第3話「公開スパンキング」

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 葉山は言った。
「さあ、栗木君。あなたにはイジメっ子に対する報復権が与えられ、それを行使する義務が与えられます。仕返しの機会を与える事によって、苛める側と苛められる側、双方の心を入れ替えることができるという考えなのです。苛める側は自分の行いを後悔し、苛められていた側は仕返しによって自信をつけ、引っ込みがちだった性格に強みを持たせる目的です」
 これから行うことに対する意味合いを語っていき、彼は栗木の肩に手を置いた。
「ほら、目の前で野之宮明日美が四つん這いです」
 栗木は緊張で汗をかく。
 高く突き上げられたスカートのお尻が、栗木の目の前にそびえている。短めのスカート丈が垂れ下がり、太ももは大きく露出している。生足は丸見えで、少し腰を低めればパンツも見えることだろう。
「叩くのはあなたですよ?」
 葉山は遠慮なく、さも何でもないようにスカートを捲り挙げ、紫色のパンツが露出する。模様の派手めな、一枚の布の上へ柄を縫いつけたような明るいパンツだ。生地のせいか蛍光灯が反射して、どことなく光って見える。
「さあ、叩いて下さい」
「え、あの……」
 叩けと言われても、いきなりできるわけがない。
 相手は明日美だ。
 しかも、背後にはクラスメイト。
 叩こうものならみんなにどう思われるかわからないし、後でどんな報復が待っているかと思うと恐ろしい。出来る事と言ったら、せいぜい自分ではなく葉山の手によって丸出しにされたパンツを凝視するくらいだ。
 動くに動けない栗木を見かねてか。
「仕方ありませんね。あなたにはまだ早いようですので、わたくしがやりましょう」
 葉山が変わって慣れた手つきで手を乗せて、お尻をまんべんなく撫で回す。
「くっ……」
 明日美が悔しそうに歯を食いしばるのが、全身がビクッと固まる挙動だけでも良くわかった。
「あなたのこのお尻、栗木君の目に焼き付けられていますよ? この派手な紫がね。さて、どんなお気持ちですか?」
「どうもこうも、パンツぐらいなんともねーよ」
 声が震えている。
「なんともありませんか。では一発」

 パァーン!

 手の平で、葉山は明日美の尻を打ち鳴らした。
「て、てめぇ……!」

 パァーン!

 二発目。
「どうですか?」
「どうじゃねーんだよ変態が! これで満足か?」
「満足じゃないんですよ。あなたに反省を促すための体罰なのですよ?」
 葉山は大胆なスイングで、まるで太鼓でも叩くような気持ちで明日美のお尻を連打した。肌の打ち鳴らされる打撃音が教室に響き、明日美は今にも屈辱に震えている。全身を硬くして、尻肉を打たれる度に肩をビクビク揺らしている。
「さあ反省するのです。さあさあ!」
 楽しげなスパンキングで、明日美のお尻は揺らされていた。皿に出したゼリーでも揺らすように、プルンプルンと尻肉は弾み、波打っている。栗木はその光景から目が離せず、すっかり釘付けになっていた。
「誰がこんなもんで……。あたしは負けねーぞ!」
「反省はしないという意味ですか? 罰則が長引きますよ」
 今度は両手を使い、左右の尻たぶを交互にタップする。
「ざけんな! こんなのねーだろ。どこの変態が作った法律だよ」
「賛否両論ありますが、可決したものは仕方がありません。わたくしは法に基づいて仕事を行うまでですよ」
 左右の尻たぶが交互に打たれ、右左右と、リズム良く波打つ振動を見せる。
「何もクラスの前で……」
「明日美さん。あなただって、クラスメイトに聞こえる形で栗木君のありもしない事実を吹聴したでしょう。あなたには今、イジメによって受けるとされる羞恥と屈辱をご自身で体験して頂いているわけです」
「あたしはなにもここまで……。ちょっとからかっただけじゃねーか」
「わたくしとて、少し悪戯しているだけですよ? あなたと気持ちは変わりません」
 クラスメイトの視線の中で、明日美はお尻を叩かれ続けた。
 この日は欠席者はいなかった。
 男子に見られるのは当然のこと、いつもつるんでいる友達にもこの痴態は見られている。担任も教室の隅にひっそり佇み、この光景をニヤリとして楽しんでいた。
「可哀想……」
「まあ、しょうがないよね……」
 それが女子生徒の声だった。
 今まで明日美が痴漢をでっち上げれば、「ほんとかな?」「でも栗木君ならやりそうだよね」といった具合に、そもそも嘘か本当かも関係なく引いていたくせに、こんな事態になった途端に態度を切り替え、明日美を悪者として見始めた。
 なんという手の平返しか。
 女子というものは恐ろしい。
「さすがにマジで可哀相じゃない?」
 という、良識的な反応も多くあったが。
「いいねいいね」
「ざまみろよ。ひゅー!」
 日頃から態度の不良じみた明日美に対して、軽い反応しか示さない生徒も多くいる。素直に目で楽しむ者、口では良識的な反応をしながらも、結局はチラチラお尻を気にする者と、それぞれだ。中には目を瞑ったり、逸らしたりしてあげている者もいはしたが、ほんの二人か三人程度に過ぎない。結局のところ、明日美の痴態を大なり小なり拝んでいる生徒が半数以上を占めていた。
「ま、そろそろ時間です。今はこのくらいにしましょうか」
 葉山がスパンキングを終了すると、明日美は即座にスカートを直して教卓を飛び降りる。
「もう終わりだよな?」
 明日美は反抗的な口調で噛みつく。
 強きな態度を見せてはいるが、顔は真っ赤で目は涙目だ。
「放課後、空きの教室で更生指導を行います。あなたは随分前からイジメをやっていたでしょう? ですから、当分は罰則に付き合ってもらいます」
「冗談じゃねーよ。なんとかなんねーのか!」
「反省しだいですよ。詳しいことはまた放課後説明しますので、サボらずしっかり授業を受けてくださいね」
 葉山はにったりと嗤いを残して、一礼を交えながら教室を後にする。
 更生指導とは何だろう。
 もしかして他にも、明日美にとっては恥ずかしい罰が用意されているのだろうか。