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  • 中学剣道少女~恥ずかしい穴まで身体検査~

     
     

     第1話「剣道少女、麗華」  
     第2話「世にも屈辱なドーピング検査」(2012/09/01)
     第3話「そして羞恥の発育検査へ」(2012/09/08)
     第4話「視姦と測定」(2012/09/20)
     第5話「ノギス測定とデータ撮影」(2012/12/18)
     第6話「アナルのシワシワ検査」(2012/12/24)
     第6.5話「検査結果」(2012/12/25)
     第7話「検査のその後」(2012/12/28)
     第8話「止まらない疼き」(2012/12/30)
     第9話「トイレに行けない!」(2012/12/31)
     第10話「エッチなマッサージ」(2013/01/26)
     第11話「次なる検査へ」(2013/02/05)
     第12話「キャンパスを歩く」(2013/02/20)
     第13話「学習材料になって頂きます」(2013/04/14)
     第14話「衆目の中の脱衣」(2013/04/16)
     第15話「おびただしい医学生の手」(2013/04/17)
     第16話「オナニーインタビュー」(2013/05/02)
     第17話「麗華の公開オナニー」(2013/05/05)
     第18話「私は堕ちてない!」(2013/06/22)
     第19話「最後の検査へ」(2013/06/23)
     第20話「ペニス測定について」(2013/06/23)
     第21話「麗華のペニス測定」(2013/06/27)
     第22話「部員たちのペニスを測れ」(2013/07/09)
     第23話「射精に導けない」(2013/07/13)
     第24話「股を拭き拭き」(2013/07/14)
     第25話「かけられまくり」(2013/07/17)
     第26話「イきたくない・・・」(2013/07/17)
     第27話「崩れゆく麗華」(2013/07/18)
     第28話「絶頂」(2013/07/19)
     最終話「黒崎麗華」(2013/07/21)
     
     おまけ(2013/07/27)
     あとがき(2013/07/27)
     
     


  • 催眠マナー教室における社会奉仕

    【催眠実験記録 マナー教育】
     我が『機関』は電波による催眠や常識の改変など、いわゆる催眠アプリに必要とされる機能やシステムを開発しているが、今回はその試作品を活用して、実際に常識を書き換えた『講習』を実施したものである。
     
     
    第1話
    第2話
    第3話
    最終話
     
     


  • 第3話「動画鑑賞」

    前の話 目次 次の話

    
    
    
     私は担任に呼び出され、膝の上に座らされていた。
    「これが久保杏奈ちゃんのオナニーかー」
     指導室を利用して、鍵をかけた二人っきりで、体位でいったら背面座位の状態にされた私はベンチソファで脚をM字に開いている。先生の身体は私の背中に密着して、胸もアソコもベタベタと触り放題。
     でも、それ以上に嫌なのは、目の前のノートパソコンで私自身のオナニー動画が流れていることだった。
    「君はこんな風にしたんだねぇ? 脱ぎ方もエロかったけど、お尻の穴もツンツンされて、それで興奮したんだねぇ?」
    「……はい」
    「気持ち良かった?」
    「はい……」
     先生の両手がオッパイをがっしり掴み、ブレザー越しに揉みまくり――肛門の皺の本数まで知られている相手って思うと、逆らおうだの何だのって気力はまず湧かなくて、揉まれるままでいる私は、目の前の動画で本当に死にたくなってきている。
    『あのぉ……。このまま前から脱ぐのと、お尻をだんだん見せるのって、どっちがエロいですか?』
     なんで私は、あんなことを言ったんだろう。
     先生はこんな私の台詞を気に入っちゃって、何度も同じところを再生するし、私の白いパンツの尻が、ジーパンの中から剥き出しになる瞬間を眺めてニヤニヤしてくる。初めてアソコに触る場面とか、パンツを脱いじゃうシーンとか、色んなところを繰り返すから、私はあの時の感覚をだんだん思い出してしまう。
     でも、これはちょっとキツいよねぇ……なんでオナニーみられなきゃいけないの? 性教育だから仕方ないし、教師が生徒をよく理解するためなのはわかるけど、どれだけ理由がはっきりしてても、やっぱり思っちゃう――なんで? って。
    「はぁ……はっ、はぁっ、あっ、はっ、はぁ……はぁ……」
     なんで私、興奮してハァハァしてんの……。
     これなんか、自分のオナニーが気持ち良かったこと思い出してるのか、先生に触ってもらって喜んでるのか、自分でどっちだかわからない。
    「耳が赤いなぁ?」
    「だって……はぁ……はっ、はあっ、はぁっ、はぁ……」
    「オナニー久保杏奈と同じくらい赤いじゃないか」
     ちょっ、人の名前にオナニーとか添えないで……軽く辱めだし、腹立つし、こんなこと言ってくる人のせいでアソコ濡れてるって思うと、なんかますます……悔しいというか屈辱といいますか。
    「あっ、んんぅっ!」
     先生の手が、アソコに来た――き、気持ちいいんだけど……濡れてるせいで、ヌルヌル滑るみたいに動く指が、すっごく刺激を走らせてきて、快感で脚とか腰がくねくねする。
    「さて。生徒のプライベートをこうして把握して生徒への理解を高めているが、この性教育には他にどんな意味があると思う?」
     えっ、あっ、こ、こんな……アソコ触られながら、真面目っぽい話とかするの? 下の方見ると、もう先生の指に私の汁が絡みまくって、糸を引いたりもしてて、自分の身体の一部がこんなにエロい光景になってるって思うと、頭の中がじわじわって熱くなる。
    「そうですねっ、ええっと、ですねぇ……んっ、あぁっ、えっと……性教育では、セックスなんかもするわけですし……ですから、本番に備えてその……この時間はなんていうか、あっ、んんんんんぅ……あっ、いきなり当日を迎えて、動揺しないためのっ、ワンクッション……といいますか……あ、あんっ、あぁっ、そこっ、いいです……! あぁ……気持ちいい……」
    「それにだ。こうやって感じやすい体作りを行えば、男はみんな喜ぶからな。おチンチンとの触れ合いも一種のコミュニケーションなわけだし、経験を積むことで、パートナーとの関係を豊かにしていく。男女の付き合いを学校が支えてやろうっていうわけだな」
     意義のあることって、そんなの知ってる……知ってるけど……うっ、声出るし……顔も赤くなるし……色々と――あっ、んっ、た、大変っ!
     か、体が……気持ち良すぎて、前のめりになって……上半身が前に出てったら、なんか先生の股間に私の方からお尻グイグイ当ててるみたいで、ちょっと恥ずかしいというか……。
    「テーブルに手を突きなさい」
     このテーブル低いから、ここに両手ついて、四つん這いっぽくなっちゃったら、お尻を高く突き出すことに……とりあえずソファから足は降ろして、M字開脚はやめられるけど、私は自分自身の動画にぐっと顔を近づけなくちゃいけない。
     は、はずぅぅぅ……。
     腰がクイって持ち上がって、下半身を「さあどうぞ」と差し出してる感じだし、先生もすぐにスカートを捲って来るから、白いパンツのお尻が全部丸出し……今までアソコも肛門も見られていて、今回はオナニー動画と来ているけど、スカートが捲れた途端に、頬と鼻のあいだあたりで、カッて顔に火がついた感じがした。
     あんな体験してても、そして現在進行形でオナニーが再生されてても、私って、まだパンツを見られて恥じらう心が残ってるのか……。
     それはちょっと、いいことなのか悪いことなのかわからない。
     がしっ、ぐにっ、て感じで、先生の手の平が思いっきり食いついて来て、私のお尻を大胆に揉みまくる。めちゃくちゃに撫で回して、また揉んで、撫でて、揉んでって、本当に本当に、先生は人のお尻を存分に楽しんでいた。
     これも事前学習みたいなもんだし、何も言えないけど、パンツを下ろされる予感がすると、緊張でブルっと震える。
     あぁ……パンツが……どこまで下げるんだろう……ひ、膝までか……このポーズでも、身体の角度的に言って、たぶんアソコは普通に見えまくりだよね。当然ダイレクトにお尻揉まれるし、指でグイって広げられたら、肛門丸見え……絶対視姦してる……。
    「ふぅぅぅ……」
     や、やめろぉ……息なんてかけられたら、私の顔が炎上するから……! ああもう、脳みそがぐつぐつ煮立って、自分の頭蓋骨の中身がどうなっているのか恐ろしい……つ、ツンツンしないで……ふーふーするのもダメぇ……!
    「肛門をパクパクさせてみなさい」
     嫌だぁ……無理に決まってるぅ……!
     で、でも、しないと、たぶん駄目だし……ああもうっ、お尻の筋肉に力入れて、ヒクって感じで縮めれば、それで緩めれば……。
     うん。こうだよね……。
     ひくっ、ひくっ、ひくっ、ひくっ……まだ? もっと? ひくっ、ひくっ、ひくっ、ひくっ、ひくっ、ひくっヒク、ヒク、ヒク、ヒクン、キュッ、きゅっ、もう駄目……死ぬ……なんか顔の皮膚とか肉が、熱で溶け始めてる気がする……。
     先生、なんか言って――具体的には、もういい、終わっていいぞ? とか。
     念力を送らんばかりに願ってみるけど、なんも言う気配がないから、もう続けているしかなくて……。
     ひくっ、ヒク、ひくっ、きゅ、キュ、キュゥ、きゅ、ヒクッ、ひく、きゅ、きゅっ、ひく、ヒクひくヒクっ――きゅ――ひくっ、キュ――。
     なんかっ、お尻の穴がジリジリって、レーザーで焦がされてるっぽい感覚が……それだけ視姦されてるってこと? もう気になって気になって、やめればいいのに私は一度だけ肩越しに振り向いて、そしたらやっぱり、先生の顔が物凄い至近距離。
     あ、あんな近くでガン見してたんだ……息だってかかるはずじゃんって、そう意識したら、先生がする呼吸の熱が、アソコのワレメに当たっているのに気づいてしまう。濡れてるところに風が来るから、当たり前だけど、ちょっとひやっとして……。
    「ほら、止まってるぞ?」
     ぺちん。
     って、叩かれたんだけど――もう泣くしかないって思いながら、私はお尻の穴をヒクヒクと、それはもうヒクヒクと、肛門括約筋に強弱をつけまくり、皺が締まったり緩んだりしている光景をご鑑賞頂く。
     いつしか動画再生時間が終了して、とっくにオナニーが終わっていた。
     愛液がドロドロで、触られてもいないのに、内股の部分を伝って流れていて、かと思えば先生の指が入り込む。自分の指とは違う太さの、骨太なせいかゴツゴツしたのが、私の膣にすっぽりと収まってしまった。
     え、これ、つまり――お尻の穴を視姦されながら、手マンまでされるってこと? やばいやばいやばいやばい――でもヒクヒクを止めたら、またペチンってされちゃうし、私はもう普通に心では号泣していた。
    「あっ、あふぅっ、んんんんぅぅぅぅ……あっ、はぁ……はぁ……あっ、ふっ、んくっ、かっ、ひあぁっ、あぁ……!」
     指が出入りしてきて、気持ち良くて、快感でヒクヒクを忘れてしまったら、やっぱりペチンて一撃が飛んできて、心の号泣が止まらない。
     小一時間くらいは視姦されたし、何回かイカされた上に、やっぱり何度かヒクヒクを忘れたせいで、ペチペチ叩かれもし続けた。
    
         ***
    
     家にいる私は、どうしてこんなにオナニーしたい気分になるのかわからない。
     ずっとムラムラしていて、勉強にもお風呂にも、晩御飯にだって集中できなくて、どんな事柄にも気が散る私は、パジャマズボンを脱ぎ捨てて、パンツまで投げ捨ててオナニーの快感にありついていた。
     妄想の内容はお尻の穴を視姦されること。
     下半身丸出しの四つん這いで、お尻だけ高くなるように、顔は枕にくっつけて、それで右手でアソコを弄る。肛門括約筋に力を入れ、お尻の穴をヒクヒクと動かして、恥ずかしい部分をジロジロと眺め尽くされる――っていう妄想にどっぷりハマった。
     息がかかってくるほど、男の顔がお尻に接近してきていて、冗談じゃないくらい間近で私の肛門を視姦している。私がヒクヒク動かすのを忘れると、そのたびにペチって、お尻を叩いて来るせいで、アナル運動をやめることが出来ないのだ。
     なんでこんな妄想してんだか、自分でもわかんない――じぃぃぃって、視線が肛門に突き刺さり、痛いくらいに視姦してくることが、どうも興奮してしまう。こんなシチュエーションを思いつくきっかけの作品だの、AVの情報を見た覚えはないというのに、私の頭の中にはこんな変態チックなプレイが存在したのか……。
     お尻を撫で回したり、揉みまくってくる想像をしたり、アソコの穴に指を入れられるイメージを膨らませると、物凄くリアルな想像がよぎってきた。本当は忘れているだけで、ついさっき体験したばかりみたいに、肌に残った余韻が復活してくる。
     どんだけマゾなんだろ。
     私……。
     この妄想で、何回もイっちゃった……。
    
    
    
    


     
     
     


  • 第1話「羞恥の写真撮影」

    目次 次の話

    
    
    
     私の通う学校は研究機関と契約を結んでいるらしい。
     新開発の機械だとか、薬の実験台として生徒を使い、学校から使用レポートを獲得しているなんて話だ。実験というと怖い響きがするけども、そういうものは危険性の検査がされ、万が一にもおかしな障害が残らないように徹底されているんだとか。
     で、『ブレインリング』ってやつがある。
     高校の全生徒に義務付けられている銀の首輪で、日常生活を送る個人の脳波を取得できるものらしい。装着時間は登校してから放課後の学校を出る時間まで、自分専用のロッカーを開いてすぐに着けたあと、帰る前には必ず外す。
     非情に不思議なんだけど、首輪を着け忘れたまま教室に入って注意されたり、逆に外し忘れてそのまま帰ってしまうケースが――一切ないらしい。
     普通、何百人も生徒がいたら、年に一度や二度とか、多ければもう少しあってもいいんじゃないかという出来事な気もするけど、不思議とそういうことは起きないで、誰もが規則的に着脱を守っている。
     もっと不思議なのは、たまに記憶が消えていることだ。
     今日は何かの実験に協力したはずで、そのために授業時間を潰したり、放課後に残るように言われたのに、学校を出てみれば自分が具体的に何に協力したのか思い出せない。朝の登校時間に首輪を着けて、まるでスイッチが入ったみたいに記憶が復活して、ああそういえばあんなことをしていたなと、そんな思い出し方をすることが日常的にある。
     よく考えたら不気味では?
     って思うけど、どうやら脳に影響を与える実験のせいらしく、極めて限定的な記憶喪失やきっかけを介する記憶の復活は、珍しくも何ともないらしい――そう言われると、何だか本当に普通のことの気がしてきて、頭のどこかでは不気味なことが起きているとわかっているのに、私は何故だか一度も学校の外でそんな話をしたことがないし、ましてネットに書き込んだこともない。
     今日は何か学校で予定があるはずで、登校電車に乗るあいだ、私は何も思い出せずに少しだけ悩んでいたが、どうせ思い出せるだろうと思って、そのうち気にせず電車を降り、いつも通りに登校していた。
     で、誰もがロッカーに置いているブレインリング。
     これを着けると――やっぱり! 思い出した!
    
     今日は写真撮影だ。
    
     ピッピッピッピッピッピッピッ――。
    
     ブレインリングの電子音が鳴っている。
     たぶん、装着している本人にしか聞こえないくらい、とても小さい音だ。
     ピッピッピッ――と、秒刻みのリズムで鳴るのに合わせ、私の身体が熱くなり始める。芯からじわじわと、指先にまで熱っぽいモヤモヤが広がってる感覚は……何だか、何をしたわけでもないのに気持ちいい。触れてもいないのに乳首が硬くなってきて、ブラジャーの内側で当たり方がかすかに変わり、ほんの数ミリか1センチくらいだと思うけど、カップを押し返している感じがした。
     下腹部がきゅっと締まって、アソコの筋肉にヒクヒクと力が入る。火照ったせいか、やけに汗ばみ、きっとパンツは夏場のTシャツみたくしっとりとし始めている。
     ああ、そういえば……。
     このブレインリングって、感情指数をある程度操作できるらしい。怒りっぽくしたり、涙もろくすることで、小さなことでキレたり、そこまで泣ける映画じゃないのに涙を流す。そこまで恥ずかしくないのに――顔が赤らむ。
     こうなると、今日はスカートを短くしていられない。
     元々ね、思いっきりミニにしている人を見かけると、さすがにパンツを人に見られる可能性が高そうで、よくやるなーと思っていた。私には太ももを丸出しにする勇気はない。かといって、丈を長くしすぎるのも違う。膝より何センチか高くして、少しは太ももを出していたけど、今日の私はすぐに丈を調整して、膝に触れるかどうかの長さに変えた。
     ……何故だ。
     普段より何センチか長いのに、まだ落ち着かない。っていうか、冷静に考えれば、スカートを穿いているって時点で、外で突風でも吹けば捲れるし、スカート捲りをやる男子がいたら見られるし、転んだり何なりして、恥ずかしいアクシデントが起こる可能性が付きまとう。
     マジで、どうして私はスカートなんて穿いてるんだ?
     いや、いやいや、制服だからじゃん。
     でも今の気分はちょっと、ガードの固いジーパンとかにしておきたい。私服の高校じゃないから、できないけどさ。
     はぁ……。
     こんな状態で写真撮影って本当に?
     どうせ脳に信号を送るなら、全裸で堂々と出歩く勇気でもくれればいいのに。
    
         ***
    
     この学校で行う写真撮影では裸を撮る。
     身体測定で身長や体重を測ったり、体力測定で記録を取るのと同じように、私達の高校では生徒の詳細な個人情報ファイルを作成するため、胸やお尻の写真を撮影するのだ。
     うわぁ……。
     って、憂鬱な青い顔で朝の授業時間を過ごした後、写真撮影の時間を迎えると、クラス全員にパンツ一枚だけになるよう指示が出た。さすがに男子は別校舎に移されるけど、男の先生は普通にいるし、女同士でもあまり裸を堂々と見せ合ったりはしないから、正直に言って友達とお互いの裸を見ることだって気恥ずかしい。
     女子全員、パンツ一枚。
     窓に背中を向けて、廊下に出て並んでいる。
    「気をつけ!」
     担任の先生の一言で、私達は同時に両手を下ろし、背筋をピンと伸ばしていた。せめて乳房だけでも、腕のクロスをぎゅーっと固めて隠していたい。小さな希望でさえも奪われて、しかも先生は私達一人一人の裸を順番にジロジロ見る。
    「青と白の縞々、ロケット型。ピンク色、お椀型。白の無地、お椀。同じく白無地、ロケット型が垂れている。赤、半球ドーム型。青、厚みのあるお皿。黒、半球――」
     記録用紙を片手にして、ボールペンを走らせながら、女子のパンツとオッパイについて書き取っている。
    「久保安奈」
     私の順番が回って来て、先生は私の正面に立ち止まる。
     カァァァっと、私は熱くなっていた。クラっと頭が揺れるくらい、顔中の皮膚がグツグツと煮え立つ私は、顔から火が出る現象は存在すると本気で信じた。反射的に腕で隠そうとしかけている私がいた。
    「デカいなぁ?」
     ボールペンで乳首をつつき、人のオッパイを存分に鑑賞してくる目つきに、私はきちんと耐えなくてはならない。
     先生が生徒の発育状況を把握するのは当然だ。
     この高校は研究機関と契約している。生徒の状況把握が研究に貢献する。性教育の面でも他校とは異なる方針を持っているから、ここではここのルールに従わないと、内申点に響いて卒業できない。
    「パンパンに張ったメロンサイズ。いや、さすがにサッカーボールより小さいから、ミニメロンとでも書いておこうか? 形状は半球ドーム。正面に向かって突っ張って、乳首も立てて垂れようとしない。かなりエロいオッパイだ」
     エロいことを保障され、正直困る。
     それにオッパイをここまで品評されるって、こんなに褒められていても、物凄い罰ゲームを受けている気分になる。罰ゲームっていうかもう刑罰だ。何も悪いことしてないのに、どうしてこんな目にって、正直思ってしまう。
    「白でレース付き。サイドリボン有り。アソコ、濡れている」
    「――えっ!?」
     ぬ、濡れ……え……え……?
     わた、わたっ、私の――? え、えっ、だってパンツの上から――いや、そんなだって、蒸れてる感じはあったけど! 濡れてるって!? そ、そんな! だって! 違います! 違います! 汗かいただけで!
     そういう濡れ方は決して……。
    「さーて、じゃあカメラマンがお前ら撮るから、順番が回って来たら、しっかしと挨拶をするように」
     ……なにどうでもいいみたいに次に移ってんの?
     でも、アソコ濡れてるとか、そんな話を引っ張られても困るけど、冗談? 冗談かな? 少しセクハラでからかっただけ? でなきゃ、本当にパンツの上から見ても濡れてるのがわかるってことだし。
     ないないない! そりゃない! からかわれたんだ!
     あは、ははは……。
     ほ、ほ、本気にすることないよね……別に……。
    
    「よろしくお願いします」
     パシャ!
    
     カメラマンがシャッターの音を鳴らしている。
     直立不動の足まで全身。胸から顔まで。顔のみとオッパイのみの種類を合わせて、正面方向だけでも四枚の写真を撮る。今はまだパンツを穿いているけど、お尻を撮るには最後の一枚まで脱ぐことになるし、アソコと肛門だって撮るらしいし……。
     横目でチラチラ見ていたら、脱いだパンツは担任が預かっていた。
    
    「あ、ありがとうございました……」
    「よし、じゃあ俺が穿かせてやる」
    
     撮影が終わった後の返却は、先生にわざわざ穿かせてもらう形式らしい。パンツを人に穿かせてもらうって、一体何歳児ぶりの話なの。幼稚園じゃあるまいし、そんなお世話をしてもらうのはちょっと……。
     一人ずつ撮影が終わっていく。
    「よろしくお願いします」
     って言葉を女子が言うまで、カメラマンはシャッターを押して来ない。
    「ありがとうございました」
     とお礼を言うまで、脱いだパンツは返却されない。
     だから渋ったり躊躇う子がいたら、その分だけ時間がかかることになる。
     ………………
     …………
     ……
     わ、私の番だ…………。
    
    「久保杏奈です。よろしくお願いします」
    
     こんな裸の状態で、目の前にカメラを持つ男がいたら、全身が凄く強張る。銃で撃ち殺される順番を待っていたわけでもないのに、物凄い緊張が私の胸を締め付ける。見えない力に喉を圧迫されて、窒息しそうな苦しさに肩がモゾモゾと動いて悶えてしまう。
     カメラマンは一歩二歩と距離感を調整して、最初は頭から爪先までを映した全身を撮るんだと思う。
    
     ――パシャ!
    
     全身が破裂して弾け飛んだ――気がした。
     裸に向けてシャッターを押されるって、こんなに遠くまで心臓が飛び出ていって、自分が無事に生きているのは心配になるほどのものだったのか。
    
     じわぁぁぁぁ……。
    
     いやっ、ちょ! ちょっと!
     ぬ、濡れ……濡れ……!
     なんか湿ってきたせいで風が冷たいし、これもう私は確実に――まずいよ、こんなの隠しようがないよっ、待ってこれじゃあ――。
    
     パシャ! パシャ! パシャ!
    
    「はい。右向いて?」
     パシャ!
    
    「今度は左」
     パシャ!
    
     乳房を真横から写したものも撮り、いよいよ私はパンツを脱ぐことになる。
     や、やだぁ……。
     パンツを見せることだって辛いのに、完全な素っ裸だなんて恐ろしすぎる。というか濡れたパンツを先生に渡すことになる。意識しちゃうと、余計にヒクヒクと力が入って、自分が愛液を出しているって、より実感することになる。
    「ほら、早くしなさい」
     いつまでも時間をかければ、怒られるのは私の方だ。
     うっ、うぅ……脱ぐしかない……観念するしか……あぁ……クロッチのところが、濡れてるせいでだいぶべったり張り付いてる。ええっと、右と左に指を差し込んで、下げるのはやっぱり躊躇う。
     手が止まったまま、石像のごとく静止したがる私がいるけど、そうやって時間を稼いだところで、運命が変わってくれるわけでもなく、だったら私は諦めて脱ぎ始める。かなりべったり貼ってるから、ゴムの部分を下げても、クロッチがアソコから離れない。
     あぁ……パンツが裏返しになって、三角形の向きが逆転するぅ……。
     やっとクロッチが離れ初めて、糊を剥がすみたいに、パンツとアソコのあいだでちょっとだけ糸を引いて……。
    
    「ははっ、ぐっしょりだな」
    
     若干笑いやがる。
     確かに触ったわけでもないのにこんなに濡れて、はしたないことこの上ないけど、濡れた部分をまじまじ見つめて、指で確かめることまでしなくても、こっちはパンツを手渡すだけでも拷問に耐えるぐらいの精神力を振り絞っているというのに……。
    
     パシャ!
     背筋を伸ばした背面の直立写真。
    
     パシャ!
     お尻をアップにしての写真。
    
    「だいぶ濡れてるから、フラッシュ入れたら輝きをまとった感じに撮れちゃうねぇ?」
     カメラマンは恨みしか沸かない言葉を吐いてきた。
    
     お尻の真後ろにカメラがあったり、アソコにレンズが接近してくる気持ちといったらない。人の日記を勝手に読み上げて発表するより、ずっとえげつない仕打ちを私は受けているんじゃないだろうか。
    
    「次、お尻の穴いこっか」
    
     ここでは自分の足首を手で掴み、お尻だけが高らかとなるポーズを取る。こうすると、お尻の割れ目が広がるから、ポーズだけで肛門が丸見えというわけだ。
     嫌というほど気配に敏感になってきて、肛門のドアップを撮るために、かなりのところまでレンズが近づいているのが如実にわかる。
     パシャ! パシャ!
     あぁっ、もうなんで、お尻の穴の写真撮られてるとか……。
    「ぎゅぅーって力を入れてごらん?」
     な、なにそれ、そんなこと――嫌すぎる嫌すぎる嫌すぎる! 今からでも飛び降りたくなるんですけどもっ!
    「いいよ? その皺の引き締まった感じ」
     パシャ!
     なんでこの人、顔が引き締まってるみたく褒めてくんの……。
    「動画も撮るからね。きゅっ、きゅっ、きゅっ、っていってみようか」
     ああっ、デジタル……フィルムじゃないからモード切替で簡単に動画撮影に……お尻の穴を締めたり緩めたりする映像って、私は前世でよっぽどの極悪人だったんですか? その罰が今になって下されているんですか?
     本当に嫌すぎる……あぁ嫌ぁ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁ……。
    「いいよ? いい感じにヒクヒクしてるねぇ? その肛門括約筋のリズミカルな感じがしっかり映っているからね?」
     もう死にたい……。
     でも、まだアソコの中身を開いて撮る写真が……あぁ……。
     最後の写真は先生が女子生徒の身体を持ち上げて、M字開脚の形に浮かせてから、女子が自分でアソコを開いてみせるものだ。だから私の背中に先生の上半身が密着して、男の腕力で開かれているから脚を閉じたくても閉じられない。
    「ワレメから水滴の玉が浮かんでるねぇ?」
     ――うぐっ! し、指摘するな!
    「お尻の割れ目を伝って垂れていくよ!」
     や、やめろ……。
     今の私には言葉だって拷問になる……。
    「じゃあ、撮るねぇ?」
     パシャ!
     明らかにM字開脚のポーズを丸ごと移された。
    「はい、中身開いてねぇ?」
     そして、私は自分の指でアソコを開き、接写の距離まで迫るレンズに向け、桃色の肉ヒダを晒さなくてはいけない。
     パシャ!
    「お、膣口のところがシャッターに合わせてヒクついたね?」
     パシャ!
     パシャ!
    「ま、次の子もいるから、このくらいで」
     軽く一瞬だけど、ついでに遊ばれまでしてしまった。
     最後には先生の手でパンツを穿かせてもらう体験をして、人の手によって股のところまで上がる布地が、ぴったりと私のアソコに触れ、それからお尻を包み込んだ。穿かせたあとも、シワを伸ばすためにゴムを引っ張り、調整して、後ろを向かされた挙句に――よし、いいぞ! と、軽くペチンと叩かれた。
     お尻、叩かれた……。
     嫌だ……こんなに嫌すぎる日ってあるだろうか。嫌すぎて死にそうなことってあるだろうか。どうしてこんな体験をさせられて、それで濡れなきゃいけないのか、もう全然わからない。せめて今日のことは早く忘れたい……。
    
    「で、今日はなにしたっけ?」
    「んー。なんかの写真を撮ったはずだけど」
    「ま、いっか。どうせ明日には思い出すでしょ」
    「それもそっか」
    「じゃあ、私はあっちだから」
    「うん。じゃーねー」
    
     校舎の外へ出て行く生徒達に、この日の記憶は一切ない。
     だが、翌日の登校でブレインリングを装着すれば、これらは全て蘇るのだ。
    
    
    


     
     
     


  • 町に出入りの検問所 リーゼ陵辱

    
    
    
     ギルド登録所で行われる手続きでは、性別や生年月日といったプロフィールの記入はもちろんのこと、さらには男女を問うことなく全裸となり、全身の写真を撮影する。カメラと呼ばれる魔法道具で取り込んだ絵は、個人登録データの作成に使われ、登録した人間の情報は電波水晶によって各地に送信されるのだ。
     ギルドカードを持つ冒険者は、あらゆる国や町に出入りする際、検問所にカードを提示しなければならない。
     カードを受け取った検問兵は、電波水晶からデータを取り出し、冒険者の肉体を写真と照合する取り決めである。
     つまり、全裸にして、撮った写真と見比べる。
     看破魔法で嘘を見抜くだけでは物足りず、そこまで厳しくした原因は、擬態能力を持つ魔物の増加や変化魔法の悪用にある。特に看破魔法が効かずに、嘘をつき通せる手合いは厄介で、検問所でルール改正がなされる前は、随分と魔物や悪人の通行を許してしまった。
     しかし、写真照合の取り入れにより、これは激減する。
     何故なら、擬態や変化では、本人が知っている姿にしか化けられない。顔だけを知っていて体格を知らない相手に化ける場合、おっぱいのサイズが本物とは異なってしまう。服の下に隠れたアザを再現できない。といったことが起こるのだ。
     まして肛門のシワの数など把握する機会はないものだから、尻の穴を見れば偽物と本物の区別は一発で可能である。。
     もちろん、戦闘に負けるなり、捕まるなりした冒険者が、裸をじっくりと観察されてしまえば、肛門の形に至るまで正確な変化が行える。肉体関係の男女なら、服の下に隠れた身体敵特徴を知ることができるから、女を騙くらかす男や、ハニートラップ的な手口がないでもない。
     絶対完璧、というわけではない。
     看破魔法で嘘を見抜く手もあるが、対看破の魔法を身につけた奴には通用しない。
     しかし、たとえ抜け道を通っていくプロが存在しても、過去のザル状態に比べれば、水準は驚くほど上がっている。恐るべき確立で魔物の擬態を平和な町に通していた過去の現状は、おかげで可愛いものになったわけである。
     今を上回る優れた身体検査方法が登場しない限り、現状のやり方が続くだろう。
     そして、そんな検問所での身体検査が俺の仕事であった。
    
    「いいオッパイだな」
    
     俺は全裸となった女剣士の前に立ち、直立不動を保つ姿を、手元のページに載った写真と見比べる。
     ここで使うのは『登録情報の書』だ。
     この書物は普段は白紙のページしかないのだが、電波水晶が受信した情報を取り込むと、直ちに写真や文章が現れる。そこに基本プロフィールやギルドでの評定を記す項目と、それから裸を撮るだけ撮った裸体続きのページに差し掛かる。
     薄い胸だが、ぷっくりと控え目に膨らんだ形が可愛いもので、だいぶ好みだ。
     俺は乳房をしばらく眺め、写真との比較に相違がないことを確かめる。乳首の大きさや色合いも、特に問題はない。股間のアップもあるが、毛の具合もビラのハミ出た形も一致。
    「肛門を見せろ」
     女剣士は何も喋らず、ただ粛々と背中を向け、腰を折り曲げていた。
     自分で自分の足首を掴むポーズを取らせれば、尻の割れ目は左右に広がり、肛門は自動的に丸見えになる。俺は遠慮なく手を乗せて、存分に撫で回してやりながら、放射状の皺の窄まりを観察した。
     皺の本数に、色合いも一致。
     看破魔法を使った質疑応答でも問題はなく、この女剣士は善良な冒険者であると、この時点でとっくにわかりきっていた。
     普通はここで服を着せ、そのまま町に入れるのだが、どうも最近の権力者様は、俺達に甘い汁を吸わせてくれるらしい。検問兵にいい目を見せ、それがどんな政治的な意味合いを持つのかは知らないが、吸えるものは吸わせてもらう。
    「なお、ここで脱いだ衣服、持ち物、武器や防具など装備一式は、検問審査の手数料として一時的に押収され、所定の業務を済ませたのちに返還ということになっている」
    「……そう。噂通りね」
    「なに、長くとも一時間か二時間。中には三時間って奴もいるが、仕事さえ済めばアンタは無事に通れるよ。何なら温かいベッドに空きがある、一晩休んで出発してもいい」
    「丁重なおもてなしをありがとう。その手をどけてくれる?」
    「はいはい」
     俺は尻から手を引くが、ついでのようにペチンと、一発ばかり叩いてやると、姿勢を戻した女剣士は、肩越しに露骨に睨んできた。恨めしい視線の下では、頬が熱く燃えたぎり、顔から火が出るとはこのことかと言いたくなるほどの恥じらいに歪んでいた。
     この瞬間を待ちに待ち望んでいた俺の部下は、俺が目で許可を出している様子を見るに、女剣士を別室に連れて行く。
     どんなお仕事かは、想像にでも任せよう。
    
     次も女剣士だった。
    
     リーゼという名で、茶髪をゴムで束ねた彼女は、腰のベルトを取り外し、背中にかけていた弓矢もテーブルに並べていく。グローブに、革の胸当てに、次々に装備を外していき、シャツとスカートを残すのみとなったリーゼは脱衣を始める。
     ここの実態を知っている顔だった。
     そして、この実態を作り上げた権力者も、冒険者がここを利用せざるを得ないことをわかってやっている。
     俺が務めるこの検問所を出入りしなければ、冒険者はロクに稼げない。高額な依頼の現場は、そのことごとくがここを越えた先で、逆にギルド本部付近は平和過ぎて仕事がない。ないことはないが、稼ぎの少ない雑魚モンスター狩りの仕事を大勢で奪い合うより、魔物が多く生息している危険地帯へ出向いた方がいい。
     そして、危険な地域へ続く場所には検問があるのが普通のことで、他の村や町へ行ったところで変わらない。検問の設置がされていない村などは、自衛しなければ定期的に魔物が襲撃に現れ、自衛しきれなければ滅ぼされる。
     検問を越えなければ、大きな仕事はほとんどない。
     徒歩で半日程度の遠出せざるを得ず、必然的にここを通過してく必要があるのだ。
     身体検査を嫌って迂回して行こうにも、俺の地域の場合は、険しい剣山と、そこに住まう巨竜の群れが遠回りを阻止している。空でも飛べれば話は別だが、飛べたとしても巨竜とやり合う覚悟がいる。
     冒険者にでもなって、剣や弓の腕前で稼ぐしかない連中にとって、検問所の出入りは死活問題である。たとえ実態をわかっていても、嫌でも通らざるを得ないところに、権力者はこういう実態を作り出したのだ。
     もう何度でも出入りしているベテランなら、実態に
    噛みしつつも、そうそう恥じらうことなく脱いでしまい、中にはあっけからんとした顔でお勤めをこなす奴もいる。逆に初めて通る者、いつまでも羞恥心の強い者は、なかなかに躊躇いの宿った手つきでシャツを上げ、下着を脱ぐのだ。
     余談だが、男の通行に関しては、痴女か同性愛者が審査を行う。痴女を相手にお勤めを果たせるのなら運の良いもので、そちらの気もないのに男同士など苦行もいいところだろう。もちろん俺も苦行は真っ平だ。
     リーゼは初めての通行だった。
     だから、恥ずかしい体験をしたのはギルド登録時の写真撮影のみで、オッパイどころか肛門までパシャパシャと撮られる気持ちはどんなものであっただろう。
     シャツを脱ぎ、スカートも脱いだ純白の下着姿で、リーゼは太ももにナイフを巻き付け隠し持っていた。
    「なるほどな」
     書類通りだ。
     脱いだブーツを改めれば、こちらにもナイフが隠れていた。盗賊や他の悪質冒険者を警戒して、見えない場所にも武器を潜ませているわけだ。戦闘で剣を失うなり、宝箱をこじ開けるなり、まあ色々と汎用性はあるだろう。
     こうした隠し持つ武器に関しても、書類への記入を行わせ、俺や他の検問兵で検める。だから身体検査で危険物が出てきても、申告通りのものなら問題にはならない。
     テーブルに並んだ剣、弓矢、ナイフの本数は申請通りだ。
    「確認した。下着も脱げ」
    「ええ、脱げばいいんでしょう? ついでに余計なお勤めを免除する方法は?」
    「金だな」
    「よくわかったわ。いい仕事ね」
    「ああ、いい仕事だ」
     下着まではどうにか平気でいられたリーゼの様子も、ブラジャーを外したところで朱色へと変わっていき、ショーツを脱げばしっかりと顔は赤らみきっていた。
     さて、あとは『登録情報の書』に電波水晶の中にある情報を取り込んで、ページの中に浮かび上がる裸体と比較する。
     乳首、問題なし。
     乳房の大きさも写真と一致、毛の生え具合については、写真の方が濃く、現在は剃ってあるものの、毛の具合くらいはいいだろう。根本的な毛質が違っていれば問題だが、そんなこともなさそうだ。
    「見ろ、お前の尻の穴だ」
    「――っ!」
     肛門をアップにしたページを見せつけると、リーゼは口元を歪ませ、引き攣って、悔しげに拳を握り締める。
    「見比べてやる。後ろを向いて、肛門が見えるようにしろ」
    「……くっ」
     リーゼは俺に背中を向け、豊満な尻の割れ目が開ける姿勢へと、腰を二つに折り畳んだ前屈の、自分で自分の足首を掴んだポーズを取る。開けて見える肛門の、灰色に黒ずんだ皺の窄まりをじっくりと観察した。
     ページに浮かぶ肛門と、パっと見た限りは一致している。
     皺の数を数えても一致、色合いは言うまでもない。
     作業に慣れた俺は、肛門の一致も素早く確認できる。細かな皺の具合から本数まで、数秒で判別がつくまでになっているが、せっかくの上玉である。ロクに触りもせずに検査を終わる手などない。
     俺はぺたりと、尻に手を乗せてやり、意味もなく撫で回す。
     いい感触だ。
     スベスベしていて、いつまでも撫でていたくなる。
    「うっ、あの……」
    「誤判定があったらまずいからな。慎重にやらせてもらう」
    「どうせ触ってるだけ……」
    「触るだけ? んなわけない、ここをじっくりと確かめてんだよ」
     俺は皺の窄まりをつついてやり、尻がぴくりと、穴もヒクっと反応する。
     さらには、いかに肛門をよーく観察しているか、肌でしっかりと感じてもらうため、俺は息がかかる距離まで顔を近づけ、至近距離から執拗に視姦した。
    「ど、どうせ済んでるんでしょ……!」
     声が震えていた。
    「そうとも限らない。間違いは誰にでもあるからな。皺の本数が合っていたか、確認のためにもう一度数え直さないとな」
    「最悪…………」
     耐え忍んでいることだろうリーゼの尻穴に、俺は指の腹を押し込みグニグニと、凝りでもほぐさんばかりに揉んでやる。
    「最悪ついでに、こことアソコなら、どっちをジロジロ見られるのが恥ずかしい?」
    「どっちも同じでしょ…………」
    「そうか。ところで、登録情報では処女とあるが、今でも処女のままか?」
    「……そうだけど」
    「なら、性器の穴の形も確かめないとなぁ?」
    「絶対もう十分でしょ」
     震えた声には、どことなく怒りさえ籠もっているが、激情に任せて暴れでもすれば、自分が犯罪者として扱われ、逮捕されるとわかっているのだろう。冷静に自分を抑え、何とか耐えている女は実にそそる。
    「テーブルで仰向けだ。アソコがよく見えるようにM字開脚になれ」
    「本当に……」
     テーブルに上がり、開脚を披露するリーゼは、俺とは目も合わせられないご様子で、顔を背けた赤い耳だけをこちらに向ける。
    「なるほどな」
     俺はさっそく指で開いて覗き込み、桃色の肉ヒダにある膣口を拝んでやる。やはり『登録情報の書』とは色合いも何もかも一致しており、穴の周りに張った白っぽいものが処女膜か。
    「これで……さすがに検査は終わったでしょう……!」
    「検査はな」
    「うぅ……それで、お仕事ってわけ……」
    「わかってるじゃねーか。話が早い」
     俺はベルトを外し、ズボンの中から滾った逸物を解き放つ。
     なに、避妊魔法は使ってやる。
    「今は順番待ちがいないからな。俺が相手してやるよ」
     こちらに目も向けようとしない、耳の染まり具合が目立った横顔を眺めつつ、俺は亀頭を押しつけ腰を沈める。
     いい具合じゃないか。
     何と例えるべきか、熱々に熱せられたスライムかパン生地あたりで、潰れるわけもないのに肉棒を強く圧して、潰そうとしてくるような強い締め付けと、ヒクつく蠢きが至福の快感を与えてくる。
    「最悪…………」
     安心しろ、避妊魔法は使ってやる。
     というわけだから、遠慮なく中出しさせてもらう。
    「うっ、ぐぅ……くっ、ふぅ…………」
     初めての痛みに、少しばかり苦しそうだ。
     穴の大きさに合わない俺の太さで、挿入によって裂けた部分から、いくらかの出血をしているわけである。痛みには個人差があるものだが、リーゼは痛がっているらしい。こんな場所で初体験を済ませ、さらには痛いだなんて、俺がヤっといてあれだが気の毒な話である。
     親切な俺は治療呪文で裂傷を直ちに直し、さらには感度上昇の魔法までかけ、初体験でも楽しめるようにしてやった。
    「よっ、余計な――真似……!」
    「ははっ、せめて気持ちいい方がいいだろう?」
     俺はせっせと腰を動かした。
     呪文一つで、あったはずの痛みが消え、スイッチでも入れ替えたように快楽に翻弄されるリーゼの有様は傑作だ。本当に溢れる快感に、明らかに戸惑った顔をして、慌てたように口をパクパクさせながら、歯を食い縛って声を抑えるのだ。
    「んっ! んぁぁ……ぬっ、うぅ……んぅ………………!」
     まるで苦痛に耐えるような顔で、喘ぎ声を我慢していた。
     打ちつけるたびにギシギシと、テーブルの板と脚が軋んだ音を立て、リーゼの胸も上下にぷるぷると揺れている。
    「んっ、ぐぅ……んぅ……ぬっ、んぅ……んぅ…………」
     よほど声だけは抑えたいのか。
     その我慢している表情が最高だと、本人は気づいていないのか。
    「唇をよこせ」
     確かキスも未経験と、登録情報にはあったのだが、俺は遠慮なくリーゼの顔を両手に掴み、問答無用で顔を近づける。キスを拒んで左右に暴れ、唇だけでも守ろうとする耳元に、逆らうと牢獄行きであることを囁けば、簡単に大人しくなっていた。
    「本当に……最低………………」
     涙ぐんだ目で、俺を睨んでいた。
     そんな睨み顔に向け、唇を一気に覆い被せてファーストキスを奪い取る。頬張り、舌をねじ込み、俺の口内にリーゼの呼気が入り込む。鼻息も当たって来る。伸ばした舌を踊らせれば、歯の硬い感触と、歯茎に触れた感じから、さらにはリーゼの舌とも絡み合った。
     口を離すと、唾液の糸が引いていた。
    「……ご満足?」
     さらに鋭く、俺を睨んでいた。
    「ああ、その顔が快感でヒイヒイいったら、もっと満足するな」
    「いわないから」
    「そうか? ま、試してみるさ」
     俺は固定魔法の呪文を唱え、リーゼの顔をこちら向きに固定した。固定といっても、加減によって数ミリから数センチの稼働は可能だが、基本的な方向から完全に顔を背けることはできなくなる。
     俺とリーゼの、睨めっこが始まった。
    
     ずるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……………………。
    
     じっくりと、時間をかけて腰を交代させていく。
     ぬるり、ぬるりと、俺の肉棒に密着している膣壁は、この股から少しずつ遠ざかる。やがて亀頭だけがはまった状態になり、俺はここから前進させた。
    
     ずにゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……………………。
    
     閉じ合わさった壁の狭間に、亀頭の切っ先を進めて割り開く。
     こんな時間をたっぷり続けて、急に激しくパンパンと、俺の肉棒に慣れきった膣壁を大胆に抉り抜く。
    「んっ! んっ、んぅ――んぁ……うっ、んぅ……んぃっ、あっ、くぅ…………!」
    「我慢するのも大変だなぁ?」
    「くぅっ、んっ! くっ、んんっ、ううっ、ん、ん!」
     睨み続ける目つきは立派でも、下の口はだらしないヨダレを撒き散らし、ピストンで密着させた俺の股には、陰毛にはリーゼの愛液がたっぷりと付着していた。テーブルも汚れ、腰振りだけで卑猥な水音も鳴っていた。
     しかし、続けていれば射精感も限界を迎えてくる。
     かれこれ、十分以上は責め立てても、結局は喘ぎ散らすことのないリーゼの中に、俺は堪えきれない射精を行った。
    
     ドクン!
    
     遠慮なく、中に放出した。
    「な……!」
    「避妊魔法はかけてやっただろ?」
    「そうだけど……!」
     それでも、膣内射精には慌てた顔になるものらしい。
    
     ドクっ、ドクン! ビュクン!
    
     わかっているはずだ。
     別に孕む心配はないというのに、それでもリーゼの焦燥に満ちた表情と、子宮に注がれたことへの不安の顔立ちが、孕んではいないかと切実に気にかける心境が見て取れた。条件反射というべきか、子宮の中に熱い液体が入っていると、そんな顔にもなるらしい。
    「最後までアヒアヒ言わなかったな。お前の勝ちだ」
    「……ふん。喜ぶもんでもないけどね」
    「勝者へのプレゼントとして、あと三回は注いでやる」
    「――は? えっ? ちょ!?」
     傑作だった。
     再びピストンを開始する直前の、いかにも慌てた「え? え?」とばかりの様子から、思い出したように歯を食い縛り、必死をこいた声の我慢に入る姿は、これほど楽しいものはない。
     三回と言いつつも、俺はあと四回も射精した。
     リーゼとのセックスにどれほどかけたかは数えていないが、一時間以上はしていただろう。通行人のいない、暇な時間帯の検問所とはそういうもので、暇なうちに楽しまなければ、行列を捌くときまで遊んでいる余裕はない。
     そう考えると、冒険者は何百人もの列を組んで押し寄せれば、こうした俺達の作る実態を回避出来そうだが、まあ無理だろうな。
     おっと、忘れてはいけないのが写真撮影と記録の更新だ。
     登録情報にあったキス未経験の欄を書き換え、処女だった膣口の写真の次のページに、新たな経験済みとなった穴の写真を挿入する。精液がこっぽりと溢れているバージョンと、指で書き出し、綺麗にしたバージョンで、二種類を用意しておいた。
     どんな気持ちだったことか。
     ヤられた挙げ句、ヤった後の穴も記録として撮影される。
     冒険で恐怖の魔物に囲まれるのと、今回の経験なら、果たしてどちらがマシだろう。さすがに残酷な死に方と天秤にかけたら、ここてちょっと気持ち良くなる方が良さそうだが、言葉の上では魔物の群れに喰われながら殺された方がマシだと言い出す手合いはいくらでもいるのかもしれない。
     リーゼはそれから、検問所を去って行く。
     元の町に戻る時、またここを通るわけなのだが、次はどうしてやろうか。
    
     おっと、来ないと思った次が来た。
     しかも上玉らしいが、俺は満足したばかりだ。
     さて、ならば誰に譲ってやろう。
    
    
    
    


     
     
     


  • 第7話「下須井との体験」

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     翌日から、神谷沙織は早速のように大河内ショウの元へ訪れ、今すぐにでも特訓を始めるつもりで動きやすいジャージに着替えていた。
     コーチの住む別荘は海の手前。
     大金持ちならではの大屋敷の窓辺からは、どこまでも広がる青い景色が美しく、また裏手には大きな山がそびえている。沙織はそんな豪奢な部屋に招かれ、そこでこれからの方針を告げられることになる。
    「まずは自分の敗北を認める必要がある」
     並行一番、ショウはそう言った。
    「敗北か……」
    「思うところはあるだろうが、言い訳をしたって意味はない」
    「……わかっている。それでどうする」
    「録画映像がある。まずは試合を振り返るんだ」
    「…………」
     沙織は閉口した。
     案内された部屋には大画面のテレビがあり、サイズでいえば体操マットや座布団数枚分には匹敵する。明かりを落として映画作品でも再生すれば、ちょっとした劇場気分が味わえることだろう。
     ショウが再生の準備を済ませ、それから二人は並んでソファに座る。リモコンによって画面がつくと、まず出てくるのは沙織自身が股を広げたあの場面だ。
    
     ――どうだ! 見ろぉ! これが神谷沙織の愛液よォ!
    
     映像の中にいる下須井は、鬼の首でも取ったように勝ち誇っている。指には沙織の愛液が絡みついており、あの恥辱が蘇るようで画面から目を背けてしまう。
    「神谷。しっかり見ろ」
     沙織は膝に置いた拳を震わせながら、苦しい思いで顔を持ち上げ、そこに映る自分自身の耳まで赤い表情に目をやった。あの時は指で顎を掴まれ、逸らしていた顔を強制的にカメラ向きにさせられたのだが、自分のしていた表情を見ると何も言えない。
     いかにも許して欲しそうな、これから泣いて命乞いをしてもおかしくない顔つきは、とても自分のものとは信じられない。
    え それに、あのリングで受けた屈辱はこれだけではない。
     沙織はあのあと、さらに酷い仕打ちを受け、その全てを実況され、丸ごと映像に収められてしまっている。
     四つん這いにさせられた。
     マットに顔を押し付けられて、あのときの沙織には、下須井が後ろでどんな顔をしていたのかは見えなかった。見たくもなかった。ただ尻だけを高くした姿勢で、情けなくも目を瞑り、震えながら耐えることしかできなかった。
     画面の中にいる下須井は、高らかに腕を振り上げている。
     そして――
    
     ――スパァァァン!
    
     叩いた。スパンキングだ。
     黒スパッツの中に響いた衝撃が、ヒリヒリとした痛みの記憶が蘇り、尻に意識をやった沙織は恐る恐るといった視線で隣を伺った。
     叩かれたときも最悪だったが、そんな自分の姿を別の誰かと一緒に鑑賞するなど、これは何の罰ゲームであろうか。
    
     ――パァン! パァン! パァン!
    
     無抵抗に平手を浴びる画面中の沙織は、マットに顔を埋め込み頭頂部をこちら側へ向けた姿勢で、尻は下須井側である。高い位置にあるスパッツ尻はよく映り、左右交互に打たれるたびに良い音を鳴らしている。
    『なんと無残! これが最強のクイーンの姿か!』
     改めて聞く実況の煽りも、勝てるのに勝てないことの歯がゆい気持ちを刺激して、余計に悔しくさせてくる。
    
     ――へへっ、次はケツを丸出しにしてやる。
    
     スパッツがずり下げられ、剥き出しの尻肌を鷲掴みにされた。その指が強く食い込む感触も、高らかに実況されたのも、全ての記憶が沙織の身体には残っている。さらに生尻にまでスパンキングを受け、ほんのりと手形がついたのは間違いない。
    『今度は開帳! 赤ん坊のように抱き上げたァァァァァァ!』
     さらには股を抱き上げて、M字開脚の形に持ち上げ、アソコと尻の穴まで大きく画面に映し出されてしまった。
    『これは! 本当に毛が生えていない! 剃ってあるぞぉぉぉぉぉ?』
     実況が羞恥を煽る。
    『ビラが少しもハミ出ていない綺麗な割れ目に、お尻の穴は綺麗なアスタリスクのような六本の皺で出来ている! 黒ずみの薄い清潔感には驚きだぁぁ!』
     性器の形や肛門について、こうも細かく指摘された画面中の沙織は、両手で顔を覆い隠し、その内側で表情を歪めている。これで全ての恥部についての説明が、大衆に向けて行われてしまったことになるのだ。
     恥ずかしさで気が狂いそうだったのは言うまでもないが、そんな自分自身の映像を確認するなど、あのリングで浴びた何千何万からの視姦が蘇り、肌中にあった視線の感触が今にも生々しく素肌を走る。
     尻の穴という自分では確認できない部位の情報さえ、大衆に知れ渡っているのだ。そう思うだけでむずかゆい。
    「有料チャンネルでは胸までは放送されたが、下半身はこの通り修正されている」
     ショウの言うように、大きな黒丸で肝心な部分は塗り潰していた。アダルトであればもっときわどく、無修正の性器を見せないだけのモザイクに留めただろうが、尻も腰も丸ごと隠す勢いの修正は、かなりの意味で卑猥さを激減させる。
     その方が、沙織にとってはマシではあるのだが……。
    「とはいえ、現場では全部丸見えだったようだからな。パシャパシャ撮った奴が何人いたか。流出した画像を悪いが俺も見させてもらった」
    「……そうか」
    「確かに綺麗なアスタリスクだ。確認するといい」
     と言ってショウは、テーブルにノートパソコンを立ち上げ、あらかじめ保存していた下腹部の画像を出す。
    「――うっ」
     沙織は思わず目を背けた。
    「ちゃんと見るんだ」
     そして、苦しい思いで目を向けた。
     大きく映し出される性器と肛門は、M字の股をアップにしているだけあって、卑猥なこと極まりない。尻穴は本当に『*』のマークと変わらない放射状で、皺の本数も一目で六本あるとわかりやすい。
     ――黒ずみの薄い清潔感には驚きだぁぁ!
     実況の雄たけびが頭の中で今一度再生され、若干桜色じみているのが、まさに驚きの清潔感を証明しているようでなんともいえない。
     初々しい十七歳のワレメも綺麗なもので、白くきめ細かい肌をぷっくりと膨らませた中央には、ぶれない直線が滑らかに通っている。
    
     ――さあお前ら! こいつのアソコの中身が見たいか!
    
     下須井は観客に対して呼びかける。
    
     ――うおぉぉぉおぉぉおおお!
    
     歓声がそれに答えた。
     下須井の手は下へ下へと、秘所のところへ映っていき、大切な乙女の園を容赦なくぱっくりと、左右に大きく開いてしまう。
    『これは環状処女膜だ!』
     実況は専門的な言葉を口にした。
    『知識ある方はご存知のように、処女膜とは膣口の内側にある粘膜のヒダ。必ずしも本当に膜が閉じているとは限らず、指が一本かあるいは数本入る小さな穴が初めからあるわけですが、沙織選手の処女穴は、まるで星型のように少しだけギザギザじみた丸穴です』
     ノートパソコンの画面を見るに、全くその通りの形状をしている上、愛液が泡立った残りまで付着している。
    『濡れたあとなのは言うまでもない!』
     改めての指摘が羞恥を煽り、沙織は頬を硬く強張らせた。
    「これが今のお前だ。わかるな?」
    「ふん。わかりたくもないがな」
    「どんな理由があろうと、ああなったものはなったんだ。お前が決して負けを知らずに育ったわけでないのは記録でわかるが、ここ数年以上は負けを知らない。この辺りで、もう一度敗北と向き合うことが、今のお前のスタートラインになる」
     あらかじめ下須井ヒロマサと連絡をつける手はずは整えてあり、もしも沙織が頷けば、今日中に呼び出せる予定だったという。決定的な瞬間を今から待つことになり、覚悟や緊張の中で沙織はシャワーを浴びていた。
     本当に強くなるには、それこそ生死に関わる危険な特訓はざらにある。軟弱な精神で世界は取れないとはその通りだが、まさかメンタルを試す方法が、自分を負かした男に抱かれろとなるとは想像すらしなかった。
     まずはそれだけ、泥水でも啜るほどのどん底を味わえということか。
     好きでもない男の身体を洗い、清潔にしておくだなんて、既に良い気持ちがしていない。生け贄にでも選ばれた気分だ。コーチもコーチで、自分で抱くのでなく他の男をわざわざ呼び、そいつのためにホテル代まで用意していた。
     そう、ここはラブホテル。
     シャワーを済ませた沙織は、指示通りにバスタオル一枚だけで出て行き、大河内ショウに扇情的な姿を見せる。
    「ほう?」
     品定めの視線に晒されて、途端に気恥ずかしくなった。
     谷間が一センチだけ覗けるタオル姿は、高身長のせいか丈の長さが頼りない。ほとんど丸出しになっている太ももから、ほんの数センチほど持ち上げるだけで、尻やらアソコやらが見え隠れするはずだ。
     腰のくびれたボディラインも、当然のように浮き出ている。
    「奴はもう来るのか」
    「ああ、まもなくだ。すぐに来るだろう」
     ソファにかけていたショウは、重い腰を持ち上げるように立ち上がり、ゆさゆさと肩を揺らして部屋を出る。きちんと相手をするようにとだけ言い残された沙織は、これからに対する色んな思いを抱えながら、ベッドに腰を沈めていた。
     初めての相手が、下須井ヒロマサで決定してしまった。そのどんよりと重くなる気持ちもさることながら、自分をあんな目に合わせた最低漢が、これからもっと調子に乗り、さも楽しげに微笑むのかと思うと煮えくり返る。
    (あんな奴が……あんな奴と私は…………)
     本当に泥水を啜ってみせる。頭から酒をかけられる。土下座をする。他に思いつきうる屈辱の方が、いくらでもマシな気がしてくる。
     やがてして、ドアノックの音が聞こえた。
    「よお、本当にいるのか? 神谷よぉ」
     下須井ヒロマサの声だ。
    「ああ、入れ」
    「へへっ、失礼するぜぇ?」
     あのゲスな微笑みを浮かべて、無遠慮に踏み込んできた。
    「本当に来たんだな」
    「来たぜぇ? 面白いこと考えるコーチもいたもんだなァ? 確かにお前は精神を鍛えないと、今まで調子に乗りすぎたからなァ?」
    「お前が人に鍛錬の必要を説くとはな」
    「鍛えてやれと、他でもないお前のコーチから頼まれちまったもんな。俺もはりきって調教してやるから、せいぜいお前も頑張れや」
     下須井は手荷物を置き、さっそくシャワーを浴びに行く。
     しばし待ち、楽しみで仕方のない顔の下須井を迎えると、柄でもない緊張感が押し寄せ全身が強張った。
    (今からするのか……)
     しかも、下須井と。
    「楽しかったなァ? この前の試合はよぉ」
     隣に座ってくる下須井は、遠慮もなしに沙織の肩に手を回し、しっかりと抱き寄せる。ゾッと鳥肌が広がって、沙織はブルっと身震いした。
    「何が楽しいものか」
     声も怒りと緊張で震えていた。
    「楽しかったじゃねえか。おっぱいもマンコも、尻の穴まで大衆に見てもらってよォ」
    「楽しかったのはお前だけだ」
    「いいんだぜ? 素直になれよ。未知の体験は女として最高だったろ?」
    「……なッ! ふざけるな!」
     沙織は本気で怒った。
     バトラーとしての厳しい修行を経て、沙織は生死の危険や怪我と隣り合わせの体験を今までしている。だから一般人とは比較にならない丈夫な精神を持ち合わせ、あんな目に遭っても一応のところは今まで通り生きている。
     だが、普通なら人生が終わったような絶望に苛まれ、飛び降りるなり引き篭もるなり、そういう反応があってもいい。いや、むしろそれが正常な反応ですらある。あれで完全には心が折れていないなど、常識的な視点からすれば怖いとすらいえる。
     もっとも、二人とも常識を逸脱した者同士だ。
     沙織から見れば下須井は雑魚だが、その下須井にしても一般男性が何人束でかかって勝てる相手でもない。
    「おいおい、楽しくもねェのに濡れる女がいるか?」
    「黙れ! 馬鹿にするな!」
    「っつってもな。これからヤる相手だしよ」
     下須井は沙織の頭を指で掴み、くいっと動かし自分を向かせる。
    「貴様ぁ……!」
    「いい顔だ。たっぷり楽しませてやるよ」
     手始めとばかりに下須井は唇を押し付けて、沙織のファーストキスを奪い取る。
    (……お、おぞましい!)
     腐敗した生ゴミでも食わされようとしているがごとく、沙織は全身全霊で唇を閉ざした。そんな沙織の硬い唇に対して、下須井の唇はリング状に大きく開き、沙織の唇をこれでもかというほど激しく貪る。
     下須井の舌先が、沙織の唇の合わせ目をべろべろ撫でる。自然と頭が後ろへ逃げようとしていくが、がっしりと後頭部を掴まれて、やっと息継ぎのために二つの口が離れた頃には、沙織の唇は唾液濡れの光沢を帯びていた。
    (私のファーストキスが……)
     戦いの道に生きすぎた沙織の乙女心は一般的な少女と比べて薄い。メンタルが強いので傷ついても変わらないという見方も可能だが、何にせよ初めてはきちんと恋人と、という常識的な夢想くらいは普通にあった。
     まして、相手は下須井なのだ。
    「ご馳走になったな。神谷よォ」
     それを奪った男の顔は、いかにも下品な表情を浮かべている。欲望の権化が何かを満たしてせせ笑っているそのものの表情だ。
    「ふん。もう少し上品に出来ないのか」
    「セックスに下品も上品もあるか?」
    「人としての品があれば抱き方も変わる。お前は最悪だ」
    「処女がよく言うぜ」
     指摘され、沙織は目を伏せた。
    「……黙れ」
    「へん。黙々とやってたって楽しくねーのさ。お前の方からも、俺にキスしろ」
    「誰がするものか」
     沙織は目を背けたまま、じっと壁でも見つめていた。
    「おい、コーチに言われなかったか? お前は俺に奉仕する義務があるんだよ」
    「…………」
    「あんまり言うことが聞けないようなら報告しろとも言われている。へへっ、なかなか厳しい奴のとこに行ったもんだな」
    「まあいいだろう。死にはしない」
     意を決するしかない沙織は、両手に下須井の顔を包んで見詰め合う。が、視線が絡んで気持ちのいいことは何もないので、さっさと目を瞑って唇を近づけようとするのだが、心理的な抵抗から沙織の顔はそう簡単には動かなかった。
     もしも汚物を食べろだとか、飲尿しろと言われたら、それを口に運ぶまでにはどれほどの心理的な労力がいるだろう。
     向こうからキスをされるのと、自分からするのでは違う。
     磁石の反発じみて後ろへ逃げようとする自分自身の頭を制し、無理をしてまで唇を接近させていく労力は、華奢な腕で重量物を持ち上げることにも匹敵する。そうまでしてキスを行う沙織の全身には、当たり前のように鳥肌が広がっていた。
    (……とんだ拷問だ)
     ただ重ねるだけのキスをしていると、下須井は何も言わずに口を半開きに、舌を極限まで伸ばしてくる。ディープキスを求めた露骨な合図だ。
    (やるしかない、か)
     どん底を味わえ、汚物を喰らえ。
     下須井マサヒロという男は、自分が糞味噌の代替品だということを知っているのか。はたまた別の言い方をされ、のこのこやって来たわけなのか。沙織には与り知らぬところだが、これはそういう試練なのだ。
    (やってやる。このぐらいは何ともない)
     沙織も舌を伸ばして絡め合った。
     唾液をたっぷりとまとった舌の感触が、そのまま沙織の舌にまとわりつく。さながら親鳥が子にエサを与えているような、啄ばむようなキスの応酬は、遠慮とたどたどしさばかりで、いかにも仕方なくやっているのがよくわかる。
     嫌いな食べ物を我慢するより、ずっとずっと嫌だ。
    「はむぅ……んぷぅ…………」
     それでも、沙織は自分の唇に下須井の舌を挟み、お互いの舌先を触れ合わせたり、啄ばんだりと色んな方法を試していく。
    「咥えろ」
     その一言で、沙織はバスタオル巻きの下半身に目をやった。天を貫くような勃起が、タオルをテント状に持ち上げている。キスだけでも糞尿を食わされる気持ちがしたのに、ペニスを口に入れるだなんて出来るのだろうか。
    「て、手で……」
    「おう? 天下の神谷沙織様も、さすがにフェラチオの度胸はないってか?」
     咥えたら咥えたでいい気になり、勝ち誇った笑みで沙織のことを見下ろすだろうに、やらなければやらないで馬鹿にしてくる。
    「くそっ、やればいいんだろう!」
     ベッドの横に両足を下ろしている下須井。その大きく開いた股元へ、床に膝を下ろして座る沙織は、下須井のバスタオルを取り外し、生まれて初めて直視するペニスに大きく表情を歪めていた。
    
         ***
    
     沙織の目と鼻の先。視界の中央を占めているのは、嫌に立派な太さの勃起ペニスだ。はち切れんばかりに膨らむ肉棒は、天井へ向けてそそり立ち、皮の下から血管を浮かせている。
     少し視線を上げていけば、よく鍛えられた腹筋に肉厚の胸板。それから、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた下須井の顔が、沙織をよーく伺っている。
    (こんなものを口に入れるのか……)
     沙織は視線をペニスに戻した。
     性的な知識がないでもなく、男性器に刺激を与えるにも色々と方法があるのはわかる。その中には口でする方法があるのも知っている。
     しかし、相手は下須井。
     いざ口を近づけようと思ったなら、想像を絶するほどの心理的抵抗が働いて、顔が前に進むどころか後退した。
    「おいおい。ビビってるのか?」
    「馬鹿な。気持ち悪いから躊躇うだけだ」
     というのは事実に過ぎない。汚物、生ゴミ。あるいは蛾だのナメクジだの、そういうものを口に入れろを言われて、平然と頬張ることのできる人間がいるだろうか。
     これが恋人のペニスか何かなら、まだしも愛おしく思えただろう。女にだってそういうことに興味は持つし、好きな人とのセックスについての夢想もする。下須井のペニスであるという事実こそが、最大限の躊躇いを与えているのだ。
    「ほらほら、まずは両手で握ってみな」
    「……こうか」
     根元を手の平に包み込むと、異様に硬い肉の感触が伝わってきた。生温かい温度が手肌に染みて、ピクっと脈打っているのもわかる。
    「いいぜぇ? 亀頭の口に優しくキスしな」
     命令口調が気に食わない。
     だが、自動的に後ろへ下がる頭を無理に押し出し、前へ前へと唇を近づけて、沙織はそっと亀頭に口付けした。
     その瞬間、鳥肌が広がった。
     唇のまわりが、顎が、頬が、みるみるうちに毛穴を広げて冷や汗を噴き出し、肌中がSOS信号を放っている。
    「したぞ」
     たまらずに、ほぼ反射的に唇を離した沙織は、嫌悪感を隠しもしない顔で下須井を見上げた。
    「もっとだよ。舐めろ、咥えろ、たくさんしろ。フェラチオらしく努力しろ」
    「くぅ……やればいいんだろう…………」
     コツも何もわかりはしない。
     ほとんど手探りで、まずは再び唇を押し当て、生理的拒否反応を抑えて亀頭の約半分を揉み潰す。舌を伸ばし、先端をペロペロ舐め、またキスをする。単純なキスと、唇を駆使した亀頭マッサージと、舌先で舐める行為の三つをとにかく繰り返した。
    
     ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ…………。
    
     つむじあたりに注がれる下須井の視線を感じつつ、拙く舐める沙織の舌には、亀頭の味ばかりが染みていく。舌の根にまで鳥肌が広がって、嗚咽しかけてなおも舐め、また唇を使って噛みほぐす。
    「はっはっは! いい気分だぜ!」
     下須井は沙織の頭をポンポン叩いた。
     沙織の胸にじわじわと広がるのは、決定的な敗北の気持ちである。勝者と敗者の関係をわかりやすい構図に変え、こんな風に奉仕をして、下須井が喜べば喜ぶほど、沙織の胸にある屈辱は、まるで破裂する限界が存在しない風船のように、永遠に膨張していく。
    「神谷ァ! お前はどうだ? 俺のチンポは美味しいかァ?」
    (……黙れ、まともな味がするものか!)
     沙織は睨み上げ、下須井は楽しげにする。
    「おら、もっとしゃぶれ! 咥えろ! 一生懸命、この俺を感じさせな!」
     頭をポンポン叩かれ続け、ますます敗北感に呑まれていく。
     顔を前に進めた沙織は、肉竿の約半分までを飲み込んだ。太さのあまりに口内のほとんどが肉棒に占領され、舌もやむなく密着している。
    (くそ! 私がこんなことを!)
     沙織は頭を前後に動かし始めた。
     前へいくにつれ、亀頭が喉を塞がんばかりになる。頭を引けば唇の裏にカリ首がぶつかり、貼りつく舌は前後に肉竿を刺激する。
     ――レロォォ……ズルゥゥ…………。
     口内にものが入っていることで、生理的に分泌される多量の唾液が、肉棒の表面をコーティングしてぬかるみに包んでいく。唾液が泡立っているためか、非常にかすかではあるが、泡のプチプチと潰れる音もしていた。
     癒着した舌と肉棒のあいだに、たった一ミリでも隙間が出来る際には、二つを粘着させていた唾液が濃密な糸を引く。そして、すぐに舌は竿に張り直され、密着のままに前後へ這い続けることになる。
     とっくに心が悲鳴を上げていた。
     岩盤に少しずつヒビが入っていくように、プライドに亀裂が走り、今にも砕けそうな心を気力だけで繋ぎとめている。
    (そうか。そういう鍛錬か)
     尊厳を足で踏みつけ、プライドに泥を塗る。恥辱という名の苦行に耐え、傷つきながらも茨の道を通り抜けてみせることこそ、下須井との性交渉に隠されたテーマだ。そうでもなければ、自分がこんなものを頬張っている事実に納得いかない。
    (そうだ。下須井など踏み台だ。私が前に進んでいくための――)
     ――ジュッ、ジュルッ、ジュジュゥ……。
     屈辱に味がついたとでも思って、沙織は甘んじてそれを啜った。肉竿の角度を支えるために両手に、指圧的な力を加え、全ての吐き気を堪えて一生懸命に奉仕する。
    「お? やる気が出てきたじゃねーか」
     いい子いい子とばかりに頭を撫でる手つきには、当然のように沙織を馬鹿にしたい気持ちが込められている。いい気になっている。調子に乗っている。全て沙織の口で気持ちよくなっているからだ。
    「好きに穢せばいい。それでも、私はかつて以上の輝きを手に入れ、今日のお前を見返して余る功績を残す!」
    「ほーう?」
     決意の熱を帯びた睨み顔と、相手を値踏みする調子の良い表情で、お互いの視線が絡み合っていた。
     睨み上げたまま……。
     一旦離れた口を近づけ直し、そっと押し付けるようなキスから、少しずつ唇の輪を広げていくようにして、今一度亀頭を飲み込んだ。色気のない怒気ばかりの表情で、口にはペニスを含む沙織の顔は、果たしてどこまで下須井を興奮させているものか。
    「ズチュ、ンジュゥ……ずるっ、ずりゅぅぅ…………」
     どれほど興奮されようと構わない。己の心にヒビが入れば入るほど、それはより高く飛ぶためのバネとなるのだ。
     ――悔しい! 悔しい! 悔しい!
     だからこそ、いくらでも奉仕してやる。
    「パイズリはわかるか?」
    「ふん。さしずめ、こういうことだろう?」
     自分のバスタオルを脱いだ沙織は、恥じらいはあるものの全裸を晒す。常識的な羞恥心から耳の先まで染めながらも、プルっと弾力の強いゴムボールじみて硬い乳房で、しっかりとペニスを包んで刺激を与えた。
     胸板の中央に硬い感触が埋まり、乳房で覆って逃がさない。勃起の熱量ばかりか、今まで沙織自身がまぶした唾液のぬかみもあり、その全てが肉棒との接着部位に広がっている。
    
     ――むにっ、むにっ、
    
     睨み返す視線は変わらないまま、胸でペニスをしごき始めた。
    「どうした? 急に覚悟なんか決めちゃってよォ」
    「ふん。どん底の泥水に浸かって鳴れただけだ。お前という泥水にな」
    「言うねぇ? 処女の神谷沙織ちゃんよォ」
    「どうせ最後までするつもりだろう。その処女も今日でくれてやる」
     両手掴みの自分の乳房を上下させ、無心にしごいている沙織は、やがて身体ごと上下に揺すって刺激を与える。
     いつ射精するのか。精液とは臭いのか。
     どうしようもないことを気にしながら、両手で強く乳圧をかけ、それだけ強く肉棒の熱気を皮膚に感じる。
    
     ――むにっ、むにっ、
    
     真下を見れば、谷間から見え隠れする亀頭がある。
    「ヤらせろ」
     と、一言。
     そして沙織は仰向けになった。
    
    
    


     
     
     


  • 最終話「契約の儀式」

    前の話 目次

    
    
    
     しかし、討魔剣士として生きるということは、パートナーとなる男と性を交える運命を意味していた。決められた男に純潔を捧げ、戦うたびにその人から回復の儀式を受けなくてはならない。
     そのパートナーは大人達によって決められる。
     女側に選ぶ権利があるとは限らない。
     討魔剣士は十五歳の誕生日を迎える際、その日に男を紹介され、処女を捧げる契約の儀を執り行う掟がある。
     凛菜はそれを両親から聞いて知っていて、それ自体には覚悟があった。
     気に入らないのは確かだし、何が悲しくてそんな回復方法しかないのかはわからない。他に方法があればいいのだが、それしか確立されていないのなら、そういうものとして受け入れる以外に道はない。
     それが嫌なら、家を出て行く宣言でもするしかない。
     しかし、あれ以来から使命感を抱くようになり、復讐心さえ燃やしている凛菜にとって、家を出る選択肢はありえない。あの時の無念を晴らし、同じような被害者を出さないためにも、誰かが戦うべきなのだ。その義務感を背負った凛菜は、例え誰に抱かれようとも戦う決意を固めていた。
     自分は普通の女ではない。平凡な日常には属すことなく、戦いの世界に身を置く以上、ごくありふれた恋愛なんかに憧れることは出来ない。そういう家に生まれ、そう教えられて育った影響もあり、運命は運命として受け入れていた。
     だが、その上で絶句した。
     それは男の紹介の際。
     初めて顔合わせを行うため、畳部屋の中で相手が現われるのを待っていた時である。時間が訪れ、やがて襖を開くと同時に少年が顔を出し、自己紹介をしながら歩んでくる姿を見て、凛菜は言葉を出せなくなった。
    
    「やあ? 初めまして。僕は新谷織田彦だよ」
    
     あまりにも恐ろしいルックスの悪さに全身が総毛立ち、こんな男に抱かれるのかと正直寒気が走ったのだ。
     もちろん、顔なんかを期待したわけではない。
     ごく人並みの人格があって、ごく人並みの身なりさえしていれば、誰が来ようと構わないと考えていた凛菜だが、その凛菜が青ざめるほどの醜悪な容姿を織田彦がしていたのだ。
     まず、目つきがいやらしい。
     まるで視線で嘗め回してくるような、胸だの尻だの、そういう場所ばかりを見ていそうな卑猥な瞳には、色欲ばかりが宿っていそうで、その目つきだけでも十分にゾッとする。
     その上、顔のパーツが悪い。
     まず鼻が潰れていて、ブタに似て穴が前を向いているのだ。頬にはふっくらと肉がつき、両側に垂れているのはブルドッグを彷彿させるし、腹も出ていて体格が悪い。おまけに全身が脂っこくて、夏でもないのに皮膚に汗っぽい何か粘液のようなものが出ていて、触れとネバネバしているように思えて、心底最悪だと思った。
     醜悪すぎる顔、体格。
     いや、見た目で判断してはいけない。
     どんな外見をしていようと、人並み程度の人格であれば、別にそれでいい。
    「は、初めまして。私は如月凛菜」
    「凛菜ちゃんか。可愛いねぇ?」
     鼓膜にネバついてくるような、ねっとりとした声で、初対面からいきなり下の名前でちゃん付けをされ、全身に寒気が走った。
     しかも織田彦は、テーブルを挟んだ向こうに座布団が置いてあるにも関わらず、わざわざ凛菜の隣へ回って座り込む。早速女に触れ、味わってみたいかのような、既に待ちきれないかのような興奮の息遣いで、ギラギラとした視線でねっとりと凛菜を見る。視線は明らかに胸や太ももへ集中していた。
     決まりだ。織田彦は気持ち悪い。
     男としてはハズレの相手だ。
     だが、女を回復させてやれる男というのも、基本的に限られている。嫌だから拒否するとはいかない世界なので、生半可な言い訳ではパートナーを拒めない。如月家や他の家系でも、そのように決まっている。
    「私の回復役になるって、聞いているわ。アンタなんだね」
    「うん。そうだよ?」
    「まずはそうね。心意気でも聞こうかしら。私のパートナーになるからには、アンタも決して戦いと無関係ってわけじゃない。覚悟はあるわけ?」
    「もちろん」
    「どんな覚悟があるのか。聞かせてくれる?」
    「それはセックスだよ」
    「――っ!」
     凛菜は一瞬にして顔を引き攣らせた。
    「ずーっと稽古を頑張ったんだ。可愛い女の子を抱けるんだから、やる気が出るのも当然のことだよね? いつか、いっぱいセックスするのを夢見て、それはもう死に物狂いで頑張ってきたってわけ」
    「ふざけないで!」
    「へ? どうして?」
     織田彦はきょとんとする。
    「あのねぇ? こっちは命懸けなのよ? もし戦いに負けて、妖力がゼロになるまで吸われてしまえば私は死ぬ。アンタだって、妖力の高い男は見つかり次第命を狙われる。それをふざけた理由で――。信じられない!」
     凛菜は激高していた。
     こちらは親友を殺され、その無念を胸に抱いて今日までやってきた。あの時何も出来なかった自分が許せなかったし、同じ被害者を増やしたくない。れっきとした思いを抱いた凛菜の前に現われるのが、よりにもよってセックスがしたいだけの理由の男だ。しかも、恥を知らずにいけしゃあしゃあとそれを自慢げに口にしたのだ。
     本人はそれを怒られたことできょとんとしている。自分が何を悪い事を言ったのか。自覚できていない顔だった。
     頭がおかしい。顔で判断してはと思ったが、織田彦の顔には人間性がそのまま現れているに違いない。
    「僕ってこんな顔でしょ? 他にモテる方法なんてないし、いつ命を狙われるかはわからなくても、確実に誰かとセックスできる世界にいた方がいいと思ったんだ」
    「馬っ鹿みたい! アンタ馬鹿でしょ!」
    「うーん。情熱的って言って欲しいな。男はセックスのために命懸けになれるんだよ?」
    「ああもう、完全にふざけているわね。アンタ。自覚が足りないっていうか……」
     覚悟と使命感を抱く凛菜に対して、完全にどうかしている織田彦。
    「けど、掟はわかっているよねぇ?」
     じゅるり、と。
     欲望にまみれたケダモノの舌なめずりで、汚らしいヨダレの音を立てながら、既に興奮している荒い息遣いで迫ってくる。熱くて臭い息がかかるほど、顔を近づけられ、正座の太ももへ手の平を置いてくる。
    「お、掟ね。わかっているけど……」
    「だったら、受け入れないと駄目だよ?」
     ふぅーっと、粘り気を帯びたような息が、耳の穴に吹きかけられ、凛菜はゾッと身震いした。
     掟において、男の欲望を拒んではならない。
     回復の儀を執り行うには、男女が同じ場に揃った状態で精力を発散するわけだが、男側が満足しなければ、儀式が不発に終わる可能性がある。たとえ男にとって満足のいく性交でも、両思いの愛情に満ちたセックスであっても、確率のランダム性という理由で、数百年の歴史においても回復失敗の記録は多かった。
     そこで、成功率を高めるための措置が研究され、決められたパートナーと契約を結ぶ術法が生み出された。
     契約という見えない繋がりを男女のあいだに作り出すことで、不発に終わる可能性は限りなくゼロに近づく。
     ただし、男の欲望発散が儀式行為の手順なので、基本的に相手の趣向を満たさなければ回復の儀は成立しない。フェラチオといわれれば咥えなくてはならないし、体位に関する欲があるなら、それも満たしてやらなくてはいけなくなる。
     回復の術者は男であり、満足したり、欲望が発散できて楽しい『感情』を術法の手順のうちに含んでいるため、それを阻害すると簡単に不発になる。決して阻害せず、契約まで結ぶことにより、初めて絶対的確率で回復に成功するのだ。
     女は相手を受け入れるべしというのは、そのため掟の一部とされている。
     拒むことが許されるのは、刃物で生体を傷つけるような加虐的な趣味であったり、排泄物を飲食させる人体に有毒な行為など、目に見えて過激な趣味趣向の場合に限られる。
     そして、女の怪我や病気に関わる性癖の持ち主など普通はいない。あるとしても、コスプレだとか体位だとか。風呂場でしたい、外でしたいなど。肉体的な怪我や健康被害の危険がない限り、大半のプレイ方法が許されている。
     男を拒める掟など、事実上無いのと同じだ。
    「稽古は厳しかったよ。妖力を高めるために滝に打たれて、穴に落とされて、色々と過酷な目に遭ってきたけど、それでも僕は頑張れたんだ」
    「……へ、へえ?」
     織田彦は肩へ手を回し、スカート越しの太ももを撫でている。明らかなセクハラに凛菜は顔を引き攣らせ、冷や汗ばかりを流した表情を浮かべていた。
    「ずっと前から、君の写真を見せてもらっていたからね」
    「――っ!」
    「こんなに可愛い子とセックスできるって運命が決まっていたから、僕はそのためだけに修行をしたんだ」
     織田彦の手が、セーラー服の腹へと移動する。服の内側へ潜り込み、ヘソ回りの肌を直に手で確かめ始め、脂っこい、気持ち悪い手の平の感触に全身が総毛立つ。
    「アンタ最低ね。私としては掟は守るけど、もっとマシな自覚は持てないわけ?」
    「まあまあ。セックスへの欲望だって、命を賭ける理由になるよ? 人間の三大欲求。とても気持ちいいことだから、たとえ淫魔妖怪に狙われるかもしれなくても、リスクがあっても構わない覚悟はあるよ?」
     腹の肉を撫でていた手が、セーラー服の内側で上へとスライド。ブラジャー越しの乳房を揉み始め、初めてそんな目に遭った凛菜は、さすがのさすがに耐えかねてしまった。
    「やめろ!」
     突き飛ばした。
    「ぐへぇ!」
     片手一本で押しのけられた織田彦は、情けなく畳に倒れる。
    「今は回復の儀の最中でも何でもない! アンタみたいのがパートナーなのはこの際仕方ないにしても、私に触れることになるからには、その最低な根性を叩き直して貰わないと困るわ」
    「だ、だって……」
     まるで小さい事もが言い訳を始めるような、幼稚で情けのない口調の声を出す。
    「だって何?」
    「だって、討魔剣士は性処理道具だって習ったよ?」
    「――なっ!」
    「満足いく『感情』が回復の儀の手順の一部だから、性奴隷とかペットとか、そんな風に考えるのがコツだって教えられたよ?」
     なるほど、術の行使にあたっては、それはコツなのだろう。
     しかし、そんな風に思われて、それを堂々と公言までされ、実際にセクハラまでしてくる相手をだ。はい、そうですかと、快く認めて受け入れるほど、凛菜の心は広くない。
     掟だから、仕方は無いが……。
     もしも掟が存在せず、そんな回復方法が必要なければ、こんな男には絶対に触れもしないし、視界にだって入れたくない。最低の人種に間違いなかった。
    「契約を結ぼうよ。凛菜ちゃーん」
     織田彦は笑いながら、よだれを垂らした欲望まみれの卑猥な顔で立ち上がる。
     十五歳の誕生日、討魔剣士は契約を結ばなくてはならない掟である。
     受け入れるしかなかった。
    
         ***
    
     真夜中。
     畳を敷き詰めた障子の部屋の中央には、契約の儀を執り行うための、魔法陣によく似た円形状の図形が描き込まれていた。もちろん、日本製の術式なので、西洋のものと違って、図形の内側に並んだ文字は全て漢字か東洋の記号である。
     円周のラインに沿ってロウソクが並べられ、小さな火の数々だけが灯りとなって、暗闇をぼんやり明るく照らしていた。
    「さあ、始めようか」
    「……ええ」
     魔法陣のさらに中央に置かれた布団の上で、お互いに膝を向き合わせ、これから行う情事に対して、織田彦とと凛菜はそれぞれの感情を抱いていた。
     二人の衣装は白く薄い着物である。
     契約の儀に合わせ、事前に身体を清めてあるため、この内側には何一つ着ていない。儀式の手順として、下着類は着用しないため、お互いに布一枚だけを纏っている。
     まず、織田彦が言葉を放つ。
    「これより、我に結ばれる者として、その素肌を晒されよ」
     儀式上の言葉。
     それに従い、凛菜は着物の紐を解き、布団の上に脱ぎ落とす。男の性感情を満たすための存在になるために、これからの関係を明らかにするために、女は自らの手で裸体を見せてやらなくてはならないのだ。
     凛菜の肉体は鍛え込まれている。
     そのため、腰は引き締まり、脚のラインもすらっとしている。丸く育った乳房は垂れることを知らずに前へ突っ張り、その下にあるヘソ周りには、薄っすらと腹筋の肉が見える。下腹部の恥毛は手入れがされ、逆三角形の形に綺麗に短く切り揃えてあった。
     凛菜はそれら全てを見せるため、直立不動のまま手は横に下ろしていた。
    
     恥ずかしい……。
    
     当然、恋を知らずに生きてきたため、男に肌を見せるのは初めてだ。覚悟はあるにせよ、羞恥心の強い年頃なので、裸になれば顔も赤く染まっていく。恋愛にまつわる願望はほぼ捨てている凛菜だが、恥じらいという意味では、やはり立派な乙女であった。
     癪だった。嫌だった。
     最低としか思えない人種の男が、醜い顔で満足そうな表情を浮かべている。胸やアソコを舐めるように見て回し、ニヤけているのが、本当に気に喰わない。
    「我に従う者として、その秘密を明かされよ」
     赤面しきっていた凛菜の表情が、さらに歪んだ。
     次の手順では乙女の秘密を口にして、その情報を相手に与えなくてはならないのだ。
     相手の顔を見ないため、筋力の許す限り、強くまぶたを閉ざしながら、凛菜は震えた声で言葉を放つ。
    「……あ、明かします。この胸の膨らむのは十の頃、冬の時。この毛が生えしは十一の頃、春の時。女の血を流したのもまた、十一の頃、春の時」
     乳房の時期、陰毛の時期。初潮の時期さえ口にした。
     こんな情報を口にするのは、例えるなら、秘密にしていた日記を読まれるのが可愛いほどに恐ろしく気まずい。とても顔など合わせられず、視線をどこかへ逸らしたり、唇を丸め込んだり、恥ずかしくて気まずい気持ちが、表情にありありと浮かんでいた。
    「従う心を、その身によって示されよ」
     次は肛門を見せなくてはならない。
     身を捧げゆく象徴として、ただ裸になるだけでなく、さらに恥ずかしい部位を相手の視線に晒さなくてはならないのだ。
     背中を向けると、織田彦の視線が尻に集中するのがよくわかった。
     戦いの修行を重ねた凛菜にとって、相手の視線を察することは容易い。例え視界を隠していても、気配によって背後のものを感じ取れる領域に達しているため、織田彦がいかに凛菜のお尻をよく見ているのか、必要以上によくわかった。
     凛菜の尻はプリっと膨らんでいる。ハート型のように丸々と肉を盛り上げ、艶やかな肌質の表面にロウソクの火を反射した光沢を敷いている。淡いオレンジの光が影を作る分、割れ目の溝がより深く見えていた。
    
     これから、お尻の穴を……。
    
     凛菜は悲しく俯く。
     下手をすればアソコよりも恥ずかしい、汚い排泄のための穴なんかを、織田彦の視線へ晒さなくてはいけないのだ。
     だが、自分で決めた道でもある。
     淫魔妖怪は許さない。容赦無く斬り捨てる。
     凛菜はそのために、自らの尻たぶを両手に掴み、影に隠されていた割れ目の中身を広げて織田彦へと見せつけた。
     汚れ一つ無い、綺麗な桃色の雛菊皺。
     織田彦の視線はそこに集中的に突き刺さり、凛菜は顔から湯気が出るほどの熱い赤面に見舞われ、傍から見れば何ともいえない構図が完成していた。直立した少女が指を尻たぶに沈めて割れ目を開き、正座で姿勢を正した少年が、じーっと穴を眺めている。
    
     くっ、こんな奴に……!
     これって、何秒やるのよ!
     屈辱すぎる……。
    
     人の視線をほぼ皮膚触覚で感知できる凛菜にとって、一点に視線が集中するということは、存在しない透明な指をピタリと置かれているようなものだ。両側へと皺の伸びた肛門を、まさにツンツンつつかれて、もみこまれているような気持ちが、凛菜の心を締め上げていた。
     熱にうなされてもおかしくないほど、凛菜の赤面した顔の温度は上昇していた。
     目元は潤み、今にも涙がこぼれ落ちそうになっていた。
     どんなに戦う覚悟があっても、この儀式に対して腹を括った気持ちがあっても、体を見られて恥ずかしいことだけに関しては、立派な十五歳の少女に過ぎない。
     むしろ、そのせいで男子の目線を意識したオシャレを試したり、スカート丈を短くしてみる挑戦をしてみた経験が皆無なのだ。日常を捨てる決意をした分、修行の成果で戦う力を身につけたという自信もつき、自分は戦士なのだという自覚を持っている。人知れず平和を守る存在としてのプライド意識さえ芽生えていた。
     それだけに、恋に恋する平凡な少女の方が、よっぽど男の視線を浴び慣れているといってもいい。
     プライド意識がある分、こんな格好悪い真似をしている情けなさにも泣けてくる。
    
     ま、まだなの? いつまで見てる気よ!
     こっちは死にそうなのに……。
    
     織田彦は正座の姿勢のまま足を歩ませ、もっと肛門をよく見ようと接近する。前のめりになってまで覗き込むのが、凛菜にはよくわかった。
     まるで一点に直線レーザーが照射されていて、顔が近づいてきたせいで、その出力が強まったように感じた。
    
     絶対に一分以上経ってる!
     もういいでしょ?
     早く、早く! 早く終わりにしなさいよ!
    
    「ふぅー……」
    「――!」
     息を吹きかけられ、あまりにもギョッとした凛菜は、仰け反るかのように顔を天井の真上へ向け、そのまま強くまぶたを閉ざした。顔の筋力のある限り、限界まで頬肉が強張り、唇は強く結ばれ、クシャクシャと形容してもいいほど、凛菜の表情は歪み切った。
     目が皺の本数を数えることさえ、皮膚の感覚で察知できる。上から時計回りに一本ずつ、放射状のラインをなぞって、織田彦は肛門の皺を数えている。
    
     人を恥ずかしさで殺す気なの? コイツは!
     いい加減にしてよ! いい加減に……。
    
     あまりのことに涙が出て、まぶたの閉じた左右の目から、それぞれ一滴ずつだけ、頬を伝って流れていった。
    
         ***
    
     実際、何分間肛門を視姦されたのかはわからない。数分以上だったのは間違いないし、いっそ一時間近くにさえ感じられたが、そんな長い長い時間を経ることで、凛菜はやっとのことで視姦から解放された。
     恥ずかしかった余韻が抜けない。染まりきった顔の赤みはすぐには引かず、耳もせいぜい色が薄まっているに過ぎない。織田彦を睨み付けなければ気が済まない、本当は殴りつけさえしたいような、惨めな屈辱を味わった表情を凛菜はしている。
     儀式は次の手順へ移る。
     それは同時に本番が近づくということでもあった。
     もう、かなり近い。
     凛菜の処女は織田彦のものとなる。
    「よいしょ」
     織田彦が立ち上がる。
     次に凛菜が行う作業は、織田彦の着物を脱がせてあげるという作業である。契約の儀式は女が男の性癖に従う義務を明らかにする意味合いを兼ねているので、相手を脱がせることさえ、凛菜の方からしてあげるのだ。
     腰のあたりの紐を解き、裾を下へとひっぱると、白い着物は脱げ落ちる。
     これでお互いに全裸になった。
     そして、さらに次へ移っていく。
    「この唇を捧げます」
     凛菜は自ら、織田彦の胸へ縋りつくようにして、瞳を閉じた顔を向けることで、言葉通りに唇を捧げるポーズを取る。
     織田彦の汗っぽい肌は、密着するとその粘り気が自分の肌に粘着してくるかのようで、ぞっとするほど気持ち悪い。そんな嫌な男の腕が、背中へと回され、抱き締められ、自分の体がこんな男のものになっていくのが悲しく思えた。
     唇が重ねられ、全身が総毛立つ。本来なら反射的に身が引っ込み、思わず相手を突き飛ばしかねないほどの悪寒に満ちていたが、こうなることが初めから決まっていたおかげで、凛菜は強い気持ちで耐え忍んでいる。
     ぼってりとした厚い唇の感触が、ぐいぐいと凛菜の唇に押し付けられ、ネバっこいかのような鼻息がフウフウと吹きかかる。
    「――んっ!」
     織田彦の唇の狭間から、舌がぬぅっと伸びてきて、それが凛菜の唇に触れたことで、凛菜は反射的に身を震わせた。やはり、思わず自動的に頭を引っ込めかねないほど、それは気持ち悪い感触に思えたが、凛菜は辛抱強く耐えていた。
    「ちゅぶぅっ、れるぅ――」
     舌が絡み合い、貪るように口内を蹂躙される。蠢くように凛菜の口内を冒険し、歯の裏側や頬の内肉をまさぐっていく。唾液が流し込まれ、舌にその味が広がり、自分の口腔が腐食に犯されていくような、おぞましい心地を覚えていた。
     やがて口を離すと、唾液の糸が引いていた。
    「この胸を捧げます」
     凛菜は儀式の言葉を呟く。
     織田彦は乳房を掴み、両手で丹念に揉み始めた。撫でるように触感を確かめつつ、指に強弱をつけて揉み、指で乳輪に触れて乳首を摘む。
    「この尻を捧げます」
     織田彦は再び抱きつき、背中に巻きつけた腕を下へやる。尻たぶを包み、撫で回し、存分に触り心地を確認してから揉み始める。
     次でいよいよだ。
    
    「私の処女を捧げます」
    
     そんな声を絞り出した。
     そして、凛菜は布団に体を寝かせ、両足の膝を立てる。開脚することで股の手前に織田彦を招き入れ、本番直前の緊張した気持ちに心臓が大きく弾む。
     この男が、凛菜の処女を破るのだ。
     超え太ったせいで皮膚はたるんで、顔の造形も醜悪に崩れている。ブルドッグのように頬肉が垂れ、ブタのように鼻が上向きになった容姿は、本当に気持ち悪いとしか形容できない。顔だけではなく、人間としての中身も同じようにゾッとする。欲望に満ちた下半身だけでものを考える奴なのだ。
    「えへっ、えひひひひっ、イヒヒヒヒ」
     息を荒げた織田彦は、犬がエサにありつくかのように、勢いよく秘所に顔を接近させ、閉じ合わさった性器の観察する。まじまじと眺め、指でクパっと中身を開き、薄ピンクにところどころ血管の赤みをまぶした肉壁が晒される。
    
     み、見てる! そんなところ……!
    
     処女を散らすまでへの最後の手順として、凛菜が本当に処女であるかを、こうして織田彦は確認しているのだ。
     人としての尊厳が壊されていく。プライドに罅を入れられ、何かを失ったような喪失感にさえ見舞われた。
    
     死にたくなる……。
     こんな、こんな!
     覚悟はしてたけど、こんなに……!
    
     トン、と。織田彦の指先が、凛菜の下腹部の陰毛あたりを軽く叩いた。
     妖術だ。
     男の少ない妖力でも習得かのうな、女の感度を引き上げて、瞬く間に愛液を分泌させる淫らな術――。
     挿入の準備のため、織田彦は術を使って、凛菜のアソコを汁の滲んだ状態へ変えたのだ。
     そして、いよいよだ。
    
     さ、されちゃう……。
     このまま、よりによってこんなのに私の初めてが……。
    
     亀頭の先端が割れ目に触れて、ぴたりと潰れる。生まれて初めて股間同士が触れ合う緊張に全身が強張って、凛菜は自分の気持ちをほぐそうと、全身の力を抜いていく。
     納得のいかない気持ちはある。
     戦いに一定の意識を持つ凛菜に対し、性欲を動機にしている織田彦だ。顔に目を瞑っても、運命に覚悟を決めても、それだけが納得いかない。
     納得ができないまま、割れ目に亀頭が触れるところまで来てしまった。
     もう、このまま入ってくるのだ。
    
     は、はじまる……。
    
     亀頭が膣口を圧迫しながら入り口を拡張する。ただ受け入れるしかない肉棒が、腰の進行によって押し出され、亀頭をだんだん埋め込んでいく。未経験だった小さな穴は、それに合わせて広がって、裂傷のように一部を裂く。
     これが、初めての痛みだった。
     痛みには個人差があるし、戦闘訓練を積んだ凛菜にとって、怪我そのものは怖くない。初めてセックスをすることに関して、痛みという理由で恐れはない。ただ乙女にとって大切なものが、本来ならおいそれと渡すことのない、目には見えない財産が、織田彦なんかの手に渡ろうとしているのだ。
     そういう緊張と、そういう恐れ。
     このまま自分は織田彦のものになるのだという、その事実が決定付けられてしまうことに対する恐れが、緊張感で凛菜の体を硬くして、顔もどこか強張っていた。
    
     ――あ! ああ……。
     は、入って……!
    
     腰の進行がさらに進んで、亀頭は全て膣へと埋まる。
     さらに竿までゆっくりと、スローモーションのように入り始めて、自分の処女がこうして散らされていることを、凛菜はありありと実感していた。こんなにもゆっくり、丁寧に挿入しているのは、織田彦が初めての挿入を味わおうとしているからだ。
     ゆっくりと入れることで、一度しか出来ない処女への挿入を、できるだけ長く味わおうとしているのだ。
    
     なんで、こんな人だったんだろう。
     男ってこいうもの?
     他にマシな人、いたはずだよね……。
    
     織田彦はじゅるりと舌なめずりをして、凛菜の処女を奪った事実に満足そうな表情を浮かべている。戦利品でも勝ち取ったような誇らしげな顔で、荒い鼻息をあげている。肉竿の半分以上が埋まり、根元まであと少しだ。
     凛菜ちゃんの処女を奪ったのはこの僕だ。
     僕が凛菜ちゃんの初めての相手だ。
     と、そう言いたげな表情がよくわかって、自分の膣に入っているのが、そういう男の肉棒だという事実をますます実感させられる。
    
     全部、入った……。
    
     先端から根元にかけて、全てが埋まり、凛菜の膣壁の狭間で蠢いている。
     ゆさゆさとしたピストン運動が開始され、凛菜は物言わぬまま揺らされる。勝ち誇った顔で自分を犯す織田彦の顔を、凛菜はただ見ていた。
     ボディランゲージというように、相手の動きや顔つきを見ていれば、どんな気持ちで腰を振っているのかよくわかる。セックスありきを名言していた織田彦は、こうして女を自由にできる立場を使って、相手を欲しいままにしているのだ。
     欲望のまま、相手を玩具にしたがっている。
     全裸を鑑賞され、肛門を視姦され、アソコを見られ、そして挿入されている。
     その一つ一つが、これから性処理道具としてデビューするための入門手続きに思えて、この儀式も織田彦も、何もかもが恨めしく思えてきた。
     これが、凛菜の初めてのセックスだった。
    
    
    


     
     
     


  • 一度はやりたい 女子高の健康診断医


     
     
     
          これは良い検査AV

      きちんと学校検査に徹していて、きちんとフェチマニア向けにできていました。

      医者の前で体操着をたくし上げ、触診で胸を揉まれる光景をたっぷりと楽しめます。

      この作品は7つのパートに分かれていました。

     ○着替え&身体測定
     ○健診パート①
     ○検尿パート①
     ○健診パート②
     ○検尿パート②
     ○健診パート③
     ○個別健診

      健診と検尿がそれぞれ①とか②とかに分かれていますが、
      女優が違うだけで診断方法の違いなんかはありません。
      人数が多いから、それぞれパートごとに区切りをつけながらやっているようでした。

      検尿パートは全てトイレで紙コップに出しているだけなので、
      医者の前で放尿みたいなことはありませんでした。
      (というか検尿③がなかった)

      では詳しいレビュー

      まずは最初の着替えシーン


      お喋りで騒がしい様子の教室で、女の子達が制服から体操着へと着替えていきます。
      何故か首から下ばかりが映っていて、個人の着替えをじっくり見せたり、
      顔が見えやすいようなアングルがなかったのが個人的には気にかかる。

      とはいったものの、ショーツの上にブルマが被さり、
      ゴムの端からプニっとお尻がハミ出るまでの一連の光景は、
      なんだかんだいって見ていて楽しい。



      ↓持ち上げる際にショーツがハミでる。
       でも直すというシーンも見れました。



      身長測っているシーンとかは、イメージ映像風に流れる程度。
      普通に体操着を着ているので、あまり力は入れていなかった感じですね。

      自分の身長聞いて
      「変わってなーい」とか
      「伸びた伸びた!」とか
      「え、変わんない」みたいな

      数字でいちいちはしゃいでいるノリは、学校らしさを出せていたと思います。



      本番は健診パートからですね。

      椅子で順番待ちの生徒が、服を脱がずにブラジャーを外すテクニックを使用。

      そして、医師の前に座るという流れ。



     1:首のリンパ触診
     2:おっぱいにメジャーを巻く
     3:聴診器を当てる
     4:おっぱい触診



      健診パートは全てこの流れです。

      上記で述べました通り、①や②に分けられているけど内容は同じです。

      サディスティックヴィレッジなら、もっとギョウチュウ検査やモアレ検査など、
      他の検査内容をやっているところなんですが、この作品は項目が少ないのが惜しいですね。

     
      とはいえ、おっぱいへの責めがその分なかなか執拗です。

       微妙に位置を変えながら押し込んだり、乳首を責めたりなどしています。




      触診では鷲掴みにして、乳首をつまんでみたり。
      指でさーっと撫でるような触れ方をしたり。
      時間をかけておっぱいを責めていました。




      聴診で1~2分以上
      触診で1~2分以上
      胸囲も何十秒かかけているので、

      全ての女の子が合計五分近くほどおっぱいを出し続けているわけですね。

      最後の個別診断では、気になった子を各自呼び出し。
      それぞれ詳しくチェックするというわけですが、
      ここで再登場するのは4人だけみたいですね。

       まずはおっぱい再チェック

       ショーツを脱いで・・・・・・

      

       四つん這いとなり・・・・・・

      

       丸出しのお尻を『診察』してしまいます。

      

     「お尻の穴見られるの初めて?」
     「……こんなところ見られるの初めてです」
     「じゃあなおさら診てあげないとねぇ?」

      と、羞恥を煽るやりとりがあったのもツボ。

      肛門に力を出し入れさせるプレイがあったのも最高です。

      動画じゃないとわかりにくいかもしれませんが、
      ギューっと力を入れ、そして力を抜いています。

          

      医師の手によってまで開閉されたり、
      じーっと観察されたりしてしまいます。



      恥ずかしそうに隠しているのも可愛らしい。


      この可愛さの子の肛門を観察したかと思うと得した気分になりますね。




      それによく見るとこの子、肛門にホクロあるんですねぇ?

       

      ちなみにこの葉山未来ちゃんだけにおまけセックスシーンがありました。

     FANZAで購入
     
     


  • スパイ容疑 フォトの身体検査

    
    
    
    
     *第二十巻「夫婦の話」のあと
    
    
         ***
    
    
     オレの名前はソウ。モトラドだ。
     小型車のトランクに積んで持ち運べるように設計された、ちょっと特殊なモトラドだ。もともと車体が小さいが、ハンドルやシートを折り畳むと、さらにコンパクトになる。まあ、速度は出ないけどな。
     オレの乗り主の名はフォト。性別は女。年齢は十七。黒い髪は背中まで長い。
     つい先日、とある夫婦からの仕事を引き受けた。記念写真が欲しいらしかったが、カラー写真の現像が終わる前に、夫の方は亡くなってしまった。依頼主が亡くなるだけでも驚きなのに、実は夫はスパイだったとかで警察が捜査にやって来た。
     そして、奥さんまでもがスパイだった。お互いがお互いに、スパイだと気づかないまま社会的身分を保つために結婚して、スパイ同士で夫婦生活を営んでいたのだ。
     さて、大事なのはここからだ。
     奥さんが逃亡したあと、フォトの鞄からいつの間にか、試し撮りした白黒写真だけがなくなっていた。代わりに鞄のポケットには、何故か大金入りの封筒が入っていた。わざわざ説明するのも野暮な話だが、まあ何だかんだで記念写真は欲しかったのだろう。
     この先が問題だ。
     そう、捜査は終わったはずだった。
     何もかも、めでたしめでたし。
     良い話だったなーと、締め括られたはずだったのに、どういうわけかフォトの体に、再び捜査の魔の手が伸びてきたのだ。
    
    
     あれから、数日後のことだ。
    「フォトさん。ちょっとお話いいでしょうか」
     店の前に一台の車が止まり、チャイムが鳴らされ、フォトが玄関を開けると偉そうな警察がずかずかと踏み込んできた。
     背後に二人。若い部下を引き連れた偉そうな警察は、顔立ちが醜いので醜男とでもしておこうか。
     こいつらは普通の警察ではない。もっとヤバイ連中だ。
     巨大な犯罪や、重大な事件――、それこそ、国家を揺るがすような事件を取り扱う連中。この国ではなんと呼ばれているかは知らないが、いわゆる公安警察だ。
    「あなたから奥さんのもとへ、何かが渡っていることが判明しました」
     白黒写真がバレたわけではないのか?
     いや、もしかしたら、わかっているが余計な真実は伏せているのかもしれない。
     ――え、あの写真が?
     なんて、うっかり口にしようものなら、
     ――おかしいですね。写真、とは一言も言ってはいませんが。
     といった具合だろう。
    「ええっと、ですね。あなたがスパイと断定されたわけではありません。あくまでも容疑の段階ですが、つきましては――」
     醜男はつらつらと用件を述べる。
     つまりはこうだ。
     フォトから奥さんへと、『何か』が渡ったことが判明したので、実はフォトもスパイで、グルだったのではという疑いがかかっている。我々はあなたを疑っていますと、わざわざ伝えに来るなんて、どうぞ警戒して下さいというようなものだ。もしも本当にフォトがスパイで、しかも今から逮捕されるわけでも、軟禁されるわけですらないのなら、逃亡の猶予が出来るというわけだ。
     まあ、本当に逃げるかどうか試そうって腹なのだろうが。
     さらに話を聞いてみれば、どうもそういう目論みではなさそうだった。
    「疑いがかかっているわけですが、確認さえ済めば容疑が晴れるか、もしくは確定します」
     まとめるとこうだった。
     逃げた奥さんを追って情報収集をしていると、この国には過去にもスパイがいたことが明らかとなり、その特徴はフォトとよく似た容姿の少女だったとか。一度は捕らえて、身体検査によって隅々まで調べたが、どうも逃げられてしまったらしい。
     そして、見た目の特徴が似ているフォトがここにいる。
     そりゃあ、調べないわけにはいかない。
     服を脱がせて、以前捕らえた過去のスパイと同じ特徴はないか。つまり、同じ場所にホクロがあったり、そういったことを誤魔化すための整形手術の痕跡があればアウトってわけだ。
     フォトの生い立ちから考えれば、どこにもスパイをやる暇なんざない。
     別に逮捕とはならないだろうが、容疑を晴らす方法が問題だ。
     身体検査。
     全裸にして、隅々まで観察して、穴の奥まで特徴を確かめる。恥じらいある乙女ってものをある意味では殺しにかかっている。
    「おい。違法じゃないのか?」
     と、オレは言った。
    「裁判所から既に令状も出ています」
     ってことは、無理に逆らえばこっちが違法扱いか。
    「わかりました! その検査。受けます!」
     おい、いいのか?
     もちろん、良くないとは言っても、令状には逆らえないが。
    「どうぞ調べて下さい。自分の無実を証明したいです!」
     なんて馬鹿正直な。
     フォトの生まれた国では、『人類皆仲良し』とか、『愛は世界を救う』とか、現実離れした用地な戒律がたくさんあって、おおむね皆がそれを信じていた。
     だからフォトも、真面目に人を神事、人を疑わず、人を騙さず、人を傷つけず、全ての隣人を愛していれば、素敵な人生になるとしんじていたのだ。
     他意のない誠実な身体検査だと信じているのだろう。
     そりゃ、公安のやることだ。屑が素直な人間を騙して、いいようにしてやろうとしているわけではないが、もしも女の裸を見たいだけの屑が公安の中にいたとしても、フォトはその人を信用してしまうだろう。
    
    
     フォトが連れていかれた施設の部屋は、シミ一つない真っ白な壁に床に天井が広がって、いるだけでぼーっと心が病みそうだ。
    「では身体検査を開始します」
     醜男が言う。
    「はい!」
     フォトは素直に返事をしている。
    「ここで全裸になって下さい」
    「わかりました」
     茶色のチノパンに、薄手のセーターを、フォトは何の疑いもなく、だけど恥ずかしそうに脱ぎ始めた。
     醜男以外にいるのは、検査に関わる白衣の男が数人だ。
     醜男はここに立ち会うだけで、女の裸を医学的な意味で観察できるのは、白衣の男達だけなのだろう。
     セーターを脱ぐと、ブラジャー付きの上半身が現れる。チノパンを脱げば、白いショーツの尻が現れる。
    「いひ」
     醜男の奴、嬉しそうに顔色を変えやがった。
    「…………」
    「…………」
     対して白衣の連中は、実に事務的な真面目人間の表情で、フォトの裸を見ても欠片も興奮していない。
     ブラジャーを外して乳房を出すと、パンツ一枚の格好に。
     パンツも脱ぐと、いよいよ一糸纏わぬ姿だ。
     せめて大事な部分は手で隠していたいのが人情だろうに、フォトはバカ正直な気をつけの姿勢で全てを晒している。胸は丸見え、アソコの毛まで見られ放題。白衣どもは真面目だが、醜男の顔つきは、だんだんと言い訳の聞かないいやらしさになっていた。
    「うーむ。いいオッパイだ」
     ぐっと顔を近づけて、醜男はフォトの乳房を品評する。
     隠す気もないとは恐れいるが、フォトもフォトで、それが職務上の必要行為だとでも信じているのか。顔を真っ赤に染め上げて、恥ずかしいのも我慢しながら、どうぞご覧下さいとばかりに背中を反らし、胸を突き出している有様だ。
     どうしたものかとオレは迷ったが、醜男の下心など知らない方が幸せだろうか。
     しかし、こんな奴が公安警察で権力を持っているなんて、スパイが紛れ込んでいるよりも恐ろしい真実じゃないか?
     ポチっと。
     ボタンでも押すみたいに、醜男は人差し指をフォトの乳首に押し込んだ。
    「……ん」
     何やら我慢の声を漏らしたフォトは、醜男のご立派な職務行為を真摯に受け入れ、好きなように乳首を触らせている。
    「さて、調べろ」
     権限は醜男にあるわけだ。
     指示が出てから、初めて白衣の男達は動き出し、今度こそ『仕事』のためにフォトの裸を観察する。ほとんど点検だ。機械整備の人間がメンテナンスを行ったり、出荷前の商品チェックで破損がないかを確かめたり、そういう光景と変わらない。
     いたるところを触られていた。
     うなじに指を当て、肩の肉を掴み、背中を撫で回す。あらゆる部位に顔を近づけ、至近距離から観察する。
    「ホクロの一致は」
     その隣で一人だけ、書類を片手に突っ立っている男がいた。
    「背中、腕、いずれも一致無し」
    「手術の痕跡無し」
     検査を行う面子がそう言うと、そいつは書面にペンを走らせた。
    「乳房を確認します」
     そう言って、白衣の一人が両胸を鷲掴みにして揉みしだいた。
     実によーく確かめていやがる。細やかな指使いで、もっとじっくりいくかと思えば、用など一瞬で済んだとばかりに、すぐに揉むのをやめてしまった。
    「どうですか」
    「豊胸などによる胸ではありません」
    「触感の一致は」
    「書面にあったスパイの乳房の感触と酷似して、もっちりとした弾力にあたるものの、乳首の色合いが異なります」
    「では脚をお願いします」
    「了解」
     どれだけ事務的なやり取りだ。
     それはそれで嫌なものだと思うのだが、フォトは真面目な顔であり続けている。この光景を眺める醜男だけが、楽しいものを見て喜ぶ表情でおいでなわけだ。
     太もも、膝、ふくらはぎ、足の甲から裏側まで、くまなく観察と触診を行うが、スパイとのホクロやアザの一致とやらはいずれも無し。
     しかし、どこまでフォトは正直なんだ。
     だんだんと、体全体が硬直して、表情も見るからにこわばって、まるで痙攣してるみたいに震え始めた。顔の染まりっぷりも、いつの間にか耳まで及んで、もうジュワっと顔から蒸気が噴き出ておかしくない勢いだ。
     それでも、フォトは素直に耐えている。
     真っ直ぐに姿勢を保って、検査を妨げないように背筋もピンと伸ばしている。恥ずかしがったり、手で隠したり、身じろぎすれば、検査がやりにくいはずだと思っているからだ。
    「下腹部に移ります。自分の足首を掴んで下さい」
     本当に配慮がないな。
     フォトがどんな気持ちかわかっているのか。ひょっとして、こいつらは本当に商品か何かの点検と同じつもりでやってるのか。真面目さが勢い余って、恥じらいだとか、人の尊厳といったものを忘れてはいないか。
     しかも、ポーズもまずい。
     全裸の女が自分の足首を掴むってことは、体を前屈状態に折り畳んで、丸出しの尻を高らかに掲げることになってしまう。
    「わかりました」
     言うまでもなく、フォトは素直に従うだけだ。
     尻の割れ目が左右に開ける姿勢だから、フォトの肛門が視線に曝け出されている。醜男はわざわざポジションを移動して、好みのアングルから眺め始める。
    「肛門の皺の数は」
     書類片手の男が尋ねる。
    「確認します」
     と、白衣の一人が尻の穴に顔を接近させた。
     さすがにフォトもやばいだろう。
     あれだけ至近距離に顔があったら、呼吸の息もかかってくるし、じっくりと観察してくる視線の気配も如実に違いない。
     一本、二本などと声に出し、本数をカウントして数えている。
    「本数不一致。色合いも一致しません」
     カウントした本数に対して、書類持ちの男はデータを確認しながら答えた。
    「性器を開きます」
    「サーモンピンクと一致しますか」
    「一致しますが、膣口の形状が異なります」
    「スパイの膣口は数センチ程度の極小の穴でしたが、サイズが違うと」
    「はい。それよりは広く、指が二本以上入ると思われます」
    「了解した」
     とはいえ、これで終わったか?
     顔の目や鼻から始まって、手足の指の一本ずつから、穴の中まで確かめたんだ。しかも不一致が多いのなら、もう十分なはずだろう。
     オレはそう思ったが、
    「待て」
     醜男が余計な思いつきを顔に浮かべた。
    「私がそれを確かめよう」
     なんと、醜男の奴。
     本当に指が二本以上入るかどうか。確かめるために挿入しやがった。
    「んくぅ……!」
     準備無しでの挿入だ。
     フォトは苦しそうな声を上げた。
    「なるほど、まずは一本目」
     醜男はご丁寧に左手を尻に置き、丹念に撫で回しながら、右手の中指を出し入れする。それが済んだら一度引き抜き、人差し指と中指を同時に挿れ、ピストンを行いやがった。
    「あっ、くぅ……!」
     畜生、フォトが嫌がっている。
     もう耐えることはないんだぞ?
     もう我慢しなくていいんだぞ?
    「ほうほう。これはいけない穴ですなぁ?」
     ほれみろ、醜男は下心を隠してもいない。
    「ま、まだ……私の無実は……」
    「ああ、もうちょっとで晴れるよ」
    「あっ、あぁ……ありがとう……ございます……んんぅ……!」
     ありがとうじゃないだろう。
     そいつがやっているのは、もうただの手マンじゃないか。尻をナデナデと可愛がっていやがる左手の動きも、おかしいとは思わないのか。
    「おい!」
     たまらずオレは声を上げた。
    「なんだね?」
    「何もかも不一致。指も入った。別人だってわかっただろう」
    「ま、それもそうだ」
     醜男は不満そうに切り上げて、フォトの膣内から指を抜く。
    「おめでとう。これで君の無実は晴れたよ」
     何がおめでとうだ。
     最後まで偉そうなやつめ。
    「よかった。私、スパイじゃないって!」
     そんなこと、オレは初めからわかっているが。
     最後までフォトは誰一人疑わず、本当に容疑が晴れたことを喜ぶ顔で、この場所から去ることとなったのだ。
     ったく、なんであんな男が公安に?
     この前の連中は、もう少し良心的だったはずなんだが。
     案外、あいつもスパイか?
     というより、組織を内側から腐らせるガンかもしれないな。本当に味方な分だけタチが悪い。いっそ敵か何かの方がマシだろう。
    
    
    


  • 深雪 羞恥の定期検査 後編

    前編

    
    
    
     全身検査。
     それは頭の先から足の先までをくまなく調べ、皮膚科系はもちろんガン系のしこりや筋肉の張り等の正常さを確かめるものだ。ここでは三人の検査医が女子生徒を取り囲み、それぞれの手で視診触診を行っていく。
     深雪はコレまで以上に赤くなり、首から上はほぼ別色といえるほどに顔面を熱くしていた。
    (こ、これって一番……)
     至近距離から、三人の男が手で触れながら視診してくるのだ。
     両腕を真っ直ぐ左右に伸ばし、二人がそれぞれの両腕を触って調べている。残る一人は背後へ回り、脇の下へべったりと手を貼り付ける。上から腰のくびれまでへと、ボディチェックを行うように撫でていく。
    (ふあ、あぁぁ……)
     上下に手をスライド往復される刺激に震えた。
    「右腕問題なし」
    「こっちもです」
    「肌は全体的にサラサラですね」
    「ふんわりと柔らかく、羽のわたのように優しい肌です」
     深雪は涙ぐんだ。
     三人の検査医達は深雪の体を事務的に弄くりまわし、合計六本の手がいたるところを這いずり回る。あくまで触診でしかない手が、しかし太ももを揉み始め、うなじをくすぐり、耳まで触れて全身を調べ尽くす。
     まるで拷問だった。
     悪いことなどしていないのに、途中からは頭の後ろで両手を組まされ、そして脇の下から足の裏までベタベタと触られる。体中いたるところに手垢をつけられ、もはや手の当たっていない面積部分など残されないほど、触診は丁寧に行われた。
     きっと兄へ差し出したかった大切な肌だというのに。
     そんな深雪の事情などお構いなしに、女が嫌だと思う部分を検査医は平気で調べ、指先で素肌をくすぐっている。
    「かなり発育がいいですね」
    「筋肉と脂肪のバランスがいい」
    「スタイルも抜群の部類でしょう」
     検査医達は深雪の体をああだこうだと論じていった。
    (こんなに観察して、意見を言い合うなんて……恥ずかしすぎます!)
     深雪は悶える。
    「お手本のようです。教科書に載せたいくらいですね」
    「はっはっはっは」
     軽く、笑われた。
     もちろん、検査医達に深雪を貶める意志はない。深雪の体への感想を疲れた気分を紛らわすために言い交わし、地道な作業疲れをほんの少し癒したのだ。何十人もの検査を受け持つ彼らにとって、深雪がどんな気持ちになっていようと、選りすぐりの美少女であろうと、大勢いる検査対象の一人にすぎないのだ。
     もっと言えば、処理しなくてはいけない仕事の一部だ。
    「乳房に入ります」
    「了解」
     もはや本人の意思などないも同じ。
    「健康的ですねぇ」
    「硬さは?」
    「やはりふわっとした柔らかさで、餅が手に張り付くかのようです」
    「なるほど」
     一人が乳房を両手で掴み、揉み始めた。なんの断りもなく、ただ仕事上のノルマを消化したい検査医は顔色一つ変えずに指を押し込み、皮膚の内側に何かがないかを探している。彼らに卑猥な心は欠片もないが、それだけに業務を淡々とこなしすぎていて、深雪の気持ちに対する配慮や紳士的接し方さえ欠片もない。
    (お兄様……助けて下さい……深雪はこんなのもう嫌です……)
     深雪は唇を噛み締めた。
     男の指が乳房を持ち上げ、プルプルと揺らしてくる。表面を撫でるようにして形をなぞり、乳肌の皮膚を調べてくる。乳首を摘み、グリグリとつねってくる。引っ張ったり、押し込んだりされ、突起した乳首は執拗に虐め抜かれた。
    (お兄様ぁ……)
     身をよじったり、体が逃げる反応をすれば「動かないで下さい」と注意が飛ぶ。胸をいいように扱われながらも、後頭部に手を組んだまま、深雪はひたすら我慢していなくてはならなかった。
    「乳首もコリっとしています」
     そんな情報を声に出される。
    「ええと、いずれも疾患は無しで、それから……」
     そして一人はチェックシートにペンを走らせ、今までの診察結果を書き込んでいる。書類の記入欄には、深雪の乳房や太ももの感触について書く項目もある。その人の語彙力が許す限り正確に、体つきから何もかもまでが記入されている。
    「しかし、やはり綺麗ですね」
    「ボディラインは人一倍優れていそうですしねぇ?」
    「触れた感じも全体的に柔らかく、ふんわりです」
    「なかなかいませんよ。ここまでの子は」
     他意はなくとも、深雪の体つきにまつわる感想が事務的に述べられていた。
    (お兄様……ぐすん……お兄様ぁ…………)
     それでも、耐えることしか許されない。
     深雪にできるのは、この時間が一刻も早く終わることを願うだけである。
    
    「では、臀部及び陰部へ移りましょう」
    
    「……!」
     おもむろにショーツに指をかけられ、深雪は戦慄した。全身に緊張がほとばしり、それでなくとも真っ赤な顔へさらに血流が集まって、心臓は早鐘のようにドクドクと大きな音を打ち鳴らす。
     検査項目は事前に通知されている。初めから内容はわかっていたし、腹を括ってきたつもりもあった。だが、いざこの瞬間を迎えた時、大事な部分が曝け出される危機感に、全身に警戒信号が行き渡り、鳥肌さえ立てながら深雪はごくりと息を飲んだ。
    (嫌ですわ! やはりここだけは……)
     ショーツは最後の砦だ。
     それを履いている限り、乙女の秘密だけは隠してくれる最後の盾だ。これを失えば最大の弱点が外へ晒され、深雪は無防備となってしまう。
     それに対する危機感。
     本能から警戒信号が発令され、深雪はほとんど条件反射的に抵抗した。いや、抵抗といっても抑えはしている。ただ脱がされかけたショーツを手で引き止め、深雪は自分の最後の防壁を失うまいとしていた。
    「どうしました?」
     検査医はそんな深雪を不思議そうに見つめていた。
    「脱がないと検査が進みませんが」
    「ほら、他の子達も待っているんですよ?」
    「あなた一人に時間はかけられないんです」
     口々に言われる。
    「わかっています。わかっていますが……」
     深雪は震えた。
     どうしても、こんな場所を見せなくてはいけないのだろうか。
     晒さなくては許されないのだろうか。
     女に生まれ、この学校に入学したというだけで……。
     悲しい、悲しすぎる。
     羞恥心が胸の内側で膨張し、風船を一気に膨らませていくかのように大きくなる。ただ恥ずかしさという一色だけが、深雪の感情を染め上げている。あまりに酷い恥をかかされて、泣けてきた。
    「司波深雪!」
     注意の声を上げるのは教師である。
    「これは規則なんだ。決まりを守れないようであれば、お兄さんにも迷惑がかかるが?」
    「お、お兄様に……!?」
     深雪ははっとした。校則違反に対しては当然指導が行われる。深雪への厳重注意に伴って、兄妹として同居している兄にも深雪の話をされかねない。問題行動だ、兄からもきちんと言って聞かせるように、といった具合に。
     兄に迷惑をかけることは本意じゃない。
     脱ぐしか、ない。
     泣きたくなるほど嫌なことでも、少し我慢すれば事は過ぎ去る。耐え抜いて、耐え抜いて、耐え忍ぶのだ。
     きちんと、兄の言いつけ通りに。
    「……すみません。恥ずかしくて、つい。きちんと受けますので」
     反省の素振りを見て、教師は一歩後ろへ下がる。
     これから陰部を晒されるのに、それでも謝るのは自分の方である事実を悲しく思った。
    「では改めて」
     検査医はその瞬間、ばっさり。
    「――――っ!!!」
     遠慮無しに一気に引き下げ、心の準備をする猶予もなく、深雪の全てが男達の視線の中へと曝け出された。
     ――カァァァァ!
     と、沸騰せんばかりに首から上がまんべんなく熱くなる。顔から蒸気が出てもおかしくないほど、火照るという言い方では生易しいほどに血流が頭部に集中する。全体的にきめ細かく、美白肌の深雪だが、首を境界線として顔面と両耳だけが真紅に染まっていた。
    (……こんな! こんな人前で生まれたままに姿になるだなんて!)
     あまりの顔の熱さに、額や頬からだけ汗が吹き出た。
     雪をふんわりと積らせたような白い尻は、触れれば崩れそうなほどに柔らかい。あるいは清潔な羽綿のように優しく、大きすぎず小さすぎない控えめなカーブでプリっとしている。
     手前の方では、毛が丁寧に手入れされている。切り揃えられた陰毛は草原の領地を控えめにして、貝の割れ目がくっきりと目に見える。ぷにっ、と微妙な膨らみを持つ皮は、ぴったりと閉じ合わさってラインを明確に浮き出していた。
    (こんなの……深雪は生きていけませんわ……)
     深雪は震えた。
     これは刑罰か何かだろうか。そんなものを受けるほど悪いことはしていないのに、検査医三人と男性教師、合計四人の男に囲まれた状況下で最後の盾を失ったのだ。こんな目に遭わされる人間は、他には捕虜か奴隷くらいだ。
     検査医の顔がアソコへ近づく。
    「陰毛はカットしていますか?」
     そんな質問をされ、深雪は深く俯いた。
    「……はい。手入れはしています」
    「そうですか」
     そっけない。
    「…………」
     特に意味はない。素朴な疑問を何気なく、そして深雪の気持ちなど考えずに投げかけて、答えがわかれば適当に頷いた。ただただ、深雪の心が削られるだけのやり取りだった。
    「では四つん這いになって下さい」
    「……え?」
    「性器及び肛門を検査するための姿勢です。
     事前に説明が行っていると思いますが」
    「……は、はいっ。申し訳ありません」
     どうして自分が謝るのだろう。
     情けのない気持ちになりながら、死にたい気持ちになりながら、深雪は床に膝をつく。そして両手をべったりつけ、全裸でお尻を差し出す犬同然のポーズとなる。
    「では肛門ですが……」
     一人の検査医が深雪のお尻へしゃがみ込み、尻たぶを掴んで割り開く。
    (いやぁぁあぁぁああ……!)
     深雪は強く目を瞑り、歯を噛み締めた。
     親指で押し広げたその間で、桜色の雛菊皺がヒクっと蠢いた。真っ白な尻肌の中央にぽつんと咲いた可憐な色は、およそ排泄気孔とは思えないほど、皺の花びらを放射状に広げている。
     それを検査医は凝視した。
    (うぅ……お尻の穴まで…………)
     ただの視線一つが鋭い針のように深雪へ突き刺さり、肛門をチクチクと痛めつけている。
    「とても綺麗ですよ。黒ずみがないんです」
    「本当ですか?」
    「どれどれ」
     肛門を覗いていたのは一人だったが、今ので残る二人も同時に深雪のお尻を観察し、尻穴の桜色に次々と簡単の声を上げていく。
    「ほほーう」
    「こんな場所がここまで綺麗だなんて」
    「普通は黒ずみがあるはずですが、これは白い肌に桜色を乗せた色感が効いています。
     純白から薄紅色へと変化していくグラデーションのように、美感がありますよね」
     よりにもよって肛門について品評され、激しい羞恥の情動が胸の中身を荒らし出す。頭の中からまともな思考は削がれていき、この恥ずかしさに悲鳴を上げたい、自分の状況を恥じた気持ちだけが深雪の頭を占めていく。
    (……恥ずかしすぎます!)
     深雪の心は叫んでいた。
    (こんなこと……深雪は恥ずかしさで死にそうです……!)
     恥じらいに熱された顔全体に汗が滲んで、皮膚が湿っぽくなっていく。その吹き出た汗が上昇した体温に温められ、いよいよ本当に顔から湯気が出てもおかしくない。
     硬く強く食いしばられた歯は癒着したかのように離れなくなり、瞼も自身の眼球を潰さんばかりに力の限り閉じられる。床に置いた手は握りこぶしとなって、内側に爪を食い込ませるまで強く握られていた。
     体のどこかに力を入れ、硬く震えることによって、深雪はかろうじて耐えていた。
    「性器を開いてみましょう」
     くぱぁ……。
    (んく――んんん……! な、ナカを見られるなんて……!)
     桃色の貝の中身を左右に開かれ、今度は肉ヒダへ視線照射が集中した。ヒクヒクと蠢く陰唇が、包皮に覆われたクリトリスが、まだ男を知らない膣口が観察される。
    「血色はいいですねぇ」
    「ビラの大きさも」
    「おや、処女ですか」
     視診された中身の状態を口にされ、もはや手付かずの恥部は残っていない。全てを余すことなく観察され尽くし、しかし二つの穴への触診はまだ行われていない。一人がチェックシートを片手にペンを構え、もう一人は深雪の背中を押さえて動いても手で固定できるようにポジションを取る。
     そして、診察用のゴム手袋をはめた一人が中指で性器をなぞり、男に触れられる言い知れぬ感覚に背筋全体がゾクっとした。
    (いやぁ……)
     淫らな意思を持たない『触診』は、それでもクリトリスの周囲をそーっと、触れるか触れないかといった微妙さで指の腹を当てている。デリケートな部分を傷めないよう、優しく撫で擦るやり方は愛撫に近いところがあった。
    (嫌ですわ……嫌ですわ……)
     検査医は膣口の周囲をなぞっていき、具合を探る。まだ未使用の入り口に余計な傷をつけない程度に先端を挿し、グリグリと回すようにして触感を確かめる。その刺激が甘い痺れを生み出して、内股のあたりをピリピリさせた。
    「特に何もありませんね」
     検査医はゴム手袋を取り替えて、次は肛門を診るためにワセリンを塗り始める。
    (いひぁ……!)
     ひやっとして、皺が一瞬ヒクンと縮んだ。
    (は、入ってくる……)
     中指が直腸へと進入し、内側を探り出す。肛門から異物が入ってくる違和感と、内部を調査されている心地の悪さ。検査医は指を左右に回転させ、出し入れしつつ触診位置を調整し、指の腹に感じる直腸の触り心地で丁寧に症状を探っていた。
     ズプ、ズプ、ズプ……。
     内部を摩擦するために、指がゆっくりピストンされる。
    (そんなぁ……)
     性器を観察された挙句に尻の穴までほじくられ、頭がどうにかなりそうなほどに猛烈な羞恥が膨れていく。もしかしたら、自分はこのまま恥ずかしさで死ぬのでは。膨大な羞恥心が容量を超えて多量に溢れ、堪えきれない感情量が全身にいきわたり、やがては事切れてしまうのではと、ありえない想像さえよぎってくる。
     ズプ、ズプ、ズプ……。
    (駄目です! もう……もう死にそうです……!)
     ヌプッ。
     それはゼリーを塗りたくった指が抜ける音。
     限界点を越えた時、ようやく指が引き抜かれたのだ。
    「異常なしです」
    「了解」
     これで、直腸検診までが終了した。
    (……た、助かりましたわ)
     羞恥心が死因になるなどないだろうが、深雪自身は本当に死ぬ思いをしていたのだ。やっとの事で解放された安心感で、自分が全裸の四つん這いでいることをつい一瞬忘れてしまう。けれども、安心の直後にすぐに自分の姿を思い出し、薄くなりかけていた赤面濃度は途端に元に戻るのだった。
    
    「あとは尿検査だけですね」
    
    (にょ、尿検査……!)
     深雪の表情は絶望に変わった。
     ようやく尻穴から指が抜かれて、つい安心しすぎてしまったが、事前の通知で採尿が行われる事はわかっていた。
     本人の尿であることを確認するため、放尿は検査医の前でとなる。三人もの男と、加えて男性教師が立っている前で、トイレでもない場所で容器の中へ用を足す。立ち会った教師が確かに司波深雪本人の尿であるとお墨付きを与え、それを検査医が病院へ持ち帰る。何らかの症状が判明した場合はその後本人に連絡がいき、健康であれば通達は特にない。
     しかし、尿を出せと言われて出せるとは限らない。相応の尿意が必要なため、事前の連絡でも直後に水分を取るよう指示が出て、朝も紙コップが学校から配られて、利尿性の高い飲料を一人一杯飲んでいる。
     これを終えてこそ、正真正銘の解放なのだ。
    
            ◇ ◇ ◇
    
     ジョォォォォォオオオォォオォォ――――
    
     尿道口から飛び出る黄色の水が、宛がわれた尿瓶の中へ溜まっていく。万が一にも床を汚さないため下にはタオルが敷かれており、尿瓶も大きめのものが使われている。たくさん出すぎて容器から溢れるといった心配はなさそうだった。
     ジョロロロロロロロロ…………。
     プラスチック容器を打ち鳴らしていた水音は、すぐに水面を鳴らす音へと変化していた。
    (こんなこと……こんなこと……)
     深雪が受けている仕打ちは、幼少の子供か赤ん坊扱いそのものだ。
    (こんな……こんな……!)
     赤すぎる顔を両手で隠し、深雪はもはや目の前の相手の顔さえ見れていない。こんなことは現実じゃない、悪い夢だと言い聞かせ、全力で目を瞑っている。瞼を閉じ、歯を食いしばるという行為には、筋力が許す限り最大限の力が込められていた。
     ジョロジョロジョロ――。
     放尿とは一度始まったら止まらない。トイレそのものを我慢しなければ、途中で中断がしにくいものだ。普通の生活を送る分にはそんな事で困る機会はないが、今ばかりはその生理的仕組みが残酷だった。
     ジョォ――ジョォ――ジョォオオオ――。
     深雪は開脚した股を持ち上げられ、そこへ尿瓶を当てられている。まるで一人でおしっこができない年齢のような扱いを受け、その光景を男性教師と余った検査医はまじまじと眺めているのだ。
     しかも、クラスメイトもいる中だ。
     既に先に順番が回っているか、あるいは後で同じ運命を辿ることに決まっているとはいえ、身内が同室にいる状況での放尿は最も耐え難いものである。ぐすん、と涙ぐんだ声が出て、硬く閉じられた瞼の隙間からも水滴が滲んでいた。
    (お兄様……深雪はこんなことをさせられています……)
     ジョロロロロロロロロロ。
     尿の勢いは少しずつ緩んでいるが、まだ止まらない。温かい尿液はみるみるうちに水かさを増し、大きめだった尿瓶の半分を突破している。
    (……人前でおしっこを致しました)
     ジョロ、ジョロ。
     尿が切れ始める。
    (アソコを見られました……お尻に指を入れられました……。そして、おしっこまでしているのです……)
     深雪の心は懺悔のように語っていく。
    (こんな深雪をどうか嫌いにならないで下さい。どうか……)
     ジョ、ジョロ…………。
     放尿が途切れ、溜まっていたものは全て出し切られた。
    
            ◇ ◇ ◇
    
     無事に生きて帰って来れた。
     生死の危険などありもしないのに、家へついてから深雪が感じたのはそんな思いだ。あんな悪夢のような目に遭わされ、それでも一応死なずに済んでいる。
     一応……。
     ただし、深雪の痴態はきっと教師の記憶に刻まれている。いかに医師にそういう感情がないとしても、男性教師はきっと深雪をオカズにするに違いない。そうはっきりと予想できるほど、教師が視姦していた対象はほとんどが深雪だったのだ。
    「お兄様、何でも一つ言う事を聞いてくれるのでしたよね」
    「ああ、そういう約束だったな」
    「……人の記憶は消せますか?」
     例え世界中から今日の深雪の記憶が消えても、歴史そのものは変わらない。拷問も同然だった出来事の数々は他でもない深雪に刻まれている。
     しかも、だ。
     同じ内容の検査は年に一度行われる。
     過ぎ去った悪夢が再びやって来ることは規定事項なのだ。
    
     深雪は負けません。
     それでも、元気を出して頑張ります。