校長の脅迫/犬のお散歩 03

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 本来なら、こんな格好で出入りするなどありえない。
 教室なんかで裸とは、とんだ露出だ。廊下でもそうだったが、いつもならクラスメイトで溢れているこの場所で全裸でいるなど、落ち着かないこと極まりない。
 あまりにも落ち着かない。
 クラス中にこんな姿を見られるイメージが頭をよぎり、ありもしない蔑みや哀れみが浮かんでくる。
「せっかくです。色々撮影しましょう」
 校長はポケットからデジタルカメラを取り出して、動画モードで麗華の姿を映し出す。
「そんな……!」
 こんな姿で、こんなことをしている記録を撮られる。その事実に激しく顔が歪んでいき、表情筋の許す限り、限界まで顔つきが変形した。
「ほれ、まずは教室を一周です」
「くっ…………」
「返事は?」
「――ワン」
 本当に震えきった声が出た。
 カメラレンズを向けられていることを、肌でひしひしと感じながら、手と膝で歩いていく。そういえばこの姿勢で歩くお尻の良さについて、校長は散々語っていたのを思い出し、それが撮られていると思うとやりきれなくなった。
 黒板の前から、廊下側の通路を通った麗華は、教室の後ろを通して窓側の通路へ向かう。道へ入り、黒板へ向かっていき、教卓まで到着して一周となる。
「よーく撮れましたよ? ほら、見て下さいよ」
 校長は麗華の前へしゃがんで来て、目の前で動画の再生をして見せつけた。
「――っ!」
 顔が引き攣るほど、自分自身の滑稽な姿がよく撮れていた。
 四つん這いの背中と尻が鮮明な画質で、嫌になるほど綺麗に映し出されている。ポニーテールのうなじには首輪が見え、そこに繋がるリードもわかりやすい。
 そして、動画の中の麗華は歩いていた。
 左右に映る机の端と、床のタイルが麗華の進行に合わせてスライドして、やがて麗華は後ろの空間へ到着する。方向転換して窓側の通路へ向かう姿の記録が、容赦ない高画質で残されていた。
「こんなもの……」
「駄目です。しっかり見て下さい」
 思わず目を背けるが、校長はそれを許さない。
 校長の視覚からみた自分の姿を拝む羽目になり、尻の筋肉が本当に可動しているのがわかり、麗華はひどく顔を顰めた。教卓への到着で動画は終わるが、まさしく犬を見せられた気分だった。
 床に這いつくばって無様に歩く姿など、自分そっくりの人型犬と呼ばずしてなんと呼ぶか。
 そんな自分の姿を拝まされ、嫌過ぎる事実に改めて涙が出そうになった。
「さて、じゃあ次はあなたの席へ行きましょう」
 麗華は自分の席へ向かっていくが、犬に椅子は必要ない。
 座るのはもちろん校長だった。
 いつもなら自分が座る席に麗華は座らず、ただ椅子の足元に膝をつく。人の席でふんぞり返る校長を黙って見上げ、これが自分と校長の関係であることを実感した。
 椅子に座る校長と、床に座る麗華。
 自分がどこまでもちっぽけになっていき、身分差が延々と広がり続けるのを肌で感じた。
「よーしよし、いい子ですねぇ?」
 まさに飼い主が犬を可愛がる時の手つきで、麗華はその顔を両手で撫で回された。
「ではエサの時間に致しましょう」
 校長はベルトの留め金を外して、チャックを下げる。硬い肉棒を摘み出し、その先端を麗華へ向けた。
 エサというなら、口でさせる気だろうと理解は及ぶ。だが、命令も受けずに自ら咥えれば、まるで麗華の方から食欲を出したように解釈されそうだ。
 だから、麗華は命令を待つ。
 本当に真っ平な指示を待ちながら、校長を睨み上げた。
「……この性犯罪者」
 自分が不本意であること。従っているのも、仕方なくに過ぎないこと。それら示すための態度と言葉を放っていた。
「おっ、いい表情!」
 そんな麗華の表情に向け、校長はパシャリとシャッターを鳴らしていた。犬がお座りをしている分際で、反抗心を剥き出しにした目つきの顔がカメラに収まった。
「これだけの事をして、あなたはいつか必ず捕まる」
 ――パシャリ。
 麗華の言葉に応えるでなく、校長は二枚目の同じ写真を撮影して、それがよく撮れていることに満足げな顔をする。
「あ、さっさとエサを食べて下さいよ」
 カメラ画面を眺めながら、校長は思い出したように命令してきた。
「後輩のことさえなければ……。本当に食いちぎられないで済むのだから、さぞいい気分だろうね」
 わざわざ嫌味を言ってから、麗華は口を近づけた。
 例えば、チャンスを伺い隙でも突きたいのなら、本当は従順そのものになりきるのが賢いのだろう。もっとノリ良く犬になりきり、愛撫されればよがってみせ、校長が喜ぶ反応を見せてやるのが戦略ではある。
 そういう戦略を取る道が、麗華の頭の中にあるにはあった。
 だが、戦略とはいえ無様な犬ごっこを自分に許せるほど、麗華のプライドは安くない。賢い選択ではなくなるが、それでも不本意であることを表明せずにはいられなかった。
 屈辱的な目に遭えば遭うほど、意地になって折れてやるまいとする性格を麗華はしていた。
 練っていた策の一つは、こうして思いつき止まりとなり、肉棒をしゃぶるのにも嫌そうな顔を隠さない。
「……んぷっ」
 亀頭を飲み込んだ麗華は、目で憎悪を訴えながら舌で唾液を塗りつける。到底やる気は出ないので、亀頭だけに向かって頭を動かし、唇を使って噛み付いた。
「――んっ……んぷ……」
 本当なら、きちんと歯を使って噛んでいる。相手が単なる暴漢で、脅迫道具が刃物ぐらいであったなら、麗華の度胸であればとっくに性器に痛手を与えている。さすがに欠損を狙うほど無慈悲ではないにせよ、かなりの深い傷を与えていたはずだ。
 唇で噛むのは、それが出来ない変わりであった。
 そう思いながら、麗華は唇の肉に力を入れた。
「ぷっ、プふぅ……」
 唇で圧するたびに亀頭は口内をつるりと抜け、唾液の途切れるような音が鳴る。先端とキスをして、唇を押し進め、亀頭を口内へ迎えて同じ事を繰り返す。
 唇を駆使した亀頭マッサージに、校長はさぞご満悦の様子であった。
「そうだ。おっぱいに挟んで下さい」
「チッ――。はぁ……」
 舌打ちと、ため息を出してやる。
 麗華は自分の乳房を持ち上げ、その狭間に肉棒を迎えて乳で圧する。
 あるのは猛烈な不快感だ。
 肉棒の熱さを通じて、こんな奴の体温が肌に如実に伝わる。まるで皮膚が汚染され、熱がどんどん侵食してくるような気持ちの悪さに、ゾッとしていた。
 ……こんな事に胸を使うのか!
 歯軋りしながら、麗華は肉棒をサンドイッチ状に圧迫する。左右の乳房を摺り合わせ、刺激を与えようと苦心するが、初めてなのでコツがわからずやりにくい。
 なんでこんな奴のために苦労を……。
 校長に気持ち良くなって欲しいなど、欠片も思わない。逆に殺してやりたいほどなのに、その相手に快感を与える苦労をするなど、強制労働もいいところだ。
「はははっ、初心者ですねぇ?」
 校長は稚拙な技を嘲笑い、馬鹿にしきった顔で麗華の頭をポンポン叩く。褒められても嬉しくないが、せっかくの苦労を馬鹿にされても腹が立つ。
「やらせておいて……」
 思っていることが口に出た。
「だって、まさに素人技じゃないですか。いやもう、初々しくて笑いも出ますよ」
 ……こいつ、殺したい!
 黒い感情を噛み締めて、麗華は黙って睨み上げた。本当にこいつをどうにかできればと、そればかりを考えながら胸を駆使して刺激を与える。
 強く圧迫したまま上下にしごいたり、根元から絞り上げるようにしてみたり、したくもないコツの模索を続けていた。
「いいですよ? そのまま口も一緒に使いましょうか。パイフェラですよパイフェラ」
「調子に乗って……!」
 憎々しい。
 乳房の隙間から覗く亀頭へ向かって、麗華は頭を下げて口を近づける。あまりの憎さに、噛み切って校長の悲鳴でも聞いてみたい、残酷な欲望さえ沸いていた。
 そんな憎悪の対象を――ぺろり。
 乳房でしっかり抱き込みつつ、先端を舌で優しく撫でてやる。唇を当てて亀頭を飲み、先ほどのように唇を使う。これもいきなりコツは掴めないので、口と胸で交互に集中力を配分した。口に集中する時はただ挟み込むだけに止め、胸使いに集中する時は口を適当にした。
「ぺろ……ぺろ……」
 続けるうちに慣れてきて、少しは同時の刺激ができるようにはなってくる。
 だが、何が悲しくて慣れなくてはいけないのか。
 こんな形で性経験を積むなど、真っ当ではない。いずれ恋人が出来たとして、相手のために発揮するのが、こんな奴から得た性技術になると思うと将来の気が重い。
 やる気など出したくなかった。
「ほらほら、頑張ってください? だんだん上手になっていますよ?」
 校長にコツの模索を強要され、上達を求められる。適当にしていれば注意されるのは予想できたが、やはり本当に口を出された。
 拒否権が欲しくて堪らない事に耐え、麗華は麗華なりに、仕方なく上手くやろうと努力していた。
 そのため、だんだん麗華の動きは活発になっていく。
 初めは稚拙で、もっとチマチマしていたものが、少しずつ、それなりの経験者に見える動きになっていく。乳房の使い方、唇と舌による技術は向上し、こんな奴から得る経験が順調に蓄積されていた。
「――じゅっ、じゅぅぅぅ」
 亀頭口に吸い付き汁を飲み、乳房の狭間へと沈めて亀頭を圧する。乳房による圧迫の中を出入りさせ、憎いペニスが本当に硬く雄々しく喜んでいた。
 乳房の狭間に抱きこんでいると、たまにペニスはドクンと脈を打つ。根元からピクピクと、喜ぶかのように反応する。それら全てが麗華の乳肌に伝わっていた。
 ――死ねばいいのに。
 ペニスが胸で喜ぶたびに、麗華は顔を顰めていた。
「さて、麗華さん」
 校長は股元から麗華を離し、椅子から立つ。
 もう出すのだろう。
 どこにかける気か。あるいは飲ませでもする気かと思っていると、校長はなんと自分で肉棒をしごきだし、椅子に射出口を向けていた。
「……なっ、何故!? そこにかける気なのか?」
 もちろん、だから自分にかけろとは微塵も思わない。ただ器物にかけたがる気持ちが、純粋に理解不能で驚きだった。
「ああ、麗華さんにぶっかけてもいいんですけどね。せっかくなので、今回はあなたの努力の成果を、目に見えやすい形にしようと思いまして」
 とんだ余計なお世話であった。
「目にって……。成果なんて知りたくもない!」
 麗華は声を荒げたが、校長は聞く耳持たずに射精する。

 ――ドクン!

 多量の白濁を椅子の上に、麗華がいつも座っている席に放出さる。ドロリとした液の塊が、椅子の一面をほぼ半分以上覆い隠すほどに広がっていく。
 何が成果だ。
 あなたの努力で、こんなに出ました、とでもいいたいのか。
 喜びなど到底ない。
 そんな事より、この体と心だけでなく、毎日使う席までもを校長は穢したのだ。
 死んで欲しい、殺したい。
 黒い感情が色濃くなり、この気持ちをいつまで抑えていられるのかと我ながら不安になる。
「さて、麗華さんがあんまりエロいことをするもんですから。こんなに椅子が汚れましたよ?」
「お、お前……!」
「お掃除をしませんとねぇ? ほら、舌でペロペロと舐め取りなさい。これがあなたのエサなんですから」
 そんな指示を、校長はカメラを片手に出してきた。おそらくは動画モードで、精液を食するシーンを、椅子が綺麗になるまで撮るつもりだ。
 レンズが麗華を向いている。
 そして、椅子に広がる精液のツンとした匂いが、鼻腔を侵すかのようで気持ち悪い。
 今すぐ――今すぐにでも、こいつを殴りたい!

「じ、地獄に堕ちろ!」

 麗華は衝動の叫びを上げる。
 怒りのあまりに赤い顔で、舌を伸ばして舐め始めた。嫌に青臭く、トロっとした食感が不快に舌を汚染する。
「ん……じゅるっ、じゅっ、じゅぅぅ……」
 舐めるだけでは綺麗にできず、唇で吸うようにして口内へ導いていた。
「じゅっ、じゅるぅぅ――」
 屈辱そのものの味を啜っていた。
 椅子の足を強く握り、腕の筋肉は震えるほどに限界まで力を込める。カメラのレンズを受けながら、自分のこんな姿を撮影されている無念と悔しさに全身を震わせてていた。



 
 
 


校長の脅迫/犬のお散歩 03への1件のコメント

  1. アバター から
    から コメント投稿者

    続きはもう出ないのでしょうか?とても好きなキャラなので時々辱められる彼女を見たいな、と。