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  • 痴漢DS!

    
    
    
     俺はとても便利なDSソフトを持っている。
    
     その名も、「痴漢DS!」。
    
     これはタッチ画面を通して現実の女の子に刺激を与えることの出来るソフトで、街なんかで見かけた可愛い子を好きにお触りできるものだ。
     使い方は、まず対象となる女の子を選択する。ゲームを起動すれば身の回りの風景が画面に映し出されるから、その中にいる女の子をタッチペンで選択すればいい。
     例えば俺は今、電車の座席に座っている。目の前にはちょうど中学生くらいの女の子が立っていて、つり革を掴んでゆったりと揺られている。座席はほとんど埋まっているから、他にもそうして立っている人はちらほらした。
     そんな光景が画面に写し出されている。その映像の中から、俺はタッチペンで目の前の女の子を選ぶ。すると選んだ女の子が画面全体に表示され、いよいよイタズラができてしまうってわけだ。
     さて、おさわりを開始する。
     まず手始めに、タッチペンで胸をグリグリした。
    
    (ひゃ! な、何この感じ……!)
    
     いきなり手に触れられたかのような感触がして、女の子はさぞかし驚いたことだろう。
     そんな心の声が、繋いだイヤホンを通して聞こえてくる。このように、「痴漢DS!」ではタッチしたときの反応ボイスを拾うことができるのだ。
     画面に写る女の子の立ち映像は、拡大や拡小ができるので、全身を眺めたり局部をアップしたりできる、さらには角度も変更できるので、俺はタッチペンを駆使してパンツを拝むことにした。
     角度変更により、画面の中にはまるで盗撮写真のようにして、スカートの中身がばっちりと映りこむ。白いパンツから丸いお尻の肉がはみ出ていて、中々目を見張る。
     俺はタッチペンでお尻を撫でてやった。
    (やっ! またこの感じ……。もしかして痴漢?)
     女の子は痴漢を疑い、背後の人の気配を警戒する。しかし、周りにはそれほど怪しい人はいない。横に男性こそ立っているものの、つり革を掴んだ上にバッグの持ち手を握っているため、痴漢行為など不可能なのだ。
     女の子に触れるはずの男など、存在しないのだ。
     ましてやゲーム機が犯人とは思わないだろう。だから女の子は、正体不明の謎の触感に戸惑うばかりとなっていった。
     そんな戸惑いがちに頬を染めた表情が、俺の嗜虐心を刺激していく。
     俺は再び胸の部分をアップして、さらなる機能を使用することにした。
     
     ――衣服の透過だ。
    
     実際に脱がせるわけではないが、画面中では狙った女の子の服の透過率を操作できる。つまり、本人に気づかれることなくその子の裸を拝めるのだ。
     俺は制服をはブラジャーごと透過して、生乳を拝んだ。
     なるほど、まだまだ未発達だが確実に膨らみ始めている。ぷっくりとした控えめなサイズに、可愛らしく花を彩る桃色の乳首、ロリティックで悪くない体つきだ。
     俺はその乳首をタッチして、刺激してやった。
    (んっ! そ、そんな……この感触は何なの?)
     女の子は戸惑いながら感じている。
     感度は充分あるらしい。
     タッチ画面の乳をくるくる回すと、それに伴って乳房は揉まれるかのような柔らかな肉の変形を見せる。女の子は今、実際に揉まれているような感触を体感しているはずだ。
    (そんな……! 私、おかしくなったの?)
     なるほど、まさかゲーム機が原因とは思わないだろうからね。
     女の子は自分が変になったと思い込み、恥ずかしそうに俯いてしまう。
     俺は追撃をかけるかのようにして、今度は画面を下腹部のアップに切り替え、パンツを透過した。丸出しとなったお尻と秘部をしばし眺め、そして秘密の部分をタッチペンで愛撫する。
    (んんんっ! いやぁ……!)
     俺の目の前で、女の子はモジモジしながら息を荒げる。アソコを気にするような微妙な仕草を取りながら、スカートの内側で太ももを引き締めた。
     俺はその太ももを撫でる。
    (さっきからこの感覚、なんでなの?)
     女の子は恥じらいながら必死に耐えている。
     その心の声と反応が面白くて、俺はバイブ機能を使った。
    
     ブウゥゥン!
    
     振動音声の鳴らすカーソルを、拡大された秘所へ押し当てる。
    「ひっ!」
     生の声を漏らしかけた女の子は、慌てて歯を食いしばった。
     そう、これには道具機能も付いているのだ。バイブ機能を選択すれば、女の子にまるでバイブの振動を受けたような感触を与えられる。
     俺はその機能によって、秘所を虐めてやった。
    (んっ! んんん……何なの? 私って、いやらしい子なの?)
     どうやら女の子は、何故か発生する謎の感触の正体を、自分の妄想だと思い始めている。実際は俺の仕業なのだが、そんなカラクリなど知る由もないこの子としては、そういう結論に行き着くしかないのだろう。
     俺は画面をお尻のアップに切り替え、肛門にバイブを押し当てた。
    (ひゃ! 今度はお尻?)
     相変わらずの戸惑いと喘ぎ声が、イヤホンから流れてくる。
     しまいには口を手でふさいで、喘ぎ声が漏れないように我慢し始めた。そして、犯人が目の前にいるとも知らず、女の子はモジモジと太ももをすり合わせる。その仕草は、まるでオシッコを我慢しているように見えた。
     この感触は一体なんなのか。
     トイレにいって下腹部の様子を確認したいと、女の子は思っているだろうね。
    
     最後の機能として、痴漢DSでは全ての行為を録画できる。
    
     つまり、今までの女の子の痴態は全てこのゲーム機の中に保存されているというわけだ。この動画をオカズにして、俺はいつでもこの女の子の恥ずかしい姿を楽しめることができる。
    
     こんな最高のゲームの存在に、俺は心から感謝した。
    
     淫天堂よ! 発売してくれてありがとう!
    
    
    
    


     
     
     


  • 幽霊電車は痴漢の巣窟 柳瞳佳

    
    
    
     都市伝説があった。
     百合谷市を走る電車の中には、かつて人を轢き殺したものが今でも走り続けている。その車両に乗った女性は、死んだ男の幽霊と出会うことがある。
     それと、もう一つ。
     その電車は何人も殺したらしい。
    
     さわっ、
    
     痴漢だった。
     満員状態で周囲との密着を余儀なくされ、息苦しく過ごすことになる柳瞳佳は、銀鈴学院高校の制服を着て、そのスカートの上に手の平の感触を感じていた。
     べったりと貼り付いた手は、瞳佳が何も抵抗しないばかりか、思わず俯いてしまう反応を見るに動き出し、まずは尻の丸みを撫で回す。上下に、あるいはぐるぐると、いやらしく軽やかな手つきで撫でていき、しまいには揉み始めていた。
     嫌だな、と、瞳佳はそれを我慢していた。
     活発か大人しいかでいえば大人しい、強い意志を持って何かを主張したり、目上相手に動じず引かないといった、強気な一面を持ち合わせているとは言いにくい。痴漢はもちろん許せないし、肘打ちの一つも喰らわせたいが、逆上してくる手合いだったらどうしようかといった不安もあった。
     痴漢を駅員に突き出そうとして、逆に男の方が怒りをあらわに暴力を働き、といった加害者側が暴利を奮ったケースをどこだかで聞いたことがある。
     たかが尻を触られているだけと割り切るべきか、それとも女子高生の尻を触った立派な銃犯罪者として断固許すまじとするべきか。そう考えるとわからなくて、わからないまま瞳佳は我慢しているのだった。
     それに、だ。
     瞳佳の背中に密着している男性は、瞳佳に対して背中を向け、つまり背中合わせの状態で、しかもどうにか肩越しに振り向きながら見てみると、つり革を掴んだ上でスマートフォンまで弄っていて、両手とも塞がっているのだ。
     他の瞳佳に触れるであろう距離の男も、ことごとく両手で本を読んでいる。スマートドンを両手で弄る。つり革を掴んでいるなど、とにかく瞳佳のお尻に触りうる男が存在しない。
     だというのに、瞳佳のお尻は間違いなく触られていた。
     生きた犯人がいないのに、誰を突き出すことも出来るわけがないのだった。
    
     もみっ、
    
     手が、増えた。
     同じくつり革を掴んだ瞳佳の右腕は、そのため胸をガードできない状態で、隙を突くべきして脇の後ろから忍んだ手が、大胆にも鷲掴みにして揉み始めていた。
     まさか、こんなところで。
     しだいに温度が下がってゆく感覚がした。
     空気が重く、暗くなっていく感覚。
     それは他でもない、瞳佳の『霊感』が感じる方の、嫌な感じ。腕が、顔が、首筋が、露出して空気に触れている肌の部分が、だんだんと嫌なものを感じ取り、ぞぞ、と産毛が逆立つ感覚が這い上がってゆく。
     この電車は良くない。
     いわくつきの場所で時々あった感覚だ。
     ここは良くない。
     まるで冬場の冷気に全身を晒されているかのように、完全に冷え切った瞳佳の身体は、寒くてたまらないかのように鳥肌を広げている。それだけ冷えた感じがするのに、這い回る『手』には、あたかも生きた体温があるようで、おぞましい温もりを宿していた。
     ぱちりと、制服の内側で、ブラジャーのホックが外れた。
     どのように力が働いて、どうして外れてしまったのか、想像さえできはしない。とにかく急に一瞬だけ、下着の締め付けが強まったと思ったら、もうホックは外れてしまって、瞳佳の白いブラジャーは緩んでいた。
     さらに次に感じたのは、乳首が両方とも、指につままれている感覚だ。
     自分の胸元を見てみれば、正面にいる男の背中から、誰のものでもない手が生えて、その背中から生えた手こそが、制服を透かした向こうにある乳首を刺激していた。
     そして、うなじだ。
    
     ぺろぉぉぉぉぉ――。
    
     首にかかった髪をかきわけ、後ろから、長く伸ばした舌でねっとりと舐め上げた。
     気づけば太ももにも手があった。腕にも、腰にも、鎖骨に、耳に、頬に、頭に、いたるところに無数の手が、大群で一つの獲物にたかるかのように瞳佳に殺到して、ありとあらゆる箇所にかけてが撫で回された。
     嫌だ、気持ち悪い。
     肌の粟立ちに耐え切れず、我が身を抱き締めたい衝動にかられるが、そう思ったときには手首を掴んで離さない手まで現れて、瞳佳にはもう抗えなかった。
     ショーツが勝手に下がっていた。
     あたかも下着自身に意志があり、ナメクジが這うのと同じ移動方法を会得しているように、危うくスカートの丈から出ていきそうな危うい位置まで動いていく。
     生尻に手は群がり、アソコを愛撫したくてたまらない指の数々も殺到した。
     きちんとスカートに隠れているはずの生尻は、指の力によって割れ目が開かれ、肛門をぐりぐりとほじろうとする指が菊座に居座る。丸いカーブを可愛がり、その上弦をくすぐり、下弦を持ち上げんばかりのタッチで責める。
     もうそれは、単に『手』と称するべきではなかった。
     いくつもの手と手が、だんだん癒着していって、その結果生まれる人間の指で出来たイソギンチャクとでも言うべきものが、瞳佳のお尻を執拗に愛でていた。
     アソコにもそれと同様のものが居ついていた。
     性器の皮を、膣口を、クリトリスを、そして秘所に殺到しきることの出来ない余った指は、その周囲の皮膚を指先でそっとくすぐり続けている。
     腰をがっしり掴むかのような二つの手が、くびれに沿って上下に動く。
     ヘソをつついている指が、穴のまわりの皮膚まで嬲る。
     太もものいたる部分に張り付いた手が、揉むように撫でるように、それぞれ這う。
     両耳とも弄ばれ、うなじもくすぐる対象とされ、乳房にも複数の手が群がる。胸を揉めない余りの手も、仕方なく肩や二の腕の肉を揉み、肋骨の皮膚を這う。
     あまりにも、おぞましかった。
     もしも男性の手首を切り取って、おびただしい数の手を詰め込んだ『手の風呂』が存在したなら、今の瞳佳はそこに裸で浸かっていることと変わらない。瞳佳の皮膚面積のうち、およそ手垢がついていない部分など、もう一ミリ平方とて残っていなかった。
     肌中が戦慄に粟立つほどの、途方もないおぞましさでありながら、女性を嬲ることに慣れた手の集合体は、着実に瞳佳のことを気持ちよくさせていた。
    「あっ……あ、あぁ……ふぅ……んぅ……んぁぁ…………」
     否応無しに感じる瞳佳は、低く苦しく呻くかのような、そんな喘ぎ声を漏らしていた。
     くねくねと腰を揺らして身悶えしている瞳佳の様子は、周囲の一般乗客の目を少しは引いているのだが、あえて様子のおかしな人間を気に止めようとする者はいなかった。いないのだがチラチラとした視線が皆無というわけでもなく、その一つ一つが瞳佳の羞恥を煽っていた。
     まさか、こんな目に――。
     自分の体質によって、巻き込んでしまった誰かが怪我をしたり、あるいは亡くなったことさえ過去にはあった。
     しかし、今は瞳佳自身だ。
     こうなると心のどこかで諦めがつく。
     どちらにしろ、これをこの場で払う方法など知らない瞳佳には、自分のせいで人が死んだことがあるのだから、少しは何か報いがないと、釣り合いが取れない気がするような、この状況はそういう気持ちを呼び起こすのに十分なものだった。
     やがて、瞳佳は絶頂した。
     イって頭が真っ白になっても、手は愛撫をやめてはくれず、むしろ余計に活発化して、瞳佳をもう一度イカせようと張り切った。
     何度も、何度も、電車の中で身体をビクビクと痙攣させ、アソコから愛液を流したと思う。
     瞳佳の流した膣分泌液の香りが、周囲にも漂って、どれだけの人が怪訝な顔を浮かべたり、いやらしい女を見る卑猥な視線を送ったかわからない。
     瞳佳は、痴漢にとり憑かれた。
    
         ***
    
     その日、夢を見た。
     いや、夢というよりは、もしかしたら『情報』だったのかもしれない。意識が妙に鮮明化していて、なのにぼんやりともしていて、これは夢なのだと自覚的でいられるものの、もしかしたら本当は夢ではなく現実かもしれないとも錯覚した。
     そういう夢の中で、瞳佳は電車の中にいた。
     電車内で、挿入されていた。
     窓に両手を添えた瞳佳は、尻を後ろに突き出して、そのスカートがすっかり捲れ上がった丸出しの尻の後ろから、バック挿入によって貫かれていた。
    「……あっ! あんっ、あん! んん!」
     ピストンによって喘ぎ声を漏らす瞳佳は、窓の景色をじっと眺めた。
     しかし、窓には街や自然といった景色はない。
     映っているのは、車内を鏡のごとく反射したものだ。
     他にもいる無数の男が、まるで次に挿入する順番待ちのように、あるいは鑑賞のために群がるようにして、一人一人がぼぅっと立ち尽くしている。
     それだけ、意味もなく眺めていた。
    「あぁ……! あっ、んんぅ……!」
     一心不乱に貫いてくるせいで、後ろから身体を揺らされて、だから視界もぶれる瞳佳は、それでも窓に映ったものばかり無意味に見ていた。
     しかし、そこでだ。
     ふと、何気なくアソコに意識をやる。
     棒の太さが穴幅を微妙に押し広げてくるちょっとした窮屈さと、だから自然と締め付けてしまう自分自身の膣肉の力と、肉棒の皮膚と膣壁が、愛液の粘性によって癒着し合って馴染みきり、その摩擦が大きな快感となって背中にまで競りあがることだけに集中していた。
     これは『映像』なのだと思う。
     画面を解して視聴する普通の意味の映像と違って、魂がそこに吸い取られるというべきか、自分自身が人物と化して体験しているというべきか。ともかく体験的な情報が、きっと再生という形によって流れていると、瞳佳はおぼろげにぼんやりと理解していた。
     ああ、だけど気持ちいい……。
     急にバック挿入の男が、肉棒を引き抜いたと思ったら、尻には熱い白濁が降りかかった。これが精液というものなのかと、実感として初めて知りつつ、射精した男が下がると別の男が前に出て、異なる体位に瞳佳を導く。
     騎乗位だった。
     寝そべった男の上に跨り、瞳佳が上下に弾むことにより、肉棒に刺激を与える。尻を揺さぶる運動に伴って、身体を持ち上げてから、腰をずっぷり落としてやると、肉の深い部分まで棒が食い込む。
    「あぁぁ……あふぁぁ……!」
     その落ちると食い込んでくる感じを味わうため、夢中で腰を持ち上げて、尻を落として、そうしていると左右にも男が寄ってくる。
     左右の二人は、瞳佳に何を求めるのか。
     自然と理解した瞳佳は、両手で二本の肉棒を握り、できるだけしごきながら、騎乗位による上下運動に励んでいた。
     当然、そんなことには慣れていない。
     だから非情に拙いものとなったのだが、時間をかければ射精にいきつき、左右の男が発射する精液は、瞳佳の頬の両側にべったりと張り付いた。騎乗位による射精は中出しとなり、膣内が白く汚れて、棒を抜いたら穴から垂れた。
     四つん這いでのバック挿入。
     すると、正面にも男が現れ、肉棒を突きつけてくるものだから、瞳佳はそれを、あむっ、と咥えた。少しは舌を動かしたり、唇を駆使するが、拙い技術に力はない。なのであとは、尻を打ち鳴らす腰振り運動で、身体が前後に揺れることに合わせてやり、何とかして肉棒を口で前後にしごいていた。
     そんな、夢。
     目が覚めると、瞳佳のアソコは愛液にまみれていた。
     きちんとパジャマで寝たはずが全裸で、下着は脱ぎ散らかしてあり、高校生にもなっておねしょをしてしまったようにしか見えないシーツのシミが、誤魔化しようもなく広がっていた。
     それから、精液の香りがツーンと部屋の中を漂っていた。
     それが精液と知らない瞳佳は、一体何の匂いなのかと、首を傾げることしかできない。
     しかしそれは、精液の匂いなのだった。
    
        ***
    
     都市伝説の内容は痴漢。
     ある日、逆上した痴漢と、気の強い被害者女性で争いになり、争う末に男が線路に落ちた挙句に轢かれてしまった。
     それから、その車両には幽霊が出るようになる。
     幽霊が痴漢をやる。
     霊感などない女性達は、間違った男を摘発して、駅員達のあいだでは、この車両は痴漢冤罪が何故か起きやすい不思議な車両ということになっていた。
     その電車が、よりいわくつきとして知られるようになったのは、冤罪被害者となった複数の男性が、線路へ飛び出して自殺を図ったことからだ。次々と冤罪被害者を轢き殺し、負の実績を積み上げた車両は、今でも走り続けていると言われている。
     初めて幽霊電車の存在が知れ渡り、都市伝説にまでなってから、誰が取材に奔走したのか調べ上げ、その電車に積み重なった負の歴史を解明した。
     どこかのホラー小説には、これをモチーフにしたと思われる車両が登場するらしい。
     柳瞳佳が後から知った情報は、これが全てだった。
    
    
    


     
     
     


  • 信乃歩ちゃんが電車に乗ったら

    
    
    
      それは家族ぐるみて都会へ出かけた時だった。
     ――ひっ!
     満員電車の中、真木信乃歩はスカートの上からお尻を狙われた。
     たまたま一人で行動した帰り、身動きできないほどの混み合いの中での痴漢に遭った。逃げ出すだけのスペースはなく、後ろを振り向いたり、手首を掴み上げて犯人を吊るし上げる勇気も信乃歩にはない。
    
     さわさわ、
    
     まるで優しくいたわるような撫で方に、むしろ寒気が走って身が固まる。見知らぬ誰かに触れられている怖さと、元々の気の小ささから信乃歩は声も出せない。
     ――間違いだよね? たまたま、当たってきただけだよね?
     いつだったか。痴漢で冤罪が起きたニュースを聞いたことがある。手首を掴み上げたり、振り向いて顔を確認する時、別の相手と間違えたという話だったか。そうでなくとも、これだけ混んでいればたまたま手が当たってしまうこともあるはずだ。
     きっと間違いにすぎない。そう思おうとするが。
     最初は恐る恐るといった動きだった男の手が、しだいに活発になっていき、撫でまわす手つきが大胆になり――
    
     モミモミ、
    
     男の手は信乃歩のお尻をじっくりと揉み込んだ。
     ――う、嘘! やっぱり痴漢だ!
     ここまで来て間違いはありえない。
     手は柔らかい尻肉を丹念に捏ね、その肌触りを堪能する。まだ中学生の信乃歩とはいえ、身体の発達は始まっている。お尻の膨らみと柔らかさは十分にあり、それはじっくりと男に味わい尽くされていた。
     ――どうしよう。どうすれば……。
     初めは間違いの可能性を考えていたから、痴漢を糾弾するわけにはいかないと思った。しかし、もはや自分が立派な犯罪被害に遭っていることは確実になった。
     だが、男を告発することはイコール自分は痴漢に遭いましたと宣言する事でもある。「この人痴漢です」と吊るし上げれば、みんなが「ああ、この子はお尻を触られたんだな」と信乃歩をいやらしい目で見るかもしれない。そんな悪い考えがよぎって、どうしても告発には踏み出せなかった。
     そもそも、それ以上に痴漢に対する恐怖でやはり勇気自体が信乃歩にはない。もし他人の手を間違えて掴み上げたら、正しく告発して犯人に逆恨みでもされたら。とにかく否定的な考えばかりが起こってしまう。
     結局、信乃歩は何も出来ずに我慢に徹していた。
     その抵抗のなさから、いけると判断されたのだろう。
     ――い、いや!
     スカートを捲り上げられ、今度はパンツの上からお尻を撫でられることになった。いやらしい手つきが這いまわり、お尻の形をじっくりと確かめられる。割れ目のラインをそっと指で撫でられて、背筋にまで怖気がほとばしった。
     ――こ、こんなの! 早く終わって!
     どこかで何とかしなければと思いはするが、どうする勇気もない信乃歩に策は立たない。結局何をするでもなく、ただ事が過ぎ去るのを待つばかりだった。
     そんな信乃歩に痴漢もしだいにつけあがる。
    
     ズルッ、
    
     パンツを脚の付け根まで下ろされた。不特定多数の一般人がいる中でお尻が剥き出しになったのだ。
     それだけでも心もとなく、込み上げる羞恥心に耐えなくてはいけない。例え満員状態で見られる心配などなくとも、もし見られたら? という潜在的な恐怖は拭い切れない。年頃の乙女にとって、パンツ一枚がないというのはそれだけの一大事だった。
     信じられない気持ちで、動揺する信乃歩にさらに追い討ちがかかる。
    
     さわさわ、
    
     お尻を直に撫でられる。手の感触と生暖かさが皮膚に直接伝わって、信乃歩はそのおぞましさに打ち震えた。
     ――嫌だ。どこまでする気なの?
     男の手は容赦ない。
    
     モミモミ、
    
     尻たぶを揉みしだき、さらに……。
    
     グリグリ、
    
     ――ひっ!
     男の指先が割れ目へ忍び入り、そこにある排泄気孔に触れてきた。指のお腹を押し付けられ、ぐにぐにとしたマッサージを施される。
     ――そ、そんな汚い場所!
     思春期の少女にとって、肛門に触れられるなど下手に性器を弄られるよりも恥ずかしい。決して綺麗とはいえない領域を弄られるなど、乙女にとってはいい恥だ。自分の秘密も何も侵略され、尊厳もプライドも剥奪されるかのようで耐え切れない。
     信乃歩の顔は一瞬のうちの赤く染まりあがり、耐えるかような顔つきで唇を結ぶ。眼鏡の奥で強くまぶたを閉じながら、猛烈な羞恥に打ち震えた。
    「ふー……ふー……」
     男の興奮した息遣いが信乃歩の耳に当たる。
     信乃歩の頭のすぐ後ろに、耳の近くに男の顔があるのだ。熱くおぞましい息がじわじわと耳の皮膚を犯し、うなじを汚す。
    
     ぐりぐり、
    
     屈辱の肛門責めに泣きなくなり、瞑った目から涙がにじんだ。
     もう、どこまでも好きにされるしかないのだ。
     たった一瞬だけ手が離れる。しかし、信乃歩に安心を与える隙もなく、すぐに次のものが押し当てられた。
     ――こ、これって!
     硬くゴツゴツしたものが、お尻の割れ目へ向けて押し込まれる。ペニスだ。それもズボン越しではない。中身を出して直接だ。
     ――いやぁぁ……。
     信乃歩の全身から力が抜けていった。
     男性経験のない信乃歩だが、隆々とした硬い感触がペニスのものだというのは簡単に想像がついた。熱をもった塊はお尻の割れ目にぴったりと収まり、ピクピクと蠢いている。
     男は腰を揺すっていた。ペニスを擦り付けるようにして腰を揺り動かし、強く押し当て上下に摩擦させる。
     さらにスカートに潜り込んだ手が太ももを撫で回し、信乃歩の手前に回ってくる。最初は脚を揉んでいた男の手は、やがて脚の付け根へ、内股へ上ってきて、下腹部に生え揃った乙女の茂みを掻き分ける。
     ――だ、駄目! そこは……。
     大切な場所に触れられる寸前となって、信乃歩は一気に緊張した。心臓が早鐘のようになり、今にも自分の心音が聞こえそうなほどになった。
     指先が信乃歩の穴へ迫っていき、そして男の指先は、ふっくらと盛り上がった弾力ある恥丘を楽しみ始めた。扉の両肉を指で揉まれ、丹念にほぐしこまれる。
     ――こんなの……いやぁ……。
     肉貝の割れ目をなぞりながら、男は腰を引いてペニスをずらす。今までお尻に挟まれていた男のペニスは、今度は信乃歩の内股へと差し込まれた。
     男はゆさゆさと腰を振り、秘所の裂け目へ指を侵入させていく。ついに穴まで侵略され、涙ぐんだ信乃歩は、自分の折り曲げた人差し指を噛みながら、必死に耐え忍んでいた。
     そして――
    
     ――ドピュン! ドピュン!
    
     ――いやぁあ!
     スカートの内側へ、股にずらされたパンツの裏地へ、男は白濁を放出する。男は信乃歩のパンツを元に戻し、信乃歩はねっとりとした熱い液体の感触を股で味わうことになる。
     衣服の中身をドロドロにされた信乃歩は呆然としていた。
    
     私、このまま帰らなきゃいけないんだ……。
    
    
    


  • 痴漢に遭う雪乃

    
    
    
     神の悪夢と戦うために設立される<騎士団>だが、実のところ<騎士>が一人もいない<ロッジ>は珍しくない。<ロッジ>のあいだで、<騎士>の貸し借りといったことはたびたびあり、先日あった応援要請で時槻雪乃は獲物の元へ向かっていた。
     獲物だ。悪夢を喰らう怪物として、狩猟者の狩場へ向かう道のりの中だった。
     時槻雪乃は苛立ちまぎれに顔を顰めた。
    
     ――さわっ、
    
     満員電車の混雑にかこつけて、雪乃の尻にはべったりと、手の平が置かれていた。
    「……」
     世の中には痴漢冤罪のニュースがあり、いざ掴んだ手首が別人のものだったと、そんなエピソードをテレビだったか何だったかで、どこかしらで聞いたことがある。自分から痴漢をしておいて逆ギレをするような、面倒極まりない人種がいることもあるだろう。
     痴漢の摘発というものに対して雪乃は、かえってトラブルや面倒を大きくする可能性を感じていた。
     別に痴漢は痴漢だ。いくらでも捕まればいい。同情の余地はない。
    「…………」
     しかし、それでも雪乃は黙っていた。
     何となく萎縮したり、怖くて声を上げられない気持ちがわからないとは言わないが、雪乃が黙っているのは決してそんな理由からではない。
     こんな下らない瑣末なことに、時間を費やしている暇などないからだ。
     雪乃は、『普通』の幸せを捨てたのだ。
     あるいは失った。雪乃は復讐者だった。ただそのためだけに、雪乃は生きていた。
     人生を賭けても狩りつくしたい獲物を捕りに行こうというのに、たかが痴漢に構って、駅員に突き出すなり警察を呼ぶなりで、時間を浪費するものか。
     尻など勝手に触っていればいい。
     痴漢など、存在ごと空気として扱うまでだ。
    
     さわっ、さわっ、さわっ、さわっ、さわっ……。
    
     雪乃が抵抗しないとわかった男は、明らかに手を活発にして、大胆なまでにスカート越しの丸みを撫で回していた。
     それでも、痴漢など相手にする価値を認めない。
    「…………」
     窓際に立つ雪乃は、別に景色が楽しいわけではないが、じっと外でも眺めていた。どうせ駅に着くまで何もやるべきことはない。痴漢ごときに意識を向けたり、電車内にある面白くもない混雑風景と違って、少なくとも煩わしくはない。
     大きな手の平の感触など、空気のように扱おうとしていた。
     そして雪乃は、出来ればこの痴漢からも、空気のように扱われることを望んでいた。
     学校でもそう。周りのクラスメイトは普通で、日常というぬるま湯に使っている人間だ。雪乃と同じものを何一つ共有していない。付き合う意味はないと、雪乃は思っていた。
     たかだか通行人。電車で乗り合わせる他人など、なおのことどうでもいい。無視をするしないのステージにすら立っていない。正真正銘のただの風景の一部で、自分とは関わりなど持たないもののはずだった。
     今日まで、痴漢に遭った経験はなかった。
    「ちっ……!」
     苛立ちが溢れ、口から漏れ、自然と雪乃は舌打ちしていた。
     しかし、それは電車の音と、大学生のはしゃいだ男同士のお喋りと、音楽を聴くOLのイヤホンから微妙に漏れていなくもない流行曲と、あらゆる音によって塗り潰され、ただでさえ小さな舌打ちが痴漢に届くことはなかった。
     だから、続いた。
     煩わしく、不快でたまらない手の動きは、その活発ぶりを緩めないまま揉みしだき、もう二度と味わう機会のないものを永遠に手の平に覚えさせようとばかりに尻肉を捏ねている。興奮した男の荒っぽい息が後ろから聞こえてくる。
    「……っ!」
     ついにはスカート丈を持ち上げて、ショーツの上から触り始めた。
     雪乃の下着は黒い。
     ゴシックロリータを意識したデザインは、購入当時に見た広告では、シックなダーク系であることを売りにしていた。豪奢な布の質感が、ふんわりと肌に馴染んでぴたっと張り付き、柄入りのレースが全体を飾っている。
     両サイドを紐でリボン結びにするタイプのため、解きでもすれば脱げてしまう。
     そんなショーツだから、紐に変えてある分だけ、腰の両側の布面積は少しだけ小さい。セクシャルともいえる下着は、雪乃の風貌に似合って溶け込んでいた。
     そして、そうした黒いショーツを痴漢の手が包んでいる。
     よく膨らんだ丸みを盛り上げるかのようにして、脚の付け根との境にある、尻の垂れ目の部分に四指を引っ掛け、プルプルと振動を与えて遊んでいる。
     引っ張り上げ、食い込ませた。
     Tバックのようにギリギリまで肌を晒した雪乃の尻は、さらに痴漢の指に捏ね尽くされ、雪乃の皮膚には嫌というほど痴漢の感触が染みていく。
     もう片方の手が滑り込み、雪乃のクロッチに指を置く。
     ほとんど雪乃は、後ろから抱きつかれ、密着されている状態となり、背中には男の逞しい胸や腹部が当たっている。これが愛する恋人からの抱擁なら、さぞかし癒しの温もりとなるのだろうが、痴漢のおぞましい体温など感じたくもない。
     もしも全ての感覚を遮断して、文字通りに何も感じないことができたなら、雪乃は喜んでそうするだろう。
    「く……」
     指にフロントリボンを弄ばれた。
     その指は、恥毛の部位からさらに下へと、割れ目の部分へと移動して、上下になぞる愛撫を始める。生まれて初めて受ける異性からの愛撫が――いや、そもそも雪乃は、憧れの男の子と甘い一時を過ごすような『普通』の夢など捨てていたが、それでも初めての愛撫がこんな形になるなど、何の屈辱も不快感もないはずがない。
     だが、生理的な反応とは無慈悲なものだ。
    「ふぅ……っふぅ…………」
     自分自身の荒っぽい吐息を聞いて、雪乃は歯噛みした。
     下らない痴漢などで、何も感じたくはない。ただの空気だ。男などいない。満員だから密着してしまっているだけだ。
     わざわざ気に留め、意識してやる価値すらない。
     雪乃はそう思う。そう思っていたい。
     しかし、密着がために押し当てられるズボン越しの膨らみによって、雪乃の中で痴漢の存在感はますます膨らみ、勃起した硬い熱気に自然と意識は吸い寄せられる。男の汚いものなど頭から振り払い、何も考えまいとする雪乃だが、痴漢はそれを許さない。アソコへの愛撫で頬を火照らせ、自然と太ももを擦り合わせる。
     指で渦でも描きたいようにグルグルと、触れるか触れないかといった微妙なタッチで、布地の表面だけを辛うじて撫でる愛撫が、雪乃の女としてのものをじんわりと引き出す。
    「うっ、く……」
     少しずつ、かすかに汗ばんでくるかのように、割れ目は湿り気を帯びていく。ねっとりと糸を引く水分が、ショーツを内側から濡らしていき、布の表面の滑りがよくなるほど、雪乃は愛液を漏らしていた。
     この期に及んでも声を上げず、耐え忍ぶことに徹しているのは、もう次の駅で目的地に到着するからだ。
     ただ、その停車まであと二十分以上はある。
     長くはなるが、我慢が済めば話は済む。
    「んっ、んぅ……ふぅ……ふぁぁ……」
     痴漢の男はよほど技巧を身につけているのか。歯でも食い縛っていなければ、もっとそれらしい喘ぎ声が、自分の口から出てしまっている気がしてくる。
     認めたくなかった。
     悪夢と戦う怪物である自分が、気持ちよくて喘ぐことも、たかが痴漢に構って下らない騒ぎを起こすことも考えられない。
     そんな雪乃を追い詰めたいかのように、痴漢の指は性器を貪る。
     割れ目の部分をすりすりと、指の腹でよく撫でて可愛がり、ショーツが帯びる愛液のぬかるみは秒を刻むごとに増していく。
    「ふぅ……ふー……ふー……」
     大胆な熱を宿した荒っぽい吐息が、窓ガラスを白く曇らせ、雪乃の腰はモゾモゾ動く。
    
     ――停止信号です。
    
     非情なアナウンスによって、停車までの時間は延長された。
     横へ横へと流れ続けた窓の景色は、やがて緩やかに速度を落とし、別にドアが開くわけではない途中駅に入ってゆく。次の電車待ちの人々が、ところどころに列を作っている光景が、やがて雪乃の正面でぴたりと止まった。
     窓の向こう。目の前にいるサラリーマンと大学生は、雪乃のことを気にも留めず、スマートフォンでメールなのかゲームなのかをやっている。
     その時、痴漢の興味は胸に移った。
    「……っ!」
     驚く雪乃の乳房には、痴漢の両手が置かれていた。
    
     もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ……。
    
     窓向こうの男二人が、少しでも顔を上げれば、痴漢に胸を揉まれる黒セーラー服の少女が映るはず。目撃者を生み出しかねない、犯人にとっては避けたいはずのリスクを平然と踏み、揉みしだいている事実は、それだけ雪乃を動揺させた。
     すぐに痴漢は調子に乗り、セーラー服をたくし上げる。
    「あっ…………!」
     一瞬にして、黒いブラジャーが露出してしまった。
     そして、気づかれた。
     ぎょっとなっているサラリーマンと、我が目を疑う表情でまばたきを繰り返す大学生は、人が痴漢被害に遭う姿を見て、憤るでも駅員を呼ぶでもなく、幸運とばかりにニヤついていた。
     ブラジャーのカップが両手に包まれ、形状を撫でて探るかのように揉まれていく。
     そうするうちに、指先がフロントホックを見つけ、ぱちりと外して生の乳房でさえも露出してしまった。
    「……っ!」
     衝撃だった。
     こんな公共の場で、胸を丸出しにしてしまっている。糾弾されるべきは痴漢だが、こんなに肌を出してしまっては、もしも周りに気づかれて困るのは、むしろ自分の方だという気にさせられた。
    
     もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ……。
    
     生乳が揉まれてしまう。
     初めは無造作に指に強弱をつけ、ただそれだけの揉み方だったが、すぐに指先が乳首をつつき始めていた。
     窓向こうの男二人は、スマートフォンの角度を上げていた。
     それが写真を撮るためだと悟った雪乃は、慌てて腕で隠したがるが、痴漢の腕力によって両腕とも封じられ、雪乃の生乳は撮られるままに映し込まれた。
     もちろん、本当に写真なのかはわからない。
     しかし、レンズの部分を雪乃に向け、その状態でニヤニヤしながら操作して、それから途端に画面をじっくり確認する挙動は、綺麗に撮れたか確かめているようにしか見えなかった。
    「うっ、くぅ…………」
     怒りか、悔しさか、それとも屈辱か。
     何の感情が溢れ出し、たまらない気持ちで歯を食い縛っているのか。もう雪乃自身にもわからずに、ただただ再び電車が動くことを望んでいた。
     乳肌を手に覆われ、揉まれ、それを見たサラリーマンも、大学生も、スマートフォンを雪乃に向ける角度のまま画面のタッチ操作を繰り返す。
     やっと、電車が動き出すと、片方の手はアソコに戻り、左手は乳房に残った。
    「くっ、ふぅ…………うふぅ…………」
     爪先でかすかに、穏やかにクリトリスを引っ掻く手つきが、雪乃の股で甘い痺れを絶え間なく弾けさせ、その快感に腰がくの字に折れていく。太ももを引き締める力が強まって、唇を噛み締めた表情もあり、いかにも我慢しているそのものの姿といえた。
     これだけ、ずっと快楽に貶められれば、その時が来るのは時間の問題だった。
     言い知れぬ予感が迫り、自分はどうなってしまうのかと、雪乃は急に慌てるが、男の力に逆らえるわけもなく、流れに身を任せる以外に道はなかった。
    
    「――っ!」
    
     雪乃はイった。
     雷撃が頭の頂点までも貫くような衝撃的な快感に、雪乃は全身をビクンと震わせ、ショーツがなければ盛大な潮吹きだったに違いない量の愛液を漏らし、ぐったりと全身から脱力した。
     前か後ろか、どちらかに体重を預けているしかない。
     痴漢に背中を預けるつもりはなかったが、抱き締めるように重心を奪われ、あえなく男の胸に体重を任せていた。
     電車が泊まる最後まで、雪乃は痴漢の玩具であり続けた。
     ショーツを下げ、膣内に直接指を挿れた愛撫に勝ち目はなく、痴漢の思うままに絶頂まで導かれ、一分もしないうちに二回はイった。
     停車駅へのアナウンスが聞こえて来て、我に返ったように抵抗を始めると、そのときになって初めて痴漢は、雪乃の耳に囁き声を漏らしていた。
    「そっか。もうお別れか。残念だなぁ?」
     名残り惜しいと言わんばかりに、膣に出入りする指が活発化した。
    「君みたいなエッチな子はなかなかいない。とても楽しかったよ」
     その言葉が、今までの辱めを超え、何よりも雪乃の心を抉った。
    
     私が? そんなわけがないわ!
     私はこんなことで悦んだりしない!
    
     必死になって否定したがる雪乃を笑い、嘲るかのようなタイミングで、またしても絶頂の予感が秘所に集まり、激しく弾けて雪乃はイった。
    「あうっ! んぅ……!」
    「ほら、すごい淫乱の素質だ」
     違う、違う。
     私は違うと、かつてなく賢明になって、自分に言い聞かせている雪乃の前で、窓向こうの速度が緩む。駅構内の景色がゆったりと、しだいに停車へ近づいていく。
     その時だった。
    「これは記念に貰っておくよ」
     サイドを紐で縛るタイプがため、引っ張れば簡単に脱がせることの可能なショーツは、あっさりと、愛液をたっぷりと含んだ黒いゴシック調の下着が奪い取られた。
     直後にドアが開き、雪乃は背中を押され、半ば強引に追い出すように降りさせられ、さらに続けて人混みが溢れ出し、もう取り返したくても取り返すだけの暇はない。
     そもそも、痴漢ごときを相手にする価値などないと、そう思って無視を決め込んでいたはずではないか。
    「…………」
     雪乃は、ノーパンでこの駅を去った。
     綺麗な割れ目の部分には、まだべったりと愛液のぬかるみが残っており、それだけの水分を帯びた皮膚が風を浴びればひんやりする。
     その冷ややかな涼しさをスカートの内側に感じていながら、顔では何事もないような表情を装って、何事もないように改札口を出ていって、そのまま目的のロッジへ向かう。
     下着を調達する猶予はなく、すぐに悪夢の調査にあたった。
     だから、その日はずっとノーパンだった。
     生まれて初めて、パンツを履かずに戦った。
    
    
    


  • 季風鳴が電車に乗ったら

    
    
    
    
     ち、痴漢……。
    
     やや混雑した電車の中で、中学生ほどの少女が深く俯いていた。
     黒髪をポニーテールにまとめていて、赤い紐リボンが長い黒髪と共に揺られている。薄紅のカーディガンとプリーツスカートは、小柄なせいでワンサイズは大きく見える。いかにもよそ行きの服といった感じだが、薄手のトレッキングシューズだけが山越えでもしたのかと思うほど履き込まれている。
     少女は季風鳴、とても気弱で世間知らずだ。
    
     さ、触られて――どうしよう――!!
    
     見ればプリーツスカートには、中年ほどの男の手の平が置かれていた。
     慌てたような戸惑うような表情を浮かべて、鳴は必死に俯いている。気の小さな性格をしているから、声を上げたり手で払いのける真似はとてもできない。肩と拳を強張らせ、ただただ怯えたように震えていた。
     ひとたび抵抗しないと思われれば、痴漢は遠慮を失くすものだ。中年男は活発にお尻を撫で回し、興奮に息を荒げてスカートを持ち上げる。ショーツの上から触り始め、鳴はますます身を硬くして震えていた。
    
     どうすれば……!
    
     まるで怯えた子犬である。
     お尻を捏ねる指の感触を如実に感じて、目尻に涙を滲ませる。身じろぎによって嫌がる素振りを見せようとするのだが、そんなささやかな抵抗は抵抗だとすら伝わらない。ショーツを介した尻肉の柔らかさは、ひたすらに中年を楽しませ、鳴は力強く目を瞑り続けた。
     そもそも、由緒正しき剣士の家系。
     山奥での修業暮らしで、それまでは俗世を離れていたために、生まれて初めてコンビニを見たのもつい最近だ。電車の痴漢などというものは、あくまでも知識的なものに過ぎず、実際に自分が遭うなど想像すらしていなかった。
     それが一人で電車に乗った途端、発車間もなくこれである。
     五指が沈めば、むにゅりと潰れた尻肉は、指の狭間にハミ出るように盛り上がる。捏ねれば捏ねるだけ変形を披露して、鳴は中年の生温かい手つきに鳥肌を立てている。
     ショーツのゴムに指を引っ掛け、尻の割れ目をなぞって下げた。
    
     ――ひっ!
    
     身がすくんだ。肩が弾んだ。
     太ももの付け根あたりまでショーツは下げられ、お尻の肌は外気に晒されてまっている。生肌のお尻が揉まれ、口をあわあわさせた鳴は、もはやパニックにすらなっていた。
     食い込む無骨な指。中年が味わう柔らかな尻肌。
     興奮しきった中年は、ついに電車内でペニスなどを取り出して、それを鳴の太ももの狭間に挟み込む。
    
     ――やだ! やだぁ!
    
     必死に首を横に振るが、中年は構わずにことを進める。鳴の背中に自身の身体を密着させ、服越しの胸まで揉み始めて、素股に挟んだ棒を振る。性知識のない鳴からすれば、いきなりペニスまで擦り付けてくるなんで、一体何が何やらわからない。
     どちらにせよ、鳴は痴漢の獲物に過ぎなかった。
     ここにきても抵抗らしい抵抗は何もできず、左右の五指に乳房は揉まれるままである。太ももに意識をやれば、股に密着してくる肉竿の熱さが如実にわかり、あまつさえそれはピクピクと脈打っている。
    「や、やめて……ください…………」
     やっとのことで搾り出される声は、非常に弱々しく力のないものだ。
    「やめて欲しいかい?」
     嫌に優しい、さも父親が可愛い娘を愛でるかのような声だ。それでいて胸を揉んでいる手が止まるわけでも、ましてや肉棒の前後運動が終わるわけでもなかった。
    「……はい」
     鳴は素直に頷く。
    「少しだけね。オジサンの言うことを聞いてくれたら、すぐに済ませてあげるからねぇ?」
    「ど、どうすれば……」
    「僕のおチンチンをね。その脚でぎゅーっと締め付けてごらん?」
    「こここ、こうですか?」
     ガチガチに震えながら、鳴は太ももに力を込め、中年のペニスを股で圧する。より窮屈な肉の狭間に潰れた肉棒は、歓喜せんばかりに脈動して、中年はせっせと腰を振る。それは閉じ合わさった割れ目とも擦れ合い、鳴は一層のこと涙ぐむ。
    「あぁー気持ちいい」
     胸を揉む手を片方だけ下へやり、中年は鳴の秘所を触り始める。薄っすらと生え揃う三角形の恥毛帯を指で掻き分け、初々しい縦筋をなぞり込む。
    「やッ……!」
    「大丈夫。我慢すればすぐだから」
     勝手なことを言いながら、中年は鳴の肉体を楽しんだ。その左手は服の下に潜り込み、下着越しの乳房を揉んで、右手はクリトリスを愛撫する。終わる、すぐに済むという言葉を信じて引き締められた太ももでは、太い肉棒が出入りする。
     祈るように待つばかりであった。
     そして、射精。
    「ひッ……!」
     それはスカートの内側へと、ショーツのクロッチへと染み込む。精液など知らない鳴は、ペニスからの体液を出された事実と、それがオシッコというわけでなく別の何かだということに戸惑いながら、深いショックに心を抉られていた。
     背後でペニスをしまう中年は、鳴のショーツを再度持ち上げ履き直させる。
    
     気持ち悪いよぉ……。
    
     熱いぬかるみがすっかり染みて、汚液で濡れたショーツである。その嫌な感触が肌に接着した鳴は、駅への到着でドアが開くと同時に駆け出した。
     逃げるように必死に駆けた。
     鳴の中で、これ以来から電車という乗り物はトラウマだ。
    
    
    


  • グレムリンの痴漢命令

    
    
    
     グレムリンの指示でゲートを絶望させろ。
     それがワイズマンの意思だった。
     ワイズマンの意思は絶対――グレムリンの意思はワイズマンの意思に等しい。メデューサがラッシュアワーの通勤電車に乗車したのも、全てはグレムリンの命令のうちであった。
     身動きできないほどの満員状態に押し潰されそうになりながら、メデューサは吊り革を掴んで電車に揺られる。
    
     さわっ、
    
     お尻に異変を感じる。
     背後に立つサラリーマンの手の平が、メデューサのヒップに膨らみに押し付けられていた。吸いつくサラリーマンの手はお尻の丸みを撫で回し、中指を割れ目の中へフィットさせる。指が割れ目に沿うように、メデューサのお尻は触られていた。
    (……どうして私がこんなことを)
     狙いのゲートはサラリーマンだ。
     男を絶望させるためにグレムリンが考え出した作戦は、痴漢の罪で警察につき出し男を社会的に抹殺し、妻や娘の失望を誘うことだ。社会や愛する家族からの信頼を失えば、幸せな人生を台無しにした彼はたちまち絶望するだろう。
     男の手はメデューサのお尻を揉み込み、這いまわる。
    (そ、そこは……!)
     尻穴に指を立てられ、ぐりぐりとほじくられた。
     メデューサの顔が羞恥に歪む。
     このサラリーマンは仕事でだいぶストレスを溜めており、ついこういう形で発散してしまうとグレムリンは言っていた。
     ――結構大胆に触ってくると思うけど、頑張ってね?
     いやらしい顔で命令を下された時には腹が立ったが、逆らえない立場では歯噛みして堪えるより他はない。
     丸いお尻を這いまわり、尻穴をつついて指を押し込む。執拗にほじくられ、メデューサは腰をよじって逃れようとした。
     だが、グレムリンの指示を思い出す。
     ――嫌だからって逃げちゃ駄目だよ? しっかりエサに食いつかせないと、魚は釣り針にはかからない。駅に着くまではちゃーんと触らせてあげて、それから初めて駅員に突き出すようにね?
     痴漢にひたすら俯いて、無抵抗になりきって、声をあげたり足を踏みつけるような反撃は何もできないと思わせる必要があった。全てを受け入れ、好きなようにさせてやる必要があった。
    (グレムリンめ、覚えていなさい)
     恨めしい気持ちを煮えさせて、メデューサはじっと痴漢を受け入れる。
     抵抗できずに俯くフリで、サラリーマンは調子付く。
     彼はメデューサの腹にがっしりと両腕を巻きつけ、お尻に硬直しきったズボンの膨らみを押し付けてきた。
    (こんなことまでされるとは……)
     メデューサは顔を歪めた。
     男は硬く熱を持った異物を擦りつけ、腰を揺すってきているのだ。その肉塊はメデューサのお尻にぴったりと収まり、ゆさゆさとした摩擦を与えてくる。双丘でビクビクと蠢くおぞましい感触に塗られていった。
    (……本当に大胆ね)
     腹に巻きついた腕は下へ伸び、太ももを撫でる。すべすべの感触を堪能していき、やがて女のもっとも大事な部分に触れてきた。
     男は秘所をなぞってくる。
     指がぐるぐると這い回り、こねるように指がうねる。恥丘のラインをなぞるように指は上下し、お尻には剛直が擦り付けられる。
     体は完全に密着し、背中には男の肉体が抱きついている。顔が頭の横に埋められて、首筋の匂いまで嗅がれていた。
     興奮した息遣いが嫌というほど伝わってくる。
     秘所をまさぐる指が大胆になり、ショーツをずらして直に割れ筋へ触れてくる。蜜液で表面を滑るかのようにして、もう一方の腕は乳房へ伸びてくる。そのまま鷲掴みに揉みしだかれ、痴漢としてはかなり思い切った行為をメデューサは受けることになった。
    (電車の中でここまで……)
     サラリーマンは犬の荒息のように興奮しきり、腰の揺さぶりが強くなり、お尻に押し付けられる剛直の触感はより圧力を増してくる。耳を舐められ、乳房を揉まれた。
     不愉快極まりない。
     おぞましい手が全身を這いまわる。乳房を揉む指が、乳首を探るように丘の頂点を這う。下に触れる指が、膣口にねじ込む。さすがにやりたい放題だ。
    『まもなく~駅、~駅に止まります』
     ようやく聞こえた車内アナウンスに安心する。
     駅にさえ着けば、男を駅員に突き出すことが許されているのだ。そして、家族を持つサラリーマンは痴漢行為が身内にバレて、絶望に堕ちることになる。
     やがて停車し、ドアが開く。
     同時に、メデューサはサラリーマンの手首を掴んだ。
    
         *
    
    「お疲れ、ミサちゃん。おかげで可愛いファントムが生まれたよ」
     グレムリンがニヤけてくる。
     癪な話だが、あそこまでしたのに失敗では笑えない。晴人達の知らないところで、彼らの手の届かない場所で少しは人間をファントムに変えられていることに、果たして彼らは気づいているのだろうか。
    「そ。だけどあんな作戦は真っ平よ。次はまともなやり方にさせてもらうわ」
    「それはゲートしだいだね。それより、ミサちゃんは痴漢されて気持ち良かった?」
     無神経にもほどのある問いかけに、メデューサの頭には一気に血が上った。
    「そんなわけないでしょう?」
    「だよねー? ま、今日はこの辺でおさらばってことで、また明日ねー」
     グレムリンは軽快なステップで去っていく。
     その背を見つめ、そしてメデューサは自分のショーツを気にかけた。ああして声を荒げたのは、ただグレムリンが無神経だったからではない――図星だったからだ。
     一人になったメデューサは、ひっそりとショーツを履き変え、濡れてしまったそれを焼き捨てるのだった。
    
    
    


  • 風鳴翼 集団痴漢

    
    
    
     ツバイウィングが片翼だけとなってから、風鳴翼を悩ませるのは、天羽奏を失った悲しみだけの話ではない。
    
     ――さわっ、
    
     悩みの種は痴漢だった。
     決して恐怖に縮こまってしまったり、声を上げる勇気が出せない翼ではないのだが、ノイズの討伐を行いながら、歌手としての活動も行うスケジュール上、痴漢を駅員に突き出すことでの時間ロスが手痛いことは珍しくもない。
     忙しさの方が、スケジュールの方が、怖いだなんだということより、よほど翼の抵抗を封じていた。
     窮屈な満員具合の中で、スカートの中へ四指を忍ばせ、尻たぶの下弦をさわさわと撫でて可愛がる手つき――。
     正面からも、同じくスカートに手を入れて、ショーツ越しの秘所を上下に撫でる指がある。
    (二人か)
     せめて口頭注意だけでもと考えるが、やめた。
     足を踏む、声を出す。そういったことで手を引っ込めた痴漢などいくらでもいたが、近頃は逆切れして「俺が痴漢だっていうのか!」と強面で絡み、結局は駅員に突き出す流れとなってライブに遅れを生じさせたことがあるからだ。
     面倒な手合いが複数続く不運に見舞われれば、我慢した方がマシという気にもなる。
    (一度ならず二度までも、同じ過ちを繰り返すわけにはいかない)
     だから、今の翼はたかがお尻やアソコは黙認していた。
    (この身を剣と心得てきた。ならば私の肌は刃、切れ味そのもの)
     触れ方を間違えれば、たちまち指を裂くだろう。
     ショーツの上から撫でるうちは、致し方なく堪えるが、どこまでか度を過ぎれば、たとえスケジュールに支障が出ても、許してはならないものがある。
     その線を越えないうちは……。
     降車駅まで二十分間、柔らかなタッチを甘んじて受け入れた。
    
     また、別のスケジュールにて――。
    
     その日は窓際に追いやられ、後ろから重心をかけてくる痴漢によって、翼は身動きを封じられている。
    (これはどうしたものか……)
     尻に肉棒を押し当てられていた。
     スカートを持ち上げたショーツ越しに、ズボンを介した膨らみが割れ目に当たり、痴漢は腰を振るように動かしている。腰のくびれをがっしり掴み、我が元へ引き寄せようと力を加えてくるせいで、翼の身体はややくの字気味に折れている。
     この翼を我が物のように扱う姿を傍目のアングルから見たとするなら、さも立ちバックの体位で挿入して見えるだろう。
    (それしきのことが剣を折るでもなし)
     不快感を堪え、翼は静かに時を待った。
     時機に電車は止まるのだから――。
    
     幾度となく痴漢に耐えた。
    
     つり革を握っていると、電車の揺れに合わせるフリをしながら、さりげなく手の甲をかすめて反応を確かめる。モゾモゾと身をよじる程度の抵抗しかしないでいると、急に強気になってスカートの中身を揉み始めた。
     片方の尻たぶの形に合わせて、手の平全体でぐるぐると撫で回し、五指を使って存分に揉み込んだあと、もう片方の尻たぶも撫で回す。
    
     割れ目の愛撫でテクニックを発揮して、軽やかなタッチを披露した。
     バイブめいた小刻みの振動でほぐしていき、手の平でぴったりと覆い込んでは揉みほぐす刺激にアソコは濡れ、手で払いのけようと思っても、翼の両手を掴んで押さえるもう二人の痴漢が邪魔でどうにもならない。
     翼の手は両方とも、ズボン越しの膨らみを触らされていた。
     おまけに尻を触る男もいて、合計四人から痴漢を受け続けていた。
    
     手という手の数々が、翼の体中をまさぐった。
    (よってたかって、羽を毟ろうとする輩共かッ!)
     肘打ちで軽く小突いて、足を踏みつけてみるものの、誰一人の手も止まらない。
     耳を触る指が、うなじを撫でる手つきが、背筋に、腰のくびれに、太ももに、ありとあらゆる箇所に手の平がべったりくるか、指先でくすぐられている。
     当然のように尻とアソコも愛撫され、膣が少しずつ濡らされた。
    「や、やめなさい……!」
     声を上げる。
     だが――。
    「ははっ、君っていつも楽しんでるでしょ」
    「照れなくたっていいんだよ?」
    「オジサン達がいっぱい気持ちよくしてあげるからね?」
     あたかも自分達は親切で、好意の施しを与えてあげているのだと言わんばかりの、あまりにもニコやかな笑顔が、翼の周囲を十人以上で取り囲んでいた。
    「まさか! 楽しんでなんて――」
    「いいからいいから」
    「指も入れてあげますからねぇ?」
     スカートの中からショーツが下がり、膝に絡んで動きにくい。
    「やめ――!」
     身悶えしても、暴れても、装着無しではただの人間にすぎない。いくら鍛えてきた体とはいえ、満員密集の状態で数の利に飲まれれば、抵抗などできようはずもなかった。
    「あぁぁ……! あっ、んっ! やめぇ……!」
     挿入された指が出入りする。
    「いっ、いひぁああ……!」
     がっくりと力が抜け、膝の力が緩んで内股気味になる。本当なら尻餅でもついて座り込むところだが、四方八方にいる中年達が翼の体を抱き捕らえているのだ。
     制服のネクタイに手がかかり、引き抜かれていく。
     ワイシャツのボタンが開かれて、ブラジャー越しの胸があらわとなる。
    「やめっ、ひぐぅ……! んっ、んむぁ……!」
     乳首をつまむ刺激に髪を振り乱した。
    「いい声で鳴くねぇ?」
    「すっごく聞き応えのある喘ぎだよ」
     孫が可愛くてたまらないような笑顔ばかりが並ぶのは、普通の痴漢と比べて狂気であろう。
     そんな厚意を気取った手が、腹も尻も愛撫して、アソコの穴には経験豊富な指が愛液をかき鳴らしている。
    「今度はもっといいものあげようか」
     指のピストンをしていた中年は、その指を抜いたと思えば、次の瞬間にはベルトの金具を外し始めていた。
    「よ、よして! それだけは――」
    「いいんだよ? 照れなくて」
     より身悶えが激しくなっても、手という手の数々によって、あっけなく股を持ち上げられ、M字開脚が宙に浮くような形で抱きすくめられてしまう。
    (わ、私は剣なんだ! この身はそんなものを収める鞘ではない!)
     ぬらぬらとした熱気を放つ肉棒に目を奪われ、羞恥と戦慄の感情が胸の内側でない交ぜになっている。
     迫り来る挿入の危機に、翼の抵抗はやはり無意味に封じ込められ――
    
     ずにゅぅぅぅぅぅぅ――
    
     太い一物が、翼の穴を内側から押し広げた。
    「あぁぁ……! あああ――!」
     ピストン運動が始まると、小刻みかつ素早い腰の振り込みが、激しい快楽によって翼を攻め立てた。
    「――あぐぁああ! あっ、あああん! あっ、んんんん!」
     工業機械が秒間にいくつも製品を打ちつけるような速度で、休みなく下から打ち上げる快感は、腰から背中を伝って脳で弾けて、翼の頭を文字通り真っ白に染め上げる。
    
     ――ずぷん! じゅぷん! ずぱん!
    
     打ち付ける音が車内に響く。
    「それにしても、あの風鳴翼ちゃんがこんなにエロいなんてねぇ?」
    (わ、私を知っていて……ッ!)
    「だけど、エロいのは悪いことじゃない。大丈夫だよ?」
    (何が大丈夫なものかッ! 早く抜いて……ッ!)
     しかし、喘ぎ声しか出せない口は、それらの言葉を決して声にできずにいる。
    
     ――ずにゅぅぅぅぅぅっ、ずりゅぅぅぅぅぅぅぅぅ。
    
     やけにスローペースな出し入れになったとき、えげつないほどの快感が、神経という神経を伝って荒波のように下半身全体に押し寄せて、つま先にかけての筋肉が溶け落ちているかのような錯角さえ覚えていた。
    「あっ! あうぅぅっ、んぬぁぁッ! あ……っふあ……ッ!」
     もう喘ぐことしかできない。
     快楽に脳を埋められ、何一つ思考できずにただ鳴いて、いつの間にか体位を変えられていることにも気づかずに、ふとすればバックから突かれていた。
     窓に両手をついた状態で、腰のくびれを掴んだ中年が、大胆に尻を打ち鳴らす。
    「いやぁ、喜んでくれているみたいだねぇ?」
    「よかったよかった」
    「さて、そろそろ私にも挿入させて下さいよ」
     肉棒が抜け落ちたかと思ったら、後ろで人が入れ替わる気配の次には、また別の肉棒が挿入された。
    「んッ! あぁぁぁ……ッ!」
    「これは名器ですな?」
    「ひっ、んぐッ! むぅ……ぬふぁ……ッ! あぁぁ……ッ!」
     頭が真っ白なあまり、腰全体がビクついて、自分が絶頂したことにも気づいていない。
    「イキましたねぇ?」
    「何回目です?」
    「あんまりイカせちゃうと、ライブの予定に響いちゃうでしょう」
    「うーん。そろそろ引き上げますか?」
    「時間ですものねぇ?」
     中年達は口々に勝手を言い、ファンからの翼に対する『サービス』を切り上げた。
     タオルで汗を拭いてやり、着替えを手伝ってやる心遣いは、それが恋人同士のセックスであれば立派な親切に違いないだろう。
     彼らはただの痴漢なのだ。
    
    「また『サービス』するからね?」
    「ライブ頑張って」
    「おじさん達みんなで応援するから」
    
     降車駅から迎えの車と待ち合わせ、ライブ会場へ向かう翼は、始終放心しきったまま、どこか虚ろな瞳で世界を眺めた。
    (私は……)
     車内で遭った散々な目が脳裏に蘇り――
    
    (私はッ! あんなことで折れる剣ではないッ!)
    
     翼は心を強く保った。
     歌い、そして戦う。
     防人たる自分に恥じないように……。
    
    
    


  • うずめは毎朝痴漢に遭う

    
    
    
     ひやっ、まただ!
     痴漢は大人しい子を狙うというけれど、うずめは毎朝のように電車でお尻を触られる。とびきり多い電車だから、勇気を出して告発しても、また別の痴漢に触られる。キリがないから、この電車を使う女の子はみんな諦めきっていた。
     スカート越しに撫でられて、うずめのお尻はじっくり揉まれる。窓に体が押し付けられているので、停車するまで逃げられない。いいように撫で回され、スカートの内側に手を入れられた。
     うぅっ、気持ち悪い……。
     だけどもうすぐ停まるから、そうしたら解放される。
     しかし、痴漢はその前にできるだけ楽しもうと考えたのだろう。パンツの中にまで手を入れて、うずめは直に尻肌を揉まれた。
     やだもう、最悪……。
     丹念に指を食い込まされ、停車までに肛門まで指でぐりぐり責められた。スカートから触られたことなら何度でもあったが、ここまでしてくる痴漢なんて始めてだ。
     ようやく停車し、電車を降りる。
    『こら、うずめ!』
     バッグの中のデバイスから、ささらが怒鳴った。
    「な、何?」
    『何じゃない。あんな奴、きちんと駅員に突き出してやりなさい』
    「……私だって、それくらいしたことあるよ? でもキリがないんだもん」
    『そんな事言ってるから痴漢に遭うの。いい? これからお尻触られたら、そいつら全員しょっぴくぐらいでいきなさい。そんぐらい気が強ければ、そのうち狙われなくなんでしょ』
    「そう、かなぁ?」
     本当にたくさんいるのに、一体何人突き出せば狙わないでもらえるのだろう。
    『明日はちゃんとつき出すのよ』
    「あ、うん」
     いつものクセで、つい安請け合いのように頷いてしまった。
     うずめのそういうところを、ささらには過去に一度指摘されていたはずなのに。
    
         *
    
     翌朝になって、うずめはやっぱり痴漢に遭う。
     今度は固い肉塊を押し付けられ、背後の男はお尻の割れ目に当てこすっている。初めは偶然を装って、偶々身体が背中に密着し、だけど満員で身動きが取れません。といった具合に過ぎなかったのが、男はしだいに大胆になってきた。
     どうしよう、ささらに言われたばかりだけど……。
     男は股間を擦り付けながら、胸まで揉んできた。あまりもの大胆すぎる痴漢の反抗に、うずめはやっぱり怖くて動けなくなってしまう。そして、男はそれをいい事に揉み尽くし、停車までの間にたっぷりとうずめの体を楽しんでいった。
     結局、突き出す勇気が出せなかった。
    『うずめ! しゃきっとしなさい!』
     案の定、デバイスの中からささらが怒鳴る。
    「う、うん。わかってるけど……」
    『あのね。あそこまでされてるんだよ? キリがないなんて言ってる場合じゃないでしょ』
    「それはそうだけど……」
    『昨日の痴漢も、今日の奴も同じ人だったよ? あいつが特に何でもしてくるみたいだね』
    「同じ人……?」
    
         *
    
     次の朝もお尻を触られ、手始めにスカートの上から撫でられた。そっと手の平でくすぐってくるような、優しげな手つきが痴漢のクセに憎らしい。混雑のせいだと言わんばかりにうずめの背中に抱き着いて、両手て包みこむように胸を揉む。
     本当にささらの言うとおりだ。
     やっぱり、キリがないなんて言っている場合じゃない。
     痴漢は硬い股間を擦り付けて、お尻の割れ目にフィットさせ、腰を揺さぶる。まるで挿入でもしているかのように、堂々とした腰振りで摩擦した。
     ここまでたっぷり触ってくる。
     ならばここは腹を決め、停車と同時に手首を掴んでやろう。
     うずめは覚悟を決めるものの、まだ駅から発車したばかりだ。停車までの間に胸は丹念に揉みこまれ、ついには下へ手を伸ばす。スカートの内側を捲りながら、指で秘所を刺激してきた。
     ひぃっ、嫌だ!
     大事な部分を愛撫され、スジまでなぞってきた。停車までなんて言っていられない。パンツの中に手を突っ込み、貝まで触る。太い指がねっとり這い、膣に押し入ろうとしてきている。
     そうだよ。もうこんなの我慢しちゃいけない。
     よーし、言うぞ。言うぞ……。
     うずめは勇気を振り絞り、そして――
    
    『なんだ。ちゃんとやれば出来るじゃない』
     ささらは関心したように言ってくる。
    「ささらの言う通りだったよ。あんまり調子に乗られないうちに、今度は早めに突き出すよ」
    
         *
    
     そう決めたのは良かったけど……。
     さわっ、
     と、やっぱり。
     あれだけ派手に手首を掴み上げ、「この人痴漢です!」と声を張り上げた翌日なのに、もう新しい痴漢が現れた。
     なんなの、なんなの!
     一体、あと何人くらい突き出せば済むっていうの?
    
     うずめの大変な朝は、中々終わりを告げそうになかった。
    
    
    


  • エッチな学園性活/痴漢専用通学バス2

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     このぉ、岡部の奴……!
     いくらバッグでお尻を守り、ドアに胸をくっつけ触られる面積を減らしていても、岡部は残るガードのない箇所を愛撫してきた。
     わき腹を擦り、耳をいじくり、そして首筋に吸い付いてくる。
    「つぅ……うう……」
     皮膚を据われる感触に怖気が走った。
    「シャンプーと石鹸の香りが混じっていていいですねえ、咲夜君」
     耳元に息をかけながら、いやらしい声で囁いてきた。
     それから、首筋で鼻をくんくんさせてくる。
     今度は太ももの側面に手を伸ばしてきた。バッグで後ろは触りにくいだろうけど、横はがら空きなので、簡単に撫でられる。最初はスカートの上からだったけど、やがて岡部は丈をまくって直に触ってくる。
    「咲夜君。昨日のキミの裸体は実に素晴らしかった」
     身体のサイズを測る時も、性感検査の時も、あたしはこいつに大事な部分の全てを見られ、しかも触られていた。だからこそ、気持ちとしては二度とどんな目にも遭いたくなかったのに。
     残った手がわき腹に伸びて、セーラー服の内側へ侵入してくる。さらに背中を這い回って、指が背筋を撫でてくる。
     指は背中を締めるブラ紐のホックを探りにきた。
    「ちょっ…こんな場所で何を!?」
    「ブラを取るんですよ。嫌なら咲夜君、背中をガードしたらどうですかねえ?」
     くうっ、そうしたら今度は他の場所が手薄になって、そっちを触られるに決まっている! でもこうして背中を指でなぞられるだけでも気持ち悪いし……。
    「お、ホックが取れましたよ? 咲夜くん」
     まずい、このままじゃ本当にブラが取られる。
     どうすれば……。
     あたしが迷い焦っていた時、
    「咲夜…さん?」
     緊張にあがったような、そーっと尋ねるような声がかかってきた。そして人混みをかき分けやって来たのは、白野観月だ。
    「観月……!」
     よりによって、岡部がいる時に来ちゃうなんて。
    「私その…咲夜さんが乗ってくるの見えたから、挨拶したくて――」
     観月はそうして、もじもじしながらあたしのとなりに立つ。肩のくっつくような距離で、あたしに並んでドアに体をよりかける形だ。
     来てもらえるのは嬉しいけど、あたしの背には岡部がいやらしく抱きついてきている。それが見えないわけじゃあるまいに、色々と覚悟の上で来てしまったのだろうか。
    「おはよう、観月くん」
     背中にくっつかれている関係で、あたしの角度からでは岡部の表情は見えないけど、卑猥な笑みを浮かべてニヤニヤしているであろうことは簡単に想像がついた。
    「おはようござ――ひゃ!」
     挨拶が途切れたかと思うと、岡部はあたしの背筋を撫でつつ、もう一方の手を観月のお尻へ伸ばしていた。
     馬鹿、観月の奴、バッグを盾にしないから――。
    「観月」
     あたしは名前を呼びかけ、目で合図を飛ばした。こっちに寄り添って来いというあたしのアイコンタクトを読み取り、観月は腕にしがみついてくる。
     くっつき合えっていれば、肌が慰めになってこの状況にも耐え抜きやすい。
     それでも、岡部はスカート越しとはいえ観月のお尻の割れ目に指を食い込ませ、いやらしく揉みしだいているわけだけど。
    「ほほう? 君たちは仲良しなのですねえ」
     岡部の手が、ブラの肩紐を下ろしてきた。
    「――っ!」
     観月の首筋に顔をうずめ、皮膚に吸い付いたのだろう。くちゅっと音が鳴ると共に、「ひゃあ!」と喘ぎ声が漏れた。
     ――けど、もうすぐバスも止まる。
     窓の景色からして、ほとんど到着が近いことがわかった。停車してくれれば、ひとまずこの時間は終わるはずだ。
    「では咲夜君。君のブラをもらいますよ」
     下着は引っ張られ、胸のカップが外れかける。
    「――! 待って、もらうって勝手に――」
     あたしは即座に声をあげるも、抵抗の間もなくブラはずるりと引き抜かれた。
     薄ピンクのブラジャーが、こんな奴の手に渡ってしまった……。しかも、これでは一日ノーブラで過ごさなくてはいけなくなる。
    「返して!」
    「何を言うのですか? 咲夜君。嫌なら背中をガードすればよかったのに、ブラを取られる事より乳房とお尻を守る方が大事だったのでしょう?」
     岡部は取り上げた下着を、見せびらかすようにして指からぶら下げる。
     く、悔しい!
    「このブラは今宵のオカズにさせていただきます」
     耳元でどんな用途に使うのかまで囁いてくる。
     さらに観月のスカートを撒く利上げ、パンツ越しに撫で始めた。その感触にか、観月はあたしの腕にしがみつきながら、堪えるようにして震えている。
    「そろそろ観月君の方も堪能しましょうかねえ」
     岡部はあたしの背から観月の背へ乗り移り、その両腰を掴む。観月のお尻をぐいっと突き出させ、そして、岡部はそこに自分の腰を打ちつけ始めた
    「そんな…これって……」
     観月は泣きそうな声であたしの顔を埋める。
     痴漢だけでも充分に酷いのに、これはさらに酷い。
     岡部がやり始めた行為は、擬似セックスだ。肉棒こそズボンの中だけども、勃起したソレを何度も何度もお尻に叩き付けている様は、さながら立ち姿勢でのバック挿入だ。
    「びゃあぁあ気持ちいぃいい! 女子高生の膣は最高ですねえ」
     擬似性交に膣の感触もあったものじゃないだろうに、岡部はさも本当に挿入しているかのような台詞を言ってくる。
     セックスごっこのつもりなのか?
     こんな最低な遊びに自分の体を使われるなんて、観月が感じている屈辱は言いようのないものなのは間違いない。あたしの腕を掴む力も、だんだん強くなっていた。
    「先生! 何もここまで……」
     無駄とはわかっていても、さすがに何も言わずにはいられなくなる。
    「ええ、ここは最高ですよ?」
     あたしの言葉を何だと思ったのか、本当に無駄にもほどがあった。せめてと思って、あたしは懸命に観月の頭を撫でる。
     けれどそのうち、岡部はバサっと観月のスカートをまくりあげ、パンツを丸出しにしてしまう。加えてそのパンツの中に手を差し込み、擬似性交の上にアソコの愛撫を重ねていく。
    「ひゃ! ああぁ――さく…や……さん」
     観月は喘ぎながらもあたしの名前を漏らしていた。
     岡部の指使いは、腹の立つことだけど上手い。
     あたしが性感検査でイかされたように、こいつはこっちがどんなに嫌がっていようと、それでも身体の生理的な反応を引き出して、望まない快楽を与えてくる。それが出来るような技巧を持っているのだ。
     観月は膝をがくがく震わせ、あたしの肩で身もだえする。
    「さくやさん…さくやさん…………」
     女の匂いが漂って、愛液が漏らされているのがわかった。
     くちゅくちゅ、と水音が激しくなっていく。
    「あっ、んんっ、さく…さくやっ――さ――あっ――」
     観月はどうにか声を抑えようとはしている。
     けれど、やはり喘ぎは漏れてしまい――
    「もっ、もう―駄目っ、さくやさ――」
     イキそうになったのだろう。
     けど、ここでバスのアナウンスが響き、
    『まもなく黒坂高校へ到着します』
    「おっと、そろそろこの辺にしておきましょうか」
     岡部は急に愛撫をやめ、パンツに差した手を引き抜く。
    「ううっ……」
     解放されたはいいけど、イかされる直前でやめられたせいで、余韻が強く残ってしまったのだろう観月は膝を震わせながら、よだれをたらしながら自分のアソコを手で押さえる。
    「観月、大丈夫?」
    「咲夜さん……」
     だらりともたれかかってくるのを、あたしは抱きとめた。
     バスがゆっくりと停車する。
    「では、この後は教室でお会いしましょう」
     岡部は先に人混みの奥へ消えていく。
     あたし達は、寄り添いながらバスを降りるのだった。
    
    


  • エッチな学園性活/痴漢専用通学バス1

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     ――翌朝になった。
     学校だるい、行きたくない。
     あたしは今まで、学校はまあそれなりには楽しいというか、別につまらないだけの場所でもないかなー、ぐらいには思ってたよ。嫌いでもなかったし、だから不登校予備軍でもなんでもなく、ただ日常を平凡に過ごしていた。
     それがあの、地獄のような身体測定……。あんなの受けたら、さすがに不登校どころか退学して引きこもりになって、なおかつ家族や親友の同情を集めて回っても少しはおつりがでるんじゃないかと思う。
     もっとも、その退学が出来ない仕組みだから問題なわけで、ちなみに不登校児への対応もご丁寧に行ってくれるようだから、犯罪者が警察から逃げるような逃亡劇でも始めない限り逃げ場はない。
     それでもちゃんと授業の支度をして、いつか自分を辱めた連中全員に仕返ししてやりたいと考えているあたしって、意外と精神強くない? っていうか、そうだと思って自分を褒めておかなければ、やっていけないよ。
     本っ当、いずれ誰か刺してやる。
     今のところ、あたしの殺してやりたい奴リストに名を連ねているのは、汗臭いデブの内木と、エロすぎで四六時中ズボンの中を膨らませている岡部の二人。もちろん他の連中も許せないけど、明確に目に物見せてやりたい対象は主にそいつらだ。
     頭の中で復讐のイメージを浮かべながら通学路を歩く。
     あたしの通う黒坂高校はちょっと遠いが、変わりに無料送迎バスが出ている。バス停が徒歩圏内にあるのに加え、かかる交通時間を考えれば、実際の距離は遠くとも実質近いようなもんだ。
     ただし、みんなが乗るから混んでる。
     バスがあたしの地区にやってくるのは、だいたいの生徒を回収し終わった後なんだと思う。
     あたしが乗車する頃には座席は埋め尽くされていて、しかもつり革もまでもが満員になっている。というわけで、ドア付近にある手すりを掴んで立っているしかなかった。
     で、外の風景を眺めていると。
    
     ――さわっ
    
     スカートの上に、誰かの手の平が乗っかってきた。
     痴漢だ!
     この痴漢は随分遠慮が内容で、ためらいなくお尻を鷲掴みして揉んでくる。
     あたしはあいにく、黙って触らせてやるほど親切でもなければ気が弱いつもりもない。即座にバッグでお尻をガードし、肩越しに振り向いて背後にいた男を睨みつけてやる。
    「おはよう、咲夜君。今日もいい尻ですなあ」
     いたのは、岡部だった。
    「セクハラ痴漢教師」
     言ってやった。こいつ、マジで捕まればいいのに。
    「そういう口を叩けるのが咲夜君、キミの魅力ですよ?」
     お前に褒められても腹が立つっての。
    「ふふっ、咲夜君。このバスはね、週に一度自由に痴漢を行っても良いことになっているのです。男性にしか通達は来ないので、それが何曜日の話になるかは女子にはわからない仕組みなんですよ」
     男にとって都合の良い仕組みをドヤ顔で語ってくる。周囲を見れば、確かに女子生徒達は恥ずかしそうに身をもじったり、必死に堪えたりしていた。
     まったく、あたしはてっきり校舎内でしかエロイベントはないものと思っていたのに、まさかバスにまで手が回っているとは。これは電車通学か自転車通学を真面目に検討する必要がありそうだ。
     とりあえず、バッグでお尻のガードを固めたまま、ドアに胸をくっつけた。これならば、岡部も大事な部分には手を入れにくくなるはずだ。
    「悪くないディフェンスですね、咲夜君。ですが、これならどうでしょう」
     岡部はあたしの背中に抱きついて、耳に息を吹きかけてきた。
     気持ち悪い! 全身に鳥肌が立つ。
    「到着までのあいだ、存分に楽しみましょう」
     岡部の舌が、あたしの耳をぺろりと舐めた。