って、絶頂への渇望を満たそうとしている。
     そんな肉体の勝手は心が許さない。
    
     にゅぴゅっ、ぬぷぅっ! ぬぷ! ぬぷ!
    
    (イカなくていい! キアランにイカせてもらえばいいのぉ! すぐにキアランとセックスするんだからぁ! 止まってぇぇぇぇ!)
    
     ぬぷ! ぬぷ! ぬぷぅ!
    
    「んぐぅぅぅぅぅ! 勝つのぉ! チンポに勝つのぉぉ!」
    
     リーナは全身に力を込め、手足の筋肉から腹筋や背筋まで、全ての箇所を極限まで硬く強張らせた。止まろうとしない自分の体を止めようと、まるで重量物を扱うために辛抱強く踏ん張るような気持ちで、最後の最後で制止しきった。
    「と、止まった……私の体…………」
     残り十秒手前。
     9――8――7――6――5――4――3――2――1――――。
     勝った。
     ざまみろ、豚野郎。
     たとえ肉体だけが堕ちていっても、リーナは自己を保ちきった。
    「勝ったよぉ……キアラぁン…………」
     甘くとろけた細い目で、ここにはいない男を想う。
     イキたいという自分自身の願望を突っぱねるため、リーナはすぐさまジョードから離れていき、ベッドの隅まで避難していた。
     疼ききったアソコが切なくて、やっぱり本当はチンポが欲しいと思いながら――。
    「……ねえ、アンタさぁ……約束……守ってくれんの?」
     リーナは尋ねた。
    「守るよ? 明日は何もしてあげない」
    「……そっか」
     残念がっている自分がいて、そんな自分が忌まわしかった。
    
    
    


     
     
     

    投稿 第16話「チンポには屈しない!」黒塚工房 -エロSS エロ小説サイト- に最初に表示されました。


  • 第5話「おパンツ鑑賞」

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      決意を込めた栗木が、スカートに向かって手を伸ばしてくる。
     明日美は反射的に後ずさるが、すると背中に葉山の体が当たってきた。逃げ場を与えないように、背後に回りこまれたのだ。
    
     ち、畜生! こんな奴に!
    
     明日美は強く歯を食いしばった。
     こんな豚程度の男を蹴飛ばしてやることなど、本当なら簡単だ。ぶっても叩いてもいい。踏みつけてもいい。いつもの明日美であれば、こんなことをされようものなら、すぐにでも暴力に打って出ているところだ。
     しかし、今はそれを堪えなくてはならない。
     でなければ、余計に恐ろしい罰則が発生する。
    
     く、くそ! 冗談じゃねえ!
    
     とうとうスカート丈を掴まれて、捲り上げられる寸前だ。ゆっくりと持ち上げられ、少しずつ太もも露出面性が増えていき、明日美はただ受け入れることしか許されない。抵抗を抑え込み、懸命に我慢した。
    
     畜生! 畜生! この豚野郎が!
    
     スカートは持ち上がり、朝も晒された紫色のパンツが栗木の目を奪い、明日美は下腹部を凝視された。
    
     ――――――くぅっ!!!
    
     予想以上の恥ずかしさだ。
     朝と比べればマシな状況のはずなのに、今まで苛めていた奴に捲られているかと思うと余計に屈辱感が増幅して、膨れ上がる羞恥が苦しい。頬が一瞬にして加熱され、耳まで熱く染まり上がり、激しい恥じらいに耐えながら、それでも栗木を睨み返す表情となっていた。
    「どうです? 栗木君、気分が良いとは思いませんか?」
    「え、その……」
     葉山の問いに、栗木はしどろもどろになる。
    「あなたを今まで苛めていたこの子が今、こうしておパンツを曝け出しています。栗木君自身の手でスカートを捲って、ですよ? 気分が良いとは思いませんか?」
    「は、はい。その……。悪くないです」
     栗木は珍しいものでも観察するかのように、まじまじと明日美のパンツを見つめてくる。紫色の生地にかかったパンツの柄を、栗木は目でなぞっているのだ。あるいはアソコのシワにラインでも浮かんでいて、そこに注目しているかもしれない。
     明日美はすぐに耐えかねて、隠したい思いで自分の持ち上げられたスカートに触れる。
    「駄目ですよ? 明日美さん。きちんと見せてあげないと」
     葉山に即座に注意され、明日美はすぐに手を引いた。
    「もういいだろ? 十分じゃねーか」
    「そうおっしゃるのでしたら、次に移りましょう。栗木君、お尻を叩いてあげてください」
     再びスパンキングを持ち出され、明日美はぎょっとした。
     朝の屈辱が蘇る。
    「お、おい! あれはもういいじゃんかよ。わかった! パンツぐらい見せるからよォ、いくらでも拝んでいいから、ケツは勘弁してくれよ」
    「できない相談ですね。パンツはいくらでも見せるべきですし、お尻叩きも受け入れて下さい」
     葉山の無情なまでの命令に、明日美は必死に食いつくも、一切の意見は受け入れられない。結局机の上に乗り、朝と同じような四つん這いでパンツに包まれたお尻を丸出しにされた。
     畜生、結局こうかよ。
     今ならクラスメイトこそいないが、栗木ごときにお尻を差し出している。腰を突き上げた情けないポーズを取らされているだけあって、捲られる以上の恥ずかしさだ。
    「い、いいんですか?」
     栗木は明日美よりも葉山に確認する。
    「ええ、是非とも。あなたの手でやってください」
     体は明日美のものなのに、葉山によって許可が出された。
    「そ、それじゃあ――」
    
     ペチッ
    
     く、くそ!
     遠慮のこもった弱弱しい一撃だが、明日美を屈辱に濡らすには十分だ。見下していた男に叩かれたというだけで、舌でも噛みたい気持ちになる。
    
     ペチッ
    
     か弱いビンタに尻たぶを打たれ、明日美は一瞬キレかかった。栗木ごときが調子に乗るなど許せない。今すぐにでも起き上がり、後ろに向かって殴り返してやりたい気持ちにかられた。
     だが、直後に頭を押さえられる。
    「駄目ですよ?」
     机に頭を押さえ込まれ、抵抗を封じられた。
    「あ、あたしは何も……!」
    「明日美さん。あなたは今、反射で抵抗しようとしていました。まあ体が勝手に動いたようなものでしょから多めにみますが、二度はありませんよ? さあ続けて下さい。栗木君」
    
     ペチッ、ペチッ、
    
     今度は二発連続だ。
     明日美は涙目になりかける。
    
     ペチッ、ペチッ、ペチッ、
    
     しだいに女の子をこんな風に扱う面白さに気づき、調子づいていったのだろう。弱弱しかった栗木の手つきはどんどん元気になっていき、リズミカルに左右の尻たぶを打ち始める。警戒な肌の音と共に柔らかな尻肉は波打って、プルプル震えて弾んでいた。
    「叩くって、いいものですね」
    「でしょう? もっと叩いてあげてください」
    「はい!」
     栗木はスパンキングを楽しみ始め、より小刻みなタップで明日美を苛めた。ドラマーがドラムを叩くようなハイリズムで、夢中になって振動させる。あからさまにリズムを取った叩き方に屈辱感は大きく膨らみ、明日美は自分がオモチャにされた気持ちを味わっていた。
    
     冗談じゃねーよ!
     こんなのって、ゼッテーおかしいだろ!
     なんで……。
     なんであたしが栗木ごときに! こんな豚みてぇなクズ野郎に!
     畜生!
    
    
    
    


     
     
     


  • 第4話「放課後」

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     糞が!
     明日美はその日、授業をサボって屋上の戸に八つ当たりの蹴りを加えた。少しへこんでしまったが、別に知った事ではない。
    「なんであたしがあんな目に! あの糞野郎が!」
     イジメ撲滅委員会を名乗る男が現れて、クラスメイトの前でお尻を叩かれた。死ぬほどの恥ずかしさもそうだったが、まるで親が幼児に与えるような体罰なんて、あの扱いは屈辱そのものではないか。懲役さえ盾になければ、とっくに蹴りでもくらわせているのに。
     放課後も、葉山純一に呼び出される。
     すっぽかせば、何か法的罰則を持ち出してくるに違いない。あとでスマートフォンで調べたが、一度撲滅委員会が動き出せば、イジメっ子は相手の裁量一つで人権を剥奪される。人前でスパンキングを受けるなど序の口で、下手をすればもっと酷い目に遭うとの話だ。
     素直に反省した方が良いのだろうが……。
     しかし、栗木は気持ち悪い。
     あんなのを苛めて何が悪いのかわからない。
    「あのブタ野郎のキモさなんとかしてから言えってんだよ! 顔はキメェしデブだし汗くせぇ奴なんて、キモく思うなって方が無理なんだよ。根暗でウジウジしやがって、存在がイラつくんだよ!」
     むしゃくしゃした気持ちをどうにもできず、明日美は無意味に鉄柵を蹴ったり地面を蹴ったり、空き缶を踏み潰したりして物に八つ当たりを繰り返した。
    
     そして、放課後がやって来る。
    
     行くしかない。
     帰りのホームルームでも葉山は現れ、栗木と明日美はすぐに指定に教室へ来るようにと言いつけられる。
     やって来たのは狭い部屋だ。クラス用の教室と比べて半分程度の広さしかない、出入り口の戸も一つしかない少人数用の教室だ。戸には鍵がついていて、葉山は明日美と栗木を入れるなり内側から戸締りをして、誰も出入りできないようにする。
    「さて、反省しましたか?」
     してたまるか!
     とは思うが、またお尻を叩かれては叶わない。
    「あー……。したした! ごめん! 今まで悪かった! な? 栗木!」
     心にもない言葉だが、ちょっと我慢して謝る方が身のためだろう。
    「本当に反省しましたか?」
    「したっつってんじゃん」
    「だそうですよ? 栗木君」
     葉山は話を栗木にふる。
    「あ、あの……。そう、ですか……」
     何がそうですかだ。
     そんなボソボソした気の小さい反応しかしないから、苛々されるし気持ち悪いと思われる。どう考えても、イジメをやりたい気持ちを刺激してくる栗木が悪い。こんな奴がいるからいけないのだ。
    「まあ、いいでしょう。ひとまずあなたは反省の意思有りにしてあげましょう」
     よっしゃ!
     これで少しは好転した。
    「ですが、明日美さんが謝ったからハイ終了では芸がないといいましょうか。撲滅委員会を名乗りながらこれだけでは、我々は仕事をしたことにならないのですよ」
    「はい? あたしがこんなに謝ってんのに、まだなんかあるんですか?」
    「ありますよ? わたくしはあくまで、イジメはやる方が悪いと思っています。ですが、その一方でイジメっ子が好んで狙う相手に一定の傾向があるのもまた事実。気が小さかったり、友達がいなかったり、まあそういう人ですね」
     と、葉山は栗木を見る。
     自分の欠点をあげつらわれ、栗木は無意味に肩縮めていた。
    「んで、じゃあどうするっての?」
    「野之宮明日美さん。あなた、反省したのですよね?」
     葉山は顔を押し寄せながら確認してくる。
    「ああ、したっつってんじゃん。な? ごめんな栗木、もうやんねーよ」
     口先だけだが、明日美は繰り返し謝ってみせる。
    「ええ、もうやらないのは当たり前です。わたくしに残された仕事は、栗木君の気弱な性格を少しばかり強くしてあげることです」
    「強くするって?」
    「明日美さん。彼には特別な薬が必要です。自信をつけさせるため、今の性格を改善するため、少し協力して下さい」
     どうせ治るとは思えないが。
    「どうしろっての?」
     とりあえず、協力的な態度を示してみる。
    「パンツを見せてあげてください」
     その瞬間、明日美は一瞬にして引き攣って、顔を染めながら怒鳴りあげる。
    「はあ? なんでそうなんだよ!」
     もちろん葉山に対して怒ったのだが、何故か栗木がビクっとしていた。
    「我々の権限をお忘れですか?」
    「わ、忘れてない! けど他にねーのかよ!」
    「あなたは今まで、長期間に渡って精神的損害を与え続けてきましたからね。その分を賠償する意味も込め、明日美さんには女の子として栗木君に奉仕をして頂きます」
    「な、なんでそうなんだよ……」
     葉山はあくまで、明日美に屈辱的仕打ちを与えるつもりだ。やはり、謝ったフリだけしても、何の解決にもならないのか。だからといっても、こんなキモい男を相手に心から反省するなどできやしない。
    「そうですね。でしたら栗木君、今度こそあなた自身の手で明日美さんのスカートを捲って下さい。あなたがやるべきです」
     葉山は栗木に矛先を変えた。
    「ぼ、ぼくですか?」
     栗木はいかにも情けない声を出す。そ、そんなの出来ません! と、いかにもそう言いたげな表情だ。
     よし、いいぞ?
     こいつに捲られたくはない。
     いつものように弱気を見せて、できないできないと駄々を捏ねてくれればいい。そうすれば明日美が助かる。
    「さあ、やってください」
     葉山が詰め寄る。
     だが、明日美も栗木を睨み付けた。
     やったらぶち殺す! 殺意をたっぷり込めた凶眼を向けてやった。
     葉山の命令は断れず、明日美のスカートに触れるのも恐ろしい。きっと板挟みで苦しんで、挙句何もできないまま葉山にため息をつかせて終わるだろう。
     そのはずだ。
     そのはずだが……。
    「いいですか? 栗木君、あなたは現在法的保護を受けています。万が一わたくしの判断ミスで学校生活が悪化しようものなら、それに対する保障が支払われます。また、明日美さんはあなたに手出しができません。もしこの後に及んでイジメなどしようものなら、懲役の他にも罰金刑や労働義務、様々な罰則が彼女に対して発生するのです」
     つらつらと説明を述べ、葉山は栗木に対して何も不利が発生しないことを言いつらう。
    「……ほ、本当ですか?」
     恐る恐る、栗木は喋る。
    「もちろんです。明日美さんはこんなに怖い顔をなさっていますが、わたくしがいる以上はあなたに手出しはさせません。さあ捲りましょう。栗木君」
     まさか、やるのか?
     やる気にでもなったのか?
     決して人が変わったわけではない。栗木は栗木、おどおどとした雰囲気を纏って、声も小さい俯きがちの表情ばかりだが……。
     それでも、自信なさげな声ながら、栗木は言った。
    
    「ぼ、ぼく……。やってみます」
    
     栗木にしてみれば一大決心。
     明日美にすれば、最低最悪の瞬間だった。
    
    
    


     
     
     


  • 第3話「公開スパンキング」

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     葉山は言った。
    「さあ、栗木君。あなたにはイジメっ子に対する報復権が与えられ、それを行使する義務が与えられます。仕返しの機会を与える事によって、苛める側と苛められる側、双方の心を入れ替えることができるという考えなのです。苛める側は自分の行いを後悔し、苛められていた側は仕返しによって自信をつけ、引っ込みがちだった性格に強みを持たせる目的です」
     これから行うことに対する意味合いを語っていき、彼は栗木の肩に手を置いた。
    「ほら、目の前で野之宮明日美が四つん這いです」
     栗木は緊張で汗をかく。
     高く突き上げられたスカートのお尻が、栗木の目の前にそびえている。短めのスカート丈が垂れ下がり、太ももは大きく露出している。生足は丸見えで、少し腰を低めればパンツも見えることだろう。
    「叩くのはあなたですよ?」
     葉山は遠慮なく、さも何でもないようにスカートを捲り挙げ、紫色のパンツが露出する。模様の派手めな、一枚の布の上へ柄を縫いつけたような明るいパンツだ。生地のせいか蛍光灯が反射して、どことなく光って見える。
    「さあ、叩いて下さい」
    「え、あの……」
     叩けと言われても、いきなりできるわけがない。
     相手は明日美だ。
     しかも、背後にはクラスメイト。
     叩こうものならみんなにどう思われるかわからないし、後でどんな報復が待っているかと思うと恐ろしい。出来る事と言ったら、せいぜい自分ではなく葉山の手によって丸出しにされたパンツを凝視するくらいだ。
     動くに動けない栗木を見かねてか。
    「仕方ありませんね。あなたにはまだ早いようですので、わたくしがやりましょう」
     葉山が変わって慣れた手つきで手を乗せて、お尻をまんべんなく撫で回す。
    「くっ……」
     明日美が悔しそうに歯を食いしばるのが、全身がビクッと固まる挙動だけでも良くわかった。
    「あなたのこのお尻、栗木君の目に焼き付けられていますよ? この派手な紫がね。さて、どんなお気持ちですか?」
    「どうもこうも、パンツぐらいなんともねーよ」
     声が震えている。
    「なんともありませんか。では一発」
    
     パァーン!
    
     手の平で、葉山は明日美の尻を打ち鳴らした。
    「て、てめぇ……!」
    
     パァーン!
    
     二発目。
    「どうですか?」
    「どうじゃねーんだよ変態が! これで満足か?」
    「満足じゃないんですよ。あなたに反省を促すための体罰なのですよ?」
     葉山は大胆なスイングで、まるで太鼓でも叩くような気持ちで明日美のお尻を連打した。肌の打ち鳴らされる打撃音が教室に響き、明日美は今にも屈辱に震えている。全身を硬くして、尻肉を打たれる度に肩をビクビク揺らしている。
    「さあ反省するのです。さあさあ!」
     楽しげなスパンキングで、明日美のお尻は揺らされていた。皿に出したゼリーでも揺らすように、プルンプルンと尻肉は弾み、波打っている。栗木はその光景から目が離せず、すっかり釘付けになっていた。
    「誰がこんなもんで……。あたしは負けねーぞ!」
    「反省はしないという意味ですか? 罰則が長引きますよ」
     今度は両手を使い、左右の尻たぶを交互にタップする。
    「ざけんな! こんなのねーだろ。どこの変態が作った法律だよ」
    「賛否両論ありますが、可決したものは仕方がありません。わたくしは法に基づいて仕事を行うまでですよ」
     左右の尻たぶが交互に打たれ、右左右と、リズム良く波打つ振動を見せる。
    「何もクラスの前で……」
    「明日美さん。あなただって、クラスメイトに聞こえる形で栗木君のありもしない事実を吹聴したでしょう。あなたには今、イジメによって受けるとされる羞恥と屈辱をご自身で体験して頂いているわけです」
    「あたしはなにもここまで……。ちょっとからかっただけじゃねーか」
    「わたくしとて、少し悪戯しているだけですよ? あなたと気持ちは変わりません」
     クラスメイトの視線の中で、明日美はお尻を叩かれ続けた。
     この日は欠席者はいなかった。
     男子に見られるのは当然のこと、いつもつるんでいる友達にもこの痴態は見られている。担任も教室の隅にひっそり佇み、この光景をニヤリとして楽しんでいた。
    「可哀想……」
    「まあ、しょうがないよね……」
     それが女子生徒の声だった。
     今まで明日美が痴漢をでっち上げれば、「ほんとかな?」「でも栗木君ならやりそうだよね」といった具合に、そもそも嘘か本当かも関係なく引いていたくせに、こんな事態になった途端に態度を切り替え、明日美を悪者として見始めた。
     なんという手の平返しか。
     女子というものは恐ろしい。
    「さすがにマジで可哀相じゃない?」
     という、良識的な反応も多くあったが。
    「いいねいいね」
    「ざまみろよ。ひゅー!」
     日頃から態度の不良じみた明日美に対して、軽い反応しか示さない生徒も多くいる。素直に目で楽しむ者、口では良識的な反応をしながらも、結局はチラチラお尻を気にする者と、それぞれだ。中には目を瞑ったり、逸らしたりしてあげている者もいはしたが、ほんの二人か三人程度に過ぎない。結局のところ、明日美の痴態を大なり小なり拝んでいる生徒が半数以上を占めていた。
    「ま、そろそろ時間です。今はこのくらいにしましょうか」
     葉山がスパンキングを終了すると、明日美は即座にスカートを直して教卓を飛び降りる。
    「もう終わりだよな?」
     明日美は反抗的な口調で噛みつく。
     強きな態度を見せてはいるが、顔は真っ赤で目は涙目だ。
    「放課後、空きの教室で更生指導を行います。あなたは随分前からイジメをやっていたでしょう? ですから、当分は罰則に付き合ってもらいます」
    「冗談じゃねーよ。なんとかなんねーのか!」
    「反省しだいですよ。詳しいことはまた放課後説明しますので、サボらずしっかり授業を受けてくださいね」
     葉山はにったりと嗤いを残して、一礼を交えながら教室を後にする。
     更生指導とは何だろう。
     もしかして他にも、明日美にとっては恥ずかしい罰が用意されているのだろうか。
    
    
    


     
     
     


  • 第2話「イジメの糾弾」

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     翌朝、担任がいつものようにホームルームを開始して、席についた生徒の点呼を取る。手はずは整っているという話だが、本当に何かが起きるのだろうか。
    
    「それでは、今日はイジメ撲滅委員会の方から派遣された葉山純一さんを紹介します」
    
     担任が言い出すなり、教室の戸が開く。
     現れた男は、昨日栗木の前に現れたスーツの男性その人だった。
    「初めまして、イジメ撲滅委員会の葉山純一です。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、近年になってイジメ対策にまつわる法案が可決されました。イジメって軽い響きですが、深刻なものになると本当に大変でしょう? 被害者は自殺し、加害者はその後ものうのうと生きていくなんてケースはザラにあります。そうした事態を防ぐため、わたくしには大きな権限が与えられているのです」
     葉山は一通り説明口調で語ってから、一人の生徒を指した。
    「野之宮明日美さん。あなたは栗木健太を対象にイジメを行っていますね?」
    「はぁ? 遊んでやってるだけだよ」
     容疑者に指名されるなり、明日美はほぼ反射的に言い返した。
    「イジメをしている人間はみんなそう言います。悪ふざけ、遊んでいただけ、といった言い訳をなさりますが、わたくしが出てきた以上はそうした言い訳は通用しないとお考え下さい」
    「っるっせーな。ふざけはんぶんでも小突いたりくらいすんだろ。そんなのイジメ認定してたら世の中イジメっ子だらけになるじゃねーか」
    「もちろん厳正な判断は必要ですが、今回は確実に調べがついています。でっちあげの痴漢を言いふらす行為、自分のゴミを捨てさせる行為。紙ゴミの投げつけ、教科書への落書き、顔写真のインターネット上へのアップロード等々。他にもネットコミュニティを利用して、本人の実名をあげて悪口をつぶやく、書き込むといった行為を繰り返しています。全て調べはついているわけですが、その上で言い訳をする場合は、こちらも相応の対応をするとお考え下さい」
    「だからやってねーって!」
     明日美はあくまで否定する。
     葉山は嗤った。
    「もう一度言いますが、イジメ撲滅委員会には高い権限が与えられており、被害者に罰則を課すこともできるのですよ。素直に謝罪をして、謝るのでしたら今のうち。しかし、反省の色が見られない場合は相応の対応を取らせて頂きます」
     目の前で起きている展開に、栗木は空いた口が塞がらずにいた。
     葉山は本当に学校に現れ、イジメ対策を行使しようとしている。みんなの前で明日美の罪状をあげつらい、本人に反省を求めている。同時に自分が受けた仕打ちが晒されているのと同じだったが、あまりの衝撃に栗木はそんな事など気にしていない。むしろ明日美が一体どうなるのか。栗木の関心はそこだけに集中した。
    「へいへい、すみませんね」
    「本当に反省していらっしゃいますか?」
    「してるしてる。ごめんな? 栗木」
     悪びれもしない、いつもの口調だ。
     そんな明日美を見て、葉山はニヤリとする。
    「残念ながら、野之宮明日美が自分の行いを反省しているとは判断できません。よってイジメ撲滅委員会として、あなたに罰則を命じます」
    「はぁ? 今謝っただろうが!」
    「口先だけでは反省とはいいません。あなたは何も罪悪感を感じていないのでしょう? 今まで挙げた以外にも数々の行いをしてきているというのに、これっぽっちも反省の色がありません」
    「うるせーな。だったらコイツのキモさなんとかしろよ」
     明日美は栗木を指す。
    「苛められる側にも原因がある。という主張ですね。確かに被害者には気の小さい傾向などが見受けられますが、だからイジメはしてもいい。という話にはなりません。あなたにはこの場で罰則を受けてもらいます」
    「何が罰則だよ。あたしは受けねーからな?」
    「逆らっても構いませんが、わたくしは法律に基づいて動いています。もし罰則事項を守らない場合は刑事罰を行使して、あなたに懲役を科すことにもなりまねませんよ?」
     すると、明日美はさーっと青ざめた。
    「は、はぁ!? なんだよ懲役って!」
    「最近の法律はご存知ありませんか? 実際に条文にきちんと記されている内容です。なんでしたらこの場で暗記した内容を言っても構いませんが。さて、わたくしに権限が与えられているという意味は理解できたでしょうか」
    「ちっ……」
     明日美は舌打ちする。
    「では明日美さん。教卓の方へ来て下さい」
    「はっ、なにやらせよーってんだ?」
     明日美はずかずか進んでいく。
    「栗貴君も、前へ」
    「は、はい!」
     何だろう。
     明日美への罰で自分が狩り出されるなど、一体どういう内容なのだろう。
    
     ――あなたのイジメにエッチな報復を致しませんか?
    
     昨日の言葉が頭をほぎる。
     まさか、明日美はこの場で卑猥な目に遭うとでもいうのだろうか。
     この、全生徒が見ている前で……。
    
    「ではこれより、スパンキングの刑を行使します。明日美さんのお尻を叩くのは、被害を受けていた栗木君です」
    
     スパンキング?
     いやまさか。
     本気で言っているのだろうか。
     さすがに冗談では? と思うのだが。
    「明日美さん。教卓の上に上がって四つん這いになりなさい」
     確かにそう命令している。
    「は、はぁ? ざけんなよ! 何がスパンキングだ! 受けねーぞそんなもん!」
     明日美はそれに声を荒げていた。
    「今お尻を叩かれるのと、刑事罰で懲役を受けるのと、どちらがよろしいですか? 懲役になると最低でも三年は出られません。わたくしとしてはスパンキングの方がおすすめなのですが、どうなさいますか?」
    「て、テメェ……! 本気か?」
     法律を盾にされ、明日美はそれ以上口答えできない。ただ葉山を睨みつけ、栗木に凶眼を向け、従うでも逆らうでもなく、ただただ冷や汗を流してその場に立ち尽くしていた。
    「本気も本気、大真面目です。我々には実際にそうした命令権が与えられているのですが、どう致しますか?」
    「くっ、糞が……」
     さすがに懲役の方が恐ろしいと判断したのだろう。
     明日美は屈辱を飲み込みながら、栗木を睨みつけながら、上履きを脱いで教卓にのぼる。
    「さあ、お尻は向こうです」
     クラス全員にお尻を向けた四つん這いを前に、栗木はごくりと息を呑んだ。
    
    
    


     
     
     


  • 第1話「イジメ撲滅委員会」

    目次 次の話

    
    
    
     キモい奴を苛めて何が悪いのか。
     だってキモいもんはキモいじゃん? 暗いしうじうじしてるし、見てるだけで鬱陶しい。なんていうか、もう存在してるだけで苛められっ子オーラが出てるというかね。とにかく、キモい奴なんて蹴ろうが何しようが構わないじゃん。
    
     それが野之宮明日美だった。
     同じクラスにはいつも一人でボソボソしている暗い男子がいて、彼は友達もいない頭の鈍くて成績も低い、良いところなどまるでないような男なのだが、明日美はそれを標的に、ことあるごとにイジメをやって楽しんでいる。
     例えば朝、登下校には同じ電車を使っているので、たまたま同じ車両に乗り合わせたことがあった。満員だったので体がくっつき、お尻に硬い勃起物があたってきて、非常に不愉快な気持ちを味わったのだ。
     もちろん、わざとではない。
     事故に過ぎないことなど明日美も承知していたが、わかった上で明日美は言っていた。
    「あいつさー。今朝、あたしのケツ触りやがったんだよ」
     休み時間の教室で、仲間内で大きな声で、本人どころか他の色んなクラスメイトにも聞こえてしまうような声量であることないこと言いふらすのだ。
    「混んでればわかんねーとでも思ったのかな? 手ぇ伸ばしてきてさ、メチャ揉んできやがったの。足踏んでやったら引っ込んだけど、あいつマジでやばいんじゃね? 犯罪者じゃん。通報した方が良かったのかなー」
     単なる接触事故を立派な痴漢行為に膨らませ、ありもしない事実をクラスに広める。それを耳にしたクラスメイトは明日美の話を真に受けて、男子は「おい痴漢野郎!」と彼を罵倒し、女子は「うわぁ……。近づかないようにしよ」などと引いていた。
     彼、栗木健太はいつも一人だ。
     友達がいない。
     庇ってくれるような友人も、信じてくれる仲間も一人もいない。
    「あ、私もこの前見たよ? 階段上ってる女子のさ、スカート覗こうとしてるとこ」
    「うっそ! マジかよ。キメエなほんとによぉ!」
     もちろん、それも嘘八百だ。
     明日美に便乗した友達が、そもそも学校外で栗木を見かけた事すらないのに言い出したデタラメでしかない。しかし、ジョークに過ぎないことをわかっていながら、明日美は大いにキモいと盛り立て、聞いていたクラスメイトも信じてしまう。
     それだけではない。
    「あ、これ捨てといて?」
     昼休みが終わると、明日美は栗木の机にゴミを置く。持ち帰ったり、自分でゴミ箱へ行く手間を惜しんで、コンビニで買ったおにぎりやサンドウィッチなんかのゴミを当たり前のように置いていくのだ。
    「あ、あの……」
     栗木が何か言おうとすると、明日美は大声でそれを遮る。
    「あぁ? 何? 文句でもあんの? 全然聞こえないんだけど? はっきり喋れよブタ野郎」
    「いえその……ゴミは自分で……」
    「なんだよテメェのゴミだろ? テメェで捨てろや!」
     明らかに理不尽なことを言いつけ、怒鳴って相手を黙らせる。
     気の小さい栗木は萎縮する。
     明澄はますます調子に乗る。
     この負の連鎖をクラスメイトは見て見ぬ振り、大半の教師も「相談して来ないから」として無視を決め込み、さもイジメなど存在しないかのように振舞っていた。
     打ち明ける勇気などなく、かといって家に引きこもるには家族が怖い。学校をサボる度胸もない。逃げ場のない栗木は追い詰められる一方で、弱った心で何度飛び降りようかとさえ考えていた。
     イジメを受けるためだけに登下校を繰り返しているようなものだった。
    
    「痴漢すんなよ?」
    
     下校の電車で、するわけもない事を大声で言われ、周囲の一般人は栗木に引いていた。
     明日美の行いは十分にあからさまだったが、それでも暗い雰囲気を纏い、下を向いてぶつくさ言っている栗木の方がもっぱら引かれる対象だった。
     理不尽だが、それが現実だった。
    
     しかし……。
    
    「あなたのイジメにエッチな報復を致しませんか?」
    
     イジメ撲滅委員会、と名乗る手帳を提示しながら、一人のスーツの男が現れた。さながら刑事ドラマの警察が、手帳を見せつけながら聞き込みや事情聴取を行うワンシーンのように、男はそんな事を言い出した。
    「報復? しかもエッチなって……」
    「近年、イジメ対策のために撲滅委員会の設置が可決されまして、学校や生徒による調査報告によって我々は被害者の元へ派遣されます。あなたが今まで受けてきた仕打ちの数々などは全て把握してますよ? 例えば、してもいない痴漢行為をでっちあげ、クラスでの評判を落とされたりといった被害を受けているでしょう」
    「そ、それは……!」
     栗木はぎょっとした。
     味方など、どこにもいないと思っていた。
     いや、それどころか。こんな仕打ちを受けていますと相談すること自体、まるで自分はそういう弱弱しい人間ですと宣言しに行くかのようで、とてもそんな勇気は出せなかった。救いを求めることにも抵抗があったのだ。
     ところが、撲滅委員会を名乗る男の登場だ。
     相談する気概などなかったのに、向こうの方からやって来られた上、確かに受けた仕打ちを言い当てられては敵わない。
    「明日、さっそく野之宮明日美さんへのエッチな報復のチャンスが訪れます。既に手はずは整っておりますので、どうぞ楽しみにお待ちください」
     手はずが整っている?
     一体、何をしたというのだろう。
     まるで強力な権限を持った組織の台詞じゃないか。