キモ男による財前葵の脅迫

   




 目立つことを苦手とする財前葵だが、VR空間のアカウントでは別人になれる。そこで取得したアバターは自分であって自分じゃない。普段なら表に出せない一面も、私生活では決してできない振る舞いも全て自由だ。
 ブルーエンジェルとして、トリックスターデッキを駆使して戦っていた。
 さて、それは夕暮れの誰もいない教室での出来事。
 そんな葵の前にキモ男が現れ、まるで証拠写真を突きつけるかのようにブルーエンジェルの画像を見せられて、葵はすぐに理解していた。
 これは脅迫だ。
 品定めのように視線で身体を舐めまわす目つき、ニヤニヤとしたキモ男の表情。
 何が狙いかなどすぐにわかった。
「君がデュエルに勝ったら、僕は何も言わずに今後話しかけもしない。だけど、もしも僕が勝つようなら……」
 負けたらどうなるかもわかっていた。
 しかし、VR空間での自分はブルーエンジェルなのだ。
 こんな卑怯な男にデュエルでは負けない。勝つことで問題に決着をつけ、きちんと秘密を守らせる方が、厄介ごとを長く引っ張らずに済むはずだ。
 机にカードを広げたテーブルデュエルで、卑怯者などすぐに倒してやろうと手札を揃え、モンスターを並べて盤面を整える。地道な効果ダメージの積み重ねは、すぐにでもキモ男のライフを半分以下にまで削り取った。
 これなら勝てると、葵は予感していた。
 ところが、キモ男が使用するのは極端なアンチデッキだ。
 効果ダメージを無効化して、はたまたは跳ね返して、他のあらゆるカードでトリックスターの動きをとことん封じる。トリックスターに勝つためだけのデッキ構成は、葵がどれだけ強くとも関係ない。
 葵はデュエルに敗北した。
 敗者となって膝をつき、床に両手をついた葵は、悔しげに拳を固めて震えている。一方でキモ男は勝ち誇った笑みを浮かべて葵を見下ろし、ニヤニヤと胸を張り、制服ズボンのベルトを外してトランクスまで下げていた。
 勝者の肉棒が、無念と屈辱に浸る敗者の前へと突きつけられた。
 卑怯な脅迫に屈することが悔しくてならない葵は、そんな男に負けてしまった敗北感から、諦めてしまった顔で手を伸ばす。手の平をペニスに巻きつけ、柔らかい指に包んだ葵は、生まれて初めて行う手コキでキモ男に奉仕を行った。
 こんな男の一物を握っている。
 つたない手つきで上下にしごき続ける葵は、せめて一秒でも早く終わって欲しいことを祈っていたが、やがてフェラチオまで命じられると、より一層の無念が顔に浮かんだ。
 食べ物を入れるための口に、よりにもよってこんな男の……。
 肉棒の放つ熱気が顔に触れるだけでも嫌なのに、亀頭に唇を接触させるだなんて、葵にはハードルが高すぎた。
 だが、やらなければどうなるのか。
 躊躇っている時間が長いと、キモ男は再び画像を見せ付ける。
 手の次は口も諦めた葵は、舌を長く突き出し舐め始めた。

 ペロッ、ペロッ。

 と、実につたなく先端に唾液を塗る。そこにテクニックなどありはしないが、一人の女を従えている愉悦に浸り、キモ男はこの気分の良さを楽しんだ。

 ペロッ、ペロッ。
 ペロッ、ペロッ。

 何も言わなければ舐めているだけの時間が続く。
 先っぽにある鈴口と、亀頭と皮を繋ぐ筋の部分だけに、舌から塗られる唾液の粘膜が染み続けていた。

 ぺろ、ぺろ、ぺろ、ぺろ――。

 いつまでも、続けていた。
 もうやめてもいいとのお許しが、勝者様から頂けないから、敗者の葵は一度言われたことを繰り返しているだけだった。
 それでも、だんだんと唇に先端を含むようになっていき、キスのように押し付け唾液の糸を引かせるようにもなり、ついには唇で亀頭を磨き始めた。リングのように広がる唇で、亀頭のカリ首までを飲み込んで、そこから葵は頭を引く。
 前後している葵の頭から、その唇から亀頭だけが出入りしている。
 時折、息継ぎのように口を離すと、唾液とカウパーの混ざったものが唇とのあいだに糸を引き、葵は再び口付けする。頭を前後に動かして、息継ぎして、またキスする。これだけで何分の時間が経ったのかもわからない。
 だけど、フェラチオだけで済むはずだ。
 口を汚されてしまった葵は、せめて他の部分は汚されないことを期待して、そう祈る気持ちを込めた舌遣いで奉仕している。
 しかし、許しはなかった。
 もう夕暮れを過ぎて、もっと暗くなりかけた教室で、キモ男は本番までを要求した。ショーツを膝まで下げ、上半身を机の上にべったり置き、無防備な尻を突き出せという。応じた途端にスカートの丈は捲られ、生尻は丸出しとなり、いやらしい指が性器のワレメに絡みつく。
 あとは準備を整えるだけだった。
 ワレメを上下になぞる愛撫で、キモ男の指には愛液が絡みつき、次には膣口に指を出し入れする。根元まで入り込んだ指が抜け出ると、先端にかけてまで粘液にまぶされて、キモ男は膣内がよくほぐれるまで手マンを続けた。
「では財前葵ちゃんの処女を対象に選択して、ペニスの挿入を行いまーす」
 キモ男は亀頭を入り口に押し当てた。
「何か発動するカードはありますか?」
「…………」
「ないよねぇぇぇ?」
 キモ男はさらなる勝者の笑みを浮かべた。勝ち誇るにもほどがある。よもや絶対的なキングのデュエルにでも打ち勝ったのかというほどの表情は、醜い以外の何者でもない。汚い欲望を満たすことへの喜びなのだ。
 敗者は勝者に逆らう心を持たず、黙っていれば挿入されることをわかっていながら、葵はそうなることを待っていた。
 デュエルに負けたから、葵は抵抗せずにいた。
「では挿入宣言から、実際に亀頭の先からニュルニュルと入っていくステップに移行。ここで処女が儚く散り行く処女膜へのダメージ計算が行われ、そのまま根元までずっぷりでーす」
 最後まで押し込むと、キモ男は元気なピストン運動を開始した。
 ブレザーの背中を見ながらら、身体をくの字に折り曲げて、弓なりから矢を放つように奥まで貫く。腰が尻たぶを打つことで、葵の尻はプルプルと振動して、パンパンと肌を打ち鳴らす打音も響いている。
 最後には中出しだった。
 根元まで押し込んだ状態で解き放たれ、熱い白濁が下腹部の内側で広がると、肉棒の抜かれた穴からねっとりと流れ落ちる。破瓜の血と混ざり合い、太ももを伝って靴下にまで染み付いていた。
「約束通り秘密は守るよ。ただし、これからもよろしくね? ブルーエンジェルちゃん」
 満足そうに去っていくキモ男の足音だけを静かに聞き、葵はどうするでもなく、そのまま机に重心を預けていた。
 やっと起きる気になり、持っていたティッシュでアソコを吹くと、黙々とショーツを履き直して学校を後にする。
 葵の性奴隷生活はまだまだ始まったばかりだ。
 これからの未来に、葵の心は暗かった。