• カテゴリー別アーカイブ 二次創作
  • 催眠アプリで教師に犯される雪乃

    
    
    
     ……下らない。
     その言葉を聞いて真っ先に浮かぶのは、世にも仕方のないことを信じる馬鹿な男への、呆れとも絶句とも言えない、信じられない気持ちを絡め合わせて、結果として生まれる「下らない」という言葉であった。
     時槻雪乃は一人の教師に呼び出しを受けていた。
     雪乃は<騎士>として戦うため、学校を休むことなど厭わない。とっくに捨てた日常に身を浸すより、雪乃は<泡禍>との戦いを望む。遠方の地域から連絡が舞い込み、電車に乗っての遠出が何度あったか。
     つまり、出席日数は減り、勉強も遅れている。
     雪乃が教師に呼び出される理由など、残念ながらいくらでも思いつくものだった。
    
    「催眠アプリで君を操ろうと思ってね」
    
     ところが、指導室で二人きりになるや否や、教師が言い出したのはそんなことで、急にポケットからスマートフォンを取り出すなり、必死になって操作を始める。まるでタッチ画面を叩くことに命でも賭け、意地でも何かを得ようとしているように、息を荒げてタップしていた。
    「これはねぇ! 特殊な電波によって特定の相手に情報を送り込み、その人の脳に色々と植えつけるんだそうだ! た、例えばね? おかしな常識とか、人格の改変とか、そういうことができるらしいんだ!」
    「何を言っているんですか?」
     雪乃の口から出て来るこの言葉が、雪乃の抱く感情の全てであった。
     目の前の男が一体何を言っているのか、雪乃には本気でわからない。他者を都合良く操るというが、そんな不可思議な道具などあるはずがない。<神の悪夢>で怪奇的な現象をいくらでも見てきた雪乃だが、だからといって、超能力でスプーンを曲げ、UFOから宇宙人がやって来て、ネス湖にはネッシーが存在することまで信じるつもりはない。
     催眠アプリなどというものも、信じるには値しない。
    「ほら! スカートを上げて! パンツ見せなさい!」
     この教師が言い出すのは、生徒に対するごくごく『普通』の指示だった。
    「…………」
     雪乃にも羞恥心はある。
     好きで下着を見せたいとは思わないが、教師の指示とあっては断れない。スカートの丈を握り締め、恥ずかしくなどないかのように持ち上げる。平然を装ってショーツを見せるも、頬に熱っぽく赤みが浮かぶことは誤魔化せない。
    「へぇ? 黒かぁ」
     ショーツを眺めるためにしゃがみ込み、前屈みに顔を近づけてくる教師の、じっくりと生地の質まで確かめようとしてくる視線が突き刺さる。
     ゴシックロリータ調のリボンショーツは、かなり見栄えを重視したものだろう。誰かに見せるための下着では断じてないが、こうしてスカートをたくし上げ、教師の視線を浴びていると、いかに男の目を楽しませるものを穿いてきたかを自覚する。
    「ところで、君はどうして呼び出されているかわかるかい?」
    「それは授業の関係で」
    「違うでしょう?」
    「――っ!」
     その瞬間、雪乃が急に肩をビクっと跳ね上げ、目を見開き、驚いた表情で自分の股を確かめたのは、まず触られたことは大いにある。下から上に、天井に綺麗に突き刺すような指の形でツンとつつかれ、下着越しに性器に触れられ、本当に驚いたのは当然だ。
     しかし、それだけではない。
    
     じわじわと愛液が溢れたのだ。
    
     自分がお漏らしをしていないか、急な尿意でオシッコを出していないかと怖くなるほど、アソコのあたりがみるみるうちに熱くなり、下着に湿りが広がっていく。内股にまで濡れた気配は及んでいき、こんなにも急速に濡れてしまった。
    「いいかい? 『時槻雪乃はここにおチンチンをもらうためにやって来た』だ」
     そうだった。
     年頃の少女は肉体を持て余すものであり、自慰行為ではどうにもならないほどの疼きに見舞われることもある。そうなってしまった時、そんな女の子を救えるのは、恋人でもいない限りは教師だけだ。
    「今までここに何回も与えてきたね?」
     教師の言葉で思い出す。
     そういえば、自分は何度も、何度も何度も、本当に幾度となく性欲を抑えきれなくなり、この教師に救ってもらっている。路上でナンパに喰われないよう、おかしな男に絡まれ連れていかれないように、生徒を守る意味合いを込めて、この教師は雪乃の性欲を発散させてきた。
     するなら、さっさとすればいい。
     どうせ、生徒とヤれて嬉しいだろう。こちらも発散させに来た。こんな状態で<泡禍>が起きて、現場へ駆けつける羽目になっても困る。下らない欲求はすぐに消し去り、いつものように振る舞いたい。
     雪乃は腰をモゾつかせていた。
     まるでフラフープでも回すようにぐるぐると、あるいは前後左右にくねくねと、教師の指先によってくすぐられている刺激に、雪乃の腰は動き回っている。子宮の奥まで悦びに疼き、肉棒を求めてヒクつきながらヨダレを垂らす。
     セックスしたい。
     頭の中で、そんなはしたない気持ちが膨らむ。
    「欲しいかい?」
     ニヤニヤと、教師は尋ねてくる。
     いつまでもこのままではいられない。おチンチンが欲しくてたまらない、セックスをもとめてやまないアソコがヒクヒクと興奮して、みっともなく愛液を垂れ流す。自分でも病気としか思えない、こんな状態でいつまでもいられるものか。
    「欲しいです。早くくれませんか?」
     セックスを求めるにしては、それはにべもなく突き放し、さっさと用を済ませて帰りたいとばかりの態度といえた。
     雪乃は実際にそうなのだ。
     こんな場所でぐずぐずしないで、早く神狩屋のロッジへ行き、パトロールも行いたい。<泡禍>があれば、どこであろうと現場へ行き、獲物を狩ってやりたいのだ。
     そのためにも、この欲求は邪魔だ。
     自分の中から、性欲そのものを切除できない以上、少しでも手早く発散して、すっきりする以外に手段はない。
    「それじゃあ『しっかりとおねだりして先生を興奮させないとね?』」
     それが教師の、スマートフォンの催眠アプリとやらに登録された文面を唱えたものとは、雪乃は知りもしていない。
     しかし、やることは決まっていた。
     雪乃は何か、思いつく限りの方法で教師のことを興奮させながら、おねだりのための台詞を口にしなくてはならない。それもはしたなく、いやらしく、普段の雪乃なら断じてありえないような行動や台詞でなくてはならない。
    
    「せ、先生の……お、おチンチンが欲しいです……! だから、どんなご奉仕でも致しますから、私に先生のおチンチンを恵んで下さい!」
    
     もはや時槻雪乃としての話どころか、人間の、一人の女としてありえない、自分の尊厳を捨ててもいるような台詞であった。
    「ほらほら、だったら自分はこれだけ先生のおチンチンを求めてますって、精一杯の努力で示してみせないと!」
     あおり立てる教師の言葉と顔立ちに、雪乃は明らかに苛立った。
     人として恥ずかしい台詞を吐いてまで、おチンチンなどという汚らしい単語まで使って求めたのに、すぐにはくれようとしない態度に歯を噛み締め、ならばこれで満足かと言わんばかりに服を脱ぐ。
     セーラー服のスカーフが投げ捨てられ、スカートがその場に落ちる。ブラジャーさえも脱ぎ捨てて、恥を忍んで丸裸となった雪乃は、バン、と大きな音を立て、テーブルに両手をついて腰を突き出す。
     自分がいかに淫らで恥知らずな女を演じているか。
     嫌な自覚をしながらも、雪乃は腰を左右に動かし、今度は真っ白な尻を振りたくる。そうやってオスを誘うため、淫乱なメスを演じて誘惑しようと努力する。みっともない自分の有様に耐えながら、教師にはそんな自分の尻や背中を見せつけた。
     フリフリと尻を動かし、ひとしきりそうした後で、今度は手をアソコに持って行く。自らのアソコを指で開いてみせながら、桃色の肉ヒダを見せつけながら言うのだった。
    「ここが、限界です、だから、早く下さい!」
    「なにを?」
    「お、おチンチン……」
    「そうか。そんなに先生のおチンチンが欲しいか」
     やっとのことで、教師のベルトを外す音が聞こえる。肉棒を取り出そうとする気配が、尻のすぐ真後ろにある。いよいよ挿入してもらえることを期待しながら、雪乃はじっと大人しく、教師の肉棒を待ち侘びていた。
    「………………」
     来た。
     腰が迫り、雪乃の柔らかい尻たぶには、熱い肉棒が乗せられた。血管の浮き出た驚くほど硬い逸物は、尻の肌をじっくりと温める。すぐに入れるわけでもなく、教師は腰を押し付けながら、すりすりと肉棒を使って撫でている。
     早く……早く入れろ……。
     おかしな怒りに震えてしまう雪乃のアソコに、やっとのことで切っ先が触れたと思えば、教師は焦らさんばかりに上下に擦る。まるでペン先でインクでも塗り付けるようにして、カウパー擦り込んでばかりいる。
    「早く…………」
     雪乃はつい、求めてしまう。
    「どうした?」
    「早く……下さい……」
    「なら、もっといやらしく言おうか」
    「……っ!」
     何度言わせれば、はしたなく、みっともなく、尊厳も何も投げ打つような卑猥な台詞をあと何回言わせれば気が済むのだ。そんなに雪乃の方からセックスを求め、おチンチンが欲しくてたまらないような言葉を聞くのが好きか。
    
    「我慢できないのよ! 早く頂戴! 私の淫らでいやらしいおマンコに先生のおチンチンを入れなさい!」
    
     でないと……。
     それはごくごく小さな声で、教師の耳には届かない。
     しかし、雪乃は確かにこう呟く。
    「でないと……殺すわよ…………」
     呟いた次の瞬間、あれほどに恋い焦がれた肉棒がずっぷりと、雪乃の穴の切なさを埋めるべくして入ってきた。肉棒の太さに合わせて穴幅が広がって、下腹部には反射的に力が入る。この待ちに待った肉棒を、少しでもしっかりと味わおうと、雪乃は膣壁の力で締め付けているのだった。
     来た……! やっと、やっとこの余計な性欲を発散できる!
    「あぁ! あっ、あん!」
     ピストンが始まり、雪乃は背筋を反らしてよく喘いだ。
    「あぁん! あっ、あふっ、んんん! んぁ、あっ、あうっ、ふぁあ!」
     教師は大胆に腰を振り、雪乃の尻に打ち付ける。見え隠れする肉棒は、膣の中からたっぷりと愛液をまとった姿で、陰毛にまで粘液が付着していた。
    「あぁっ、あぁぁ……! あっ、あぁ……!」
     ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、と、教師が打ち付ける腰により、雪乃の肉厚で豊満な尻肉がよく弾み、小刻みに波打つように振動している。
     やがて、雪乃の中で高まる何かがあった。
     頭の中で見えない風船が膨らんでいる。ピストンによってみるみるうちに空気が送られ、喘いでいるうちに破裂寸前にまでなっていき、ついにはその瞬間が訪れた。
     雪乃は知っていた。
     これが、絶頂の前触れなのだ。
    
    「――――――――――――――っ!」
    
     声にもならない、本当は絶叫するために大きく口を開いたはずが、あまりにも大きく快感が弾けて、絞り出す声すらない。無音の叫びと共に、雪乃はこれまで以上に仰け反って、弓なりに痙攣してからぐったりと、糸が切れたようにテーブルに伸びていた。
     気持ちよかった余韻の中で、テーブルに上半身を投げ出している雪乃は、もう少しだけ続くピストンと、その次に行われる射精を静かに受け止めていた。
    
    
    


     
     
     


  • 時槻風乃と赦された陵辱

    
    
    
    
     ――許せないなら……いつか私を殺しにくればいいわ。
    
     時槻風乃は言っていた。
     ――私はいつでも、夜にいるわ。
     妹の美月、そして祖母から起きた事件をきっかけに、森野洸平は気づいていた。風乃には妙な優しさがある。彼女は人の醜い所を否定しない。受け入れる。手を差し伸べる。だが、風乃にそんなつもりはなくても、彼女の言葉は人の醜い所を掘り起こす。そういう不思議な魔力を持っているのだ。
     洸平は自覚していた。
     自分も既に掘り起こされている。豪奢な黒いゴシックロリータを纏う彼女の美貌に、くびれた腰つきは艶かしい白い肌、しなやかなロングヘアーにとっくに魅せられているのだ。下半身に滾る邪な欲望がその証拠だ。
     おそらく、それはまだ取り返しのつかない事件が起きる前からだ。妹の事で、風乃と繰り返し会っていた時から、洸平はだんだんと妹のことを抜きにして、風乃という少女に興味を覚え始めていた。
     初めは理性をもって堪えていた。さすがにあの美貌を思い浮かべての自慰はしてしまっていたが、彼女への陵辱など頭の中だけで完結させ、本当にはしないでいた。それが当たり前で、当然だった。
     だが、日に日に膨れ上がる欲望は自分一人では納めきれない。普通なら、ティッシュに出すものを出してすっきりすれば、大抵は収まるはずの欲望だ。それが風乃に欲情を覚えて以来、それだけでは収まりがつかずに邪な感情だけが巨大な風船のように大きく育ち、一度や二度の発射では股間が中々静まらない日々が続いた。
     もう駄目だ。抑えきれない。
     洸平はとうとう夜中に外出し、風乃を求めて夜の闇へと飛び出した。
    
    「見つけたよ」
    
     夜道を歩むゴシックロリータの背後へ忍び寄り、洸平は後ろからいきなり抱きつき、耳元へ囁いた。明らかに不審者か変質者の取る行動だが、風乃が大声を出したり暴れて抵抗ことはないだろうと、不思議とそう踏んでの行動だった。
    「私をそんな風に捕まえて、一体どうするつもりかしら」
    「こうするんだよ」
     洸平は両胸を鷲掴みにして、黒衣装の乳房を揉み始める。指に強弱をつけるようにして、丹念に躍らせ堪能する。うなじから漂う肌の香りを鼻腔で吸い上げ、耳をべろりと舐め上げ尻に一物を押し付ける。
     風乃は抵抗しなかった。ただ人形のように立ち尽くし、されるがままとなって胸を揉まれ続けている。
    「こっちだ」
     洸平は風乃の手を引っ張り、公園の草むらへ連れて行く。木陰が周囲の視界を遮り、ここなら人目は気にしなくて良さそうだ。
    「今のあなたは狼ね」
     本当に自分の危機をわかっているのか疑わしいほど、風乃の言葉はそっけない。
    「悪いけど、抑えきれないんだ。君に大声を出したり、抵抗する意志がないのだったら、僕は本当にこれから君を犯す。君としたい――したいんだ!」
     洸平は風乃を押し倒し、胸元を乱暴に剥ぎ取り黒いブラジャーをずらし上げる。生の白乳を揉みしだき、これでもかというほど指を躍らせ、息を荒くしながら堪能する。乳首へ吸い付き先端を舐め転がし、摘み上げて引っ張ったり、指を押し込んだ。
     風乃は本当に抵抗しない。諦めたような顔をして、悟ったように受け入れている。
     スカートを捲り上げ、ドロワーズとショーツを抜き取り、太ももを持ち上げる。浮かせた腰から開脚させ、秘所と肛門を覗き込む。
    「こ、こんなの……」
     全ての恥部が見える姿勢に、さしもの風乃も赤らんだ。
    「恥ずかしいかい?」
    「…………そうね」
    「みんな見てあげるよ。ほら、まずはこっちから」
     尻を手の平に包んで割れ目を指で押し開き、ぱっくり開いた肛門を視姦した。皺が左右に伸びたその部分に視線を注ぎ、息をふーっと吹きかける。
    「んん…………」
     恥らうような声が上がった。
    「こっちも見てあげよう」
     指でアソコを押し開き、サーモンピンクの中身を見る。
    「そ、そんなとこまで……強引だわ…………あなた…………」
    「だろうね」
    「最後まで……するのかしら」
    「拒みたい?」
    「さあ、どうでもいいわ。どうなっても構わないと思う自分がいる」
    「投げやりだね。それでも恥ずかしがってくれるなんて、君って食べがいがあるよ」
     洸平は指で秘所を撫で始めた。胸や肛門を眺めて視姦しながら、縦筋にそって指を上下に動かし続け、刺激する。愛液でじめじめするまで、指でぬめっとした液を絡め取れるようになるまで刺激を加え、出来上がったアソコへ向けて肉棒を取り出した。
    「来るのね? 乙女を襲ういけない狼」
    「そうだよ。君のここ、貰うことにする」
     風乃の細い腰を両手で掴み、亀頭を入り口に当てたまま腰を押し出し、そして一気に肉槍でその奥までを貫いた。
    「んんっ」
     風乃は痛みに顔を歪める。処女だからだ。
     洸平は構わず腰を振り、一心不乱になって腰を振る。
     驚くほど気持ちが良かった。熱い蜜壺に包まれ、ギュウギュウと締め付けられる快感が堪らない。堪らない気持ち良さにとり憑かれ、もう洸平の腰は止まらなかった。
     風乃のよがるような手つき、髪を振り乱す首の挙動。
     全てが洸平を興奮させる。
     息を荒くして最奥を執拗に貫き、弓なりに引いた腰から容赦ない肉槍を放っていく。膣壁と肉棒の擦れ合う快感に飲み込まれ――ドクン! と、限界に達した洸平は射精して、出すべきものを放出し終わり、ようやく我に返ったような冷静な表情に立ち戻った。
    「……良かったよ。とっても」
    「そう」
    「君が欲しくて仕方なかった。また襲いに来ると思う」
    「次は避妊をしてくれると助かるわ」
     風乃は驚くほどそっけなかった。確かに洸平は無理矢理押し倒し、行ったのはレイプと言われても否定できない乱暴さがそこにはあったが、とてもその被害者のする顔ではなかった。こんなことをした洸平がこう思うのもおかしすぎる話だが、こういう目に合って平気な顔をしている風乃は、果たして人間性が欠如していないと言えるだろうか。
     確か、言っていた。
     自分が生きている実感がないと。
     風乃の心は死に近い。
     こうしたことに遭っても、死神のような精神性の彼女はなんら揺るがないのだろう。
     だからこそ、やれると思った。
     今度はきちんとゴムを買おう。そして、風乃にも気持ち良くなってもらおう。
     洸平は既にそんなことを考えながら、夜の闇に消えていった。
    
    
    


     
     
     


  • 思春期少年と時槻風乃

    
    
    
     住宅に囲まれた小さな公園へ行き着いて、その隅っこのブランコに少年はぽつんと腰を下ろした。
     特にどうしたというわけでもない。
     ただ、夜という人の気配の沈み込んだ空気がなんとなく心地が良く、少年は夜中に散歩をするのが好きだった。真っ暗で、街頭の弱々しい明かりだけがじんわりと広がっているこの空間に落ち着きを感じた。
     なにというわけでもない。
     ただそれだけのことだった。
    
    「寂しそうね」
    「!?」
    
     突然かけられた少女の声に、ぎょっとなって、少年は慌ててその場で振り返った。誰とも関わる必要のなかったはずの漆黒の空間で、その落ち着きを破る声の主を振り向くと、少年はさらに息を呑んで驚いた。
     ゴシックロリータが、そこに立っていたのだ。
     衣装を纏った美しいその少女は、人形じみて白く整った肌をしている。恐ろしく華奢で、テレビでも見たことのない美貌を前に少年は固まった。
     現実感がないと思った。
     これほどに綺麗な美少女が、冴えない自分に声をかけているる。仮にもそれと二人きりの状況にあることに、まだ女性経験のない中学生の少年は、これ以上ないほどに緊張して心臓を激しく動悸させていた。
    「だ、誰……?」
    「私? 私は時槻風乃」
     とりあえずの受け答えで、てんぱった少年はこれがかろうじて現実であると理解して、すると今度は混乱した。
     美少女に話しかけられるなど夢のようだが、何の接点もない見知らぬ彼女が、自分に果たして何の用事があるというのか。彼女が自分に声をかけ、近寄ってきた意図がまるで読めずに困惑して混乱していた。
    「可愛いわね」
    「え? ええと……」
     そのように言われても、正直困る。
    「…………」
    「……」
     美貌の少女を前にどうしていいのかわからないまま、かといって風乃の方から話を振ってくれるでもなく、少年が困惑すればするほど沈黙は続いた。風乃は死人にも似た無表情を浮かべるばかりで、それからどうするでもなく、ただ少年をじっと見ている。
    「なんのご用で……」
     ようやく出せた言葉が、そんな遠慮がちな質問だった。
    「特に用事ではないわ。貴方が寂しそうな子に見えたから、なんとなく声をかけただけ」
    「そ、そう……」
     少年はますます困った。元々口下手だけあって、私生活ですら口数は少ないのだ。学校では休み時間を読書で潰し、放課後はさっさと校舎を出て真っ直ぐ帰る帰宅部の少年は、それだけ異性と喋る機会が少ない。
     どうすればいいのか、わからない。
    「隣、いいかしら」
     聞かれて、少年は声もなく首を縦に振る。
    「夜はいいわね」
    「……うん」
     世間話のように振られて、ようやく少年は声を出して頷いた。
    「この静かな空気に浸りたい気持ちはわかるわ」
    「えっ」
    「私がそうだから」
     ぴく、と少年はその言葉に顔をあげ、風乃の美貌へ視線を向けた。
    「君も、学校とか……」
    「そうね。あまり好きとはいえないわ」
     意外に思って、少年の困惑と緊張は解きほぐされた。こんな美人ならクラスで人気者でもおかしくない。自分などとは全く違う種類の人間という気がしたが、学校を好んでいないことから同族である予感を覚えたのだ。集団など疎ましく、喧騒を息苦しく感じる体質なのだ。
     まさかの予感に胸がときめき、だからといって振る話題もなければ、口下手さが先行して声も出せない少年は、今度はただ喋れないということだけに純粋に困り果てた。
    「いいんじゃないかしら。無理をしなくても」
    「え……」
    「お喋り上手ではないんでしょう? 話題を思いついたら振ればいいわ。だけど、無理に思いつく必要なんてどこにもない。喋りたいときに喋って、黙りたいときは黙ればいいの」
    「……うん」
     少年は黙って頷いた。
     そのまま、お互い本当に口を利くことはなくなってしまい、無言でブランコをゆったり揺らす。隣に美少女が座っているという、嬉しいようで気まずい空間にどっぷりと身を落とし、あとはどうするでもなく時間が流れるままを過ごしていた。
     長く、長く。
     時を過ごした果てに風乃は不意に立ち上がり、言うのだった。
    「また会いましょう?」
     そして彼女は歩み去り、夜の中へ消えた。
    
         †
    
     少年は時槻風乃を想像しながら、快楽でティッシュを消費していた。
     小学六年で自慰行為を覚えてから、初めはクラスや知り合いの女の子を頭に浮かべて一物を握り、射精していた。いわば初心者時代のようなもので、自慰経験が進むにつれて淫語を検索するのに抵抗が減っていき、しだいにアダルトサイトを巡回したり、そういうイラスト画像や動画を見ることもそれなりになっていた。
     もっぱら画像か動画がメインのネタだが、今回ばかりは頭に浮かべた風乃であった。彼女を想像せずにはいられなかった。
     それだけ、美少女との出会いは劇的だった。
     まさか自分があれほどの異性と出会い、あまつさえ口まで聞けるなど、口下手で内向的な少年にとっては既に夢の連発だ。
     ひょっとすれば、その程度の夢なら当分は叶うはず。
     期待を込めて夜の公園へ向かっていくと、また出会えた。
    「あら、また会えたわね」
     彼女は淡々とブランコへかけ、少年も隣の台へ腰を下ろした。
    「君はいつも散歩している?」
     これだけの質問でも、少年は勇気を振り絞っていた。
    「ええ、しているわ」
    「よ、夜って……いいよね」
    「そうね」
     無表情で素っ気ない彼女は、冷たい印象に反して、少年が喋ろうとしている最中はしっかり顔を向けている。口下手な彼が話す言葉をじっと待ち、話題が切れたとわかると正面へ向け直す。何か喋ろうとし始めれば、また顔を向けてくれていた。
    「なんか学校って息苦しくて、ずっと本ばっかり読んでるよ」
     そのうち、慣れがきた。
     口下手とはいえ風乃との会話にはしだいに慣れ、慣れた人限定で少年はペラペラ喋る。内向的な少年とて、慣れさえあれば話題の有無しだいではお喋りだった。
    「私はいわゆる不登校よ」
     彼女も多少は少年の話に乗ってくれた。
     毎日会った。
     毎晩のように同じ公園へ通っては、少年は風乃と隣同士でブランコに腰かける。とりとめのない雑談をして過ごし、話題が切れれば沈黙に浸っている。彼女がリストカットをしていることもこのおりに知ったが、それで距離を置こうという発想は不思議と浮かばなかった。彼女があまりにも淡々としているので、まあそういう人もいるだろうと、かなり簡単な気持ちで受け入れてしまっていた。
     そして、少年は風乃を頭に浮かべ続けた。
     ベッドで一物を握りながら、彼女とのはしたない行為を想像してティッシュを減らす。魅惑に囚われた少年は、いつしか彼女だけを見始めていた。
     そんなある日だ。
    
    「貴方。私に興味があるのかしら」
    「!?」
    
     ドキっとした。
    「いつも私を見ているでしょう?」
     余計に心臓が跳ね上がった。直接的にこそ言ってはいないが、遠回しに気づいていることを述べてきたのだ。少年がどんな目で風乃を見て、しかも想像しているのか。女は視線に敏感だとどこかで聞いた覚えがあるが、彼女は本当に鋭い感覚を持って少年の邪心を見抜いたのだ。
    「え、ええと……」
     そんな指摘をわざわざされ、少年はオロオロする。
    「別にいいのよ?」
    「……え?」
     てっきり怒られでもするかと思えば、別に気にしてなどいない風乃に、少年は拍子抜けのようにきょとんとした。
    「誰かに魅力を感じた時、人はその人だけに夢中になってしまう。そうやって男は女を狙うのだから狼と言われるし、魅惑で異性を惹き付ける女は魔女ね」
    「あ、ええと……」
     なんと言っていいのかわからない。風乃は気にもとめないどころか、むしろそれを話題にしてきている。しかし、男同士でさえ猥談に乗ったことのない少年には、こんなネタで会話を交わす軽さはなく、そういう話題を出されても困るばかりだ。
    「貴方にとって、私は魔女かしら? そして、貴方は魔女を食べたがる狼かしら」
     好意の感情を問われているも同然だ。それに頷けば、自動的に想いを認めることになってしまう。首をそうそう縦には触れず、まさか横にはますます触れず、少年はただ固まっていた。
    「正直に言おうかしら。興味を持っているのは私の方よ。けれど、私に相手はいないわ。体を持て余してしまっているの」
    「……ごくっ」
     少年は息を呑む。
    「イケナイ魔女に狼の本性を剥き出す気概が、貴方にはあるかしら?」
     がた、と、少年はブランコを揺らしながら勢い良く立ち上がり、次の瞬間には迫るように彼女の肩を両手で掴み、血走った瞳を向けた。
    「……さ、触るよ? 本当に触るよ?」
     ゴシックロリータの胸を見ながら、少年は震えた声を出す。
    「どうぞ? 狼さん」
     すぐに肩を掴んだ両手をスライドさせ、少年は乳房へその手を近づけ始めた。この期に及んで躊躇いは残っており、果たして本当に触れてもいいのか、彼女の様子を伺いながらギリギリまで接近させる。それでも何も言わないとわかると、少年はとうとう思い切って乳房に手の平を乗せて揉み始めた。
     ゴシックロリータの黒い胸を揉み潰し、生地の触感と、その下にあるブラジャーの固さを手で味わう。少年は指に強弱をつけることに夢中になり、カップの固さに包まれた柔らかい感触を丹念に確かめた。
     触り心地を探って研究でもするかのように、少年は風乃の胸を揉み続ける。
     自分の胸に夢中で縋る少年を風乃は無言で眺め、しかし頬をほんのり染めて恥らっていた。
     少年は意外に思った。
     彼女の黒い容貌からすれば、もっと経験豊富な魔性の女を想像させる。もちろんただのイメージだが、とっくに経験があると言われても不思議はない。しかし、そんな風乃の無表情な顔はしだいに赤く、恥らう乙女の色に変化していた。
    「……ねえ、こういうことって」
    「初めてよ」
     そっけなく風乃は答える。
     ぶっきらぼうだが、耳まで赤くなっていた。
     少年はますます夢中になり、指を活発に躍らせる。時おり触り方を変え、表面をそっと撫でるようにして、胸の膨らみ具合を確かめる。そしてまた揉み潰し、手に風乃の胸を覚えさせようと一生懸命になっていた。
     スカート越しの太ももに手を置き、揉むようにして撫ですさる。脚の感触をじっくり味わい内股へスライドさせ、大事な部分のぎりぎりまで近づけていった。
     さすがの風乃も緊張で強張った顔だったが、抵抗しない。そのまま指を秘所へ近づけるとあっさり受け入れ、目を瞑りながら少年の指愛撫を受け始めた。言葉は交わさなかったが、膝に置いた拳でスカートを握り、太ももをもじもじさせていたのを見て、少しは感じてもらえているのがわかった。
    
         †
    
     毎晩顔を合わせる日課に、淫らな行為が加わった。
    「触りたい?」
     物欲しそうな目で乳房を見ると、風乃は淡々と尋ねてくる。頷くと黙って揉ませてくれ、少年は毎日のように風乃の乳房を揉みしだいた。
     秘所へ手をやれば、脚を開き気味に指を受け入れる。少年のぎこちない摩擦に頬を染め、静かに荒くした吐息を唇から漏らしている。目を細めた風乃の肩は上下に動いていた。
    「感じる?」
     少年は恐る恐る尋ねた。
    「ええ、とっても」
     風乃は黙ってスカートを持ち上げ、膝から半分までの太ももを見せてくる。漆黒のスカートは足首まで届きそうなほどのロングであったが、これで中へ手を入れることが可能になった。
     少年はそこへ手を入れ、ショーツの上から指を押し付ける。指先でくりくりと擦りつけ、爪で優しく引っ掻くような摩擦で責めていった。みるみる赤面していく風乃は、うっとりと目を細くしながら少年を見上げ、無言で求めるような顔をする。
     いけるのだろうか。ズボンの内側では欲望の塊が膨れ上がり、とっくにテント張りの状態となってはち切れんばかりになっている。これを沈めたくて仕方のない少年は、今にも強引に彼女を押し倒そうとする自分の中の獣を抑えていた。
    「ねえ、これだけかしら?」
     息の乱れた風乃は言った。
    「あなたは乙女を襲ういけない狼。まだ、したいことがあるんじゃないかしら?」
    「でも、いいのかな。もし誰かに見られたら……」
    「ここ、お手洗いがあったはずよ」
     ――ごくり。
     少年は音を立てながら息を呑み、彼女の手を引きブランコを立たせた。
    「僕はいけない狼」
    「私は自分が魔女であると知らない無垢なる乙女」
     風乃は彼に身を任せ、少年は彼女の腰に手を回して連れて行く。
     公衆トイレの個室へ忍び入り、便座に両手をついて彼女に尻を突き出させた。生地が薄いのか、黒いスカート丈は丸みに沿って肌に張り付き、肉の丸みをくっきりと浮かせている。少年は両手を乗せ、表面をじっくり丹念に撫で回した。
    「こんな格好……させるのね…………」
    「君がいけない子だから、僕はもうなんだってしてしまうよ」
     尻を揉み、背中を眺める。こうして女にポーズを取らせて見下ろすことの優越感を少年は初めてしり、興奮した手つきは活発になっていく。執拗なマッサージに風乃の尻は嫌よ嫌よと動いていたが、勃起した股間を押し当てると、風乃も少年に腰を押し付ける。
     少年は風乃の腰を掴み、より強く腰を押し付け圧迫感を増幅させる。尻の狭間に沈めたテント張りを上下に動かし、柔肉との摩擦を味わった。
     長いスカートを持ち上げて、眩しい太ももとショーツの尻をあらわにする。刺繍入りの彼女のショーツはゴシックロリータに合わせた黒だった。
     少年はその黒い尻を視姦し、撫で回し、両腰のゴムの部分へ手をかける。
    「見られてしまうのね……私の乙女の部分……」
    「そうだよ。見てあげる」
     少年はショーツを思い切って一気に下ろす。黒かった尻は一瞬にして眩しい白へ立ち代り、ネットでしか見ることのなかった女の秘所が目に焼きつく。尻の割れ目にある桜色の恥部まで見え放題で、少年は視線を奪われてしまった。
    「こ、これが……」
     感激したようになりながら、少年は生尻と秘所の二点を見る。人形のように艶やかで丸い尻の下には、ぴったりと閉じた貝があり、毛が控えめに生えている。少年は見ることに夢中になり、しばらくは触ることさえ忘れてしまった。
    「触らないの? こんなことをしておいて、見ているだけで終わるのかしら」
    「あっ、うん! 触る! 触るから!」
     放心さえしていた少年は、彼女の声にはっと正気を取り戻し、柔らかい肉を直に撫で上げ揉みしだく。発育の良い尻には深く指が沈んでいき、ひくっ、と時おり収縮する桜色の菊門を見ながら風乃の尻を味わい続けた。
     ふぅー……と、息を吹きかける。
    「あぁぁ――――」
     恥じらいのあまりに漏れた声、といった具合だった。
     貝の割れ目に指を沿え、ラインに合わせて上下に擦る。乙女の蜜が指に絡んで、どんどん滑りが良くなっていき、ぬらりと濡れた風乃の秘所は熱く火照りきっていた。蜜のぬめりと生温かさが指に伝わり、少年は興奮しながら活発に愛撫を仕掛ける。
     突起した肉芽を指でつく。
    「んん……」
     堪えるような声があがった。
     もう駄目だ。
     興奮しきった少年は我慢が効かなくなり、勃起しきった肉棒を解放しようとベルトの金具を外してチャックを下ろす。一物の取り出された気配に彼女は一瞬だけ強張り、しかし拒む様子は見せずに黙って姿勢を維持していた。
    「挿れるのね」
     ぴたっ、と亀頭を膣口へ押し当てる。
    「食べられてしまうのね。私……」
     少年は腰を押し出し、風乃の膣へ肉棒を沈めていった。蜜壺の狭さが肉棒を締め上げ、押し潰さんばかりに圧迫する。熱い締りの良さにペニスが溶けてしまうような、圧力に本当に潰されてしまいそうな、そして火傷しそうなほどの熱さが襲ってくる。
     少年はゆっくり腰を引いていき、亀頭が抜け落ちるギリギリまできて、再び腰を前へと押し出していく。根元をしっかり差して肉栓を閉じ、また引き抜いては押し込める。蜜壺の圧力を出入りする快感に少年は息を上げ、しだいに激しく風乃の尻を打ち鳴らした。
    「風乃……! 風乃……!」
     腰が尻を叩く軽快な音がぱんぱん鳴り、分泌液が内股をつたって流れていく。無抵抗な背中を見下ろしながら、少年は獣のように膣を貫き、出し入れの快感を貪る。細い両腰を掴んでいた手は前へ動いて、ゴシックロリータの胸を掴んで揉み始める。揉みしだく手も、前後する腰も活発に狂っていた。
     背中に体を密着させ、耳を甘噛みして穴まで舐める。彼女は息を震わせ、少年の欲望をじっとその身に受け止め続けた。
     どくん、と精液が流し込まれる。達した肉棒は膣内で何度も弾み、ビクビクと跳ねるたびに白濁を吐き出して、放出が終わると少年はそれを引き抜く。下の口からは破瓜の血と愛液と混じり合った濃厚な白がこぼれ落ち、行為が済んでもなおいやらしく熱気を上げていた。
    「これが男女の交わりなのね。とても緊張してしまったわ。胸の内側がまだドキドキしっぱなし。やっぱり女には一大事ね」
     風乃は便座を椅子代わりに座り込み、トイレットペーパーで自分の汚れたあそこを拭く。
    「ねえ、またしたいな」
    「いいわよ。またしましょう?」
    
         †
    
     二人は夜の性関係を結んでいた。
     夜中に公園で待っていれば、風乃は必ず現れる。求めれば彼女は受け入れ、静かに胸を揉ませてくれる。それ以上をする時はトイレの個室を利用して、週に何度かは性交を行うようになっていた。
    「今日は短いスカートにしたの」
     漆黒衣装から覗く白い太ももが、夜の暗闇から光って見える。情欲がそそられ、見た瞬間から少年が深く息を呑んで目をギラつかせ、眩しい脚をじろじろ見やる。
    「似合うよ? とっても」
    「そんなことを言って、見ているのは脚だけでしょう? 本当にいけない狼さんね」
    「君が襲われるような格好をしてきたんだ。今日もいっぱいしてあげるよ」
    「構わないわよ。いっぱい頂戴」
     少年は風乃を個室へ連れ込み、彼女を戸の壁へ押しやってゴシックロリータの胸元をずらしていく。瑞々しい白い乳房をむき出しにさせ、揉みしだき、乳首を摘んで舐め上げる。ひとしきり吸い付き、彼女の体が火照ると少年は便座に座った。
    「口でして欲しいな」
     少年は一物を取り出した。
    「いいわよ」
     風乃はあっさり承諾し、根元をそっと手に包む。唇をゆっくり近づけ、ぴた、と舌を亀頭に当てて舐め始めた。先端の割れ目をチロチロと、亀頭の先端を含みながら、チューペットをしゃぶる子供のように肉棒を刺激する。
    「あぁ……気持ちいい……」
     少年はうっとりと快楽に浸り、下へ手を伸ばして生乳を揉む。
    「これはどうかしら」
     風乃は顔を前へ押し出し、肉竿のおよそ半分ほどまでを唇の内側へ咥え込む。舌をぴたりと竿の裏側に当てながら、頭を前後に動かした。唾液を塗るような気持ちで舌を這わせ、頭を後ろへ引くたびに亀頭を啜り上げる。
    「ちゅっ、ちゅうぅぅぅぅぅ――」
     先端を吸い上げてから再び顔を前へやり、そうやって彼女は前後に動き続けた。
    「気持ちいい! すごくいいよ……」
     少年は悦び、乳を揉む手を活発にする。
    「ちゅっ、ちゅるぅぅ……」
    「おぉ……
     吸い上げる水音が鳴るたびに、少年は快感のあまりに身震いする。
     相手が確かに感じているのを見て、風乃は嬉しそうに目を細めて快活に動いていく。先走りの汁が彼女の舌へ染み渡り、彼女はその味を感じながら奥まで頬張る。
    「いくよ? 風乃」
     ――ドクドクッ……ビュッ!
     風乃の紅い唇の中で、太い肉棒はまるで痙攣するかのようにビクビク弾み、白いコーティングを打ち出して彼女の舌を白濁に塗り固める。青臭い牡臭のそれを、風乃はごくりと、喉を鳴らして腹に収めた。
    「飲まされちゃったわね。私、一体どこまで狼さんにこの身を食べられ続けるのかしら」
    「楽しんでるよね」
    「さあ? 気持ちいいことは否定しないけど」
     二人は席を交代し、今度は風乃が便座を椅子代わりにして股を開く。少年は持ち上げたスカートの中からショーツを抜き取り、お互い顔を合わせた形でソコへ亀頭を当て、ずっぷりと硬い肉茎を埋め込んだ。
    「あぁっ……いいわぁ……」
     風乃はうっとり目を細める。
    「僕も、気持ちいいよ!」
     少年は滑らかなピストン運動で腰をくねらせ、風乃の膣内を責め立てる。むき出しの乳を揉み、唇を貪りながら、獣のように猛り狂って快楽を貪った。
    「――あっ、あっ、あっ、ああ!」
     風乃は長い髪を振り乱し、人形が啼くような無機質な喘ぎを響かせる。よがるような手つきで少年の肩を掴み、衣服へ爪を食い込ませ、されるがままに男の狼の本能を受け入れる。
    「風乃……風乃……!」
     少年は一心不乱になっていた。ただただ、快楽に飲まれて腰を振り、紅く火照った表情の風乃の顔にますます欲情してペースを速める。
    「――あっ、あっ、あっ、あん! あぁん!」
     ピストンのたびに鳴る風乃の声を耳で味わい、乳房の柔らかさを手で堪能し、風乃の口内を舌で蹂躙しながら振り続けた。
     そして……。
     ――ドクン! ドクドク……!
     白い白濁を打ち込み、引き抜いた膣口からこっぽり垂れる。
    「はぁ――はぁ――満足……したかしら?」
     事後の風乃は肩を上下させ、乱れたまま直らない息で少年に語りかけた。
    「まだまだかな」
    「そう……もっといっぱいされちゃうのね? いいわよ? 好きなだけ」
    「うん。たくさんしよう」
     二人の夜は延々と続いた。
     延々と、毎夜のように――。
    
     彼が死に飲まれるまで、延々とその関係は続いていった。
    
    
    
    


     
     
     


  • デルタ催眠テスト 亜紀と稜子は性奴隷

    
    
    
    
         1
    
     二人の少女が『テスト』を受けていた。
     霊感の有無を調べるらしいテストに食いつき、二人はまるで何かに憑かれてしまったように、一心不乱にペンを走らせていた。
     その始まりは友人の失踪にあり、神隠しに遭った空目恭一を救うため、まずは修善寺という真言宗の寺院を当てにした。
     物の怪の害に遭った場合、最初は寺社に頼ってみるのが普通。次が拝み屋で、最後が新興宗教になるだろうが、最後はさすがに末期的でもある。
     こうした判断の下で、木戸野亜紀はとりあえず行ってみる風を装って、日下部稜子を伴い修善寺へ向かうが、実はこれは何の根拠もないわけではなかったりする。
     というのも、羽間の周辺にはどういうわけか『憑き物筋』がやたらと多いらしう、その害に遭った時に駆け込む場所の一つが修善寺だったらしいのだ。もっとも半信半疑で、適当な説教や形ばかりの祈祷を行うようならすぐに帰るつもりでいたが。
     結果として、精神病院の診察券を渡された。
    「…………怒りますよ」
     亜紀がすぐさま示した反応はこうだったが、別に馬鹿にされたわけでも、精神病として扱われたわけでもない。そこには心霊現象に対する立派な専門家がいて、表向きには精神科医を名乗っているとのことだった。
     そうしたわけで、病院を訪れて、応接室でテストを受ける流れに至る。
     このテストというのは、すべてイエス・ノーで回答する形式で、設問を読む時間も含めて一問あたり五秒以内とされている。五秒ごとにアラームが鳴る指示音声が出るのだが、読む時間込みで五秒となると、迷ったり、考え込む時間はまずなかった。
     ヘッドホンをかけた亜紀と稜子は、音声指示を聞きながら、回答を始めたのだ。
    『設問一。五秒前――三、二、位置、終了……マークを塗りつぶしてください。設問二。五秒前――――』と、つぎつぎ指示音声に追い立てられるので無用な事を考える暇はない。
    
     一、死が怖い――――Yes/No
     二、動物が好きだ――――Yes/No
     三、母親が嫌いだ――――Yes/No
     四、父親が嫌いである――――Yes/No
     五、心霊現象の実在を信じる――――Yes/No
     六、何らかの信仰を持っている――――Yes/No
     七、死者に対して道場する事が多い――――Yes/No
     八、ぼんやりしていると、よく言われる――――Yes/No
    
     最初は性格面、思想面を中心にしてテストは始まり、徐々にないようを家族、経験、知識などに移行させてゆく。時折ひどく奇妙な問も混じるが、細かく考えている余裕など無いというのが実情だ。
     少しずつ本文が長くなっているような気もする。こうして余裕を失わせてゆくのを計算しているなら、実際これは良く出来ているとしか言いようがないだろう。
    
     五二、取引の際に肉体交渉を用いることは決して間違っておらず、下手な疑問を持つべきではない――――Yes/No
     五三、性行為への好奇心を自覚しており、あなたはペニスの挿入にまつわる妄想を一度でもしたことがある――――Yes/No
    
     設問は次々と進む。、亜紀も稜子も自然と集中状態に誘導され、次々問に答えてゆく。問題の傾向を吟味するなど、もはや頭の中にはない。
    
     オナニーの経験がある――――Yes/No
     セックスをしたことがある――――Yes/No
     
     セクハラであると怒ってもいい質問さえ、疑問を抱く余地もなく、追い立てられるようにして、せっせとマークシートを塗りつぶす。
     そして、丁度そのあたりに差し掛かった頃――テストを受けている二人はほとんど意識することができなかったが――そこで大きく、設問の傾向が変わっていたのだった。
    
     一五九、あなたの喘ぎ声は「あぁぁあああぁぁああああぁぁぁああああああぁぁあああああああああああああああ」である――――Yes/No
    
     今まで少しずつ混入していた意味不明、支離滅裂な問が密度を増した。読解不能な単語、文字列が増え、質問の形式すらとっていないものが現れ始めた。
     文章の形すら崩れ始めた。詩的すぎる、または哲学的すぎて意味のわからない文章があった。正体不明の記号が数行に渡ってびっしりと印刷され、それにタイしてYes、Noを答えさせるものがあった。
     文章ですらなくなった。二人の男女が性交している、結合部にモザイクもない写真に、一切の説明もなくYes,Noを答えさせた。女が肉棒を口に含める無修正の写真に、Yes、Noを答えさせた。ごく普通のヌード写真に、首輪を付けて犬の散歩をしている女性に、お尻を叩かれている女性に、Yes、Noを答えさせた。
     精液を撮影したものだが、写真で見れば片栗粉でも溶かした水なのか何なのか、区別がつかない白い粘液があった。女子生徒が全裸で席につき、服を着た男性教師の下で授業を受けているイラストがあった。
     女性器を拡大した肉ヒダの写真があった。それも、桃色の綺麗な色合い、黒ずみが酷いもの、形が崩れているもの、そうでないもの、様々な女性器だ。太さや長さ、形状に個人差のある男性器の写真も、何枚にも渡って続いていた。
     内容のいやらしさを疑問に思う暇も無い。何がYesで、何がNoなのかを考える余裕もない。その頃には二人とも完全に催眠のような状態に陥り、ただ感覚の赴くままにYesかNoかを答える機械になっていた。規則的な指示音声と、それに追われて次々問題に目を通す機械作業が、自然と二人をそんな状態へ誘導したのだった。
     だから――
    「終了です。ご苦労様です」
     と、木茂井が言ったとき、亜紀は目が覚めた時のような感覚を感じていた。それは学校のテストが終わった時や、一心不乱に小説などを読み耽った直後の状態と同じだった。背中のあたりに、凝ったような疲労感が残っていた。
     稜子が、「むー」などと言いながら大きく伸びをする。
     木茂井はドアの外にいる誰かに二人の解答用紙を渡していた。そしてすぐに元の席へと戻る。
    「では、結果が出るまでに、服を脱いで頂きましょうか」
     そう言って、ぎし、と背もたれに身体を預けた。
    「えっ、あの……」
     突然の言葉に、稜子は苦笑いで固まっていた。
    「馬鹿、裸になんなきゃ失礼でしょうが」
    「あ、そっか――」
     不意に礼儀を思い出し、目上の、それも大人の男性に協力を仰いだり、話し合いをするための『正装』の姿を取るために、亜紀は衣服をたくし上げる。気持ちはわかるが、これも空目を救うためである。
     亜紀は空目に恋愛感情があった。
     ひどい焦りが胸を灼くのは、空目の危機への焦りなのか。それとも、あやめへの、殺意なのか。好きな男がいながらにして、好意の欠片も持たない、初対面の男に裸を見せる羞恥心と、脱ぐことへの躊躇いは、あって然るべきものだった。
     しかし、戸惑わなかった。
     クールな自分がゆるやかに感情を封じていた。恥じらいを表に出すのは余計に恥ずかしい事だと、亜紀は余計な羞恥心を封じ込め、一枚ずつ脱ぎ去ったものは、テーブルの上に軽く畳んで置いていく。
     パンツ一枚、あとは靴下。
     これだけが、亜紀と稜子に残された衣類であった。
    「……さすがに緊張するね」
     隣の稜子は、両腕で胸を覆っている。
    「こら、隠さない」
    「う、うん……」
     稜子はたどたどしく両手を下ろした。
     二人の少女が乳房を晒し、それをいくら拝んでも咎められないともなれば、木茂井の視線は嫌というほど突き刺さる。
    「これで礼儀は示したと思いますけど」
     亜紀は皮肉じみていた。
    「ええ、しかし、これから我々が行うのは〝異存在〟への対処です。依頼者にいくばくかの協力と奉仕をお願いしても、罰の当たる話ではないでしょう?」
    「まあ、大金を請求されるよりはいいですね」
    「というわけですから、触らせて頂けますか?」
     こればかりは即答できなかったが、空目の無事と自分の乳房を天秤にかけ、ここで起きたことは後で忘れれば全てチャラだと思い切り、亜紀は恥じらいや躊躇いを精神の奥底に封じて頷いた。
    「ん。どうぞ」
     無駄な赤面は、していないはず。
     木茂井が椅子を立ち上がり、二人の背後に回り込む。まずは亜紀の後ろにつき、見えない位置から肩に触れ、男の指にゾっとしつつも耐え忍ぶ。肩に両手が乗せられて、少しだけ肩を撫でたと思ったら、その手はすぐに下へと伸びた。
     指が乳房に絡みつく。胸が揉まれる。
     生まれて初めて男に触れられ、芋虫にでも這われるような嫌悪感に、肌中の毛穴がふつふつと煮えるように粟立つ。不安そうに見ている稜子の目は、自分の胸も揉まれることと、先に揉まれている亜紀を心配したものだ。
    「先ほどのテストの内容を説明すると、催眠暗示の効果をかけ、常識を少しばかり改変するものとなっています」
    「信じられませんが」
     亜紀はきっぱりと言った。
    「では今のこの状況をどう説明します?」
    「化け物を退治して下さいって、無茶なお願いに来たんですから、これくらいのリスクは覚悟するのが当たり前です」
    「ではセックスに応じて頂けますね?」
    「……気乗りはしませんが」
    「稜子さん。あなたもですよ?」
     木茂井は不意に稜子に振る。
    「へっ!? あ、は、はい…………」
     稜子は慌て気味に、心の底では同意していない、抵抗感のありありと現れた表情に、さすがに可哀想な気もしてくる。しかし、こちらがお願いする立場である以上、ここはどうしようもないだろう。
    「ベッドルームがありますから、ご案内しましょう」
    「準備のよろしいことで」
     亜紀は皮肉をこぼす。
    「ではこちらへ」
     木茂井は気にした風でもなく、二人を別室へと案内した。
    
         2
    
     魔王様を助けるためだから……。
     まるで悪いことをする言い訳のように、裸の日下部稜子は自分に言い聞かせ、木茂井に命じられた奉仕に励む。
     初めは抵抗感が強すぎて、直視さえできない稜子であったが、空目を救えるか否かの事態と天秤にかけ、結局のところ稜子は従っていた。
    「ほら、やるよ」
     亜紀も抵抗感はあるだろうい、余計なものは抑えて始める割り切った対応に、稜子も続いて開始したのだ。
    
     あむっ、れろっ、れちゅぅ……ぺろぺろ…………。
    
     二人でフェラチオを行っていた。
     ベッドシーツを足場にして、真っ直ぐに背筋を伸ばした木茂井の元で、稜子と亜紀は群がるように肉棒に顔を近づけ、二人で一緒に舐めていた。
    「うーん。そうそう。気持ちいいですよ?」
     実に満足そうに、木茂井は二人の姿を眺め、楽しげにしながら、おもむろに頭を撫で、二人の頭皮が軽く揉まれる。
     男性器がどんなものかは知っていたが、実物を見るのは初めてだ。お父さんと一緒にお風呂に入った頃まで遡れば、一応見たことはあるのだろうが、それをカウントに加えるのもどうなのか。
     ……武巳クン。
     ふと稜子の頭に浮かぶのは、付き合っているわけではない近藤武巳の顔だった。今はまだ気の合う者同士の仲で落ち着いているが、稜子は武巳が好きなのだった。
     それなのに、別の男とこういうことをしている罪悪感。
     必要なこととはいえ、キスもセックスも、初めては好きな人と、という当たり前の乙女の夢が穢れてしまう。
    「稜子。休まない」
    「うん。そだね……」
     亜紀の顔が眼前だった。
     真っ直ぐに、地面と水平に聳える肉棒に奉仕しようと、二人の唇で竿を挟み撃ちにしている形だ。肉棒の存在が阻んでいるが、亜紀とキスをするかのような距離感にもなっている。亜紀が肉棒に口づけして、ペロペロと舌を伸ばして舐める姿に、稜子もそれを真似てペロペロと舌先で側面を舐め続けた。
    「しかし、バリエーションに乏しいですねぇ?」
    「っていわれても、こっちは素人なんですが」
    「ええ、それは構いません。ただもっと、チャレンジというか、色んな舐め方、咥え方を試してみてはもらえませんか?」
    「しょうがないね。稜子、私が先っぽ舐めるから、アンタは玉の方やってみて」
    「わかった」
     先ほどから、亜紀にリードされてばかりだ。
    「あむっ、ちゅっ、じゅるぅ」
     先端を唇に含めた亜紀の手で、肉棒の角度が持ち上がる。稜子は玉袋の下に顔を潜らせ、睾丸を口に含んでみた。
    「はずっ、じゅるぅ……じゅむっ、ずむっ……」
    「ずりゅっ、ちゅるぅ――はむっ、るじゅぅ――ちゅるぅ――」
     稜子は唇に捕らえた睾丸を口内で舐め回し、アメ玉を舐め溶かそうとする勢いの刺激を与えつつ、フェラチオのように出し入れも行っていた。亜紀も亜紀で、唇に亀頭を出入りさせ、二人がかりで攻めていく。
    「亜紀ちゃん。交代しよ?」
    「ん」
     ポジションを入れ替わり、今度は稜子が亀頭を飲み込んだ。その下で亜紀は、稜子がしていたように玉を咥え、口内で攻めつつ出し入れする。小学生が間接キスで人をからかうそれを思い出したが、亜紀の唾液が残っていることに構ってはいられない。
    「じゅぽっ、ずぽっ」
     咥えては離し、咥えては離し、それを淡々と繰り返した。
     頬をくっつけ合い、一緒に亀頭を舐めもした。二人で伸ばした舌でレロレロと、亀頭の三角形をそれぞれ攻める。
    「れろぉぉぉぉぉぉぉぉ…………」
    「じゅろぉぉぉぉぉぉ………………」
     途中からは、根元に舌先を押しつけて、下から上に舐め上げる奉仕もした。それは亜紀と交代で、稜子が亀頭に辿り着いたら、亜紀が根元に舌をやる。そして、亜紀が亀頭にやって来たなら、そのたびに入れ替わりで、稜子は再び根元をくすぐる。
     やがて稜子は竿をしっかりと奥まで咥えた。
    「あじゅっ、じゅぅ……ずじゅぅ――ずっ――ずっ――」
     人に任せきりにならないで、ここは自分がと、稜子は積極的に頭を動かす。喉が塞がるまで咥えるのは辛いので、もう少し手前に留めているが、できる限りはたっぷり飲み込み、口腔に出し入れしていた。
     手持ち無沙汰になった亜紀の手は、睾丸へ伸びていき、揉むような刺激を与える。
    「はぢゅっ、ずぅ……ずぅぅ……じゅりゅっ、ちゅずぅぅ……」
    「稜子」
    「交代ね」
     入れ替わり、亜紀の口内に肉棒は出入りした。
     他にすることがない稜子も、亜紀がそうしていたように、睾丸に手を伸ばす。指先で弄び、亜紀のフェラチオを何気なく眺めていた。
    「ずずぅぅぅ……ずぅ……ずぅぅぅ…………」
     口内に出入りして、見え隠れする肉竿は、表面にべったりと唾液をまとわせている。ねっとりとしたコーティングの、ヌラヌラとした光沢は、肉棒をとても淫靡に見せていた。
     武巳にも、こういうことをしたら悦ぶだろうか。
     稜子はまだ自分の気持ちを口にしていない。武巳も稜子の気持ちに気づいてはいない。
     この気持ちに気づいた時にはいつの間にやら親友のような状態になっていたし、今のところは事あるごとに一緒にいる、現在の関係に満足していた。正直告白することで、この関係を壊すのも怖い。
     ただ、しかし、付き合うことになったとしたら、性的なことは付きものだ。
     セックスをするようになり、そうしたらフェラチオも頼まれるだろうか。その頃には体を許しているわけだから、そんな未来があったなら、頼まれればするかもしれない。
     そう思うと、初めてしてあげる相手は、やはり武巳がよかった。
    「ではそろそろ結合を致しましょう」
     いよいよ、その時が迫った。
     稜子と亜紀は並んで寝かされ、木茂井は右手で稜子を、左手で亜紀を撫で回す。あからさまに揉みくらべ、どちらの胸が優れているか、手で品定めを行っている。乳首をつまみ、引っ張ってみる遊びもされ、アソコにも手は伸びた。
    「おチンチン」
     その瞬間だった。
    
     ――キュッ、
    
     と、下腹部が熱を帯びて引き締まる。
     亜紀も反射的に身じろぎして、切ない反応を示していた。
     これは『光栄なこと』なのだ。
     経験豊富な大人に手ほどきをしてもらい、女の子にとっては大切な、けれど痛みを伴う処女の性交を済ませてしまう。今のうちにしておけば、恋人との甘い体験では、初めから快楽を得られるはずだ。
    「さて、どちらからにしましょうか」
     木茂井は嬉しそうに楽しそうに、幸福に満ちた顔で迷いあぐねる。
    「足を開いて頂けますか」
     二人揃ってのM字開脚で、もうアソコは隠せない。何なら、尻の穴まで覗き込んでくる木茂井を前に、羞恥に染まった赤い顔で、稜子はワレメをなぞられる刺激に苦悶する。どちらの穴を先に使うか決めるため、じっくりと愛撫して、指もピストンしてくる快感に、稜子の膣は濃密な愛液を流していた。
     そして、稜子のアソコに取りかかったその次は、亜紀のアソコに移っていき、どんな風に感じているのか、すぐ隣からの空気で伝わる。身悶えする亜紀の、柔らかい肩肉の肌が、かすかにこすれてくる。
    
     くちゅっ、ちゅくぅ――ちゅっ、くちゅん――――。
    
     音さえ聞けば、挿入された指がゆったりと、軽やかに、何よりもねっとりと出入りしていることがわかった。亜紀はその快感にやられ、荒っぽい息を吐き、目を細め、実に気持ちよさそうによがっていた。
     どちらから先に入れるのだろう。
     自分達に恥ずかしいポーズを取らせ、時間をかけて悩む木茂井の前で、まるで商品棚に陳列された商品の気分になった。自由に手に取って、確かめて、気に入ったものを購入する。商品でしかない扱いに、なのに下腹部は熱くなる。
    「決めた。稜子ちゃんからにしましょうか」
    「わ、私……?」
     来るべき瞬間が、ついにすぐそこまで迫る。木茂井はコンドームの装着を開始して、いかにも下品にヨダレを垂らして覆い被さる。唾液が稜子の顔に滴り落ちて、アソコのワレメには亀頭がぷにりと当たっている。
     私、するんだ……。
     ワレメを広げ、肉棒が侵入して来ようとする気配に、稜子の脳裏には壮絶なまでに武巳との思い出が押し寄せてきた。まだ恋愛感情のなかった頃、初めて交わした会話。同じ文芸部に入り、だんだんと仲良くなっていく日々の、特別ではないが楽しい時間。一緒に魔王様を持ち上げて、その凄さを語り合った時間。
     本当に悪いことをしているんだ。好きな人がいるのに、そうでない男の人とするんだ。いけないことをしてしまうんだ。
     罪悪感が膨らむ中で、稜子の処女は散らされていた。
    
     ずにゅぅぅぅぅぅぅぅ――――――。
    
     と、肉棒が根元まで収まって、陰毛のもじゃもじゃとした感触が、稜子の股に密着している。お前の処女を奪ってやったと、得意げに勝ち誇る笑顔が、数センチもない目の前にあり、ポタポタとヨダレが垂れて来る。
     木茂井はすぐに動き始めた。
    「あっ、あん! あん! あん!」
    「気持ちいいでしょう? 初めてなのに痛くないでしょう?」
    「はぁっ、あ! はいぃ……! 気持ちいいッッ、ですぅ……!」
    「ほら! ほらほら! いくらでも感じていいのですよ!」
    「はい! あっ! あん! あぁぁ! あっ、あん! あふっ、あ! あん! んん!」
     稜子の頭は、脳は嵐に晒されていた。吹きすさぶ快感に飲み込まれ、前も見えないほどの刺激に翻弄されて、夢中で喘ぎ散らしていた。
     どうして意味がないのか、ここまで気持ちいいわけは何なのか、稜子には何もわからない。
    「あぁぁぁ! あぁ! あぁぁ!」
    「稜子っ、あんたそんなに…………」
     そこまで快感なのかという亜紀の驚きも、稜子には気にかける余裕がない。気づきさえしていない。頭は快楽漬けに、耳も自分自身の喘ぎ声に遮られ、亜紀の声が聞こえる余地さえないのだった。
     激しさの中で、やっとのことで肉棒が抜かれても、稜子は余韻に浸って放心していた。
    「さあ、次は亜紀ちゃんですよ」
    「あぁぁ……! あっ、あぅ…………!」
     今度は亜紀に挿入している。
     薄ぼんやりとした目で窺うと、木茂井は亜紀に覆い被さり、活発に腰を振っている。尻が激しく持ち上がり、そして大胆に貫いている。自分もあんな風にされていて、今の亜紀ほど喘いでいたのだと、ようやく悟り始めていた。
    「あぁあ! あっ、あっ、あん! あん! あぁあん! あん!」
     淫らな声を上げている。
     普段の亜紀なら決して上げない声だ。
     両足がビクビクと跳ね上がり、両手がシーツを掴んでよがっている。髪を大胆に振り乱し、汗で頬に貼りつきもした。
    「あぁぁぁ! あっ、ああ! あ! あん! あん!」
     先ほどまでの稜子と同じはずだ。
     もう頭が快楽の嵐の中で、何かを考える余裕はない。気持ちいい刺激を与えられ、肉体がそれに反応する。それだけが全てになって、欠片の考え事もできはしないのだ。
     済まされた頃には、二人でぐったりと伸び切っていた。
     起き上がる気力もなく、カメラフラッシュの閃光に気づいても、何かを言い出す余力はどこにもない。木茂井が二人のあいだに入り、二人を両手に抱くようにして寝そべると、稜子も横から木茂井に抱きつき、亜紀も同じく胸板をさすっていた。
    「とんだハーレムですね」
     などと言っていたが、その手を肉棒に伸ばし、名残惜しむかのように慰めていた。
    
         3
    
     これは『機関』が行う催眠技術向上のための実験だった。
     物語の感染によって起こる怪異だが、催眠による予防策や治療方法なども、当然のように研究され、メンバーは基本的に親和性が非活性になるよう処理を施している。現状に飽き足らず、まだまだ、これからいくらでも研究や成果を蓄積するつもりでいる機関の、そのエージェンととして、言ってみれば木茂井は、仕事をしながら甘い汁も同時に吸える立場にいた。
     今日の実験場所、羽間市内ホテルの一室。
     全裸で立ち並ぶ二人の目に、およそ光というものがない。どこか虚ろで、魂が抜けてしまった表情は、生きた人形と呼ぶに相応しい状態だ。
     試しに亜紀の胸を揉んでやるが、顔がかすかに赤らむものの反応しない。
     ただし、顔を近づけると、亜紀もそれに応じて首をくいっと上に向け、キスに応じて唇を差しだして来る。そっと重ね合わせると、亜紀は木茂井の頭に手を伸ばし、後頭部の髪を掴んで引き寄せて、向こうの方から舌をねじ込んで来る勢いだ。
     肩を軽く押せば、それがスイッチとなって引いていく。
    「亜紀ちゃん」
    「……………………はい」
    「稜子ちゃん」
    「……………………はい」
     今度は名前を呼ぶだけで、二人して木茂井の足下に膝をつき、ダブルフェラによる奉仕を始めていた。
    「んれろっ、ちゅぅぅ――」
    「じゅむぅぅ――ずりゅぅぅ――」
     亜紀が先に亀頭を頬張り、肉の矢尻を唇に出入りさせている。稜子が根元から竿にかけてをペロペロと、ネロネロと、舌で唾液を塗りつけている。言わずとも数分すれば交代して、今度は稜子が亀頭を飲み込んだ。
    「どうかな。二人とも」
    「はい。おチンチン、とても美味しいです」
    「はい。おチンチン、とても美味しいです」
     全く同じ台詞が、二人の口から無機質に流れて来る。
    「ここいらで、セックスしましょうか」
    「はい」
    「はい」
    「四つん這いになってね」
    「はい」
    「はい」
     二人はベッドの上で両手を突き、無防備な尻がそこに並んだ。どちらの尻も可愛らしい丸っこさで、まずは試しに稜子の尻から、手の平をぺたりと乗せてみる。張りの良い肉の柔らラカサが手に伝わり、木茂井は思う存分に撫で回した。
     お次は亜紀の尻も撫で回し、おもむろに指で割れ目を開いてみる。肛門の皺が左右に伸びて広がって、今は人形のような状態だからまだいいが、正気のままこんなところを視姦されたら、プライドの高そうな亜紀は一体どんな顔をするものか。
     処女を貰う際は、先に稜子に挿入した。
     今回は亜紀の方から頂いて、遠慮無く結合するなり、腰を尻にぶつけてやる。くびれを両手で掴みつつ、弓なりに腰を引き、ピストン運動を開始した。
    「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ……」
     喘ぎ声はどこか機械的で心がない。
     しかし、膣肉はキュッキュッと、脈打ちのように蠢いて、丁度良く肉棒を締め付ける。コンドームを介した快感を味わいつつ、パンパンと音が鳴るほど激しくすると、腰をぶつけた勢いで、亜紀の身体は前後に揺れた。
    「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
     喘ぎ声も激しくなるが、録音した音声を延々と再生しているような、何らの感情も感じられない無機質な喘ぎでもある。
     とはいえ、ひとしきり楽しんで、今度は稜子に挿入した。
    「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
     稜子も同じ、機械的な喘ぎ声。
     パン! パン! パン! パン! パン! パン! パン! パン――活発に腰を揺さぶりつけ、おもむろに尻まで叩く。振り上げた手の平で、ペチンと赤みを与えてやると、稜子はヒクヒクと下腹部を力ませていた。
    
     ドクン! ドクッ、ドクゥゥゥ――。
    
     この辺りで、一旦射精しておく。
     すぐに新しいコンドームに取り替えて、木茂井は亜紀との正常位に取りかかった。脚を開いた亜紀の上へと、身体を重ねていき、根元まで結合しきった肉棒は、亜紀の体温を存分に感じ取る。
    「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ……」
     単調な喘ぎ声。
     そろそろ、切り替えていこうと思った木茂井は、おもむろにパチンと指を鳴らした。
     その瞬間だった。
    「え? あれ? き、木茂井さん!?」
     急に夢から覚めたようにして、自分が今まさに性交最中であることに、初めて気づいた様子の亜紀は、らしからぬ慌てた表情で瞳を揺らした。
    「やあ、亜紀ちゃん」
    「どういうことですか! これは!」
    「そ、そうですよ! なんで私達、いつの間に!」
     稜子も自我を取り戻し、慌てた声を上げていた。
    「ああ、君達に奉仕のお願いをしただけですよ? お二人が私とのセックスに応じるのは当然のことですからねぇ?」
    「確かにそうですけど……」
     何の疑問もなく、亜紀はそれを確かにそうだと思っている。
    「というわけで、続けるからね」
    「ちょっ、あぁ……! あっ、あぁ――くふぅっ、ふっ、んんぅ…………!」
     悶絶のような表情を浮かべ、額が汗ばむ亜紀の乱れた顔を楽しんで、木茂井はせっせと腰を振る。
     そのうち、体位を変えた。
     対面座位の、胡座をかいた上に座ってもらう形を取り、後ろには稜子に密着してもらう。胸板にも背中にも、柔らかい乳房が潰れてきて、これほど心地よいサンドイッチはない。
    「またとんだハーレムを……」
     皮肉をこぼす亜紀は、木茂井にディープキスを行った。ヨダレをたっぷりと含めた唇で、舌を絡め合う水音を立て合って、それでいて上手いこと、キスをしながら上下に弾む。
    「――んじゅっ、ずっ、ちゅぅ――んっ、んあ! あ! あ! あ!」
     しかし、しだいに股の快感に夢中になり、キスよりも腰を動かすばかりとなり、亜紀はそのままイこうとしていた。
     高ぶる快感を弾けさせれば、自分がどうなってしまうかを知っているように、亜紀はそれを求めて一心不乱になっている。
    「あ! あぁ! あぁん! あん! あん! ああん! あう! あうっ、ん、あん!」
     やがて、その瞬間は来た。
    
     亜紀は全身をビクビクと痙攣させ、大きく背中を仰け反らせ、爽快なまでの絶頂ぶりを披露していた。
    
     イった疲弊感にぐったりと、打って変わって急に動く気力を失う亜紀は、ぼんやりとした眼差しを浮かべていた。
    「はぁ……はぁ…………人の乱れた姿を見て、ご満足ですか…………?」
    「もちろん。しかし、お疲れのようで、前後交代致しましょうか」
    「はいはい。次は任せたよ。稜子」
    「う、うん!」
     亜紀は気怠い顔で立ち上がり、稜子も木茂井の正面に回り込み、二人の前後は入れ替わった。「さあ、稜子ちゃん」
    「はい……っしょ、と……」
     木茂井の肉棒に跨がって、自ら腰を沈める稜子は、挿入感を味わうにつれて何かを感じた引き締まった表情に移り変わった。
    「動きますね?」
    「はい、お願いします」
    「――ちゅっ、ちゅむ、れろれろ」
     最初は稜子も、木茂井の唇を貪った。それがマナーのように、腰を動かすと同時にキスもこなすことに挑戦して、稜子は木茂井の口を頬張らんばかりにする。舌を伸ばし、木茂井からも舌を出せば、ヌルヌルと絡み合った。
    「稜子……」
     背中には亜紀の乳房がある。しっかりとくっついて、密着を保っている。
    「あぁっ、んっ、んぅ……!」
     上下に弾むにつれ、稜子もアソコの快感の方に心を奪われ、キスへの集中力をしだいしだいに失っていく。
    「ちゅぶっ、じゅるりゅぅ……」
     それでも、最初はキスをサボらないように気をつけていた。
     だが、それが一分、二分と続くにつれ、おろそかになり、とうとうキスよりも腰の運動だけに意識を取られてしまっていた。
    「んぁぁ――! あぁっ、あぁ……! あん! あぁん! あふっ、あぁぁ……!」
     乱れきった喘ぎ声を掃き始めた。
    「あぁ! いいっ! いぁ! あん! あん!」
    「そうそう。好きなだけ求めていいんですよ? 稜子ちゃん?」
    「はいぃぃ……! んっ、ふぁ……!」
     締め付けの良い優れた肉が、ただひたすらにピストン運動を繰り返す。射精感を引きずり出し、肉棒が根元から震えて来るに、稜子の肉体も高ぶっていた。
    
    「あぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁ……………………!!」
    
     ――ドクゥゥ! ドクっ、ビュクン!
    
     木茂井と稜子は同時にイった。
     自分の力で肉棒を抜く余裕もなく、結合を保ったままにくたりとする稜子は、肩で大きく息をしていた。
    「亜紀ちゃん。君と稜子ちゃんの立場はわかりますか?」
    「性奴隷だっていうんでしょう? わかってますから」
    「よろしい。稜子ちゃんもいいですね?」
    「……はい」
     二人は完全に掌握した。
     木茂井がコンドームを取り外し、仰向けになって、精液濡れの肉棒を天に向けると、亜紀も稜子も卑猥な塔に顔を近づけ、ペロペロと掃除を始めていた。    
    
    
    


     
     
     


  • 栞子の乳房検診

    
    
    
     俺は思わず目を奪われた。
     篠川栞子。
     なんて綺麗な人なのだろう。
     学生時代から医学を学び、晴れて患者の診察を受け持つようになった俺は、まだまだ経験が足りないために女性の胸というものを見慣れていない。場数を踏んだ医師ならもっと見慣れているものなので、美人だろうと何とも思わずに診察に臨めるものなのだが、俺の場合はまだ完全には欲情めいた気持ちを封印できない。
     もちろん診察に支障が出るほど興奮したり、我を忘れて揉みしだくような真似は決してしないが、栞子ほどの美人では見惚れてしまう。
     黒髪の長髪。ブラウスの上からでもわかる大きな胸。
     うむ、衣服を内側から膨らませるような、こんなパンパンの巨乳をしていれば、男なら大なり小なり目を奪われるのが普通のはず。
     とにかく、冷静に診察をしなくては……。
    「あ、あの……。よろしくお願いします」
     なかなか気の小さい人らしい。
    「どうも、篠川さん。さっそく問診から初めていきましょう」
    「……はい」
    「妊娠や出産のご経験は」
    「ありません」
     栞子は顔を赤らめて、恥ずかしそうな細い声でそう答える。
    「性交経験は無いということですね」
    「…………はい」
     さらに恥ずかしそうにして、小さな小さな声で頷く。
     ふむ、処女か。
     なんとも初々しいというべきか。ちょっとした質問くらいで、ここまでモジモジする女性なんていうのは滅多にいない。
     というのも、乳がん検診に来るのは三十代や四十代の女性が多い。歳がいっていればいっているほど、既に経験があって見せ慣れている可能性は高まるし、診察を受けた場数のおかげで割りに冷静に服を脱ぐ。
     しかし、二十代でも症例がないわけではない。
     彼女は健康を思って来たのだろう。
     俺はさらに生理周期や病歴、家族暦といった必要な質問を行って、それらの回答について問診表にチェックを入れる。生理や月経について答えるときは、やはり恥じらいっぽく赤らんで、どうにも可愛らしかった。
    「では視診触診の方に移りますので、服の方をお願いします」
    「……はい」
     既に耳まで染まっている。脱ぐ前からこんなに赤くて、この人は乳房の視触診に耐え切れるのだろうか。
     栞子は衝立の裏へ移動し、まずは上から脱ぎ始める。
     衣擦れの音から、俺は想像した。
     裾の内側へ腕を引っ込めた栞子は、中から上へ持ち上げる形で一枚脱ぎ、軽く折りたたんだブラウスを脱衣カゴの中へそっと置く。男性医である俺の存在を気にしつつ、羞恥に染まった表情で背中へと手をまわし、ブラジャーのホックを外すのだ。
     ブラジャーが落ちないように、胸を隠すかのように、片腕で胸元を支えた栞子は、左右の肩紐を一本ずつ順番に下げていく。
     隙間から引き抜く形でブラジャーを取った栞子は、両腕でしっかりと胸をガードしながら、すっかり肩の縮んだ赤面姿で衝立の裏から姿を見せた。
    「……脱ぎました」
     椅子に座った栞子は、モジモジしながら両腕を横に下ろす。
     すごく、良い胸だ。
     ただ大きいだけでなく、綺麗な丸みのカーブを成して、美乳といえる形状なのだ。乳輪も決して大きすぎることがなく、小さすぎるわけでもない。
     こんな凄いおっぱいを観察できるなんて……。
     いや、あくまでも診察だ。医師というのは信頼が大切な職業なので、患者に疑われるようなことはあってはならない。
    「ではじっとしていて下さいね」
     俺はそーっと顔を近づけ、視診を開始した。肌質から皮膚疾患の有無を確かめつつ、表面におかしな凹凸がないかもじーっと見ていく。
    
     じぃぃぃぃ……。
    
     と、必然的に視線を注ぎ込む形となる。
     栞子は静かにじっとしているものの、顔が明らかに言っていた。
     ――は、恥ずかしいです……。
     大人しい彼女なら、控えめに小さな声で言うかもしれない。
    「同時に触診も行っていきます」
     断りを入れてから、俺は栞子の乳房に触れた。下から持ち上げるような形で指先に乗せ、手に重量を感じ取る。
     やっぱり、凄くいい胸だ。
     俺は鷲掴みにして指を沈め、しこりや異常な張りがないかを探り始める。診察目的のマニュアルに則した揉み方で、あくまで医療行為の範囲を外れないように務めた。
     いや、しかし――。
     少しは長めに触っていたい。
     ふと顔を見ると、栞子の頬は恥じらいで上気していた。
    「少しかかりますので、ご辛抱下さい」
    「は、はい。大丈夫です」
     俺はさらに探りを入れ、しこりの有無を確認すると同時に、揉み心地に関しても手に覚えこませていた。もっちりと張り付くようでいて、ふんわりともしている優しい質感が、柔らかな弾力で沈めた指をそっと押し返す。
    
     モミ、モミ、モミ、モミ、モミ、モミ――。
    
     じっくり揉み込む。
     顔にはいやらしさを出さず、真剣さを装い続けた。
    
     モミ、モミ、モミ、モミ、モミ、モミ――。
    
     とても心地良い。
     いつまで揉んでいられるだろう。
     長くやりすぎれば当然まずいが、もう少し揉んでいたい欲求もある。
     あと三十秒。
    
     モミ、モミ、モミ、モミ、モミ、モミ――。
    
     俺は普通の患者を揉むより長く、この手に栞子の乳房を味わった。
    
    
    


     
     
     


  • ドーター調整セックス グリペン

    
    
    
     激しく息が乱れていた。
     お互いの呼吸が絡み合い、緊張と興奮によって上がった心拍数が、何故だか同じリズムを刻んでいるような錯覚に囚われる。
    「へ、平気か? グリペン」
    「慧こそ、凄い汗。垂れてくる」
     気づけば髪の先から雫が落ちて、それがグリペンの頬にかかっていた。これじゃあ、真夏の炎天下にいるくらいには、肉体が水分を失っていそうである。
    「ごめん。興奮しすぎてるかな」
    「構わない。わたしも興奮してる」
    「そ、そうなのか?」
    「うん。慧と繋がってるから」
     仏頂面のようでいて、よく見ればグリペンも紅潮している。顔がしっとりと汗ばんで、頬に触れれば潤いが指に伝わる。薄い桃色の髪を持ち上げて、それから首の筋に触れていく。指先で表面だけを撫でていき、つーっ、と、鎖骨に沿って、その下にある膨らみに五指を全て絡ませた。
     鳴海慧とグリペンは裸でいた。
     しかも、ベッドにグリペンを押し倒し、挿入までしてしまっている慧は、今にも暴発しそうな肉棒で、膣の熱と触感を味わっている。
     根本まで差し込んだ肉棒は、まだ一度も動かしていない。
     大きく開かれた灰色の瞳に吸い込まれ、心奪われてしまった慧は、情熱的な愛を注がんばかりに熱のこもった眼差しを向けていた。
     アニマはザイで出来ている。
     ザイからコアを取り出し、それを脊髄の一部として培養・生育したものだと、前に真相を知って驚愕したが、こうしていると普通の人間の少女だとしか思えない。こんなにも温かくて、根本から締め上げて来る快感があるなんて、グリペンが戦闘機だというのをつい忘れそうになってしまう。
    「動くぞ? グリペン」
    「うん。動いて」
     慧はやっと動き出し、まだ未熟なピストンによってナカを貫く。
    「んあっ」
     グリペンが喘いでいた。
     挿入の気持ち良さだけでも、頭がどうにかなりそうだというのに、自分がグリペンをよがらせているだなんて思ったら、ますます肉棒が滾ってくる。
    「グリペンっ、グリペン……!」
     溢れんばかりのエネルギーを一心不乱にぶつけて掻き回し、いとも簡単に射精感が引きずり出される。
    「あっ、あ! あん! あん! あっ、あうっ、あふっ、んっ、あん!」
     グリペンの全身がくねくね動く。人形のように整った顔が左右によがり、ベッドシーツに髪を振り散らかす。弓なりに腰が弾んで、控え目な乳房は上下にプルプル揺れていた。
     よがる両手が何かを求め、シーツを鷲掴みにして握り締める。
     慧はグリペンの肩に触れ、たどっていくように二の腕を揉み、肘に触れ、だんだんと手首に迫って手に触れる。グリペンの手が、待っていたように慧の手を握り締め、慧の方からも握り返してキスをする。
     唇を重ねた瞬間から、グリペンの舌が慧の口内目掛けて飛び出した。
     お互いの存在を激しく求め合う貪り合いで、舌の唾液が混じり合い、何度も何度も糸が引いてはぷつりと千切れ、まだまだ足りずにまた頬張る。
     駄目だ! 幸せすぎる!
     グリペン! グリペン!
     彼女がいなければ生きていけない勢いで、無意識のうちに慧はピストンを速めていく。
    「あっ、あ! けい! 慧っ、あん! あぁん! あっ、あああっ、あん!」
     肉棒の根本が激突するたび、慧の陰毛にはグリペンの愛液が付着していく。べったりとした粘液で毛先が固まり、毛穴まで愛液で濡れるほどにピストンは激しくなる。慧が起こした嵐の中に、グリペンを晒しているようなものだった。
    「くっ、出る! 出る!」
     射精感が限界を迎え、出すしかなくなった慧は、もう根本まで埋め込んでいるにも関わらず、まだ深い部分に届かせようとしているように、強く強く腰を押し当て、グリペンのもっとも深いところに白濁を解き放つ。
    「来てる! 慧の精液!」
    「グリペンっ!」
    「慧……ッ!」
     激しい求め合いだった。
     グリペンの中に自分の証を植え付けようと、必死なまでになる慧に、グリペンも全力を出し切る気持ちで精子を受け取る。
     ビクビクと肉棒を震わせて、全てを出し切った慧は、ぶっつりと電源が切れたように、ぐったりとグリペンの上に折り重なる。
    「慧。気持ち良かった?」
     グリペンは慧の背中に手を回し、強く抱き締めていた。
    「ああ、すっごく」
     心からの感謝の気持ちで、慧の胸中は溢れかえっていた。
    「慧が気持ち良かったなら、わたしも嬉しい」
    「ありがとな。グリペン」
    「慧のおチンチンはまだ大きい。慧はまだシたがっている」
    「……かも」
    「わたしは何回でもいい。慧、遠慮なく来て欲しい」
    「本当に遠慮しないぞ?」
    「そうして欲しい。何度でもシたい」
     誘う瞳に飲み込まれ、慧は再び挿入する。
     そして、何度も射精して、中も外も精液で汚しきる。やっとの終わりを迎える頃には、グリペンの肢体は白濁にまみれていた。
    
         *****
    
    「グリペンと性交渉をして欲しい」
     いつしか八代通に言われ、唐突すぎて噴き出した。
    「は!? なに言ってるんですか!」
    「いや、すまん。驚くのはわかっている。その反応もわかる。わかるんだが、すまないが俺も本気で言っている」
     以前、グリペンが好調な理由がわかったと言われた時は、脳波グラフをプリントしたものを見せられた。グリペンの脳波は慧の脳波を受けて安定する。同調とでもいうべきか、十メートル圏内に慧がいれば波形の合成が始まり、安定するのだと説明された。
     だったら、身体の接触でより活性化する?
     なんてことを、当然思いはしたのだったが、なにもまさか、本当に性交渉が有効だという説を打ち立てることはないだろう。
    「その、性交渉? そんなこと急に言われても、っていうかいいんですか!?  そんな親が娘を差し出すみたいな!」
    「正直言うと、どうしても興味がある。身体の接触でどこまで活性化するか。セックスを行った前後でどのような変化が観測できるか」
     技術者としての興味を膨らませ、慧とグリペンが性交した場合のデータを意地でも欲しがる八代通の熱い説得に、思わず頷きかけもした。が、さすがの内容に踏み止まる。これをすんなり受け入れるのは、人としてどうなのか。己の欲望に正直になってばかりはいられなかった。
    「幸い、グリペンの君への好意は強い。だからセックスなんて大したことない」
    「大したことありますよね!?」
    「だがこれは命令だ」
    「命令っ!?」
    「とにかく頼む。セックスをして欲しい」
    「いや、だからそれはちょっと!」
    「頼む!」
     と、こんな押し問答が全てのきっかけだった。
     さすがにさすがの内容で、だから慧だって意地でもかわそうとしたのだが、最終的には慧をホテルに泊まらせて、そこに全裸のグリペンを送り込む強硬手段まで使われた。
     八代通にどんな知識を吹き込まれてか、セックスしよう、フェラチオしてあげる、手でどうか、などなど。グリペンにまで迫られて、慧の理性が折れる形で、結局は性交渉を行う仲にまで発展してしまった。
     本当に良かったのか? まずかったんじゃ?
     生まれて初めてのセックスをして、感激に震えた後は、罪悪感に苛まれたが、そんな胸中など知らないように、二度目三度目と関係は繰り返された。
     いつしか性交渉は任務のうち。
     さしもの慧も、やがてはいちいち拒んだり、正論や理性めいたことを唱えようとすることはなくなっていた。
    
         *****
    
     そして、これは八代通が慧に裸のグリペンをけしかけ、意地でも肉体関係を持たせようと画策していた頃の出来事だ。
    
    「いいかポンコツ娘。これからセックスを学んでもらう」
    
     かなりの肥満体がそこにいた。
     首の太い、醜悪ですらある外見の、八代通遥という男は、ホテルの一室を借りたソファに座り、丸裸で勃起した一物をそそり立てている。
    「セックス。セックスというのは、何をすること?」
     不思議そうに見上げるグリペンは、同じ丸裸の格好で、床の上に正座している。これから学び教える関係の、生徒と教師といったところか。グリペンの人格矯正プログラムには、性交渉の中で行う奉仕や挿入の知識がなく、だから直々に教え込むというわけだ。
    「ま、ひとまずだ。それは人間同士で子供を作るために行う。人間の男はな、性器に快感を与えると、白いオシッコを出す。精液といって、その中には精子というものが含まれる。精子が女の子宮に入り、卵子っていうものと結びつくことで女は妊娠する」
    「わたしと慧で、子作り?」
    「ところが、そういうわけじゃない。子供を作る以外にも、単純に快楽を求めてセックスをすることがある。セックスは気持ちいいものだ。だから人間なら誰でもしたがる。子供が出来ないように、避妊道具を使ってやるわけだな」
     こうして八代通はセックスにまつわる知恵を語って、ピルやコンドームの存在についても教えていく。どうして避妊が大切で、子供が出来ればどういう責任が付きまとうのか。セックスとは膣に男性器を挿入することを言うものの、他にもフェラチオや手コキといったプレイが存在するなど、性に絡んだ知識なら何でも語った。
    「で、問題なのは慧だ。慧とお前にセックスをさせたいが、肝心の慧が拒否している」
    「慧はわたしが嫌?」
    「そうじゃない。これは人としての道徳の問題だな。それについても教えるが、今は後回しだ。とにかく慧はセックスを拒否していて、なんとかその気にさせる必要がある。裸で迫るだけでも十分に効果はあるかもしれないが、実践経験を積んだ方が、より確実になるんじゃないかと思うわけだな」
    「つまり、わたしとハルカがするのは練習のようなもの」
    「そうだ。ひとまず手コキをやってみてくれ」
    「わかった」
     ミルク色の五指が、肉棒へと絡みつく。
     ほとんど勉強のつもりでいるグリペンは、慧とのセックスに備えた練習として、生まれて初めての手コキに挑戦した。
     右手で上下にしごいていき、快感に浸る八代通の表情をグリペンは静かに見上げる。
    「気持ちいい?」
    「ああ、とってもいい」
     問いかけて、満足そうな声が返って来ると、グリペンも納得したように手コキを続けた。
     こんなにも硬いものかと感心しながら、熱気と脈打ちを手の平に感じ取る。漂う牡臭が鼻孔に流れ込み、ペニスの匂いを意識しつつも、グリペンは好奇心から、空いていた左手で亀頭に触れて、鈴口を指腹で撫でては可愛がる。
    
     しゅり、しゅり、しゅり……。
    
     竿をしごく摩擦の音が、実に静かに響いていた。
    「透明なのが出てる」
     それを見て、グリペンは不思議そうに汁を眺める。
    「先走り汁。カウパー。呼び方は色々あるが、それも性的な快感によって出て来るものだ。白くはないが、一応精子が含まれていて、女性器の中に入れば妊娠の可能性はある。ちゃんとした白い精液の方が確率は高いがな」
    「ほう」
     グリペンはカウパーに触れてみて、それが指のあいだで糸を引くのを、珍しい昆虫でも見ているように観察する。手コキによってもう少しだけこし出されることに気づいて、やや握力を込めて搾り出し、左手の五指に絡め取って弄ぶ。
    「そろそろフェラチオをやってくれ」
    「了解した」
     グリペンはさっそく頬張り、その長さが口内に収まるだけを呑み込んだ。試しに前後に動いてみると、その太さにすぐに苦しげな顔をして、ぺっ、と吐き出さんばかりに頭を後ろに引っ込めていた。
    「太い、苦しい、息苦しい」
    「三拍子っぽく言っても、苦しいと息苦しいは割と意味が被ってるぞ」
    「とにかく、苦しい」
    「あーあー。フェラもまともにできないポンコツ娘か」
     あからさまに煽るなり、グリペンは仏頂面で八代通を睨む。
    「そんなことはない」
    「だったらやってみろ」
    「やる」
     ムキになって肉棒を頬張ると、口が塞がる多少の苦しさは構いもせず、八代通を見返すために努めて顔を前後する。小さな口に収めるには、確かに辛そうなほどに肉棒は太く、大きく顎を開いた唇は、リング状に限界まで伸びきっている。
    「んずっ、ずっ、じゅりゅっ、んっ、んぐっ、むぐっ……んっ、ぐぅ……」
     男の皮膚の味が、熱気と共にグリペンの舌に染み込む。
     鼻でしか息が出来ないグリペンは、きちんとやってみせていることを目で訴え、どうだとばかりの瞳を八代通に突き刺している。
    「いい子だ。気持ちいいぞ?」
     八代通は努力を認め、その手で頭を撫でてやる。
    「フェラチオしたら、ハルカは喜ぶ?」
    「ああ、喜ぶとも」
    「慧も喜ぶ?」
    「必ず喜ぶさ」
    「じゃあ、もっとフェラチオする。頑張る」
     感じてもらえていることの喜びに、奉仕への意欲を増して、グリペンはさらに活発な動きで刺激を与える。
    「ふじゅっ、むじゅ――じゅっ、ぢゅぅ――ちゅりゅっ、むじゅぅぅ――」
     つたないなりの、テクニックの高い女さえ知っていれば、いかにも素人とわかるグリペンのフェラチオは、しかし大いに気持ちが込められている。八代通が気持ち良くなりますようにと、願いの宿った口奉仕に、肉棒がビクビクと震えて歓喜していた。
    「グリペン。これから射精する」
    「精液が出る?」
     尋ねるために口を離したグリペンは、聞くなりすぐに咥え直して、そのまま奉仕を続けていった。
    「ああ、白いものが出る。それを口の中で受け止めて欲しい」
    「つずっ、じゅっ、ずずぅ――ずじゅぅ――じゅっ、じゅむっ、はじゅぅ――」
     グリペンは頷きを返して奉仕に励み、これから口内に射精がされるのだと、心の準備を固めていく。精液を迎えるために唇を締め付けて、より快感を与えようと舌を奮い、懸命に舐め込みながら頭を前後に振り込んだ。
    
     ――ビュクン!
    
     肉棒が震え、第一射が放たれる。
    「!」
     グリペンは灰色の瞳を大きく丸め、こぼさないようにすぐに顔を前に出す。喉の奥に亀頭がぶつかり、そこでさらに肉棒はビクビクと震えて白濁を吐き出した。
    
     ――ドクン! ドク、ビュク! ドックン!
    
     グリペンの中に撃ち出される精液が、ヨダレの混ざった白濁の水溜まりとなって、口内に溜まっていく。
    「手の平に出してみろ」
    「ぺっ」
     グリペンは両手の上に吐き出して、初めて精液を目の当たりにした。
    「白いだろう?」
    「うん。白い」
     自分の手の中に広がるそれを、グリペンはまじまじ見つめ、舌に残った青っぽい味のことも口内で意識した。
    「これが精液だ。男にとって、射精ってのは気持ち良くて嬉しいことだ。オナニーといって、自分の手でしごいて出す方法もあるが、女の子に射精させてもらった方がもっと気持ちいい」
    「ハルカは気持ち良くて嬉しくなった」
    「そうだ。それに、男は女の子に向かって精液を出したいと思う生き物だ。顔や体にかけたり、口に出して飲ませたり、子宮の中に注ぎ込む。まあ、性器の中に出したら妊娠するから、ピルかコンドームのどちらかか、それか両方を使うんだが」
     そう言いながら、八代通はティッシュを手渡す。
    「これはいいの?」
    「とりあえず、拭いて捨てていい」
    「わかった」
     グリペンは手の平の白濁を拭き取って、丸めたティッシュをゴミ箱に投げ込んだ。
    「でだ。これで精液がどんなものか。エッチをするというのが、どういうことかもわかっただろう?」
    「パンツを見せたり、おっぱいを揉ませるだけがエッチじゃない」
    「そうだ。そして、チンコを膣内に挿れることを、エッチの時には『本番』とか『挿入』とか言ったりするんだ」
     こうして、自分は鳴谷慧と何をすればいいのか。どんな奉仕で喜ぶのか。どんな欲望を男は持っているものなのか。体験を通してよく学び、慧の肉棒も気持ち良くしてあげたいと思い始めていた。
    「ハルカ。本番、しよう」
    「本番には体位ってものがある。これも一つずつ教えていくから、よく覚えていくんだぞ?」
     実習によってセックスを学んだグリペンは、八代通によって一通りの体位も体験して、いかに慧を誘惑すればいいかの助言も受けた。
     あとは八代通が慧をホテルに呼び出して、そこで裸のグリペンが迫ればいい。
     そして、その後は作戦成功による肉体関係が待っていた。
    
         *****
    
     自衛隊の寮は基本的に単身者用で、今は昼の只中である。全員勤務中につき宿舎には誰もいない。
     すなわち、女の子の部屋に、男一人で上がることに。
     しかも隣室は留守。
    「い、いいのかな?」
     玄関の前で躊躇うと、グリペンは目をぱちくりさせた。
    「なんで? わたしたちは肉体関係」
    「そうだけどさ」
    「上がる。おもてなし。セックス」
     まいったな。
     グリペンの部屋にはカメラがあり、私生活は監視されている。そのせいか、いちいち一目に頓着せず、初めてここに来た時は、慧の視線も気にせず着替えを始めようとしたものだった。
    「一緒にシャワー。慧、一緒に気持ち良くなろう?」
     そんな風に誘われては、もう断ることなどできなかった。
     慧が上がり込んだというべきか、逆にグリペンが慧を連れ込んだというべきか。どちらにしても、男女一緒にシャワールームへ足を運んで、それを監視カメラで覗いた人間には、慧達がこれから何をするのか筒抜けだろう。
     だから上がるのは躊躇ったのだが、グリペンと交わることの誘惑には勝てなかった。
     お互いに裸になれば、さっそくだ。
    「フェラ? 手コキ? 慧が望むなら、パイズリも頑張る」
     浴場に入ってすぐ、グリペンは何をお召し上がりになりたいかを尋ねて来て、確かにパイズリをやるにはサイズが足りなさそうだと、控え目な膨らみを見て思う。
     どうする?
     ここまで来てしまったからには、監視カメラの存在を気にしても今更だ。それにここまで監視されているわけではない。
     シャワールームであるからには、慧はボディーソープに目をやった。
    「洗いっことか」
    「新井っこもエッチになる?」
    「お互いを触り合うからな」
    「わかった。しよう」
     お互いの手にボディーソープの泡を作って、さっそくのように胸を揉み合う。グリペンの手の平が逞しい胸板に夢中になり、慧は泡の滑りに沿わせて乳房を撫で回す。純白の泡立ちを纏う胸には、単なる裸とは違った味わいに溢れている。
     柔らかな感触を揉み込むと、手の平の中央に、興奮した乳首の突起が突き刺さる。乳輪をぐるぐるとなぞって泡を塗り、乳首を転がしもして弄ぶと、しだいしだいにグリペンの頬は紅潮していき、息遣いも熱気の宿ったはしたないものへと変わっていく。
     グリペンもグリペンで、慧の脇腹や腹筋を、二の腕の筋肉も夢中で触り、いたるところを思うままに撫で回す。
     少しくすぐったい。
     しかし、撫でられていると気持ちいい。
    「おチンチン」
     いつしかグリペンの手は下へと動き、慧の硬い一物をしごきはじめた。
    「大きくなった」
     抱き合うような体勢で、泡を纏った手でのしごきは、普通にする手コキとは違った滑りの良い快感に満ち溢れる。
     二人だけの世界に没入して、お互いの身体で遊び合った。
     慧は乳房と乳首で、グリペンは肉棒で、好きなように弄び、お互いの反応を楽しみ合う。乳首への刺激に反応して、ピクっと肩が弾んだら、グリペンは仕返しのように鈴口を責め立てて、細胞が焼かれるような熱い快感に慧は表情を強張らせた。
    「慧は感じている」
    「……かも」
    「かもではない。感じている」
    「ぐ、グリペンこそっ」
     たまらずに抱き締めて、対面座位の形に導いた。
    「セックス」
     それを挿入のサインと思ってか、グリペンは持ち込んでいたコンドームの袋を破き、慧の肉棒にかけてきた。
    「大丈夫か? いきなり挿れて」
    「平気。慧のせいで濡れた」
    「早いな。まだソコは触ってないぞ」
    「慧がエッチなせい」
    「俺のせい!?」
    「する。繋がる」
     グリペンは自分の身体を持ち上げて、自分から肉棒にアソコを被せる。性器で一つに繋がると、改めて抱き締め合い、慧は尻へと手を回す。もっちりとした白い肌の柔らかさに、ぐにぐにと揉みしだく慧の手が、グリペンの尻肉を変形させる。
    「慧っ、慧と一緒っ」
     喜んではしゃぐように上下する。
    「おっ、おうっ」
    「慧が感じてる、気持ち良さそう、私も気持ちいい」
    「グリペン……!」
     乳房で泡を塗りつけてくるような、密着した身体のヌルヌルとした摩擦まで気持ちいい。背中にまわる両手が、何かを求めんばかりに這い回り、執拗に撫でてくるのも心地いい。慧は白い尻を揉みながら、全身で快楽を味わった。
     しばらく、このままの時間が続いた。
     二人だけの世界に入り込んだし、大袈裟に言ってしまえば、この世界に自分達以外の人間がいることまで忘れた気がする。それほどにのめり込み、心が幸せに飲み込まれ、グリペンとこうしていられることが満足といったらなかった。
    「んー!」
     唐突にグリペンは呻き、ビクビクと全身を震わせた。
    「グリペン、イった?」
    「イった、絶頂。もうこのまま動けない」
    「おい、それじゃあ俺も動けないぞ」
     はち切れそうな勃起のものが、グリペンの中に埋まったままだ。
     といっても、このまま動きたくない気持ちはわかる。いっそ液体にでもなって混じり合い、一つに溶け合ってしまいたい。
    「安心すぎる。動きたくない。離れたら」
    「離れたら」
    「一日会わないだけで慧欠乏症になる」
     自分もそうなりそうだと、慧はグリペンを笑えなかった。この状態から放れたら、一体どれだけ寂しいだろう。一日どころか、今日中にグリペン欠乏症になるのではないか。かといってこの状態を永遠に続けられるわけではない。
    「グリペン。まだいけるか?」
    「うん。何度でも」
    「体位、変えよう」
     ただ離れるのはどうしても寂しくて、体位を変えるだけで性交はまだ続くのだと、慧は自分自身を慰めた。壁に両手を突かせたバックで掻き回し、正常位でキスをしながら快感を貪り尽くし、シャワーを出た後はお互いの体を拭き合った。
     本当に、本当に名残惜しく、この日はグリペンと別れた。
     明日また会えばいいのに、一瞬でも離れていることが寂しい。思わず電話でもかけてしまいそうだ。ふと気づけば、帰った後にグリペンからメールが届き、そこには『慧の声が聞きたい』と書かれていた。
    
         *****
    
     思えば全ては八代通の画策で、二人が肉体関係になるように仕向けた上、活性化した脳波データを手に入れて、さぞかし満足していることだろう。
     手の平で踊ったことで、こういう結果になったことはわかっている。
     それでも、嫌いな女の子が相手であったら、裸で迫られたからって抱いただろうか。理性を保てなかったことは否定できない。だけど、シてしまった後、責任を持って彼女を大切にしようと決心が持てただろうか。
     たぶん、そこまで好きではない、中途半端な好意しかない程度の相手であったら、もっとこう「やっちまった……どうしよう……」と、深刻に頭を悩ませ、今頃はどう謝罪すればいいかでも考えていたのかもしれない。
     俺はグリペンが好きだ。
     ずっと、ずっと一緒にいたい。
    
    
    


     
     
     


  • 廃棄処分の撤回 グリペン

    
    
    
     人形のような少女が裸でいる。
     ミルク色の肌、飴細工めいた唇、華奢な獅子。頬から顎のカーブはわずかな歪みもなく陶器のような質感を放っている。
     だが、何より特徴的なのは髪だ。
     まとめもせず、無造作に流れ落ちた髪は薄い桃色だった。
    「八代通からはなんて言われている?」
    「何をされても抵抗しないこと。どんな言うことでも聞くこと」
    「いい子だ。こっちへおいで――グリペン」
     そこはホテルの一室だった。
     醜悪な中年の元へ歩み寄り、ベッドに上がるグリペンは、どこを隠すこともなく、ぼーっと立ち尽くしているのだった。
    「……来た」
    「座ってくれ」
    「座った」
     入れ替わるようにして、今度は中年がボクサーパンツを脱ぎながら、全裸となってグリペンの前に立ち上がる。
    「……!?」
     肉棒を突き付けると、灰色の瞳を揺らしていた。
    「手コキをしてもらうよ」
    「手コキ?」
    「大丈夫。おじさんが教えてあげるからね。言う通りにしてくれればいいんだ」
    「わかった」
     手始めに根本を握らせ、上下にしごくことを教えてやる。
     仁王立ちをして、自分の元に膝をつかせて受ける奉仕は気分がいい。それも年端もいかない、手を出すべからず年齢にしか見えない外見だ。禁断の果実を食い散らかし、思う存分に穢していることの面白さといったらない。
     巻きつく指の感触と、つたないにもほどがある前後の動きは、技術だけなら他に上手い女がいくらでもいる。刺激としてはほど弱いが、金や権威の立場で経験豊富になるからこそ、いかにも素人なところは逆に新鮮だ。
    「先っぽにキスをしてくれるかな」
     頼んでみれば、グリペンはすぐに顔を近づけて、すぼめた唇を押し当てた。
    「……した」
    「もっといっぱい、何度もして欲しいな」
    「ちゅっ、チュ、ちゅ、チュ――」
     グリペンは顔を前後に動かす機械となりきり、もうやめてもよい許可を出さない限り、延々と亀頭にキスを繰り返す。
     乾いていた先端が、唇の表面にあるわずかなぬかるみに濡らされていく。亀頭の半分が唾液に濡れ、口付けのたびにぬかるみが糸を引き、甘い快感が肉棒の根本から芯の先までせり上がる。キスで塗られた唾液には、とっくにカウパーが混ざり込み、それも一緒に唇で糸を引いているはずだ。
    「?」
     何を物珍しそうに見ているのかと、不思議そうにしている顔と目が合った。
     こうまで何も知らない少女に、自分は教え込んでいるというわけか。
    「フェラチオを教えてあげよう。オジサンの言う通りにおしゃぶりするんだ」
     中年は竿を深く頬張らせ、顔を前後に動かすように教えていく。
    「あむぅぅ……」
     言われた通りの動きをこなし、グリペンは口内で舌を蠢かせ、つたないフェラチオに励み始めた。
     本来、グリペンは廃棄処分が決定していた。
     アニマやドーターの維持には莫大な費用がかかる。実戦では使えない、不安定な試験機にはいつまでも金は出せないとのお達しから、テスト飛行で能力を証明できなければ、グリペンを廃棄とする方針だった。
     そのテスト飛行によって、あえなく廃棄が確定される。
     しかし、何の運命か。
     そんな時に20機にも渡るザイが現れ、廃棄決定のはずのグリペンが、その時になって初めて大きな戦果を挙げた。グリペンの廃棄を望まない八代通は、この結果をダシに決定を覆そうと動いたわけだ。
     お役所というのは動かすのは大変なものだと相場が決まっている。
     一度決まったものを覆すのも簡単ではない。
     自分が声を入れれば、有用な機体の廃棄は立派な損失であるとして、今後もグリペンを運用していく方針を押し通すことが出来るだろう。八代通の意見を受け入れ、覆す力を持つ立場の中年は、だから一つの条件を提示したのだ。
     それが、これだ。
    「ずっ、じゅむぅ……むじゅっ、はじゅっ、ちゅるぅ……」
     太い剛直を含んだ顔が、中年の腰に向かって前後している。その薄い桃色の頭を見ているうちに、射精感が限界まで込み上げていた。
    「これから出すものは、こぼさないように飲み干すんだ」
     グリペンの頭を鷲掴みのように捕らえ、遠慮せずに精を放出させてもらうと、唇の締め付けが強まった。言われた通りに、こぼさないように気を使い、喉を鳴らして飲み込んで、肉棒が口内から解き放たれる。
     先端から白濁の糸が引き、グリペンは自分の精に濡れた唇を撫でる。
    「……これが、フェラチオ」
    「そうだよ。グリペンちゃん」
    「フェラチオは、精液を飲む」
    「飲んだり飲まなかったりする。今回は飲んでもらった」
     飲ませてやったことの充足感に、中年の心が満たされる。
     今度は全身を愛撫でもしてやろうと、仰向けになることを命令して、控え目な乳房を揉みしだく。慣れた手つきで刺激を与え、固くなった乳首を指で転がす。腰のくびれや太ももに手を這わせ、下の毛も薄桃色なのに目をやると、綺麗なワレメにも触り始めた。
    「よく言うことを聞いてくれるね」
     アソコへの愛撫をしていると、指に愛液がまとわりつく。
    「私は室長の言うことを聞いてる。抵抗しない、言われた通りにするって」
    「八代通が好きかい?」
    「ぶっきらぼうだけど時々優しくしてくれる。恩返ししたい」
     健気な言葉を聞きながら、膣の中まで指を入れ、出し入れを始めてみる。熱い肉壁の感触に、根本まで埋めた指が温まる。ピストンを続けるうちにグリペンの息は乱れ、どう見ても気持ち良さそうな、トロンと目の溶けた顔をしていた。
    「だったら、僕のことをきちんと満足させて、廃棄の決定を無しにしないとね」
    「頑張る。何でもする」
    「オジサンとセックスしようか」
    「する」
     セックスが何かをわかってもいないだろうに、グリペンはそう答える。
    「脚を広げてごらん? そう、M字にね。そうそう」
     自分の膝を抱え上げ、挿入を受け入れるためでしかないポーズとなる。グリペンのあられもない恰好に、中年は鼻息荒く興奮した。
    「セックスってわかるかい?」
     まだ男を知らないワレメのラインに沿わせるように、グリペンのアソコに肉棒を置いてやる。
    「わからない」
    「セックスはね。君のアソコにおチンチンを挿れることなんだよ」
     指でワレメを弄りつつ、切っ先だけを埋め込ませ、膣口に狙いを定めた。
     腰を前に出しさえすれば、これでセックスの本番を開始できる。
    「おチンチンを、挿れる。挿れたら、廃棄処分はなくなる?」
    「なくなるとも」
    「室長に恩返しできる?」
    「もちろんできるさ」
    「じゃあ、して欲しい」
    「だったら、約束しようか。オジサンがセックスをしたいと言ったら、また来るんだよ? だってオジサンのおかけで廃棄じゃなくなるんだから、オジサンにも恩返しをして欲しい。セックスがオジサンへの恩返しだ。わかるね?」
    「わかる」
    「いい子だ。じゃあ、挿れるよ?」
     中年は腰を押し進め、幅の狭い穴に潜り込む。肉棒を圧縮しようとしてくる締め付けと、熱湯にでも包んだような快感に、舞い上がって腰を振る。
     よい音が部屋中響いた。
    
     ――じゅぷ! ずぷっ、にゅぷ! ちゅぷ! じゅぶ! にゅぶ!
    
     肉と愛液の中を槍で突くたび、ヨダレで汚い音を立てるのに少しだけ似たものが、ピストンのリズムに合わせて鳴っている。
     グリペンの全身から汗が噴き出ていた。
     アニマでも、処女でのセックスには性交痛があるのか。運動で膜が切れることがあるとは知っているが、10G超えの世界で処女であろうと膜を失ってしまっているのか。破瓜の出血はしていない。
     どちらにしても、グリペンの初めてを喰っているのは変わらない。
     貪るように叩きつけ、摩擦によって生まれる快感を味わい尽くす。
     本当にいい気持ちだ。人の形をした戦闘機というのも、この立場でしか味わえない特別な女体じゃないか。
     外出しで、胸や腹に精液をばら撒いた。
     収まりがつかず、また挿入して腰を振り、二回目は中に出した挙句に、やり終わった性器へのお掃除フェラも要求する。
     仰向けで棒を立て、ちゅうちゅうとそれを啄むグリペンの頭を撫で、この気分の良さにじっくりと中年は浸っていた。
     廃棄処分は撤回。
     ただし、グリペンは撤回してくれたオジサンに今後『お礼』をしなくてはならない。東京まで呼び寄せるか、こちらから出向いてやるか。お互いのスケジュールから、そう頻繁には出来ないだろうか、月に数回は何とかなるか。
     今回は基本を教えただけだ。
     調教を繰り返し、快感を教え込み、やがてはセックスが大好きな女に変えてやろう。
     中年の抱く野望が燃え上がり、上下に動く口の中へと三回目の射精が炸裂した。
    
    
    


     
     
     


  • 獅朗に飼われる柳瞳佳

    
    
    
    「君には自傷行為が必要じゃない?」
    「自傷? どうしてですか」
    
     生徒総代室。部屋の中に立ち、警戒した眼差しの柳瞳佳の正面には、大胆なほどに背中を沈め、見るからにふんぞり返る荻童獅朗がソファーに座っていた。
     獅朗に個人的な呼び出しを受け、三年総代の部屋に瞳佳がいるのは、結論からいえば盗撮をネタに脅されているためだ。ある日突然のように、廊下を一人で歩くところへ獅朗は現れ、スマートフォンに画像を見せびらかしてきた。
     服を脱ぎ、身体測定を受けていた写真。
     パンツ一枚だけまで脱がされて、スリーサイズの測定を受けたりしていた。その姿を高性能カメラによる画質の高さで、乳首を大きく拡大可能にして撮られていた。
     見せられた時、ぎょっと慌てて赤らみながら、パニックになるうちに言いくるめられ、のこのこと危険人物と二人きりの場に顔を出してしまったが、自分がどれだけ迂闊な行動を取っているのか、来てしまった後で気づいた。
     要するに、写真をばら撒かれたくなければ、肉体を提供しろ。
     そういう脅迫をしてくるしか、裸の写真を使った個人的な用事は想像できない。
     警戒に警戒を高め、いつどのタイミングでセックスを迫って来るか。ほぼ本気で恐れて緊張感に胸を満たしていた瞳佳は、開口一番に自傷行為という話題を出され、少しだけきょとんとしていた。
    「だって君、自分のせいで人が死んだって思ってるでしょ。自分の霊感のせいでさ」
    「……っ!?」
    「そうだね。君のせいだ。だけど自殺しようって気もなければ、リストカットをしているわけでもない。けどさ、何かの方法で罪悪感を和らげないと、心の健康に悪いと思うんだ」
     見透かされている。心の中身をレンズで覗かれている心地さえして、驚きと警戒で身を固める瞳佳に、獅朗は目を細め、実に楽しそうに笑っている。
    「いいえ、必要ないです」
    「今は霊感を人の役に立てているから?」
    「……」
    「あ、そうそう。そういえば言っておくけど、警察なんて頼りにならないよ? 少しくらいばら撒かれるのを覚悟して、問答無用で通報しても、そんなの別の犯人が捕まるだけだし、そうなるとそいつが可哀そうだよねぇ?」
    「…………」
    「実際、カメラを仕掛けたのは僕じゃない。たまたまイタズラを発見したから、お説教のついでに、そいつらのコレクションを分けてもらっただけ。この写真だって、盗撮っぽく見せかけた、そういうジャンルのエロ画像だと思ってる。被写体もAV女優に違いないと思っているし、まさか一般の女性を映した本物の盗撮画像だなんて、想像もしてないわけ」
     要するにネットで拾った画像なのだと押し通す準備があるらしい。
    「卑怯、ですね」
    「まあね。でさ、ロザリオサークルで活動しているから、それで少しは罪滅ぼしができてるとか考えてる?」
     獅朗はおもむろに、ソファーからその長身を立ち上がらせる。
     整った顔と、スタイルのいい長身は、それだけで既に絵になる。
     そしてそんな獅朗は、部屋の中央に立ち尽くしている瞳佳に向かって大股に歩み寄ると、思わず身を縮めている瞳佳の横に、並ぶようにして回り込んで、それからなんと、驚くほど遠慮なく、大胆に尻を触った。
    「ひっ!」
     心臓が破裂するほどぎょっとなり、頭を真っ白にしてパニック気味に、全身が硬直して瞳佳は動けなくなっていた。
     電車の中で痴漢に遭ったら、どれほど怖くて不愉快か。
     その体験をさせてくれるかのように、すりすりと、スカート越しに撫で回し、尻の丸みに手の平の動きを沿わせている。
    「少し楽しみ過ぎたんじゃ? 死んだ四人に申し訳ないという気持ちが、少し薄れてきたんじゃ?」
     深く、深く、瞳佳は俯いた。
     美麗な悪魔が悪い魔法をかけてくるように、耳元にかかる獅朗の息が、毒のように広がると、指先にかけて痺れていく。
     その通りだった。
     瞳佳は弱くて卑怯で利己的な人間だ。自分のせいで友達が死んだのに、これからも同じことが起こるかもしれないのに、責任を取って死ぬ勇気もない。日常生活を送れなくなるほどの自責の念を感じるほどの責任感もない。
     死にたくないし、呪われるのは怖いし、日常の幸せも捨てたくない。
     ただ、せめてこの霊感を人助けをして、そう考えていた瞳佳が、ちょうどまさしく、新しい友達や真央と会って、少し楽しみ過ぎたと感じていたおりに、狙いすましたような獅朗の毒牙が、こうして瞳佳に迫って来た。
    「ちょうどいいんじゃない?」
     撫で回してくる獅朗の右手は、スカートの丈をつまみ上げ、今度はショーツの上から触り始める。ここまで性的な体験を、生まれて初めてする瞳佳は、早鐘のように鳴り響く鼓動を鼓膜の内側でうるさく感じ、そして男の手の感触や温度を嫌でも如実に感じていた。
     片方の尻たぶを掴み、プルプルと揺らさんばかりに指の強弱を細やかにして、それから全体をねっとりと撫で回す。
     
     すり、すり――。
     
     と、静謐なこの部屋に、手で布地を摩擦する音が聞こえている。吹奏楽部の奏でる音楽や、校庭から聞こえる運動部の掛け声が、どこか遠くの異世界から、この部屋の中へと漏れ出てきたものであるように、ここは外界から切り離されていた。
     性的な目に遭わされる現場という、ある意味の異空間。
     ゴムからはみ出た尻たぶの下弦をつまみ、つつき、ショーツに指を潜り込ませる真似をしてから、今度は中指が割れ目にフィットするようべったり当て、上下にこすり続ける。
    「幽霊の解釈はともかくさ。気持ちの問題として考えてみなよ。もし天国が存在して、死んだみんなが今の君を見ていたら、君がこんな罰まで受けていると知ったらさ。フツーは許してくれる気がしない?」
     獅朗は昏いものを宿した目を輝かせ、瞳佳をソファーへ導いていく。
     奥底までを見透かした言葉に酔わされて、くらくらとしている瞳佳は、逆らう気持ちを魔法で抜き取られてしまったように、意のままに体勢を変えられて、深々と座り込む獅朗に膝に腹ばいとなっていた。
    「パンツ丸見え―」
     スカートを完全に捲り上げられ、ショーツの尻が丸出しとなった瞳佳は、揉まれるがままに沈黙して、五指の食い込みを触覚によって味わっていた。
    
     ぱん!
    
    「……え?」
     え? え?
     瞳佳は困惑した。
     ぱん! ぱん! お尻を叩く手の平が、拍手よりも良い音で、スパンキングの音色を奏でている。生まれて初めての体験どころか、想像さえしたことのないお仕置きに、何よりもまず困惑の方が先に立ち、やっと思い出したように顔が赤らむ。
    「いいねえ。その感じ、傑作だよ」
     小さくなれるだけ限界まで、肩が小さく縮こまろうと、全身に力が入っていく。お尻をペンペンされる瞳佳は、心理的にも追い込まれ、ただお仕置きが過ぎ去るまで、腰のどこか高らかなポーズを言われてもいないのに維持していた。
     ぺちっ、ぺつ、ぺっ、ぺん――と、肉と肌からの打音がリズムとなり、尻肉への衝撃が丸みをプルっと揺らしている。
    「ワン! ツー! スリー フォー! ファイブ! シックス! セブン! エイッ!」
     獅朗はいかに楽しい気持ちになって、人のお尻で遊んでいるか。自分は楽器か玩具の扱いなのか。叩かれるほど惨めになり、なのに瞳佳は抜け出せない。こんな仕打ちを受けることの快楽が芽生えかけ、まさか自分は悦んでいるのかという衝撃が、ますます瞳佳の心を揺らす。
     カウントが繰り返された。
     一から八までのリズムを刻み、規則的にペチペチと鳴り続け、いつしか赤面しきった顔の瞳佳は、ただ平手で打たれる衝撃と、音だけを静かに聞いて過ごしていた。
    「どう? お尻ペンペンされてみて」
    「…………」
    「ほら、答えてよ」
     ペン! と、今までより強く、瞳佳を喋らせるために、まるで動物に言うことを聞かせるかのように叩いてきた。
    「……さ、最悪。だな、と」
    「けど気持ちいいでしょ?」
     改めてペチペチと、今度はもっと軽い調子で、ほとんど撫でたり可愛がったりする手つきで触れている。そんな獅朗の叩き方と、撫で方に、ぞくりと肌は粟立った。
     初めて瞳佳は理解する。
     過剰な自信。快楽主義。異常性。傲慢。我欲。自己愛。認知の歪み――彼から感じているものは、そういうものが入り混じった悪質な何かだったが、しかし総体として、間違いなく一種の『カリスマ』だった。
     顔も育ちもいいが、とんでもない下衆。
     人格者にはほど遠いカリスマから支配され、玩具のように扱われることの喜びに、今までしりもしなかった自分のマゾヒズムについて、その手で気づかされたようだった。
    「僕は楽しめる。君も気持ちいい。立派なウィンウィンの関係だよね」
     そうかもしれない。
     そうやって押し流し、手籠めにしていく手口だとわかっていながら、このいつでもお尻を叩ける体勢で、心理的にも主導権を握られている瞳佳は、きっぱりとした拒否の言葉や態度を出せずにいる。
    「犬の首輪をつけて、リードに繋いで、学校の中を四つん這いで散歩しよう。もちろん丸裸でパンツだって履かせない。あ、全裸で靴下っていうのもフェチだけど、その時は犬耳を付けてあげるよ。お尻の穴に犬の尻尾も突っ込んで、完璧なワンちゃんにして歩かせてあげる」
    「……興味、ないです」
    「そうかな? ちょっと想像したでしょ」
    「……っ!」
    「手錠で両手を封じてさ。目隠しで視界も奪って、バック挿入で後ろから突きまくろうか。僕のチンポに集中できて気持ちいいよ? 場所はそうだね。この部屋で壁に両手をついて、立ちバックでズコバコしよっか」
    「それも、興味ないです……」
    「でも想像したよね?」
     自信を持って言い切ってくる獅朗の声。
     それは魔法のように、自分は想像したのだという気にさせられ、アソコに男性器が出入りすることについて、瞳佳は膣で感触をイメージしてしまう。
    「ならゲームしようか」
     どうせロクなことは言ってこない。
     薄っすらと戦慄して、身構える瞳佳の想像に漏れず、獅朗の思いつきは瞳佳を貶め、これから好きなように扱うためのルールであった。
    「君の体をまんべんなく撫で回す。尻とオッパイは触るけど、初めてだからアソコは無しにしてあげよっか。で、僕の手で君のパンツをエッチなお汁でぐっしょり濡らす。
     一回イクごとに一枚脱いで、全裸になったら僕の勝ち。君が何も感じなければ君の勝ち」
    「……い、いいです。そういうのは」
    「え? 君さ。忘れてるみたいだけど。一応、写真をネタに脅迫してるんだよ?」
    「そうですけど……」
    「君が勝ったらばら撒くことは一切しないって約束するし、もうこういうことで呼び出す真似もしない。口約束だけどね。ま、削除はしないし、気が向いた時はいつでも鑑賞させてもらうんだけどさ」
     おどけきった口調で獅朗は言った。
    「はい。けってーい!」
     有無を言わさず、瞳佳の返事を聞く気もなく、もう話は決まった扱いで、獅朗は瞳佳のことを抱き起す。
     恋人が背中に密着してくるような抱擁で、しっかりと腕を巻き付けられ、横顔に獅朗の頬が触れて来る。男の体温が如実に伝わり、そして尻には、勃起した男の象徴が割れ目に合わせて押しつけられていた。
    
         ***
     
     これが性欲魔に襲われているのでなかったら、どれほどロマンスに溢れ、夢のような恥ずかしいような、甘い体験と言えただろうか。
    「さあ、お嬢さん」
     王子様のエスコートであるように、ソファーに座らされた瞳佳は、まずはその整った顔立ちに真正面から見つめられた。
    「君を幸せな気持ちにさせてみせるよ」
     纏っている空気さえ、その瞬間に変わっていた。
     それは邪悪な悪魔の微笑みから、夢の王子様への変貌だった。警戒している瞳佳の前で、こうも驚くほど、瞳佳の知る獅朗の人間像は消えていた。
     指が髪にそっと触れ、耳の裏側を優しくくすぐる。手の平で頬を包んで、首筋からうなじにかけてを愛撫する。くすぐったさに震えるほど、とてもとても心地よいのが恐ろしい。女性を喰っては捨ててをしているらしい男と知っているのに、それでも肉体は反応していた。
     純粋無垢なお姫様が、経験豊富で素敵な王子に、これから恥ずかしいことを教えてもらう。
     指先にかけても洗練された獅朗の動きと、細やかな表情に、声色の具合まで、全てがそのような演出を計算していた。
    
     ――ちゅっ、
    
     ほっぺにキスをされ、瞳佳はカァァァっと赤らんだ。
     どうしてこんな人に……。
     心の中では思いつつ、間違いなく瞳佳はドキドキしていた。
     その手が肩や二の腕を撫で、手を握り、腹や太ももにかけて愛撫は広がる。胸に手が迫るにつれ、揉まれるものと緊張に身を固め、横乳のあたりに本当に指が触れたが、それだけですっと手が遠のいた。
    「揉むと思った?」
    「……っ!」
     見透かされ、赤くなり、瞳佳はプイっと顔を横に背けていた。
    「ルールは覚えてるね」
    「……」
    「そろそろ一枚脱ごうか」
     遠回しで穏やかな、瞳佳をイカせるという宣言だった。
     獅朗の顔を見ないため、視線を決して合わせないために、瞳佳は横向きのままじーっと壁だけを眺め、その素材や模様を観察する。
     手が太ももに置かれ、スカートに潜り込み、一気にアソコに迫るかと思いきや、しかし性器に触れるわけではない。脚の付け根の、あと一センチでも近づけば、間違いなく性器の領域に踏み込む際どい位置を、指の先ですりすりと、産毛だけを撫でるタッチでくすぐった。
    「ほら、反応してる」
    「……っ」
    「体がモゾモゾしちゃうね」
     事実、太ももがかすかに動き、全身がもぞりもぞりとしている瞳佳は、そんな自分の姿をささやかに実況されたことにより、少しばかりマゾヒズム的な喜びを覚えてしまう。下腹部が引き締まり、何が入っているわけでもないのに、瞳佳は膣壁をヒクヒクと蠢かせた。
    「気持ちいいね?」
     その通りだった。
     触れられてもいないのに、性器の奥から甘い痺れが生まれている。アソコがとにかく熱くなり、汗をかいている気になって悟るのは、もう性器が濡れ始めていることだ。
    
    「――――――あっ、ん!」
    「ちょいイキって感じかな?」
    
     そして、初めに決めたルールの通り、獅朗が瞳佳から奪う衣類は、取られたところで何ら恥ずかしくもないリボンであった。
    「…………」
    「どうしたの? いきなりパンツとか脱ぎたかった?」
    「いえ、別に」
    「次は上履きと靴下を片方ずつで、合計四回か。制服とスカートで二回。ブラジャーとパンツで二回。八回はイカせないと全裸にはならないね。けど、さすがにそこまでエッチな女の子ではないだろうし、これは僕に勝ち目はないかな」
    「わ、私が勝ったら……」
    「そうだね。二度と君には手を出さないよ」
     そう言って愛撫を続け、獅朗は同じように全身をまさぐった。横乳に微妙に触れたり、下乳を持ち上げていなくもない程度の、軽いタッチはあったとしても、はっきりとオッパイを揉むことはない。お尻にも触らず、手や足までまんべんなく撫で尽くし、やっと触れるのは脚の付け根の際どい位置で、やはり性器に触りはしない。
     しかし、瞳佳はそれでイカされた。
     上履きを脱がされ、またイカされ、靴下だけになった瞳佳は、十分と経たないあいだに裸足にまでなっていた。
     そして、愛撫は続き――。
    
    「はぁっ、はぁ……はあっ、はぁ…………」
    
     明らかに息遣いが変化して、熱と湿気を多分に含ませた息を吐き出す。茹で上げた直後のように火照った頬と、存分に赤く染まった耳の色。それから目つきは、どこかトロンと溶けていながら、そんな自分を悔やまんばかりに唇を噛み締めていた。
    
     瞳佳はパンツ一枚にまでされていた。
    
     大人しく、控え目な性格を現すように、決して巨乳というわけではない乳房が、乳首を極限まで突起させている。顔立ちをお嬢様っぽいと評されたことがある瞳佳は、その美乳もまた上品でいて、滑らかな白い肌が良いオッパイを形作る。
    「ここでパンツを取られるってことは、僕とセックスするってことだからね?」
    「い、いやです……」
    「だったら、必死こいて我慢してみなよ?」
     そこにいるのは、瞳佳のよく知る下劣な獅朗だ。
     我慢なんてできっこない。
     何せ未だに、お尻もオッパイも、アソコだって、一度もはっきりとは触られていないのだ。
     それでも下着のクロッチはよく湿り、自分でもわかるほどの量を垂らしている。いかにも愛撫をして欲しそうな、たまらない淫気を放出して、そんな瞳佳の色香に誘われれば、まともな男はくらりと狂う。
     獅朗の手が、初めて乳房に取りついた。
    「……んっ!」
     揉みしだかれ、ビクっと引っ込むように肩を縮める。
    「どうした? すごく可愛い声が聞こえたけど」
    「な、なんでも……んっ、んっ、んぅ……んぁぁ……」
     軽やかな手つきは、当然のようにオッパイを揉み慣れている。強く指を喰い込ませれば痛いことも、逆に優しくしてやれば気持ちいいことも知り尽くし、瞳佳のような大人しいタイプはどう扱ってやればいいのかも、獅朗はツボをわかっている。
    「気持ち良さそうな顔しちゃってさぁ」
     横乳を四指ですりすりと、下乳を持ちあげるようにぐにぐにと、さらにこなれた指技で全体をまんべんなく捏ね回す。
    「んぅ……んぅ……」
    「乳首も責めてあげるよ」
     桜色の突起を摘ままれ、瞳佳の中で何かが弾けた。
    「――っ! あっ、んあ!」
     なにこれ? なんでこんなに!
     驚き、戸惑う瞳佳は、わけもわからないまま髪を必死に振り乱し、ほとばしる快楽の電流に翻弄される。獅朗が右乳にしゃぶりつき、唇と舌の技巧でたっぷりと攻め込んで、唾液を存分にまぶした後で左乳も啄んだ。
     二つの乳首が、唾液濡れに輝いている。
    
    「これでアソコを触られたら、どうなっちゃうんだろうねぇ?」
    
     その瞬間、瞳佳には生まれて初めての感情があった。
     今の敏感なアソコを触られたら、この下衆の提案したルールに一瞬で敗北しかねない恐怖感と、それから本当に自分はどうなるのか。どんな天国にまで行けるのかという、恐怖とは裏腹の期待が胸に満ち溢れる。
    「や、やめ……!」
    「はい。イってね?」
     笑顔で、ただ玩具のスイッチを押す程度の感覚で、獅朗は実にご機嫌な面持ちで瞳佳の秘所を撫で上げた。
    
    「ひぁぁぁぁあ――――!」
    
     容易くイった。
     背中が大きく反り返り、ビクビクと痙攣して、そのままバテきる瞳佳は、肩を大きく上下させながら、自分の股から下着を脱がせる獅朗のことを、ただ黙って見るしかできない。抵抗するしないはおろか、嫌がろうと思うことさえ、この方針の中ではできなかった。
     尻とアソコが、下着の圧迫から解放される。
    「ほーら、見てごらん?」
     瞳佳がどれだけ濡れたのか。獅朗は目の前にパンツを広げて見せびらかす。
    「……っ!」
     たっぷりとぬかるみを含み、クロッチが完全にヌルりとしきった自分自身の下着から、瞳佳は全力で顔を背けた。
    「じゃあ、セックスしようか」
     獅朗がベルトを外している。
     瞳佳はどこかそれを遠い場所の出来事のように聞き、ぼんやりと耳を傾け、放心から立ち戻るにつれ、自分が挿入されそうな危機にあることを自覚する。
     しかし、意識がはっきりとした頃には、とっくにコンドームの装着まで済ませた亀頭がアソコに沈みかけ、あとは腰を前進させれば処女を失うばかりであった。
    「い、嫌っ」
    「もう遅いよ」
     ずにゅぅぅぅぅぅぅぅぅ――と、獅朗の腰が、瞳佳の中へと沈んでいく。
     瞳佳の処女が、失われた。
    「あっ、あぁ……!」
     よく熱した杭のように固い一物が、アソコの穴に根本まで埋まっている。ぶつかり合う股のあいだで、お互いの陰毛が絡み合い、かつて性交経験を持たない膣口は、穴幅が狭いがために肉棒を締め付ける。そして、だからこそペニスの形状が如実にわかった。
    「ほら、動くよ」
     ピストン運動が始まった。
     処女などいくらでも喰ってきた腰使いが、巧妙に抜き差しを行って、よく濡れた瞳佳の中身を責め立てる。
    「――――――――っ!」
     太いものの出入りに、もう声も出ない瞳佳は、ひたすら歯を食い縛っていた。
    「気分いいよ。とっても」
     獅朗は両手で、瞳佳の頬を包んで自分を向かせる。否応なしに視線を重ね合うことになり、瞳佳は気まずく、何も言えずにただ耐える。
    「どう? 初体験の気分は」
     軽やかで無理のないペースで、ゆったりとスムーズに腰が下がると、肉棒が抜けた分だけ膣壁が閉ざされる。その閉じ合わさった壁と壁が、直ちに戻ってくる肉槍でこじ開けられ、そうやって膣と肉棒での摩擦は繰り返された。
    「僕は気分いいよ? 君と守屋君は別に付き合っていないだろうけど、人のところにいる女の子って、やっぱり他人の女を奪ってる気がして最高でね」
    「さ、最低……」
    「でも君。もう僕のチンコを一生忘れることができないよね」
     ずんっ、と突き、覚えさせようと腰を止め、はめ込んだまま獅朗は瞳佳の目を見つめる。
    「…………」
    「大丈夫。僕は君を他の女と同じように捨てたりはしない。君は特別だ。特別に、じっくりと遊んであげる」
     そして、唇が重なった。
    
     ――きゅん!
    
     優しいキスに下腹部が引き締まる。こんな最低な男とわかっていながら、それでも美貌の顔立ちを持つ獅朗の笑みを見ていると、まるで美麗な悪魔にでも魅入られてしまったように、カリスマに酔わされて、瞳佳は全身で喜んでしまっていた。
    「またイキそうだね」
     なんで、どうしてこんな人に――。
     自分がいかに呆気なく、軽々と落とされているのかと、心のどこかで思いながらも、ピストンの再開にドキリとしては、出入りしてくる刺激に意識をやる。
    「一緒にイこうか」
     ピストンのペースが少し早まる。
     それと共に、瞳佳の興奮も増していき、アソコの中心に加速度的に何かが集まる。何か、としか言いようのないその感覚は、絶頂の予兆であることに違いはない。それが急速に膨らんで、まるで子宮の中に風船でもあるように、破裂直前まで上り詰めると――。
    
    「――――――っ!」
    
     瞳佳は処女セックスで絶頂した。
     同時に、コンドームを熱い精液が膨らませ、ゴム越しとはいえ、膣に精液の感触が触れ、これが子宮に届いてきたら、赤ちゃんができるのだと、女に生まれた自分の肉体の仕組みについて、何となく心を馳せていた。
    
         ***
    
     そして、これは休憩後。
    「んじゅっ、ずずっ、ずぅぅ……じゅっ、じゅむっ、はっじゅぅ……ぢゅるるぅ……じゅずずずずっ、ず、ずりゅっ、ちゅぅ……」
     今度はまた獅朗がソファーに座り、大胆に背中を沈め、その左右に開いた膝のあいだに瞳佳はいた。全裸で床に正座をして、逆に服を着た獅朗はペニスだけを露出している。瞳佳はお掃除フェラと称して咥えさせられ、頭を前後に動かしていた。
     不慣れでつたない。
     ただただ、口を大きく開き、噛まないように気をつけることしかできない瞳佳は、わけもわからず頭を動かす。肉棒の根本は両手で支え、言われた通りに手コキ交じりに、時には先っぽをペロペロと舐め続け、ちゅっちゅとキスを繰り返すことで、少しは顎を休めても構わない許しもあった。
     飽きるほど女を喰っている獅朗が、そんな素人のフェラチオで、数分やそこらで二度目の射精をすることはない。
     別に、獅朗は射精したいわけではなかった。
     
     この女に存分に奉仕をさせ、柳瞳佳を自分のペットにしたいのだ。
    
     あの《ロザリオの棺》を持つサークルの、守屋真央の元にいる優秀な霊媒。それを自分の肉棒に屈服させ、いつでも好きな時に性処理に使える状態に仕込んでおくのは、今後の立ち回りで優位に働くと考えていた。
     正直に言って、下手くそだったフェラチオで、獅朗はやっとのことで射精する。もちろんそれは瞳佳の口内へと、遠慮なくドクドクと流し込んだ。