ボディチェックの権限 女刑事の羞恥体験




 壁に両手をついた男は、どこかのマスコミの記者らしく、しかしカメラの持ち込みは制限されて、紙とペンだけを持ち込むことになっている。
 ボディチェックを行う田中と山田は、気乗りはしないが男をまさぐり、仕事なので嫌々ながらも尻すら触る。二人はホモでも何でもなく、それなのに男の尻を触って調べるなど、生理的に辛いものでしかない。
 金属探知機には特に反応はなく、あとは形式的なチェックをすれば済むため、早々に切り上げて、二人は男を奥に通した。
 これが田中と山田の仕事である。
 科学研究所の警備員として配属され、ボディチェックを任された二人は、専用のチェックルームで外部の人間を調べてから、この先にある廊下へ通す。その廊下を渡った先の、各研究室や資料室には、決して外部に漏らしてはならない内容でてんこ盛りだ。
 もしも小型カメラでも持ち込まれ、隠し撮りでもされ、それが世間に発表されれば、田中と山田はたちまち首になるだろう。
 責任のある仕事に、しかしやりがいを感じる時もある。

 ――女だ。

 田中と山田には、ここを出入りする予定の名簿リストが与えられ、今日は一体何人のボディチェックを行うかが早くとも数日前には判明する。もろもろの仕事遅れ、連絡遅れや急なアポイントなどあれば、当日にリストが完成することもあるのだが、そんな名簿の中に女の名前があると、二人はやる気に満ち溢れる。
 今日のリストにも、佐波英子という名があった。
 確実に、女だ。
 じっくりと、たっぷりと、時間をかけて調べてやろうと、二人は既に邪念を膨らませていた。
 その時である。

「田中くん。山田くん」

 一人の所長が、恰幅のよい体格に白衣を着込み、カールした立派な髭を生やした顔で、実に楽しみそうな表情を浮かべてやって来た。
「所長!」
「おはようございます!」
 二人は一斉に敬礼する。
「うん、今日はわかっているね?」
 何かの意志を含んだ笑みに、二人はにたりとした思いを目に浮かべる。
「はい!」
「もちろんですとも!」
 田中と山田は、ますますのやる気に満ち溢れた。
 実のところ、この部屋には監視カメラが仕掛けられており、壁、天井、床にもそれぞれ複数箇所、あらゆる角度から映像を残している。それはもちろん、防犯を目的とした必要性あってのものなのだが、さらに別の意図も含まれる。
「女性の刑事だそうだが、とても美人だよ。よろしく頼むよ」
「はい!」
「はい!」
 二人が同時に答えると、満足の笑みを浮かべて頷いて、所長は背中を向けて去っていく。両開きの自動ドアが左右にスライドして、その向こうに所長の白衣姿が消えて行くと、二人は改めて邪悪な微笑みを浮かべあった。
「へっ、美人か」
 田中が悪巧みの顔を浮かべる。
「どこまで行く?」
 と、山田。
「そりゃあ、所長がわざわざ来たくらいだ」
「ってことは、全部か」
 ここに出入りする人間は、必ず同意書へのサインを行っている。多少のことでも、法的に不利になることはない。加えて所長はコレクションを増やし、二人は鑑賞室でそのおこぼれに預かることも出来るのだ。
 全く、いい仕事だ。
 こんなことなら、毎日のように女が来ればいいのに。

     *

 拳銃や手錠といったものは、一度テーブルに置いてもらい、他にも金属類があるなら、全て一旦取り外す。
 ひとしきりテーブルに並んだら、室内設置の金属探知機を通ってもらう。
 女刑事、佐波英子。
 頭の高い位置でポニーテールを結んだ英子は、その毛先を背中の肩甲骨あたりまで垂らしている。一七〇センチを超える長身で、パンツスーツを履きこなしたスタイルで、長い足のラインが際立っている。
 いかにも気の強そうな、強靱な意志を宿していそうな切れ長の瞳は、勇敢にも何かに立ち向かっていく凜々しさに溢れている。
 いい尻をしていた。
 パンツスーツを内側から膨らませ、大きな山の丸みを帯びさせている英子の巨尻は、しかもパンティラインまで浮かべている。
 金属探知機を通過していく英子の尻を、田中は後ろからじっくりと視姦していた。

 ビィィィィィィ――。

 その瞬間、ブザーにも似た警告の音が鳴り響く。
 英子に表情を見られる心配がないのをいいことに、田中はにたりとほくそ笑み、口角を釣り上げていた。
「ああ、すみません! 誤作動の可能性もありますが、何か小さな金属なんか身につけてはいませんか?」
 全てをわかっていながら、いかにも自分でも驚いているような顔をしている山田は、そこに少しの怪しげな表情も浮かべていない。なかなかの名演技を披露しつつも、さらにこの場合の説明事項について口にしていく。
「万が一にも、許可のない撮影機材・録音器具等の持ち込みを許してしまうと、全て我々の責任になってしまいます。失礼とは思いますが、こちらの指示に従って戴けますか?」
 衣服の着脱についで指示する場合があるとの同意書に、この佐波英子はハンコを押してしまっている。身体への接触、胸や尻など恥部への接触について理解を求める文面もあり、つまりお尻を撫でても二人は罪には咎められない。
「ええ、構いません。そちらのお立場も、理解はしているつもりです」
 そして、マイクロカメラや小型録音機を使った情報窃盗の数々について、刑事とあらば具体的な事例も把握していることだろう。いかに研究所の警戒心が強く、田中と山田はどんな小さな小道具の存在も見落としてはいけないか、厳しい立場は真実なのだ。
「頭の後ろで手を組んで頂けますか?」
 山田の指示に英子は従う。
 田中がバックに回り、山田は前から、それぞれの手で所持品のチェックを始める。山田は両手で腰に触れ、オフィスジャケットのポケットを確かめつつ、しだいに脇下にかけて、上から下へとポンポンと、軽い力で叩いていく。
 田中は背中をまんべんなくそうしてから、すぐにしゃがんでパンツスーツの足首から太ももにかけてをポンポンと叩いていく。そのあいだにも巨尻を眺め、ここまで間近で観察しての迫力に興奮しながら、田中は尻まで撫で回す。
「え、あの……」
 驚くような、戸惑うような表情が、尻しか見ない田中にも如実に伝わる。
 山田の様子を見れば、あちらも乳房のチェックを始めているようだった。露骨に揉みはしないだろうが、軽く手を触れ、包み込み、あくまでも何かを隠し持っていないかの確認のためと言わんばかりの手つきでいる。
 巨尻の素晴らしい膨らみを撫で回すのも、あくまで手早く、揉みすぎない。
 むっちりとした弾力を数秒間で味わう田中は、早いうちに手を離し、山田も同じく乳揉みを切り上げた。
「特に目立つものはないようですが、ジャケットのボタンが金属ですね」
「ええ、そうだと思います」
「これに反応している可能性がありますので、脱いで頂いてもよろしいですか」
「え? ええ、構いませんが」
 本当は抵抗がありそうな、若干の戸惑いを帯びながら、オフィス用ジャケット一枚を脱いでも、白いワイシャツ姿しか晒さない。特別に恥じらう理由もなく、ボタンに指をかけて外し始める英子は、実にあっさりと一枚目を脱いでいた。
 山田がそれを預かり、改めて手で探り回してポケットの中身も調べる。警察手帳やボールペンといったものは事前にテーブルに置いてあるため、文房具が出てくる余地もないジャケットは、あくまでもボタンが金属製なだけのようだった。
「ではこれでもう一度」
 田中の言葉に促され、英子は再び金属探知機を通過する。

 ビィイィィィィイ――。

 鳴るように仕掛けてあるから、当然鳴る。
「今度はそちらに両手を突いて下さい」
 壁に手を突かせた上、足は肩幅程度に開き、尻も少し突き出してもらっている。映画やドラマでボディチェックのシーンを見かければ、大抵はこのポーズではないだろうか。
 巨尻が目立つ。
 パンツスーツを膨らませ、大きな尻山にパンティラインも浮かべている。見れば見るほどむっちりとした感触が手の平に蘇り、欲望のままに触り尽くしたい衝動に駆られるが、ここは押さえてボディチェックに徹していく。
 もっとも、田中は自分のズボンの膨らみを近づけた。
 バック挿入を連想しながら、両手でがっしりと腰を捕らえ、触れるか触れないかといったギリギリの具合まで、勃起したものを迫らせる。辛うじてスリスリと、お互いのズボンとパンツスーツで、生地の表面が擦り合っていなくもない、本当に微妙な距離感を維持する田中は、そのまま腰のくびれをまさぐった。
 特に、何もない。
 ワイシャツのすぐ下に、張りのよいスベスベとした質感の素肌があり、直接触れればとても気持ちいいであろうこと以外には、特にわかることはない。
 上へ、上へと、肋骨の部分に触れる。
 この辺りで、指がブラジャーの生地に触れたとわかる。
 脇下の位置まで手を動かし、指先が横乳に届くようにしてやりながら、あくまで揉むのは皮膚の表面である。服の内側を調べるだけで、乳房に悪戯をしたいわけではない。そんな建前を通すための手つきで、横乳に当てた指は少ししか動かさず、脇下の肉ばかりに集中した。
「髪は何で縛っていますか?」
「普通のゴムですけど」
「ピンなどは?」
「ありません」
「ブラジャーに金属のワイヤーなんかが入ってはいませんか?」
 と、これを尋ねた瞬間、ゴムとピンについては即答だったことに比べて、何秒もの間が開いていた。
「それは…………たぶん、入ってます………………」
 声だけで、何かを諦める思いがひしひしと伝わってきた。
「ではワイシャツを脱ぎ、ブラジャーも外して下さい」
 山田は容赦なく、かつ事務的に告げていた。
 脱いでいる瞬間は見せたくない、そんな恥じらいからか、二人には背中を向けたままにボタンを外し、背中越しにワイシャツを預けてくる。それを受け取る山田は、体温が残っているであろうワイシャツを探り回し、調べ上げ、丁寧に畳んでからテーブルに置いていた。
 もちろん、剥き出しの背中を視界のフレームから外してはいないだろう。
 背中のホックに手が回り、後ろ向きのままパチリと外され、やはり英子は背中越しに下着を手渡す。白いブラジャーを手にした山田は、ニタニタとしながら探り回し、それを田中にも渡してくる。
 受け取った田中は、やはり体温の残ったブラジャーの、カップの部分を弄り回し、タグを確かめるとE80と書かれていた。トップバストが一〇〇センチ、アンダーバストが八〇センチの乳房に合うことまで記されており、つまり英子の胸はこれと同じか、数センチの誤差があるかといった大きさらしい。
 英子が振り向き、胸を腕のクロスでがっしりと覆い隠した状態で二人を向く。
「やはり金属ワイヤーですね」
 ここぞとばかりに、田中は英子の見ている目の前で、このブラジャーを調べてみせる。ワイヤーの感触を確かめるばかりか、カップの裏側にあるポケットにも指を突っ込む。厚さがほんの何ミリかの、柔らかなクッションが入っていた。
 しかも、田中はこれを山田に手渡し、そうすることで男同士で人の下着を共有しているところを見せつける。
 英子はいじらしくも顔を背けた。
「では通ってみて下さい」
 田中が告げ、すると英子は胸を強く抱き締めての、肩を内側に丸めたたどたどしい足取りでアーチをくぐる。

 ビィィィィィィィィ――――。

「そんな……」
 これで、いよいよ生の乳房を拝むことになる。
 両手を頭の後ろに組むように告げるのだが、もちろん英子はありありとした抵抗の色を顔に浮かべる。腕のクロスを解くどころか、むしろ力を強めたのは、ほとんど反射的なものだと田中には読み取れた。
「………………」
 言葉などなかった。
 ただ黙って、本当に心の底から仕方がなさそうに、英子は腕のクロスを解き、どことなく震えながら後頭部に両手をやる。おなじみのポーズとなって、もはやEカップの大きな乳房は隠すことができなくなり、事務的な表情を装いながら、田中と山田は二人してそれを見る。
 なかなかの乳房だ。
 さすがの大きさで手前に突き出て、焦げ茶色の乳輪から、丸っこい乳首が硬く突起しているようだ。
 田中は横目で山田を見る。
 すると、山田は目で頷き、次の説明を開始した。
「えー。諸外国の事例ですが、手術によって体内に盗聴器を仕込み、情報を盗み出したという事件があるそうです。これを受けまして、当研究所においても、下着類を外してなお金属探知が反応する場合、取り決めとして乳房への接触を行うものとなっています」
「胸を……揉む気ですか……?」
 キッ、と、一瞬だけ、視線が鋭くなった。
 警戒しきった表情でいて、英子にとっては仕方がないことでもある。今のところ、騙されていることには気づいておらず、しかも同意書のことがあっては、諦めるしかないのは自分の方だと、英子もよくよくわかっているのだろう。
 瞳に恨めしそうな色が浮かぶも、ぐっと堪えてか、睨まんばかりの先ほどの視線は、まるで気のせいだったかのように、本当に一瞬で消えていた。そこにあるのは、ただ自分がこれからされることを思い、緊張と恥じらいを浮かべるだけの表情だった。
 真っ先に山田が揉みに行き、田中はというと、大好きな巨尻を眺めに行く。
「同じ理由で、お尻への接触も増えますので、ご了承下さい」
 尻、胸。
 痴漢やセクハラを訴えやすい、そうした場所に物を隠すことの強みは、わざわざ解説するまでもないだろう。本当にそうされると厄介だから、調べることが可能なように、同意書の内容は男女問わずに同じ文面としており、職務上は必要性に応じて男の恥部さえ調べなくてはならない身だ。
 ペニスに盗聴器を埋め込む猛者など、さすがに存在しないだろうが、想定はしなくてはならないのが二人の仕事だ。
 女にありつく楽しみがなくては、男の尻を触る羽目になる仕事などやっていられない。
「んっ、ん………………」
 前では胸を揉まれている。
 調べているに過ぎない手つきを徹底して、生真面目な顔で乳房の内部を探り込み、ありもしない盗聴器を見つけ出そうと揉みしだく。そもそも、手術痕がないので、この刑事にそんな恐れはないのだが、それでも揉むのが男だろう。
 刺激でも受けているのか、かすかで小刻みだが、巨尻が左右に動いている。
 ずっと眺めていたいものだが、調べるためにも田中は手を付け、左右の尻たぶを同時に揉みしだく。肉の内側に何かが隠され、手術で埋め込まれていることを疑う建前の、探している手つきを心がけ、ぐっと指を押し込み撫で回す。
「どうだ?」
 田中は山田に問いかける。
「いいや、こっちは何もない」
「こっちもだ。すると留め具か」
「パンツスーツの方も脱いで頂きますね?」
 もはや山田は有無も言わさず、すぐにしゃがんでパンツスーツの留め具に手をかける。あちらの視点からすれば、チャックを下げる瞬間の、ズボンがV字に開くことによって覗けるショーツが見えているはずだった。
 英子は後頭部に手を組んだまま動かない。
 もう、諦めているはずだ。
「下げてくれ」
 山田が、田中に言う。
「了解」
 じっくり、たっぷりと眺めていたい田中は、パンツスーツの左右に手をかけて、だんだんと下げ始めるにあたって、少しでも時間をかけていた。しだいしだいに、一ミリずつ丁寧にずり下がり、真っ白なショーツに覆われた巨尻が見えてくるのを楽しんだ。
 二人の男の顔が近づき、下半身を前後で挟み撃ちにされながら、間近で凝視される気持ちはどんなものであろうか。
 田中は尻を、山田は前を眺めている。
 尾てい骨のあろう位置まで下がり、さらにショーツ尻の面積は広がって、布地のしっかりと食い込んだ光景が広がっていく。パンツスーツの上からでも、尻の丸い形状はありありと見て取れたが、ならばショーツ越しにもよく浮き上がっているのは当然だった。
 純白ショーツの巨尻は、そのゴムによって少しだけ、おそらくは一ミリかその程度、尻山を凹ませている。尻の下限の、垂れ目にあたるラインは深い影を刻んでおり、プリプリとした魅惑のボリュームは田中の視線を吸引した。
 英子はショーツ一枚のみの姿となる。
「ではお願いします」
「はい」
 悲しいやら悔しいやら、そんな思いを抱えて、きっと今度こそという思いをいっぱいにして金属探知機をくぐっていた。ここまでボディチェックを受け続け、ここまで脱いで、これで駄目なはずはないと、だから本当に次こそはと、そんな気持ちが感じられた。

 ビィィィィィィィィ――――。

 もう泣きたい。
 英子の顔から、そんな思いが伝わって来た。

     ***

 佐波英子に命令を下し、同意書へのサインも行うように告げたのは、この町を守る警察署長の男である。彼はパソコンに取り込んだその映像を見てほくそ笑み、またとない優越感に浸っていた。
 科学研究所の所長から預かった大切な『資料』である。
 警察として、頂いた資料を入念にチェックするのは当然であり、誰もいない所長室で、背後の窓ガラスにはきちんとシャッターをかけていることまで確認してから、音量にも注意して動画を見ている。
 特に気に入っている部分はこれだ。

『ではショーツをこちらにお渡し下さい』
『さすがに……どうしてもですか……?』
『お願いします』
『そう言われましても……』

 ショーツ一枚だけの姿になりながら、それだけはさすがに脱げず、今まで以上に抵抗を示す英子の可愛らしさといったらない。顔は赤らみ、涙ぐみ、それでも同意書へのサインや取り決めなどの関係から、結局は英子が諦める。
 やがてショーツを下げていくのだが、アソコばかりは見せまいと、右手で秘所を覆いながら、左手だけで下げたのだ。
 すっかり腰をくの字に折り曲げ、そんなポーズだからこそ、巨尻の丸いフォルムが際立つワンシーンの良さといったらない。まるで全裸のへっぴり腰になりながら、泣きながら下着を差し出しているかのような場面の滑稽さ、情けなさ、この時の英子の心境を思うと興奮する。
 自分がどれだけ情けのない、格好悪い姿を晒していたか、英子に自覚はあっただろうか。
 ショーツを手渡した後の英子は、左手もアソコにやり、両手を使って秘所を覆い隠していたのだが、それでいて腰もくの字に折り曲げて、お尻をしっかり突き出している。その姿を例えるなら、オシッコが漏れそうで漏れそうで仕方のないポーズというべきか。
 トイレの方向を指してやったら、全速力で走って行きそうだ。
 さて。あのチェックルームの素晴らしいところは、床にも壁にも天井にも、ありとあらゆる位置に無数のカメラを仕込んでいながら、見た目では決して存在を見抜けない。その上、さらに、三六〇度の全方向からの映像を統合して、自由に角度を変えたり、位置やアングルをマウスで操作可能な動画を作ってしまう技術が導入されている。
 つまり、オシッコが漏れそうなポーズを真横から眺め、くの字に折れ曲がった身体の、巨尻のフォルムが際立っているところを楽しんでもよし。角度を変え、巨尻を画面いっぱいにアップすれば、まるで英子が知らず知らずのうちにレンズに尻を近づけて、そうして出来上がった絵であるようで興奮する。
 二人の男がショーツを調べ、生地の手触りや温もりを確認しつつ、布のどこかに何かが仕込まれていないかの調査も行っている。
 そんな男二人の場面を確かめてから、警察署長はクリックで映像を巻き戻し、今度は英子の表情をアップする。
 素晴らしいの一言だ。
 自分の見ている目の前で、無残にもショーツを悪戯されている。何としても阻止したいはずであろう光景を、ただ無力にも眺めているしかない気持ちは、歯がゆいどころの問題ではないだろう。
 武力行使さえ行えば、英子にとってそこらの男二人など相手にならない。
 全裸のまま戦っても、格闘なら英子が勝つだろう。
 しかし、理由もなく武力行使などできはしない、するわけにはいかない英子が、ただただ顔を赤くして、頬から炎でも噴き出しそうなほどの、羞恥にまみれた表情で、涙目でそれを見つめているのだ。
 そう、オシッコが漏れそうなポーズで。
 これほどみっともないことがあろろうか、こんな体験をして、よく生きていられるものだとさえ、警察署長は思っている。確かに、署長の命令で英子はこうなったのだが、女のここまで惨めな姿を見ることができて最高だ。
 そして、その英子がここに来る。

 こん、こん、

 あらかじめ時間を決め、そろそろ英子が来るとわかっていた警察署長は、動画から音を消しつつ、凜然とした英子がドアの向こうから入ってくるのに目をやった。
 一時停止した動画の中では、こんなにも惨めを晒しているのに、まるで何事もなかったかのように振る舞って、堂々たる姿勢で仕事の報告に来ているのは、さすがの精神の強さと言えるだろうか。
 しかし、見比べるとますます楽しい。
 そこに立っている英子は肌が白いが、動画の中では首から上が綺麗に赤い。同じ人物とは思えないほどの、涙目の潰を大きく育てた可哀想な表情さえ浮かべている。
「どうだったかね」
「はい。署長が仰る通り、あちらの機関では極めて重要な研究を行っており、その情報を探り出そうと、諸外国の組織や暴力団が狙っています。現状のボディチェック体制なら、そう簡単にスパイが入り込む余地はないのでしょうが、あれほどの宝庫とわかれば、犯罪組織もそうそう諦めはしないでしょう」
「内部から、そういった連中に売り込みをして、手引きしてしまうこともありえるわけだ」
「ええ、可能性としては」
 署長はさらに話しを聞き出し、かねてからの捜査関連――いくつかの組織が研究所を狙おうとする動きについての、英子が現状得ている感触を聞いていく。今後の警察の動きに関わる重要な内容は、もちろん耳に入れつつも、器用な所長はパソコンの画面を同時に楽しむ。
 映像を再生させ、肛門まで探られる場面を見た。
 動画内の英子は自分で自分の足首を掴み、尻だけが高らかとなる恥辱のポーズで、男に肛門を晒していた。ご丁寧なことに、カメラにきちんと映るよう、男は自分のポジションを気にかけながら、ちょうど横合いから、ジェル塗りの指を肛門に挿入していた。
 桃色の菊皺が指を飲み込み、羞恥で尻ごと震えるかすかな具合が、画面いっぱいにアップすることが可能だった、
 こんなことまでされて来たか。
 しかも、指を挿入するばかりか、二人して尻たぶを撫でている。肛門の内側を探られるばかりでなく、無駄にお尻を触られている英子の悲劇には、まったく勃起した逸物がズボンの中で破裂しそうだ。
 英子はひとしきりの報告を済ませ、さも自分はクールにこなしてきたような顔をして、署長に背を向け去って行く。
 その際の巨尻を目で追うが、あのパンツスーツの中身がこれか。
 署長は今一度画面に目をやって、両側から撫で回され、肛門にも指が出入りしている光景を楽しんだ。



 
 
 


ボディチェックの権限 女刑事の羞恥体験への2件のコメント

  1. 匿名 コメント投稿者

    非常に素晴らしい作品ですが、ショーツを脱がした後の肛門検査などの直接的な描写がもっと欲しいです
    そのあたりを加えたこの作品をぜひとも拝見したいです

  2. ak コメント投稿者

    非常に素晴らしい作品てすが、ショーツを脱がした後の肛門検査などの描写がほしいです
    それを加えた作品をせひとも拝見したいです