第16話「チンポには屈しない!」

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「はぁ……はぁぁ……はぁっ、はぁっ、はあぁ………………」

 まるで全力疾走でもして息切れを起こしたように、リーナはすっかり肩で息をしている状態に陥っていた。
 賭けに乗ることに決めたリーナは、準備と称して散々に嬲られたのだ。
 数時間以上に渡り、何度も手マンで寸止めされ、ベッドシーツに大きなお漏らしの円形が出来上がるほどの愛液を垂れ流した。水分補給がなければ脱水症状になるほどまで、途方もない量を股から漏らし、リーナは途中で数回以上は水を飲ませてもらっていた。
 胸を揉まれ、乳首に刺激を与えられ続けた。尻愛撫で丁寧に撫で込まれ、うなじや背筋といった部分にまで、執拗なフェザータッチが行われた。
 そこまでされて、なおも一度もイっていないリーナの肉体は、もはや空気にも触れて欲しくないほど敏感になっており、風が素肌を撫でるだけでも腰をくねらせる反応を見せていた。
 そんな状態で、賭けは始まる。

「今から三十分以内に腰を落としたら、リーナちゃんの負けってことだよ」

 仰向けになったジョードに跨り、リーナは自分の膣口に亀頭を導く。先端をわずか1センチだけ入れた状態で、騎乗位セックスを最後まで我慢すればいい。
「アンタこそ、私が勝っても約束は破らないわよね?」
「もちろんだよ」
「信用ならないけど、アンタなんかでも約束を守る可能性はゼロじゃないものね。小さな可能性に賭けて、私は勝つわ」
「細かいルールはそうだねぇ? 亀頭を飲み込むまではセーフにしてあげる。ズレそうになったら、ズレないように調整しないといけないからねぇ?」
「時間はどうやって計るの?」
「僕の魔法の懐中時計は、設定した時間で音が鳴るから、三十分立って音が鳴っても、リーナちゃんが亀頭から先まではいかなければ勝ち。途中でズレて、外れちゃうようなことがあったら僕の勝ちって判定にするからねぇ?」
「わかったわ。さっさと初めて頂戴」
「じゃあ、スタート」
 ジョードがカチリとスイッチを押し、時計の針が三十分後のアラームに向けて進み始めたことで、勝負は正式に始まった。
「……っぅぁ」
 リーナの敏感な肉体は、ただ亀頭と接触しているだけで、トロリトロリと愛液を垂らし始めている。亀頭先端が埋まった膣口から、流れてくる愛液は肉竿を通じていき、ジョードの陰毛の中へと進んでいく。
 わざと負けるのは簡単だ。
 肉体はそちらを望み、一思いに全てを飲み込んでしまおうと、下へ向かって進み始める。亀頭の口先だけが膣口に埋まってたのが、少しずつ先まで飲み込み、既に亀頭の約半分の位置まで到達しかけていた。
(駄目よ! 私の馬鹿!)
 自分を制したリーナは、腰の高さを元に戻した。
 ――二分が経過。
 我慢ができていたリーナは、再び肉体に突き動かされ、膣が亀頭を半分飲む。
(負けちゃ……駄目……!)
 重い荷物をゆっくりと引き上げていくように、リーナは歯を食いしばって腰の高さを元の位置まで持ち上げた。
 これは文字通り、自分自身との戦いだ。
 欲にかられた肉体をいかに制し、ジョードを拒みたい本心の方を勝たせるかだ。
 リーナは己の肉体を敵視する勢いで、懸命なまでに欲望を堪えていた。
(したい……セックスしたい…………したくない……!)
 シたいのも、シたくないのも、両方が真実である状況など、きっと二度とない体験だ。

 さわっ、

「な、何を!」
 突然、ジョードは太ももを触ってきた。
「何って、おさわり禁止のルールまでは設けていないよ?」
「やっぱり! アンタはとんだ卑怯者よ!」
 触れるか触れないかのフェザータッチが、太ももを執拗に責め立てる。敏感になっていた肌全体が反応して、甘い痺れが内股を通って秘所へと達していた。
「――うっ、くっっ、うぅぅっ」
 リーナは腰をくねらせる。
 このままでは、腰がうねるあまりに亀頭が外れれしまう。取れてしまったら、ジョードの勝ちという判定にされてしまう。
(こ、ここは……)
 リーナは自ら腰を落とし、亀頭をあと1センチだけ膣に飲み込む。
「ほらほら、頑張って?」
「言われなくても、十分にやってるわよ!」
 だが、まずい。
 ジョードは女に快感を与えることで、自在に反応を操ってくる。もしクリトリスにでも触られたら、ビクンとした反応でリーナは腰を落としかねない。
「そうそう。安心してよ。僕自身の手では、リーナちゃんが腰をずっぷりしちゃうようなコントロールは行わないから」
「本当でしょうねぇ?」
「だって、それじゃあ無理矢理するのと同じでしょう? 僕はねぇ、リーナちゃんが自分の意思で騎乗位セックスを始める瞬間が見たいんだ。正真正銘のリーナちゃんの意思でね」
「しないわよ。絶対」
 ――十分経過。
 あと、二十分で勝てる。
(我慢……我慢……我慢――ひぃっ!)
 ジョードはクリトリスに指先をやり、クリクリと弾くような愛撫を始めた。リーナは腰を左右にくねらせるようによがって、身体は前のめりに倒れていく。
「――くっ!」
 前へ倒れるようにコントロールされたリーナは、ジョードの顔の左右に肘を落とし、四つん這いの姿勢にされてしまう。勢いで外れないように意識したリーナは、亀頭をギリギリの位置まで飲み込み、もう少しで敗北直前のところまでやって来ていた。
 もちろん、腰を持ち上げれば元の高さへすぐに戻せる。
 とはいえ、それも刺激だ。
 ほんの少し、ちょっぴりだけ、亀頭が膣に出入るすることさえ、今のリーナにとっては電流が背筋を走るほどの刺激に他ならない。
「うっ、うあぁぁ…………」
 喘ぎ声を上げながら、直ちに1センチだけを膣口に含んだ状態へ立ち戻った。
「さーて、おっぱいおっぱい」
 頭の左右に両肘を置いた四つん這いのため、ジョードの顔の正面には、ちょうどぴったり乳房がある。
 ジョードは胸を揉み始めた。
「……んふぁっ、あぁっ」
 揉まれるだけで首が仰け反り、髪を左右に振り乱した。
「あぁぁ……むねぇ……だめっ、やめてぇ………………」
 両方の乳房を鷲掴みにして、ジョードは指に強弱をつけている。

 むにゅっ、もにゅぅ、モニュモニュッ、グニ、グニ、むにゅぅぅ――。

 踊るような指技は、乳房をパン生地のように変形させ、巧みにツボを突いている。マッサージが繰り返されるにつれ、乳首がジンと腫れるかのように敏感になっていた。
 ピンと、乳首が指で弾かれ、リーナは悲鳴にも似た喘ぎ声を漏らす。
「あぁぁぁっ!」
「へへっ、敏感な乳首だねぇ?」

 くりっ、クリクリっ、くにっ、くにっ、くにぃぃ――くにんっ、くりっ、くりぃ……。

 指で乳首をつまんだジョードは、優しいつねり方で刺激を与える。
「うっ、うぅ……くぅ……んぁぁ……あぁぁ……はひぃぃぃ…………」
 快感を我慢しているリーナは、堪えるために全身を強張らせ、それこそ両手の指先から足のつま先にかけてまで、満遍なく力を入れている。
 まるで全身痙攣のように震えるリーナは、瞳をうるませながら喘いでいた。
 ――二十分。
(勝てる! もうすぐ、もうすぐ勝てる! だから、だから我慢…………!)

 さああぁぁぁぁぁぁぁ………………。

 次にうなじに触れたジョードは、背骨のラインに沿うようにして、触れるか触れないかの微妙なタッチで、指先を這わせていく。
 ゆっくり、ゆっくり、ジョードの指は尾てい骨をめがけて進んでいた。
「あぁぁ……あぁ……ふあぁぁ………………」
 少しずつ背中が反っていき、リーナはだんだんと背中を反らしていく。

 さわっ、

 ジョードは尻を撫で始めた。
「ひはぁぁ……そ、そんなぁ……あぁぁ…………」
 やはり、産毛を撫でる程度のフェザータッチだ。表面をさーっと撫でるだけの優しいタッチでお尻を責め、毛が一本ずつ逆立つような快楽が充満する。お尻は甘い痺れに満たされて、リーナは逃げるように腰を左右に振っていた。
「あぁっ、これぇ……これじゃぁぁ……やめてぇぇぇぇ………………」
 刺激から逃げようとしてしまうリーナは、ジョードがやめてくれない限り、自分ではお尻をフリフリすることをやめられない。
「あぁっ、ふぁぁぁ…………」
 腰が動いているせいで、半分だけ埋まった亀頭がリーナの膣内を掻き回し、左右の膣壁に刺激を与えてしまう。
(あ、あと五分っ、五分耐えればぁぁ……)
 終わってしまう。
 挿入してもらえる最後のチャンスがふいになり、もしもジョードが約束を守るなら、明日は何もしてもらえない。
 肉体は快楽を求めていた。
 リーナの心に反して、肉体は未練がましく、亀頭を全て膣に飲み込む。

 ぬぷっ、にゅぴゅぅっ、にぷぅっ、ぬぷぅ――。

 腰が動き始めていた。
 亀頭だけが膣口を出入りするように、敗北判定を取られないギリギリの腰振り運動をリーナ自ら開始していた。
「あれぇ? あれれれぇ? どうしたのぉ? リーナちゃーん!」
「うるさい! うるさいわよぉ――このぉ――なんでぇ――――」
 きっと、リーナの自制心が弱かったら、とっくに負けを認めて騎乗位セックスを楽しみ始めていただろう。己の肉体を制しようとする強い心が、竿の部分まで受け入れることを拒みきっていた。
 しかし、裏を返せば、ここまで意地を張っているにも関わらず、亀頭の出入りだけは許してしまっているのだ。
「んっ、ん! んぁっ、あぅぅっ、先っぽ! 先っぽだけなら! 負けてない! 負けてないんだからぁぁぁぁ!」
「そうだねぇ? 負けてないねぇ?」
「そうよぉぉ! わっ、私はぁっ、あひぃ――負け――ないぃぃ! 負けない! 負けない! 負けないのぉぉ!」
 本当に負けていないといえるのか。
 自分で腰を振っておきながら、ジョードのチンポに屈していないと言えるのか。

 ぬぷん! にゅぷん! にゅぷぅっ、ぬぷっ、ぬぷ!

(止まってぇぇ! 止まってよぉぉ! 私の体ぁぁん! こんなぁっ、こんなのぉっ、チンポ欲しいって認めてるのと同じじゃないのぉぉぉぉ!)
 認めたくない! 認めたくない!
 ジョードなんて! ジョードごときのチンポなんて!
 ここで自分の体を止め切れなかったら、たとえルール上は勝った扱いになるとしても、己の行いを後悔せずにはいられない。
「あと一分だよ?」
(お願い! もうっ、もう何も求めないでぇぇ! 止まってぇ! 止まってよぉ! 私のカラダぁぁ! 動いちゃ――動いちゃらめぇぇぇぇぇ!)
 イこうとしているのだ。
 亀頭だけでも使って、絶頂への渇望を満たそうとしている。
 そんな肉体の勝手は心が許さない。

 にゅぴゅっ、ぬぷぅっ! ぬぷ! ぬぷ!

(イカなくていい! キアランにイカせてもらえばいいのぉ! すぐにキアランとセックスするんだからぁ! 止まってぇぇぇぇ!)

 ぬぷ! ぬぷ! ぬぷぅ!

「んぐぅぅぅぅぅ! 勝つのぉ! チンポに勝つのぉぉ!」

 リーナは全身に力を込め、手足の筋肉から腹筋や背筋まで、全ての箇所を極限まで硬く強張らせた。止まろうとしない自分の体を止めようと、まるで重量物を扱うために辛抱強く踏ん張るような気持ちで、最後の最後で制止しきった。
「と、止まった……私の体…………」
 残り十秒手前。
 9――8――7――6――5――4――3――2――1――――。
 勝った。
 ざまみろ、豚野郎。
 たとえ肉体だけが堕ちていっても、リーナは自己を保ちきった。
「勝ったよぉ……キアラぁン…………」
 甘くとろけた細い目で、ここにはいない男を想う。
 イキたいという自分自身の願望を突っぱねるため、リーナはすぐさまジョードから離れていき、ベッドの隅まで避難していた。
 疼ききったアソコが切なくて、やっぱり本当はチンポが欲しいと思いながら――。
「……ねえ、アンタさぁ……約束……守ってくれんの?」
 リーナは尋ねた。
「守るよ? 明日は何もしてあげない」
「……そっか」
 残念がっている自分がいて、そんな自分が忌まわしかった。



 
 
 

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