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  • ありさ ふんどし祈願 第3話

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     真剣にふんどしと格闘していた女性達も、外から男性が入って来たことにようやく気がつき、秘所や乳房を隠そうとしたが、入って来たのが長老の亀村長と分かり、いささか安堵の色を浮かべた。
    
     ありさは悪びれもしないで、裸のまま村長のそばに行った。
    
    「村長さあ~ん☆困ったにゃん!☆ふんどしが上手く締められないんですぅぅぅ☆」
    「おお、そうかそうか。それは無理もなかろう。一度しか練習をしておらんものなぁ。よしよし。では皆聞いてくれ~。今から、ここにいる女性にわしがふんどしを締めてみるから、あんた達もよ~く見て同じように着けるんじゃぞ。いいな?」
    「は~~~い!」
    
     ありさは一瞬キョトンとして亀村長に聞いた。
    
    「え?☆私がモデル?☆」
    「そうじゃが。嫌か?」
    「いいえ、そんなことはないけどぉ☆」
    「そうか、それなら良い。では早速始めるとしようか。表ではみんな首をなが~くして待っとるからのぅ」
    
     ありさは緊張の表情で亀村長の行動を見守った。
     亀村長は高齢とは言え、ふんどしの締め方はさすがに堂に入っている。
     滅多に物怖じしないありさも、ふんどしを股に通した瞬間は固まってしまった。
     さらしはグイグイと二重に捻じり込まれていく。
    
    「あ~ん☆村長さぁん、ちょっと痛いよ~☆」
    
     それもそのはず、捻じり込まれた部分が、割れ目にグイっと食込んでしまったのだ。
    
    「やっぱり痛いか?男の場合も最初は痛がりよるが、女の場合はもっと痛いかも知れんなあ。まんこにきっちりと食込むもんね、ウッシシ~」
    「いやぁ~ん、エッチ~☆そんな言葉使ったらだめなのぉ~」
    「わははは~、こりゃしまった。わしとしたことがつい口を滑らしてしもうた。男衆だけのときの癖が抜けんでなあ」
    「ここは女の子ばかりなんだから、その癖は抜いてください~☆」
    「いやいや、すまんすまん。わははは~」
    
     亀村長はありさと語らいながらも、手の方は止まっていない。
    
    「どうじゃ?少し痛かろうが、祭の間だけは悪いが我慢してくれ。しばらくの辛抱じゃから」
    「は~い、分かりました!☆」
    
     ありさから了解を取りつけたことを良いことに、村長は屈んでしげしげと覗き込み、股間の締め付け具合をわざわざ確認した。
    
    「う~ん、まだ緩いかも知れんなぁ。もうちょっと締めたほうが良さそうじゃな」
    「え~!☆まだ締めるの~?☆いやぁ~ん☆」
    「ほれほれほれ」
    
    (ギュッギュッギュッ)
    
    「イタタタタ・・・☆」
    
     締込みはありさの割れ目にきっちりと食い込み、危うく小陰唇がはみ出すほどであった。
     鏡を覗いていないありさはまだそれに気づいていない。
    
    「何かSMチックな気分・・・☆」
    「気にするな、気にするな。しばらくの辛抱じゃわい」
    「はぁ・・・それはまぁ・・・☆」
    
    「よし。できたわい。これで良い」
    
     亀村長はありさの尻をパチンと叩いた。
    
    「きゃっ!☆」
    
    
    


     
     
     


  • 第9話「犬扱い」

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     調教とはいっても、ただ性的に身体を開発するのとは目的が異なっている。
     いわば儀式だ。
     自分を辱めた相手から、さらなる調教を受けることにより、己が敗北者であることを海よりも深く実感する。どん底の中のどん底の気持ちを味わい、その上で這い上がることが、コーチが神谷沙織に課したことなのだ。
     翌朝の沙織が受けた仕打ちは――。
     その内容は、まずはストリップの披露に始まる。
     早朝のジョギングに着たジャージ姿で、前のジッパーを下げて一枚目を脱ぐ。その下のシャツを脱いでスポーツブラジャーの上半身を晒し、ジャージズボンを脱げば下着姿。あとは両方の下着を取り去ると、汗ばんだ裸が下須井の視線に晒された。
    「ひゅう! やっぱイイ体だよなァ?」
     当の下須井は一枚も脱いでいない。
     服を着た男の前で、自分だけが全裸でいるのは、身分差を形としてそれを実感させられるような屈辱がある。
    「ふん。好きに見ていろ」
     沙織は表面上、毅然としていた。
     恥じらっては負けだ。頬の染まった顔など下須井を喜ばせるだけであろうし、まして普通の乙女のように羞恥に震え、ビクビクと恥ずかしがっては、どこまでも舞い上がるに違いない。
    「よーし、四つん這いになれ」
    「チッ」
     偉そうな命令口調が癪に障るが、コーチからは何でも指示に従うよう言いつけられている。自分にこんな地獄を体験させておきながら、それで頂点が取れなければ、煮るなり焼くなり好きにしてやろうと心に誓う。
     その上で尻を向けると、頭は低くしろというので枕に沈めた。
    「尻の穴までよーく見えるぜ?」
     自分からは相手の顔が見えず、下須井だけが一方的に沙織の恥部を眺めている。接近してくる顔の気配が、尻のすぐ後ろに迫り、そっと手の平を置いて撫でてくる。
    「……うっ」
     表面をじっくりと味わうような撫で方に、尻中に鳥肌が立って寒気が走る。手の平の接触点から何かが滲み、皮膚に汚辱が染みてくる感覚に、ゾッと顔色を変えていった。
    「こんなに綺麗なアスタリスクがあっていいのか?」
     両手が尻たぶを鷲掴みに、二つの親指が菊門を左右に伸ばす。
    「そんなところをまじまじと……」
    「お? 恥ずかしいか?」
    「黙れ、なんとも思わん」
     尻穴ばかりに集中してくる視線に耐え、沙織は静かに終わりを待っていた。この苦行も時間さえ経てば必ず終わる。ひたすらに耐え忍び、開放の時を待てばいい。
    「では負け犬の儀式を始める」
    「儀式だと?」
    「ああ、こうだ」
     何かの先端が、沙織の尻たぶを突いていた。柔らかな肉はクレーター上にへこみ、そのスライドによって皮膚に黒いラインが伸びていく。
     それはマジックペンだった。
     下須井は何か文字を書いているのだと、沙織はすぐに悟っていた。
    「好き勝手な真似を……」
     まず左の尻たぶに感じたのは、ノの字を成すようなカーブだ。それから横線。次にまたノの字。これはカタカナのクを成したということか。さらに縦線、横線が走っていき、何か四角い漢字を書いたのだとわかる。
     右の尻たぶに書かれる文字は、左よりも画数が少なかった。横線を一本書いたら、「人」の字を成すかのようなカーブラインが二本走る。そして、点を打つような短い線が一本。
     ――犬?
     その一語がよぎるなり、沙織はみるみるうちに怒気を浮かべた。
    「へへっ、負け犬って書いておいたぜ?」
    「どこまでも侮辱を……!」
    「そういう儀式だもんな。仕方ないなァ?」
     下須井は屈辱の文字を刻むに飽き足らず、用意していたスマートフォンのシャッター音声を鳴らしていた。
    「と、撮ったのか!?」
    「ああ、そうだ。よーく見ておけよ?」
     目の前にスマートフォンが置かれ、その画面を横向きにした中には、沙織の巨尻がアップで映し出されている。肉厚の丸いカーブがでかでかと画面面積を占領して、中央には皺六本の肛門が丸見えで、その下には秘所の割れ目が控えている。
     アダルト画像としては、さぞかし尻好きの心をくすぐる一枚だろう。
     ただし……。
     左尻に『負』――。
     右尻に『犬』――。
     負犬の文字が、太いマジックペンのラインで書かれている。
    「くっ! 貴様ァ……!」
     沙織は強くシーツを握り込み、極限までの握力で拳がひどく震え始める。歯を深く噛み締めることで表情は歪み、力んだ肩も硬くなる。
    「おら、四つん這いだ。自分の負け犬の文字をよーく見ておけ」
     そう、これは儀式だ。
     スマートフォンは四つん這いの両手のあいだで、沙織はじっと己の負け犬画像に目を落としている。自己の戒めのために敗北の記憶を保つのは、それ自体決して悪ではないが、ここまで屈辱的な形でそれをやるとは思わなかった。
     だが、焦ってはならない。本当に怒ってはならない。
     下須井ヒロマサなど、単なる修行道具だ。自分自身の心を追いつめ、精神を鍛えるために利用しているにすぎない。
     だから、だから……。
    「……くっ!」
     いくら頭でコーチの意図がわかっていても、歯軋りの力が緩むことはない。意識的に平静を取り戻そうと考えても、無限に湧き出る感情が、ほとんど条件反射的に全身という全身の筋肉を力ませていた。
    「負け犬には首輪がいるなァ? ほれ、用意してあるから動くなよ?」
     下須井の無骨な指が髪を掻き分け、邪魔な黒髪を横にどけ、赤い首輪を巻きつける。軽く苦しい程度の締め付けの調整が、本当に苦しいほどではないも、首輪の存在を実感させる。屈辱に耐え切れなくなりそうで、沙織はより強く歯を軋ませた。
    「よくも変態プレイを思いつくな。ゲス男め」
    「ははっ、コーチのアイディアなんだぜ?」
    「何ィ?」
    「とにかく屈辱を与えろって言われてるもんでね。首輪もペットショップで買ったもんだ」
    「ワンとでも鳴いてやろうか」
     負けじと肩越しに睨み返した。
     ……負けたくない。
     あまりの屈辱に心が壊れそうにもなってくるが、どんなに無様な目に遭っても、魂だけはこの胸の中に保ち続けたい。心が折れて駄目になるなど、それは精神的な意味で下須井に屈服することのような気がしていた。
     だから負けない。
     だいたい、それを指示するコーチもコーチだが、本当にそれを実行してくる下須井にことも許せない。必ず耐え抜いて、どいつもこいつも見返してやる。
    「おう? 是非鳴いてくれよ」
     ――ペチン! ペチン! ペチン! ペチン!
     尻に平手打ちが繰り出された。
    「ワン、ワン」
     これで満足だろう?
     と、言わんばかりの決して乗り気でない声量で鳴いてやる。
    「ははは! 楽しいねぇ?」
     ベルトを外し、ズボンを脱ぎ出す衣擦れの音が、尻の後ろから聞こえてきた。目を瞑っていても戦える強さの沙織にとって、下須井のトランクスの中身が極限まで勃起しているのも、それを下げた途端に太く長い一物が反り返り、まさに尻へ向かってくるのもよくわかる。
    「……楽しいのは貴様だけだがな」
     ペニスが、突き立てられた。
     四つん這いの姿勢では、肩越しにも相手の顔は見えにくいが、どうせさぞかし勝ち誇っているのだろう。楽しそうな顔なのだろう。下須井の方は上から沙織の背中を見下ろすのだ。これに何の征服感もないわけがない。
    「神谷、お前はちゃんと自分の敗北を戒めるため、その負け犬の姿をよーく見ながら俺に犯されろ。この犬みてぇなポーズでな」
    「ふん。なるほどな」
     犬のポーズで首輪までして、尻に負け犬と書かれた画像を見ながら犯される。沙織に対する侮辱でしかない嗜好のセックスで、心の気丈さを保ってみせろというわけだ。
    「おらおら、挿れるぜェ?」
     亀頭が押し込まれてくるのに合わせ、沙織の秘所は丸い輪のように形を広げる。だんだん肉竿の根元まで飲み込んで、すっかりペニスを含んだ下の口は、初めは感じるというよりも、異物から膣を守るための活性油から分泌していた。
     腰のくびれを掴んだ両手が、沙織の身体角度を固定している。
     ゆさゆさとした小刻みなピストンが始まると、その都度ぶつかってくる腰が、豊満な尻山をむにむにと潰してきた。ぴったりと閉じようとする膣壁は、亀頭によって左右に割り開かれ、後方へ引いた分だけまた閉じる。
    (……私は犬ではない)
     そう広くない膣口は、とても自然に竿を締め付け、だから出入りによって生まれる摩擦は強く膣壁に跳ね返る。身体は前後に揺れ、視線を落とした先にある負け犬画像が揺れて見える。
     これは貶める目的のセックスだ。
     馬鹿にして、侮辱して、犬と蔑むためにペニスは動き、沙織に立場を教え込もうとピストン運動を繰り返す。
    (犬ではない。犬ではないんだ)
     言い聞かせていなければ、本当に自分は犬に過ぎない気になってしまう。こうして精神的に追い詰める行為には、そういう効果が間違いなくあるのだった。
     ――じゅぷん! つぷん! にゅぷっ、ずぱん!
     しだいに愛液が出始めて、粘液を突き捏ねる音が強まる。
    「――っふうッ」
     下半身に走る甘い痺れが、沙織に喘ぎを上げさせた。
    「おうおう。いい声が出てきたなァ?」
    「ば、馬鹿め……苦しいだけだ…………」
     沙織は歯を食い縛った。
     そこにあるのは快楽というなの屈辱だ。感じれば感じるほど下須井は思い上がり、つけ上がり、そして自分はそんな奴に喘がされたことになってしまう。冗談じゃない。下須井なんかで何も感じたくはない。
     しかし、上昇するピストンペースに電流が弾け、背筋をかけてうなじに及ぶ。
    「ん! んん! んっ、んん……!」
     おかしいほどに顎を力ませ、唇を閉じ合わせていても、喉奥からの息漏れの喘ぎは、確かに下須井の耳に届いてた。
    「へっ、負け犬が感じてやがるぜ」
    「感じてなど――んぅ――んっ――ん――!」
     喋ろうとすれば、危うく本当に喘ぎかけ、慌てて口を閉じ直す。食い縛る歯を強め、ますます頬を強張らせ、沙織は懸命に耐え忍んだ。
    「おら! 尻にぶっかけてやるぜ!」
     引き抜いた下須井は、沙織の巨尻に多量の精液をぶちまけた。
     白濁濡れに汚れることで、太いマジックペンのインクが染みた尻肌の上で、負と犬の二字がところどころ白く塗りつぶされる。黒ずみの薄い綺麗なアスタリスクの肛門には、ちょうどスライムの粘膜でフタをするかのように付着していた。
    「また撮ってやるから動くなよ?」
     下須井のスマートフォンが、尻の後ろで何度も何度も、いっそ聞き飽きるほどにシャッター音声を鳴らし続ける。その画像は当然のように見せ付けられ、自分のみっともない尻を拝む羽目となる沙織は、ひたすら屈辱に震えていた。
    
    
    


     
     
     


  • 第7話「下須井との体験」

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     翌日から、神谷沙織は早速のように大河内ショウの元へ訪れ、今すぐにでも特訓を始めるつもりで動きやすいジャージに着替えていた。
     コーチの住む別荘は海の手前。
     大金持ちならではの大屋敷の窓辺からは、どこまでも広がる青い景色が美しく、また裏手には大きな山がそびえている。沙織はそんな豪奢な部屋に招かれ、そこでこれからの方針を告げられることになる。
    「まずは自分の敗北を認める必要がある」
     並行一番、ショウはそう言った。
    「敗北か……」
    「思うところはあるだろうが、言い訳をしたって意味はない」
    「……わかっている。それでどうする」
    「録画映像がある。まずは試合を振り返るんだ」
    「…………」
     沙織は閉口した。
     案内された部屋には大画面のテレビがあり、サイズでいえば体操マットや座布団数枚分には匹敵する。明かりを落として映画作品でも再生すれば、ちょっとした劇場気分が味わえることだろう。
     ショウが再生の準備を済ませ、それから二人は並んでソファに座る。リモコンによって画面がつくと、まず出てくるのは沙織自身が股を広げたあの場面だ。
    
     ――どうだ! 見ろぉ! これが神谷沙織の愛液よォ!
    
     映像の中にいる下須井は、鬼の首でも取ったように勝ち誇っている。指には沙織の愛液が絡みついており、あの恥辱が蘇るようで画面から目を背けてしまう。
    「神谷。しっかり見ろ」
     沙織は膝に置いた拳を震わせながら、苦しい思いで顔を持ち上げ、そこに映る自分自身の耳まで赤い表情に目をやった。あの時は指で顎を掴まれ、逸らしていた顔を強制的にカメラ向きにさせられたのだが、自分のしていた表情を見ると何も言えない。
     いかにも許して欲しそうな、これから泣いて命乞いをしてもおかしくない顔つきは、とても自分のものとは信じられない。
    え それに、あのリングで受けた屈辱はこれだけではない。
     沙織はあのあと、さらに酷い仕打ちを受け、その全てを実況され、丸ごと映像に収められてしまっている。
     四つん這いにさせられた。
     マットに顔を押し付けられて、あのときの沙織には、下須井が後ろでどんな顔をしていたのかは見えなかった。見たくもなかった。ただ尻だけを高くした姿勢で、情けなくも目を瞑り、震えながら耐えることしかできなかった。
     画面の中にいる下須井は、高らかに腕を振り上げている。
     そして――
    
     ――スパァァァン!
    
     叩いた。スパンキングだ。
     黒スパッツの中に響いた衝撃が、ヒリヒリとした痛みの記憶が蘇り、尻に意識をやった沙織は恐る恐るといった視線で隣を伺った。
     叩かれたときも最悪だったが、そんな自分の姿を別の誰かと一緒に鑑賞するなど、これは何の罰ゲームであろうか。
    
     ――パァン! パァン! パァン!
    
     無抵抗に平手を浴びる画面中の沙織は、マットに顔を埋め込み頭頂部をこちら側へ向けた姿勢で、尻は下須井側である。高い位置にあるスパッツ尻はよく映り、左右交互に打たれるたびに良い音を鳴らしている。
    『なんと無残! これが最強のクイーンの姿か!』
     改めて聞く実況の煽りも、勝てるのに勝てないことの歯がゆい気持ちを刺激して、余計に悔しくさせてくる。
    
     ――へへっ、次はケツを丸出しにしてやる。
    
     スパッツがずり下げられ、剥き出しの尻肌を鷲掴みにされた。その指が強く食い込む感触も、高らかに実況されたのも、全ての記憶が沙織の身体には残っている。さらに生尻にまでスパンキングを受け、ほんのりと手形がついたのは間違いない。
    『今度は開帳! 赤ん坊のように抱き上げたァァァァァァ!』
     さらには股を抱き上げて、M字開脚の形に持ち上げ、アソコと尻の穴まで大きく画面に映し出されてしまった。
    『これは! 本当に毛が生えていない! 剃ってあるぞぉぉぉぉぉ?』
     実況が羞恥を煽る。
    『ビラが少しもハミ出ていない綺麗な割れ目に、お尻の穴は綺麗なアスタリスクのような六本の皺で出来ている! 黒ずみの薄い清潔感には驚きだぁぁ!』
     性器の形や肛門について、こうも細かく指摘された画面中の沙織は、両手で顔を覆い隠し、その内側で表情を歪めている。これで全ての恥部についての説明が、大衆に向けて行われてしまったことになるのだ。
     恥ずかしさで気が狂いそうだったのは言うまでもないが、そんな自分自身の映像を確認するなど、あのリングで浴びた何千何万からの視姦が蘇り、肌中にあった視線の感触が今にも生々しく素肌を走る。
     尻の穴という自分では確認できない部位の情報さえ、大衆に知れ渡っているのだ。そう思うだけでむずかゆい。
    「有料チャンネルでは胸までは放送されたが、下半身はこの通り修正されている」
     ショウの言うように、大きな黒丸で肝心な部分は塗り潰していた。アダルトであればもっときわどく、無修正の性器を見せないだけのモザイクに留めただろうが、尻も腰も丸ごと隠す勢いの修正は、かなりの意味で卑猥さを激減させる。
     その方が、沙織にとってはマシではあるのだが……。
    「とはいえ、現場では全部丸見えだったようだからな。パシャパシャ撮った奴が何人いたか。流出した画像を悪いが俺も見させてもらった」
    「……そうか」
    「確かに綺麗なアスタリスクだ。確認するといい」
     と言ってショウは、テーブルにノートパソコンを立ち上げ、あらかじめ保存していた下腹部の画像を出す。
    「――うっ」
     沙織は思わず目を背けた。
    「ちゃんと見るんだ」
     そして、苦しい思いで目を向けた。
     大きく映し出される性器と肛門は、M字の股をアップにしているだけあって、卑猥なこと極まりない。尻穴は本当に『*』のマークと変わらない放射状で、皺の本数も一目で六本あるとわかりやすい。
     ――黒ずみの薄い清潔感には驚きだぁぁ!
     実況の雄たけびが頭の中で今一度再生され、若干桜色じみているのが、まさに驚きの清潔感を証明しているようでなんともいえない。
     初々しい十七歳のワレメも綺麗なもので、白くきめ細かい肌をぷっくりと膨らませた中央には、ぶれない直線が滑らかに通っている。
    
     ――さあお前ら! こいつのアソコの中身が見たいか!
    
     下須井は観客に対して呼びかける。
    
     ――うおぉぉぉおぉぉおおお!
    
     歓声がそれに答えた。
     下須井の手は下へ下へと、秘所のところへ映っていき、大切な乙女の園を容赦なくぱっくりと、左右に大きく開いてしまう。
    『これは環状処女膜だ!』
     実況は専門的な言葉を口にした。
    『知識ある方はご存知のように、処女膜とは膣口の内側にある粘膜のヒダ。必ずしも本当に膜が閉じているとは限らず、指が一本かあるいは数本入る小さな穴が初めからあるわけですが、沙織選手の処女穴は、まるで星型のように少しだけギザギザじみた丸穴です』
     ノートパソコンの画面を見るに、全くその通りの形状をしている上、愛液が泡立った残りまで付着している。
    『濡れたあとなのは言うまでもない!』
     改めての指摘が羞恥を煽り、沙織は頬を硬く強張らせた。
    「これが今のお前だ。わかるな?」
    「ふん。わかりたくもないがな」
    「どんな理由があろうと、ああなったものはなったんだ。お前が決して負けを知らずに育ったわけでないのは記録でわかるが、ここ数年以上は負けを知らない。この辺りで、もう一度敗北と向き合うことが、今のお前のスタートラインになる」
     あらかじめ下須井ヒロマサと連絡をつける手はずは整えてあり、もしも沙織が頷けば、今日中に呼び出せる予定だったという。決定的な瞬間を今から待つことになり、覚悟や緊張の中で沙織はシャワーを浴びていた。
     本当に強くなるには、それこそ生死に関わる危険な特訓はざらにある。軟弱な精神で世界は取れないとはその通りだが、まさかメンタルを試す方法が、自分を負かした男に抱かれろとなるとは想像すらしなかった。
     まずはそれだけ、泥水でも啜るほどのどん底を味わえということか。
     好きでもない男の身体を洗い、清潔にしておくだなんて、既に良い気持ちがしていない。生け贄にでも選ばれた気分だ。コーチもコーチで、自分で抱くのでなく他の男をわざわざ呼び、そいつのためにホテル代まで用意していた。
     そう、ここはラブホテル。
     シャワーを済ませた沙織は、指示通りにバスタオル一枚だけで出て行き、大河内ショウに扇情的な姿を見せる。
    「ほう?」
     品定めの視線に晒されて、途端に気恥ずかしくなった。
     谷間が一センチだけ覗けるタオル姿は、高身長のせいか丈の長さが頼りない。ほとんど丸出しになっている太ももから、ほんの数センチほど持ち上げるだけで、尻やらアソコやらが見え隠れするはずだ。
     腰のくびれたボディラインも、当然のように浮き出ている。
    「奴はもう来るのか」
    「ああ、まもなくだ。すぐに来るだろう」
     ソファにかけていたショウは、重い腰を持ち上げるように立ち上がり、ゆさゆさと肩を揺らして部屋を出る。きちんと相手をするようにとだけ言い残された沙織は、これからに対する色んな思いを抱えながら、ベッドに腰を沈めていた。
     初めての相手が、下須井ヒロマサで決定してしまった。そのどんよりと重くなる気持ちもさることながら、自分をあんな目に合わせた最低漢が、これからもっと調子に乗り、さも楽しげに微笑むのかと思うと煮えくり返る。
    (あんな奴が……あんな奴と私は…………)
     本当に泥水を啜ってみせる。頭から酒をかけられる。土下座をする。他に思いつきうる屈辱の方が、いくらでもマシな気がしてくる。
     やがてして、ドアノックの音が聞こえた。
    「よお、本当にいるのか? 神谷よぉ」
     下須井ヒロマサの声だ。
    「ああ、入れ」
    「へへっ、失礼するぜぇ?」
     あのゲスな微笑みを浮かべて、無遠慮に踏み込んできた。
    「本当に来たんだな」
    「来たぜぇ? 面白いこと考えるコーチもいたもんだなァ? 確かにお前は精神を鍛えないと、今まで調子に乗りすぎたからなァ?」
    「お前が人に鍛錬の必要を説くとはな」
    「鍛えてやれと、他でもないお前のコーチから頼まれちまったもんな。俺もはりきって調教してやるから、せいぜいお前も頑張れや」
     下須井は手荷物を置き、さっそくシャワーを浴びに行く。
     しばし待ち、楽しみで仕方のない顔の下須井を迎えると、柄でもない緊張感が押し寄せ全身が強張った。
    (今からするのか……)
     しかも、下須井と。
    「楽しかったなァ? この前の試合はよぉ」
     隣に座ってくる下須井は、遠慮もなしに沙織の肩に手を回し、しっかりと抱き寄せる。ゾッと鳥肌が広がって、沙織はブルっと身震いした。
    「何が楽しいものか」
     声も怒りと緊張で震えていた。
    「楽しかったじゃねえか。おっぱいもマンコも、尻の穴まで大衆に見てもらってよォ」
    「楽しかったのはお前だけだ」
    「いいんだぜ? 素直になれよ。未知の体験は女として最高だったろ?」
    「……なッ! ふざけるな!」
     沙織は本気で怒った。
     バトラーとしての厳しい修行を経て、沙織は生死の危険や怪我と隣り合わせの体験を今までしている。だから一般人とは比較にならない丈夫な精神を持ち合わせ、あんな目に遭っても一応のところは今まで通り生きている。
     だが、普通なら人生が終わったような絶望に苛まれ、飛び降りるなり引き篭もるなり、そういう反応があってもいい。いや、むしろそれが正常な反応ですらある。あれで完全には心が折れていないなど、常識的な視点からすれば怖いとすらいえる。
     もっとも、二人とも常識を逸脱した者同士だ。
     沙織から見れば下須井は雑魚だが、その下須井にしても一般男性が何人束でかかって勝てる相手でもない。
    「おいおい、楽しくもねェのに濡れる女がいるか?」
    「黙れ! 馬鹿にするな!」
    「っつってもな。これからヤる相手だしよ」
     下須井は沙織の頭を指で掴み、くいっと動かし自分を向かせる。
    「貴様ぁ……!」
    「いい顔だ。たっぷり楽しませてやるよ」
     手始めとばかりに下須井は唇を押し付けて、沙織のファーストキスを奪い取る。
    (……お、おぞましい!)
     腐敗した生ゴミでも食わされようとしているがごとく、沙織は全身全霊で唇を閉ざした。そんな沙織の硬い唇に対して、下須井の唇はリング状に大きく開き、沙織の唇をこれでもかというほど激しく貪る。
     下須井の舌先が、沙織の唇の合わせ目をべろべろ撫でる。自然と頭が後ろへ逃げようとしていくが、がっしりと後頭部を掴まれて、やっと息継ぎのために二つの口が離れた頃には、沙織の唇は唾液濡れの光沢を帯びていた。
    (私のファーストキスが……)
     戦いの道に生きすぎた沙織の乙女心は一般的な少女と比べて薄い。メンタルが強いので傷ついても変わらないという見方も可能だが、何にせよ初めてはきちんと恋人と、という常識的な夢想くらいは普通にあった。
     まして、相手は下須井なのだ。
    「ご馳走になったな。神谷よォ」
     それを奪った男の顔は、いかにも下品な表情を浮かべている。欲望の権化が何かを満たしてせせ笑っているそのものの表情だ。
    「ふん。もう少し上品に出来ないのか」
    「セックスに下品も上品もあるか?」
    「人としての品があれば抱き方も変わる。お前は最悪だ」
    「処女がよく言うぜ」
     指摘され、沙織は目を伏せた。
    「……黙れ」
    「へん。黙々とやってたって楽しくねーのさ。お前の方からも、俺にキスしろ」
    「誰がするものか」
     沙織は目を背けたまま、じっと壁でも見つめていた。
    「おい、コーチに言われなかったか? お前は俺に奉仕する義務があるんだよ」
    「…………」
    「あんまり言うことが聞けないようなら報告しろとも言われている。へへっ、なかなか厳しい奴のとこに行ったもんだな」
    「まあいいだろう。死にはしない」
     意を決するしかない沙織は、両手に下須井の顔を包んで見詰め合う。が、視線が絡んで気持ちのいいことは何もないので、さっさと目を瞑って唇を近づけようとするのだが、心理的な抵抗から沙織の顔はそう簡単には動かなかった。
     もしも汚物を食べろだとか、飲尿しろと言われたら、それを口に運ぶまでにはどれほどの心理的な労力がいるだろう。
     向こうからキスをされるのと、自分からするのでは違う。
     磁石の反発じみて後ろへ逃げようとする自分自身の頭を制し、無理をしてまで唇を接近させていく労力は、華奢な腕で重量物を持ち上げることにも匹敵する。そうまでしてキスを行う沙織の全身には、当たり前のように鳥肌が広がっていた。
    (……とんだ拷問だ)
     ただ重ねるだけのキスをしていると、下須井は何も言わずに口を半開きに、舌を極限まで伸ばしてくる。ディープキスを求めた露骨な合図だ。
    (やるしかない、か)
     どん底を味わえ、汚物を喰らえ。
     下須井マサヒロという男は、自分が糞味噌の代替品だということを知っているのか。はたまた別の言い方をされ、のこのこやって来たわけなのか。沙織には与り知らぬところだが、これはそういう試練なのだ。
    (やってやる。このぐらいは何ともない)
     沙織も舌を伸ばして絡め合った。
     唾液をたっぷりとまとった舌の感触が、そのまま沙織の舌にまとわりつく。さながら親鳥が子にエサを与えているような、啄ばむようなキスの応酬は、遠慮とたどたどしさばかりで、いかにも仕方なくやっているのがよくわかる。
     嫌いな食べ物を我慢するより、ずっとずっと嫌だ。
    「はむぅ……んぷぅ…………」
     それでも、沙織は自分の唇に下須井の舌を挟み、お互いの舌先を触れ合わせたり、啄ばんだりと色んな方法を試していく。
    「咥えろ」
     その一言で、沙織はバスタオル巻きの下半身に目をやった。天を貫くような勃起が、タオルをテント状に持ち上げている。キスだけでも糞尿を食わされる気持ちがしたのに、ペニスを口に入れるだなんて出来るのだろうか。
    「て、手で……」
    「おう? 天下の神谷沙織様も、さすがにフェラチオの度胸はないってか?」
     咥えたら咥えたでいい気になり、勝ち誇った笑みで沙織のことを見下ろすだろうに、やらなければやらないで馬鹿にしてくる。
    「くそっ、やればいいんだろう!」
     ベッドの横に両足を下ろしている下須井。その大きく開いた股元へ、床に膝を下ろして座る沙織は、下須井のバスタオルを取り外し、生まれて初めて直視するペニスに大きく表情を歪めていた。
    
         ***
    
     沙織の目と鼻の先。視界の中央を占めているのは、嫌に立派な太さの勃起ペニスだ。はち切れんばかりに膨らむ肉棒は、天井へ向けてそそり立ち、皮の下から血管を浮かせている。
     少し視線を上げていけば、よく鍛えられた腹筋に肉厚の胸板。それから、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた下須井の顔が、沙織をよーく伺っている。
    (こんなものを口に入れるのか……)
     沙織は視線をペニスに戻した。
     性的な知識がないでもなく、男性器に刺激を与えるにも色々と方法があるのはわかる。その中には口でする方法があるのも知っている。
     しかし、相手は下須井。
     いざ口を近づけようと思ったなら、想像を絶するほどの心理的抵抗が働いて、顔が前に進むどころか後退した。
    「おいおい。ビビってるのか?」
    「馬鹿な。気持ち悪いから躊躇うだけだ」
     というのは事実に過ぎない。汚物、生ゴミ。あるいは蛾だのナメクジだの、そういうものを口に入れろを言われて、平然と頬張ることのできる人間がいるだろうか。
     これが恋人のペニスか何かなら、まだしも愛おしく思えただろう。女にだってそういうことに興味は持つし、好きな人とのセックスについての夢想もする。下須井のペニスであるという事実こそが、最大限の躊躇いを与えているのだ。
    「ほらほら、まずは両手で握ってみな」
    「……こうか」
     根元を手の平に包み込むと、異様に硬い肉の感触が伝わってきた。生温かい温度が手肌に染みて、ピクっと脈打っているのもわかる。
    「いいぜぇ? 亀頭の口に優しくキスしな」
     命令口調が気に食わない。
     だが、自動的に後ろへ下がる頭を無理に押し出し、前へ前へと唇を近づけて、沙織はそっと亀頭に口付けした。
     その瞬間、鳥肌が広がった。
     唇のまわりが、顎が、頬が、みるみるうちに毛穴を広げて冷や汗を噴き出し、肌中がSOS信号を放っている。
    「したぞ」
     たまらずに、ほぼ反射的に唇を離した沙織は、嫌悪感を隠しもしない顔で下須井を見上げた。
    「もっとだよ。舐めろ、咥えろ、たくさんしろ。フェラチオらしく努力しろ」
    「くぅ……やればいいんだろう…………」
     コツも何もわかりはしない。
     ほとんど手探りで、まずは再び唇を押し当て、生理的拒否反応を抑えて亀頭の約半分を揉み潰す。舌を伸ばし、先端をペロペロ舐め、またキスをする。単純なキスと、唇を駆使した亀頭マッサージと、舌先で舐める行為の三つをとにかく繰り返した。
    
     ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ…………。
    
     つむじあたりに注がれる下須井の視線を感じつつ、拙く舐める沙織の舌には、亀頭の味ばかりが染みていく。舌の根にまで鳥肌が広がって、嗚咽しかけてなおも舐め、また唇を使って噛みほぐす。
    「はっはっは! いい気分だぜ!」
     下須井は沙織の頭をポンポン叩いた。
     沙織の胸にじわじわと広がるのは、決定的な敗北の気持ちである。勝者と敗者の関係をわかりやすい構図に変え、こんな風に奉仕をして、下須井が喜べば喜ぶほど、沙織の胸にある屈辱は、まるで破裂する限界が存在しない風船のように、永遠に膨張していく。
    「神谷ァ! お前はどうだ? 俺のチンポは美味しいかァ?」
    (……黙れ、まともな味がするものか!)
     沙織は睨み上げ、下須井は楽しげにする。
    「おら、もっとしゃぶれ! 咥えろ! 一生懸命、この俺を感じさせな!」
     頭をポンポン叩かれ続け、ますます敗北感に呑まれていく。
     顔を前に進めた沙織は、肉竿の約半分までを飲み込んだ。太さのあまりに口内のほとんどが肉棒に占領され、舌もやむなく密着している。
    (くそ! 私がこんなことを!)
     沙織は頭を前後に動かし始めた。
     前へいくにつれ、亀頭が喉を塞がんばかりになる。頭を引けば唇の裏にカリ首がぶつかり、貼りつく舌は前後に肉竿を刺激する。
     ――レロォォ……ズルゥゥ…………。
     口内にものが入っていることで、生理的に分泌される多量の唾液が、肉棒の表面をコーティングしてぬかるみに包んでいく。唾液が泡立っているためか、非常にかすかではあるが、泡のプチプチと潰れる音もしていた。
     癒着した舌と肉棒のあいだに、たった一ミリでも隙間が出来る際には、二つを粘着させていた唾液が濃密な糸を引く。そして、すぐに舌は竿に張り直され、密着のままに前後へ這い続けることになる。
     とっくに心が悲鳴を上げていた。
     岩盤に少しずつヒビが入っていくように、プライドに亀裂が走り、今にも砕けそうな心を気力だけで繋ぎとめている。
    (そうか。そういう鍛錬か)
     尊厳を足で踏みつけ、プライドに泥を塗る。恥辱という名の苦行に耐え、傷つきながらも茨の道を通り抜けてみせることこそ、下須井との性交渉に隠されたテーマだ。そうでもなければ、自分がこんなものを頬張っている事実に納得いかない。
    (そうだ。下須井など踏み台だ。私が前に進んでいくための――)
     ――ジュッ、ジュルッ、ジュジュゥ……。
     屈辱に味がついたとでも思って、沙織は甘んじてそれを啜った。肉竿の角度を支えるために両手に、指圧的な力を加え、全ての吐き気を堪えて一生懸命に奉仕する。
    「お? やる気が出てきたじゃねーか」
     いい子いい子とばかりに頭を撫でる手つきには、当然のように沙織を馬鹿にしたい気持ちが込められている。いい気になっている。調子に乗っている。全て沙織の口で気持ちよくなっているからだ。
    「好きに穢せばいい。それでも、私はかつて以上の輝きを手に入れ、今日のお前を見返して余る功績を残す!」
    「ほーう?」
     決意の熱を帯びた睨み顔と、相手を値踏みする調子の良い表情で、お互いの視線が絡み合っていた。
     睨み上げたまま……。
     一旦離れた口を近づけ直し、そっと押し付けるようなキスから、少しずつ唇の輪を広げていくようにして、今一度亀頭を飲み込んだ。色気のない怒気ばかりの表情で、口にはペニスを含む沙織の顔は、果たしてどこまで下須井を興奮させているものか。
    「ズチュ、ンジュゥ……ずるっ、ずりゅぅぅ…………」
     どれほど興奮されようと構わない。己の心にヒビが入れば入るほど、それはより高く飛ぶためのバネとなるのだ。
     ――悔しい! 悔しい! 悔しい!
     だからこそ、いくらでも奉仕してやる。
    「パイズリはわかるか?」
    「ふん。さしずめ、こういうことだろう?」
     自分のバスタオルを脱いだ沙織は、恥じらいはあるものの全裸を晒す。常識的な羞恥心から耳の先まで染めながらも、プルっと弾力の強いゴムボールじみて硬い乳房で、しっかりとペニスを包んで刺激を与えた。
     胸板の中央に硬い感触が埋まり、乳房で覆って逃がさない。勃起の熱量ばかりか、今まで沙織自身がまぶした唾液のぬかみもあり、その全てが肉棒との接着部位に広がっている。
    
     ――むにっ、むにっ、
    
     睨み返す視線は変わらないまま、胸でペニスをしごき始めた。
    「どうした? 急に覚悟なんか決めちゃってよォ」
    「ふん。どん底の泥水に浸かって鳴れただけだ。お前という泥水にな」
    「言うねぇ? 処女の神谷沙織ちゃんよォ」
    「どうせ最後までするつもりだろう。その処女も今日でくれてやる」
     両手掴みの自分の乳房を上下させ、無心にしごいている沙織は、やがて身体ごと上下に揺すって刺激を与える。
     いつ射精するのか。精液とは臭いのか。
     どうしようもないことを気にしながら、両手で強く乳圧をかけ、それだけ強く肉棒の熱気を皮膚に感じる。
    
     ――むにっ、むにっ、
    
     真下を見れば、谷間から見え隠れする亀頭がある。
    「ヤらせろ」
     と、一言。
     そして沙織は仰向けになった。
    
    
    


     
     
     


  • 第11話「五日目 お尻ペンペンとおチンポ記憶」

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     その朝の時間。
     リーナはシャワーを浴びていた。
     どんなに体を洗ったって、ジョードに抱かれた事実は消えない。汚れを落とそうとしたところで、今日にもまたジョードは現れ、リーナを好きなように楽しんでいく。そんなことは承知だが、それでもリーナは体を洗わずにはいられない。
     不愉快だからだ。ジョードに抱かれた汗や垢がこびりつき、それが自分の皮膚に残っていると思うだけで鳥肌が立つ。どうせまた汚されるのはわかっていても、だからといって洗わずにいるのは耐え切れなかった。
     シャワーを済ませ、バスタオルを巻いて部屋へ戻った時だった。
    「やあ? リーナちゃん」
    「――チッ」
     厚顔無恥なジョードが現れ、リーナはほぼ反射的に舌打ちしていた。
    「僕のために体を洗って待ってくれていたんだね?」
    「そんなわけないでしょ!」
     最悪のタイミングだ。リーナが口で否定しても、ジョードは自分の都合の良いようにものを受け取る。さも自分に抱かれるのを楽しみに、体を清潔にして待ってくれていたように思い込んでいるのだろう。
    「さて、さっそくシようか」
     ジョードはじゅるりと舌なめずりをする。その欲望にまみれた下品な表情を見て、全身に鳥肌が立っていた。
    「昨日散々やったでしょ? アンタはどこまで欲が有り余ってるわけ?」
    「無限大だよ」
    「最低最悪のクズね。自分が嫌われている自覚もできずに」
    「でもね。女の子は愛がなければ感じないんだよ? 僕のテクニックでイっちゃう女の子なんていうのはね? どうせ心の奥底では、本当は僕のことが好きなんだ」
    「本気で言ってんの?」
    「女の子には子孫を残す使命があるからね。自分では意識しなくても、エッチなテクニックがある男のことが好きなんだよ。リーナちゃんは自覚がなくても僕に惚れているんだ」
     自分の考えを疑わず、ジョードは自信たっぷりに述べていた。
     狂っている。
     こんなことを本気で言い出すような男が、果たしてこの世に何人いるか。世界中を探し回っても、ジョード以上に気持ち悪くて最低な男はいないはずだ。
    「こっちは何日もやられて疲れてるんだけど?」
    「でも、気持ちいいでしょ?」
    「疲れるって言ってんの。たまには本番無しで満足できないわけ? もう手ぐらい使ってあげるから、一日くらい休ませなさいよ」
     本心では手コキの時点で吐き気がする。ジョードなんかの一物を握っていると、まるで腐敗しきった臭い生ゴミにでも手を入れて、気持ち悪いのを我慢しているような、今にも腐汁の臭いと成分が皮膚に染み込むような猛烈な不快感に見舞われる。
     それがアソコに挿入されるなど、もはや拷問の一種といっても過言ではない。
    「だーめ」
     ジョードは微笑む。
    「く、口だって使うから! 一日くらい」
     口だって嫌だ。一体世の中の誰が、腐敗で黒く変色しきった野菜を食べたいだろう。ジョードの一物を咥えるのは、リーナにとってそれほどの気分なのだ。
    「駄目だよ? リーナちゃん。わがままを言っちゃ」
    「こんな何日も抱かれて、何で私の方がわがままなのよ!」
    「きちんと手ほどきを受け、相手のやり方に従うのは、王国の法律でも決まっている立派なルールだからねぇ? 国法に背くのはよくないよ」
    「ふざけたことを……」
     リーナは拳を握り締め、力むあまりに肩を震わせていた。
     何が国法だ。何が初夜権だ。そんなものをありがたがって、神聖な通過儀礼だと信じている馬鹿はイカれている。結局は国民の性的搾取だろうに、ジョードのような輩が現れ、好きな女を抱くためだけに権限を利用する。
     シェーム王国は腐っている。国外脱出の資金さえあれば、こんな国などとっくに捨て、キアランとはどこか別の国で結婚していた。
     だが、それだけの資金力があるということは、自分の力で結婚税を支払って、初夜権による性行為を免除できるということだ。
     だから、この国で初夜を奪われる女は減らない。
     嫌なら未婚を貫くしか道はない。
     それでも、好きな人ができてしまって、一生を添い遂げたいと思ったなら、もうどんなリスクを背負うことになっても、その人を愛さずにはいられない。愛する人にはセックスくらいさせてやりたい。子供だっていつかは生みたい。
    (今日と、明日と、明後日)
     それだけ耐えれば、真の夫婦生活を始められる。
     耐えてやる。
     絶対に負けたりしない!
    「わがままなリーナちゃんには、ちょっとお仕置きが必要だねぇ?」
    「なによそれ」
    「お尻を出してもらおうかな」
     ジョードが命令してきたのは、椅子に腰掛けた膝に対して、腹這いで体を乗せてお尻を突き出すことだった。バスタオルを取り外し、全裸でそのようになったリーナは、これから受けるお仕置きの内容を悟って、強く歯を噛み締めていた。
    
     ――ぺん!
    
     叩かれた。
     想像通りだ。
    
    「悪い子! 悪い子!」
     ――ぺん! ぺん! ぺん! ぺん! ぺん!
    
     平手打ちの連打が、リーナの柔らかい尻から軽快な打撃音を走らせる。尻肉は打たれるたびにプルンプルンと上下に弾み、皮膚が波打つように揺れていた。
    
     ――ぺチン、ぺチン、ぺチン、ぺチン、ぺチン、ぺチン!
     ――ぺチン、ぺチン、ぺチン、ぺチン、ぺチン、ぺチン!
     ――ぺチン、ぺチン、ぺチン、ぺチン、ぺチン、ぺチン!
    
     あまりにも惨めだ。
     どうして、ジョードごときに叩かれなくてはいけないのか。
    
     ――ぺん! ぺん! ぺん! ぺん! ぺん!
    
     心が折れかかる感じがわかった。胸の内側には一本の芯があり、平手打ちの一打ごとに芯はだんだん捻じ曲げられ、やがてポキリと折れそうになっている。
     折れたら負けだ。
     耐え抜くために必要なのは、決して折れてやるものかという強い意地だ。リーナは心で強く踏ん張り、こんな下らないお仕置きごっきに負けてやるかと気を張った。
    (下らない! 馬鹿みたい!)
     こんなふざけた真似で折れるものか。
    
     ――ペチッ、ペチッ、ペチッ、ペチッ、ペチッ、ペチッ。
    
     お尻がほんのりと赤みを帯び、手形のついた尻肌がヒリヒリと痛んできても、リーナは決して心を折るまいと精神的に踏ん張り続ける。
     しかし、次のジョードの一手はフェザータッチだった。
    
    「ひっ! ひゃん!」
    
     触れるか触れないか。そんなタッチの指先で、さーっと撫でる。
    「あれぇ?」
    「――やん! うぅん!」
     刺激に喘ぐリーナは、腰をくねらせることで尻を左右に振りたくる。本人はくすぐったいような愛撫で反射的に動いているだけなのだが、視覚的にはお尻が自ら喜んで、撫でれば撫でるほど左右にフリフリとはしゃいで見えた。
    「気持ちいいでしょ」
    「馬鹿にしないで! 不愉快なだけなんだから!」
    「でも、声が出ちゃうでしょ?」
    「――ひっ、ひあぁぁっ」
     ほんのりとした淡い晴れて、元々表皮が敏感になっているのだ。テクニックのあるジョードの指先は、嫌いな男なんかの快楽は拒否したいリーナの気持ちなど無視して、肉体だけを素直に反応させていた。
    「ほらほら」
    「ひぁっ、ふぁぁっ、うぁぁっ!」
     嫌よ嫌よとお尻を振る。
    「あーあー。濡れてきちゃって」
     ジョードは秘所に手をやって、割れ目から染み出ていた愛液を指先にすくい取る。
    「好きで濡れたんじゃない! 最低よ!」
    「素直じゃないねぇ?」
     膣に指が侵入すると、より一層の刺激がリーナを責める。
    「はぁっ、くあぁっ!」
     この数日でリーナの感度は鍛えられ、ジョードの方でも弱点を発見している。どの膣壁の部位を狙い、どんな加減で指の出し入れするべきか。全てを熟知しているジョードは、いともかんたんにリーナのアソコを愛液まみれにして濡らしていく。
     ねっとりとした粘液の滝が流れ、汁が太ももから垂れ始めるまで、そう時間はかからなかった。
    (……なんでよ!)
     リーナは自分自身の体を呪う。
    (なんで! なんで感じなきゃいけないの! なんでこんなクズの手で! 濡れなくちゃいけないのよ!)
     疼いてしまう自分自身の体が許せない。
     そうだ。ジョードごときでこれだったら、本当に愛する者とするのはもっと気持ちいい。こんな奴の愛撫がキアランを上回ることは絶対ない。
     リーナはそれだけを信じて耐え抜いていた。
    「そうだ。ゲームをしようよ」
    「何よ。ゲームって」
    「君が勝ったら、望み通り明日は本番は休みにするよ」
    「本当なんでしょうねぇ?」
     ジョードのことだから疑わしい。
     だいたい、ゲームの内容にしたって、どうせロクなものではなさそうだ。
    「嘘はつかないよ。まあ、あくまで挿入がお休みになるだけだけどね」
     他のことはいくらでもするということか。まずフェラチオはあるだろうし、パイズリや尻コキまで命じてきかねない。だが、一日だけでも挿入が無しになら、そちらの方がマシなのは間違いない。
    「言ってみなさいよ。ゲームの内容とやらを」
    「チンポ当てゲームだよ」
    「……最低」
     やはり、ロクなものではなかった。
     ルールは単純。
     リーナは目隠しをした状態で、次々と挿入される物体の中から、どれがジョードのペニスなのかを言い当てる。さすがに簡単すぎるのではと思ったが、どうやらジョードはペニスの触感に酷似した肉の張り型を持っており、その異物感は本物のペニスと区別がつかない。
    「どう? 本物そっくりな感じでしょう?」
    「……そうね」
     ベッドへ移動したリーナは、秘所に張り型を入れられて、確かに実物と変わらない肉っぽさを感じていた。
     魔法によって作られたらしいこの張り型は、女性が自慰行為を行ったり、道具を使ったプレイをする際のセックス用品である。動物の肉から取り出したタンパク質を素材として、血の通った皮や亀頭が完璧に再現されており、膣内でビクンとヒクつきさえする。
     太さ、長さはジョードのペニスと同じため、注意深く確かめなければ、決して本物を言い当てることはできないだろう。
    「難しい問題になるから、始める前に僕のチンポをしっかりと覚えないとね」
     ジョードはおもむろにリーナを押し倒し、根元まで挿入する。
    「――くはぁっ! ああん!」
     最奥まで埋め込まれたリーナは、髪を振り乱すように仰け反った。
    「ほら、しっかり記憶するんだよ?」
    「くぅぅぅ…………」
     リーナは強く歯を噛み締めた。
     ジョードの太さや長さ、細かい形状をアソコで記憶しろだなんて、それもまたリーナには酷な話だ。この地獄が終わったら、こんな奴と肌を重ねた記憶など、なんとしても忘れてみせようと考えていた。何事もなかったように、綺麗さっぱり過去を切り捨て、夫と幸せになることこそが、初夜権に対する唯一の勝利だと思っていた。
     しかし、ゲームに勝つには記憶しなくてはならない。
    (どうすればいいのよ。こんなの……)
     勝利を放棄してしまえば、真面目に覚えようとすることはない。ただし、せっかく六日目は挿入されずに済むチャンスが、ふいにってしまうということだ。既に何度もセックスをしているのに、たった一日の挿入限定での休みが、それほど貴重なのかがわからない。
    (セックスもイヤ。覚えるのもイヤ!)
     だが、どっちも嫌では通らない。
     どうすればいい?
     答えがなかなか浮かんで来ない。
    「ほーら、ちゃんと締め付けて?」
     ジョードはそう言ってニヤけていた。
     ペニスが根元まで埋まっていると、亀頭が最も奥で留まって、竿の部分からは脈打つ感触が膣壁に伝わる。生温かい、熱く脈動する異物感が、膣口に栓を閉じたまま動かない。ピストン無しでハメ込んだままにするつもりかと思ったが、たまに思い出したように腰を動かし、またしばらく動きを止める。
     覚えさせようとしているのだ。
     自分のペニスをリーナの膣に刻み込み、生涯の記憶とさせるため、股で記憶力を試すようなゲームを提案してきている。
    「私、忘れるから」
     宣言してから、リーナは膣圧で肉棒を握り込む。ぬかるんだ肉壷からプレスがかかるのは、ジョードにとってはペニスの表面積を余すことなく圧する心地良い刺激なのだろう。リーナにとっては、肉棒を潰さんとすることで、膣壁の触覚がより如実に形状を捉え、ピクピクと脈打つ細やかなリズムさえ正確に掴めてしまう。
    「アンタのことなんてね。おとといの晩御飯のように簡単に忘れて、腐った過去は道端にでも切り捨てて、前を向いて歩いてみせるわ」
    「へえ?」
    「こんなゲームごときで覚え込ませたって無駄なんだから」
    「でも、今はきちんと覚えないとねぇ?」
    
     ずるぅぅぅぅぅぅぅ…………。
    
     ジョードは恐ろしくゆっくり、ナメクジが這うようなのんびりとしたペースでピストン運動を開始した。
    
     ずにゅぅぅぅぅぅぅぅぅ…………。
    
     ただ亀頭が膣口の位置に戻っていくだけで、十秒以上もの時間がかかり、また最奥まで戻るのにも長い時間がかけられた。
    「くぅぅ……うぅぅ…………うぅ…………」
     肉棒が出入りするたび、リーナの股には何かが集まっていた。快楽の電流としか言えない甘い痺れが、少しずつアソコの周囲に充填され、快楽は段階的に高まっていく。
    
     ぬにゅぅぅぅぅぅぅ…………。
    
     階段を一つずつ上っていくように、着実に快楽は強まっていた。
    「な、なに……これぇ………………」
    「イキそうな顔だねぇ? ヨダレが出てるよ?」
    「はぁ? 冗談言わないでよ!」
     リーナは意地になって虚勢を張った。ジョードなんかに気持ち良くされるのは、同時に快感と同じだけの屈辱感が込み上げる。ましてや絶頂するなんて、それでジョードが調子付くかと思うとゾッとする。
     しかし、リーナは確実に絶頂の予感に近づいていた。
    「――あぁっ、ひゃぁぁっ」
    「大丈夫? ちゃんと形を暗記しているかなぁ?」
    「し、してるわよぉ……! 馬鹿にしないでよぉぉ……!」
     まともな声が発せず、喘ぎ交じりに声が震えた。
    「でも、イキそうだねぇ?」
    「そんなこと! そんなことぉ……!」
    「しょうがないなぁ」
    
     ぴたり。
    
     と、長かったピストン運動が停止して、再び肉栓を閉じたままの状態となった。
    「……え?」
    「イキたくなさそうだから、一旦ストップしたよ?」
    「そ、そう。それでいいのよっ。アンタからの快感なんて必要ないものっっ」
    「そう言う割には、しっかりと咥え込んでるねぇ?」
    「――へ?」
     指摘され、リーナは初めて自分の行動に気づいた。
    
     膣圧に強弱をつけることで、リーナはジョードの肉棒を揉むようにしていたのだ。
    
     無意識のうちにだ。
     それではまるで、実はジョードとのセックスを楽しんでいる自分が存在するようで、あまりのもゾッとする。認めるわけにはいかない。そんな自分がいたかもしれない可能性に、リーナはただそれだけで涙目になっていた。
    「………………記憶ゲームだから」
    「そうだね。記憶ゲームだね」
    
     ずにゅぅぅぅぅぅぅぅ………………。
    
     スローペースの抜き差しが再開され、また段階的に少しずつ、絶頂の予感へと近づいていく。
    (ヤダ! イキたくない! ジョードなんかでイキたくない!)
     もうイこうかという直前になったリーナは、必死になって首を振り、拒絶の意思を表情に浮かべてジョードを睨んだ。
    「しょうがないなぁ? お望み通り、イカせるのはやめてあげるよ」
     また、ぴたりと止まる。
     しかし、時間が立つとスローのピストン運動は再開され、またイキそうになった直前で寸止めのように動きは止まる。
    「――はぁっ、はぁ、っはぁ、はぁぁっ」
     息遣いが荒くなっているのは、間違いなく興奮によるものだった。
    (ジョードなんかでイキたくない…………)
     それは間違いない本心だ。
     しかし、肉体は確実に絶頂を求め始めて、リーナは無意識のうちに腰をくねらせる。肉棒が少しでも膣内を掻き回し、刺激になるようにと動いていたが、ハッと夢から覚めてたようにリーナは自分の行動を自覚して、自分自身の過ちを戒める。
    (馬鹿! 自分から動いてどうすんのよ!)
     リーナは意識的に動かないように努め始めた。
     そんなことをしていては、余計にジョードを喜ばせる。それではジョードにお得な気分を与えてしまう。もっと淡々と記憶して、無感情なまま記憶ゲームの答えを言い当て、明日は挿入無しの約束を守らせた上、七日目を乗り切ったあとは全てを忘れる。それこそがジョードに対する勝利なのだ。
    (待ってて、キアラン)
     処女なんて初めから捧げることはできなかったが、せめて他人に抱かれた日数くらいは減らすことができるかもしれない。
    (何度も何度も寸止めして、イカせて下さいって、私が言い出すのを待ってんでしょ? そんなことは絶対に言わないんだから!)
     リーナは強い決意を固めた。
    
    
    


     
     
     


  • 第5話「屈辱のショー」

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     「やめろデュックゥウ! 離せぇえ!」
     セリアンヌは喉が張り裂けるほどの怒声を上げ、じたばたもがく。剣術や足捌きなど、細かい技量は優れていても、腕力は女に過ぎない。男の力で腕を掴まれては抵抗しても抵抗しきれず、あっという間に両腕とも腰の後ろに組まされてしまった。
     それだけではない。
     いつの間に用意していたのか、デュックは皮製の紐でセリアンヌの腕を縛り付け、両腕とも腰の後ろへ封じられた。固い結び目は力だけでは解きようがなく、刃物で切断しない限りはどうにもならない。
     もはや乳房は隠せない。全ての観客に見られ放題だ。
    「おっぱいプルプルじゃないか!」
    「すげー!」
    「でっかいじゃん! 巨乳じゃん!」
     観客の目という目がセリアンヌの乳房へ集中し、視線に焼かれ、爛れるような熱い痺れが皮膚の内側を走り回る。乳首はみるみるうちに硬く突起し、大勢の人間の前で惨めを晒した屈辱感が胸に広がる。息が苦しいほどの羞恥に押し潰され、真っ赤に染まり上がったセリアンヌの顔は触れれば熱いほどになっていた。
    「己! デュック!」
     セリアンヌは怒りと恥ずかしさで怒鳴り上げる。抵抗を諦めずに、何とか腕の拘束を解こうともがいてみたり、デュックの足を踏みつけたり、全力で身じろぎをして逃げようと試みる。そのことごとくが通用せず、むしろ抵抗することで体が揺れて、豊満な乳房がプルプル弾む有様が披露されるばかりである。
    「揺れてる揺れてる!」
    「プルンプルンだ!」
     揺れる乳房に喜ぶ男達。
     裸ばかりか抗う姿さえも楽しまれ、どうしようもない気持ちに苛まれる。ならば無抵抗の人形にでもなった方がデュックをつまらない気持ちにさせてやれると思いつくが、それはそれで気持ち悪い愛撫を受け入れることになる。やはり脱出は諦めきれず、セリアンヌはもがくことをやめなかった。
    「せっかくだし、揉み揉みしてみようかねぇ?」
     デュックは背後から鷲掴みに、セリアンヌの胸を揉み始めた。踊るような指の動きが乳房の肉に沈んでいき、弾力がその沈んだ指を押し返す。丁寧にじっくり揉みほぐし、セリアンヌはますます抵抗を強めてきた。
    「やめろ! 貴様ァ! 今すぐその汚い手を離せ!」
     暴れるようにして体を揺すり、足で蹴りつけ、なんとしても逃れてみせようと努力する。だが、やはり通用しない。足を踏もうとしてもかわされたり、そもそも鎧の靴があるので効かなかったり、暴れる体も力任せに捕らえていれば逃がさずに済む。デュックにとって、セリアンヌの抵抗など胸が多少揉みにくくて困る程度のものだった。
     デュックは思うままに強弱をつけて揉み、乳の柔らかさを堪能する。
    「みんな見てるッスよ? セリアンヌちゃんのおっぱいが揉まれているところを」
    「黙れ下衆めが! 騎士として恥ずかしいとは思わないのか!」
    「恥ずかしいのはアンタでしょうが」
     指先で乳首を摘んで力を出し入れし、軽くつねる。引っ張ったり、押し込んだり、弾いてみたりと遊び始め、うなじに鼻を近づけ匂いを嗅ぐ。セリアンヌは全身を左右に揺らすようにして暴れ、抵抗しているが、デュックはものともしていない。むしろ、暴れても暴れても、結局は胸を揉まれ続ける残念な有様が観衆を楽しませるばかりだった。
    「己、己ぇ!」
     抵抗が通じない悔しさにセリアンヌは強く喚いた。とにかく逃げようと努力して、いいようになどされまいともがいているのに、それ以上にデュックの押さえ込みが上手すぎる。両腕を縛られているのもそうだが、ただ乳を揉むのでなく、身体を挟む両腕でサンドウィッチ状にセリアンヌを捕らえ、抵抗を封じながら乳揉みに興じている。
     何も出来ずに揉まれ続ける。
    「よくも破廉恥な真似を! ここは闘技場だぞ! わかっているのか!」
     目に涙を浮かべたいほどの悔しさに打ちひしがれ、それでもセリアンヌは叫んでいた。
     自分の胸に沈んでくる指の感触が汚らわしい。大切な部分をおもちゃにされ、楽しそうに揉まれる屈辱は途方もない。
     さらにセリアンヌを悔しくさせるのは性感だった。デュックには技巧がある。どこぞで何人もの女を抱いてか、彼にとってセリアンヌに快感を与えることなど造作もなく、乳房全体には既に甘い痺れが充満している。気持ち良くさせられている。これがまた、自分の体をデュックの思い通りにされているようで気に入らない。
    「はいはい、わかってやってんだよ」
     デュックはニヤニヤと笑いを浮かべ、セリアンヌを地面に引き倒す。肩膝を立て、その膝の上にセリアンヌの腹を乗せるようにして彼女を押さえ込む。体勢のために無防備に持ち上がったTバックの尻に手を這わせ、揉みしだいた。
    「……くっ、何故こんな真似を」
     悔しさのあまり、セリアンヌの声は震えていた。大観衆の見守る中、乳房ばかりか尻まで好きにされているのだ。もちろん逃れようとしてはいるが、動こうとすれば背中を強く押さえつけられ、どうあがいても逃げられない。
     しかも、やはり気持ちがいい。体の中に眠る性感を思い通りに引き出され、まさに肉体を好きなように扱われている状況が惨めでならない。自分という存在を支配し侵略されるような気分がして、快楽に対する拒否感が大きく膨らんでいた。
    「これも勝負の結果ッスよ。女の身じゃあ、敵だってこういう破廉恥なことを考えちまうもんだろうよ」
     デュックはむっちりとした柔肌に手の平を密着させ、滑らかさを確認するかのようにゆったり撫でる。まんべんなく形を確かめ、強弱をつけて揉むように触っていく。そうして片方の尻たぶを味わい尽くすともう片方へ手を移し、無遠慮に揉みしだいだ。
    「だが、我々は同じ騎士団。仲間同士なら勝敗が見えた時点で戦いは終わらせるのが規則であり、礼儀というものだろう!」
     これだけの屈辱を味わっても、セリアンヌはその破廉恥さを許すまいと怒りの気持ちを表に出し、あらぬ行為を叱責した。既に尻は完全に撫で尽くされ、Tバックの布部分を除けば全ての肌面積に触れられているが、こんなことでは負けまいとこことを強く保っている。
    「俺もさ、頼まれちゃったんだよねー」
    「なんだと?」
    「セリアンヌちゃんのとこに俺を躾ける話が入ったように、俺んとこにはアンタを辱めてやろうなんて話が舞い込んじゃってさー。俺、ソッコーで引き受けたわけよ」
    「な、何!? そんな馬鹿な……」
     セリアンヌは驚愕した。
     まさか、王国がじきじきにセリアンヌを売り物とし、美貌の騎士が辱められる無残な姿を国民に捧げようとでもいうのだろうか。いや、国そのものとは限らない。そういう下衆な一派が勝手な行動を起こしただけとも考えられるが、とにかくセリアンヌを貶めたいのはデュック一人だけではない。今のこの展開を望んだ王国職員が他にいるのだ。
    「ま、そういうわけッスよ。なんで、まあスパンキングショーとでもいってみようか」
    「や、やめろ! ふざけた真似は許さんぞ!」
     親が幼い子供にするようなお仕置きを数百人の観客の前でされようというのだ。それでなくとも屈辱的な行為を人前で受けるなど、想像もしたくなかったが――。
    
     ペチン!
    
     無情にも尻肉は打ち鳴らされ、柔肉はプルンと弾むように振動した。
    「貴様ァ……このぉ!」
     ペチン! ペチン! ペチン!
     打撃のたびにプルップルッと弾むお尻は、ほんのりとした薄桃色に変色する。白かった肌が赤みを帯びていく様は壮観で、観客の目を大いに楽しませた。
    「うっひょぉおおお!」
    「いいじゃんいいじゃん!」
     国民が喜んでいる。こんな自分の無様な姿を見て興奮し、誰も彼もが沸き立っている。
     ペチン! ペチン! ペチン!
     尻の痛みなど問題ではない。そもそも本気で痛めつける気があるとするなら、仮にも男性騎士であるデュックの腕力は並みの人間より遥かに上だ。とっくに青アザが出来ていてもおかしくない。加減された打撃の痛み自体は取るに足らないものであった。
     ペチン! ペチン! ペチン! ペチン! ペチン!
     お尻という場所が叩かれる。
     ただそれだけの事で心の中が打ちのめされ、どんどん惨めになっていく。下手な怪我よりよほど辛い。己の尊厳が取り上げられ、人権のない動物か何かにでも成り下がったような気持ちが沸き、悔しさのあまりに泣けてくる。
    「セリアンヌのお尻ぃいい!」
    「もっとやれ! もっとやれ!」
    「ぶっ叩けー!」
     自分が守りたいと思っていたはずの国民が、こんな姿を見て喜んでいる。この無残な事実も嫌だった。
     ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ……。
     尻叩きのリズムが変わった。先ほどまでより遥かに軽く、しかしずっと小刻みに打ち鳴らし、自分の尻肉がプルプル震えているのがよくわかる。それも片方だけでなく、両方の尻たぶを左右交互に叩いてくる。
    「いいねぇ、楽しいねぇ!」
     デュックは打楽器を演奏するような気持ちでセリアンヌの尻を叩き、リズムを取って左右をペチペチと鳴らしている。それもさぞ楽しげに、愉快な気分に浸りながら、ご機嫌な顔をして叩いているのだ。
    「どこまで! どこまで辱めれば気が済むのだ!」
    「さあねぇ?」
     ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ……。
     尻肉が振動するだけの一撃ずつが、確実にセリアンヌの精神を貶める。こんなに軽い威力だというのに、一打ごとに人間としての格を下げられ、みるみるうちに低俗な地位まで転げ落ちていくような情けのない気持ちになってくる。
     ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ……。
     抵抗はする。しばらくは大人しくしてみたが、そろそろ隙が出来るだろうと読み、デュックの膝の上から身体を転げ落とす――ようにしてこの状況からの脱出を試みた。だが、やはり背中を押さえ込まれる。
    「駄目駄目、逃げない逃げない」
     ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ……。
    「よくもくこのセリアンヌを……」
     セリアンヌは恨めしい気持ちを抱いた。これまで国のために忠義を尽くし、魔物を狩って国民の平和と安全を保障し続け、そして闘技場での任についていたこの自分がだ。決して価値の低い人間などではなく、むしろ生真面目にやってきた自分がこんな目に遭っている。
     自分なりに頑張って生きたつもりがこの有様だ。
     ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ……。
     本当に泣けてくる。
    「んじゃあ、ずーっと同じことしててもしょうがないしねぇ。あと五発くらいで終わらせてやろうッスかねぇ?」
     デュックは観客への呼びかけを始める。
    「お集まりみなさーん! こいつは生意気にも俺に説教ばかり垂れてきましてねぇ、毎日のように鬱陶しかったんッスよ!」
     大きな声で会場に向かって話しかけ、それに対する反応がちらほら返る。
    「何ィ? 説教好きか」
    「面倒な女だなァ」
     セリアンヌの耳に聞こえたのはそんなところだ。
    「そこで! 今回はこうしてお仕置きをしているわけッスけど、まだまだ色んなお仕置きをやんなきゃいかん。スパンキングを終わる前に、是非とも皆さんと一緒に最後の五発を数えていきたいと思うんですよ!」
     ――いぇええええええい!
     ほぼ全ての観客が、同時に同じ反応で沸き立った。
    「ではいきます! まず一発目! はい!」
    「いーち!」
     観衆によるカウント。
     そして。
     ペチン!
     お尻を強く叩かれた。
    「二発目!」
    「にーい!」
     ペチン!
     デュックは観客と一体になり、観客もまた一緒になってスパンキングを大いに楽しみ、セリアンヌの心はそれこそどん底へ沈んでいく。
    「三発目!」
    「さーん!」
     ペチン!
     セリアンヌはここに来ても抵抗を試みたが、やはり抑え込まれて終わってしまう。背中に乗せられた手の平と、立てた膝とで挟まれ脱出を許されず、身じろきをする程度の動きしか取らせてももらえない。
    「四発目!」
    「よーん!」
     ペチン!
     セリアンヌは歯軋りを強くする。折れそうなほどまでに強く食いしばり、拳も爪が食い込むほどに握り締める。たったそれだけの悔しさからなる動作こそが、セリアンヌの心を唯一支えている。
    「ラストォオオ!」
     最後の最後で、デュックは今までよりも大きく叫ぶ。
    「――ゴォォォォォオオオォォオオオオオオ!」
     観客も一斉に席を立ち、身を乗り出しながら最後の一声に全力を尽くす。
    
     ペチン!
    
     最後の一撃が最も痛み、セリアンヌのお尻には赤い手形が貼りつくまでになっていた。じりじりとした腫れっぽい痛みが、まるでデュックの手で刻まれた奴隷以下の勲章のように思えて絶望的なまでの不快感に襲われる。
     もう死にたい、ここから消えたい。
     一瞬でもそう思ってしまうほど、今までのスパンキングでセリアンヌの心は削られ、精神的に消耗していた。
    
    
    
    


     
     
     


  • 第11話「犬奴隷の散歩」

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     こんな事があるだろうか。
    「ほら、ちゃんと歩きなよ明日美ちゃん」
     栗木にチェーンを引っ張られ、首輪を引かれた明日美は泣きたい思いで歩行する。奴隷宣告を受けた明日美は首輪を付けられ、あろうことか校舎内で犬の散歩のような真似をさせられているのだ。
    「え? 何あれ」
    「何かのプレイ?」
     女子達はヒソヒソ話す。
    「あいつら付き合ってんのか?」
    「知らねーけど、あんなプレイ学校でするってのはなぁ……」
    「男もそうだが、拒否らない女も変態だろ」
     男子達もそんな会話を交わしていた。
     廊下を行き交う通行人のほとんどが、お散歩をする明日美に視線を向け、まるでドン引きしたような、あるいは好奇に満ちた眼差しをそれぞれ向けてくる。首輪のチェーンを引かれるだけでも明らかなSMプレイで目立っているのに、明日美は事もあろうに四つん這いで歩かされているのだ。
    「ほらほら、ちゃんと進みなよ」
     調子付いた栗木にチェーンを引かれ、明日美は屈辱に満ちた思いで足を進める。
    「畜生が……」
     少しでも足を止めると、
    
     ベチン!
    
     スリッパで尻を打たれる。
    「くそっ、てめぇ!」
     睨み返すその行為さえも罰するように、
    
     ベチン!
    
     スカート越しに打ち鳴らされ、それを見ていた周囲の生徒はより引いてそそくさと立ち去っていくか、あるいは好奇心を持って野次馬となるか。
    「あれって四ノ宮じゃん」
    「おいおい、マジであんな事されてんのかよ」
     クラスメイトの声まで聞こえ、明日美の学校での立ち位置はもはや絶望的なものとなっていた。こんな犬のような姿を見られ、目の前で尻まで叩かれているのでは、葉山から受けた宣告だけでなく、クラスメイトの認識の中でも明日美は栗木の奴隷となってしまう。いや、たった今なったのだ。
    「ワン、って言ってごらん?」
    「何でそんな事……」
     明日美はもはや精神的にも抵抗力を失って、それでも本能的な拒否感が支えとなって栗木を睨む。自分は言う事など聞きたくない、好きでやっているわけじゃない。そんな態度を示すべく、いかにも嫌そうな表情をしてみせた。
     しかし、それ以上の気力は既に残されてはいないのだ。
    「ほら、言ってごらん?」
    「…………ワン」
     明日美は小さな声で呟いた。
    「もっと大きな声で」
    「ワン」
     多少はトーンを上げてみるが、それでも周囲には聞こえない程度の声量までしか絞り出せない。
    「あれ? 聞こえないなー」
    「おい栗木、もっとケツ叩いてやれよ」
     野次馬達は期待感を膨らませ、明日美の「ワン」を聞こう聞こうと耳を傾けているようだった。そして声量の不足にケチをつけ、主に明日美へ向かってブーイングを飛ばしている。
    「仕方ないなぁ」
     栗木はまたもスリッパを振りかざし、
    
     ベチン!
    
     叩いた。
    「ほら、言ってみ? ワンって」
    「――わ、ワンっ」
     明日美は涙ぐんだ震えた声を発していた。
     屈辱に震え、本当に涙がこぼれかけているのを見ても、栗木は容赦するどころか余計にニヤつき増長する。
    「やっぱり声が小さいなー。もしかしたら、お仕置きが足りないのかな?」
     栗木はそして、スカートをばっさりと捲り上げた。
    「――――っ!」
     パンツが丸出しになり、衆目に晒された。
    「うおっ、いい尻」
    「プリプリじゃねーか!」
     遠慮ない男子の声。
    「パンツも下げようか」
     栗木はさらにずり下げて、明日美の生尻を露出させた。野次馬の目という目が一瞬にしてお尻へ集中し、そこからでは見えない角度に立っていた男子達は一斉に移動する。クラスメイトや他クラスの生徒、他学年までいる中で――
    
     ベチン!
    
     生のお尻が叩かれる。
    「ほらほら、大きな声でみんなによーく聞こえるように」
    「――わ、ワン!」
     明日美はとうとう、声を張り上げていた。
    「もう一回!」
    「ワン!」
    「さらに!」
    「ワン!」
     それはもう、一種のショーとなっていた。明日美が犬を真似てワンと鳴き、声が小さいと見なされればお仕置きと称してお尻を叩く。生尻のプルンと震える瞬間に男が興奮しないはずがなく、写真まで撮る生徒もいた。
    
     ベチン、ベチン、ベチン!
    
     例え声が足りていても、栗木は気ままにスリッパを振るう。
    「ほら、歩くんだよ」
     そして歩行を再開し、尻を揺らしながら進むのだった。
    
    
    


     
     
     


  • 第6話「虐げられる明日美」

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     その後、明日美は毎日のようにお尻を叩かれるようになった。放課後のたびに空き教室へ呼び出され、四つん這いで栗木にスカートを捲り上げられ、ドラム感覚で左右の尻たぶをタップされる。
     明日美は屈辱の日々を送っていた。
    「最近、毎日呼び出されてるよね?」
    「反省文とか。掃除とかやらされてる?」
    「いやいや、この前ケツ叩かれてたじゃん。あたし達の前で。絶対もっとやばいことされてると思うよ」
     仲間だったクラスメイトには陰口のように囁かれ、男子達も心なしかいやらしい目を向けてくる。あの時の紫色のパンツの公開やスパンキングで興奮し、何日も経った今でも明日美を見るたびに興奮する輩が多いのだ。
    「なあ栗木。昨日も明日美のパンツ見たのか?」
     一人の男子が、栗木に馴れ馴れしく肩を組む。
    「う、うん……」
    「何色だったんだ? なあ、教えてくれよ」
    「昨日は確か……。黄色、だったかな」
     栗木がうじうじしながら答えると、その男子を含む仲間達は大いに盛り上がりを見せた。
    「黄色だってよ! 黄色!」
    「うっひょー! 紫に黄色か。結構、いいの履いてんじゃん」
     からかうように囃したて、明日美はそういった下品なやり取りのネタとなる。
     ――畜生……!
     明日美はそうして、歯噛みする。今までスクールカーストの高みにいた自分が、このたった数日間で下位に高落してしまっている。最下位だった栗木と同列か、あるいはそれ以下だ。自分と栗木ごときとの差がその程度しかなくなっている事実が明日美には耐えられない。
     ――畜生が! どいつもこいつも調子付きやがって!
     誰も彼もが気に入らないが、やはり最も虫唾が走る存在は栗木だった。
     いつものように葉山の権威に反抗できず、素直にならざるを得ない明日美は、今日も放課後の空き教室へ向かっていく。栗木と葉山とで三人だけになった途端、栗木は急に元気になり、明日美のスカートを捲ってくる。
    「きょ、今日は赤なんだね!」
     犬のようにはぁはぁと興奮しながら、明日美のパンツで大喜びだ。恥ずかしい上に豚を喜ばせているかと思うと、本当に悪寒が走る。一人の女の子が豚のエサ扱いなど、どんな人権無視の拷問だ。
    「赤だったらなんだよ。そんなん口に出さなくたっていいだろ?」
    「でも可愛いし……。そうだ! ブラジャー! ブラジャーも見せて!」
     葉山の手前、明日美に対してならそんな我がままも通ることを、この豚でしかない男は覚えてしまった。だから、まるで動物がエサにがっつくかのように、栗木は自分の体にがっついてくる。
     ――くそ! 蹴ってやりてぇ……。
     本当なら、実際にこういう輩を蹴ってやるだけの気概を明日美は持っている。
     通学電車で痴漢に遭った時、明日美は触ってくる男の手首を掴み挙げるだけでなく、鳩尾めがけて肘内を食らわせたり、足を踏みつけてやったりという事をやってのけていた。
     栗木のようなキモい男ならいつかは絶対にやるはずだし、前もって痴漢扱いしても問題あるまい。そうやって釘を刺し、それでも性犯罪に走るようなら、その時は容赦なく駅員に突き出し警察に身柄をくれてやる。
     そもそも、悪事を働く勇気などない栗木に対して、明日美は本気でそう思っていた。
    「明日美さん?」
     思っていたはずが、微笑む葉山による穏やか圧力が、明日美から抵抗という選択肢を奪い去る。ただただ受け入れ、言われるままにワイシャツのボタンを外し、明日美は前をはだけてやるしかなかった。
    「おら、満足かよ」
     ワイシャツから肩を剥き出し、上半身を見せてやった。
    「わあ、胸綺麗! 肌綺麗!」
     栗木は子供のように大喜びして、無遠慮に肩を掴んで撫でて来た。
    「ううっ!」
     あまりの気持ち悪さに鳥肌が立ち、背筋をかけめぐる悪寒で明日美は呻いた。前から豚のような見た目だとは思っていたから、そんな奴の手で触れられればそれは気色悪いだろうと思っていた。
     しかし、想像以上だ。
     汗っかきなのか、手汗でヌルっとした手で撫でられるなど、例えるなら生きた魚のヌルヌルさを肌に直接押し付けられるような気持ち悪さがそこにはある。それだけ、栗木の手汗にはヌメりが効いていた。
     気持ち悪い、気持ち悪い!
     なのに、そんなものを我慢させられる。
    「お、おい! 触るのは無しじゃねーのかよ!」
     明日美は葉山に向かって喚く。
    「無し、とは言ってません。明日美さんは散々お尻を叩かれているんですから、毎日尻を触られているようなものでしょう?」
    「けどなぁ、こんなのって……」
    「そういえば、今日はスパンキングがまだですねえ。栗木君、せっかくですから叩くだけじゃなくて、揉んだり撫でたりしてあげましょう。明日美さんも男性の手を待ちわびていることでしょうから」
    「ざけんな! なんでそうなんだよ!」
     明日美は喚き、抗議でもしようと掴みかかる。
     だが、薄い目つきで一瞬睨まれ、無言で権力を盾にされ、明日美は萎縮せざるを得なかった。
    「じゃあ、触るからね? 揉むからね? お尻出して?」
     犬のように興奮した栗木に向け、明日美は四つん這いでお尻を差し出す。赤いパンツに包んだ尻肉に手を乗せられ、尻たぶを揉みこまれた。
    「や、柔らかい……!」
     お尻の触感に栗木は感激の声を漏らす。
    「柔らかいじゃねーよ。いつまでこんなの続くんだ……」
    「ずっとだよね。そうだよ! ずっとだよ! 僕がいっぱいマッサージするからね?」
     栗木は味わうように撫で込んで、指をぐにぐに食い込ませる。ついでのように太ももに触れ、丹念に撫で尽くしてからお尻に戻り、思うままに揉み続けた。時間が経つのも忘れ、栗木は明日美のお尻を揉むことに夢中になった。
     そして、ゆうに数十分という時間が経ち……。
    
     ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ、ペチ……。
    
     栗木は今までの憂さ晴らしのため、忘れることなくお尻をタップした。初めは女の子の涙ぐんだ顔にたじろきもしたものだが、ほんの数日でそれも見慣れ、栗木はむしろこの仕返しを楽しむようになっていた。
    「いっち、にー。いっち、にー」
     とても楽しげに、栗木はお尻でリズムを取る。
     少しでも多くの恥辱を与えるため、わざとリズムに合わせて叩き、女を虐げる優越感に浸っていた。叩き飽きれば再び揉み、お尻の堪能の次には上半身を鑑賞する。どこまでも味わい尽くした挙句、下校時間を向かえるのだった。
    
    
    


     
     
     


  • 第5話「おパンツ鑑賞」

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      決意を込めた栗木が、スカートに向かって手を伸ばしてくる。
     明日美は反射的に後ずさるが、すると背中に葉山の体が当たってきた。逃げ場を与えないように、背後に回りこまれたのだ。
    
     ち、畜生! こんな奴に!
    
     明日美は強く歯を食いしばった。
     こんな豚程度の男を蹴飛ばしてやることなど、本当なら簡単だ。ぶっても叩いてもいい。踏みつけてもいい。いつもの明日美であれば、こんなことをされようものなら、すぐにでも暴力に打って出ているところだ。
     しかし、今はそれを堪えなくてはならない。
     でなければ、余計に恐ろしい罰則が発生する。
    
     く、くそ! 冗談じゃねえ!
    
     とうとうスカート丈を掴まれて、捲り上げられる寸前だ。ゆっくりと持ち上げられ、少しずつ太もも露出面性が増えていき、明日美はただ受け入れることしか許されない。抵抗を抑え込み、懸命に我慢した。
    
     畜生! 畜生! この豚野郎が!
    
     スカートは持ち上がり、朝も晒された紫色のパンツが栗木の目を奪い、明日美は下腹部を凝視された。
    
     ――――――くぅっ!!!
    
     予想以上の恥ずかしさだ。
     朝と比べればマシな状況のはずなのに、今まで苛めていた奴に捲られているかと思うと余計に屈辱感が増幅して、膨れ上がる羞恥が苦しい。頬が一瞬にして加熱され、耳まで熱く染まり上がり、激しい恥じらいに耐えながら、それでも栗木を睨み返す表情となっていた。
    「どうです? 栗木君、気分が良いとは思いませんか?」
    「え、その……」
     葉山の問いに、栗木はしどろもどろになる。
    「あなたを今まで苛めていたこの子が今、こうしておパンツを曝け出しています。栗木君自身の手でスカートを捲って、ですよ? 気分が良いとは思いませんか?」
    「は、はい。その……。悪くないです」
     栗木は珍しいものでも観察するかのように、まじまじと明日美のパンツを見つめてくる。紫色の生地にかかったパンツの柄を、栗木は目でなぞっているのだ。あるいはアソコのシワにラインでも浮かんでいて、そこに注目しているかもしれない。
     明日美はすぐに耐えかねて、隠したい思いで自分の持ち上げられたスカートに触れる。
    「駄目ですよ? 明日美さん。きちんと見せてあげないと」
     葉山に即座に注意され、明日美はすぐに手を引いた。
    「もういいだろ? 十分じゃねーか」
    「そうおっしゃるのでしたら、次に移りましょう。栗木君、お尻を叩いてあげてください」
     再びスパンキングを持ち出され、明日美はぎょっとした。
     朝の屈辱が蘇る。
    「お、おい! あれはもういいじゃんかよ。わかった! パンツぐらい見せるからよォ、いくらでも拝んでいいから、ケツは勘弁してくれよ」
    「できない相談ですね。パンツはいくらでも見せるべきですし、お尻叩きも受け入れて下さい」
     葉山の無情なまでの命令に、明日美は必死に食いつくも、一切の意見は受け入れられない。結局机の上に乗り、朝と同じような四つん這いでパンツに包まれたお尻を丸出しにされた。
     畜生、結局こうかよ。
     今ならクラスメイトこそいないが、栗木ごときにお尻を差し出している。腰を突き上げた情けないポーズを取らされているだけあって、捲られる以上の恥ずかしさだ。
    「い、いいんですか?」
     栗木は明日美よりも葉山に確認する。
    「ええ、是非とも。あなたの手でやってください」
     体は明日美のものなのに、葉山によって許可が出された。
    「そ、それじゃあ――」
    
     ペチッ
    
     く、くそ!
     遠慮のこもった弱弱しい一撃だが、明日美を屈辱に濡らすには十分だ。見下していた男に叩かれたというだけで、舌でも噛みたい気持ちになる。
    
     ペチッ
    
     か弱いビンタに尻たぶを打たれ、明日美は一瞬キレかかった。栗木ごときが調子に乗るなど許せない。今すぐにでも起き上がり、後ろに向かって殴り返してやりたい気持ちにかられた。
     だが、直後に頭を押さえられる。
    「駄目ですよ?」
     机に頭を押さえ込まれ、抵抗を封じられた。
    「あ、あたしは何も……!」
    「明日美さん。あなたは今、反射で抵抗しようとしていました。まあ体が勝手に動いたようなものでしょから多めにみますが、二度はありませんよ? さあ続けて下さい。栗木君」
    
     ペチッ、ペチッ、
    
     今度は二発連続だ。
     明日美は涙目になりかける。
    
     ペチッ、ペチッ、ペチッ、
    
     しだいに女の子をこんな風に扱う面白さに気づき、調子づいていったのだろう。弱弱しかった栗木の手つきはどんどん元気になっていき、リズミカルに左右の尻たぶを打ち始める。警戒な肌の音と共に柔らかな尻肉は波打って、プルプル震えて弾んでいた。
    「叩くって、いいものですね」
    「でしょう? もっと叩いてあげてください」
    「はい!」
     栗木はスパンキングを楽しみ始め、より小刻みなタップで明日美を苛めた。ドラマーがドラムを叩くようなハイリズムで、夢中になって振動させる。あからさまにリズムを取った叩き方に屈辱感は大きく膨らみ、明日美は自分がオモチャにされた気持ちを味わっていた。
    
     冗談じゃねーよ!
     こんなのって、ゼッテーおかしいだろ!
     なんで……。
     なんであたしが栗木ごときに! こんな豚みてぇなクズ野郎に!
     畜生!
    
    
    
    


     
     
     


  • 第3話「公開スパンキング」

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     葉山は言った。
    「さあ、栗木君。あなたにはイジメっ子に対する報復権が与えられ、それを行使する義務が与えられます。仕返しの機会を与える事によって、苛める側と苛められる側、双方の心を入れ替えることができるという考えなのです。苛める側は自分の行いを後悔し、苛められていた側は仕返しによって自信をつけ、引っ込みがちだった性格に強みを持たせる目的です」
     これから行うことに対する意味合いを語っていき、彼は栗木の肩に手を置いた。
    「ほら、目の前で野之宮明日美が四つん這いです」
     栗木は緊張で汗をかく。
     高く突き上げられたスカートのお尻が、栗木の目の前にそびえている。短めのスカート丈が垂れ下がり、太ももは大きく露出している。生足は丸見えで、少し腰を低めればパンツも見えることだろう。
    「叩くのはあなたですよ?」
     葉山は遠慮なく、さも何でもないようにスカートを捲り挙げ、紫色のパンツが露出する。模様の派手めな、一枚の布の上へ柄を縫いつけたような明るいパンツだ。生地のせいか蛍光灯が反射して、どことなく光って見える。
    「さあ、叩いて下さい」
    「え、あの……」
     叩けと言われても、いきなりできるわけがない。
     相手は明日美だ。
     しかも、背後にはクラスメイト。
     叩こうものならみんなにどう思われるかわからないし、後でどんな報復が待っているかと思うと恐ろしい。出来る事と言ったら、せいぜい自分ではなく葉山の手によって丸出しにされたパンツを凝視するくらいだ。
     動くに動けない栗木を見かねてか。
    「仕方ありませんね。あなたにはまだ早いようですので、わたくしがやりましょう」
     葉山が変わって慣れた手つきで手を乗せて、お尻をまんべんなく撫で回す。
    「くっ……」
     明日美が悔しそうに歯を食いしばるのが、全身がビクッと固まる挙動だけでも良くわかった。
    「あなたのこのお尻、栗木君の目に焼き付けられていますよ? この派手な紫がね。さて、どんなお気持ちですか?」
    「どうもこうも、パンツぐらいなんともねーよ」
     声が震えている。
    「なんともありませんか。では一発」
    
     パァーン!
    
     手の平で、葉山は明日美の尻を打ち鳴らした。
    「て、てめぇ……!」
    
     パァーン!
    
     二発目。
    「どうですか?」
    「どうじゃねーんだよ変態が! これで満足か?」
    「満足じゃないんですよ。あなたに反省を促すための体罰なのですよ?」
     葉山は大胆なスイングで、まるで太鼓でも叩くような気持ちで明日美のお尻を連打した。肌の打ち鳴らされる打撃音が教室に響き、明日美は今にも屈辱に震えている。全身を硬くして、尻肉を打たれる度に肩をビクビク揺らしている。
    「さあ反省するのです。さあさあ!」
     楽しげなスパンキングで、明日美のお尻は揺らされていた。皿に出したゼリーでも揺らすように、プルンプルンと尻肉は弾み、波打っている。栗木はその光景から目が離せず、すっかり釘付けになっていた。
    「誰がこんなもんで……。あたしは負けねーぞ!」
    「反省はしないという意味ですか? 罰則が長引きますよ」
     今度は両手を使い、左右の尻たぶを交互にタップする。
    「ざけんな! こんなのねーだろ。どこの変態が作った法律だよ」
    「賛否両論ありますが、可決したものは仕方がありません。わたくしは法に基づいて仕事を行うまでですよ」
     左右の尻たぶが交互に打たれ、右左右と、リズム良く波打つ振動を見せる。
    「何もクラスの前で……」
    「明日美さん。あなただって、クラスメイトに聞こえる形で栗木君のありもしない事実を吹聴したでしょう。あなたには今、イジメによって受けるとされる羞恥と屈辱をご自身で体験して頂いているわけです」
    「あたしはなにもここまで……。ちょっとからかっただけじゃねーか」
    「わたくしとて、少し悪戯しているだけですよ? あなたと気持ちは変わりません」
     クラスメイトの視線の中で、明日美はお尻を叩かれ続けた。
     この日は欠席者はいなかった。
     男子に見られるのは当然のこと、いつもつるんでいる友達にもこの痴態は見られている。担任も教室の隅にひっそり佇み、この光景をニヤリとして楽しんでいた。
    「可哀想……」
    「まあ、しょうがないよね……」
     それが女子生徒の声だった。
     今まで明日美が痴漢をでっち上げれば、「ほんとかな?」「でも栗木君ならやりそうだよね」といった具合に、そもそも嘘か本当かも関係なく引いていたくせに、こんな事態になった途端に態度を切り替え、明日美を悪者として見始めた。
     なんという手の平返しか。
     女子というものは恐ろしい。
    「さすがにマジで可哀相じゃない?」
     という、良識的な反応も多くあったが。
    「いいねいいね」
    「ざまみろよ。ひゅー!」
     日頃から態度の不良じみた明日美に対して、軽い反応しか示さない生徒も多くいる。素直に目で楽しむ者、口では良識的な反応をしながらも、結局はチラチラお尻を気にする者と、それぞれだ。中には目を瞑ったり、逸らしたりしてあげている者もいはしたが、ほんの二人か三人程度に過ぎない。結局のところ、明日美の痴態を大なり小なり拝んでいる生徒が半数以上を占めていた。
    「ま、そろそろ時間です。今はこのくらいにしましょうか」
     葉山がスパンキングを終了すると、明日美は即座にスカートを直して教卓を飛び降りる。
    「もう終わりだよな?」
     明日美は反抗的な口調で噛みつく。
     強きな態度を見せてはいるが、顔は真っ赤で目は涙目だ。
    「放課後、空きの教室で更生指導を行います。あなたは随分前からイジメをやっていたでしょう? ですから、当分は罰則に付き合ってもらいます」
    「冗談じゃねーよ。なんとかなんねーのか!」
    「反省しだいですよ。詳しいことはまた放課後説明しますので、サボらずしっかり授業を受けてくださいね」
     葉山はにったりと嗤いを残して、一礼を交えながら教室を後にする。
     更生指導とは何だろう。
     もしかして他にも、明日美にとっては恥ずかしい罰が用意されているのだろうか。